自身初の単行本『秋山理央写真集 ANTIFA ヘイト・スピーチとの闘い 路上の記録』が、11月21日に発売になった。是非お近くの書店で購入して欲しい。


『秋山理央写真集 ANTIFA ヘイト・スピーチとの闘い 路上の記録』
写真=秋山理央 文=朴順梨 発行=鹿砦社
定価1944円(本体1800円)

もともとジャーナリズムに興味があったわけでもなく、何の志も持たないカメラマンである私はただただ「今の日本」を記録することだけに専念してきた。

3.11以降、福島原発事故に端を発した反原発デモが日本各地で頻発していたにも関わらず、大手メディアはなかなか取り上げなかった。もちろん様々な理由があって、それはある意味で仕方がないことだった。
「ならば自分でやってやろう」と、2011年6月から反原発のデモにカメラを向け徹底的に記録することにした。こんなにもデモが起こっているのに報道が少な過ぎるのは不自然だと思ったからだ。
当時は、あるいは今でもそうかもしれないが、デモはハードルが高く特殊な行為という感覚が強かった。私もその感覚を持っていた一人だったが、考えてみると私たち市民にとって一番身近な主張の場はデモだった。

次の行動に繋げてもらう為にも、明確な「原発反対」の立場の自分が一つのメディアとなり、人々の消えていくはずだった想いを記録し残すことにした。デモのマイナス・イメージを払拭し、デモ文化を根付かせようと心に決めたのだ。
現在でもほぼ全ての土日は取材に出掛け、年間100?150回程度の撮影を続けられている理由はそこにあるのかもしれない。

デモや抗議を行なう人々を撮り始めて4年半、反原発から反レイシズム、反安保法制を訴える路上の姿を追い続けて、遂に写真集が世に出ることとなった。正直なところ、出版が決まっても感動があったわけではなかった。月刊誌と季刊誌での連載を抱え、本・新聞・テレビ・その他に多数の写真や映像を提供していたので、本が出るからと言って特別な感情が沸き起こりはしなかった。…現物を手にするまでは。
制作の過程で見ることができたのは印刷見本のみで、きちんと製本されている完成状態のものがなく、出版の素人の私には想像が全くできていなかった。しかし、写真集の現物を手にしてみると、紙も印刷も良くて驚いた。質感も良かったし、重量感があって、「絶対に買って損はしない!値段以上の価値がある本だ!」と仲良くしている友達にメールしてしまった。自分が撮って選んだ写真なのに、だ。

この写真集には、2013年3月31日?2015年10月4日までの期間、12都道府県と韓国・ソウルの路上で行なわれた41の反レイシズム行動の写真140点が時系列に沿って収録されている。時が進むにつれて、路上でのヘイト・スピーチとの闘いが広がりを見せていくことを感じる事ができるはずだ。
今回、掲載写真にはキャプションはあえて付けず、記すのは日付と撮影場所だけにした。彼女自身がヘイト・スピーチの被害者でもあるライターの朴順梨さんに寄せてもらった文章に心を揺さぶる力を感じたので、写真ページはビジュアルに特化し「写真集」としての完成度を重視した。言葉は彼女に任せ、私の想いは全て『ANTIFA(アンチ・ファシズム)』と冠したタイトルに込めた。

ヘイト・スピーチに抗議するカウンターは広く理解され、多数の支持を得る必要はないのかもしれない。そもそも差別が無ければ不要の存在なのだから。しかし、カウンターをするしかない状況は今でも変わらず存在している。
私はこれからも記録者として、路上の事象を写し取っていくつもりだ。

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
人々の様々な抗議の様子を伝える写真ルポ「理央眼」を『紙の爆弾』(鹿砦社)で、
全国の反原発デモを撮影したフォトエッセイ「ALL STOOD STILL」を『NO NUKES voice』(鹿砦社)にて連載中。
11月21日には全国の路上でヘイト・スピーチと闘うカウンターの姿を追った初写真集『ANTIFA アンティファ ヘイト・スピーチとの闘い 路上の記録』(鹿砦社)が全国書店にて発売決定!

《ウィークリー理央眼》
◎《027》戦争法案に反対する若者たち VOL.21 金沢
◎《026》戦争法案に反対する若者たち VOL.20 新宿
◎《025》戦争法案に反対する若者たち VOL.19 川越
◎《024》戦争法案に反対する若者たち VOL.18 郡山
◎《023》戦争法案に反対する若者たち VOL.17 弘前

 

9月12日(土)、石川県金沢市で安保関連法案(戦争法案)に反対するデモが行われた。
主催したのは、石川県内の若者たちが集まって作った「CHOOSE OUR FUTURE, DON’T LET ‘EM」だ。


[動画]戦争法案に反対するサウンド・パレードin金沢 – 2015.9.12 石川県金沢市(12分11秒)

参加者は250人、金沢で行われた無党派デモとしては過去最大規模の人数だった。普段行なわれているデモの参加者は50~80人程度なので、いつもの3倍以上だ。主催者もこの想定外の人数に驚いていた。
更に言えば、金沢のデモは年齢層もわりと高めなのだが、今回のデモは若者率が高く3割以上が若い人だった。各々が隊列の中でばらけていて行進中は分からなかったものの、デモ解散地にいた若者の多さには正直ビックリした。
今回のデモの若者率が高かったのは、コースが長く高齢者が少なかったというのもあったのだが、やはり普段デモに来ない若者が実際に多く参加していたというシンプルな理由によるものだった。中には隣の富山県から、この若者主催のサウンドデモに参加しに来た若者もいた。これまで集まれる場が無かっただけで、北陸の若者たちも「安全保障関連法案」に関心があり、反対の意思表明をしたいと思っていたのだ。

