花田郵便局強盗事件 ── 黒人のナイジェリア人を蔑視し、冤罪事件を作った姫路警察

尾﨑美代子

4月11日、青木恵子さん(冤罪被害者)と姫路の花田郵便局強盗事件の犯人とされたナイジェリア人のジュリアスさん(仮名)に現地案内して貰うため姫路に行ってきた。2人の黒人男性が地元の特定郵便局に強盗に入り2000万強奪した事件だ。強盗に使用した車両日産シルビアが見つかったのが、ジュリアスが経営する会社の倉庫だった。聞けば、その周辺にはナイジェリア人だけでなく、黒人の人が多数住んでいる。地元の人はいろんなところで黒人の人をみていた。ジュリアスの倉庫にシルビアが入っていったのを見た男性が警察に通報し、警察官が倉庫に到着。入口の大扉が閉まっていたが、隙間から見たら中にシルビアがあったので、警官はここに犯人が入ったと思ったという。外から「警察だ、誰かいるか」と声をかけたが返事がない(当然だ)。仕方ないから、大扉の隣にある小さな窓から入ったという。しかし、中に入ったが真暗で何も見えないので、中から大扉の鍵を開け、外に出て、捜査を担当する刑事らを待っていて、その後刑事に引き継ぎ、警察官は帰ったという。

何がいいたいか? 倉庫は所有者のジュリアスしか開けれない。自分たちが来た時大扉は閉まっていた。でも中を覗いたらシルビアが見えたから、ここに犯人がきたはずと考え、横の小さな窓からむりやり入った、と言いたいのだ。倉庫の持ち主のジュリアスはその日の夕方任意同行され、警察署で夜中まで取り調べられ、翌朝方逮捕された。

そのニュースを知り驚いたのは、実際強盗に入ったオモ(通称)だ。オモはジュリアスの知り合いだが、「強盗に入ったもう一人はジュリアスではない、オースティンという男だ」と池田弁護士に伴われ警察に自首した。何故かというと、その地域で、日本人の女性と結婚し家庭をもち、仕事も成功し、日本の永住権も取得したジュリアスは、このあたりの黒人仲間の「兄貴的存在」だったし、自分も含め仲間はいろいろジュリアスに世話になっていたからだ。以前黒人が痴漢した事件があった際、次々と関係ない仲間が取り調べられることを不安に思い、ジュリアスが自ら誰が犯人か調べ解決したことなどもあった。

オモはオースティンにしつこく誘われ仕方なく郵便局強盗に関わった。当日もオモは表で見張り役やればいいと言われてたし、職員に暴力をふるうこともないと言われて、仕方なく関わった。しかし、オースティンは郵便局に入るなりカウンターを飛び越え中の金庫室に入り、2000万もの金を強奪してきた。逃げる際、そんな大金の入ったレジ袋を見せられ、オモはビビッてしまった。そこで「兄貴的存在」のジュリアスの力を借りて返して貰おうと、ジュリアスの倉庫に行った。しかし、ジュリアスはいなかった。しかし、いつものように倉庫は開いていた。そこでとりあえず金や強盗時に使った合羽、目出し帽をそこに置いて逃げた。が、ジュリアスが逮捕されたとしり、慌てて自首したのだった。

この事件を取材する際、警察官が入ったという大扉の横の小さな窓は鉄格子が入って入れないし、鉄格子の入ってない半分の場所には荷物を運ぶエレベーターが置かれているため、窓は開かないと聞いていた。

今日の現地調査でそれを確認した。現在、のちに倉庫を所有した方が改装して立派な入口になったが、隣の小さな窓は以前のままだ。良く見て欲しい。半分は鉄格子が入っている。その隣に映るのは荷物をあげるエレベーターで、そこからは入れないではないか?

現在倉庫の入口の大扉は綺麗に改造されていた
でも大扉の横の小さな窓は昔のまま。ここから入ることは出来ない

強盗後、2人がシルビアで逃走したすぐ近くには、ガソリンスタンドがあり、防犯カメラがある。当然警察は当然これを調べたはずだ。実は金を強奪し郵便局を出る際、オースティンは暑かったのか、目出し帽を脱いで郵便局に置いてきたのだった。つまり郵便局を出る際の映像やガソリンスタンドのカメラ映像には、目出し帽を被ったままで運転するオモの姿と助手席に座る坊主頭のオースティンが映っていたはずだ。郵便局のカメラも局内の映像とATMがある入口の映像を交互に録画されていたはずだが、オースティンが入口を出る際の映像は写っていない。というのも、オースティンは顔はわからなくても後ろ姿で彼が坊主頭なのは丸判りなのはすぐわかる。一方、当時ジュリアスはドレッドヘアだった。ドレッドヘアでもどのくらいの長さかと今日聞いたら、腰の当たりまであったそうだ。更に局内に残された目出し帽から毛髪が検出されたが、それはごくごく短い坊主頭の毛髪で、しかもそのDNA型はジュリアスのものでもオモのものでもない、第三者のものだった。

