「JBC」トップに高まる退陣要求 ボクシング連続死亡事故の報道されない闇

片岡亮(紙の爆弾2026年1月号掲載)

月刊「紙の爆弾」1月号から一部記事を公開。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。最新号の記事タイトル一覧はホームページをご覧ください。

ボクシングが危険なスポーツであることは誰もが知っている。ただし、選手が命を落とす原因は試合中のダメージだけとは限らない。

2025年8月2日、東京・後楽園ホールの大会で、セミファイナルとメインの出場者である浦川大将(帝拳)と神足茂利(MT)が試合後に急性硬膜下血腫で倒れ、8日と9日に亡くなった。試合そのものよりも、その後の対応が死を招いた可能性が指摘され、安全管理を担うコミッションに「退陣要求」まで噴き上がっている。マスコミが黙殺した舞台裏を明かす。

◆死亡事故へのJBCの対応

浦川は日本ライト級挑戦者決定戦(8回戦)で逆転KO負けし、リング上で意識を失ったまま救急搬送。神足は東洋太平洋スーパーフェザー級戦(12回戦)で判定負け後、控え室で体調が急変し、別の病院へ搬送された。2人の急死後、日本ボクシングコミッション(JBC)は緊急会見を行ない、安河内剛事務局長は「原因を究明して、可能な手をすべて打ちたい」と語った。

しかし発表されたのは、東洋太平洋タイトルマッチを12回から10回に短縮するという不可解な措置だった。重大事故の発生事例が、長いラウンドの試合に偏っているという医学的・統計的根拠はない。むしろ海外の研究では急激な減量やスパーリングの蓄積ダメージなど、試合前の段階でリスクが高まる指摘がある。

そもそも浦川の試合は8回戦だった。また世界戦(12回戦)は対象外で、イギリスでは国内戦も12回戦のまま行なわれている。その後JBCは「緊急事故防止委員会」を設置し、「当日体重10%超増加で強制転級」「尿比重検査」などの案を並べるも、多くはすぐの実施が難しいか、事故と直接の関係が薄いものだ。

大手ジム関係者は言う。

「とりあえず目に見える変更で、私たちは動いていますというアピールをしているだけ。原因究明をしていない」

事故が起きれば、まず原因を徹底的に調査・検証するものだ。医療現場や交通事故まで、あらゆる分野の基本中の基本である。JBCの対応は、この当たり前のプロセスを無視していた。ラウンド数短縮に本当に効果があるというなら、過去の事例を分析し、「事故の〇〇%が10回以降に起きている」といったデータを提示すべきだが、それもない。JBCが本気で責任を果たす気があるなら、まず外部の専門家を含む独立した検証委員会を設置し、調査結果を公表すべきだ。

「それをしないのは、自分たちの落ち度が露になるからでしょう」と話すのは元JBC職員のB氏で、こう続ける。

「今のコミッションの仕事は呆れるほど低水準です。なにしろ穴口一輝さんが亡くなったときの検証だってろくにしていないのですから」

◆前年にも起きた死亡事故

穴口はアマ高校王者からプロ転向、日本バンタム級3位の有望選手だったが、7戦目で挑んだ日本タイトルマッチで4度のダウンを奪われる判定負け。試合後に足が痙攣する異常が見られても、担架すら準備されずに自力で退場。その後控室で倒れ、右硬膜下血腫と診断。長い昏睡状態を経て、2024年2月、23歳で亡くなった。 

しかし、JBCの下で検証委員会こそ置かれたものの名ばかりのチームにすぎず、調査報告すら「誰も見たことがない」とB氏。

当時の取材において、水面下で聞こえてきたのが「搬送先病院」への疑問視だった。

「搬送先のA病院は、緊急の脳外科手術を依頼するにあたり、決して優先度が高いとはいえない病院でした。開頭手術は経験を積んだ医師が担当するのが基本なのに、手術実績が突出して高いとはいえません。もちろんA病院が悪いわけではありませんが、JBCの対応は不可解で、自らの責任が問われるのを恐れて踏み込んだ検証をしなかったのでは」(B氏)

この疑問が挙がった背景には、試合の半年ほど前に、安河内事務局長が職員に「今後の事故搬送はすべてA病院」と指示していたことがある。

「たしかにA病院はコロナ禍の厳しい状況でもボクサーのPCR検査をしてくれるなど協力的だったので、連携相手としてはわかります。しかし、緊急の手術先に指定するのは適切と思えず、他の脳外科医やリングドクターからも同じ声が挙がっていました」(B氏)

筆者が取材した複数の脳外科医からも「なぜA病院?」という反応が返ってきた。こうした専門家の声こそ、検証委員会が調査すべきではないか。しかし問題は放置され、1日で2件の死亡事故が発生した8月の大会でも、浦川はJBCの指示どおりA病院に運ばれていたのである。

それが、さらに別の問題も生んでいた。現場にいた興行スタッフの証言だ。

「試合時には医務室に2人の医師が待機しています。最初の事故でひとりの医師が浦川選手に同行し、所属のA病院へ向かったことで、2件目への対応体制が弱くなってしまったのです」

試合中の事故では、会場から近距離で緊急手術が可能な提携病院を確保することが重要となる。しかし穴口のケースでは、会場の有明アリーナからA病院まで一般道で35~40分と決して近くはなかった。8月の後楽園ホールはさらに遠く20キロ以上、45~55分を要する。これは、JBCの搬送方針に課題があったことを示唆している。少なくとも、穴口の事故後に十分な検証が行なわれていれば、搬送先に別の選択肢もあり得た。

ここから先は https://note.com/famous_ruff900/n/n5d9e530ea4c9

米中日の新局面 高市政権とアメリカ新国家安全保障戦略

東郷和彦/文責・本誌編集部(紙の爆弾2026年2月号掲載)

その成立から不安定な経緯を辿りつつも、2025年10月に始まった高市早苗政権で、さっそく勃発したのが「台湾発言問題」だった。

11月7日の衆院予算委員会で高市首相は、いわゆる「台湾有事」が、日本の自衛隊が参戦する「存立危機事態」に該当しうると答弁。台湾問題は、日中外交において最もセンシティブな位置を占めるテーマである。中国政府は「核心的利益中の核心」、つまり、どんな代償を払っても譲れないと表現している。日中両国政府が合意してきた「1つの中国」の原則に反する内政干渉として発言の撤回を要求した。

