「6.23」難波屋ライブで、私が話したこと。

尾﨑美代子

いくつかの重要なミッションが終わりつつあるので、少し前のことだが、6.23、あの日のことを書いておく。

正月明けから問題になっている「2秒の視線」問題に関連して6月23日大阪の難波屋で「反戦ライブ」──6.23沖縄戦犠牲者慰霊の日に沖縄の声に耳を傾け、1.31声明、4.3声明に抗するライブをする宣言──というライブが開催された。宮城善光さん、Swingmasaさんらが演奏し、その間に何人かがアピールした。私も、自分は沖縄や辺野古の活動には直接関わってないので躊躇していた。しかし、「2秒の視線」問題については、直接は関わってないが、非常に関心をもってみてきたので、結果、ライブで発言させてもらった。その内容をかいつまんで書いておく。

2026年6月23日大阪の難波屋で開かれた6.23反戦ライブ

その少し前、一連の問題の中で、どなたかがこんな発言をしていた。「本土の支援の方が手作りのゼッケンも持ってきてくれたら、着てみなければならない。歌を歌ってくれれば手拍子のひとつもしないといけない」と。それがずっと頭にこびりついていた。

本人がよかれと思ってやっていることが、現場で闘う人たちにはどううつるのか。負担になることもあるかもしれない。実はそんな体験を私はしていた。

80年代初め東京の日雇い労働者の街・山谷に支援に入っていた時だ。あれは越冬闘争のときだ。私たちの組織は2班に分かれ、24時間体制で入っていた。前日朝8時に越冬闘争会場の玉姫公園に入ったら、翌日の8時までいて、第2班と交代する。公園の活動は朝食準備、片づけ、掃除、相談業務、公園から争議へ、夕食準備、片づけ、ワッショイデモ等々、一日中忙しかった。

24時間体制とはいえ、支援には夜組合事務所などに寝る場所が確保されていた。そんななか、「なぜ支援者だけ暖かい場所で寝るんだ。労働者と行動を共にすべき」と考えた私は「今日は労働者とここで野宿しますわ」と宣言。労働者がいる焚火の間に入らせて貰った。しばらく話していたが、睡魔が襲ってきて、敷かれていた段ボールに横になったらすぐに寝込んだ。翌日は朝食の準備のため5時頃には起きたのではないか。すると、私が寝ていたダンボールを囲んでいた数人の労働者が口々にいうのだ。「ねえちゃん、寒くなかったか」「よう、寝てたわ。疲れてたんやな」と……。私は何をやっていたんだ。

時が過ぎ、釜ヶ崎で似たことがおこった。2019年、釜ヶ崎で労働者や野宿者が寄り所にしているセンターが3月末で閉まるとなった。結局反対の声が多くて、3月末には閉まらず、最終的に暴力的に閉鎖されたのは4月24日だった。センター閉鎖により、昼間センターで安心して寝たり、夕方閉鎖後も周辺で仲間と寄り添って野宿していた人は、完全に外に放り出された。

私は米などカンパしてもらったので、毎日簡単な弁当を作り、野宿者に配った。1日せいぜい10数個の弁当。センターの北側、JR新今宮駅を降りて横断歩道渡ってすぐの場所に、知ってる人が野宿していた。数年前まで仕事に行っていて、私の店にもときおり寄ってくれた人。相手も気づかれたら嫌だろうと思い、最初は彼がいないときや寝ている時に、こっそり枕元に弁当を置いてきた。

ある日、気が付いていた彼が「ママ、ありがとね」というので、翌日からは普通に置いてくるようになった。彼は年上の知り合いと二人で野宿していた。ある日、相方の彼が「ママさん、俺も羽振りが良かったとき、ママさんの店に数回行ったことあるんやで」というので、その後は二人とよく話すようになった。

センター閉鎖後、京都や福井から、いろんな人が現場を見に来てカンパなどを寄せてくれた。そんななか、当時のTwitter(現在のⅹ)でフォロワー数が多い著名な外国に住む日本人女性が来日し、釜ヶ崎にも来たいと連絡してきた。

その日、私は彼女に、新今宮駅を降りて横断歩道を渡ったところで待っていると告げた。そう、あの2人が野宿している場所だ。彼女は少し遅れて、約束のその場所に来た。と思ったら、すぐに野宿する2人にかけより2人の間に入り込んだ。

