『紙の爆弾』3月号の冤罪報告「平野母子殺害事件」 ぜひ一読を!

尾﨑美代子

◆『紙の爆弾』3月号に冤罪「平野母子殺害事件」を寄稿

『紙の爆弾』最新号を徳島刑務所などに服役中の方に送った。今回、ここの日本の冤罪シリーズに「平野母子殺害事件」について書いた。ずっと気になっていた冤罪事件。人間関係が複雑で、被害者は、犯人とされた林さん(仮名)の再婚相手の女性の息子が、のちに結婚した女性と子供。事件当初、被害女性の夫が疑われたが、夫には不倫女性と食事などしてたアリバイがあった。そののち疑われたのが義理の父親の林さん。めっちゃよくある話だが、犯行当日、被害女性のマンション近くに行っていた。しかも同マンション踊り場の灰皿に林さんの吸う煙草の吸殻が1本あり、そこから検出された唾液のDNA型が林さんのそれと一致した。

捜査機関は林がマンションを訪ねた→林が被害女性の部屋に入った→林が被害女性と子供を殺したにもっていった。任意の取り調べで、大阪府警が林に加えた拷問がえぐい。事件当時大阪拘置所の刑務官だった林は、その前に警官も経験していた。いわば「元同僚」からうけたえぐい拷問のせいで入院までした。それでも林は否認し続けた。

一審は無期懲役、二審は「反省してない」として求刑通り死刑判決。が、最高裁は「審理が尽くされていない」として差し戻し、1、2審で無罪判決がくだされた。林を無罪にしたのは、林を犯人にしたてた1本の煙草の吸殻だった。あとは本編を読んでね。

◆井戸謙一弁護士と樋口英明元裁判官の対談本

本を送った2人には、手紙とともに井戸謙一弁護士と樋口英明元裁判官の対談本『司法が原発を止める』の中のある個所をコピーしたものを一緒に送った。対談本でお二人が冤罪に触れている個所がある。樋口さんは、裁判官時代に「私は無実だ」という人はいなかった。「酔っていた」や「殺す気はなかった」という人はいたが、「犯人ではない」と言い切る人はいなかった。「私は犯人ではない」と法廷で言っていた人が、次から次に無罪になるということは、いかに冤罪率が高いかを示していると……。

これに対して井戸弁護士はこう言った。「日本人は結構正直。公判で『自分は本当に無実だ』という人は、かなりの確率で言っていることが本当に正しいとみるべき。しかし、現実の刑事裁判では、それがほとんど通らない。だから次々と冤罪がうまれていく」と。

樋口英明元裁判官との対談本『司法が原発を止める』の共著者、井戸謙一弁護士

そういえば、亡くなった桜井昌司さんが、何十年も無罪を訴え再審、国賠を闘ったが、ある裁判長は「何十年も無罪を主張して悪質だ」と言ったそうだ。無罪だから言い続けるんだよ。それこそ何十年も。

◆5通の手紙をくれた受刑者の事件

暮れから正月にかけて5通の手紙をくれた千葉刑務所の受刑者の事件の概要もまとめなくてはならない。ある弁護士さんがどんな事件か一応みてくれることになったためだ。じつは、そのあとにもう一人の無期懲役の受刑者から手紙が届いた。「日本の冤罪」を読み、両親に頼んで「はな」の住所を調べてもらったといい、手紙にはぜひ僕の事件の判決文などを読んで欲しいと書かれていた。まずは返事をくださいと封筒、切手が入っていた。少なくとも返事は書かねばならない。こういう人は、名前で検索すればどのような事件かわかる。ただ、そこまでで、確かに判決文など読みたいが、果たしてそれ以上のことはできるかどうか?

また、次に書きたいと考えてる「恵庭OL殺人事件」についての資料集めもはじめないと。弁護人だった伊東秀子さんの本は明日届く予定。昔一度読んだが手元にないので再度注文した。そう、この事件、かなり前から気になっていた。いろんな状況証拠から、真犯人(たち)は明らかに当時彼女と被害女性が勤務していた会社の関係者だ。つまり、冤罪が作られたせいで、真犯人(たち)は野放し状態。ほかの事件でも思うが、逮捕されない真犯人はどんな心境なのだろうか?

◆2月28日大東市で冤罪のお話をします!

昨日の選挙でこちら側は惨敗したので、再審法問題はどうなるのか心配だが、原発問題、日米安保問題、パレスチナ問題、スパイ防止法、大阪でいうたら三度目の都構想もカジノも……お先は真っ暗だ。ここまで真っ暗になったら、もうため息もでない。目の前のやることを1つ1つこなしていくだけだ。

2月28日、大東市で呼ばれた「冤罪はこうして作られる」の講演会のレジュメとパワーポイントも作らねば……。パワポ、京都の部落解放同盟の方に呼ばれた時のパワポは、初めて作ったのと、レジュメとパワポをどう使いこなすか、うまく出来てなくて、猛省してます。今回は、なるべくわかりやすく、そして変な言い方だが、面白く興味深い話にしたいと考えてます。終了後に近くの「バナナハウス」で食事会(700円)もあるそうです。一人でも多くの方に参加して欲しい。

尾﨑美代子(おざき みよこ
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

高市早苗首相の大いなる勘違い「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」とは何か

足立昌勝(紙の爆弾2026年2月号掲載)

◆「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」とは?

2025年10月24日、衆議院本会議場で行なわれた所信表明演説で、高市早苗首相は、「世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す」という文言を2回繰り返した。これは、具体的に何を意味しているのであろうか。

首相が政治の師と仰ぐ安倍晋三元首相と作家・百田尚樹氏(日本保守党代表)との共著のタイトルは、『日本よ、世界の真ん中で咲き誇れ』(2020年、ワック)であった。しかし、安倍氏の言葉は一つの理念を述べたもので、具体的に何をしたいのかは含まれていない。

また、安倍氏は2013年の参議院選挙の最中、「世界一を目指そうではありませんか。世界の真ん中で輝く日本をつくろうではありませんか」と演説した。これも、彼にとってのあるべき政治の姿を理念として述べたものである。

これに対し、高市首相の「世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す」というフレーズは、「取り戻す」という言葉に表れているように、これから行なうべき行動が示されている。つまり「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」という言葉に、彼女がこれから何をしようとしているのか、が含まれている。その言葉の意味を探り出すことは、非常に重要である。