もちろん、台湾に関する日本と中国の立場は必ずしも同じではない。しかし、両国の歴史的経緯において、日本の歴代首相は日中関係に害を及ぼさないように、慎重に対応してきた。ところが高市首相はその慣例を破り、「核心的利益中の核心」に正面から触れて個人的意見を述べたのだ。

では、高市首相はこの炎上を予期して、あえて発言したのか。予期していたら言わなかったはずである。周囲から注意を受け、自身も言いすぎたと感じたのだろう。三日後の国会で「今後の反省点として、特定のケースを明言することは慎む」と弁明した。

しかし、高市首相が発言した事実は残っている。発言を撤回しない限り、中国は経済面・交流面をはじめ敵対的な対応を続け、日中関係の悪化が底を打つ見通しはまったく立っていない。

◆靖国と台湾

高市首相が首相に就任したのは10月21日。その直後から、列国首脳との重要な会談が立て続けに行なわれた。

25日から開催のマレーシアでのASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議、およびオーストラリア・マレーシア・フィリピン首脳との会談をはじめとして、28日には東京で米トランプ大統領と会談し、30日からは韓国でAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議およびカナダ・韓国・中国との首脳会談が続き、外交ウイークを走り抜けた。

首相就任前から決まっていたスケジュールであるものの、これを奇貨とし、各国首脳に好意的な印象を残せるかが問われた。そして、総じて良い結果を残したとの評価が大勢を占めた。

最も象徴的だったのは28日、トランプ大統領との会談で、日本の防衛力の抜本的強化と、地域の安定への積極的貢献を宣言した後に、在日米軍横須賀基地で米原子力空母ジョージ・ワシントンに乗艦し、トランプ氏の隣で、満面の笑顔で腕を高く上げて兵士たちにエールを送ったことだった。このジェスチャーに、良くも悪くも驚きを禁じえなかった国民は多くいたはずだ。

30日、高市首相と韓国・李在明大統領との会談も、ともに就任したばかりの首脳同士の新鮮さをアピールした。

こうして高市外交デビューはスマートに始まったかに見えた。しかし、翌31日の習近平国家主席との首脳会談は、異なった結果に終わった。

そもそも、この会談は実現自体が最後の瞬間まではっきりしなかった。中国側が高市首相を、保守色がきわめて強く、日中関係において危険な政治家と評価していた可能性があるからだ。

理由の第一は、高市首相が靖国神社の定期的な参拝者であったことだ。閣僚としても「祖国のために命を捧げた人に参拝しない理由はない」と言って参拝を続けた。

もう一つは、親台湾派を標榜し、幾度も台湾を訪問していたことである。靖国参拝と親台湾。言うまでもなく、この二つの政治姿勢は中国にとって非常に危険に映る。靖国参拝は「合祀されたA級戦犯の正当化」と解釈されるし、親台湾は「一つの中国」という最もデリケートな問題について、国交回復以降の日本政府の認識を揺るがすおそれがあるからだ。

習主席としては、高市首相とあえて今、会談をする理由はなかったかもしれない。それゆえ実現は難しいと見る識者もいた。

しかし、背景にどのような交渉があったかは承知しないが、会談は行なわれ、就任時に祝電を送らなかった習主席が首相就任への祝意を表明。「画竜点睛を欠く」になりかねなかった高市外交は、日中会談を実現したことで面目を保った、かに思えた。

問題が表面化したのは、会談を終えた直後である。高市首相が同行した日本の報道陣に対し、自らブリーフィングを行なった。普通は同行の官房副長官が仕切るものである。そこで高市首相は会談内容を総括し、日中が「戦略的互恵関係を包括的に推進」「建設的かつ安定的な関係を構築」する方向性を確認したと語った。

続いて、高市首相が習主席に対し提起した〝一連の問題〞を列挙した。日本でその様子を中継するテレビ番組に出演していた柯隆・静岡県立大学特任教授(東京財団政策研究所主席研究員)はこれらの問題の中に、「人権問題」「少数民族問題」が入っていることを聞き、一瞬顔色を変え「最初の会談でとり上げるには中国内政上あまりにもセンシティブな話題だ」と述べた。11月7日の日本の国会での台湾有事発言は、これらに続くものだった。習主席にすれば、新任首相と面会すると、いきなり刀を抜かれたわけで、斬り返さなければ、それ自体が中国国内において大問題になり得る。

しかし中国側は、とりあえずは、高市総理の記者会見発言を問題視する対応をせずに、翌日の朝には日本側に望むこととして「村山談話の尊重」と「日中間の4つの基本文書が定めたルールの遵守」を挙げた。これは、高市首相の政治姿勢をふまえ、過去の日中外交の道のりを踏み外さないことを念じ、日本に注意を促すものだった。

ここから先はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n47d4df67a3d5

月刊「紙の爆弾」1月号から一部記事を公開。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。最新号の記事タイトル一覧はホームページをご覧ください。

https://kaminobakudan.com/

日本だけ〝真逆〞の「令状主義」立花孝志逮捕事件が明かす刑事司法の異常

たかさん(紙の爆弾2026年1月号掲載)

月刊「紙の爆弾」1月号から一部記事を公開。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。最新号の記事タイトル一覧はホームページをご覧ください。

最初に断っておくと、本稿はNHKから国民を守る党党首である立花孝志氏の発言内容や行為を肯定・擁護するものではなく、名誉毀損を理由とする逮捕・長期勾留という「権力の使い方」の妥当性を問うものである。

◆刑事訴訟法から見た違和感

2025年11月9日、立花孝志氏が「名誉毀損」の容疑で兵庫県警に逮捕・勾留された。テレビやネットには、「さすがにやりすぎだったから当然だ」「前から嫌いだったからザマーミロ」といった声があふれた。それらは日頃、警察を含めた行政権力に肯定的な人も、否定的な人も、まさに異口同音だった。

だが、本来ここで問われるべきなのは、「立花氏が良い人か悪い人か」「好きか嫌いか」ではない。もっと単純で、しかし根本的な問いだ。

名誉毀損という種類の事件で、本当に「逮捕・長期勾留」が必要なのか?

