《新刊案内》髙見元博=著『ミッシングリンク 日本左派運動の失環』

髙見元博=著『ミッシングリンク 日本左派運動の失環』
四六判 128ページ ソフトカバー装 
定価1210円(税込み)10月17日発売!

私たちはどこで間違えたのか──
なぜ日本では左派は衰退し続けるのか。
日本左派の混迷の中に光明はあるのか。
半世紀余り、左派の高揚期から
低迷期を体験してきた著者が
左派復活のカギを提案する!
“彼らは本気だ、しかし、われわれも本気だ”

【もくじ】
植民地主義── 許されざるガザのジェノサイド── ふたつの世界への分裂 
「自己責任論」と小泉反動 
労働運動解体と再興── 全日建関生支部 
乗りこえの運動としての新左翼=「マルクス・レーニン主義」の誤り=【ガラパゴス日本左翼】 
エセ「マルクス主義者」たちにマルクスは激怒した 
ロシアのエセ「マルクス主義者」たち 
「人民の意志党」を継いだ「社会革命党(エスエル党)」 
左翼エスエル党とボリシェヴィキ── 誰がマルクスを継承したのか 

《革命と民主主義》
 【もっとも民主的な「ソビエト」の樹立と、ボリシェヴィキの一党独裁による空洞化・形骸化】 
第二回全露労働者・兵士代表ソビエト議会 
農民代表ソビエト全ロシア大会
憲法制定議会 
第三回全ロシア労働者・兵士・農民代表ソビエト大会 
「ボリシェヴィキ」の反民主主義性はどこにあるのか 
ブレスト・リトフスク条約 
第四回全露ソビエト大会── ブレスト・リトフスク条約の承認 
マフノ軍(ウクライナ革命反乱軍) 
ボリシェヴィキと農民との内戦の開始 
穀物徴発
貧農委員会(Kombed) 
第五回ソビエト大会── 民主的ソビエトからボリシェヴィキ一党独裁への変質 
「左翼エスエル党」の反乱 
タンボフ農民反乱 
ボリシェヴィキの残虐 
現代に引き継がれた一党独裁主義=理性なき「内ゲバ」主義 

著者について
髙見元博(たかみもとひろ)
1951年生まれ。1960年代高校造叛学園闘争を闘う。甲南大学卒。反戦青年委員会(ベトナム戦争に反対するため「総評」が作った青年労働者の大衆組織)に加入。大学生協職員などを経て1977年郵政省職員。全逓信労働組合に加盟し、1978年年賀状配達を止めた越年順法闘争を闘い1979年より支部青年部副部長(分会青年部長)を2期務める。1991年職業病である頚肩腕症候群を原因とする精神障害により免職。解雇撤回を争い1999年神戸地裁で解雇取消しの勝訴、2000年大阪高裁で逆転敗訴、同年最高裁で敗訴確定。1994年兵庫県精神障害者連絡会結成に加わり、現在代表を務める。1995年まで「全国『精神病』者集団」の執行委員である「事務局員」を勤めた。
共著書として、『生きている!殺すな!』(山吹書店)『重度精神障害を生きる』(批評社)。

※予約申し込みは、
鹿砦社販売部 sales@rokusaisha.com
②Amazonなどネット書店 https://www.amazon.co.jp/dp/4846315916/
③最寄りの書店にお願いいたします。

〈原点〉に立ち返り苦境を打破し『紙の爆弾』『季節』の発行継続、鹿砦社の出版活動継続へ更なるご支援を!

鹿砦社の新刊/既刊の書籍購入、『紙爆』『季節』の定期購読(新規、継続、前倒し更新)、会員入会、カンパなどで、『紙爆』『季節』発行継続、苦戦する鹿砦社の言論・出版活動継続へ更に圧倒的なご支援をお願いいたします! 

鹿砦社代表 松岡利康

『紙の爆弾』『季節』を愛し、鹿砦社の言論・出版活動を支持される皆様!

このかん私たちは、1985年(偶然ながら本年同様阪神タイガースが優勝した年)、私松岡が、10年間のサラリーマン生活を辞め、期待と不安のなか本格的に出版の世界に飛び込み、この際、その数年前に、(どういう経緯かは覚えていませんが)知り合った歴史家の小山弘健先生の最期の著書『戦前日本マルクス主義と軍事科学』の編集作業の過程で教えていただいた、
「われわれの出版の目的は、一、二年で忘れ去られることのない本を作ることである」
というクラウゼヴィッツの言葉に非常に感銘を受け、これを〈原点〉として、徒手空拳でスタートしました。偶然に書庫解約・整理の過程でその本が1箱出て来て、あらためて思い出した次第です。

クラウゼヴィッツの畢生の大著『戦争論』が「一、二年で忘れ去られることのない本」であることは言うまでもありません。果たして私(たち)はこういう本を作って来たのか!?