高市首相は2025年10月21日の就任記者会見でも同じ言葉を語っていた。それ以前にも、同年7月8日に開催された安倍氏をしのぶ会で、「日本の外交力を強くするために、できる限りの力を尽くしたい」と述べ、「安倍さんが実現した、世界の真ん中で咲き誇る日本外交をもう一度よみがえらせる」と強調した。

しかし、ここに首相の大きな勘違いがある。安倍氏は「日本外交」とは述べていない。「日本外交」において「世界の真ん中で咲き誇る」や「取り戻す」と宣言したのは、高市首相である。この言葉には、一定の意味を込めているのだろう。

同11月7日の衆議院予算委員会で、立憲民主党の岡田克也議員は質疑の冒頭で、次のように問うた。

「力強い日本外交を取り戻すということは、現状から変えるということを意味しておられると思うんですが、どういう意味でしょうか」。

岡田質問については、「女性に対してしつこすぎる」とか「誘導尋問」との指摘がネット上でなされているが、これは真逆の指摘である。首相に性は関係ない。首相という地位にいる人格に対する質問を、女性に対する質問ととらえることこそが問題だ。

高市首相の答えが以下である。

「2016年に安倍総理が、『自由で開かれたインド太平洋(FOIP)』を提唱されました。そして、その後、第一次トランプ政権でアメリカが抜けた後のTPP(環太平洋連携協定)、これをCPTPPとして日本が主導しました。さらには2018年、日EU経済連携協定、また日米合意の枠組みなどもできてきて、ちょうど2016年から18年、19年にかけて、この頃というのは、本当に世界で咲き誇る日本外交を目に見える形で私は経験できたというか、知った時代だったと思っております」。

これは岡田質問への回答になっていない。

いくつかの外交努力を挙げてはいても、その一つ一つがどのように世界の真ん中で咲き誇っているのかについての説明は皆無だ。また、取り戻すべき外交とは何なのか、どのようにして取り戻すのかについての説明もない。

自らの発した言葉が何を指しているのか、説明できなければならないのは、当然のことである。

ここから先はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n3c4ec99d0508

月刊「紙の爆弾」2月号から一部記事を公開。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。最新号の記事タイトル一覧はホームページをご覧ください。

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0GL5883YV/

『紙の爆弾』3月号に寄せて

『紙の爆弾』編集長 中川志大

本誌発売直後に投開票される第51回衆院選。今回も情勢調査で「自民優勢」が連日報じられています。マスコミの「世論調査」の“信頼性”は今月号でも取り上げましたが、より大きな問題は、「公表数字をほぼ無批判に受け入れ、それを前提として政治評論を行なうのは、世論誘導に加担している」(「MEDIA KOKUSYO」主宰・黒薮哲哉氏)ことです。

一方、高市政権への対抗勢力の一番手とされる「中道改革連合」。「中道」ということは「右でも左でもない」ということなのでしょう。しかし、すでに「右左」の時代ではなく、「上と下」が重要であることは、一月号などで広岡裕児氏が指摘してきたとおり。高市政権は極右だから支持を集めているのではなく、極右であることが支持をためらう要因とはならないからです。その点では、まだ「生活者ファースト」の方がわかりやすく、利権者=非生活者=上との対決を打ち出せると思うのですが、消費税減税政策すらあまりにしょぼいために、争点を潰されました。なお、広岡氏記事についてはブログサイトnoteの「紙の爆弾」ページも記事を公開していますので、未読の方はご参照ください。

その結果が、争点なき総選挙。「大義なき解散」というと、はたしてこれまでに大義のある解散があったのか、との疑問がわいてきますが、「高市早苗が内閣総理大臣でよいのかどうか、主権者たる国民の皆さまに決めていただく」という、議会制民主主義を否定する解散理由は、これ自体、日本の政治の仕組みそのものを問い直す必要があることを意味しています。「首相に衆議院を解散する専権があるというのは一種の俗説」(植草一秀氏ブログ)であって、日本の「七条解散」の異常性をまず、認識しなければなりません。「争点」はなくとも高市首相の「目的」は明確なのが今回の総選挙。それゆえ、情勢分析よりも統一教会問題に焦点を当てるべきだと考え、鈴木エイト氏の「TM特別報告」分析を掲載しました。

また「高市早苗が内閣総理大臣でよいのか」とは、はまるでかつてのアイドル総選挙です。見た目重視の候補者が増えているのも、日本の政治状況をそのまま示しています。「それでも選挙になった以上、闘わなければしょうがない」は、ものわかりが良すぎるというのが正直な感覚です。AKB48ならばCDを買わないことで反対の意思表示ができました。下=市民がまとまって、政治そのものに対抗する必要を感じます。

その点で、ベネズエラに学ぶべきは日本です。年明け早々の米国によるベネズエラ急襲をきっかけに、「コムーナ」をはじめとしたベネズエラ独自の民主的政治システムに注目した人は多いのではないかと思います。今月号で掲載したエルナン・バルガス元コムーナ省副大臣の解説が、理解の助けになるとともに、ラテンアメリカの今を知ることの重要性を教えてくれます。そもそも「島国」日本人の海外情勢への関心の低さが、「嫌韓」「反中」に一気に押し流されてしまう近年の傾向の根本原因です。もちろん、解説を読むだけではベネズエラの人々の助けにはなりませんが、少なくとも入口にはなりえます。

ほか今月号では、マスコミが「3月までにマイナに切り替えなければ医療を受けられない」かの政権忖度・誤認報道を垂れ流したマイナ保険証問題、米中日対立の裏に隠された本当の関係、「子どもの自殺」が過去最高となるなかで“薬漬け医療”に誘導する教科書の問題など、今月も本誌ならではの情報をお届けします。
『紙の爆弾』は全国の書店で発売中です。ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2026年3月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2026年2月7日発売

「TM特別報告書」が明かした統一教会の日本政界工作 鈴木エイト
植民地主義に抗う「真の民主主義国」ベネズエラ元副大臣が語る現地の実像 エルナン・バルガス
米国CIA・NEDの情報支配 アメリカによるベネズエラ侵略の真相 黒薮哲哉
「経済制裁」とCIA工作 米国による他国政権転覆二五〇年の歴史 木村三浩
「高市発言」を利用した米国戦略 米中日対立の裏の本当の関係 浜田和幸
堤未果インタビュー マイナ保険証メディア忖度報道と“防衛策”青木泰
精神病予防学会の策謀 再び偏見を教育する保健体育教科書 野田正彰
教職員の「精神疾患休職」「性犯罪・性暴力」増加の真因 永野厚男
ただの“資源”ではない中国レアアース問題が削り取る日本の未来 片岡亮
過去の「国旗法案」を振り返る 今なぜ国旗損壊罪の新設なのか 足立昌勝
異常な“制度”と異常な“後見人弁護士”「成年後見制度」という宿痾 鈴木慎哉
LGBT問題の現在② 大学と「ジェンダー」三浦俊彦
健康な人を病気にさせる「人体実験」日本で始まるヒトチャレンジ試験 早見慶子
日本の冤罪 平野母子殺人事件 尾﨑美代子
複雑怪奇政局破局小説「令和八年二・二六事件始末記」久多葉亭四迷

