《9月のことば》誠一途 初志貫徹

鹿砦社代表 松岡利康

《9月のことば》誠一途 初志貫徹(鹿砦社カレンダー2025より。龍一郎揮毫)

9月になりました。1年の3分の2が過ぎ、今年は残り3カ月となりました。
この夏も、いろいろな意味で暑かったです。

今年の前半は、『紙の爆弾』創刊20周年、『季節』創刊10周年を迎え4・5東京、7・12関西と二つの「反転攻勢の集い」に多くの皆様方のご参集を得、また多大のご支援を賜り、成功裡に終了、次の10年に向け出発することができました。

私たちは、あくまでも「誠一途」「初志貫徹」の気概を堅持し突き進まなければなりません。たとえ今は苦境に晒されても、たとえ塩を舐めながらも「誠一途」「初志貫徹」の精神で、もうひと頑張りもふた頑張りもせねばなりません。頑張らなければならない時に頑張れないなら、私たちの今後はありません。言うは易し、行うは難しですが、悠長なことも言ってはおれません。

◇     ◇     ◇     ◇     ◇

◎すでにお知らせしていますように、8月に発刊した『季節』夏・秋合併号、野田正彰著『流行精神病の時代』が好評です。前者に掲載の山本義隆さんの、23ページわたる長大な講演録が白眉の出来です。一つの雑誌に23ページを割くという暴挙(!?)です。

また、『季節』創刊10周年事業として企画された『3・11の彼方から 「季節」(NO NUKES voice)セレクション集vol.1』が、すでに校了し9月10日前後に完成いたします。608ページの堂々たるものです。

これら3点のご購読をお願いする次第です。

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《書評》『司法が原発を止める』、樋口英明裁判官と井戸謙一裁判官の対話、人を裁くただならぬ特権の舞台裏

黒薮哲哉

本書は、原発の操業を差し止めた二人の裁判官による対談集である。自らが執筆した原発訴訟の判決、法曹界に入った後に肌で感じた最高裁事務総局の違和感、裁判官として交友のあった人々の像など、大半の日本人には知りえないエピソードが登場する。

筆者にとって法曹界は取材対象の一分野である。と、いうのも2008年から09年にかけた次期に、読売新聞社から3件の裁判を起こされ、総計約8000万円を請求された体験があるからだ。これら3件の係争の背景には、新聞業界で尋常化している「押し紙」問題を告発した事情がある。「押し紙」による損害は年間で、少なく試算しても1000億円を超える。当然、ジャーナリズムの重要なテーマである。

巨大メディアが、日本を代表する人権擁護団体である自由人権協会の代表理事、喜田村洋一弁護士を代理人に立て、フリーランス記者をつぶしにかかった事件を、司法がどう裁くかを、自分の問題として考えた。

本書を一読して印象深かったのは、職業人として心血を注いだ判決を書いている裁判官の姿である。本書の対談者である井戸謙一氏と樋口英明氏が身に付けている高い職業倫理については、人伝いに聞いていたが、判決文を執筆する際に言葉の細部にまで神経を走らせているとまでは想像しなかった。たとえば次のくだりである。

「(樋口)福島第一原発事故が起こった後に井戸さんの判決を読み返して、本当に驚いた。言っていることはもちろん正しいですし、判決文の中に「砦」という言葉が出てくるのです。原発の運転を停止する際に必須な「止める・冷やす・閉じ込める」についてです。「最後の砦である機能も失われて」という表現。あの部分が強く印象に残っています。あそこは光って目立つ感じです。また、すごく丁寧に一つひとつの論点について説示してあるのが印象的でした。なぜこの判決が最高裁で破られたのか、それが不思議です。」

「(井戸)私は控訴審(高裁)に向けて判決文を書きましたよ。論理の中に穴があってはいけないので、とにかく穴がないように細かく細かくチェックして、あの文章を作っていました。」

井戸氏は、自らがかかわった身代金目的の誘拐事件では、「殺意が確定的か、未必的かという事実認定と量刑を死刑にするか無期懲役にするか」をめぐって、他の2人の裁判官と、「月曜日から金曜日まで、毎日、夜の11時ごろまで合議」を繰り返したという。正常な裁判官にとって、判決は丹精込めた「作品」にほかならない。