そうして出発したのですが、出版を甘く見ていたことを痛感するのに時間はかかりませんでした。まずはスキルの面、しかしこれも偶然に府川充男さんという稀有の活字研究家にして装丁、編集のプロに出会い教えていただき、編集技術を習得することができました。府川さんは私より1学年上、存命中ですが闘病中で、最近も、かつて府川さんが装丁された当時の書籍が書庫整理の過程で出てきたので送り電話で話したところです。

ちなみに、私はまさに芸術品の府川さんの校正を見て感嘆し習得したのですが、『季節』編集長・小島卓も『季節』夏・秋合併号に掲載された山本義隆さんの長大な講演録の校正紙が、まさに芸術品で「家宝」にするほどだと言っています。やはり一流の人は校正作業も蔑ろにせずしっかりやるということでしょうか。

爾来40年、前述したように、果たしてどれだけ「一、二年で忘れ去られることのない本」を作って来たのか冷汗物ですが、やはりこのクラウゼヴィッツの言葉こそが、今に至るも私たちの出版の〈原点〉だといえましょう。

◆いろいろあった40年、浮き沈みの激しかった出版人生でした

40年の間にはいろいろなことがありました。やはり一番大きかった事件は、「名誉毀損」に名を借りた言論・出版弾圧事件でしょう。松岡逮捕、192日間の勾留(人質司法。半分は接見禁止)、多額の賠償金(控訴審で倍額600万円余りに)、有罪判決(幸いに執行猶予付き)など、これまでの出版の世界では初めてのことで(かの『噂の眞相』でさえ在宅起訴)、「まさか」の出来事でしたが、会社は壊滅的打撃を受けました。その事件前後も、ヒットが続きカネ余りの状態になったり、逆に転落して苦境に陥ったり……大小の浮き沈みを幾度となく経験もしました。

最近の新型コロナによる打撃は、想像以上に大きく、今に至るも回復せず苦境に陥ったままです。せっかく復活したので、もう二度と落ち込まないことを誓い頑張って来たのですが……。

本年は『紙の爆弾』創刊20年?出版弾圧20年ということでしたが、苦境脱出に弾みをつける目的もあり、4・5東京、7・12関西と二つの「反転攻勢の集い」を開かせていただき、多くの方々がご参集され盛況のうちに終了することができました。

ご参加された多くの皆様方、あるいは参加できずとも支援金をお送りいただいた方々── その二つの「反転攻勢の集い」における多くの皆様方の叱咤激励を受け、苦境を打破し次の10年に向けて再出発に歩み出したところです。

おそらく皆様方のご支援がなかったら、とっくに会社は潰れていたでしょう。皆様方のご支援によって、なんとか青色吐息ながら『紙爆』、そしてこの増刊号で唯一の反原発情報誌『季節』とも発行を継続でき、さらには書籍も刊行できています。

これまでご支援いただいてきた皆様方も、私たちの非力でなかなか苦境を突破できないことに焦れておられ忸怩たる想いですが、復活を信じていただき、もうひと踏ん張りご支援をいただけないでしょうか。前述した20年前の「名誉毀損」に名を借りた逮捕事件で壊滅的打撃を受けつつも復活できたのですから、必ず復活はできる!と信じ日々頑張っています。

◆基本は本を買ってご支援!

私たちは本や雑誌を出す出版社ですから、本を買ってご支援いただくことが基本です。

特にこの夏、歴史的な猛暑のさなか刊行した『季節』夏・秋合併号、野田正彰・著『流行精神病の時代』、『3・11の彼方から』の3冊を、未購読の皆様には、まずもってぜひご購読お願いいたします! この3冊は、間違いなく「一、二年で忘れ去られることのない本」です。

さらに余裕がある方には1口5万円の特別カンパも先月お願いし、応じていただいた方もおられますが、正念場である今こそ集中してお願いいたします! 例えば、お一人2口10万円、100人いらっしゃれば1千万円で一気に資金的蓄積も出来、支払いや資金繰りの計画も円滑にできます。

◆倉庫代に絶えられず、断裁危機の『紙の爆弾』バックナンバーのご購入を要請します!