また、若者を多く集めた要因の一つには「サウンドデモ」という手段を選んだこともあったはずだ。
サウンドカーを使ったデモは金沢では初めてで、「若者デモ」「サウンドカー」「安保法案」というホットなエレメントが揃っていて、マスコミの注目度も高く取材の人数も多かった。
それは取材陣だけに留まらず、街の人々からの注目度も非常に高かった。いつものデモだと街の人たちにスルーされることが少なくないのだが、今回のサウンドデモは手を振ってくれたりする人が多くいた。

これが金沢のデモのフライヤーだ。
「カッコイイなぁ」「オシャレだなぁ」とも思ったが、それよりも何よりも「生活の延長線上にデモが位置づけられているんだ」と、私はまずそんな感想を持った。フライヤーに写っている人物がサウンドカーに乗ってプレイしていたDJで、自分のセンスで作ったそうだ。
クラブミュージックが好きな人が安保法案に反対していることを分かってもらいたくて、フライヤーにデモっぽさを無くしたという。私が感じた「生活の延長線上」というのはそこにあったようだ。

実のところ、サウンドデモはスベる事もあるのだが、金沢では普段のデモより街の反応が良かった。一体、何故だったのだろうか。そんな疑問を、主催者の一人に尋ねてみた。
「地方は特にデモコースが限られるので、わりと通行人にデモへの慣れがあったことが土台かもしれません。そのうえで今までにないサウンドパレードという形態が古くからのデモと180度雰囲気が違ったことが大きな要因でしょう。沿道から見て若い人がガチで多いのも好印象だったと思います。そして事前にデモコース周辺の店に告知に回ったのが大きかったですね。それと金沢は保守的ですが、他の土地と違って文化や芸術への理解があり、わりと進歩的な芸術家やミュージシャンが多いのです。そういう人たちのちからもあったと思います」
「基本的に、SEALDsとか反原連の流れはあると思いますが、僕たち地方の人間としたら『東京のコピー』と取られるのが一番嫌なので、金沢に合う運動形態を常に考え続け、東京をギャフンと言わしてやりたいと思ってるのが一番大きいですね」

今回のデモは、色鮮やかなピンク色をしたバナーが非常にキレイだったし、シュプレヒコールより音楽がメインという印象だったのだが、それも一つのポイントだったのかもしれない。つまりは「怒っていない」こと、怒りの表明の少なさがその答えだったのではないか。
金沢は保守的で、デモで声をあげにくい土地柄だ。それはデモに参加する人だけでなく、それを目撃する街の人も同じで、デモに対する反応さえもしにくい。その点、怒り少なめのサウンドデモには反応がしやすかったのだろう。
もちろん、主催者の方々の気配りやセンス、参加者の真剣な姿、それらが根本にあったから良いデモができたのだ。そこを忘れてはいけない。

「CHOOSE OUR FUTURE, DON’T LET ‘EM(=私たちの未来は私たちが選ぶ、彼らには決めさせない。)」、そのような心強いグループ名の若者たちが金沢で声をあげた。彼らは北陸の希望だ。



[2015年9月12日(土)・石川県]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
人々の様々な抗議の様子を伝える写真ルポ「理央眼」を『紙の爆弾』(鹿砦社)で、
全国の反原発デモを撮影したフォトエッセイ「ALL STOOD STILL」を『NO NUKES voice』(鹿砦社)にて連載中。
11月21日には全国の路上でヘイト・スピーチと闘うカウンターの姿を追った初写真集『ANTIFA アンティファ ヘイト・スピーチとの闘い 路上の記録』(鹿砦社)が全国書店にて発売決定!

《ウィークリー理央眼》
◎《025》戦争法案に反対する若者たち VOL.19 川越
◎《024》戦争法案に反対する若者たち VOL.18 郡山
◎《023》戦争法案に反対する若者たち VOL.17 弘前
◎《022》戦争法案に反対する若者たち VOL.16 仙台
◎《021》戦争法案に反対する若者たち VOL.15 秋田






SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)と安全保障関連法に反対する学者の会が新宿伊勢丹前の歩行者天国で戦争法案(安保関連法案)に反対するアピール街宣を行った。
あいにくの天候であったが、1万2千人が詰めかけ、日曜の目抜き通りに「戦争反対」のコールが響き渡った。
そして、日本共産党の志位和夫委員長、民主党の蓮舫代表代行、社民党の吉田忠智党首、元公明党副委員長の二見伸明氏も登壇し、手を繋いで共闘をアピールした。

安倍政権はここに集まった多くの人々の声を軽視し、外交日程を理由に秋の臨時国会から「逃走」する気らしい。

[2015年9月6日(日)・東京都]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
人々の様々な抗議の様子を伝える写真ルポ「理央眼」を『紙の爆弾』(鹿砦社)で、
全国の反原発デモを撮影したフォトエッセイ「ALL STOOD STILL」を『NO NUKES voice』(鹿砦社)にて連載中。

《ウィークリー理央眼》
◎《025》戦争法案に反対する若者たち VOL.19 川越
◎《024》戦争法案に反対する若者たち VOL.18 郡山
◎《023》戦争法案に反対する若者たち VOL.17 弘前
◎《022》戦争法案に反対する若者たち VOL.16 仙台
◎《021》戦争法案に反対する若者たち VOL.15 秋田

するな戦争!止めろ再稼働!『NO NUKES voice vol.5』創刊1周年記念特別号!