これに対して、筆者が30年近く取材してきた「押し紙」裁判の判決には、杜撰なものが多数を占める。おそらく結論が先に決まっていることがその原因だと思われる。たとえば数年前に日本経済新聞の販売店主が、「押し紙」裁判(京都地裁)で敗訴した事件がある。筆者は、原告から主要な裁判資料を入手して、内容を確認した。その結果、「押し紙」の損害を受け続けた原告が弁護士のアドバイスを受け、十数回にわたって内容証明で「押し紙」の仕入れを断っていたことなどが分かった。しかし、裁判官(合議)は、内容証明をもとに店主と日経新聞社が話し合ったから、過剰になっていた新聞は、押し売りされた部数には該当しないという奇妙な論理を組み立て、原告の請求を棄却していた。

また、「押し紙」裁判では、判決の直前になって、最高裁事務総局が不自然な裁判官の人事異動を行うことも日常茶反になっている。原発裁判と同様に、筆者は裁判そのものの公平性を疑わざるを得ない場面に繰り返し遭遇してきた。それゆえに、本書の内容が新鮮に感じられた。司法の原点をみたような気がした。

裁判官には、人を裁くただならぬ特権が付与されている。当然、司法ジャーナリズムは、裁判官を監視しなければならない。そのためには何が必要なのか。筆者は、判決という一種の「作品」を公けの場で批評することが重要な意味を持つと思う。当然、判決の著者を公表しなければならない。裁判の提訴と判決だけを報道することが、司法ジャーナリズムではない。

本書の企画は、新しい司法ジャーナリズムの試みとしても意義深い。

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2025年7月19日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

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『季節』夏・秋合併号、野田正彰・著『流行精神病の時代』、好評発売中です!

鹿砦社代表 松岡利康

この夏、私たちが心血を注いで編集した2点の新刊が発売になりました。『季節』はお盆前に、『流行精神病の時代』はお盆明け20日に、それぞれ発売になりました。

詳しい説明は省きますが、下記の詳細な内容をご覧になれば、これら2点の新刊に、私たちがいかに力を入れたかがわかるでしょう。

『季節』では、なんと言ってもわれわれの世代のカリスマ、山本義隆さんの23ページにわたる力の入った講演録は必読です。これだけで一冊のブックレットになるほどの分量です(悪徳商法=岩波ブックレットがいかにボッているか)。

『流行精神病の時代』は、『紙の爆弾』『季節』に折に触れ寄稿したものを中心に現代の病理を衝いています。

土日は書店に足を運びお買い求めになるか、あるいはAmazonなどのネット書店、また鹿砦社HPなどでご購入下さい! よろしくお願い申し上げます。

『季節』2025年夏・秋合併号
(NO NUKES voice改題 通巻43号)

A5判 164ページ(巻頭カラーグラビア4ページ+本文160ページ) 

定価 990円(税込み) 紙の爆弾増刊 8月8日発売 

《特集》核兵器と原発を廃絶するために

小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
[報告]国と洗脳

山本義隆(科学史家)
[講演]核発電の根本問題 核ナショナリズムがもたらしたもの

まさのあつこ(ジャーナリスト)
[報告]原子力ムラ・無責任の実態 事故処理の「責任者」は誰なのか

樋口英明(元福井地裁裁判長)
[報告]本当に「司法が原発を止める」ために 井戸謙一さんとの新刊対談本を語る

後藤秀典(ジャーナリスト)
[報告]東電株主訴訟 損害賠償一三兆円の一審判決が覆された理由

後藤政志(元東芝・原子力プラント設計技術者)
[報告]原発の技術的特性と裁判の論理〔1〕 原発回帰への国策に対抗する道

山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)
[報告]柏崎刈羽原発に迫る危機 地震と津波で「原発震災」が起きる

星野幸彦(柏崎市議会議員)
[報告]《第三弾》避難対策は全国どこでも「絵に描いた餅」
 再稼働に前のめりの柏崎刈羽原発 避難計画ではなく被ばく計画ではないのか

村田三郎(医師)
[インタビュー]弱者の側に立ち、反核・反原発を闘う[前編]