もう一つは、高額な倉庫代が負担で、全般的な処分(総量削減)を迫られています。具体的には、創刊から20年間に溜まっている『紙の爆弾』の在庫の処分(断裁廃棄)を年末の繁忙期に入る前(つまり11月末まで)にやるように倉庫会社から迫られています。

実は、取引してきた倉庫会社は某老舗出版社の子会社で、私が鹿砦社を引き継いだ1980年代後半から取引し在庫管理、出庫、返品受領などの全般を委託してきましたが、昨年からその会社が会社整理し身売り、経営が換わり、取引も厳しくなってきました。

なので、『紙の爆弾』を愛する皆様方に、断裁されこの世からなくなる前に早急に『紙爆』のバックナンバーを、まとめてご購入いただきますようお願いいたします。応じていただける場合は、数量により割引もさせていただきます。本社・松岡までご連絡、ご相談ください。

◆ガンと闘う書家・龍一郎と共に!

毎年好評の鹿砦社カレンダーを15年近く揮毫している、大学の後輩で書家の龍一郎が左肺の半分を取りガンと闘っています。数年前は大動脈解離で倒れましたが、これが一段落したと思ったら今度は肺ガンです。この龍一郎に比べれば、私たちの苦難もまだマシです。龍一郎も、ガンに打ち勝つことを信じ闘っています。私たちも苦境打破、再復活を信じ全力で闘います! 私たちは決して諦めていません。更に圧倒的なご支援をよろしくお願いいたします!

◆ご支援やカンパ、本のご購入は、『紙の爆弾』『季節』に投げ込んである赤い振替用紙をお使いいただくのが手数料も不要で簡便です。

鹿砦社の新刊 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?group=new

10・5山﨑博昭プロジェクト2025年秋の東京集会と墓参に参加してきました!

鹿砦社代表 松岡利康

10月5日に山﨑博昭プロジェクト秋の東京集会に初めて参加しました。

この日、山本義隆さんが講演されるというので、『季節』夏・秋合併号に長大な講演録を寄稿いただいたお礼かたがた、その前の墓参も併せ参加しました。山本さんからも事前に直接お電話をいただき、「集会に参加し『季節』夏・秋合併号と『3・11の彼方から』を売るように」言われ、重たい本を携え参加した次第です。

こうしたこと(講演会やイベントで本を売ること)は、これまでもよくやってきました。しかし講演会では本はあまり売れず、帰りに重たい本を持ち帰るのは疲れるものですが、幸いにほとんど売れ、新幹線代の一部にさせていただきました。

山本さんの講演のテーマは、専門の科学史や物理学ではなく、
「テクノファシズムと高度成長 戦後80年を顧みて」
でした。山本さんらしく、詳細なレジメを作成され配布されました。

知っている方では、重信房子さんや水戸喜世子さんらも参加されていて再会を喜び合いました。

この日の報告は後日「山﨑博昭プロジェクト」のサイトに掲載されると思いますのでご覧ください。

10・5山﨑博昭プロジェクト2025年秋の東京集会での山本さんの講演の様子

『紙の爆弾』11月号に寄せて

中川志大 『紙の爆弾』編集長

自民党総裁選は前回に見た面々、誰が勝っても同じという不毛なものでした。自民党にとって昨年より状況が悪化しているのにこれでは……と誰もが思うでしょうが、では誰がいるのかといえば、誰も思いつかない。だから「石破辞めるな」が説得力を持ってしまったのでしょう。むしろ、維新・国民民主、あるいは参政党と、どの補完勢力を選ぶかということの方が、まだ考えようがあります。加えて、自公政権が衆参で少数与党である中で、今回も自民党の総裁選が電波ジャックをすることに正当性があるのか。マスメディアの異常さが、ますます浮き彫りになっています。

総裁選の不毛さを自ら強調するかのように、候補者が「外国人政策」を訴えたことに、参政党躍進の影響があるのは言うまでもありません。付け加えるなら、彼らは参政党を排外主義とみて、それが受けたと考えていることが、その主張の内容から読み取れます。10月号では、「日本人ファースト」がなぜ支持されたのか、その理由に焦点を当てました。大西広慶應義塾・京都大学名誉教授の指摘は、彼らこそ読むべきものです。「日本人」がどういう状態にあるのか、その原因は何なのかに向き合わない限り、国内世論の断絶を含めた「移民問題」は解決に向かいません。

そもそも、排外主義はどこではびこっているのか。個人的な実感をいえば、それなりに共生している地域が大半だと感じます。本誌執筆陣のひとり、木村三浩氏が代表の一水会のX(8月27日付)で、「川口市内各地の住民5000人に治安について聞いたところ、大半が『自宅周辺の治安は良い』と回答したが、同時に大半が『川口市内の治安は悪い』と回答した」という埼玉県川口市議の調査結果が紹介されています。そもそも日本人同士がきちんと共生しているのか。今の混乱状況自体を問題視すべきだと考えています。