〈連載〉
例の現場
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
「絶望ニッポン」の近未来史:西本頑司
芸能界 深層解剖

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0GL5883YV/

国交省発表「旧森友学園用地から新埋設ごみ5000トン」の詐術 国有地から湧き出るごみは背任の証

青木泰(紙の爆弾2026年2月号掲載)

国有地は、国民の財産である。そこにごみが埋まっていれば、撤去に費用がかかって価値が下がり、国民の財産が失われる。第二次安倍政権時の大スキャンダル「森友事件」の現場である大阪府豊中市野田町の旧森友学園用地(以下、本件用地)は、すでに学園から返却され、国交省=国の所有地となっているが、国交省はなぜか3度目の調査を行ない、2025年10月3日に「5000トンの埋設ごみが見つかり、撤去費に6億3000万円を要する」と発表した。

森友問題に係わってきた筆者の見地からすれば、本件用地の埋設ごみはほぼ除去しており、5000トンものごみがあるはずがない。そもそも国交省自ら実施した最初の調査の時点で「1000トン」と言っていた本件用地で、なぜその5倍のごみが出てくるのか。この発表が虚偽であれば、今後国有地を買い受けた者や、斡旋した政治家が得をし、国は再び大きな損失を被ることになる。担当した国交省の役人は、国に損失を与えた背任の罪を問われることになる。

この発表を受けて、マスメディアは「従来の約2万トンの推計量の4分の1に減っている」と報道した。しかしこれは、本質ではない。これらマスメディアが情報欠落しているのは、国交省がこれまで本件用地を表1のように、時期的にはⅠ~Ⅲの3度にわたり調査し、そのたびに報告書を作っていることである。

その最初の調査は2010年であり、森友学園が借地する2015年より5年前のことだった。その調査は、今回と同じくレーザ探索によるもので、約1000トンの埋設ごみがあると報告していた。つまり、もともと埋設ごみが1000トンの土地から20倍の2万トンが出て、今度は5倍の5000トンが見つかったのである。もちろん、これらはもちろん事実に基づかない数字である。

この5000トンのごみは、地中から湧き出るように出てきた。その架空の話を科学的に調査し、真実を明らかにする。それが、今回の5000トン発表への核心的視点である。国有地を、次々と埋設ごみと利権が発生する土地にさせてはならない。2017年、本件用地の売却価格を調べた木村真豊中市議の情報公開をきっかけに、森友学園の小学校名誉校長が安倍晋三首相の妻の昭恵氏であり、安倍氏に忖度して鑑定価格の10分の1で売却したとの疑念が持ち上がった。国会での追及に対し、官僚たちが値引きの理由として挙げたのが、2万トンの埋設ごみであった。

森友事件として数年にわたる大騒動になったこの犯罪行為は、国会での虚偽答弁だけでなく、都合の悪い公文書を改ざんする不正まで行ない、善良な職員を自死に追いやった。国と国交省は、いま再び赤木俊夫さんのような犠牲者を出そうとするのか。それをさせないために、本報告を届けたい。

◆「2010年調査」とそれに基づく土壌改良工事

本件用地は、もともと1960年代に大阪国際空港(伊丹)の騒音公害訴訟を提起した住民が住んでいた住宅地である。しかし最高裁は、空港の離発着の騒音が、住民の受忍の限度を超えると判断しながらも、離発着時間の制限を求める住民の請求を棄却した。その判決を受けて、国交省大阪航空局は、本件用地―大阪国際空港豊中市場外用地(野田地区)を買い上げ、住民の転居を進めた。

その結果、住宅地は歯抜け状態となっていたが、1995年の阪神・淡路大震災の発生を受けて、仮設住宅が造られ被災者を受け入れた。国交省は仮設住宅が撤去された後、同住宅地を震災避難公園として利用すると発表し、全ての住民が転居した。跡地の約半分を、豊中市が公園用地として国から約14億円で買い上げ、残った半分が本件用地である。

一方で、日本の平野部の田んぼや畑地は、河川の浸食作用によって数千年~数万年かけて土砂が堆積した堆積層を基礎にしており、戦後すぐには90%以上が農地として開墾されていた。戦後の工業化や都市化によって、農地は住宅地や商業地、工業団地に変えられていったが、その際、農地に岩石やコンクリート片、アスファルト片を投入し、土砂を加えて打ち固め、5~6年は養生を図り、安定させてきた経過がある。

そのため、地表面から3mほどの深さまでが盛り土層で、3m以深(それより深い)の層は堆積層である。本件用地もそのような構造となっていた。この盛土層は、公園として利用するのなら、埋設ごみはあまり気にならないが、建築物を建てようとすると、コンクリートや岩石などの除去が必要とされる。

国交省は、本件用地を、建築物を建てられる土地として活用を図るためであろう、2010年に埋設物を調査する本格的なレーザ調査を行なっていた。その結果が「平成21年度大阪国際空港豊中市場外用地(野田地区)地下構造物状況調査業務」報告書(表1「Ⅰ-①」)。

2010(平成22)年1月作成で、作成者は国交省大阪航空局と大和探査技術株式会社となっていた。調査した面積は、本件用地(8770㎡)を含む、豊中市に売却して残った区画整理前の土地で全9492㎡である。GL(地表面)から深度3.0m、59カ所で地中レーダ画像を解析し、地下埋設物の可能性があると判断した時には、その形状・材質・埋設量などを把握するために試掘した。

報告書には、この59カ所の埋設物の種類や量が記載され、総量を1151.2トンとしていた。

その後、国(国交省・財務省)は、2015年5月、森友学園と本件用地の賃貸借契約を結んだ。そこには、第5条(土壌汚染および地下埋設物)で契約前に国交省が調査していた4つの報告書に記載された土壌汚染と埋設物の実態を確認し、第6条で賃貸中に森友学園が、前記5条で記載されている汚染や埋設物を除去した時には、除去費用は有益費として、国が森友学園に支払うことが約束されていた。
 