水戸喜世子(「子ども脱被ばく裁判の会」共同代表)
[報告]台湾「原発ゼロ」達成の夜、台北で二度泣いた

豊田直己(フォトジャーナリスト)
[報告]ガザからフクシマへ

北村敏泰(ジャーナリスト)
[報告]十五年目に入った福島第一原発事故被害地から
 欺瞞の“復興”による被災者の分断と抑圧

田口 茂(UNSCEAR 2020/21報告書検証ネットワーク・世話人)
[報告]隠蔽された被ばくと甲状腺がんの真相
 原子力災害伝承館は真実を伝えよ

森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)
[報告]避難者と住民票

佐藤雅彦(ジャーナリスト/翻訳家)
[報告]《屁世滑稽新聞からの警告》
 火山の近所の原発再稼動で「地方早世」……の巻

板坂 剛(作家/舞踊家)
[報告]米田哲也 万引き逮捕の衝撃

平宮康広(元技術者)
[報告]大型原発vs大型石炭火力発電、および小型原発vs小型石炭火力発電〈1〉

原田弘三(翻訳者)
[報告]脱炭素の罠 「脱炭素マインド」刷り込みによる原発推進の企み

大今 歩(高校講師・農業)
[報告]原発「最大限活用」でいいのか 第七次エネルギー基本計画を問う

再稼働阻止全国ネットワーク
原発再稼働の逆流に抗して 全国各地の創意ある活動
《福島》鴨下美和(福島原発被害東京訴訟原告)
《柏崎刈羽》けしば誠一(反原発自治体議員・市民連盟 事務局長)
《東京電力》中井はるみ(忘れまい3・11!反戦・反原発の会/千葉)
《東京電力》佐々木敏彦(東京電力本店合同抗議実行委員会)
《東京電力》柳田 真(たんぽぽ舎共同代表)
《柏崎刈羽》木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)
《東海第二》久保清隆(とめよう!東海第二原発首都圏連絡会)
《関西電力》木原壯林(老朽原発うごかすな!実行委員会)
《中東和平》斎藤なぎさ(たんぽぽ舎運営委員)
《書評》天野恵一(再稼働阻止全国ネットワーク)
[反原発川柳]乱鬼龍選

松岡利康 今後の『季節』について

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『流行精神病の時代』
野田正彰(精神科医)著

四六判 カバー装 本文248ページ  

定価1980円(税込み)8月20日発売  

「発達障害」と「精神病遺伝説」
──精神科医、製薬会社、NHK、学校の病気創りによって、無数の子どもが犠牲になっている。
日本で「精神医療」と呼ばれているものの実相とは。

目次

第一章 「優生保護法」は日本精神医学の常識
 一・一 現代に息づく優生保護法の思想
 一・二 業界による隠蔽
 一・三 優生保護法をめぐるお祭り訴訟

第二章 教科書と「精神疾患」
 二・一 精神病遺伝説を常識とした学校教育
 二・二 偏見に加担する教科書と法
 二・三 偏見改まらぬ教科書
 二・四 開かれた精神医療をめざして
 二・五 地域精神医学の現状

第三章 旭川少女殺人事件と「発達障害」
 三・一 「発達障害」という流行精神病の作り方
 三・二 旭川女子中学生いじめ凍死事件 雪の少女へのレクイエム
 三・三 雪の少女の哀しみ
 三・四 隠蔽のための「再調査」

第四章 事件と映画に思う
 四・一 自死とは世界の消去なのか 大阪放火事件に思う
 四・二 映画『どうすればよかったか?』を観た人へ

第五章 原発事故被害者の精神鑑定
 五・一 原発被害者が死ぬ前に見た景観
     [精神鑑定書1]菅野重清さん  
     [精神鑑定書2]大久保文雄さん
     [精神鑑定書3]Aさん
 五・二 原子炉との深夜の対話

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日本で唯一の脱(反)原発情報誌『季節』2025夏・秋合併号が8月8日発売です! 

