同志社大学・此春寮先輩の前田良典さんが著書『野の人』を出版

鹿砦社代表 松岡利康

私たちの尊敬する先輩の前田良典(1962年度生)さんが、おそらくその人生において最初で最後の著書『野の人』を出版されることになり、僭越ながら編集・制作・発行を任せていただくことになりました。目次と前田さんの抱負は別記をご参照ください。

前田良典さんと言っても、一般的には無名に近いですが、1960年代、60年安保と70年安保の、いわゆる<二つの安保闘争>の端境期の時代の同志社大学の学生運動を支えた方です。

四六判、240ページほどで、非売品ですが、ご希望の方には郵送料プラスカンパ程度で私のほうから送らせていただきますので、お知らせください。8月末から9月頃の完成予定です。

【追記】前田さんや私、それに、かの藤本敏夫さんがいた寮は此春寮(ししゅんりょう)と言って、定員20数名の小さな寮です。同志社大学今出川キャンパスの近く、相国寺の裏に今でも在ります。

寮母の砂野(いさの)文枝さんは母親の代から寮母を勤め、学徒出陣を見送ったことで極めて反戦意識の強い方で、デモの日に寮にいたら叱られたほどです。

画像は、寮母さんの退職を視野に入れて刊行された寮誌『プロテスト群像――此春寮三〇年史』(1977年刊、B5変形判、306ページ,上製,箱入り)です。砂野さんは本書刊行を見届け1979年3月に退職されました。(松岡利康)

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関係者OB・OGの方々へ近日発刊のお知らせ

エゾフクロウ

前田良典小論選集
『野の人』(同大此春寮30年史のその後) 
                    

今までに後輩から何度か要請されても、私は「大義いなぁ」とその気にならなかったのですが今回改めての此春寮後輩からの要請で本を発刊することになりました。今まで「紙つぶて」のように出して来た私のバラバラの文章をつながるように後輩たちが何とか直して編集してくれて出版の運びになりました。これまでの文章には70年以降身辺に起きることへの対処と同時に「69年」への無念と不遜ながら原因と責任を書いて来ました。出版に当たってはそれを追悼文に集約しました。ここで私の根拠・拠点はやはり同大此春寮・同大学友会であり京都地方「地域労組(反帝労組)」だと改めて噛み締めました。90年頃までのものは引っ越しで捨てたりパソコンを買い替えてなくなっていましたが、辛うじてフロッピーやCDやUSBメモリーを掘り返したりしたら時代評論や歴史を含めると350頁どころか1000頁を超える文章を書いていました。それを350頁くらいに選定しました。田所追悼は既に発刊済ですので、内容は①藤本(同大)・大森(市大)・堂山(同大)・バラ均(京大)追悼②同大ブント③此春寮④東北大震災⑤書評⑥歴史です。

本のタイトル「野の人」は序文からの採用で9月頃出版です。       
(非売品・出版費と送料へのカンパ自由・拒否も可)
(カンパ振込用の「野の人」刊行会の口座は以下の通り)  
(京都中央信用金庫百万遍支店(010)総合 1083146 前田良典 です) 

2025年6月11日 前田良典

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野の人 目次   

(序)野の人 「前田良典小論選集」作成にあたり                  
第一章 追悼集
① 藤本敏夫氏 個と共同 (2003年)
② 大森昌也氏 追悼(2016年)
③ 堂山道生氏 思い出ボロボロ (2021年)
④ 中島・望月・片山氏 同志社の先輩達(2024年)
⑤ 境毅氏 ばら均さん追悼(1)(2)(2024年)

第二章 同志社ブント記
① 同志社大学学生運動私記(1960年代の記憶)(2003年)
② 同志社ブント黎明期(2011年)
③ 1969年ブントに何があったのか(2019年)

第三章 同志社此春寮(砂野寮母と寮生)
① 砂野ママ葬送一周年(2011年)
② 同志社リベラル(2013年)
③ 深草墓参(2013年)
④ 此春寮OB会で思い出すこと(2014年)
⑤ 館山君への手紙1、2、3 

第四章 書評
① 吉本「マチウ書試論」について(2003年)
② 私達は前近代を活きている(デカルト・スピノザ)1、2(2019)
③ 斎藤幸平「人新世」について(2021年)
④ 上間陽子「海をあげる」書評(2021年)
⑤ 柄谷行人「力と交換様式について」(2023年)