消費税減税や政治資金問題の根本解決を封殺した石破首相が、それでも「レガシー」にできたはずだったのが、「パレスチナ国家承認」でした。フランスやイギリスが承認に動く中、石破首相は国連演説で、「イスラエルが『二国家解決』への道を閉ざすさらなる行動をとる場合、パレスチナを国家として承認する」などと述べたのは、まるで自分がカードを持っているかの物言いです。見送りがアメリカ政府を忖度した結果であることは言うまでもありませんが、少なくとも1990年代の日本には、アラブの国々に対して日本の自主外交を示した実例があり、それゆえに国際的な評価を受けていました。当時よりも対米従属が深化していることを、今回の事態は示しています。一方で、フランスをはじめ「承認」に回った国々にも、一定の目論見があるようです。本誌記事で詳細に明かしています。

ほか今月号では、10月13日閉幕の「2025大阪・関西万博」の“成功”をアピールしながら“辞任ドミノ”に揺れる維新の内情を解説。「大川原化工機事件」違法捜査が明らかとなった公安警察の歴史、国際表現規制といわれる「ハノイ条約」について提案国・ロシア外務省を取材、ネパール・インドネシアなどで相次ぐ“デモ暴動化”の理由、「アフリカ・ホームタウン騒動」の裏側など、本誌独自の視点でレポートをお届けします。『紙の爆弾』は全国書店で発売中です。ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2025年11月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2025年10月7日発売
 

石破政権とは何だったのか? 財務省に操られた日本政治の真相 植草一秀
「万博成功」のはずが離党ドミノ 維新「副首都構想」の目的 吉富有治
フランスが動いた意図「パレスチナ国家承認」の真実 広岡裕児
米欧も絡むガザ沖合天然ガス争奪戦 イスラエル暴走の理由と「核危機」 平宮康弘
中国軍事パレードの裏で中ロ首脳の最大関心事 浜田和幸
原子炉格納容器がはらむ6大リスク 柏崎刈羽原発6号機設計者が語る脆弱性 後藤政志
「大川原化工機事件」違法捜査の闇 国民監視組織・公安警察の実相 足立昌勝
大江健三郎も上野千鶴子も“禁書”に?国際表現規制危機「ハノイ条約」とは何か 昼間たかし
日本政府「パレスチナ承認見送り」の大愚 木村三浩
混乱を招いた日本政府の不作為「アフリカ・ホームタウン」騒動の深層 片岡亮
「グローバリズム」はこうして始まった イチからわかるディープ・ステートの正体 広瀬隆
ネパール・インドネシア デモ暴動化の背後 早見慶子
予言への正しい向き合い方 佐藤雅彦
経団連による教育現場介入の危険性 永野厚男
シリーズ日本の冤罪 品川美容外科捜査資料漏洩事件 片岡健

〈連載〉
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER Kダブシャイン
【新連載】ニッポン崩壊の近未来史 西本頑司

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0FTFV61YB/

1960年代 同志社ラジカリズムとは何だったのか?〈同志社大学学友会倶楽部2025年度 第11回ホームカミング・デーの集いご案内〉

鹿砦社代表 松岡利康

同志社大学学友会倶楽部2025年度 第11回ホームカミング・デーの集い
2025年11月9日(日)13時より(12時30分開場)
同志社大学今出川校地良心館 
参加自由(他大学の方もOK)参加費無料

◆同志社大学学友会倶楽部とは?

1960年代から70年代初めにかけての時代は、日本の転換期といわれ、高度成長下、政治、社会、文化・音楽面すべてにわたり大きな発展を遂げた時期でした。

その時代、私たちは同志社大学で青春のエネルギーを費やしました。当時東洋一といわれた旧学生会館での学術団、文連、放送局、新聞局、各学部自治会などで活動した私たちは、大学を離れても、なんとか親睦を深め記録に残す作業を行う目的で結成したのが「学友会倶楽部」で、30年ほど前から活動を行ってまいりました。

年に二、三度、なにかと機会を見つけ連絡を取り合い集まり歓談しておりましたが、2013年から、OBで、広く各分野で活躍している方を招いて講演会を開き毎回100名(最高200名余)前後の方々が全国から集まられ、コロナ禍で開催できない時期を除き盛況のうちに10回を開催することができました。