刑事訴訟法の観点から見ると、この問いに対する答えはかなりはっきりしている。
まず、刑事訴訟法が逮捕・勾留の要件として掲げるのは、

1 罪証隠滅のおそれ
2 逃亡のおそれ

である。これに基づくと、立花氏の事件には、本来「逮捕不要」と考えるべき事情が並んでいる。

・発言内容は動画やSNSとして残っており、証拠隠滅の余地がほとんどない。
・被疑者は公人で、居場所も行動も人目にさらされている。→逃亡の可能性は極めて低い。
・実際に、任意の事情聴取には応じていたと報じられている。

これらの事実を鑑みれば、今回の事件は「在宅のまま捜査・起訴すれば足りる事件」と評価するのが素直な理解だろう。どうしても刑事責任を問いたいのであれば、在宅起訴し、公開の法廷で淡々と有罪・無罪を争えばよい。

それにもかかわらず、最も強力な人身拘束である逮捕・長期勾留が選択された。しかも逮捕から一夜明け、関西テレビ(ヤフーニュース)は次のように報じた。
「立花氏が先月ドバイに渡航していたため、警察は海外逃亡などを警戒して逮捕に踏み切った」

アラブ首長国連邦(UAE)と日本は犯人引渡条約を結んでいないことから、「逃亡のおそれ」を後づけで強調する内容だった。現在、この記事は削除されているが、当時の引用は私のブログにも一部残っている。

その後、関西テレビは、コメンテーターの弁護士を解説役とし、名誉毀損でも逮捕は珍しくないこと、今回の発言が「誰かから聞いた話」であり情報源が明らかになっていないため、取材源と関係する証拠を隠す(証拠隠滅)おそれがある―といった趣旨の説明をしていた。

しかし、冷静に聞けばこれは、「まだ明らかになっていない」→「これから隠すかもしれない」とすり替えて、現在の拘束を正当化するロジックであり、実質的には予防逮捕・予防拘束を肯定する発想に近い。

こうしたコメントが「専門家の見解」として繰り返されることで、本来は例外であるはずの逮捕・勾留が、「よくある普通の対応」として受け止められていく。ここに、今回の事件の第一の異常さがある。

◆「令状主義」が〝行政のお墨付き〞に変質した

次に問題なのは、要件を満たさないはずの逮捕が、なぜ裁判所であっさり認められてしまうのかという点である。

そもそも、日本における「令状主義」は、世界的にみて大きなねじれを持っている。

日本語で「令状」と訳されるwarrantは、英米法においては「国家に人を捕まえさせるための命令書」というより、国家権力の行使に厳格な条件と範囲を与えることで、市民を国家の恣意的な逮捕から守るための文書である。

いつ・どこで・誰に対して・どのような理由で拘束してよいのかを細かく書き込み、その枠を一歩でも踏み越えれば違法となる。

つまりwarrantは、本来は国家権力の「剣」ではなく、市民の自由を守るための条件付きの許可証、いわば市民の「盾」としての意味合いが強い。

日本の刑事訴訟法は原則として、「逮捕には裁判官が発する逮捕状が必要」と定めており、条文だけを読むと、あたかも同じ発想に立っているように見える。

ここから先はhttps://note.com/famous_ruff900/n/ndd5c05c55837

藤田文武維新共同代表「犬笛吹いて逃亡」の責任を追及する

西谷文和(紙の爆弾2026年1月号掲載)

月刊「紙の爆弾」1月号から一部記事を公開。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。最新号の記事タイトル一覧はホームページをご覧ください。

◆「(株)リ・コネクト」マンションを訪ねる

「昨日、西谷さんが(兵庫県内にある私の秘書の)オートロックのマンションに侵入して動画を撮っていました。防犯カメラの動画を警察に通報しています。これ、犯罪行為です。建造物侵入で逮捕されますよ」

2025年11月4日の記者会見で、日本維新の会・藤田文武共同代表が、突然私を名指しして「犯罪者」と決めつけた。

そもそもこの会見は藤田の公設第一秘書が経営する会社に、自身のビラデザイン料や印刷費を発注していたこと、つまり「公金をキックバックさせて、身を肥やしていたのでは?」という疑惑に関する釈明会見だった。

まさかここで逆ギレするとは思わなかったし、私の名前を公の場でさらすことによって正当な取材活動を妨害するような〝犬笛〞を吹くとは思わなかった(犬笛とは、犬にしか聞こえない周波数で鳴る笛のこと。特定の人々を先導する発言を指す)。

勝手に「犯罪者」にされ、名誉を傷つけられた身としては当然反論せねばならない。ちなみに私は逮捕されるどころか、兵庫県警の取り調べも受けていない。代わりに兵庫県警に捕まったのはN党の立花孝志だ(笑)。

本稿ではこの事件の背景と経過について述べてみたい。

しんぶん赤旗日曜版11月2日号のスクープによると、問題の会社は兵庫県西宮市の「株式会社リ・コネクト」。藤田の第一公設秘書が経営していて、チラシ印刷など約2000万円の仕事を受注している。さらに2000万円の内訳を調べると、その約94%が政党助成金や旧文書交通費からの公金だった。

公設第―秘書は年間600?800万円の給与が支給されている国家公務員で、原則として兼業禁止。例外的に兼業届を出せば認められるのだが、この兼業届によれば秘書は(株)リ・コネクトから年間720万円の報酬を受けていた。

つまり公金を自分の秘書が経営する会社に発注し、秘書はそこから報酬を得ていた。つまり税金(秘書給与)と公金(チラシ代金)の二重取りということになる。

(株)リ・コネクトはどんな会社なのか? 7年半にわたって藤田と秘書はどのような契約を交わし、どのような印刷物を作っていたのだろうか?赤旗のスクープが間違っているのだとすれば反論も聞いてみたい。だからスクープが出た翌日の11月3日に(株)リ・コネクトを訪問した。

(株)リ・コネクトが入居するマンションは西宮市の閑静な住宅街にあって、マンション玄関の集合ポストの504号室に社名が貼り付けてある。ペラ1枚の紙がポストに貼ってあるだけ。外形上は「ペーパーカンパニー」「幽霊会社」のようだ。疑念が膨らむ。