第五章 時代論評
① 時代は回る (2010年)
② 3,11大地震・津波・原発被災(2011年)
③ 南相馬への旅(2012年)
④ 「反原連運動(しばき隊)はスピリチュアル運動か(2015)
⑤ 「慰安婦と非正規労働」問題(2016)
⑥ 原発・沖縄・天皇・障碍者(2016)
⑦ 年頭にあたって(2017)
⑧ 安倍総理が国難である(2017)
⑨ 2018年年頭の思い(2018)
⑩ 「2018年お金と政治の流れ」(2018)
⑪ 擬態国家の頓挫1,2(2022)ウ古代史のこと(2014)
⑫ 小林古代史は単なる夢物語か(2016
⑬ 長州政治は「闇討ち」と「神隠し」の連続である(2016)
⑭ 「明治六年の政変」=近代日本の骨格(2018)
⑮ 藤原さんへ1.2(2020)

編集後記に付して

『紙の爆弾』7月号に寄せて

中川志大(『紙の爆弾』編集長)

40年前の1985年8月12日に起きた「日本航空123便墜落」の再検証を求める世論が、ここ数年、あらためて高まっています。一方で4月10日、真相究明をリードしてきた元日航国際線客室乗務員の青山透子氏の著作に対し、自民党の佐藤正久参院議員が外交防衛委員会の質疑で「フェイク情報」であり「全国学校図書館協議会の推薦図書に選ばれているのはおかしい」などと発言。即座に青山氏と遺族の吉備素子さんが言論弾圧であるとして抗議声明を発表しています。そこで、今月号で青山氏にインタビューしました。現在の世論の盛り上がりのきっかけとなった故・森永卓郎氏は、墜落を自衛隊反対論に繋げないため日本政府が米ボーイング社に泥をかぶってもらい、引き換えに同85年のプラザ合意、翌年の日米半導体協定など、米国言いなりの政策を日本政府は呑まされ、戦後好調だった日本経済を低迷に向かわせたと指摘。その森永氏が称賛したのが青山氏の著作群で、彼女からは膨大な資料に向き合い事実を積み重ねる姿勢を感じました。

7月号では「川崎ストーカー」「立川小学校侵入」など、最近に起きた事件をいくつか扱いました。川崎では警察とマスコミの動きに焦点を当てた一方、立川では、この騒動を利用した「モンスターペアレント」のレッテル貼りを懸念しています。さらに、近年やたらと強調される「カスタマーハラスメント」(従順な消費者)と監視・管理社会の関係は、ジャーナリストの高橋清隆氏が指摘してきたところでもあります。教育現場に限らず、正当な要求が「モンペ」「カスハラ」扱いされて封殺される。すでに杞憂ではないかもしれません。

物価高騰、特に米の暴騰が、生活を直撃しています。ただし米については、小泉進次郎新農相が就任早々に備蓄米について「5キロ2000円」を打ち出しました。「古古米、古古古米で2000円は当たり前」また「できるのならもっと早くやれ」という声が聞かれるものの、実現すれば「レジ袋」で落とした評価が逆転、小泉首相の目も出てくるのでは。そもそも、小泉氏が次期首相アンケートにリストアップされ続けること自体が疑問でしたが、何らかの“筋書き”が見えてきそうです。さらに、米価以外の政策課題や不祥事が吹き飛んだ現状にも、違和感を禁じえません。

この「令和の米騒動」において、「家畜の餌」発言でさらに評判を落としたのが国民民主党・玉木雄一郎代表。本誌レポートのとおり、山尾志桜里・足立康史の両元衆院議員や、脱原発派・新型コロナワクチン懐疑派から変節した須藤元気・前参院議員ら、参院選比例区の候補者選定で国民民主党支持者からも反発の声がやみません。問題の「確認書」を読むかぎり、むしろ憲法破壊と原発推進こそ国民民主党の第一の目的なのではないかと思われます。

ほか7月号では、作家・広瀬隆氏によるディープ・ステート(DS)解説、大規模再エネ発電と電気自動車製造が農業に与える被害、2025年7月5日「大災害」説の真相など、今月も独自目線のレポートをお届けします。『紙の爆弾』は、全国書店で発売中です。未見の方も、ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2025年7月号