国交省は、レーザ探索した2010年の報告書のほかに、本件用地のボーリング調査など合計4つの調査を行なっており、森友学園に賃借するにあたって、本件用地に「土壌の汚染や地下埋設物」があることを契約双方が確認した。

賃借した森友学園は、2015年夏、(有)中道組に委託して、5カ所の鉛やヒ素の重金属で汚染された部分の土砂、合計1000トンを運び出し、重金属を取り除いた上で元に戻し、同時に埋設物953トンを撤去する土壌改良工事を行なって、中道組に代金(ごみの撤去8700万円、除染4500万円)合計1億3200万円を支払った。

前出の契約に基づき、2016年4月に森友学園は国から「有益費」としてその代金の支払を受けた(表1「Ⅰ-②」)。この経過を見ると、本件用地の埋設ごみを、国はⅠ-①の調査で1151トンと測定し、Ⅰ-②では森友学園がその84%にあたる953トンを撤去したことを確認して、その分の費用を国家予算から支払っている。

つまり本件用地に、もうほとんど埋設ごみがないことは、国(国交省・財務省)もわかっていたはずである。

◆「埋設量2万トン」は「8億円値引き」に合わせた数字

ところが、国交省は2016年4月に、森友学園に本件用地を貸し付けから切り替えて売却した(表1のⅡ)。その売却価格は鑑定価格9億5600万円より8億円安く、約10分の1の1億3400万円であった。その時に財務省と国交省が発表したのが、埋設ごみが2万トンあるという説明だった。

当時、産廃1トンの処理費は約4万円が相場であり、2万トンで8億円。つまり、2万トンは8億円を値引きするために使った架空の数値でしかなかった。そして、今回の5000トンである(表1のⅢ)。この5000トンを処理するのに6億3000万円の撤去費がかかるという。

つまり、次の売却先には、鑑定価格9億5600万円からこの金額を差し引いた3億32600万円、鑑定価格の約3分の1で売却するというのである。

ここから先はhttps://note.com/famous_ruff900/n/nedf33edd0f11

月刊「紙の爆弾」1月号から一部記事を公開。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。最新号の記事タイトル一覧はホームページをご覧ください。

https://kaminobakudan.com/

「JBC」トップに高まる退陣要求 ボクシング連続死亡事故の報道されない闇

片岡亮(紙の爆弾2026年1月号掲載)

月刊「紙の爆弾」1月号から一部記事を公開。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。最新号の記事タイトル一覧はホームページをご覧ください。

ボクシングが危険なスポーツであることは誰もが知っている。ただし、選手が命を落とす原因は試合中のダメージだけとは限らない。

2025年8月2日、東京・後楽園ホールの大会で、セミファイナルとメインの出場者である浦川大将(帝拳)と神足茂利(MT)が試合後に急性硬膜下血腫で倒れ、8日と9日に亡くなった。試合そのものよりも、その後の対応が死を招いた可能性が指摘され、安全管理を担うコミッションに「退陣要求」まで噴き上がっている。マスコミが黙殺した舞台裏を明かす。

◆死亡事故へのJBCの対応

浦川は日本ライト級挑戦者決定戦(8回戦)で逆転KO負けし、リング上で意識を失ったまま救急搬送。神足は東洋太平洋スーパーフェザー級戦(12回戦)で判定負け後、控え室で体調が急変し、別の病院へ搬送された。2人の急死後、日本ボクシングコミッション(JBC)は緊急会見を行ない、安河内剛事務局長は「原因を究明して、可能な手をすべて打ちたい」と語った。

しかし発表されたのは、東洋太平洋タイトルマッチを12回から10回に短縮するという不可解な措置だった。重大事故の発生事例が、長いラウンドの試合に偏っているという医学的・統計的根拠はない。むしろ海外の研究では急激な減量やスパーリングの蓄積ダメージなど、試合前の段階でリスクが高まる指摘がある。

そもそも浦川の試合は8回戦だった。また世界戦(12回戦)は対象外で、イギリスでは国内戦も12回戦のまま行なわれている。その後JBCは「緊急事故防止委員会」を設置し、「当日体重10%超増加で強制転級」「尿比重検査」などの案を並べるも、多くはすぐの実施が難しいか、事故と直接の関係が薄いものだ。

大手ジム関係者は言う。

「とりあえず目に見える変更で、私たちは動いていますというアピールをしているだけ。原因究明をしていない」

事故が起きれば、まず原因を徹底的に調査・検証するものだ。医療現場や交通事故まで、あらゆる分野の基本中の基本である。JBCの対応は、この当たり前のプロセスを無視していた。ラウンド数短縮に本当に効果があるというなら、過去の事例を分析し、「事故の〇〇%が10回以降に起きている」といったデータを提示すべきだが、それもない。JBCが本気で責任を果たす気があるなら、まず外部の専門家を含む独立した検証委員会を設置し、調査結果を公表すべきだ。

「それをしないのは、自分たちの落ち度が露になるからでしょう」と話すのは元JBC職員のB氏で、こう続ける。

「今のコミッションの仕事は呆れるほど低水準です。なにしろ穴口一輝さんが亡くなったときの検証だってろくにしていないのですから」

◆前年にも起きた死亡事故

穴口はアマ高校王者からプロ転向、日本バンタム級3位の有望選手だったが、7戦目で挑んだ日本タイトルマッチで4度のダウンを奪われる判定負け。試合後に足が痙攣する異常が見られても、担架すら準備されずに自力で退場。その後控室で倒れ、右硬膜下血腫と診断。長い昏睡状態を経て、2024年2月、23歳で亡くなった。 

しかし、JBCの下で検証委員会こそ置かれたものの名ばかりのチームにすぎず、調査報告すら「誰も見たことがない」とB氏。

当時の取材において、水面下で聞こえてきたのが「搬送先病院」への疑問視だった。

「搬送先のA病院は、緊急の脳外科手術を依頼するにあたり、決して優先度が高いとはいえない病院でした。開頭手術は経験を積んだ医師が担当するのが基本なのに、手術実績が突出して高いとはいえません。もちろんA病院が悪いわけではありませんが、JBCの対応は不可解で、自らの責任が問われるのを恐れて踏み込んだ検証をしなかったのでは」(B氏)

この疑問が挙がった背景には、試合の半年ほど前に、安河内事務局長が職員に「今後の事故搬送はすべてA病院」と指示していたことがある。

「たしかにA病院はコロナ禍の厳しい状況でもボクサーのPCR検査をしてくれるなど協力的だったので、連携相手としてはわかります。しかし、緊急の手術先に指定するのは適切と思えず、他の脳外科医やリングドクターからも同じ声が挙がっていました」(B氏)