皆さん、ご存じだろうか。野宿する人のタイプはいろいろだ。簡単なテントを作る人、地べたに段ボール敷き、その上に野宿する人、どこかからもってきた簡易ベッドで野宿する人……。しかし、その2人は、山積みのゴミの上(とはいえ、そのごみは段ボールだったり、漫画本だったり、衣類だったりする)の間で野宿していたのだ。彼女は2人の間に座り込み、誰かに渡すつもりで持ってきた缶ビールを渡し「イエーイ」とピースサインをしてみせた。缶ビールをもらった2人も彼女に習ってピースサインをした。彼女はその写真を自撮りで撮った。

私は、彼女とはほとんど話もせずに別れた。翌日彼女のTwitterを見たらサムネが2人の野宿者と彼女がピースする写真だった。私は確か彼女に「その写真アップしていいの?」と聞いたと思う。彼女の答えは「おじさんが出していいと言ったから」だった気がする。

翌日の彼女のTwitterにはこんな告知があった。「帰国する前に東京に寄るのでオフ会をしたいと思います。参加できる方、DM下さい」。帰国前のオフ会で、彼女は会った方々にこんな話をしたのではないか。「今回日本にきて釜ヶ崎にも行きました。ええ、野宿しているおっちゃんたちとも仲良くすることができました。その証拠がこの写真です。いえい」とか?

私はあの日、越冬闘争が闘われている玉姫公園で、労働者と一緒に焚火の周囲で野宿した話は、その後一回も人に話した覚えはない。以上、6・23難波屋ライブで発言させてもらったことです。

「本土の人が手作りゼッケンもってきてくれたら、着けてみなくてはならない」「歌を歌ってくれたら、手拍子でもしなければならない」。どなたかのあの言葉が忘れられない。

良かれと思ってやったことが相手の負担になったり、運動の妨げになることがある。もっと言えば、良かれと思ってやっている「フリ」をして、じつは活動家、人権派、正義の味方の貴方を輝かせる、目立たせる「ダシ」に使ってはいないか。弱い立場の人たちに寄り添うというとき、私たちはそのことを忘れてはいけない。

写真は以前daysjapanで取り上げられていた、どこかアジアの貧しい国でゴミ処理をする子どもたちをスタディツアーで訪れた日本の学生が一緒に撮った写真。ツアー代金が子どもたちのためになるから、子どもたちもバカ学生と共にポーズを取る。取らざるを得ない。

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

釜ヶ崎 ── 野宿者排除をどうして笑って見れていたのか?

尾崎美代子

2019年3月31日、釜ヶ崎のあいりん総合センターが(以下「センター」、労働者の就労場所、野宿者、生活困窮者らが昼間安心して寝たり、シャワー使ったり、洗濯したりできた場所) 2019年3月31日シャッターを閉め閉鎖されそうになった。シャッターを閉めるため、昼間センター内で横になって休んだり、シャワー浴びたり、洗濯していた野宿者らが強制的に排除されそうになった。労働者や支援者が多数集まり、「シャッター閉めるな」と声をあげ、当日の閉鎖は叶わなかった(その後自主管理を続けたが、4月24日強制排除され、現在は解体工事が進む)。

その際、センター敷地内の外側には多くの「見物人」がいた。もちろん「おっちゃんら、どうなるんやろ」と心配した人もいただろう。その中に明らかにニヤニヤ笑っている人たちがいた。一般の人ではない。普段、釜ヶ崎労働者の生活や権利を守ろうと主張する人たちだ。

この間、釜ヶ崎で起きたある問題をきっかけに、あのとき彼らが笑っていたのか、笑ってなかったのかが問題になったそうだ。その話し合いに私は出席していないため詳細はわからない。ただ、話し合いに参加した一人が私の店にきて「尾崎さんはあの時どう思った?」と聞いてきた。「どう思うも何も、だから私は怒ってちゃんと彼らの顔を撮影してもらったわよ」という。「ええ?」と驚く彼女。そして「どうゆうこと?」