8月27日(木)、埼玉県川越市で安保関連法案(戦争法案)に反対するデモが行われた。
埼玉の学生・高校生の会「VIP(ヴィップ:Voices into the peace.)」が、主催し約100名で川越駅前のクレアモール商店街周辺を行進した。


[動画]戦争法案反対・川越デモ – 2015.8.27 埼玉県川越市(17分11秒)

高校生6名と大学生6名で構成されている「VIP埼玉」のスピーチは、全体的にエモーショナルだった。しかし、スピーチの中に「日本の安全を守るためのものではない」、「平和外交の妨げになる」、「経済的徴兵」など、法案の具体的な問題点の指摘と、それらに関する詳細な説明があり、若い主催者たちの勉強ぶりが垣間見えた。
以下は、デモでのスピーチの書き起こしである。

高校生(男性)
「みなさん、戦争の意味を深く考えてみてはいかがでしょうか。私たちにとって戦争とは、私たちにとっての平和な当たり前が潰される、そんな瞬間であります。そんなことは許しがたい、この当たり前をいつまでも守っていきたい。私はその為に闘います。ですが闘いとは暴力を振るうだけが闘いではありません。この私たちにしかできない、この声を突きつけるということが闘いであり、そして戦争法案を廃案に追い込む唯一の方法ではないでしょうか」

大学生(男性)
「私は日本国憲法の前文にある『全世界の国民が等しく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有する』ということを実現するまで、全力で闘う決意です。武力に頼った平和活動から真の平和は絶対に生まれません。安倍政権は今すぐ戦争法案を廃案にして平和外交を努力してほしいと思います」

二人のスピーチから『WAR AGAINST WAR』という言葉が思い起こされた。前のWARは「闘い」、後ろのWARは「戦争」、日本語にすると「戦争に対する闘い」という意味になる。
この言葉が書かれたプラカードやTシャツを戦争法案反対デモでよく目にするが、今リアリティを感じ切実に戦争に反対している人々にとって象徴的な言葉と言えるだろう。

暴力を振るうだけが闘いではない。単に平和を祈るだけではなく、積極的に平和を求め闘うことが必要とされている。



[2015年8月27日(木)・埼玉県]

▼秋山理央(あきやま りお)
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《ウィークリー理央眼》
◎《024》戦争法案に反対する若者たち VOL.18 郡山
◎《023》戦争法案に反対する若者たち VOL.17 弘前
◎《022》戦争法案に反対する若者たち VOL.16 仙台
◎《021》戦争法案に反対する若者たち VOL.15 秋田
◎《020》戦争法案に反対する若者たち VOL.14 渋谷

唯一無二の特報を同時多発で怒涛のごとく!『紙の爆弾』11月号発売中!

するな戦争!止めろ再稼働!『NO NUKES voice vol.5』創刊1周年記念特別号!

8月23日(日)、福島県郡山市で安保関連法案(戦争法案)に反対するデモが行われた。
主催したのは「戦争法案に反対する福島県若者有志の会」だ。デモ出発前の郡山駅前集会では、共産党県議、社民党市議、虹とみどりの会市議、そして「安全保障法案に反対する福島県大学・短期大学研究者の会」の大学教授がマイクを握った。デモ行進は西口から奥州街道まで行って帰ってくる約40分ほどのコースだ。


[動画]戦争法案に反対するデモ@郡山 – 2015.8.23 福島県郡山市(7分58秒)

映像の冒頭、出発したデモ隊がアーケードに入ると次のカットではもうアーケードを抜けているが、これは楽器の音が大きくてスピーチの声が聞き取れず、やむなくアーケードでのスピーチを編集で削った。録音した音声だけでなく、実際の現場でも話が聞き取れなかった。私のようなカメラマンはスピーチを意識的に聞いている。そのような人間でも聞き取れないということは、街の人には届いていない可能性が高いだろう。
楽器はデモを盛り上げるのに非常に役立っていると思うが、時に主張を音量で妨害してしまうことがあるので注意した方が良い。特にスピーチを行なっている時、思い切って楽器は完全にミュート(無音化)してみてはどうだろうか。デモが作り出すサウンドにメリハリがないと街の人は聞き流してしまう。今までしていた楽器の音が止まることにより街の人の耳目を引くことができるし、スピーチの声だけを聞かせることができる。気にし過ぎると何もできなくなってしまうが、少しの工夫や配慮で効果が上がるはずだ。

郡山のデモで特徴的だったのは小気味良いドラムのリズムとクラリネットの旋律に乗ったシュプレヒコールだ。独自に考案されたと思しきものもいくつかあった。語尾に「だばい」をつけた方言コールや、プラカードではよく目にする「アベ政治を許さない」というフレーズも耳にするのは初めてのことだ。中でもハッとしたのは「歴史に向き合え」というコールだった。これは政府与党に対してというより、安倍晋三個人に向けられたもののように聞こえた。
それはスピーチも同様で、スピーチを行なった三人全員が「安倍総理なんかに私の大切な人の命も未来も絶対に渡しません」「この国の主権者は安倍総理ではない」「安倍さんの独裁政治に付き合うのはもうコリゴリです」と言及しており、怒りの的が安倍首相に絞られていた。法案も提出されていない、ましてや国会審議も行われていないことを米国議会で勝手に約束したり、アジア諸国との和解は無視し、米国の政策関係者だけに歓迎されるような70年談話を発表した「歴史修正主義者」の安倍首相を国民はちゃんと見ている。



[2015年8月23日(日)・福島県]

▼秋山理央(あきやま りお)
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するな戦争!止めろ再稼働!『NO NUKES voice vol.5』創刊1周年記念特別号!