会社訪問しようと思い、自動ドアの前に立つとドアが開いた。つまり11月3日午前11時頃の時点で、このマンションはオートロックではなかった。もしオートロックなら私は中に入れなかった。

(株)リ・コネクトが入居するマンション入り口。集合ポストの横のドアはオートロックではなかった。

5階まで上がり部屋の前まで行き会社の呼び鈴を2度押す。返答がないので1階玄関に戻り、テンキーで部屋番号を押す。やはり反応なし。祝日なので社員さんは出勤していないのかな?と思い、大阪にある私の事務所まで引き返した。

この日の夜、インターネットテレビの「アークタイムズ」に出演し、「公金2000万円を受注している(株)リ・コネクトは駅前商店街のようなところではなく、通常のマンションの1室にあって、お留守のようだった」と報告する。

そしてその翌日、藤田は記者会見という注目される公の場で、私の名前を何度か連呼した上で、不法侵入者と決めつけたわけだ。

◆逃げる藤田文武

これを見過ごすと、政治とカネの疑惑を追及する記者が萎縮する。藤田は取材に訪れた赤旗記者の名刺をさらして恫喝めいた行動にも出ている。会見では赤旗に対し「(秘書の)自宅まで行ってピンポン、ピンポン鳴らして」と赤旗を責めていたが、ピンポン鳴らしたのは私(笑)なのだ。

まずは質問状を送ることにした。主な質問は3点。1つ目はもちろん、当該マンションの「オートロック」。私が「不正に開錠して建物内に入った」と断言した根拠を示してもらいたい、と質問。

2点目は、自動ドアから入り、会社事務所のある504号室を訪問したことを、「建造物侵入で犯罪行為である」と繰り返し発言したこと。確かに504号室の前で2回、1階玄関で2回呼び鈴を鳴らした、しかしこれは普通の会社訪問である。どこが「犯罪行為」なのか指摘してほしい、という質問。

最後に「防犯カメラに映っている。警察に通報した」「逮捕されますよ」などの発言は威嚇であって、正当な取材行為への恫喝であるから、発言を撤回し謝罪するつもりはあるか、という質問。

この質問状を大阪府寝屋川市の藤田文武大阪事務所に、11月6日に書留で郵送し、回答期限を11月14日にした。1週間の回答時間を与えて、わざわざ返信用封筒に切手を貼って同封することも忘れなかった。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n2c5522d6af9a

欧州左翼〝復活〞の時代に 日本の左派が見失った「果たすべき役割」

広岡裕児(紙の爆弾2026年1月号掲載)

月刊「紙の爆弾」1月号から一部記事を公開。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。最新号の記事タイトル一覧はホームページをご覧ください。

◆欧州における左翼の健闘

2025年7月の参議院選挙で参政党が14議席、日本保守党も2議席を獲得。自民党で高市早苗総裁が誕生し、首相になった。対して、共産党は4議席減らして3議席に、社民党はかろうじて1議席の確保に終わった。アメリカではトランプが我が世の春である。

こういう情勢だからか、欧州についても極右の台頭ばかりが報道される。

しかし、英国では、ロシアの策謀と推測されるものもあって極右が躍進したが、2024年7月の総選挙で政権を獲ったのは労働党だ。トランプのお友達のブレア元首相以来、左翼とはいえないかもしれないが、右派でないことは間違いない。

半年後のドイツ連邦議会選挙では、極右のドイツのための選択肢(AfD)が152議席を獲って第2党になったが、一方で、左翼党(Die Linke)は、前回2021年の39議席から64議席に躍進した。議員定数は前回735だったのが今回は630であるから、議席の占める割合でいえば、5%から10%に倍増したことになる。

ドイツは小選挙区と比例区の併用で、左翼党の比例区得票率は8.77%である。日本であれば参院選の日本維新の会(7.39%)を上回り、公明党(8.8%)と並ぶ。

左翼党は、ロシア・プーチン政権の侵略に対して明確にウクライナを支持したが、それに賛同できずさらにワクチンや移民政策でも意見が相違した10名の議員が分派している。今回、その分派は、比例区で4.97%を獲得した。5%の最低ラインに達しなかったので議席はないが、これと合わせると、得票率は13.74%である。

日本ならば2024年衆院選での国民民主党を上回る第3位、2025年参院選では国民民主党・参政党・立憲民主党を上回る第2位だ。

フランスにおいては、2024年の国民議会総選挙でメランション党首の左翼政党(注1)フランス不服従(LFI)は577議席中74議席、共産党は8議席を獲得。このほか、右派がマクロン大統領誕生のとき与党に鞍替えした社会党は59議席を獲っている。

欧州議会(705議席)でも同年の選挙で、極右と欧州懐疑派は2020年よりも54議席多い191議席を獲得したが、社会主義・ユーロコミュニズムの欧州統一左派・北方緑左派同盟(GUE・NGL)は、6議席伸ばして46議席を獲っている。このほか無所属の中にも共産党や新左翼がいる。

◆「右」と「左」の争いではない

極右の躍進と左翼の健闘の原因は同じである。格差の拡大。いまや世の中は「右」と「左」ではなく、「上」と「下」の争いの時代なのである。

キーワードは「ソシアル」だ。

日本とフランスで、「リベラル」という言葉はまったく反対の意味を持っている。日本では左派的なニュアンスで使われるが、フランスでは「新自由主義者」のことで右派ど真ん中。サッチャー、レーガン、トランプやテクノ・リバタリアンのような連中のことで、格差の元凶で庶民の敵である。これに対抗するのが「ソシアル」である。

フランスでは、極右のルペンは東西冷戦時代のジャン=マリーのときはフランスで言う「リベラル」の先峰だったが、娘のマリーヌの代になって「ソシアル」を前面に出している。極右の躍進の理由はけっして移民問題だけではない。もっと大きいのは、極右の「ソシアル」化である。

欧州ではもともと、左翼、とくに共産党が労働者の党として「下」の受け皿になっていた。ところが、ソビエト連邦・共産圏の崩壊に加えて、移民や治安問題などについて有効な回答がみいだせないまま右翼が代替となってしまった。だが、ソ連東欧の崩壊から30年余り、左翼が復活しつつあるといえる。