中で「シャッター閉めるな」と声を上げる労働者、野宿者、そして私たち支援者を、センターの外から笑ってみている人たちがいた。怒った私は、16ミリ映画「月夜釜合戦」を撮った佐藤零郎監督の傍に行って、「レオ君、彼ら酷いやろう?撮影してくれない?」と頼んだ。レオ監督も「ひでえな」と言って「はなまま、カメラは彼が回している」とある男性を指さした。その男性が、レオ監督の「月夜釜合戦」で撮影を担当した板倉善之さんだった。私は板倉さんの傍に行って、「あそこでニヤニヤ笑っている人たちを撮影してて」と頼んだ。その後、私は板倉さんがとった映像を確認することはなかった。見るのも嫌だったし、それを何かに使うとか、当時は関係なかったから。

その様子が、今、問題になっているという。あの日ニヤニヤ笑っていた人たちが、「笑ってない」と否定したそうだ。だったら……と私は板倉さんに連絡した。「板倉さん、あの日の映像をチェックしてみて。でも相当長いからゆっくりでいいよ。今使うとかいう話ではないから」と伝えた。「了解しました」と板倉さん、それから数時間後、その箇所を切り取った映像が送られてきた。

ばっちり笑ってますやん。

まあ、それ自体がどうのこうのではない。その他多数の人も映っているため、ネットで公開するとかではない。ただ、何かの時には証拠で出せるのではないか。

彼らが、「よそもの」と呼び続ける私たち支援者を「ばかなことやっている」と笑うのは勝手だ(ちなみに30年近く釜ヶ崎で店をやってる私も「よそもの」認定。長くいるか、来たばっかりかが活動の正当性を決める訳ではないが)。いくらでも笑ってくれ。しかし、そこには野宿者も労働者もいるのだ。何故あんな風に笑えたのか。野宿者や生活困窮者が生活の場を失うことがそれほど面白おかしいことなのか? 彼らも闘いの場では、「労働者が安心してくらせる釜ヶ崎を作ろう!」などのスローガンを掲げていたではないか! しかし、そこに彼らと意見が違って、大阪維新の会が進める西成特区構想に反対しようと訴える私たちがいると邪魔だというのか? 大笑いして闘いを否定しろとでもいいたいのか!それこそ、絵にかいたようなダブルスタンダードではないのか!

まあ、笑っていたとはいえ、竹中直人の芸(竹中直人の代表的な持ちネタ「笑いながら怒る人」は、顔は満面の笑顔でありながら、声や言葉づかいは「バカヤロー!」「ふざけるな!」と激しく怒るという、表情と感情のギャップが強烈なインパクトを与える伝説の芸)と同じで「笑いながら怒ってるんですわ」と言われたらそれまでだが……。

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
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都市のジェントリフィケーションで上澄みをかすめとられる大阪西成・釜ヶ崎

尾﨑美代子

5月7日、西成区内に2館の外資系ホテルが開業した。西成区では初めて。

米マリオネット・インターナショナル経営の「シティエクスプレス・バイ・マリオット」、1館は新今宮駅の近くなでホテル名は「大阪新今宮」、国道26号線沿いの花園町の激安スーパー玉出に近い場所にできた2館目の名前は「大阪難波南」が付く。おい、難波に近い隣駅の大国町あたりでマンション名に「難波南」とつけるところは見かけるが、ここで難波南は無理じゃないか。「難波から2.8キロ南」ならわかるが、どちらかというと「花園町北」だし。ホテルの担当者が「西成にはローカルな魅力がある」とアピールするならば、「激安スーパー玉出南」でもいいのではないか。

それにしても最近やたらと「西成の魅力」が叫ばれる。でもその中身は本当なのだろうかね? 西成は貧しい人、生活困窮者、あるいは刑務所を出た人、家族、会社などから逃げてきた人、いろんな意味で問題を抱えている人でも、ここにくればどうにか生きていける場所だったはず。

しかし、この間そうではなくなっている。それはジェントリフィケーションが進んでいるからだ。ジェントリフィケーション自体の説明は「ジェントリフィケーション、原口剛」などで検索してみて。

10数年前、原口さんに話を聞こうと思ったきっけけは「今釜ヶ崎で起きていることはただの再開発じゃないな」と思ったからだった。ちょうどその頃、原口さんの新刊本『叫びの都市 寄せ場、釜ヶ崎、両道的下層労働者』が発売され、原口さんと酒井隆史さんのトークショーーが難波ジュンク堂であるとわかった。私は時間がなかったが、仲間に行ってもらい、トークショーを録音してもらった。それを聞いたとき「えっ、そんなことが起こるの?」と驚いたものだった。その内容がそのまんま、ある意味順調に進んでいる。