鹿砦社代表 松岡利康

すでにご報告させていただいている通り、本誌反(脱)原発情報誌『季節』創刊10周年/月刊『紙の爆弾』創刊20周年にあたり、4・5東京、7・12関西と二つの「鹿砦社反転攻勢の集い」は、お陰様で盛況裡に終了いたしました。

新型コロナによって厳しい経営環境の下での集いでしたが、当社の出版活動を支持される多くの皆様のご参加、ご支援にて次のステージへ再出発することができました。皆様方のご参加、ご支援、本当にありがとうございました。皆様方のご支援に応え、必ず復活いたします。この件につきましては、すでにご報告させていただいていますので、これに留めます。

そして、明日8月8日にお届けする『季節』夏・秋合併号ですが、合併号ということもありかなり増ページとなりました。とりわけ今号では、5月7日に衆議院第一議員会館にて行われた、われわれの世代のカリスマ、元東大全共闘代表で物理学者の山本義隆さんの長大な講演録が入りました。必読です!

また、本誌創刊10周年記念出版とし昨秋刊行予定だった、季節編集委員会・編『3.11の彼方から──「季節」(NO NUKES voice)セレクション集』ですが、前回お知らせしましたように、ようやく完成の目途が立ち、9月初め発売予定で急ピッチで編集作業を進めています。大幅に遅れての刊行となったことをお詫びいたします。

ところで、これも前回申し述べましたが、実際に編集作業に入ってみると、当初想定した以上にページ数が嵩み、一冊では収まり切れなくなりました。そこで3分冊に分けて出版することにしました。今回は、前身の『NO NUKES voice』創刊号から14号までから選りすぐり収録いたしました。ご予約よろしくお願い申し上げます ! 

なお、ページ数の大幅増により定価アップとなりますが、以前にご注文された方は、当時予告した金額のままで結構です。

(松岡利康)

amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0FJXW1RPD/

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《8月のことば》広島・長崎の青い空を見上げる……

鹿砦社代表 松岡利康

《8月のことば》広島・長崎の青い空を見上げる……(鹿砦社カレンダー2025より。龍一郎揮毫)

本年、8・6広島、8・9長崎の原爆投下、そして8・15敗戦からそれぞれ80年が経ちます。また、その後のベトナム戦争終結から50年です。歴史的にもエポック・メーキングの年です。

残念ながら、ウクライナ、ガザではまだ戦争が続いています。

私たち戦後生まれの世代は、もちろん戦争を知らずに生きてきましたが、私たちの青春時代にはベトナム戦争が激しく、そのベトナムへの米軍の出撃拠点となっていた沖縄の現実にも目を向け、ベトナム反戦の集会やデモに連日参加しました。それが当たり前のキャンパスの風景でした。

私が転がり込んだ寮では、戦中、学徒出陣で出征する寮生を母子で見送った寮母さんは反戦意識が強く、集会やデモの日に寮でくすぶっていると「何をしとん、早く行け!」と叱るような人でした。今はそんな寮母さんなどいません。

べ平連(ベトナムに平和を!市民連合)など参加しやすい運動もありました。もっとラディカルな運動もあり、みずからの意志でどれにも参加できる環境でした。

今はどうか? 多様な運動自体がなくなり、参加しようにもできない状況です。私のいた大学は当時(1960年代から70年代にかけて)全国的にも中心となったところでしたが、その後、混乱と低迷の時代に入り学生みずから学友会(全学自治会)を解散するという前代未聞のことをやらかしました。

今、キャンパスは静かで綺麗です。戦争反対を謳う立看一つ立てれません。私たちが日夜切磋琢磨の拠点としていた学生会館も取り壊され、どでかい近代的な建物に変わっています。果たしてこれでいいのでしょうか? 建物は綺麗でも、なにか無味乾燥です。

8月は鎮魂の季節であると共に、私たちの心の中に<反戦>の火をふたたび燃やす季節にしなくてはなりません。

近く発売になる『季節』夏・秋合併号には、かつて東大全共闘代表を務めた山本義隆さんの長大な講演録が掲載されます。

かつての学生運動で、東大といえば日大ですが、日大全共闘代表は秋田明大さんです。あまり知られていないようですが、広島出身の秋田さんは被爆二世です。毎年、8月6日の集会にはいつも、こっそりと呼びかけ人に名を連ねられています。ご存知でしたか? その後の無骨な秋田さんの人生が想像されます。山本さんの次は秋田さんに登場いただきたいですね。