しかし、代表の堀清明氏や実行委員会スタッフの高齢化とこれに伴う健康不安により、所期の目標だった10回の講演会が終了したことなどで、重篤な持病を抱えつつ輝かしい同大学友会の運動とこの精神の継承のため長年頑張って来られた堀氏が代表を辞され実行委員会もひとまず解散、堀氏から松岡が代表を引き継ぎ本年から新たな態勢で幾分規模を小さくして再出発することになりました。堀氏の人格と経験に遙かに劣る松岡が果たして大任をこなせるか懸念されますが、学友会の歴史と精神を語り継ぐために精一杯奮闘いたします。

◆本年の企画概要

前記のように、同志社大学における文化・音楽、社会、政治(自治会)など多くの領域での活動は、わが国でもひときわ目立った存在でした。たとえば、文化・音楽面では、「関西フォーク」と呼ばれ一世を風靡しましたが、この中でも同志社大学は中心でした。岡林信康、はしだのりひこ、中川五郎(2018年ゲスト)、豊田勇造(2023年ゲスト)……。

また、ベトナム反戦運動の世界的拡がりの中で、「べ平連」(ベトナムに平和を!市民連合)の中心を担ったのも同志社の学生でした(私が入学した70年当時、学館別館1階にボックスがあり、学生会館ホールで開かれたべ平連主催の小田実やジェーン・フォンダの講演は衝撃でした)。

さらに学生運動においては、60年─70年の二つの反安保闘争、ベトナム反戦、沖縄返還問題が国民的関心となる中で、その圧倒的な戦闘性で全国の先進的学友を牽引しました。

こうした事実は、半世紀余りを経た今、いかなる意味を持ち、いかに歴史的評価をされるのか──このことが学友会倶楽部の一貫とした課題でした。

先にご紹介しましたが、1962年に同志社大学に入学された前田良典氏が先頃、いわば、みずからの“回顧録”として、当時の出来事や記憶などを書き溜めたものを編集し、後輩有志の協力を得てまとめ出版されました(書名『野の人』)。知らなかったことも多い内容です。

一般的には無名に近い方ですが、かの塩見孝也氏と同期で、当時の京都の学生運動に関わった方々、とりわけ同大OBの中では知る人ぞ知る方です。

今回は、その前田氏の著書を参考(資料)に、広く全国から同大OB、のみならず他大学OBの方や若い世代の方にもお集まりいただき、世界的にも国内的にも激動の時代だったといえる当時の出来事、そこにおいて同志社大学の学生はいかに行動したのか、「同志社ラジカリズム」といわれる比類なき急進性、戦闘性などについて語り合いたいと考え、今年は標記のテーマを設定いたしました。

ウクライナやパレスチナでの戦争が続き、60年代と似たような情勢になりつつある中で、私たちが後世に語り継ぐものとは? 私たちは老いても問い続けます。このたびの企画もその一環として開かれます。

◆当日の開催場所、時間 

所:同志社大学今出川校地 良心館(現在教室番号未定。10月半ばに同志社大学ホームカミングデーのホームページにて公表とのこと。当日、良心館の入口でもご案内の予定です)
時間:12時30分 開場 受付開始
   13時00分 開始 
   16時00分 終了 

◎主催:同志社大学学友会倶楽部              
〒663-8178 兵庫県西宮市甲子園八番町2-1-301 (株)鹿砦社気付
電話0798-49-5302 FAX0798-49-5309 メールmatsuoka@rokusaisha.com
代表・松岡利康(1970年文学部入学。71年文学部自治委員、72年文学部自治会委員長、73年第98回EVE[大学祭]実行委員長)

《10月のことば》慌てず騒がずじっと手を見る

鹿砦社代表 松岡利康

《10月のことば》慌てず騒がずじっと手を見る(鹿砦社カレンダー2025より。龍一郎揮毫)

「慌てず騒がず」どころか、今回は慌て騒がざるをえません。

先にお知らせしましたように、龍一郎がガンで倒れ左肺の半分を取る手術をするとのことでした。先にお知らせした文面の末尾に「追記」を記しましたが、末尾ということもあってほとんどの方が読まれていませんでしたので、手術後送られてきた龍一郎からのメールを再掲載いたします。

「心配かけて申し訳ない。24日に手術は無事終わりました。手術後の諸々も順調に進んでいます。頑張ります」(9・26,PM17:37)

ひとまずホッと一安心ですが、思い返せば、14年半前の東日本大震災後、フクシマ(の方々)に寄り添り龍一郎の力強い言葉と筆致で激励していこうという主旨で、大学の後輩で書家・の龍一郎と共に、私たちなりの想いを込めたカレンダーを、その年の暮れから毎年お届けしてまいりました。最初は1000部で、主に『紙の爆弾』の定期購読者、営業で回る書店の方々、主な取引先や熱心な読者の方々に、一部の方には、これも龍一郎揮毫のエコバッグに入れて手渡してきました。

大変好評で現在は、『紙の爆弾』の定期購読者が増え『季節』も創刊したことで、1700部を製作・配布しています。

無料ですが、これにかこつけてカレンダーだけをくれという方はお断りしています。昨年もありました。一方で身銭をきって(中には貴重な年金の中から)雑誌を定期購読されている方がいらっしゃるわけですから。私たちがなんで無料にこだわって、このカレンダー を作り届けて来たのかの意味がまるで理解されていない人たちには送りたくありません。カネにあかしてタダで配っているんじゃないぞ!このかんは苦しくてもタダで配っていることの意味を知れ! 