8月22日(土)、青森県弘前市で安保関連法案(戦争法案)に反対するデモが行われた。
弘前市の中心部に位置する中三デパート横の広場を出発し、弘前公園方面へ進み、市役所前~弘前大学前を通過して青森銀行隣の広場まで約2kmを行進した。


[動画]青森デモ!戦争法案反対!@弘前 – 2015.8.22 青森県弘前市(3分48秒)

青森県内で戦争法案に反対する若者グループが、青森市に続き弘前市でデモを行なった。国会前だけでなく、自分たちの街からも声をあげようと青森でも若者主体のデモが企画されている。
デモ出発前の集会では、「青森は経済的理由で自衛隊に行く人が多い」「経済的にも戦争が起れば大変なことになる」「経済的徴兵制ができたら貧しい人が戦争の犠牲になる」という経済の話が多く出た。若者たちも青森の厳しい経済状況を意識せざるをえないのだろう。戦争に使う金があったら貧しい人や被災者に回せというのはもっともだ。

映像には警察官の姿が映っていないが、デモの警備にはちゃんと来ていて、隊列の最後尾にパトカー1台がついてきていた。基本的に警官は車から降りてくることはなく、直接デモを警備せず、信号操作も誘導も何もしてくれない。この警備方式は、私が知るだけで青森県弘前市(弘前警察署)と岡山県津山市(津山警察署)で採られている。
一番後ろにパトカーがいるので、後方から来る車はデモを避けてくれ、一応は警官がそばにいるので、何か起きたらすぐに対応してくれる。しかし、何か起きてからでは遅いので、デモではきちんと自分たちで警備を行なわなければいけない。
車道を通行する際は交通法規に則り、赤信号では止まらないといけないのだが、デモ行進中はその事を忘れがちな参加者が多い。今回も赤信号を無視しそうになったデモ参加者がいたので「信号が赤なので止まってください」と注意した。警察官がデモ警備を行なっている場合、赤信号でも通行できるが、それは警察官の指示が信号機より優先されているから赤信号を無視できるだけだ。「標識・標示によって示された交通の規制と違っていた場合、警察官の指示が優先される」というのが交通ルールなので、警察官が指示を出していない場合は、デモ行進中だろうと赤信号で止まらなければならない。デモでも交通ルールには十分気をつけて欲しい。

また、今回は戦隊ヒーローのピンク&グリーンレンジャー、そしてスーパーマンのコスチュームをした参加者がいた。
まず最初に言っておくと、私はコスプレや着ぐるみ等でのデモ参加に否定的だ。それは、デモを目撃した人々に、「主張と関係ないところで拒絶されたらもったいない」というシンプルな理由が一番大きい。デモ撮影をしていると通行人の声がよく聞こえてきて、コスプレや仮装に対してかなり反発が強いと痛切に感じているのだ。
もちろん、服装なんて各々の自由であるし、様々な表現や考え方はあって良いと思う。だが、耳付きのカチューシャ等の控えめな仮装、パーティーグッズ類を身に付けただけでも反発があるという事実は、頭の片隅に置いておく必要があるだろう。
街の人にどう思われようと関係ないというのは一つの考えだし、それはそれで良いと思う。そもそも「一般人」や「普通の人」なんていうものは幻想であるとも言えるし、ターゲットとしている一部の人に届けば良いという考えもあるだろう。しかし、コスプレをしてデモに参加している方の中には、それが街の人々に対して有効なアピール方法であるとむしろ積極的に考えているか、あるいは誰を対象にコスプレで訴えるかなど考えることもなくそれを行っているケースも少なくないように見受けられる。

デモで意思表示をする際は、なるべく「ノイズ」が少なくなるようにアピールを行なうのが最善の方法だと思う。要するに、そこからメッセージが汲み取れないから街行く人々がコスプレに対して否定的な意見を持ってしまっているということだ。
悲しいことに、街からの評価は「減点方式」だと思ったほうが良いだろう。これをしたからプラスになるというのではなく、これがあるからマイナスと、そのように評価されていると私は感じる。より多くの人に主張を伝達するための妨げ=ノイズとなる行為はしない方が得策だ。
当然ながら、絶対的な評価基準というものは存在するはずもなく、デモの格好に正解も不正解もない。同じ主張を共有する者同士であれば、あとは個人が自由で好き勝手にやるのが理想だろう。
しかし、まだまだ日本にデモが根付いていない事を考えてみると、コスプレはデモに対する偏見を助長させてしまう可能性があるように思えてならない。

とはいえ、コスプレや仮装が全て悪いというわけではなく、時間・場所・目的によっては有効な場合もあるはずだ。
例えば、団体のノボリだらけ、ロングシュプレヒコールで堅苦しい団体主催のデモ等の中にコスプレや着ぐるみがあると、それはそれで場を和ませる効果もあるだろう。あるいは、そういうオールドスクールのデモしか行なわれていない街では、差別化を意識して行なうのは意味があるのかもしれない。
それは、「デモ」は怖いから「パレード」という名称にする感覚と近く、その土地ではそれが最適なのだろう。あくまで主催や現場の人の主体性、そして何よりもセンスは重視、尊重されてしかるべきだ。
なぜ、今これほどまで「若者デモ」が広がりを見せ、社会にインパクトを与えているのか。恐らく、かつてのデモのイメージを払拭したからだろう。デモは民主主義における正当な行為であり、そこに疑う余地はない。にも関わらず、今まではデモに対して良いイメージがなかった人が多かった。現代の若者のセンスが日本を変えたとも言えるかもしれない。

その街の雰囲気や参加者のノリ、TPOを考えてこれからも思い思いのデモを行なっていくことが必要だ。日本にデモ文化を根付かせるのは、もう難しいとは思わない。
ここ青森でも若者たちが自分たちの考えでデモが行なわれている。


[2015年8月22日(土)・青森県]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
人々の様々な抗議の様子を伝える写真ルポ「理央眼」を『紙の爆弾』(鹿砦社)で、
全国の反原発デモを撮影したフォトエッセイ「ALL STOOD STILL」を『NO NUKES voice』(鹿砦社)にて連載中。

《ウィークリー理央眼》
◎《022》戦争法案に反対する若者たち VOL.16 仙台
◎《021》戦争法案に反対する若者たち VOL.15 秋田
◎《020》戦争法案に反対する若者たち VOL.14 渋谷
◎《019》戦争法案に反対する若者たち VOL.13 福岡
◎《018》戦争法案に反対する若者たち VOL.12 福島

するな戦争!止めろ再稼働!『NO NUKES voice vol.5』創刊1周年記念特別号!