ジェントリフィケーションは世界中で起こっている。それは「ダークワード」で外国などでは、「ケッ、ジェントリフィケーションだ」と周囲の人に睨まれるような内容だ。

ということは釜ヶ崎の町もどんどん悪くなるということ、貧困層が住みにくくなるということだ。

私たちが原口さんの話をまとめ、ジェントリフィケーションの冊子を作り、あちこちで拡散したとき、こんなことがあった。釜ヶ崎で活動するある人がX(当時Twitter)でジェントリフィケーション問題をとことん腐す投稿を始めた。原口さんは「似非学者」とまで言われた。もちろん私たちはそれが誰かすぐにわかった。ネトウヨのような人を馬鹿にする文章の特徴はそうそう変えられないものだ。彼については、ある日、皆で一斉にブロックした。すると投稿をやめた。

何故彼がそんな投稿を続けたか? 答えは簡単だ。彼も「ジェントリフィケーションはダークワード」と認識している。でもジェントリフィケーションを大阪維新の会と共に進めようとしている彼としたら、まさか釜ヶ崎を悪くしようと思われたら困るということだ。常日頃「労働者を守ろう」と言っているからだ。

まあ、そんなことはいい。ジェントリフィケーションは確実に進行して、10数年前原口さんの話を聞き「おいおい、そんなことホントに起こるのかよ」と思ってたことが現実となっている。今後、ここに住む人たちが更に苦しくなるのは必至だろう。

ジェントリフィケーションは町をどう変えていくか、キーワードは「釜ヶ崎の魅力の上澄み(うわずみ)をかすめとる」。

神戸大教授の原口剛さんはこう説明する。

「現在西成で進められるジェントリフィケーションについて、先の強制排除など直接的な排除のほかに、家賃や土地の値段が上がることで住みにくくなることや、街の雰囲気が変わることで、長く住んでいた人たちが住みづらくなる『雰囲気による排除』があると指摘する。

そして、この『雰囲気による排除』にかかわる重大な問題として、「たんに『人情がなくなる』のではなく、一方で『人情』がやたらと強調されたり演出されたりしながら、他方で人情が潰されていくという事態」が起こり得るとし、肝心なのは「生きられる人情」と「売りになる人情」の違いであると指摘する。

「そもそも『人情』というのは、センターで労働者が集まって日常を過ごすとか、そういったことも含めて、いろいろな生活の営みの中で、じっくり長い時間をかけて培われてきたものです。これに対してジェントリフィケーションというのは、実は何ひとつ発明することができない。例えば『人情』の上澄みだけ吸い取って、それを商品化して『下町らしさ』というパッケージにして売り出すということです。そうして『売りになる人情』へと仕立てながら、そもそも『人情』を生み出した担い手を追っ払ってしまう」と。(つづく)

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
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「いのちかがやく」大阪・関西万博で、下請け労働者のいのちが切り捨てられようとしている

6月22日(日)、大国町「ピースクラブ」で開催の原口剛神戸大教授の「釜ヶ崎で考える」反-万博論にお集まりの皆様、お疲れ様でした。

冒頭、主催として何故万博が始まった今、この問題を取り上げるかを少し話させて頂きました。

今回の大阪・関西万博、開幕前予測していた以上の酷い問題が噴出している。中でも釜ヶ崎に関わる者として見逃せないのが工事費用未払い問題。アンゴラ館に続き、ドイツ、セビリア、ルーマニア、そして6月20日最新情報では中国パビリオンでも。中国パビリオンの電気工事を請け負った二次下請け会社社長は、5月に結成された「被害者の会」(万博工事未払い問題被害者の会)の代表と会見し、「国家プロジェクトで未払いがまかり通るのは恐ろしい」と語った。なお、アンゴラ館で未払い状態の5次下請けの業者の下にはひとり親方の業者さんもいる。数か月家賃が払えない人もいるという。

SNSでは「貯金してなかったあんたが悪い」という人もいる。でも問題はそこではない。

「そんなことで文句いうな」「引き受けたあんたらが悪い」と言う人たちもいる。あげく「万博見に来た人たちを笑顔にさせて。そんな笑顔見たら満足だろ」という方も。

いやいやいや、何言ってるんですか? 笑顔見てもメシ食えんから。笑顔ナンボ見ても1980円の古古古古米さえ買えませんよ。

もともとゼネコンがやらない仕事(そこには大きな理由があった)、工期が迫ってる、開幕を延期しないと決めた吉村知事はテレビで「絶対開幕に間に合わせますっ」と豪語し、万博協会も必死で下請け業者に「やってくれ」と頼みこんだ。「だったらやってやろうじゃないか」と、引き受けた業者はそれこそ昼夜問わず働いた。