途中から『季節』(当時『NO NUKES voice』)も創刊し、年末に『紙の爆弾』『季節』を発送する際に同封して来ました。これが毎年年末の“恒例”の作業でした。

来年は東日本大震災、そしてこれによって惹き起こされた福島第一原発爆発から15年になります。このこともあり、来年のカレンダーまでは何としてもお届けしたいです。万が一、龍一郎が書けなくなり、鹿砦社が潰れても、15年間ずっと、カレンダーという形で、私たちの想いを伝えて来たという足跡は残り、私たちが知る少数の方であってもこのカレンダーで私たちの想いが伝わっているのは事実なわけで、私たちはそれで清々しい気持ちで一杯です。世の中には、商売ではない人の営みもあるのです。

ガンと闘う魂の書家・龍一郎を応援しよう!

鹿砦社代表 松岡利康

10年以上毎年、福島への応援の想いを込めて鹿砦社カレンダーを揮毫してくれる、大学の後輩で書家の龍一郎から9月18日、下記のようなメールが届きました。手術前に騒ぎたくないと、しばらく伏せておきました。まだ術後の経過は連絡ありませんが、心の中で龍一郎を応援しましょう! 応援してください! 

龍一郎は5年ほど前には大動脈解離で倒れ、次いで連れ合いをガンで亡くしています。彼は、若い頃、一昨日触れた同志社大学学友会で活動し、その後、郷里に帰り教職に就き、全国的に有名になった「ゲルニカ事件」に巻き込まれ、一貫として生徒を信じ生徒の側に立って、全国の心ある先生たちや父兄らと共に最高裁まで裁判闘争を闘いました。頑張れ、龍一郎! (ゲルニカ事件にについて、以前に講演会をやった際の資料が残っていましたので参考にしてください)

「昨日 肺がんの手術が決まりました。
来週 24日です。左肺の半分を切り取ります。
8月のレントゲン撮影で左肺に小さなガげが見つかりました。
それから検査を重ね肺がんと断定されました。
そして昨日手術の予定が決定しました。
さて。カレンダーです。
今年が最後になるかもしれません。
松岡さんの言葉を気合を入れて書きたいと思っています。
半分ほどはもう書いております。
手術後の状態がどのようなものになるか分かりません。
体調がいい時をカレンダー作りに集中するつもりです。
よろしくお願いします。
龍一郎」

【追記】
龍一郎より先ほど(9・26,PM17:37)次のようにメールありました。
「心配かけて申し訳ない。24日に手術は無事終わりました。手術後の諸々も順調に進んでいます。頑張ります」
ひとまずホッと一安心です。闘争勝利!

前田良典小論選集『野の人』が完成しました! 

鹿砦社代表 松岡利康

あれだけ暑かった今夏もようやく過ぎ、彼岸と共に秋の訪れを感じさせる季節となりました。酷暑の中、先輩方と頑張り、同志社大学此春(ししゅん)寮、また同大学友会の尊敬すべき大先輩で1960年代同大学生運動の生き証人の前田良典さんの小論選集『野の人』が完成しお届けできることを皆様方と共に喜び合いたいと思います。

史上空前の猛暑のゆえ、当の前田さんは7月30日に脳梗塞で倒れられ、また数年来の癌と戦いながら、この企画を中心的に進めてこられた先輩KMさんは、あろうことか完成を待たず8月20日に亡くなられました。本書は、まさに死を賭した編集作業によって完成したといえるでしょう。

私松岡は、いわば「遅れて来た青年」(大江健三郎)で、1970年に同志社大学に入学し、以後、〈二つの安保闘争〉をめぐる激動の時代に、その戦闘性で全国の学生運動を牽引した栄光の同志社大学学友会を舞台に活動してまいりました。僭越ながら、私は70年代前半にみずからが関わった学生運動の意味を探究することをライフワークとして出版活動を持続してまいりました。この点では、折に触れ送られてくる、世代の異なる前田さんの卓見に共鳴することが多々ありました。