1970年の8月6日、この年の4月に大学に入学、帰省の際、広島で途中下車し広島大学の寮に泊めてもらい、反戦集会に参加したことが思い出されます。18歳の夏のことでした──。

(松岡利康)

《ご報告とお礼》『紙の爆弾』創刊20周年/『季節』創刊10周年7・12「鹿砦社反転攻勢の集い・関西」、盛況裡に終了! 4・5東京に続く二つの「反転攻勢の集い」の成功によって、共に苦境を突破しよう!

株式会社鹿砦社代表 松岡利康

鹿砦社の出版活動を理解し支援されるすべての皆様!

私たちは去る7月12日、鹿砦社のホームグラウンドである兵庫県西宮において「鹿砦社反転攻勢の集い・関西」を催し、50名余の方々が参加され盛況裡に終了することができました。

4月5日、東京日比谷・日本プレスセンターでの集いが100名余ですから、人数だけを見ると半分ですが、元々関西にはライターさんが少なく、いつもこんなところです。

また、集いの構成も三部構成で、第一部は20年前の7・12事件の検証と回顧、私が基調報告を行い、当時、地元テレビ局記者として精力的に取材をされ何度もニュース番組で特集を組んでくださったNさん、私が保釈された直後に同じ神戸地検に逮捕されたWさん(当時宝塚市長)も当時の神戸地検の捜査の酷さを証言してくださいました。第二部は、今年デビュー25周年を迎え、このかん全国の刑務所、少年院などを回り獄内ライブ(ご本人らが言うプリズン・コンサート)を行ってきた「Paix2(ぺぺ)」のミニライブ、第三部が懇親会という流れで、3時間という長丁場でした(東京は2時間)。さらに二次会にも15名の方が残り、遅くまでいろいろ語り合いました(東京は二次会なし)。硬い話ありライブあり飲み食いあり自由な歓談ありの濃密な一日でした。

基調報告をする松岡

◆4・5、7・12の二つの「反転攻勢の集い」をステップとして苦境を突破し、『紙の爆弾』『季節』を、存在感のあるミニメディアとして継続させよう!

よく考えてみてください。『紙の爆弾』にしろ『季節』にしろ、わが国には類誌がありません。本来ならもっと売れてしかるべきですが、私たちの宣伝力の弱さにより、いまだに社会的に小さな存在です。『紙爆』はわずかながら黒字ですが、『季節』は創刊以来ずっと赤字です。会社が好況だった時期は、これでもよかったのですが、新型コロナ襲来以降、局面ががらりと変わり、蓄えもすべて溶かし、資金不足、苦境に喘いでいることを隠しません。今現在、両誌を同じ月に発行するのが困難で、やむなく『紙爆』は8月売りの号をお休みさせていただかざるを得ませんでした。

両誌の今後につきましては、極めて重要な選択と改変を迫られており、皆様方にも前向きなご意見を賜りたく存じます。7・12でも『季節』の今後について、私に直談判にお越しになった方もおられました。

私たちは、なんとしても両誌を継続的に発行し、まさに反転攻勢を勝ち取るべく、塩を舐め、たとえ「便所紙」を使ってでも発行を続ける覚悟です。

先の二つの集いには計150名余りの方々がご参集くださいました。これは大きなことです。ふつうなら会社が厳しくなると、こういう集まりを避けられがちになりますが、まだまだ見捨てず時に温かい叱咤激励、時に有り難いご支援をされる方々がおられることは私たちにとって大きな力になります。この方々のお力もお借りし、この苦境を乗り越えていきたく存じます。本来なら自立自存でやっていければいいのですが、残念ながら今は皆様方のご支援なくしてはやってはいけません。