『紙の爆弾』2025年 7月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2025年6月7日発売

青山透子氏インタビュー「日航123便墜落」真相究明に政治の言論封殺
トランプ大統領への“お土産探し”石破茂首相 東南アジア訪問の裏目的 浜田和幸
飛松五男解説 川崎ストーカー事件は警察の犯罪である
“原発ゼロ”から変節の石破政権を延命「原発推進党」という国民民主党の正体 横田一
両国ジャーナリストが語る インド・パキスタン対立激化が日本にもたらす大影響 片岡亮
「暴騰歓迎」JAと自民農林族発言の符合 米価異常高騰の謎を読み解く 青山みつお
「ひめゆりの塔」西田昌司発言に表れた自民党の本質 足立昌勝
大規模再エネ発電と電気自動車が農業を滅ぼす 平宮康広
下田条約締結170年・訪露報告 ロシアは「停戦」ではなく「終戦」を求めている 木村三浩
ゼロからわかるディープ・ステートとは何か? 広瀬隆
7月5日 令和「大津波」の真相 エドワード・ホラー
フジテレビ幹部が戦々恐々 中居正広“反論”が明かす事実 本誌芸能取材班
NHK100年の呪い「英語会話」という名の奴隷教育放送(後編) 佐藤雅彦
モンスターは保護者だけか?「モンスター校長・教委職員」の実態 永野厚男
原発をなくすための石炭火力発電推進論 平宮康広

〈連載〉
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER Kダブシャイン
「ニッポン崩壊」の近現代史 西本頑司

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0FBLW18LD/

鹿砦社創業メンバーの前田和男さんが新刊『冤罪を晴らす!』を上梓しました

鹿砦社代表 松岡利康

他社本ですが新刊のお知らせです。鹿砦社創業メンバーにして最後の生き残り=前田和男さんが新刊を出されましたのでご紹介いたします。前田さんと言えば『続 全共闘白書』で有名ですが、こういう本も出されています。当社の本と共にご購読いただければ幸いです。

4・5反転攻勢の集い(東京・日本プレスセンター)の成功に続き、7・12関西の集いを成功させよう!

鹿砦社代表 松岡利康

すでにご報告していますように、4・5日本プレスセンターでの反転攻勢の集いは多くの皆様のご参集と、参加できなくても全国からご支援賜った皆様のお力により成功裡に終了いたしました!

そしてこれを起点に次の10年、20年に向けた再スタートを切りました。

あらためて『紙の爆弾』定期購読者、会員、4・5発起人、参加者の皆様方に送った「ご報告」を掲載すると共に、7・12反転攻勢の集い・関西の呼びかけも掲載し、特に関西在住の皆様のご参集と、参加されない方々にはカンパやご祝儀などのご支援をお願い申し上げます! 4・5は再スタートへの転換点、そして7・12は、それに弾みをつける集いにいたしましょう! こちらの案内も掲載いたします。

何卒、よろしくお願いいたします。

平野義幸さんの冤罪事件を知ってください! 京都で開催される平野さんの絵画展を見に来てください!

尾﨑美代子

徳島刑務所で服役中の平野義幸さん(60歳)の絵画展「為心願成就之也」が5月16日から京都で開催されます。

2003年1月16日、京都市下京区の平野義幸さんの自宅で火災が発生し、交際女性のAさんが焼死しました。3ケ月後、平野さんが殺人と現住建造物等放火の罪で逮捕、平野さんは、一貫して無実を訴えましたが、2005年3月25日、京都地裁は懲役15年を言い渡し、控訴しましたが、2006年4月28日大阪高裁は審理を行わないまま、平野さんが「反省していない」などの理由で控訴を棄却、無期懲役を言い渡しました。2006年10月2日、最高裁での上告も棄却され、刑が確定。現在、徳島刑務所で服役中です。この事件について私たちは冤罪と考え、支援する会(代表・青木恵子)を作り、活動を続けています。  

平野義幸さん

◆「動機」も「証拠」もない!「恩人」を殺せる訳がない!

平野さんは、三池崇史監督の「荒ぶる魂たち」「新・仁義の墓場」などに出演する俳優でした。事件前、兄貴分だった男性俳優と親友の俳優(菅原文太さんのご長男、踏切事故で死亡)、そして妻の3人を相次いで亡くし、自暴自棄になっていました。そんな頃知り合ったAさんは、平野さんを「あなたは絶対俳優やらないとあかん」と励まし続け、平野さんも再び俳優業をやろうとしておりました。

火災があった日、平野さんは、東京で開催される深作欣二監督の告別式に出席予定で、映画関係者に自身をプロモートするための資料作りを1階で行っていました。そんなとき、前日からAさんが泊まっていた2階で火災がおきました。平野さんは必死でAさんを救出しようとし、燃え盛る家に入り火傷を負いました。近所の人たちが「このままでは義くん(平野さん)が危ない」と数人がかりで止めたことも裁判で証言されました。しかし、それらの平野さんを無罪とする証言・証拠は検察官にことごとく隠され、平野さんに有罪判決が下されました。