特定郵便局の前
郵便局近くのガソリンスタンドの防犯カメラの映像はいまだに証拠開示されていない

現地調査のあと、姫路駅前のガストでジュリアスに話を聞いた。ほかにも多数の納得いかない点がある。私と青木さんはジュリアスに「これはジュリアスが黒人だから、どうせまともに裁判できない、支援者もつくはずがないと警察が考えたからだ」とつたえた。ジュリアスは「その通りだ」と言った。本当に酷い話だ。現在、再審請求審が審議されている。これは裁判所、検察、弁護団が非公開で審議するもので、そこで再審が開始されるかどうかが決まる。

どうぞ皆さん、今後の展開にご注目を。

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

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「供述弱者」── 今市事件が冤罪であることが非常に良くわかるひとえんちゃんねる動画

尾﨑美代子

ひとえんちゃんねるの動画、今市事件が冤罪であることが非常に良くわかる内容となっております。

冤罪被害者勝又拓哉さんとはお母さんらと服役中の千葉刑務所で一度お会いしました。その時は本当にお元気そうで、中で勉学に励んでいるとお話されてました。が、動画で弁護団泉澤弁護士が話されてますように、拓哉さんは台湾産まれで、日本で働いていた台湾出身のお母さんを頼って日本に来たため、日本語に不慣れな状況で突然逮捕されました。その取り調べ時の録音録画が法廷で流され、それを見た裁判員が「それを見て犯人と確信した」と一審で有罪となりました。この録音録画については2審で証拠にならないとされるのですが、私が言いたいのは、勝又拓哉さんは逮捕時台湾の方で、日本語も不慣れな、いわゆる「供述弱者」だったということです。この点をもっと強調すべきといつも思ってます。

だから、栃木県警は事件後8年も犯人逮捕に至らなかったこの事件について、「あいつなら落とせそうやな」と勝又さんに目をつけたのです。そして商標法違反という別件逮捕でしょっぴいた……。

西山美香さんの湖東記念病院事件の国賠で、井戸弁護士が強く主張してますが、この「供述弱者」について、日本の司法制度の中でもっと真剣に考えなければ、いつまでも弱い者が冤罪の被害者にされてしまうと危惧致します。朝から長々とすみません。非常にわかりやすい動画です。後編も公開されましたのでぜひご覧ください。

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
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「法律は国会だけで国会だけが作成できる。」再審法改正問題、今が正念場!!

尾﨑美代子

「法律は国会だけで国会だけが作成できる。」

まさにその通り。3月末自民党の会合に呼ばれた東住吉事件の青木恵子さんと今日店で話しました。青木さんはネットなどを見ないので、青木さんが自民党で意見したこともあって、法制審への批判が強まってるよ、と伝えた。青木さん、「えー、ママはそれは私も(自民党の会合に)行って良かったと思うけど、これからどうなるの? いい方に動くの? 法制審の案で決まったら最悪じゃない?」と。それは青木さんの言う通り。

青木さんの近くに座った、この問題に関心あるお客さんが、「そうだよな。ママ(私)が言うようにあの稲田が法制審案に反対と強く言ってくれてるが、大丈夫かな?まだまだ国民の世論は高まってないだろう」と心配してる。それもわかる。

だが、法律は国会が作るのだ。だから国会議員をこっち側につけないとどうにもならん。今日も青木さんと話したが、刑訴法内の再審法についてはもう70年何も変わってない。以前書いたが、例えば建設労働者を守る法律の中で、高所作業の労働者を守る法律なんか、その都度何回も変わっている。それは高所作業に従事する労働者の転落、死亡事故などを少しでも減らすためだ。

もちろん、法改正が改正にならず、改悪になったケースもある。しかし、今回、再審法改正しなくてはならないよねと世論が動いたのは、毎年のように次々と犯人とされ囚われていた人が、再審で無罪となったからだ。そんななか、私は見れてないが、テレビ番組、映画などでも冤罪が取り上げられるようになった。極めつけは、国が「死刑判決」を出した死刑囚袴田巌さんが無罪となったことだ。オイオイ、警察、検察、それから裁判所は何やってんだ、という話だ。で、超党派の議員たちが、再審法を70年ぶりに改正しましょうと動きたした。

するといきなり法務省管轄の「法制審」が、「いや、再審法のことなら私たち専門家が……」と出張ってきた。しかし、その委員をみたら、誰ひとり、それまで再審法や再審云々言ってなかった人間ばかりやんか? 何故こんなことになった? これ、私の著者「日本の冤罪」の冒頭、桜井昌司さんと対談した中で桜井さんが話してるが、超党派の議連案が通ったら、今再審請求してる多くの人に再審無罪が出るよと言う話。つまり、この70年、警察、検察、裁判所は無実の人を長年犯人として不当に獄中に繋いできたよね、ということがバレてしまう。これに奴らは耐えられなかったんだろうね。

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
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冤罪を作ってきた警察、検察、裁判所。それらを仕切る法務省が、なぜ再審法改正に出張ってきたのか