筆者が取材した複数の脳外科医からも「なぜA病院?」という反応が返ってきた。こうした専門家の声こそ、検証委員会が調査すべきではないか。しかし問題は放置され、1日で2件の死亡事故が発生した8月の大会でも、浦川はJBCの指示どおりA病院に運ばれていたのである。

それが、さらに別の問題も生んでいた。現場にいた興行スタッフの証言だ。

「試合時には医務室に2人の医師が待機しています。最初の事故でひとりの医師が浦川選手に同行し、所属のA病院へ向かったことで、2件目への対応体制が弱くなってしまったのです」

試合中の事故では、会場から近距離で緊急手術が可能な提携病院を確保することが重要となる。しかし穴口のケースでは、会場の有明アリーナからA病院まで一般道で35~40分と決して近くはなかった。8月の後楽園ホールはさらに遠く20キロ以上、45~55分を要する。これは、JBCの搬送方針に課題があったことを示唆している。少なくとも、穴口の事故後に十分な検証が行なわれていれば、搬送先に別の選択肢もあり得た。

ここから先は https://note.com/famous_ruff900/n/n5d9e530ea4c9

米中日の新局面 高市政権とアメリカ新国家安全保障戦略

東郷和彦/文責・本誌編集部(紙の爆弾2026年2月号掲載)

その成立から不安定な経緯を辿りつつも、2025年10月に始まった高市早苗政権で、さっそく勃発したのが「台湾発言問題」だった。

11月7日の衆院予算委員会で高市首相は、いわゆる「台湾有事」が、日本の自衛隊が参戦する「存立危機事態」に該当しうると答弁。台湾問題は、日中外交において最もセンシティブな位置を占めるテーマである。中国政府は「核心的利益中の核心」、つまり、どんな代償を払っても譲れないと表現している。日中両国政府が合意してきた「1つの中国」の原則に反する内政干渉として発言の撤回を要求した。

もちろん、台湾に関する日本と中国の立場は必ずしも同じではない。しかし、両国の歴史的経緯において、日本の歴代首相は日中関係に害を及ぼさないように、慎重に対応してきた。ところが高市首相はその慣例を破り、「核心的利益中の核心」に正面から触れて個人的意見を述べたのだ。

では、高市首相はこの炎上を予期して、あえて発言したのか。予期していたら言わなかったはずである。周囲から注意を受け、自身も言いすぎたと感じたのだろう。三日後の国会で「今後の反省点として、特定のケースを明言することは慎む」と弁明した。

しかし、高市首相が発言した事実は残っている。発言を撤回しない限り、中国は経済面・交流面をはじめ敵対的な対応を続け、日中関係の悪化が底を打つ見通しはまったく立っていない。

◆靖国と台湾

高市首相が首相に就任したのは10月21日。その直後から、列国首脳との重要な会談が立て続けに行なわれた。

25日から開催のマレーシアでのASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議、およびオーストラリア・マレーシア・フィリピン首脳との会談をはじめとして、28日には東京で米トランプ大統領と会談し、30日からは韓国でAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議およびカナダ・韓国・中国との首脳会談が続き、外交ウイークを走り抜けた。

首相就任前から決まっていたスケジュールであるものの、これを奇貨とし、各国首脳に好意的な印象を残せるかが問われた。そして、総じて良い結果を残したとの評価が大勢を占めた。

最も象徴的だったのは28日、トランプ大統領との会談で、日本の防衛力の抜本的強化と、地域の安定への積極的貢献を宣言した後に、在日米軍横須賀基地で米原子力空母ジョージ・ワシントンに乗艦し、トランプ氏の隣で、満面の笑顔で腕を高く上げて兵士たちにエールを送ったことだった。このジェスチャーに、良くも悪くも驚きを禁じえなかった国民は多くいたはずだ。

30日、高市首相と韓国・李在明大統領との会談も、ともに就任したばかりの首脳同士の新鮮さをアピールした。

こうして高市外交デビューはスマートに始まったかに見えた。しかし、翌31日の習近平国家主席との首脳会談は、異なった結果に終わった。

そもそも、この会談は実現自体が最後の瞬間まではっきりしなかった。中国側が高市首相を、保守色がきわめて強く、日中関係において危険な政治家と評価していた可能性があるからだ。

理由の第一は、高市首相が靖国神社の定期的な参拝者であったことだ。閣僚としても「祖国のために命を捧げた人に参拝しない理由はない」と言って参拝を続けた。

もう一つは、親台湾派を標榜し、幾度も台湾を訪問していたことである。靖国参拝と親台湾。言うまでもなく、この二つの政治姿勢は中国にとって非常に危険に映る。靖国参拝は「合祀されたA級戦犯の正当化」と解釈されるし、親台湾は「一つの中国」という最もデリケートな問題について、国交回復以降の日本政府の認識を揺るがすおそれがあるからだ。

習主席としては、高市首相とあえて今、会談をする理由はなかったかもしれない。それゆえ実現は難しいと見る識者もいた。

しかし、背景にどのような交渉があったかは承知しないが、会談は行なわれ、就任時に祝電を送らなかった習主席が首相就任への祝意を表明。「画竜点睛を欠く」になりかねなかった高市外交は、日中会談を実現したことで面目を保った、かに思えた。

問題が表面化したのは、会談を終えた直後である。高市首相が同行した日本の報道陣に対し、自らブリーフィングを行なった。普通は同行の官房副長官が仕切るものである。そこで高市首相は会談内容を総括し、日中が「戦略的互恵関係を包括的に推進」「建設的かつ安定的な関係を構築」する方向性を確認したと語った。

続いて、高市首相が習主席に対し提起した〝一連の問題〞を列挙した。日本でその様子を中継するテレビ番組に出演していた柯隆・静岡県立大学特任教授(東京財団政策研究所主席研究員)はこれらの問題の中に、「人権問題」「少数民族問題」が入っていることを聞き、一瞬顔色を変え「最初の会談でとり上げるには中国内政上あまりにもセンシティブな話題だ」と述べた。11月7日の日本の国会での台湾有事発言は、これらに続くものだった。習主席にすれば、新任首相と面会すると、いきなり刀を抜かれたわけで、斬り返さなければ、それ自体が中国国内において大問題になり得る。

しかし中国側は、とりあえずは、高市総理の記者会見発言を問題視する対応をせずに、翌日の朝には日本側に望むこととして「村山談話の尊重」と「日中間の4つの基本文書が定めたルールの遵守」を挙げた。これは、高市首相の政治姿勢をふまえ、過去の日中外交の道のりを踏み外さないことを念じ、日本に注意を促すものだった。