そもそも平野さんには多くの思い出が残った自宅を燃やしたり、新たな映画のオファーを投げうってまでAさんを殺害するような「動機」も「証拠」もありません。何よりAさんは平野さんの「恩人」です。

一方、Aさんは平野さんと交際しつつ、常日頃から「目の前から消えます」「私は死にました」「タブーを犯してしまったんです」と自殺を仄めかす言葉をノートに多数書き綴っていました。また、遺体を解剖した安原正博教授は「このような熱傷死の場合は、焼身自殺の場合を除外すると極めて少ない」と、Aさん自殺説を裏付けるような証言しています。 

火災後、平野さんも覚せい剤使用で逮捕されましたが、担当の検事は「放火で逮捕はない」と何度も断言していましたが、3ケ月後交代した検事が、いきなり平野さんを放火殺人犯に仕立てました。ほかの冤罪同様、裁判ではさまざまな証拠や証言のねつ造などが行われています。詳細は、2022年に行ったクラウドファンディングのHPでご確認ください。


平野さんは現在、徳島刑務所で服役しながら、絵を描き、支援する会の代表・青木恵子さん(東住吉冤罪事件)や私たち支援者らに送ってくれていました。今回、この絵を一堂に集め、皆さんにごらん頂きたいと考えています。お一人でも多くの皆さまに、平野さんのこと、冤罪事件のことを知って頂きたいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。

◎平野義幸絵画展「為心願成就之也」
2025年5月16日(金)~18日(日)
京都府部落解放センター4階ホール(京都市営地下鉄「鞍馬口駅」徒歩5分)
平野義幸さんを支援する会(代表・青木恵子)

なお、会場ではミニトークショーが行われます。
16日は、午後6時半~30分(青木恵子)
17日は、午後2時半~30分(青木恵子)
18日は、午後2時半~(青木恵子、堀弁護士)

※毎日時間帯が違っています。チラシでご確認ください。
https://www.bll-kyoto.jp/topics/2025/3466/

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

『紙の爆弾』6月号に寄せて

『紙の爆弾』編集長 中川志大

さて、6月号では前号に続きウクライナ戦争の裏側を解説。前号では戦争を勃発させ、終わらせない勢力について分析。今月号では“利権”に焦点を当てました。米国トランプ大統領が主導する停戦交渉ではウクライナ国内の地下資源がカギとして取り沙汰されていますが、それらに開戦前から手を付けていたのが米国巨大投資ファンド。そこでゼレンスキー大統領が果たした“役割”など、この戦争の実態と停戦の行方を考えるうえで不可欠な情報をお伝えします。

また、自公政権でもこれみよがしに減税論が取り沙汰されている消費税をめぐっては、マスコミで報じられないもう一つの側面である「輸出還付金」について解説。前号では政治経済学者の植草一秀氏が、高額療養費制度改悪について、「十分な医療」を富裕層だけが受けられるものとする制度改変だと指摘しましたが、消費税もまた、その逆進性だけでなく、輸出大企業優遇のシステムを内包しています。そうである以上、いまの減税論と関連報道も、“本質隠し”の側面があることに留意する必要があります。

そして、世界を揺るがせているトランプ関税。「格下も格下」の日米関係を正常化するために、「地位協定は変えられる」そして「日米安保は破棄できる」という事実を確認しました。それらはいずれも単なる理念ではなく、むしろ日本の安全保障と世界の平和・安定に寄与するものです。とくに元外務省国際情報局長の孫崎享氏は、日米地位協定改定のための具体的な方法を提示。さらに、国際的に異常な日米安保を正当化するデタラメな中国脅威論がなぜこれほどまでに日本中を覆っているのか。その“犯人”と“目的”を明快に指摘しています。

必然的に、誌面で米国トランプ大統領に関する話題が多くなっています。両面での分析が必要ですが、いずれにおいても結論は、日本の自立が必要だということ。4月号・5月号をはじめ、本誌はこれまで戦争を勃発させる勢力・工作について指摘してきました。また新たな戦争が起きるとしても同じこと。それに与しないために、日本の再独立が求められています。