しかし、人件費をはじめ徹底した経費削減、製作費用圧縮、また落ち込んでも一定の売上があることなどによって、月々の不足金も縮小しつつあります。書店や取次会社も元気を失くし書店での売上金が縮小していることは事実で大きな痛手ですが、これを今後は直販などでカバーしたく思っていますので、「セット直販」や『紙爆』『季節』の定期購読と拡販、バックナンバー購読、あるいは書籍の直販など、よろしくお願いいたします。

今しばらく耐え抜き、必ずや勝機を掴みブレイクします! 過去の成功例に酔い知れるのも問題がありますが、私たちはこれまで、幾度となく困難に直面し(その最たるものが20年前の「名誉毀損」逮捕事件)、その都度、皆様方のご支援を得て乗り越えてまいりました。今回も同じく、なりふり構わずなんとしても乗り越える決意です。

◆二つの雑誌の存在意義(レゾンデートル)、鹿砦社の出版活動の社会的意義を、あらためて想起し、再び逆襲、反転攻勢へ!

私たちの出版社・鹿砦社は、良くも悪くも、これまで芸能本の売上によって支えられ、『紙爆』『季節』やその他、社会問題書など、いわゆる“硬派”の書籍の発行を保証してきました。これで年間10億円売り上げたこともありましたので、これはこれで評価すべきでしょう。20年前の「名誉毀損」に名を借りた出版弾圧後、復活の元になったのも芸能本で、私たちの規模の会社でコンスタントに3~4億円の売上が続きました。それが、このコロナ禍によってガラリと崩れました。コロナを甘く見て、これについての対応が後手後手に回ってきました。大いなる反省点です。

トーハン、日販の大手取次も、本来の出版取次業務はずっと赤字で、介護やホテル経営など非出版取次業務のほうにシフトしています。書店も、書籍、雑誌だけでは売上不足で、書店をよくご覧になったらわかりますが、文具など非出版物に力を入れています。

『紙爆』20年、『季節』10年、われながらよく頑張ってきたと思います。しかし、これまでと同様の認識、やり方ではやっていけないことが露呈されました。直販や定期購読などを拡大していくことも一つの方策だと思います。雑誌や書籍などの「紙」の出版をやめて電子書籍にシフトしたら、というご意見もあり、電子書籍はサイゾー社と五分五分の共同出資で10年ほど前に別会社を作りやっていますが、さほど売上が立ちません。『紙爆』も『季節』も「紙」と同時に電子書籍を発売しています。今後はわかりませんが、早急な会社再建の柱にはなりません。

しかし、『紙爆』にしろ『季節』にしろ、社会性があるのは事実で、他に類似誌もありません。書籍でも左右硬軟織り交ぜて鹿砦社らしくタブーなく雑多に出してきました。芸能本でも、例えばジャニーズ問題は1995年から追及し、3度の出版差し止めにもめげず続け、一昨年のジャニー喜多川による未成年性的虐待問題では、事前から水面下でBBCに協力し、その先駆性が高く評価されました。

このかん「セット直販」をやるために、これまで出版してきた書籍の一部をリストをリスト化しましたが、どれも社会性があり、よくもこれだけ出して来たなとあらためて感慨がありました。古い本には、当時の気持ちを思い出し、浮き沈みの激しかった出版人生を想起し、もう一仕事、二仕事し、拙いながらやってきたわが出版人生を全うしないといけないな、と思い知りました。

 やはり、こうした出版は続けるべきだし、販売方法ややり方を工夫すれば、今後も続けていきたいし、続けて行けると信じています。近日、精神科医の野田正彰先生の著作を2点出す予定で進めていますが、今後の試金石になると思っています。

◆私(たち)はくたばらない! 『紙爆』『季節』継続! 後々に残る書籍の刊行を持続します! 