ここから先はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n47d4df67a3d5

月刊「紙の爆弾」1月号から一部記事を公開。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。最新号の記事タイトル一覧はホームページをご覧ください。

https://kaminobakudan.com/

日本だけ〝真逆〞の「令状主義」立花孝志逮捕事件が明かす刑事司法の異常

たかさん(紙の爆弾2026年1月号掲載)

月刊「紙の爆弾」1月号から一部記事を公開。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。最新号の記事タイトル一覧はホームページをご覧ください。

最初に断っておくと、本稿はNHKから国民を守る党党首である立花孝志氏の発言内容や行為を肯定・擁護するものではなく、名誉毀損を理由とする逮捕・長期勾留という「権力の使い方」の妥当性を問うものである。

◆刑事訴訟法から見た違和感

2025年11月9日、立花孝志氏が「名誉毀損」の容疑で兵庫県警に逮捕・勾留された。テレビやネットには、「さすがにやりすぎだったから当然だ」「前から嫌いだったからザマーミロ」といった声があふれた。それらは日頃、警察を含めた行政権力に肯定的な人も、否定的な人も、まさに異口同音だった。

だが、本来ここで問われるべきなのは、「立花氏が良い人か悪い人か」「好きか嫌いか」ではない。もっと単純で、しかし根本的な問いだ。

名誉毀損という種類の事件で、本当に「逮捕・長期勾留」が必要なのか?

刑事訴訟法の観点から見ると、この問いに対する答えはかなりはっきりしている。
まず、刑事訴訟法が逮捕・勾留の要件として掲げるのは、

1 罪証隠滅のおそれ
2 逃亡のおそれ

である。これに基づくと、立花氏の事件には、本来「逮捕不要」と考えるべき事情が並んでいる。

・発言内容は動画やSNSとして残っており、証拠隠滅の余地がほとんどない。
・被疑者は公人で、居場所も行動も人目にさらされている。→逃亡の可能性は極めて低い。
・実際に、任意の事情聴取には応じていたと報じられている。

これらの事実を鑑みれば、今回の事件は「在宅のまま捜査・起訴すれば足りる事件」と評価するのが素直な理解だろう。どうしても刑事責任を問いたいのであれば、在宅起訴し、公開の法廷で淡々と有罪・無罪を争えばよい。

それにもかかわらず、最も強力な人身拘束である逮捕・長期勾留が選択された。しかも逮捕から一夜明け、関西テレビ(ヤフーニュース)は次のように報じた。
「立花氏が先月ドバイに渡航していたため、警察は海外逃亡などを警戒して逮捕に踏み切った」

アラブ首長国連邦(UAE)と日本は犯人引渡条約を結んでいないことから、「逃亡のおそれ」を後づけで強調する内容だった。現在、この記事は削除されているが、当時の引用は私のブログにも一部残っている。

その後、関西テレビは、コメンテーターの弁護士を解説役とし、名誉毀損でも逮捕は珍しくないこと、今回の発言が「誰かから聞いた話」であり情報源が明らかになっていないため、取材源と関係する証拠を隠す(証拠隠滅)おそれがある―といった趣旨の説明をしていた。

しかし、冷静に聞けばこれは、「まだ明らかになっていない」→「これから隠すかもしれない」とすり替えて、現在の拘束を正当化するロジックであり、実質的には予防逮捕・予防拘束を肯定する発想に近い。

こうしたコメントが「専門家の見解」として繰り返されることで、本来は例外であるはずの逮捕・勾留が、「よくある普通の対応」として受け止められていく。ここに、今回の事件の第一の異常さがある。

◆「令状主義」が〝行政のお墨付き〞に変質した

次に問題なのは、要件を満たさないはずの逮捕が、なぜ裁判所であっさり認められてしまうのかという点である。

そもそも、日本における「令状主義」は、世界的にみて大きなねじれを持っている。

日本語で「令状」と訳されるwarrantは、英米法においては「国家に人を捕まえさせるための命令書」というより、国家権力の行使に厳格な条件と範囲を与えることで、市民を国家の恣意的な逮捕から守るための文書である。

いつ・どこで・誰に対して・どのような理由で拘束してよいのかを細かく書き込み、その枠を一歩でも踏み越えれば違法となる。

つまりwarrantは、本来は国家権力の「剣」ではなく、市民の自由を守るための条件付きの許可証、いわば市民の「盾」としての意味合いが強い。

日本の刑事訴訟法は原則として、「逮捕には裁判官が発する逮捕状が必要」と定めており、条文だけを読むと、あたかも同じ発想に立っているように見える。

ここから先はhttps://note.com/famous_ruff900/n/ndd5c05c55837

藤田文武維新共同代表「犬笛吹いて逃亡」の責任を追及する

西谷文和(紙の爆弾2026年1月号掲載)

月刊「紙の爆弾」1月号から一部記事を公開。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。最新号の記事タイトル一覧はホームページをご覧ください。

◆「(株)リ・コネクト」マンションを訪ねる

「昨日、西谷さんが(兵庫県内にある私の秘書の)オートロックのマンションに侵入して動画を撮っていました。防犯カメラの動画を警察に通報しています。これ、犯罪行為です。建造物侵入で逮捕されますよ」

2025年11月4日の記者会見で、日本維新の会・藤田文武共同代表が、突然私を名指しして「犯罪者」と決めつけた。

そもそもこの会見は藤田の公設第一秘書が経営する会社に、自身のビラデザイン料や印刷費を発注していたこと、つまり「公金をキックバックさせて、身を肥やしていたのでは?」という疑惑に関する釈明会見だった。

まさかここで逆ギレするとは思わなかったし、私の名前を公の場でさらすことによって正当な取材活動を妨害するような〝犬笛〞を吹くとは思わなかった(犬笛とは、犬にしか聞こえない周波数で鳴る笛のこと。特定の人々を先導する発言を指す)。

勝手に「犯罪者」にされ、名誉を傷つけられた身としては当然反論せねばならない。ちなみに私は逮捕されるどころか、兵庫県警の取り調べも受けていない。代わりに兵庫県警に捕まったのはN党の立花孝志だ(笑)。

本稿ではこの事件の背景と経過について述べてみたい。

しんぶん赤旗日曜版11月2日号のスクープによると、問題の会社は兵庫県西宮市の「株式会社リ・コネクト」。藤田の第一公設秘書が経営していて、チラシ印刷など約2000万円の仕事を受注している。さらに2000万円の内訳を調べると、その約94%が政党助成金や旧文書交通費からの公金だった。