フジテレビ問題が、少しずつ動きを見せはじめています。もっとも注目すべきはフジHDの外国人株主、米国ファンドの動きです。原因はフジにあるにせよ、スポンサー離れのきっかけはダルトン社の書簡だったと報じられています。そして、取締役候補にジャニーズ瓦解後を引き継いだスタート社社長。ジャニーズ問題にしてもフジ問題にしても、「外圧」が日本を健全化するかの楽観的な報道が目立ちますが、“黒船”が日本に何をもたらしたのかをおさらいする必要があります。

大阪・関西万博が開幕し、形だけは批判することもあったマスコミは予定通り大本営化しました。すると俄然、勢いづいているのが万博推進派。開催意義、中抜き、危険性など、指摘されていた問題が何ひとつ解決されていないにもかかわらず、なぜか勝ち誇ったような振る舞いを続けています。事態の本質は「公金収奪のカジノ万博」です。

ほか、麻生太郎・自民党最高顧問の「参院選事前運動疑惑」、「無所属の会」を立ち上げた内海聡医師が語る「日本の医療と政治の関係」、警察による違法な「架空名義口座」開設など、今月号も必読のレポートの数々をお届けします。前号で創刊20周年を迎えた『紙の爆弾』は、全国書店で発売中です。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2025年6月号

『紙の爆弾』2025年 6月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2025年5月7日発売

アメリカ巨大投資ファンドが蠢くトランプ「相互関税」とウクライナ戦争 浜田和幸
“中国脅威論”をばらまく犯人は誰か「日米地位協定」は変えられる 孫崎享
「石破おろし」「玉木首相擁立」計画 麻生太郎 参院選事前運動疑惑 横田一
マスコミが報じない大企業への“8兆円補助金”消費税「輸出還付金」を廃止せよ! 青山みつお
内海聡医師インタビュー 権力の奴隷にならないために「政治と医療」を考える
際限なき権限拡大 警察が「架空名義口座」開設 足立昌勝
山形県上山市清掃工場 重金属汚染による健康被害 青木泰
人気女優を襲ったいくつもの“悩み”広末涼子「事件」の背景 本誌芸能取材班
会社分割で「外資の草刈り場」と化すのか フジテレビ解体 片岡亮
在日米軍を撤退させ日本が軍縮を主導すべし 木村三浩
不戦国家・日本がなぜ「停戦」に無関心なのか 青柳貞一郎
劣化した現代政治をAIは見下し嘲笑する 愚劣なトランプ外交と古い地政学の克服 藤原肇
「ラジオ英会話」という名の奴隷生産教程 佐藤雅彦
ミャンマーで日本が展開中「現代版インパール作戦」 平宮康広
教職員への処分取消第五次訴訟「“君が代”強制」めぐる教育現場の現在 永野厚男
シリーズ 日本の冤罪 三崎事件 片岡健
5月号記事「伊藤詩織監督映画上映妨害は言論弾圧だ」に反論します 佃克彦
[ご報告]『紙の爆弾』創刊20年『季節』10年 4・5「鹿砦社反転攻勢の集い」

〈連載〉
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER Kダブシャイン
「ニッポン崩壊」の近現代史 西本頑司

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0F74HJ262/

《5月のことば》今だ! 立ち上がれ!

鹿砦社代表 松岡利康

《5月のことば》今だ! 立ち上がれ!(鹿砦社カレンダー2025より。龍一郎揮毫)

一昨年いったんは業績回復したところで、昨年再びドツボに嵌り、このかん、あくせく働いてきました。

今まで、こんなことを何度も繰り返してきました。

その都度、心ある皆様方に助けられ生き延びてきました。

去る4月5日の「鹿砦社反転攻勢の集い」に多くの皆様方にお集まりいただき、厳しくもあり温かくもある叱咤激励を賜りました。

今こそ立ち上がらないといけません!

実にシンプルだ!

四の五の言わずに前進あるのみ! “単ゲバ”やな(古い! 笑)。

雑誌『紙の爆弾』を創刊して20年 → 直後の「名誉毀損」に名を借りた言論・出版弾圧から20年 ── よくぞ生き延びてきたものです。

今、新型コロナ襲来によって私たちは苦境に在りますが、20年前の逮捕 → 長期勾留され身動きできなかったことに比べればまだマシです。何しろメールも電話もできなかったわけですから。

われわれはくたばらない。必ず復活します! 

たとえ“便所紙”を使ってでも出版活動を続け、毒のある本を出し続けます!