尾﨑美代子

再審法改正問題について、もうひとつ「スクープ」がでたようで。法制審メンバーを検察が主導で選んでいたということ。

◎[参照記事]「やはり検察がメンバーを選んでいた」再審見直しに批判相次ぐ法制審、開示文書から浮かぶ“出来レース”の構図 (2026年04月06日弁護士ドットコム 一宮俊介)

でもこれ、スクープかな? 誰もがそう思ってたでしょ? 鴨志田さん、村山さんなど、再審法を本当に改正したいメンバーはごくわずか。多数決取ったら負けるじゃない。法制審と、先日の自民党の会に出席した青木恵子さんも、ふたつは全く違ってたといっていた。法制審の時はごく一部の人しか関心示さなかったから、自民党に呼ばれても断ろうと思ったくらいだと。でも自民党の皆さん、熱心に聞いてくれて「行って良かった」と。

法制審に関しては井戸弁護士が訴えていたように、これまで冤罪を作ってきた警察、検察、裁判所を仕切る法務省は「加害者」の立場で、決して「改正」を主導する立場になかったのに。なのに突然出張ってきた。その時、なぜ、「お前らの出る幕じゃないぞ」と「空き巣働いてた連中が、『さて空き巣被害を防ぐにはどうしたら良いか考えましょう』って」。コラ、どの口がいうんだ!と徹底的に非難し、解散に追い込めなかったのか。

この手の審議会は全てそう。ガス抜き、アリバイ作り。釜ヶ崎で行われた維新の会勧める「西成特区構想」の町作り会議、それまで行政のやり方に反対してきた団体、個人も呼ばれて会に入った。「(維新が悪さしないように)中でガツンと言ってやりますわ」って、どこで「ガツン」があったの。滅茶苦茶スムーズに維新の言いなりに進んでますやん。えっ? どこが反権力なの? どこが反差別なの?

ハンセン病元患者さんの家族の皆さんを補償する法を制定する際には、当事者が審議の中にどんどん入ってたではないか? 今回もなぜ冤罪犠牲者の当事者を呼ばないのか?話が上手いとか、あまり上手くないとかではない。当事者の声を必死で聞かないで、どうして改正できるの? 苦しんだのは、当事者とその家族だぞ。なんか、イライラするわ。

一番苦しんだ人たちの声、訴えをきけよ? おい!

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
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冤罪被害者の青木恵子さんが、再審法改正を議論する自民党内の会合によばれた

尾﨑美代子

東住吉事件の冤罪被害者・青木恵子さんが3月30日、再審法を議論する自民党内の会合によばれた。(当日の様子は、再審見直し議連・自民党井出事務局長のFacebook#再審法改正でご確認下さい。ちなみに青木さんの隣に座る男性は「ヤメ検」の方で、みんなからコテンパンに非難されていたとか)。

青木さんは1年ほど前からグループホームの仕事に就いており、日曜日は夜勤だから、わずかに仮眠をとっただけで東京に向かった。青木さん自身は、今回の再審法改正の動きにちょっと諦めモードになっていた。というのも、突然出張ってきた法制審によって、今より悪い方向に勧められようとしていたからだ。その法制審の会合にも以前よばれたが、数名の人以外、さっぱり反応がなかったと怒っていた。それとバイトが忙しく、東京の集会などに呼ばれてもいけないことも多かった。ちなみに、バイトで稼いだお金はほとんど冤罪被害者救出のために使っている。

今回もどうしようか悩んだようだ。私はSNSをやらない青木さんに「稲田朋美議員がこんなこと言ってるのよ」「鈴木宗男さんの娘の貴子さんもこんな投稿しているよ」とFacebookの記事を送ったりした。 法制審の会合とは全然違うし、この自民党議員に頑張ってもらわないといけないのだ、と。

結果、青木さんも頑張って参加した。そして「法制審のときと全然違った。行って良かった」と帰りの新幹線からラインをくれた。鈴木宗男議員から「大変でしたね」と声をかけられ、自分も泣いてしまった。「ママ、あの綺麗な議員あれだっけ?」「綺麗かどうかわからんが、ばっちりメイクの稲田朋美議員ね」「あの人は、後ろに座ってた法務省の役人をじっと睨んでしゃべってた」とか。

今回は青木さんは再審法改正問題の中でも、検察の「抗告」について話して欲しいと頼まれたようだ。これは、青木さんの東住吉事件のなかでも、そうそう時間をとって話すことが少ないので、あまり知られてないことだ。青木さんは1審、2審とも無期懲役、その後最高裁で上告が棄却され、刑が確定。和歌山刑務所で服役。

◆検察の「抗告」により天国から地獄に突き落とされた青木恵子

服役中、青木恵子さんと男性は再審を請求した。2012年3月7日大阪地裁が、再審開始をきめた。これに対して大阪地検は3月12日高裁に控訴した。一方、3月29日、大阪地裁は職権で青木さんらの刑の執行停止を認めた。これに対しても大阪地検は大阪高裁に抗告したが、和歌山刑務所の青木さんに、刑の停止を認めた書類が届いたことで、青木さん、弁護団は釈放の準備を始めた。青木さんは金曜日の午後から、荷物の整理をして、中で使っていた下着などを全て捨てた。土・日を独居で過ごした。月曜日の午後1時30分には、弁護士が差し入れした服に着替えて待機室で待っていた。