タブーなきスキャンダルマガジン『紙の爆弾』10月号発売中!

[総力特集]安倍晋三の核心!
体調悪化、原発回帰、カルト宗教、対米追従、芸能人脈、癒着企業の深層と真相

 

8月9日(日)、宮城県仙台市青葉区で安全保障関連法案に反対するデモが行われた。
このデモを呼びかけたのは仙台市内の大学生約20名からなる「SEALDs TOHOKU(自由と民主主義のための学生緊急行動 – 東北)」だ。毎週金曜に国会前で巨大抗議行動を行う学生団体SEALDsの動きに呼応し、東北の学生らによって7月に結成された。この日は東京からSEALDsのメンバーや近隣県からの学生、宮城県内で法案に反対する人々などが参加し、総勢500人が仙台の街で反対の声をあげた。


[動画]戦争法案ヤバいっしょ!学生デモパレードin宮城/SEALDs TOHOKU – 2015.8.9 仙台市(13分39秒)

できれば映像を視聴し、デモの雰囲気を感じ、コールやスピーチを聞いてもらいたいのだが、時間がない場合は以下のスピーチの書き起こしだけでも読んでもらいたい。

大学生(女性)
「初めてひとりぼっちで東京の学生デモに参加してから一年。まさか自分たちでデモをおこす日が来るなんて夢にも思っていませんでした。でも『一緒にデモ行くよ』っていう友達がいたから、『宮城でデモあるなら行く』っていう友達がいたから、だから学生が自分たちの声を上げる場所を作りたいと思って今日こうやってみんなで集まってます。『デモなんて意味ない』っていう人もいるけど私はそうは思いません。民意と事実を目に見えるようにする、訴えが広がれば広がるほどメディアを通して必ず政治家も無視できない存在になります。それと同時に私はデモができる時代に生きていきたいと思っています。嫌なことに『嫌だ』ってきちんと言える国で生きていきたいからこうやって声を上げています。いろんな意見がありますが、それでも私は今回の法案や決め方に絶対納得いきません」

大学生(女性)
「私たちは目立ちたい訳でも、パフォーマンスがしたい訳でもありません。政治がもっと日常的なものであるべきだと、社会の意思決定は偉そうな政治家ではなく、私たちがするんだということを自分たちの姿で示したいんです。だって民主主義です。みなさん、一緒にこの社会について、自分たちの生きる社会について真剣に考えましょう。血に染まった歴史を繰り返すのはもうやめましょう。国民が国の駒になる時代には終止符を打ちましょう。そして全ての個人が一人の人間として尊重される社会を共に作りましょう。今日は図らずも、原子爆弾が長崎に落とされてから70年の日です。悲しみの記憶を希望の明日の為の力にしましょう。人間は歴史に学ぶことができます。8月9日、私は戦争法案に反対します」

高校生(女性)
「政治のことを学校で話すことがタブーだというこの時代、覆してやりませんか。『子供だから黙ってろ』って言われるかもしれません。実際何度も言われてきています。でも黙ってたら賛成だと思われてしまいます。私たちはただ見世物の為にこのデモパレードをしているわけではありません。自分たちの未来は自分たちで作っていきたいじゃありませんか。本当はこんなことしたくない、こんなところに身を削ってまで声を上げたくない、でもこんな時代だから、こんな時代に生れたから、自分は黙って見てて決まったことに『そうなんだ』って軽い言葉で収めてしまう傍観者にはなりたくない。原発問題を含め、私たち若者の未来は私達が声を上げないと、とんでもないことになります。だからみなさん、声を上げてみることからしてみませんか」

SEALDs TOHOKUも、単に戦争法への反対だけでなく、『民主主義』や『人権』を守るという意思があり、SEALDsの主張する『フルスペックの民主主義』の考えも共有しているのだと感じた。
女性のスピーチにあった『国民が国の駒になる時代には終止符を打ちましょう』という言葉は、東京ではおなじみのコールである『言うこと聞かせる番だ俺たちが』を東北の人が奥ゆかしく言うとそうなるのかもしれない。『東北だって黙ってないさ』というプラカードも象徴的だ。

全体的にスピーチからデモへの偏見の強さというか、デモ参加のハードルが高いという認識があることが伝わってきた。確かに東北では、まだまだデモが一般的・普通なことではないと私も感じている。
聞いてみると、「デモに行ってる人」として狭いコミュニティの中で思われてしまうのが嫌だとか、「デモはダサい」というイメージが参加の妨げになっているようだ。東日本大震災直後から比べると、デモを取り巻く状況は改善されてきているものの、それでも「デモに参加している人は特殊な人だ」という認識の人がまだまだ少なくない。
今回のデモの名称が「デモ”パレード”」となっていることに気付いただろうか。このデモに限らず、デモのマイナスイメージの払拭の為に「デモパレード」という名称を用いることがある。「デモ」だと怖かったり堅かったりするからパレードの明るいイメージを足したい、「パレード」だと祝祭あるいは遊んでいるイメージがあるから真面目なイメージを足したい、などの意図があってのことだ。

そんな仙台に若者をこんなに集めたデモが行なわれた。
デモの前日まで「七夕まつり」が行われていた仙台らしく、サウンドカーに七夕飾りのくす玉吹流しが付けられていた。荷台に人が乗らず、飾りが乗っているサウンドカーは初めて見た。リズミカルなコールや色鮮やかなプラカードが、今までなかった街の風景を作り出している。
若者が行けるデモがここにはある。もう一人ではない。