このかんの苦境で、多くの方々や取引先にご迷惑をおかけし、また逆に多大な激励やご支援をいただいています。これに報いなければなりません。

どうか今後共温かい目でわれわれの出版活動を見守っていただき、また更なるご支援をお願いいたします。

(松岡利康)

「4・5鹿砦社反転攻勢の集い」へのお祝いと叱咤激励のメッセージ、ありがとうございます!

松岡利康(鹿砦社代表)

「4・5鹿砦社反転攻勢の集い」に、やむなく不参加の方々からのお祝いと叱咤激励のメッセージを以下掲載させていただきます。

◆天木直人さん(発起人。外交評論家/元駐レバノン大使)

右にも左にも与せず、ひたすら権力者の不正義と闘う『紙の爆弾』は、まぎれもなく私が敬愛した岡留安則の『噂の眞相』の後継誌です。がんばって下さい。

◆西谷文和さん(フリージャーナリスト)

『紙の爆弾』20周年、『季節』10周年おめでとうございます。ちょうど20年前、大事件の1つがイラク戦争です。私は2003年のイラク戦争勃発直後から主に中部のバグダッド、北部のクルド地域を訪問してきました。当時、大手メディアの記者たちはエンベッド取材といって「米軍に組み込まれた形での従軍取材」をしておりました。クェートから攻め上がる米軍の車両に乗せてもらって、「バグダッド解放」を報じるわけですが、そこには米軍の無差別空爆で殺された民衆の姿や、米軍がばら撒いたクラスター爆弾で手足を失った子どもたちの姿はありません。私は「爆弾を落とされたイラク民衆の側」からの映像が必要だと思ったので、主に病院や避難民キャンプ、孤児院などを取材しました。すでにこの頃からスポーツやグルメ、芸能界の下半身ネタなど「数字が取れる」番組が増えてはいたのですが、テレビ局の現場には「アメリカの不法な侵略戦争の実態を伝えたい」という使命感を持ったプロデューサーもいて、しっかり地上波で報道することができていました。

大統領がブッシュからオバマに代わり、戦争がイラクからアフガンへとシフトしたので、09年からアフガンに足を運ぶことにしました。この頃になるとさらに報道番組が減って、「全局バラエティー化」と呼べるような事態になり、アフガン特集ができるのは年に1、2度の状態になりました。そして第2次安倍政権になった直後の2014年、菅官房長官や総務省幹部、元公安警察の官邸官僚たちがあからさまに圧力をかけるようになり、TBSから岸井成格さん、NHKから国谷裕子さん、テレビ朝日から古舘伊知郎さんという看板キャスターが番組を下されてしまい、テレビ局は自粛と忖度の嵐に包まれてしまいました。日本の報道自由度ランキングは、11年の11位からドーンと落ちて71位にまで下がったと記憶しています。ほぼ時を同じくしてスマホが社会を席巻するようになり、まずラジオと新聞、次にテレビが斜陽産業化していく中、情報はネットで無料配信される時代になりました。イラクやアフガンでの取材中は、英米仏独はもちろん、スウェーデンやスペインからのフリーランスがいて、互いに励ましながら取材をしていたものですが、コロナ以降はフリー記者が激減しました。おそらく「食べていけない」からだと思います。

このような時代になってからも『紙の爆弾』で、紛争地からのルポを掲載することができています。紙媒体が苦境に陥る中、貴重な存在ですし、私にとっても発表の場があるのはありがたいことです。実は4月8日から中東のレバノン、シリア取材を予定しております。取材許可が下りないので、ガザには入れませんが、レバノンの戦争被害を取材することはできそうです。イスラエルがどのようにしてポケベルに爆弾を仕込んだのか、目の前で爆発しているので、失明した人や指を失った人も多数います。彼らに支援は届いているのか、今どんなことを願っているのか、などをインタビューできたらいいなと考えています。無事帰国したら、また誌上で発表させてもらいたいと願っております。残念ながら本日の記念の集いには参加できませんが、参集されたみなさんのご健康と、『紙の爆弾』の永続を願っております。

◆寺脇 研さん(元文部科学省・映画運動家)

そりゃあフジテレビはひどい。でも他のメディアがそれを指弾できるのだろうか。
たしかに性的問題ではフジテレビほどひどいところはないだろう。

しかし、トランプ、プーチン、ゼレンスキー、ネタニヤフのことばかりはやし立て、国内の重大問題から目を逸らしてきたのは日本の大メディアのほとんど全部だ。SNSなどのネットメディアを信じる気にはなれないが、大メディアへの信頼も地に落ちた。『紙の爆弾』をはじめとする「小メディア」に期待するしかない。まあ、私が60年近く熱中してきた映画の世界でも、大手企業はダメでインディペンデントにしか期待できませんがね。