まもなく出られるという10分前、走ってきた刑務官が青木さんに「あなたを釈放できなくなりました」と言われた。「何故?」と尋ねる青木さんに刑務官は「詳しいことは、弁護士に聞いてください」と言い、ふたたび刑務所の服に着替えさせたた。その後、青木さんは迎えにきていた3人の弁護士と会った。大阪高裁は検察の抗告に「執行を止めなければ正義に反するような状況ではない」として刑の執行停止を認めた大阪地裁の決定を取り消したのだった。もちろんこれに対して青木さんも最高裁まで闘ったが覆ることはなかった。青木さん「弁護士は無理だとわかっていたと思う」と当時を振り返る。

その後青木さんはしばらく独居で静かに過ごし、その後作業場に戻ることになった。前の作業場の人はみな、青木さんの刑の執行が停止され、外に出れたものと思っていた。刑務官は青木さんをきづかい「別の作業にするか?」と聞いたそうだが、青木さんは「今のところでいいです」と言い戻ったという。

その後の青木さんには新たな恐怖感が強まった。それは高裁の裁判官が、刑の執行停止を取り消したから、再審開始決定も取り消されるとの恐怖感だった。それに対して弁護士が、「それは大丈夫」と言ってくれた。その後、弁護団がさらに検証を続け、集めたホンダの車から、ガソリンが漏れたことがわかり、ようやく裁判官が納得したから勝てた。

天国から地獄に落とされた日、面会した弁護団に青木さんは聞いた。「あと何年ここにいればいいの?」。弁護士も気の毒に思ったのだろう。「あと1年ちょっとですよ」と小さなウソをついた。しかし、本当に出れるまでには3年かかった。2015年10月23日 大阪高裁は再審開始を認めた大阪地裁決定を支持し、検察側の即時抗告を棄却した。また「拘束が20年に及ぶことと照らすと、刑の執行を今後も続けることは正義に反する」として、刑の執行を10月26日午後2時で停止する決定を出した。

「一歩間違えば、私は勝てなかった。獄死しかなかった」と青木さん。

湖東記念病院事件の西山美香さんは、検察に上告された際、父親に「お前が裁判でちゃんと無実を訴えないからだ」と頭を叩かれたと嘆いていた。

検察の抗告(裁判所の決定に異議を申し立てる)は、こんなにも冤罪被害者、そして家族を長期に傷つけ苦しめている。これを断固許してはならない。

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
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42年前の滋賀県日野町事件再審決定──証言、証拠を変えて、冤罪を作り、長く人を苦しめる。冤罪だけでなく、私たちの日常でも絶対やってはいけないこと

尾﨑美代子

2月25日に最高裁で再審開始が決定した滋賀県日野町事件、3月25日から裁判所、検察官、弁護団の三者協議が始まります。この事件で再審開始を決定づけたのは、証拠の改ざん。行きつけの飲み屋の女性店主を殺害し、手提げ金庫を盗んだとして強盗殺人の犯人とされた阪原弘さん(無期懲役で服役中に病死)が遺体や盗んだ金庫を捨てた場所へ、捜査員を自ら案内する見当たり捜査で行きと帰りに撮った写真を入れ替えていた。

そもそもその場に連れて行くなら「行き」の写真だけでいいはず。でも証拠には帰り道で撮った写真もあった。「何故だろう」と不思議に思っていた弁護団が、再審で写真のネガを開示させたところ、帰り道で阪原さんに後ろを向かせ、あたかも行きの写真のように撮っていた。

証拠の改ざん、ねつ造は、ほかにも狭山事件の何回かの家宅捜索で見つかった鴨居の上の万年筆や、和歌山カレー事件で家宅捜索最終日で見つかったヒ素の入ったタッパー、そうそう袴田さんの味噌樽から見つかった5点の衣類などもある。

証言の改ざん、ねつ造もある。湖東記念病院事件では、西山美香さんが人工呼吸器の「管が外れた」と言ったのを、滋賀県警山本誠刑事は「殺した」に変えて、美香さんを殺人犯に仕立てた。

冤罪を作るようなことは絶対にやってはいけない! 相手が「そんなこと言ってませんよ」と訴えても、警察、検察は絶対改めない。

私は最近、似たようなシーンを近くで見て大変驚いている。相手が「私はそんな差別的なことは言っていませんよ」と訴えても、「差別した。差別した」と言い張る人だ。間違いを認められない人はどういう神経してるんだろう。私なら周りの仲間に「はなまま(私)、それは間違っているよ」と指摘して貰ったら嬉しいし、そんな仲間がいることを誇りに思う。勿論私も仲間が間違ってたり、ヤバイこと言ったりしたら、「それ、まずいで」と注意する。仲間やん。そんな、互いに注意しあえる仲間が大勢いて、私は本当に幸せだ。