公設第―秘書は年間600?800万円の給与が支給されている国家公務員で、原則として兼業禁止。例外的に兼業届を出せば認められるのだが、この兼業届によれば秘書は(株)リ・コネクトから年間720万円の報酬を受けていた。

つまり公金を自分の秘書が経営する会社に発注し、秘書はそこから報酬を得ていた。つまり税金(秘書給与)と公金(チラシ代金)の二重取りということになる。

(株)リ・コネクトはどんな会社なのか? 7年半にわたって藤田と秘書はどのような契約を交わし、どのような印刷物を作っていたのだろうか?赤旗のスクープが間違っているのだとすれば反論も聞いてみたい。だからスクープが出た翌日の11月3日に(株)リ・コネクトを訪問した。

(株)リ・コネクトが入居するマンションは西宮市の閑静な住宅街にあって、マンション玄関の集合ポストの504号室に社名が貼り付けてある。ペラ1枚の紙がポストに貼ってあるだけ。外形上は「ペーパーカンパニー」「幽霊会社」のようだ。疑念が膨らむ。

会社訪問しようと思い、自動ドアの前に立つとドアが開いた。つまり11月3日午前11時頃の時点で、このマンションはオートロックではなかった。もしオートロックなら私は中に入れなかった。

(株)リ・コネクトが入居するマンション入り口。集合ポストの横のドアはオートロックではなかった。

5階まで上がり部屋の前まで行き会社の呼び鈴を2度押す。返答がないので1階玄関に戻り、テンキーで部屋番号を押す。やはり反応なし。祝日なので社員さんは出勤していないのかな?と思い、大阪にある私の事務所まで引き返した。

この日の夜、インターネットテレビの「アークタイムズ」に出演し、「公金2000万円を受注している(株)リ・コネクトは駅前商店街のようなところではなく、通常のマンションの1室にあって、お留守のようだった」と報告する。

そしてその翌日、藤田は記者会見という注目される公の場で、私の名前を何度か連呼した上で、不法侵入者と決めつけたわけだ。

◆逃げる藤田文武

これを見過ごすと、政治とカネの疑惑を追及する記者が萎縮する。藤田は取材に訪れた赤旗記者の名刺をさらして恫喝めいた行動にも出ている。会見では赤旗に対し「(秘書の)自宅まで行ってピンポン、ピンポン鳴らして」と赤旗を責めていたが、ピンポン鳴らしたのは私(笑)なのだ。

まずは質問状を送ることにした。主な質問は3点。1つ目はもちろん、当該マンションの「オートロック」。私が「不正に開錠して建物内に入った」と断言した根拠を示してもらいたい、と質問。

2点目は、自動ドアから入り、会社事務所のある504号室を訪問したことを、「建造物侵入で犯罪行為である」と繰り返し発言したこと。確かに504号室の前で2回、1階玄関で2回呼び鈴を鳴らした、しかしこれは普通の会社訪問である。どこが「犯罪行為」なのか指摘してほしい、という質問。

最後に「防犯カメラに映っている。警察に通報した」「逮捕されますよ」などの発言は威嚇であって、正当な取材行為への恫喝であるから、発言を撤回し謝罪するつもりはあるか、という質問。

この質問状を大阪府寝屋川市の藤田文武大阪事務所に、11月6日に書留で郵送し、回答期限を11月14日にした。1週間の回答時間を与えて、わざわざ返信用封筒に切手を貼って同封することも忘れなかった。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n2c5522d6af9a

欧州左翼〝復活〞の時代に 日本の左派が見失った「果たすべき役割」

広岡裕児(紙の爆弾2026年1月号掲載)

月刊「紙の爆弾」1月号から一部記事を公開。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。最新号の記事タイトル一覧はホームページをご覧ください。

◆欧州における左翼の健闘

2025年7月の参議院選挙で参政党が14議席、日本保守党も2議席を獲得。自民党で高市早苗総裁が誕生し、首相になった。対して、共産党は4議席減らして3議席に、社民党はかろうじて1議席の確保に終わった。アメリカではトランプが我が世の春である。

こういう情勢だからか、欧州についても極右の台頭ばかりが報道される。

しかし、英国では、ロシアの策謀と推測されるものもあって極右が躍進したが、2024年7月の総選挙で政権を獲ったのは労働党だ。トランプのお友達のブレア元首相以来、左翼とはいえないかもしれないが、右派でないことは間違いない。

半年後のドイツ連邦議会選挙では、極右のドイツのための選択肢(AfD)が152議席を獲って第2党になったが、一方で、左翼党(Die Linke)は、前回2021年の39議席から64議席に躍進した。議員定数は前回735だったのが今回は630であるから、議席の占める割合でいえば、5%から10%に倍増したことになる。

ドイツは小選挙区と比例区の併用で、左翼党の比例区得票率は8.77%である。日本であれば参院選の日本維新の会(7.39%)を上回り、公明党(8.8%)と並ぶ。

左翼党は、ロシア・プーチン政権の侵略に対して明確にウクライナを支持したが、それに賛同できずさらにワクチンや移民政策でも意見が相違した10名の議員が分派している。今回、その分派は、比例区で4.97%を獲得した。5%の最低ラインに達しなかったので議席はないが、これと合わせると、得票率は13.74%である。

日本ならば2024年衆院選での国民民主党を上回る第3位、2025年参院選では国民民主党・参政党・立憲民主党を上回る第2位だ。

フランスにおいては、2024年の国民議会総選挙でメランション党首の左翼政党(注1)フランス不服従(LFI)は577議席中74議席、共産党は8議席を獲得。このほか、右派がマクロン大統領誕生のとき与党に鞍替えした社会党は59議席を獲っている。

欧州議会(705議席)でも同年の選挙で、極右と欧州懐疑派は2020年よりも54議席多い191議席を獲得したが、社会主義・ユーロコミュニズムの欧州統一左派・北方緑左派同盟(GUE・NGL)は、6議席伸ばして46議席を獲っている。このほか無所属の中にも共産党や新左翼がいる。

◆「右」と「左」の争いではない

極右の躍進と左翼の健闘の原因は同じである。格差の拡大。いまや世の中は「右」と「左」ではなく、「上」と「下」の争いの時代なのである。

キーワードは「ソシアル」だ。

日本とフランスで、「リベラル」という言葉はまったく反対の意味を持っている。日本では左派的なニュアンスで使われるが、フランスでは「新自由主義者」のことで右派ど真ん中。サッチャー、レーガン、トランプやテクノ・リバタリアンのような連中のことで、格差の元凶で庶民の敵である。これに対抗するのが「ソシアル」である。