◆浜田和幸さん(米ジョージ・ワシントン大学政治学博士、元参議院議員)

貴誌の発刊20周年を心よりお祝い申し上げます。現在、海外訪問中のため、祝賀会に参加できず、残念至極です。参加者の皆様が楽しく活発に議論され、交流を深められることを祈念しています。

さて、日本でもトランプ大統領の「相互関税」は大きな話題になっているようですが、ワシントンではいわゆる「関税戦争」は目くらましに過ぎないとの指摘も聞こえてきます。

その代表格は1期目に補佐官を務めたバノン氏でしょう。彼の見立てによれば、「トランプ大統領の関税戦争は目くらましで、真の狙いは3期目の大統領の座」に焦点が当てられているとのこと。

トランプ大統領は「シンゾーは素晴らしい男だった」と、故安倍首相を持ち上げながら、日本への24%の追加関税を発表しました。日本政府は「同盟国への配慮に欠ける決定だ。断固として抗議し、修正を要求する」と述べていますが、トランプ大統領の真意を掴めていないようです。

実は、トランプ大統領は同盟国であろうと、敵対国であろうと、区別する気はさらさらありません。要は、アメリカの「黄金時代」を築くためには、敵味方関係なく、とにかくアメリカの言うことを聞かせようという発想の持ち主なのです。

その意味では、トランプ大統領は中国の習近平国家主席をライバル視しているのもごもっとも。習氏が前例を覆し、3期目に突入したことに大いに刺激を受けたことは間違いありません。しかも、トランプ氏と習近平氏は似たような言動に終始しているではありませんか。

例えば、表現や報道の自由についてですが、習近平氏は香港でのメディアの活動を制限していますが、トランプ氏もメキシコ湾をアメリカ湾に変更した大統領令に従わないAP通信の記者をホワイトハウスでの共同記者会見から排除してしまいました。

また、ウクライナ戦争に関しても、習近平氏はロシアのプーチン大統領寄りの姿勢を堅持していますが、トランプ氏もプーチン氏との直談判に固執しています。

更に言えば、台湾に関しても、習近平氏は「必ず一体化する。必要があれば武力の行使も辞さない」と繰り返していますが、トランプ氏も「グリーンランドもパナマ運河もアメリカのものだ。必ず取り返す」と事あるごとに訴えているではありませんか。

事程左様に、共通点の多いのがトランプ氏と習近平氏なのです。トランプ氏とすれば、習近平氏が3期目を経て、場合によっては「終身国家主席」を狙っているのであれば、自分も同じような長期政権を目指すと心に決めているとしか思えません。実際、3月30日のNBC放送のインタビューに応えて「冗談抜きで3期目の可能性はあり得るだろう」と率直に心情を吐露していました。そのためには憲法の改正が必要になりますが、トランプ陣営は抜け道を考えています。

何かと言えば、2028年の大統領選挙ではバンス副大統領が大統領候補となり、トランプ氏は副大統領候補に回るという筋書きです。そして、意図したように、バンス大統領が誕生した暁には、権力をトランプ副大統領に移譲し、実質的な3期目のトランプ政権の発足になるというシナリオに他なりません。

日本を含め、一方的な関税戦争はトランプ大統領が政権を去れば終焉し、より安定した通商貿易関係が復活すると期待する向きも多いようですが、そうは問屋が卸さないでしょう。もし、2028年にホワイトハウスを去ることになれば、彼は即座に収監されるはずです。そうした不名誉な末路を回避するには終身大統領で居続けるか、自分の身内を大統領職に就けることが必須条件になります。そうしたトランプ氏の精神構造をしっかりと把握した上で、対米交渉を推進しなければ、日本はいつまで経っても属国のまま。

『紙の爆弾』が日本人の覚醒に必要な情報と分析を提供され続けることを切に期待しています。

◆矢谷暢一郎さん(アルフレッド州立大学名誉教授)

月刊誌『紙の爆弾』の創刊20周年、季刊誌『季節』(前『NO NUKES voice』)の創刊10周年に当たって、出版社「鹿砦社」が「反転攻勢の集い」を開催するというニュースがニューヨーク州の小さな大学町に住むわたしのところにも届きました。地球のちょうど反対側に位置する小さな町から、わたしもまた「反転攻勢」と銘打った鹿砦社の出版活動を支持し、今日お集まりくださった皆さんに激励と連帯のメッセージを送ります。