ところが、日本ではまったくそうなっていない。

考えてみれば、日本の右翼にはもともと「ソシアル」のイメージがある。戦前のバリバリの右翼・革新派は、東北の貧農を憂い、大資本家を撃った。対して左翼は、弾圧が厳しかったこともあるが、コミンテルンの日本支部が象徴するように土着できないエリートでしかなかった。

歴史修正主義者によって戦前見直しの空気が醸成されたところに、〝外人〞を不満の捌け口とし、おかしな優越感をくすぐる排外主義日本主義がハマった。

さらに、極めて強いアメリカの影響下にある。

よく「欧米」というが、欧(とくに大陸)と米では全く違う。「資本主義」からして、欧州の資本主義は「ライン資本主義」といわれてアメリカ(および英国)のものとは区別される。ドイツで政権を握っている保守のキリスト教民主同盟(CDU)の創設者アデナウアーは「社会的市場経済」を唱えた。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/na5440c83507a

『紙の爆弾』2月号に寄せて

中川志大 『紙の爆弾』編集長

あけましておめでとうございます。

今月号では昨年12月号に続き、元外交官の東郷和彦氏が、高市早苗首相の「台湾有事発言」と、12月に発表されたアメリカの新国家安全保障戦略をもとに、変動する米中日関係を解説しました。まず、「台湾有事発言」より前に、中国側が高市首相に対し“念押し”をしていた事実に注目。この発言に前段があったことがわかります。一方、アメリカは新戦略文書でバイデン政権時代の「価値観外交」からの転換を表明すると同時に、安全保障の中心を“西半球”に据えると明言しました。詳細は本誌記事をご参照いただくとして、日本にとって問題は、高市氏の外交が今の世界をどう捉えているのかが不明であることです。本誌記事がわかりやすく、事態を読み解きます。

1991年のバブル崩壊を起点とすれば、2026年は「失われた35年」を数えます。経済学者の中尾茂夫氏が前号で指摘したよう、1968年から約40年間、GDP世界2位を保った日本は、2010年に中国に抜かれ3位に、2023年にはドイツに抜かれ世界4位に転落。IMFの予測では、2025年にインド、2030年にイギリスにも抜かれて6位への後退が見込まれています。かつての「中流」が「下流」に押し流される形で、貧困というより格差が拡大。日本全体の国民総生産も転落を辿っていることは、この国の進むべき方向が誤っていることの証左といえます。そのような中で、「日米同盟が日本外交の基軸」「原発は必要で排除すべきは二酸化炭素」「日本人は戦争被害者」「健康は病院と薬がつくる」といった多種多様な“神話”がはびこり、論理的・科学的・歴史的・経験的な事実をやすやすと駆逐し続けてきたのが日本の近現代史です。真実に立ち返り、これら神話をひとつひとつ打破していくことは、本誌の役割といえます。

第2次安倍政権の大スキャンダル「森友事件」の現場である大阪府豊中市の旧森友学園用地は、すでに学園から返却され、国交省=国の所有地となっていますが、国交省はなぜか3度目の調査を行ない、昨年10月3日に「5000トンの埋設ごみが見つかり、撤去費は6億3000万円」と発表。マスメディアがこれを「約2万トンとされた従来の推計量の4分の1に減った」と報道しました。しかし、事件の経緯を追えば、森友学園への「8億円値引き」の根拠とされた埋設ごみが「存在しない」のはすでに明らかであり、ならば今回の「5000トン」は、地中から湧き出るように現れたことになります。これを放置すれば、次の売却においても「不当値引き」が行なわれかねません。森友事件の核心である「埋設ごみ」はどのように偽装されてきたのか。「数字」を追いつつ、真実に迫ります。

ほか2月号では、山上徹也裁判で飛び出した安倍晋三元首相の「潰瘍性大腸炎」詐病証言の真相、アメリカの巨大メディア再編がもたらす日本への影響、「親の虐待」にばかり注目が集まる裏で根深い児童相談所の闇、「文化を守れ」では太刀打ちできない国際金融の表現規制など、2026年も本誌だけの情報と問題提起を発信していきます。

『紙の爆弾』は全国の書店で発売中です。ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2026年2月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2026年1月7日発売

高市政権と米国新国家安全保障戦略 米中日の新局面 東郷和彦
高市首相の大いなる勘違い 台湾有事は存立危機事態ではない 足立昌勝
デマゴーグが闊歩する風土(下)「ニチベイ」と脱亜 中尾茂夫
安倍晋三「詐病」証言から考える 山上徹也の理性と社会の狂気 野田正彰
「旧森友学園用地」で国交省「新埋設ごみ5000トン」発表 国有地から湧き出るごみは背任の証 青木泰
米メディア買収・再編 日本の報道・エンタメはアメリカ企業に乗っ取られる 片岡亮
最高裁が仕組んだ原発八百長裁判の全貌 偽装された社会の本質を見抜こう
“文化論”では闘えない 国際金融が変えた「表現規制」の地形図 昼間たかし
日本の“行政拘束”を考える 児童相談所「子どもの一時保護」の闇 たかさん
「再エネ」と「移民」世界を荒らす怪獣はどこから来たのか 広瀬隆
対米追従一辺倒に戦略はあるのか 多極化する世界に高市外交を問う 木村三浩
LGBT問題の現在「性別変更」をめぐる日本のいま 井上恵子
高市早苗が蘇らせた連合国「日本包囲網」藤原肇
米国マスコミが自主検閲で隠してきた2025年の重大ニュースTop12 佐藤雅彦

連載

例の現場
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
「絶望ニッポン」の近未来史:西本頑司
芸能界 深層解剖

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0GCFDZ4P4/

《1月のことば》夢に生きろ 愛に燃えろ

鹿砦社代表 松岡利康

《1月のことば》夢に生きろ 愛に燃えろ(鹿砦社カレンダー2026より。龍一郎揮毫)

新しい年2026年になりました。

まだ苦境に在り心の底から「あけましておめでとう」とは言えませんが、皆様方のご支持・ご支援により何とか年を越し2026年につなげることができたことを共に喜びたいと思います。

昨年は苦境のさなか、『紙の爆弾』創刊20周年、前年に創刊10周年を達成した『季節』と併せ、単に長く発行してきたことを祝うのではなく、低迷を脱しV字回復を目指して「反転攻勢の集い」を東京と関西にて開催することができ、多くの皆様方にご参集いただき、あたたかい叱咤激励も賜りました。また、ご参加できない方々からは支援金やご祝儀をお寄せいただきました。