このたび、そうした前田さんの著作集の編集・出版をおおせつかったことは無上の喜びです。

私たちはまた、元学友会委員長・堀清明さんらと共に「同志社大学学友会倶楽部」という、OBの親睦と交流、そしてかつての闘いの意義を共有し忘れないという活動(記録集出版、講演会など)を長年続けてまいりました。開始以来代表世話人を務めてこられた堀さんが、ご高齢と健康上の都合で代表を辞され、本年から私が引き継がせていただき、規模を小さくすることを余儀なくされつつも、活動を継続することになりました。学友会倶楽部の活動として2013年から、毎年11月初めに行われる大学のホームカミングデーで教室を借り年1回講演会を実施してまいりました。昨年までの実行委員会は初期の目標だった10回の講演会活動が一段落し解散しましたので、まだ固まっていませんが、今後共にやりたいという方がおられましたらご一報ください。

前田さんが活動された1960年代は、時代が大きく変わる転換期でした。それは政治的な面のみならず文化や音楽の面でもそうで、こちらも中川五郎さんや豊田勇造さんらを招いたこともありました。

せっかく1960年代の生き証人でもある前田さんの著作集が出版されましたので、本年は、後輩である私としてはこの本を参考に「1960年代 同志社ラジカリズムとは何だったのか?」をテーマに開催させていただくことにしました。

かつて同志社のキャンパスや旧学生会館を舞台に活動、活躍された皆様方にもぜひご参集いただき、若かった時代に戦争(当時はベトナム戦争)や、社会と世界の不条理に対し闘ったことの〈意味〉を共に語り合おうではありませんか! 

2025年9月24日記

(四六判、上製、本文240ページ 非売品)

【主な内容】
第一章 友人・先輩への追悼集
個と共同(藤本敏夫追悼) 
大森昌也さん追悼 
思い出ボロボロ 堂山道生と私 
同大の先輩たち(中島鎮夫さん・望月躬三さん・片山昌伸さん)
 「境毅(バラ均)さん追悼」走り書き
第二章 同志社ブント・関西ブント記
六〇年代同志社学生運動私記 
    「同志社学生運動」編纂について(コメントひとつ) 
一九六九年ブントに何があったのか 
第三章 同志社此春寮(砂野文枝寮母と寮生)
砂野寮母の生誕と葬送 
砂野ママ葬送一周年追悼集会に寄せて 
深草墓参
同志社リベラル 
第四章 洛南反戦と地域労組
第五章 書 評
第六章 時代論評
時代は回る 
3・11大地震・津波・原発被災と南相馬の村のこと(メモ) 
南相馬への旅 
反原連運動(しばき隊)はスピリチュアル運動か 
「慰安婦と非正規労働」問題(同志社の友人へ) 
原発・沖縄・天皇・障碍者殺害 
ウクライナ戦争と資本主義の変容 
第七章 古代史

▼前田良典(まえだ・よしのり)
1962年同志社大学入学。在学中、同大学友会書記長、京都府学連副委員長を歴任。故・塩見孝也氏とは同期、故・藤本敏夫氏は寮の1年後輩。

◎本書は「非売品」で書店では発売しておりません。ご希望の方は松岡までメールください。刊行会に諮り、ご希望に沿うように努めます。
◎同志社大学ホームカミングデーは11月9日(日)。学友会倶楽部の集いについては後日ご案内。

戦争と原発は核でつながっている ── 10月4日大阪でフォトジャーナリスト豊田直巳さんの緊急報告会を開催します!

尾﨑美代子

10月4日(土)、フォトジャーナリスト豊田直巳さんの緊急報告会を行います。限られた時間内での宣伝となりますが、ぜひご参集ください。

大学の先輩の豊田さんのジャーナリストとしての活躍ぶりは知っておりました。3・11後、私が釜ヶ崎の仲間と支援を始めた福島県飯舘村に足しげく通っていることも知っておりました。

時が流れ、Facebookなどでやり取りするようになったのが今年初め。私は編集委員で関わる反原発雑誌『季節』(鹿砦社発行)の原稿を豊田さんに依頼、最新号に掲載された豊田さんの記事が「ガザからフクシマへ」です。

5月17日、アジアで初めて原発ゼロを実現させた台湾、現地には水戸喜世子さんも行っておりました。さらに『季節』で依頼した豊田さんの写真に水戸さんのお姿もありました。そんな水戸さんと「いつか豊田さんの写真展と講演会をやろうね」と話していたところ、なんと、豊田さんから10月4日に報告会をやってくれないかとお話がありました。一緒に取り組んでくださるのは、水戸さんの娘さんの晶子さん。晶子さんも台湾で豊田さんと出会っていました。晶子さんはパレスチナ問題をもっと広めなくてはと奔走され、10月5日谷町六丁目の書店「隆祥館」で早尾貴紀さんとトークイベントを企画(チラシ参照)しており、豊田さんがせっかく来阪されるなら、4日もどこかでお話出来れば…ということで急遽この報告会がきまりました。