フランスでは、極右のルペンは東西冷戦時代のジャン=マリーのときはフランスで言う「リベラル」の先峰だったが、娘のマリーヌの代になって「ソシアル」を前面に出している。極右の躍進の理由はけっして移民問題だけではない。もっと大きいのは、極右の「ソシアル」化である。

欧州ではもともと、左翼、とくに共産党が労働者の党として「下」の受け皿になっていた。ところが、ソビエト連邦・共産圏の崩壊に加えて、移民や治安問題などについて有効な回答がみいだせないまま右翼が代替となってしまった。だが、ソ連東欧の崩壊から30年余り、左翼が復活しつつあるといえる。

ところが、日本ではまったくそうなっていない。

考えてみれば、日本の右翼にはもともと「ソシアル」のイメージがある。戦前のバリバリの右翼・革新派は、東北の貧農を憂い、大資本家を撃った。対して左翼は、弾圧が厳しかったこともあるが、コミンテルンの日本支部が象徴するように土着できないエリートでしかなかった。

歴史修正主義者によって戦前見直しの空気が醸成されたところに、〝外人〞を不満の捌け口とし、おかしな優越感をくすぐる排外主義日本主義がハマった。

さらに、極めて強いアメリカの影響下にある。

よく「欧米」というが、欧(とくに大陸)と米では全く違う。「資本主義」からして、欧州の資本主義は「ライン資本主義」といわれてアメリカ(および英国)のものとは区別される。ドイツで政権を握っている保守のキリスト教民主同盟(CDU)の創設者アデナウアーは「社会的市場経済」を唱えた。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/na5440c83507a

『紙の爆弾』2月号に寄せて

中川志大 『紙の爆弾』編集長

あけましておめでとうございます。

今月号では昨年12月号に続き、元外交官の東郷和彦氏が、高市早苗首相の「台湾有事発言」と、12月に発表されたアメリカの新国家安全保障戦略をもとに、変動する米中日関係を解説しました。まず、「台湾有事発言」より前に、中国側が高市首相に対し“念押し”をしていた事実に注目。この発言に前段があったことがわかります。一方、アメリカは新戦略文書でバイデン政権時代の「価値観外交」からの転換を表明すると同時に、安全保障の中心を“西半球”に据えると明言しました。詳細は本誌記事をご参照いただくとして、日本にとって問題は、高市氏の外交が今の世界をどう捉えているのかが不明であることです。本誌記事がわかりやすく、事態を読み解きます。

1991年のバブル崩壊を起点とすれば、2026年は「失われた35年」を数えます。経済学者の中尾茂夫氏が前号で指摘したよう、1968年から約40年間、GDP世界2位を保った日本は、2010年に中国に抜かれ3位に、2023年にはドイツに抜かれ世界4位に転落。IMFの予測では、2025年にインド、2030年にイギリスにも抜かれて6位への後退が見込まれています。かつての「中流」が「下流」に押し流される形で、貧困というより格差が拡大。日本全体の国民総生産も転落を辿っていることは、この国の進むべき方向が誤っていることの証左といえます。そのような中で、「日米同盟が日本外交の基軸」「原発は必要で排除すべきは二酸化炭素」「日本人は戦争被害者」「健康は病院と薬がつくる」といった多種多様な“神話”がはびこり、論理的・科学的・歴史的・経験的な事実をやすやすと駆逐し続けてきたのが日本の近現代史です。真実に立ち返り、これら神話をひとつひとつ打破していくことは、本誌の役割といえます。

第2次安倍政権の大スキャンダル「森友事件」の現場である大阪府豊中市の旧森友学園用地は、すでに学園から返却され、国交省=国の所有地となっていますが、国交省はなぜか3度目の調査を行ない、昨年10月3日に「5000トンの埋設ごみが見つかり、撤去費は6億3000万円」と発表。マスメディアがこれを「約2万トンとされた従来の推計量の4分の1に減った」と報道しました。しかし、事件の経緯を追えば、森友学園への「8億円値引き」の根拠とされた埋設ごみが「存在しない」のはすでに明らかであり、ならば今回の「5000トン」は、地中から湧き出るように現れたことになります。これを放置すれば、次の売却においても「不当値引き」が行なわれかねません。森友事件の核心である「埋設ごみ」はどのように偽装されてきたのか。「数字」を追いつつ、真実に迫ります。

ほか2月号では、山上徹也裁判で飛び出した安倍晋三元首相の「潰瘍性大腸炎」詐病証言の真相、アメリカの巨大メディア再編がもたらす日本への影響、「親の虐待」にばかり注目が集まる裏で根深い児童相談所の闇、「文化を守れ」では太刀打ちできない国際金融の表現規制など、2026年も本誌だけの情報と問題提起を発信していきます。

『紙の爆弾』は全国の書店で発売中です。ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2026年2月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2026年1月7日発売

高市政権と米国新国家安全保障戦略 米中日の新局面 東郷和彦
高市首相の大いなる勘違い 台湾有事は存立危機事態ではない 足立昌勝
デマゴーグが闊歩する風土(下)「ニチベイ」と脱亜 中尾茂夫
安倍晋三「詐病」証言から考える 山上徹也の理性と社会の狂気 野田正彰
「旧森友学園用地」で国交省「新埋設ごみ5000トン」発表 国有地から湧き出るごみは背任の証 青木泰
米メディア買収・再編 日本の報道・エンタメはアメリカ企業に乗っ取られる 片岡亮
最高裁が仕組んだ原発八百長裁判の全貌 偽装された社会の本質を見抜こう
“文化論”では闘えない 国際金融が変えた「表現規制」の地形図 昼間たかし
日本の“行政拘束”を考える 児童相談所「子どもの一時保護」の闇 たかさん
「再エネ」と「移民」世界を荒らす怪獣はどこから来たのか 広瀬隆
対米追従一辺倒に戦略はあるのか 多極化する世界に高市外交を問う 木村三浩
LGBT問題の現在「性別変更」をめぐる日本のいま 井上恵子
高市早苗が蘇らせた連合国「日本包囲網」藤原肇
米国マスコミが自主検閲で隠してきた2025年の重大ニュースTop12 佐藤雅彦

連載

例の現場
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
「絶望ニッポン」の近未来史:西本頑司
芸能界 深層解剖

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0GCFDZ4P4/