私が本格的に出版を始めた頃、歴史家の小山弘健先生に教えていただいたクラウゼヴィッツの「われわれの出版の目的は一、二年で忘れ去られることのない本を作ることである」という言葉を思い出しました。そうして出版したのが、『日本マルクス主義と軍事科学』という本で、引っ越しで書庫を整理しているとまとまって30冊ほど出てきました。皆様にもぜひ読んでいただきたい一冊です。

4・5、7・12と二つの反転攻勢の集いを準備する過程で、多くの皆様方のご支援、ご厚意に触れることができました。それなりに支援金も集まり、2つの集いの直接的費用を支払っても余剰金が出て経費などに使わせていただきましたが、一番底の時期で、かなり助かりました。

同時に、いろいろ考えることも多く、「われわれはなぜ出版を続けるのか?」という本質的な問題にぶつかりもしました。私の出版人生は、このコロナによる負債(特に皆様のご厚志である社債)を今後返し終えるまではやめれなくなり、少し延びましたが、なんとか「一、二年で忘れ去られることのない本」を、一冊でも二冊でも出して行きたいと思っています。

私(たち)はくたばりません。4・5、7・12の二つの集いは、まだまだ多くの皆様の期待が残っていることを私たちに思い知らせ、「弱音を吐かず、もっと頑張らんかい!」という叱咤激励をいただきました。いろんな意味で収穫が大きかった二つの集いでした。準備などもきつかったですが、共に語り合い共に喜び合った集いでした。最悪の事態は脱し山は越えたとはいえ、もうしばらく苦しい時期は続くかと思いますが、今後共ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

最後になりますが、二つの集いに参加された皆様、ご支援の賛同金、カンパ、ご祝儀を賜りました皆様、本当に有り難うございました。心より感謝とお礼を申し上げます。

以上簡単ですが、7・12「鹿砦社反転攻勢の集い・関西」のご報告、そして4・5の前後からのご支援への感謝を申し上げます。

本年も超猛暑が続くようですが、くれぐれもご自愛ください。

いつもこの場所にはPaix2(ぺぺ)がいた

7・12「鹿砦社反転攻勢の集い・関西」、50名余の参加で盛況! 祝っていただくと共に、叱咤激励され、いろいろ語り合った集いでした。4・5東京、7・12関西と、二つの反転攻勢の集いの成功をステップに次の10年に向けて歩き出そう!

鹿砦社代表 松岡利康

かねてよりお知らせしていますように、去る7月12日、鹿砦社のホームグラウンド・西宮で開催された反転攻勢の集いに、50名余りの方が参加され成功裡に終了いたしました。

詳しいご報告は後日行うとして、4・5東京、7・12関西の集いを成功させ、多くの支援者によって鹿砦社、これが発行する『紙の爆弾』『季節』が支えられていることを、あらためて認識した次第です。

なんとしても生き延び、新型コロナによる閉塞状況を皆様と共に突破し全面展開に努めます!

挨拶する松岡
連帯の歌声を披露してくれたPaix2(ぺぺ)
病をおして遠路はるばる駆け付けてくださった、著名な精神科医・野田正彰先生

7・12「鹿砦社反転攻勢の集い・関西」をPaix2(ぺぺ)と共に祝い歌い語り合おう!

鹿砦社代表 松岡利康

これまで節目の集いにはPaix2に来ていただき共に祝い歌い語り合ってきました。今回もそうです。

奇しくも今年はPaix2結成25周年を迎えました。「プリズン・コンサート」と称する、全国の刑務所、少年院などでの獄内ライブも500回も越え、北は網走から南は沖縄のすべての刑務所を踏破、凄いです。もっと社会的に評価されるべきです。

4・5東京の集いでは、会場で歌うことはできないということで司会を務めていただきましたが、7・12はミニライブを行っていただきます。

7・12、多くの皆様方と共に、西宮インティ・ライミに結集し、共に有意義な時間を過ごそうではありませんか!

本年4・5の東京の集いで
鹿砦社創業50周年でも歌ってくれた
鹿砦社主催のライブで(大阪)
新聞記事
新聞記事

間近に迫った7・12「鹿砦社反転攻勢の集い・関西」に圧倒的に結集し、共に語り合い、共に苦境を突破しようではありませんか!! 参加できない方は、カンパでご支援ください!