[2015年8月9日(日)・宮城県]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
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◎《020》戦争法案に反対する若者たち VOL.14 渋谷
◎《019》戦争法案に反対する若者たち VOL.13 福岡
◎《018》戦争法案に反対する若者たち VOL.12 福島
◎《017》戦争法案に反対する若者たち VOL.11 長崎

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8月8日(土)、秋田県秋田市で安保関連法案(戦争法案)に反対するデモが行われた。
10代~30代の若者で7月に立ち上げた「SPADA(Sprout Peace and Democracy Akita:平和と民主主義を広げる秋田青年の会/スパーダ)」が主催した。若者の呼びかけによるデモは秋田では初めてのことだという。


[動画]青年主催 安保法案反対のデモin秋田 – 2015.8.8 秋田市(3分23秒)

遂に若者デモの波が秋田まで押し寄せ、安保法案に反対するデモが若者によって行なわれることとなった。
過去に3度、秋田市でデモの撮影をしたことがあるが、若者がデモにいるのを見た事はなく、今回の秋田での動きには驚いている。同じ土地に3回行って1人も若い人がいなかったのは秋田ぐらいで、秋田はデモ参加者の年齢が圧倒的に高い土地だ。
失礼を承知で言えば、このデモに参加している若者は多少年齢が高いし人数も少なかった。とはいえ、今までの秋田のデモの光景を考慮すると非常に画期的で、素晴らしい動きだと私は感じている。

これまで「若者デモ」と漠然と言ってきたが、取材を通してその条件を導き出した。以下の3つの条件が満たされていれば「若者デモ」と呼んで差し支えないと私は思っている。
・主催が若者(10代~30代)である
・若者率が参加者の1割以上を占める
・ネットで積極的に告知をしている

これまでのデモの中心的存在である中年が行なうデモとの違いを考えるとこれでいいはずだ。
普段のデモに全く若者がいないような地域でも「若者デモ」と銘打ったデモには少なくとも1割は若者が占めていた。数値的には低いと言わざるを得ないのかもしれないが、この数でも実際の現場としては驚くべき変化があり、もはやビジュアル革命だ。一般的には分かり辛いし、伝わらないかもしれないが、地方のデモでもそれなりの変化が起こっているということだけは覚えておいて欲しい。

シュプレヒコールは秋田のデモとしては珍しいショートコールのみで、しかも楽器が使われていた。その楽器が変わっていて、軽トラの荷台に搭載した和太鼓を叩いてリズムを取っていたのだ。これは、いわばアコースティックサウンドカーだ。車のチョイスも渋いし、なかなか出来ないデモのやり方だと感心した。

今回、デモを撮影していて、赤信号を進もうとしたデモ先頭の横断幕の人に「信号が赤なので止まってくださーい!!」と叫んで私が止めた一幕があった。デモを主催したSPADAは、デモを行なうのが初めてということで色々と不慣れかつスタッフも少なくて、なかなか目が届いていなかったので私が注意した。警備の警察官の指示がない場合、赤信号で止まらなければいけない。
その他、デモ隊がバス停や横断歩道等を塞いでいたりすると市民生活に支障が出たり、デモへの印象が悪くなったりするので、私は撮影中であっても即座にデモ隊を誘導したり注意したりする。良い絵を撮る以上にすべきことがあるという考えだ。「お前は誰だ?」という顔をされるのだが「~だから、~してください」と丁寧に説明しながら誘導をするので、納得して動いてくれる。
本来はデモ参加者の一人一人が注意すべきことなのだが、アピールに夢中だと意識がそちらに行ってしまうのは仕方ないとも言える。

実は、秋田駅前を所管する秋田中央警察署のデモ警備は珍しい方式で、信号無視をしそうになったのはデモ側の問題だけでなく、警察にも問題があると私は思っている。
その警備方法なのだが、デモに直接同行して徒歩で警備・誘導する警察官はおらず、デモ隊の最後尾にパトカー1台だけが付いていく、あとはデモコースの主要な信号機そばに警察官をあらかじめ配置しておき、デモ隊が来たら信号を操作したり、車を誘導したりする、というものだ。デモが通り過ぎた「信号機要員」の警察官は、先回りして次の持ち場に就くか、役目を終え警察署に帰還する。
この方式は、同じ東北地方の山形警察署(※山形県山形市等を所管)でも採用されている。
しかし、秋田市のデモコースは秋田駅東口周辺を円を描くような形で進むので、最初の信号から次の信号までショートカットが可能なのだが、山形市のデモコースは直線なので、次の持ち場へ行く警察官は走ってデモ隊を追い越し次の信号機へ行く必要がある。山形市のデモは制服警察官が全力疾走している姿が見られる珍しいデモだ。
ちなみに、銀座等を所管する警視庁・築地警察署・警備課の「信号機要員」は自転車を使って次の信号機へ移動をしている。自転車移動は比較的ポピュラーなデモ警備の手段である。
山形のお巡りさんにも自転車を使わせてあげて欲しいと彼らの走る姿を見て思う。もしかしたら、冬は雪が積もる地域なので年間を通して使えない自転車は備品として認められないとか、そんなことがあるのかもしれない。
恐らく、警察署には何台かの自転車はあるだろうが、いくら考えても分からないので、次に山形に行ったら事情を聞き、更にはデモ警備での自転車使用を提案してみるつもりだ。