しかしながら、意図に反し、なかなか業績が回復せず、歴史的ともいえる猛暑に耐え、年末危機も青色吐息で乗り越え年を越し今に至っています。

これまで私たちは幾多の困難を皆様方のご支援にて乗り越えてまいりました。『紙の爆弾』創刊直後には「名誉毀損」に名を借りて松岡逮捕→長期勾留→有罪判決で会社は壊滅的打撃を被ったこともありました。それでも復活することができました。これに比すれば、まだイケると信じています。

このかん多くの読者の皆様方に物心両面にわたり多大なご支援を賜り、なんとか生き長らえていますが、これもここらで打ち止めにし、まさに反転攻勢に打って出て恩返しをしなければなりません。このままでは終われない。

個人的には、私は今年齢75となり、いわゆる後期高齢者となります。本来なら後継者に道を禅譲すべき歳ですが、何としても現況を脱しない限り、これはできません。私を信じて手を差し伸べてくださった方々の想いを裏切るからです。

私のすぐ上の世代、あるいは私と同世代の方々の訃報が続いています。鹿砦社の裁判闘争を支えてくださった中道武美(くだんの「名誉毀損」事件の刑事案件担当)、内藤隆(同民事案件担当)両弁護士、つい最近では出版界の先輩、社会評論社・松田健二さんらです。みなさん方、名実共にそれ相当の業績を成し亡くなられましたが、私には後世に遺す業績といったものはありません。何としても、ここ数年で将来に遺す本を一冊でも二冊でも出したいと願っています。

ともあれ、新しい年2026年になりました。40年余り前に抱いた「夢に生き」、社是でもある、〈日々決戦、一日一生〉の精神で奮闘することを誓います!

《表紙》『原子力明るい未来のエネルギー』 紆余曲折を経て 今は文字盤だけが倉庫に眠る(絵=鈴木邦弘)

https://www.rokusaisha.com

メガソーラー計画は本当に止まったのか? 田久保眞紀前伊東市長総たたきの真意

高橋清隆(紙の爆弾2026年1月号掲載)

タブーなき月刊誌『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。

「東洋大学卒業」の学歴詐称疑惑が連日マスメディアでやり玉に挙げられ、わずか5カ月で静岡県伊東市長の座を追われた田久保眞紀氏。人口6万3000人の小さな市の首長がなぜ、これだけのことで全国規模のネガティブキャンペーンを受けるのか? 田久保氏がストップを掲げた各事業をつぶさに見ると、地元の建設・不動産・観光など土着利権のみならず、グローバル資本の壮大な思惑が見え隠れする。

◆新図書館建設に影落とす巨大詐欺事件

読者諸賢は、メディアによる伊東市長たたきに学歴以外の理由があることはご察しではないか。「学歴詐称」というなら、東京都の某知事の方が悪質だ。真っ先にメディアが葬っていなければおかしい。

当の田久保氏は、マスコミによる集中砲火の原因をどう捉えているのか?失職から1週間ほど後に面会した筆者が単刀直入に質問をぶつけると、「既得権益を脅かしたからでしょうね」と微笑を浮かべながら、半ば達観したように答えた。

筆者が把握する大きな権益は3つある。一番目は、新市立図書館の建設だ。5月、市長選に立候補した際、選挙広報には4つの公約が掲げられていた。その筆頭が「『新』図書館建設は中止します!!」だった。「将来計画に合わせた公共設備投資を」「市民の声を十分に反映した計画へ見直しを」とつづり、総工費42億5500万円の無駄を糾弾している。

現在、市の臨時駐車場となっているこの用地には、かつて「伊東マンダリン岡本ホテル」が建っていた。被害総額258億円、被害者7800人に及ぶ巨大詐欺事件「岡本倶楽部(クラブ)事件」の舞台である。「会員権を買えば全国の系列ホテルに格安で泊まれる」との触れ込みで200億円以上を集めたが、2011年にオーナーの山口組系組員が組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で逮捕。懲役18年の実刑判決が出て、現在も服役中だ。

件後に閉館した同ホテルは14年に競売に掛けられると、地元建設会社「東和開発」が約5000万円で落札。この約4000平方メートルの土地と建物を伊東市が翌年、約2億500万円で買い上げた。主導したのは、当時の佃弘巳(つくだひろみ)市長。業者から仲介役を通し1000万円以上の現金を受け取ったとして18年に収賄罪で逮捕。懲役2年・追徴金1300万円の有罪判決が確定し、服役した。この事件については、本誌19年11月号に詳述されている。

新図書館建設は佃元市長が議会対策のため後付けで考えたとの証言が明るみに出ている。次の小野達也前々市長は佃氏を特別顧問に迎え、同事業を引き継ぐように推進していた。これに異を唱えたのが田久保前市長で、2025年5月の市長選で小野氏を破り当選する。

市長就任翌日、建設事業の入札を停止し工事を止めた。しかし、地元紙が図書館計画の正式な廃止を報じたのは、失職後の11月14日だった。筆者は田久保氏に、新図書館建設に反対した率直な理由を尋ねた。すると、意外な答えが返ってきた。

「そもそも今、本を借りて読むのに、これほど莫大なお金をかけるべきなんでしょうか。建設費だけでなく、維持費で年間約2億7000万円も支出し続ければ市の財政を圧迫する」

伊東市も他の多くの自治体と同じく、運営を民間委託している。シェアナンバーワンの業者に喰い物にされるのが必定だが、関係職員はそこへの天下りを待望することから、これを推進する立場にあるという。

◆メガソーラー建設計画は本当に止まったのか?