反差別や反権力を訴え、闘う人が、仲間を裏切り「悪者」にしたことは、過去のカウンター内のリンチ事件で見てきた。そしてその当時、闘いの場で目立つ人、頑張ってそうな人に、周囲はとかく忖度してしまいがちだ。「今、あの人を批判したら、私が悪者にされてしまう」。「次の集会であったら、どんな顔して会えばいいの」とか。そんなのは要らんねん。完璧な人はいない。どんなに頑張って反差別、反権力を闘っている人にも間違いはある。それを糺すことは仲間の使命、一緒にやる闘いをさらに前に進めることにつながる。そう思わない?同志のみなさま!

とにかく反差別、反権力を闘う仲間内で、冤罪を作るようなことがあってはならない。悪者、差別者とされた人間がどんだけ苦しむか。本当に知って欲しい。

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
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《シリーズ日本の冤罪64》平野母子殺人事件 「1本の吸い殻」で下された死刑判決

尾﨑美代子(紙の爆弾2026年3月号掲載)

2002年4月14日午後9時過ぎ、大阪市平野区内のマンション3階で火災が発生。現場からこの部屋に住む主婦・加奈(当時28歳)と長男・優(当時1歳)の遺体が発見された。2人の死因は、それぞれ窒息死と溺死だった。

半年後、殺人と現住建造物放火の罪で逮捕されたのは、加奈の夫の母親・由美子の再婚相手である林義之(当時45歳)だった。林には、1審で無期懲役(死刑求刑)、2審で死刑判決が下されたが、上告審で最高裁第三小法廷は「審理が尽くされたとは言い難い。事実誤認がある」として1審に差し戻し、無罪判決。検察官控訴も棄却され、無罪が確定した。死刑から無罪判決へ……何があったのか?
(本文中、後藤貞人弁護士以外すべて仮名)

◆刑務官は、なぜ犯人とされたのか?

林は事件当時、大阪刑務所の刑務官だった。1981年に由美子と結婚(再婚)し、由美子の長男・浩次と養子縁組する。

浩次は若い頃から万引き、家出などを繰り返していたが、素行の悪さは家庭を持っても収まらず、結婚後、複数の交際女性から金品を受けるなどしていたことが発覚。林は浩次を厳しく叱責したが様子は変わらず、林夫婦は一時期、加奈と長男を自宅マンションに同居させるなどしていた。

一審判決は、この時期、林が加奈に好意を寄せて、抱きついたり、キスを迫ったりするなどの行為を行なったとしたが、林は否定した。加奈はその後、林に黙ってマンションを退居、浩次と再び同居を始めた。

当時、浩次は借金が嵩み、取り立てから逃れるため、家族でホテルを転々とすることもあった。連帯保証人である林にも取り立てが及ぶと、林は浩次に代わって返済を続けた。それでも浩次は林を疎ましく思い避け続け、2001年2月28日に転居先を告げず、現場となったマンションに引っ越した。

事件が起こった4月14日、非番だった林は、浩次夫婦の転居先を探そうと、車(白色のホンダストリーム)で平野方面へ向かった。転居先が平野区A地区のスーパー近くであるとの情報を得ていたこと、飼い犬がいるため「ペット可」のマンションであることなどから、条件に見合う物件を見て回った。

まさにその日、マンション306号室で加奈と長男が殺害され、放火される事件が発生した。火災発生は21時40分頃、殺害は16時から18時頃と推定された。

捜査が進むなか、林が疑われたのは、事件発生時に林の車と同種同色の車が、マンションから100メートル離れた商店街に駐車されていたとの目撃情報があったこと、また林が当日、妻の勤務先に迎えに行く約束を、特段の理由もなく直前に断わったり、携帯電話の電源を切ったりするなど不可解・不自然ともとれる行動をとっていたことからだった。

しかし、それらは林を犯人と決定づけるものではなかった。

◆犯人と決めつけた1本の吸い殻

事件から2日後、林は大阪府警から参考人として事情聴取を受けており、事件当日、浩次らのマンションを探すため平野方面へ車で行ったことを素直に述べていた。もちろんマンションの所在地は知らないし、立ち寄ってもいないと事件への関与は否定した。

一方、大阪府警は事件翌日、マンション西側の1階から2階へ上がる踊り場の灰皿(以下、本件灰皿)から、72本の吸い殻を採取、その中に林が吸っていた煙草の銘柄「ラークスーパーライト」1本を発見していた。

7月23日、その吸い殻に付着した唾液のDNA型が林のものと一致したとの結果が出た。8月17日、大阪府警はこのDNA鑑定の結果を有力な証拠として林を任意同行し、朝から14時間もの取り調べを行なった。