鹿砦社代表 松岡利康

鹿砦社の出版活動を支持、支援される皆様──いよいよ7・12が間近に迫ってまいりました。

コロナ以前、私たちは、今回の集いの会場となるカフェ・インティライミにおいて、幾度となく、こうした集いを開催してまいりました。今回招くPaix2さんのライブを初めて行ったのも、『紙爆』10周年の集まりも、鹿砦社創業50周年の集まりも、インティライミでした。それが新型コロナによって休止を余儀なくされ、コロナ以降は開催できなくなってまいりました。加えて鹿砦社の経営苦境も重なりました。

しかし、それは世の中の多くの企業、個人もそうだったわけで、私たちだけではありません。それでも多くの企業、個人の経営者は頑張っておられます。私たちも、決してコロナのせいにするのではなく、前を見据え反転攻勢を勝ち取らなければなりません。かつて、落ち込んだり浮上したりしてきた私たちは、必ずや勝機を掴み復活する気概と自信はあります。

鹿砦社の出版活動を支持、支援される関西の皆様はぜひ、圧倒的に総結集し、やむなく参加できない場合は、カンパやご祝儀などでご支援ください。

鹿砦社創業50有余年、私たちは幾多の困難を乗り越えてまいりました。今、多くの皆様方のご支援により復活の緒に就きました。7・12の集いを成功させ、共に大道に躍り出ようではありませんか!

関西在住の多くの皆様方のご参加と、ご支持、ご支援をお願い申し上げます!

2025年7月8日
株式会社鹿砦社代表兼集い実行委員長 松岡利康

【追記】
直前となりましたので、今後の参加申込は、
まず「参加申込書」をファックスかメール(チラシに表記)にて送ってください。
会費は、当日払いとなります。

7・12「鹿砦社反転攻勢の集い・関西」まで、1週間足らずとなりました。圧倒的なご参加、ご支援を重ね重ねお願い申し上げます!

鹿砦社代表 松岡利康

月日の過ぎるのは速いもので、今から20年前の2005年、『紙の爆弾』創刊から3カ月後、「名誉毀損」に名を借りて大坪弘道検事(彼は厚労省郵便不正事件により逮捕、検事失職)率いる神戸地検特別刑事部は、朝日新聞と連携し、松岡逮捕→鹿砦社潰しの挙に出ました。実際に、私の逮捕―長期勾留により、私は肉体的にも精神的にもずたずたにされ、私たちの出版社=鹿砦社は壊滅的打撃を受けました。誰もがこのまま沈むものと思っていたことでしょう。

ところがどっこい、自分で言うのも僭越ですが、瀬戸際にある時に強いのが鹿砦社です。多くの方々のご支援により復活することができました。逮捕から4年余り費やしましたが……。この時、取引先やライターさんらのご支援、ご協力がなければ、復活はできなかったでしょう。

復活したのは2009年秋、かの事件から4年余り経っていました。その後、勢いは加速し、逮捕前よりも良くなりました。実験的1000部ほど出した限定豪華本が即日完売、限定版なので増刷はできず、普及版(特別装丁版)を出したところ、これがブレイク、実売3万部以上のヒットとなりました。

以降、快進撃は続きました。コロナが襲来するまでは……。

新型コロナ以降、他の出版社や書店同様、再び奈落の底に落とされました。しかし、私たちはぺしゃんこにされてもへこたれません。「捨てる神あり、拾う神あり」で、熱心な読者の方々のお力で、青色吐息で生き残り、ふたたびの復活を目指しています。私たちは潰れません! 鹿砦社55年余りの歴史、『紙の爆弾』20年、『季節』10年の実績を踏まえ、必ずや復活を誓います!

そうした想いで、4・5「鹿砦社反転攻勢の集い」(東京・日本プレスセンター)を開催し、年度初めの慌ただしい中でも、100人超の方々が結集し叱咤激励をしてくださいました。

それを踏まえ、やはりホームグラウンドのある関西でもやるべしという皆様方からの強い要請で開催することにしたのです。

来る7・12、20年前のこの日、私は逮捕され、そして1週間後の7・12に「鹿砦社反転攻勢の集い・関西」を開催いたします。圧倒的なご参加、ご支持、ご支援をお願い申し上げます! 

本年4・5からコロナ苦境にありましたが、7・12を目指し多くの熱心な読者、支持者のお力をお借りし頑張り、ようやく復活への突破口を開こうとしています!
私たちはくたばりません! 必ずや復活いたします!