素適なチラシを作って下さった晶子さん、実は「12人の絵本作家が描くおうえんカレンダー」の制作活動を続けております。こちらのカレンダーは当日会場で販売いたします。そこに先の『季節』の豊田さんの文章から抜粋し、「プロジェクトX」風の文章にまとめてみました

その『季節』の豊田さんの文章の最後はこうまとめられています。

私(たち)は「どのように」許さないか。パレスチナからフクシマへの私個人の道のりが示すように、戦争と原発は、つまり戦争の中から生み出された核は、今も密接に結びついている。そのことを改めて私(たち)に実感させたのもやはりイスラエルとアメリカの戦争。イランへの核施設(原子力施設)への国際法違反を承知での攻撃だった。この現行の締め切り間際のこの蛮行を記す現状を、私(たち)は「どのように」許さないかが問われている。

世界各地の紛争地で続く核攻撃と、自国に向けられた核兵器である原発を、一刻も早く止めていこう。

※当日は同じく飯舘村支援を続けてきた「アカリトバリ」のミニライブ、ガザ支援の物販コーナーもあります。

[追記]翌5日(日)には隆祥館書店(谷町六丁目)でも豊田直巳さんのイベントが開催されます。こちらもぜひご参加を!

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0FJXW1RPD/

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)https://www.rokusaisha.com/wp/?cat=57
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

『3・11の彼方から 「季節」(「NO NUKES voice」)セレクション集vol.1』をお届けするにあたって

『季節』編集委員会

私たちの出版活動、特に『季節』をご支援、ご支持される皆様──

『3・11の彼方から 「季節」(「NO NUKES voice」)セレクション集vol.1』がようやく完成いたしました。当初の目論見に反し編集に苦戦、発行が遅れ、ご心配をおかけしました。

印刷所から届いたばかりの『3・11の彼方から』

予想以上に難産でした。しかし、後々に残る立派な本になりました。

本書は、わが国唯一の脱(反)原発情報誌『季節』(前身の『NO NUKES voice』含む)創刊10周年記念事業として企画されました。

当初一巻本として、約400ページで出版する予定でしたが、編集の過程で、収録し後世に残したいものが数多あり、結局608ページで、それも三巻に分けて出版することになりました。史料としての価値も大いにあるものと自負しております。

『季節』は、『NO NUKES voice』の名で2014年8月に創刊いたしました。当初編集長は発案者の鹿砦社代表・松岡が務め、その後、小島卓が引き継ぎ、また誌名も『季節』に改題し現在に至っています。

創刊時、まだ3・11から年月もさほど経っておらず脱(反)原発の機運が盛り上がり国会周辺には多くの人々が結集し抗議の声を挙げていましたが、徐々に減っていき、今はほぼなくなりました。

また、創刊号から小出裕章氏ら錚々たる方々にご協力、ご寄稿賜りながら、私たちの営業力不足で実売的には苦戦し、残念ながらいまだに黒字に転じていません。当初は鹿砦社の景気も好況で、本書の赤字は会社の利益で消していましたのでよかったのですが、多くの企業のように新型コロナ以降、一転不況になり、そうもいかなくなりました。

新型コロナというパンデミックの襲来もありましたが、福島の悲劇の記憶はなしくずし的に風化しようとしています。遺憾なことです。

『季節』の今後につきまして、気分的には発行継続の方針ですが、現実問題としては資金的に困難な情況であることを隠しません。皆様方のご支援をお願いする次第です。まずは本書を一冊買ってご支援ください!

そして、どうか紐解いていただき、気に入れば周囲の知人、友人の方々にもご購読をお薦めいただければ幸いです。

本書vol.2は来年前半、vol.3は来年後半の刊行予定です。ご予約を入れておいていただければ助かります。

まずは『3・11の彼方から』完成のご挨拶にて失礼いたします。今後共『季節』、及び鹿砦社の出版活動をご支援、ご支持お願いいたします。

[A5判、本文608ページ、カバー装、限定500部、定価4950円(税込み)]

Ж お申し込みは、Amazonなどネット書店、最寄りの書店、または直接鹿砦社
本社 j-info@rokusaisha.com まで。

鹿砦社 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?group=new&bookid=0

2025年9月  
『季節』編集委員会  
株式会社 鹿砦社