林は一貫して容疑を否認するも、捜査員は「君がやったと俺は確信している。今日はどうして2人を殺したのか、つまり動機を聞く日だ」などと最初から林を犯人と決めつけた。そして取り調べ終盤、ついに林は「午後5時前頃に浩次夫婦の姿がないか探すためにマンションに入っていると思います。このマンションは4階建てで、道路からマンション敷地内に入り、すぐのところにある入口を入って階段を上っています」との調書が作成されてしまう。

頑なに容疑を否認していたのに、なぜこのような調書が作成されてしまったのか、林は公判でこう供述した。「3人の警察官から、10時間以上にわたり殴る蹴るの暴行をうけたうえ、椅子に座ったまま自分の足首を握るという二つ折の体勢をとらされたり、ナイロン袋を頭から被せて呼吸ができないようにされ、また、両手を柔道の帯で後ろ手に縛られた。調書は十分くらいで作成され、読み聞きもはっきりとされず、内容はよくわからなかったが、解放されたい一心で署名した」。

実際、取り調べ中の暴行により、林は翌日から入院を余儀なくされていた。刑務官に就く前、警察官を経験していた林にとって、いわば「同僚」といえる大阪府警から加えられた壮絶な暴行体験は、林にどれだけ恐怖心を植えつけたことだろうか。

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日野町事件で再審開始が確定! 

尾﨑美代子

滋賀県で1984年に起きた日野町事件、あまり聞きなれなかったこの事件のことを聞いたのも亡くなられた桜井昌司さんからだった。「あれもひでえ事件だよな。証拠の写真がすり替えられてるんだからさ」。

この事件も「日本の冤罪」で取り上げた。伊賀興一弁護団長を取材すると、開口一番こう言われた。

「この事件はいつどこでどんな事件だったかという事件性の中身がいまだに明らかにされていません。これがこの事件の最大の特徴です」。

私は一瞬何のことか?と耳を疑いながら、限られた時間内で事件の全体を知ろうと、そのまま伊賀弁護士のお話を聞き続けた。殺害されたのは小さな酒店の女店主、犯人とされたのは店の常連客だった阪原弘さん。逮捕までの間、連日取り調べをうけた弘さんは、警察から戻ると、「入れ歯の金具が不具合を起こすほど殴られた」と家族に告げた。そんな暴行より我慢できなかったのは、もうすぐ嫁に行く娘の嫁ぎ先にいき「ガタガタにしてやる」と言われたことだった。それだけは避けたいと、「酒を飲む金欲しさ」に店主を殺害、遺体と金庫を別々の場所に捨てたと嘘の供述をさせられた。

じつは、その日、弘さんは知り合いの家で飲み、そのままそこで寝てしまっていた。そのアリバイを証明する知り合いも、警察に脅されたのか、一時期は「泊まってない」という様になった

一方、女店主はその日、店を閉めたあと知り合いと食事をしていた、銭湯で見たなどの証言もあった。店の奥で寝ていた家族も、何かゴタゴタガあったとは言っていなかった。女店主は、その日は普通に店を閉め、用事で出かけていたのだ。翌日は別の従業員が店をあけたようだ。店が開くのを外で待っていた客もいた。つまり鍵はかかっていたわけで、阪原弘さんの「自白」、「店の鍵を閉めなかった」は虚偽になる。そうか、これが冒頭、伊賀弁護士の話した言葉につながるんだ。この事件は阪原弘さんを犯人に仕立てたことで、どんな事件だったかが、42年経っても不明のままなのだ。

桜井昌司さんがいう「証拠の写真が入れ替わっている」について、伊賀弁護士にお聞きした箇所が以下の部分だ。

── 以下「日本の冤罪」より引用

 一九八八年三月に行われた引き当て捜査で阪原さんは、警察車両を停めた道路から一〇分ほどの、草が生い茂り、倒木が横たわるような「道なき道」を、捜査官を従えて発見現場に到達したとされた。実況見分調書には、阪原さんが先頭に立ち、後ろに着いてくる警官らに進んで発見現場を案内したとする写真と写真の説明文で、一九枚の写真は「往路」「復路」の順番に添付されており、写真ごとに「(阪原さんが)ここでこう説明した」などの説明文がつけられていた
 しかし弁護団が、これらの写真のネガの番号を調べたところ、順番が全く間違っていることが判明した。しかもネガには、発見現場に行く「往路」の写真はほとんどなく、金庫の発見現場である到達点から、警察車両に戻ってくる「復路」で撮った写真ばかりだった。そもそも阪原さんが犯人で現場を知っているならば、現場に向かう「往路」の写真だけ撮れば十分なのに、「何故往路の写真が撮られてないのか?」。弁護団に疑問が湧いてきた。さらに調べると、現場に行く際撮ったとされた写真の何枚かが、現場からの帰り道に撮られたものであることも判明した。本当ならば警察車両に向かって戻ってくるはずの「復路」の場所で、阪原さんが反対側を向かされ写真を撮られていた。捜査官が復路で撮った写真を往路の写真としてネガを入れ替えていたのだ。── 引用終わり