もともと田久保氏が市政の世界に入ったきっかけは、2016年に同市南部の8や幡わた野の地区で大規模太陽光発電施設(メガソーラー)建設計画が明らかになったこと。

およそ100万平方メートルに1万枚のパネルを敷く計画を、当時の佃市長が承認していた。田久保氏は市民らによる反対運動の先頭に立ち、事業を止める条例制定に奔走し、19年に市議に初当選した。

ここ数年、メガソーラー建設問題は伊東市議会でも地元メディアでも大きな話題に上っていない。2018年に「伊東市美しい景観等と太陽光発電設備設置事業との調和に関する条例」(太陽光条例)が制定・公布されたからだ。

翌年、同条例に基づき、工事実施のための河川(八幡野川)占用申請に対し、市が不許可処分を出している。そのせいか、田久保氏らがXにメガソーラー問題に関する投稿をすると、次のようなコミュニティノート(他人が追加する注意書き)が付いてくる。

〈伊豆メガソーラーは田久保氏が市議になる前に前市長と伊東市議会が全会一致で反対して、2019年以降、計画が止まっているのが事実です。〉

しかし、田久保氏は23年9月の市議選の選挙公報でも「メガソーラー建設の完全白紙撤回を」と、新図書館事業中止とともに2大公約の1つに掲げている。実は、市が作成した「太陽光条例」案はメガソーラー建設の抑制を目指してはいるが、許可制でないため、事業を中止する強制力は持っていない。

事業者の「伊豆メガソーラーパーク合同会社」(以下、伊豆メガ)が同条例の効力の確認を求めた裁判では、同条例は勧告に従わない時には事業者の氏名・住所・勧告内容を公表することができるだけで、強制や罰則などの規定はないとされた(判決自体は伊豆メガ側の請求を「却下」)。

「太陽光条例」案提出時、住民の直接請求を受けて作成された別の条例案があった。こちらはメガソーラーを規制できる内容だったが否決されている。

伊豆メガは河川占用不許可処分の取り消しを求め2019年に同市(小野市長)を静岡地裁に提訴し、市側が敗訴。2021年、東京高裁で市側に裁量権の逸脱・乱用などがなかったことが認められるも、敗訴が確定した。

このことから読者は、「佃市長はこっそり業者の土地利用を承認したけど、次の小野市長は市民と一緒に裁判を闘ったではないか」と言うかもしれない。しかし、2021年に市民の情報公開請求により「確約書」の存在が明らかになる。伊豆メガと小野市長の間で同年2月に交わされたもので、「控訴棄却判決が出た場合、所定の手続きの後、速やかに伊豆メガソーラーパーク合同会社の河川占用許可申請を許可する」との項目が含まれる。

会見で同文書の存在を認めた小野氏は、市の弁護士や庁内での協議を経ず、独断で行なったことを認めた。河川占用許可をめぐり係争中の業者との間で結んだ密約とのそしりを免れない。

控訴審判決で裁量権の逸脱・乱用がなかったのが認められたことを受け、伊東市は再度、伊豆メガに河川占用の不許可処分を通知するが、同社はこの処分取り消しを求め再び提訴。現在も裁判が続く。

この間、伊豆メガの代表社員は韓国系のハンファエナジージャパン株式会社から北9州市に本社を置く株式会社「常」に変わっている。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/nd2d4231445b9

「台湾有事発言」は序章にすぎない 日本を襲う高市リスク

孫崎享(文責・本誌編集部/紙の爆弾2026年1月号掲載)

タブーなき月刊誌『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。

◆安倍「台湾有事は日本有事」発言との違い

2025年11月7日、衆院予算委員会での、日本が集団的自衛権を行使可能な「存立危機事態」に関する高市早苗首相の国会答弁が、中国の大きな反発を招いています。主要部分をまとめれば、

「中国政府が台湾に対する海上封鎖を戦艦で行なった場合には、封鎖を解くために米軍が来援する、それを防ぐために他の武力行使が行なわれる事態が想定される」
「台湾を中国北京政府の支配下に置くために戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースだ」

これは、いわゆる台湾有事における自衛隊の対応について、従来の政府見解(あいまいに留める方針)を踏み越え、「中国による海上封鎖」という具体例を挙げて、日本の自衛隊が「参戦」する可能性を示唆したものです。質問した立憲民主党の岡田克也衆院議員も指摘している通り、2024年9月の自民党総裁選出馬時にも高市候補は同様の内容を述べています。彼女が師と仰ぐ安倍晋三元首相も、2021年12月1日に台湾で行なわれたシンポジウムにオンラインで出席し、「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」と発言しました。

しかし、これは首相退任後のことで、在任中はむしろ、台湾との接触を控えてきました。内容も異なります。安倍氏は「台湾有事」とは言っても、自衛隊には触れていません。ただ「日本にとっても有事である」との認識を述べたものです(それでも十分に問題ですが)。

高市首相が自衛隊の対応にまで踏み込んだために、これまで中国の外交部門を中心に反論などの対応を行なってきたのが、今回は軍事部門が前面に出てきました。薛剣(シュエチエン)駐大阪総領事のX投稿「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく切り落とす」が話題になったものの、より注目すべき中国側の反応は、11月13日の人民解放軍広報部門による「日本が台湾海峡情勢に武力介入すれば中国は必ず正面から痛撃を加える」や、国防省の「日本が台湾情勢に武力介入すれば、中国軍の鉄の壁の前で必ず血を流すことになる」との警告です。

中華人民共和国の成立過程を見れば明らかなように、中国政府においては軍事部門が外交部門よりも圧倒的に上位です。政府トップである習近平氏の第一の役職は中央軍事委員会主席であり、国家主席は国際的な舞台における肩書にすぎません。つまり、外交部門の発言よりも、軍事部門の発言・行動の方が、中国政府の中心から発せられたメッセージと見るのが正しく、普段はそれほど表立って発言しない軍関係者が今回、先頭に立って反応を示したことが、まさに〝一線を超えた?事態の深刻さを示しています。

これを一過性の「騒動」のように語る政府・メディア・世論を含めた日本側の認識は甘すぎると言わざるをえないのです。実はこのことこそ、「台湾発言」にとどまらない、高市政権がもたらす日本にとってのリスクなのですが、この点については後に詳しく述べます。

◆〝中国の脅威〞の真相 

台湾をめぐる情勢の緊迫度は確かに高まっています。日本では、まるで習近平主席が暴走を始めたように伝えられてきましたが、いくら中国が急激に力をつけたといっても、それだけで緊迫化することはありえません。近年において、実際に事態を大きく動かしたのは、2022年8月2?3日、米国のナンシー・ペロシ下院議長(当時)による台湾訪問です。