そんな人たちに未払い、しかも頼み混んだ吉村や協会が解決に取り組まない。あげく、万博来た人たちの笑顔見たら満足でしょう、とは。

協会はユスリカの大量発生やレジオネラ属菌にはすぐに対策本部作ったのに、未払い問題は放置したまま。下請け業者、作業員はユスリカ以下ですか?

そして始まった原口さんトークショー(詳しい内容は仲間が動画にしてくれます。楽しみに待ってください)、休憩を挟んでの質疑応答。何とそこで「被害者の会」の方が発言。会場に来てくれたことに驚き!

私も疑問に思っていたことを聞いた。「なぜ、建設許可証を持たない、建築実務のない業者が入札に入れたのか?」「なぜ建築実務のない広告代理店が関われたのか?」

「被害者の会」の方は必死で答えてくれた。そこには、この万博で維新のお気に入り、維新のお仲間を儲けさせるために、中抜きしやすくするために、従来労働者を守っていたはずの法律というか入札する際の基準を変えていたという余りにえげつない実態が……。

しかも圧倒的に多いのは中国系の業者だ。ここで、原口さんが「中国系の業者と中国の人たちを分けて考えないといけませんね」と注意を! 確かにそうです。

例えば打合せで図面がわずか2枚のペーパーしかないとか。どんな資材を使うかもわからない。そんなことだから、一旦やった仕事にクレームがつきまくり。当然だ。どうやって欲しいか注文する図面が2枚しかないのだから。いくらベテランの業者でもうまくいくはずがない。さっき、ゼネコンがこのタイプのパビリオン建設を断ったのは、こんなところにも理由があったのだ。そのくせ、「守秘義務がありますよ」だの「口外しないように」とどんどん罰則を強めてくる。

この実態を今後広めて行かねば……。下は「被害者の会」の方の投稿です。フォローして応援しましょう!

https://www.facebook.com/share/p/16Nq1BfnuK

【追記】 6月23日、「被害者の会」は大阪府に要望書を提出。その後府庁で会見を開いた。参加した業者の話では、ルーマニア、ドイツ、セルビアの3パビリオンで計約2億3700万が支払われていないとのこと。また被害者は、作業員とその家族を含めると約1000人にも及ぶという。会は未払い金の一時的立て替え、建設許可証なく工事に参入した業者名の公表などを要望、6月27日までに回答するよう求めた。

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
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利権まみれの大阪・関西万博パビリオン建設 ── 維新は、お仲間業者を儲けさすことに必死のパッチ

尾﨑美代子

◆トラブル続きで「死者がでるかも」

維新の会は、お仲間業者を儲けさすことに必死のパッチ。

万博、開幕前予想していたトラブル以上のトラブルが起こっている。アンゴラパビリオンの建設を請け負った下請け業者に、上の業者が4000万円支払ってない件、しかもその上の業者が大阪府から建設許可証をとってないとか、建設の実績はほぼないとか、あり得ない事態もおこっている。

アンゴラパビリオンは開幕日に1日だけ開館し、その後ずっと閉めているって気の毒すぎだし、この件で万博協会が「民間同士の契約トラブルのため関与しない」とつれないそぶりなのも無責任すぎないか。これ、国家事業だろう? 大阪府も市も絶賛推進してただろう? 吉村なんかずっと万博ワッペン付けてただろう。それで「しらんぷり」はあり得んだろよ。下請け業者さん、うえの業者に何回連絡しても繋がらないって。「死者がでるかも」だって。

◆万博利権と類似した釜ヶ崎の労働関連施設建設をめぐる癒着構造

この件で思い出したのが、釜ヶ崎の「あいりん総合センター」の解体が決まって、そこに入っていた2つの労働施設、あいりん職安と西成労働福祉センターが2019年春に、隣の南海電鉄高架下の仮庁舎に移転した件だ。

センターは頑丈な重量鉄骨構造、職安は簡易なプレハブ構造と、構造がまるで違っていた。公金(税金)使う場合は最低限にしなくてはならないのだし、数年しか使わないのだから、簡易なプレハブ作りでよいはずだが。

センター仮庁舎は1517㎡、費用は約7億500万円。同じ規模の公的な建物(警察署とか公民館)と比べても非常に高い(ちなみにプレハブ構造の職安の建設費用は2億3000万円)。センター仮庁舎と同じく4年から6年使用する予定の他の仮庁舎の場合、建設から解体、現状回復までかかった費用は、センターの半分以下の3億円を超えるものはなかったという。センター仮庁舎を作った業者はどれだけ中抜きしているのだ!