「これだけでももう再審開始だよ」と桜井さんは力強く言ってたのに。あれからだって相当な年月が過ぎている。桜井さんはこの嬉しい決定、そして再審無罪判決を聞くことはできない。どんだけ、時間が経っているんだ。それもこれも、検察が負けとわかっているのに、控訴、上告を続けるからだ。ただただメンツのために。どんだけつまらんメンツなんだ。絶対許せん。再審法は、検察の控訴、上告も禁止する「議連案」でやるしかないんだよ! ねえ、桜井さん。

◎本日2月28日(土)午前10時~大東市の野崎人権文化センターにて尾﨑美代子さん講師による人権講演会「冤罪はこうしてつくられる」開催されます。参加費無料 
問い合わせは野村さん(090-2283-6932)まで。https://nozaki-jinbun.net/

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

再審法「改悪」に反対する ── 獄中で冤罪を訴え、再審を待つ人たちの不安を思う

尾﨑美代子

◆法律は立法事実に叶うことが必要なのに……

「前川さんが立法事実なんです!」と叫んだ自民党の稲田朋美議員。

「立法事実」という言葉を知ったのは昨年、「はんげんぱつしんぶん」編集長・末田さんの講演会でだった。立法事実とは、その法律を作り、あるいは元ある法律を改正する際に必要な事実である。

私が店をやっている釜ヶ崎の労働者の安全と命を守る「労働安全衛生法」に例えるならば、高さが2メートル以上の場所での高所作業に就く労働者を守るため、以前なら労働者に義務づけられた安全帯1丁掛けが2丁掛けに変わり、今では「フルハーネス」にかわった。

企業にとってこの法を厳守することは、労働者の安全を守る意味もあるが、一旦転落・死亡事故など起こしたら、現場はストップ、工期が遅れるからでもある。とはいえ、こうして法改正を行うことで労働者の転落・死亡事故は確実に減っている。

朝、露店で売っていた安全帯

あらゆる法律の制定、改正時にはこの「立法事実」が必要だし、法律は立法事実に叶うことが必要なのだ。まさに、それ。前川さんや袴田さん、そして名張葡萄酒事件の奥西さんの妹さん・岡美代子さん、大崎事件の原口アヤコさん、そして雪冤を果たせず亡くなった石川一雄さんこそが「立法事実」なのだ!この人たちを早期に救済し、二度と同じ過ちを生まないための法改正が必要なのに。

それなのになんだ? 現在、進む再審法改正の動きは? 多くの冤罪──罪のない人に罪を押し付けて苦しめてきた──が明らかになり、世間に知られてきた。しかも冤罪を晴らす再審法が70年以上も変えられてないことが問題視された。2019年にハンセン病元患者の家族に対する補償法を超党派で成立させたときのように、国会議員が超党派で力をあわせ、冤罪をなくすための法改正に取り組んできたのに、前述したようにいきなり法務省が「いやいや、そこは専門家の私たちにまかせてください」とばかりに出張ってきた。法制審が審議する再審法は「改正」どころか、とてつもなく「改悪」の方向へ進もうとしているではないか?

「血のついた前川を見た」と証言した男は、かわりに自身の覚醒剤使用を見逃して貰い、結婚祝いまで貰っていた

◆再審法を大きく改正してきた台湾に比べると……

井戸弁護士が訴えていたように、法務省、警察、検察は、これまで数多の冤罪を作ってきた張本人、いわばこの問題に関しては被告の立場なのに……何を偉そうなこと言ってるんだ。井戸弁護士は言わないけど、私は言ってやるね。法務省よ、さんざん窃盗繰り返してきたクセに、何が「皆さん、戸締まりについて考えましょう」だ。どの口が言うんだ。怒りが収まらん。

日本は、本当にだめ。人質司法や弁護人不在の取り調べなどの人権問題を、国連から何度も是正せよと勧告を受けているのに、本当にこの国はダメだ。例えばこの間、2015年と2019年の二度にわたり、再審法を大きく改正してきた台湾を見てよ。それは間違えて逮捕してしまった被告人が自殺し、その後に真犯人がみつかった経験から、猛省したからだ。

台湾は地震対策にしても、2018年の花蓮で起きた地震でプライバシーが守れないなどの被害が出たことを反省し、その後、地震発災から3時間以内にテント型の避難所を設営するなどに努めてきた。住民に被害がでたら反省する、間違った部分を直す、ただそれだけのことなのに、日本の国、政府は絶対にやろうとしない。昨日、服役中の方から届いた手紙にも、再審法が悪い方向へ向かっているようですねと書かれていた。獄中で冤罪を訴え、再審を待っている人たちはどんなに不安だろう。どう返事を返していいかわからない。

2月28日(土)10時~大東市の野崎人権文化センターで「冤罪はこうしてつくられる」で使うパワポの写真を添付しました。参加費無料 https://nozaki-jinbun.net/
問い合わせは野村さん(090-2283-6932)まで。

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

『紙の爆弾』3月号の冤罪報告「平野母子殺害事件」 ぜひ一読を!