米国ナンバー2といえる人物による訪台は、当然ながら中国から見れば、外部勢力による介入の度合いが急激に高まったと判断されます。同月4日正午に人民解放軍が台湾を取り囲む形で「重要軍事演習」を開始。11発の弾道ミサイルが発射され、うち5発が初めて日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下しました。

すなわち、〝中国の脅威〞は中国が圧力を強めたというよりも、米国が介入の動きを意図的に示したことをきっかけに高まったのです。ここで米中関係について振り返ると、日中共同声明の前年である1971年に、ニクソン政権のキッシンジャー大統領補佐官が周恩来総理と計39時間に及ぶ機密会談を行ない、キッシンジャー補佐官は「いずれ台湾は統一されるであろう」と述べました。このように当時の米国の認識は、「台湾は中華人民共和国の領土の不可分の一部である」とする中国の立場をあえて脅かすものではありません。
 しかし、中国が経済的な発展を遂げ、米国を追い抜く可能性が生まれるにつれ、それを阻止する動きが米国内に生まれます。その戦略の一つとして、米国は台湾問題を利用し始めたというのが現在の情勢に対する中国の認識です。米国の台湾への関与のレベルが上がったことが、中国が軍事演習などの行動に出ている理由なのです。

実際、2015年にGDPの購買力平価ベースで中国がアメリカを追い抜き、アメリカにとってナンバーワンの敵になりました。ウクライナ戦争が継続中でも、国民を含め、ロシアではなく中国こそ一番の敵だということが米国内のコンセンサスとなっています。かつての一時期に存在したウィンウィンを目指す考え方を捨て、いかに中国の影響力拡大を抑えるかが、米国の中心政策となりました。

そこで、米国の軍事シンクタンク「ランド研究所」が2015年から16年にかけて、米軍の委託を受けてまとめた報告書では、かつては中国に対して絶対的優位にあった米軍が、空中戦、サイバー戦など9つの作戦行動のうち、現在において明らかな優位性を保つのはわずか3項目だったと述べ、衝撃を与えました。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n1fba48476652

国家でもAIでもなく〝決済〞が言論を殺す クレジットカード帝国の静かな世界支配

昼間たかし(紙の爆弾2025年12月号掲載)

タブーなき月刊誌『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。

◆通帳の数字が止まると世界が止まる

誰が世界を支配しているのか? 政府か。軍隊か。GAFAか。それともイルミナティか。

全部違う。正解はクレジットカード会社だ。

2社のアメリカ企業が、世界中の決済インフラの90%を握っている。彼らが「ノー」と言えば、どんな合法的なビジネスも瞬時に殺される。裁判も、法律も、民主主義も必要ない。ただ決済を止めるだけでいい。

2024年、日本のインターネットで異変が起きた。4月3日、マンガ・ゲーム等の同人作品のダウンロード販売で国内最大手の「DLsite」が、VISAとマスターカードのクレジットカード決済を停止した。翌日にはアメリカン・エキスプレスも使えなくなり、残ったのはJCBだけだった。

5月21日、クリエイター支援サービス「Fantia」でも、VISAとマスターカードが停止。6月14日、成人向け大手ECサイト「FANZA」がVISAを停止。8月12日、同人誌販売の老舗「とらのあな」からもVISA・マスターカードが消えた。

これらはすべて合法なコンテンツを扱うサイトだ。児童ポルノでも違法な暴力描写でもない。日本の法律で認められたマンガやイラスト、同人誌を販売しているだけだ。それなのに、ある日突然、決済手段を奪われた。利用者が問い合わせても、事業者は「規約違反です」「コンプライアンスです」としか答えない。何が問題なのか、誰が判断したのか、どうすれば解決するのか。何も説明されない。VISAなのか、マスターカードなのか、決済代行会社なのか、AIの自動判定なのか。誰がボタンを押したのか、誰も知らない。

さらに不可解なのは、成人向けとは無関係なサイトまで巻き込まれていることだ。動画投稿サイト「ニコニコ動画」の一部でマスターカード決済が停止され、2024年12月には婚活支援サイト「アエルネ」までVISAに決済を止められた。婚活サイトである。成人向けコンテンツとは何の関係もない。

これは政府による検閲ではない。法律が変わったわけでも、裁判所が命令を出したわけでもない。議会で議論されたこともない。それなのに、合法的なビジネスが次々と殺されていく。「誰も命じていない検閲」が、静かに進行しているのだ。

◆1995年――〝入場券〞が配られた年

時代の分水嶺は1995年だった。この年、アメリカのネットスケープ・コミュニケーションズが世界で初めてSSL暗号化技術を組み込んだウェブブラウザを発表した。これによって、誰もが安全にクレジットカード番号を入力できるようになった。

同じ年の7月に開業したアマゾンは、当初からクレジットカード決済を前提として設計されていた。それまで、クレジットカードは数ある支払い方法の1つにすぎなかった。現金・小切手・銀行振込・郵便振替。選択肢はいくつもあった。カードを持たなくても生活に支障はなかった。

しかし1995年以降、状況は一変した。オンラインで商売をする事業者は、クレカ決済を導入しなければ顧客を獲得できなくなった。消費者は、クレジットカードを持たなければ最新のインターネットサービスを利用できなくなった。現金も小切手も、オンラインでは全く役に立たなくなったのだ。つまり、クレジットカードは「あると便利なもの」から「なければ参加できないもの」に変わった。

カード会社は意図していたかどうかにかかわらず、インターネット経済全体への入場券を握る立場についた。誰がオンラインでビジネスを行なえるか、誰が新しいサービスを利用できるかを、事実上決定する権力を手にしたのである。

そして彼らは、著しく成長した。VISAは1990年代を通じて拡大を続け、2001年までに発行枚数は10億枚を超えた。現在、VISAとマスターカードは中国以外のすべての決済処理の90%を占める。経済学者たちは、この2社の関係を「機能的二重独占」と呼ぶ。ネットワーク効果によって新規参入が事実上不可能だからだ。

その結果、両社の営業利益率はVISAが67%、マスターカードは57%だ。トヨタの営業利益率が約10%であることを考えれば、この数字の異常さがわかる。両社は世界中の人々がお金を使うたびに手数料を徴収する「通行税」で莫大な利益を上げているのだ。

こうして彼らが得た権力の1つが、金融検閲である。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n91f384c9bf98