松岡さんに初めて会ったのは2005年3月、亡き藤本敏夫の墓参りに京都に行ったおり友人から紹介された時でした。墓参りが終わってかっての友人たちと会食もありましたが、初対面の彼とはあまり話をする時間が無く、短い一時帰国の後すぐニューヨークに戻りました。しばらくして鹿砦社が出版していた多くの本の中から10冊に近い本を仕事場のニューヨーク州立大学アルフレッド校まで送って貰いましたが、その中の一冊が『紙の爆弾』でした。60年代後半のヴェトナム国際反戦運動を経験していた人たちには理解できても、一瞬たじろぐようなタイトルに初対面では伺われなかった松岡利康と出版社鹿砦社の活動を思い巡らせました。ところが、送ってもらった全ての本を読み終わらぬ前に、その松岡さんが「名誉毀損容疑」を冠した言論の自由抑圧を謀る政治的な目論見で逮捕・長期拘留された、と大学のオフィスにメールをくれたのが中川志大さんで、鹿砦社存続の危機に抗して奮迅する彼と社員の方々の松岡・鹿砦社救援キャンペーンに参加しました。あれから20年が経ち、『紙の爆弾』創刊の20年が重なりあいます。

『季節』の前身である『NO NUKES voice』が創刊されたのが2014年の夏、今からちょうど10年前です。同じ年に鹿砦社はわたしの著書、『日本人の日本人によるアメリカ人のための心理学』を出版してくれました。学生時代アメリカのヴェトナム反戦運動と1968年原子力空母エンタープライズ佐世保寄港反対アメリカ神戸領事館包囲デモで逮捕されたことがきっかけ(?)でアメリカ政府の「ブラックリスト」に載せられたわたしが、オランダでの国際政治心理学会でアメリカにおける反核運動の運動について発表後ケネデイー空港で逮捕され長期拘留となりました。当時テレビ新聞、ラジオでも報道されましたから、わたしと同様大分お年を召した人たちはひょっとしたら今でも記憶にあるやもしれません。事件の後1990年代初めニューヨーク州立大学アルフレッド校の心理学教授になり、反核運動の心理学をテーマにした内容の本でした。

本日の集いは、これら二つの月刊誌・季刊誌の創刊記念を踏み台にした「鹿砦社反転攻勢」の集いでありますが、先ほど述べたように二冊の雑誌はわたしの人生の有り様に深くかかわって来ております。残念ながら、この「日本プレスセンター」には出席できませんが、一言挨拶させてもらう次第です。イスラエルとパレスティナ、ウクライナとロシアの二つの戦争とアメリカのトランプ大統領の再選は、世界の平和と民主主義に極めて重大な脅威となっていますが、真実を報道し、権力者の不正義と横暴さを監視する本来のジャーナリズムの使命を果たすために、「反転攻勢」を掲げる鹿砦社の決意に賛同し、大いなる躍進を願ってその一翼に加わりたいと思います。

◆鈴木和枝さん(特別賛同人)

『季節』創刊10周年、『紙の爆弾』創刊20周年おめでとうございます。

色々やりくりが大変とは思いますが、今後貴社が大いに発展していかれるよう皆様どうかがんばって下さい。私も陰ながら応援しています。

私は今、ほとんどの情報媒体を絶ち、人との交流もなく、陸の孤島と化した環境で暮らしています。ですから貴社の出版物、そして何より『紙の爆弾』の存在がいかに重要か、とても一言では言い表せません。貴社がつぶれたら私は本当に困ってしまいます! 貴社を助けることは即ち私自身を助けることであるのです。これからも巨大な敵に屈することなく、共にがんばりましょう。

◆中尾茂夫さん(賛同人)

貴誌『紙の爆弾』創刊20周年、おめでとうございます。既存のジャーナリズムのなかで、突出して存在感のある貴誌に、「ジャーナリズムとはこうあるべし』という物書きの原点を教えられる思いです。権力の提灯持ちが多い中で、かつての『噂の真相』同様、権力の不正義と闘うたしかな政治的主張があるからです。面白おかしいだけでヘイトスピーチのようなネット画面に溢れる情報とは異なり、広告代理店に支配されただけの大手メディアとも異なり、危機的な時代にあって、時代を抉った中身の濃い内容に、深く共鳴しながら拝読しています。苦しい経営に、わずかですが、今回は「賛同人』として応援させていただきます。

松岡の大学の後輩で、魂の書家・龍一郎が、今回の集いに送ってくれた、熱い激励のメッセージ