尾﨑美代子

◆『紙の爆弾』3月号に冤罪「平野母子殺害事件」を寄稿

『紙の爆弾』最新号を徳島刑務所などに服役中の方に送った。今回、ここの日本の冤罪シリーズに「平野母子殺害事件」について書いた。ずっと気になっていた冤罪事件。人間関係が複雑で、被害者は、犯人とされた林さん(仮名)の再婚相手の女性の息子が、のちに結婚した女性と子供。事件当初、被害女性の夫が疑われたが、夫には不倫女性と食事などしてたアリバイがあった。そののち疑われたのが義理の父親の林さん。めっちゃよくある話だが、犯行当日、被害女性のマンション近くに行っていた。しかも同マンション踊り場の灰皿に林さんの吸う煙草の吸殻が1本あり、そこから検出された唾液のDNA型が林さんのそれと一致した。

捜査機関は林がマンションを訪ねた→林が被害女性の部屋に入った→林が被害女性と子供を殺したにもっていった。任意の取り調べで、大阪府警が林に加えた拷問がえぐい。事件当時大阪拘置所の刑務官だった林は、その前に警官も経験していた。いわば「元同僚」からうけたえぐい拷問のせいで入院までした。それでも林は否認し続けた。

一審は無期懲役、二審は「反省してない」として求刑通り死刑判決。が、最高裁は「審理が尽くされていない」として差し戻し、1、2審で無罪判決がくだされた。林を無罪にしたのは、林を犯人にしたてた1本の煙草の吸殻だった。あとは本編を読んでね。

◆井戸謙一弁護士と樋口英明元裁判官の対談本

本を送った2人には、手紙とともに井戸謙一弁護士と樋口英明元裁判官の対談本『司法が原発を止める』の中のある個所をコピーしたものを一緒に送った。対談本でお二人が冤罪に触れている個所がある。樋口さんは、裁判官時代に「私は無実だ」という人はいなかった。「酔っていた」や「殺す気はなかった」という人はいたが、「犯人ではない」と言い切る人はいなかった。「私は犯人ではない」と法廷で言っていた人が、次から次に無罪になるということは、いかに冤罪率が高いかを示していると……。

これに対して井戸弁護士はこう言った。「日本人は結構正直。公判で『自分は本当に無実だ』という人は、かなりの確率で言っていることが本当に正しいとみるべき。しかし、現実の刑事裁判では、それがほとんど通らない。だから次々と冤罪がうまれていく」と。

樋口英明元裁判官との対談本『司法が原発を止める』の共著者、井戸謙一弁護士

そういえば、亡くなった桜井昌司さんが、何十年も無罪を訴え再審、国賠を闘ったが、ある裁判長は「何十年も無罪を主張して悪質だ」と言ったそうだ。無罪だから言い続けるんだよ。それこそ何十年も。

◆5通の手紙をくれた受刑者の事件

暮れから正月にかけて5通の手紙をくれた千葉刑務所の受刑者の事件の概要もまとめなくてはならない。ある弁護士さんがどんな事件か一応みてくれることになったためだ。じつは、そのあとにもう一人の無期懲役の受刑者から手紙が届いた。「日本の冤罪」を読み、両親に頼んで「はな」の住所を調べてもらったといい、手紙にはぜひ僕の事件の判決文などを読んで欲しいと書かれていた。まずは返事をくださいと封筒、切手が入っていた。少なくとも返事は書かねばならない。こういう人は、名前で検索すればどのような事件かわかる。ただ、そこまでで、確かに判決文など読みたいが、果たしてそれ以上のことはできるかどうか?

また、次に書きたいと考えてる「恵庭OL殺人事件」についての資料集めもはじめないと。弁護人だった伊東秀子さんの本は明日届く予定。昔一度読んだが手元にないので再度注文した。そう、この事件、かなり前から気になっていた。いろんな状況証拠から、真犯人(たち)は明らかに当時彼女と被害女性が勤務していた会社の関係者だ。つまり、冤罪が作られたせいで、真犯人(たち)は野放し状態。ほかの事件でも思うが、逮捕されない真犯人はどんな心境なのだろうか?

◆2月28日大東市で冤罪のお話をします!

昨日の選挙でこちら側は惨敗したので、再審法問題はどうなるのか心配だが、原発問題、日米安保問題、パレスチナ問題、スパイ防止法、大阪でいうたら三度目の都構想もカジノも……お先は真っ暗だ。ここまで真っ暗になったら、もうため息もでない。目の前のやることを1つ1つこなしていくだけだ。

2月28日、大東市で呼ばれた「冤罪はこうして作られる」の講演会のレジュメとパワーポイントも作らねば……。パワポ、京都の部落解放同盟の方に呼ばれた時のパワポは、初めて作ったのと、レジュメとパワポをどう使いこなすか、うまく出来てなくて、猛省してます。今回は、なるべくわかりやすく、そして変な言い方だが、面白く興味深い話にしたいと考えてます。終了後に近くの「バナナハウス」で食事会(700円)もあるそうです。一人でも多くの方に参加して欲しい。

尾﨑美代子(おざき みよこ
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/