この秋田・山形方式の警備は、警察側からしたら少人数でスムーズにデモを進行させることができるので便利なのだろう。デモ側からしても直接警備する警官がいないのでデモ隊への圧迫感もなく自由に出来て良いはずだ。車道上に警察官がいないので写真も撮りやすい。
しかし、一部の警察官がいない信号では注意しなければならず、中途半端に警察官がいる分、油断してしまい信号無視をしそうになった。
もう自動車免許の講習のようであるが、デモ参加者には「車道を歩いている自覚」を持ってもらうしかないので、場合によってはデモ出発前に車道を歩く事についての注意をしたほうが良いかもしれない。警備スタッフが少ない場合は特に必要な気がする。

「何も言わなければ賛成するのと変わらない」そう叫ぶ、秋田の若者たちは和太鼓と共に立ち上がった。



[2015年8月8日(土)・秋田県]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
人々の様々な抗議の様子を伝える写真ルポ「理央眼」を『紙の爆弾』(鹿砦社)で、
全国の反原発デモを撮影したフォトエッセイ「ALL STOOD STILL」を『NO NUKES voice』(鹿砦社)にて連載中。

《ウィークリー理央眼》
◎《020》戦争法案に反対する若者たち VOL.14 渋谷
◎《019》戦争法案に反対する若者たち VOL.13 福岡
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8月2日(日)、東京都渋谷区で安保関連法案(戦争法案)に反対するデモが行われた。
主催したのは、SNSやネットを通じて集まった高校生約30名が立ち上げた「T-nsSOWL(ティーンズソウル)」だ。日曜日の渋谷の街を練り歩き、安保法案の反対と選挙権の18歳以上への引き下げの二大テーマについて、同世代への関心を高めるために呼びかけた。
高校生に対しては制服での参加が推奨されたり、スピーチでは「テレビカメラやパソコンの前にいる高校生」に対しての言及もあり、主催者は街を歩く人はもちろんネットでの写真や映像の拡散を明確に意識していた。またSNSでの告知には「#制服デモ」のハッシュダグが用いられ、早い段階から主催と参加者の双方でどのようなデモのビジュアルを作るかが共有されていた。


当日参加した約5,000名の中には大人の姿も多く見られたが、彼らは主催側の意図を理解して多くは後ろの梯団に回って、「先頭を行く子供達、後方を支える大人達」という画作りに積極的に協力した。デモ隊のゴールシーンでは先に到着した高校生たちが大人達を迎えていた。
高校生の呼びかけで生まれた世代間の繋がりを是非とも映像で感じて欲しい。


[動画]戦争法案に反対する渋谷・高校生デモ – 2015.8.2(21分8秒)

このデモを呼びかけた男子高校生は、サウンドカー上からこう言った。

「僕は少し前まで高校生が政治や憲法に興味を持つ事はどこか違和感があると感じていました。
ですが、こうやって活動している中で、僕は思いました。
高校生に政治に関心を持たせないようにしているのは社会の空気だと。
だから今、学校では政治の話はタブーになりつつあります。
早ければ来年の夏、選挙権が18歳に引き下げられます。
今こそ高校生が政治について関心を持たなければならないんじゃないんでしょうか。
このままでは『まあ選挙権を取ったから、とりま選挙に行ってみるけど、
どこに入れていいか分からないし、大きいし自民党でいいや』と、
そういう票を伸ばす結果になってしまい、
そういう人が増えれば増えるほど、権力者が喜ぶのです。
何故かって、それは何も考えずにただ票を入れてくれるんだから知らぬ間に、
暮らしづらい社会になってしまうんじゃないかと、僕は思います。
だから、僕らは今回高校生に興味を持ってもらうため、
高校生が参加しやすいデモを企画し、実行しました。
このデモをきっかけに、今日来てくれている高校生や、
今渋谷の街を歩いている高校生や、今テレビカメラやパソコンの前にいる高校生に、
『僕らが有権者である』っていうことと、
僕らが今後、安倍みたいな独裁者を止め、歯止めする、
そういう人達になるんだという重要さとチャンスを少しでも感じてもらいたいなと思います」

このスピーチを聞けば、彼らがしっかり考えて行動を起こしたことが充分に分かると思う。
しかも、相当に勇気を出して、人前に立つことを決めたはずである。それは「最初の一歩を踏み出す不安」よりも「安倍政権が国民に抱かせる不安」の方が遥かに大きいから、全国各地で若者たちの反対の声が上がっているのだろう。

高校生から老人まで、ありとあらゆる世代がこの法案に反対の声を上げている。それが今の日本だ。政権は反対の声を聞け。


[2015年8月2日(日)・東京都]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
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7月29日(水)、福岡県福岡市中央区で安保関連法案(戦争法案)に反対するデモが行われた。
安倍政権が7月15日に行なった強行採決に危機感を抱き、自ら動かなければと福岡の大学生らが「FUKUOKA YOUTH MOVEMENT」を結成した。デモを主催したことがないのと、大学のテスト期間が重なり準備は大変だったというが、初めてのデモを滞りなく行なっていた。


[動画]安保法案いけんくない!?パレードデモ@福岡 – 2015.7.29 福岡市(8分19秒)

ローカル感あふれる「方言シュプレヒコール」が天神の街に響いた。
今回のデモの為に学生たちが意見を出し合って決めたものだ。デモそのものが怖く、デモで叫ばれる強い言葉が怖かったから、柔らかめの言葉をチョイスしたという。

「安保法案はいけんばい!」
「集団的自衛権はいけん!」
「憲法守らん総理はいらん!」
「うちらで権力しばろうよ!」
「憲法9条がよかろうもん!」
「何よりいのちをまもろうよ!」
「憲法!」「守れ!」
「権力!」「縛ろう!」
「憲法!」「壊すな!」
「いのちを!」「守ろう!」

東京や関西で大学生が立ち上がり、遂に福岡でも大学生によるデモが行われ、他でもない福岡が感じられた。

彼らは言う、若い人達にもっと政治に関心を持って様々なことについて積極的に考えて欲しい、と。
そして、単に、法案に対してNO!と言うだけではなく、自分たちがデモをして人前に立つことによって、今日本で起っていることを、同世代の若い人たちに、ちゃんと自分のこととして考えてもらうきっかけになって欲しいとの願いも込めて、今回のデモを企画し実行したのだ。

デモ出発の前と後に行なわれた参加者スピーチは、事前に原稿が用意されていたものではなく、参加した若者たちの生の声が聞けた。
以下、少し長いがその一部を書き起したので読んでみて欲しい。

女性「安倍さん悪いと思うんですけど、今日本にいるみんなが関心を持っていないっていうのも一つあると思って、だから自由にされちゃうっていうのはあると思うんですよ。それでわたしは今関心のない人達の気持ちをちょっとでもかき立てて、今まで私達の先輩達が作り上げてきた、ずっと守ってきた平和、その平和を守ってきた憲法っていうのを守りたいと思って、その思いを今の世代の若い人達、次の世代を担う若い人達に知って欲しいと思って今活動しています。本来は憲法って言うのは権力者を縛る為のものであるのに、国民がそれによって不利益を被るようなことがあるのは絶対にいけないと思います。その思いを伝えるのはもちろんなんですけれども、やっぱり若い人達がたくさんいる天神で、関心の無い若い人達が自分の意見を持てるように、私は活動していきたいと思っています」

女性「初めてこのようなデモに参加してすごく緊張しました。それに先頭も歩いてしまって、こんな私が歩いていいのかなって思いましたけど、私達若い人が先頭に立って歩いて、声を上げて行かないと、全然安倍さんにも伝わりません。歩きながら何か言われたりもしましたけど、私達は私達の声を上げていきましょう」

女性「生活保護費の総支給額よりずっと高い、この5兆円を使って私たちの頭の上に戦闘機を飛ばし、きれいな海を埋め立て基地を作り、そして隣の国を恐れ、彼らを貶めるような言葉をぶつけ合うような、そんな中で守られる平和を私たちは平和と呼ぶんでしょうか。彼らの言う抑止力なんて、きっと嘘っぱちだと、私はそう思ってここに来ました。もう今日から私たち、若者は立ち上がります。この福岡という街は、アジアのリーダー都市だと、そういうようなスローガン掲げています。それならば、こんな小さな島を出て、私たちは、いろんな場所で、いろんな友達を作ります。いろんな人たちと、いろんな言葉で、互いの文化を交わし合って、歌を歌いながら、いつか軍事の、基地や戦闘機じゃなくて、私たち、ひとりひとりが、そんな戦争の抑止力なんだと、いつか言ってやりたいと思って、ここに集まりました」

女性「今日初めてデモっていうものに参加して、且つ主催者っていう立場で、何もわからなくて参加したんですけど、直前とかもどれだけの人達が来てくれるんだろうって思って、すごいドキドキしながら待ってたんですけど、こんなにたくさんの人が来て一緒に声を上げてくれて、すごく今心強い気持ちです。新聞とかを読んでいて集団的自衛権とかいろいろ出てきて、わかんないから自分なりにすごく勉強して、国会中継とかも見て、政府が出してるQ&Aも読んで、でもどれだけ見てもわからなくて、すごく不安な気持ちとか怖い気持ちになって、その不安な気持ちとか怖い気持ちっていうのを、解消してくれる答えが全然見つけられなくて、きっとそういう人がいっぱいいて、そういう気持ちでみんな集まってくれたのかなと思います」

男性「僕は今大学三年生です。今日初めてこのデモに参加しました。率直な感想としては、こういう風に声を上げるっていうのは、本当に勇気がいるなあっていう風に思いました。最初、ここに来た時、僕は震えていました。今も若干震えています。でも、こうやって声を上げるっていうことは非常に大事な事だと思います」「今この流れが全国各地に広がっています。この運動をこの先もずっと継続的に続けて行けたらと思っています。みなさん様々な考えを持って参加してるとは思うんですけど、今日こういう風にして自らの考えを示す事が出来たっていうのは、大きな一歩だと思っています」

男性「同じ大学生が何か声を上げてるっていう事で、気になって法案を調べてみたら、色々おかしなところがあるみたいで、それで何よりも僕が反対したいのは、自分、友達に自衛隊の子がいるんですけど、その子を戦地に派遣する法案を僕は絶対に通す事は出来ないと思いました。自分の一緒に部活とかをしてきた仲間が、まるでスプラッター映画のように戦地で殺されるような様は絶対に想像したくないし、それに反対するために何かしとかないと絶対に後から後悔すると思ってこの活動に参加させてもらいました。最初怖かったんですけど、本当に参加してよかったと思いました」

女性「今日も高校生も来てくれて、でも制服姿だからそんなに前には出れないけど、でも来てくれて、それって本当に草の根的にというか、本当に名も無い人達が声を上げてきてる、全然政治の話は意識高いやつがやってるとか、そういう問題ではなくて、自分たち一人一人の問題なんだっていうのを、今日デモをしてみて自分でも実感したし、またこれをいろんな人に広げていかないといけないなって思いました」

自らの行動に対し不安や恐怖と同時に希望を感じ、現状を一緒に変えようという気持ちが溢れ出ていた。
勇気を出して表に立った彼らの後ろには、まだ見ぬ多くの若者たちが見えたような気がした。



[2015年7月29日(水)・福岡県]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
人々の様々な抗議の様子を伝える写真ルポ「理央眼」を『紙の爆弾』(鹿砦社)で、
全国の反原発デモを撮影したフォトエッセイ「ALL STOOD STILL」を『NO NUKES voice』(鹿砦社)にて連載中。

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◎《014》緊急寄稿・朝日新聞と冨永特別編集委員のおわび

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