当時、私たちもそれを問題にしてきたのだが、行政はその工事は南海電鉄高架下に作るという「特別な工法」なので、南海電鉄関連業者に随意契約でやってもらうしかないと言ってきた。どこがどう「特別な工法」かはわからなかったが、なんと出来て数か月で雨漏りがしたという……出来てすぐに雨漏りがするという「特殊な工法」だったのか。疑問が深まる。

プレハブ構造のあいりん職安
重量鉄筋構造のセンター
[左]開業から2ヶ月で天井から雨漏り。これが「特別な工法」のせいか??/[右]すんごい穴!

と、そんな頃、店の客の仮枠大工の兄さんから「ママ、7億あればけっこうなマンションが建つで」と言われた。「えっ本当?」と思っていたら、ある情報番組でハリウッドの「ヒルズだからビューが素晴らしい」という3階建て300坪、プール付きの大豪邸が約5億円と紹介されていた。建設費用と完成物の違いはあるものの、他でも調べると、ハリウッドのセレブな人たちの超豪邸が7億円未満でいくらでもあるではないか。7億円というのはそういう金額なのだ。セレブな方々の豪邸は何年たっても雨もりなんかしないゾ。

◆パビリオン建設に名を連ねる維新のお友達業者

ほかにもあるパビリオン建設費用の未払い問題で考えたのは、そのいい加減な業者は絶対維新のお友達業者であろうということだ。

維新の松井一郎の親族会社「大通」の主要取引先が南海電鉄グループの企業である住之江競艇場を経営する住ノ江興業で、松井の親族はここの電飾関係の管理や修理を行い儲けている訳だ。

あるいは、大阪城の樹木や大阪各地の街路樹をバッサバサと伐採する造園業「翠宝園」という八尾市の業者は、維新の前田洋輔府議の実家で、その前田府議の職歴見ると、この翠宝園のほかに大通も入っているという。ちなみに彼は松井の秘書をやっていたこともあるという、どんだけわかりやすいお仲間構図なんだ。

星野リゾート前のJR高架下に出来た「屋台村」もずっと閑古鳥が鳴き続けていたが、ついに撤去となった。あそこの連中もきっと維新のお仲間なのだろう。

◆万博会場で販売されていた統一教会系飲料水「メッコール」

そういえば、万博会場で販売されてた水「メッコール」が販売中止となったが、あれは、流石に社会的に問題となってる統一教会の関連業者とバレたからだ。バレなきゃ売り続けていたということか。お仲間業者を儲けさすことしか考えない維新の会。しかし、この万博が維新の会の命取りになるだろう。維新政治を終わらせるために、万博が始まっても万博反対を訴えていこう!

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
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「あいりん総合センター」が解体されたら、釜ヶ崎の困窮者はどこへ行けばいいのだ……

尾﨑美代子

センターが解体される。困窮者はどこへ行けばいいのだ。

5月15日、大阪市議会で、新今宮駅前にどんと建つ「あいりん総合センター」、通称センターが解体されることが決まった。維新の会と共に解体したいと考える人たちは「耐震性に問題がー」と言っていた。しかし、それが嘘だったことは、「問題だー」と叫び始めて以降、何年間も問題視していなかったことからも明らかだ。「老朽化して危ない」ともいわれるが、70年に作られた際、この頑丈な構造物は100年持ちまっせ!と言われてたのだ。その後、何度も震災にあいながら太い柱はそのままだ。何より、ここは釜ヶ崎の人たちが生活するのに重要ななくてはならない場所だった。ここに来れば本当になんとかなった場所だった。それが解体される。次に出来る構造物に、そうした人たちが入れるスペースはほとんどないだろう。

この大量の荷物の下に台車が置かれ、おじさんはそれを必死で押しながら地区内で休める場所を探している

上の写真のように、台車に全財産積んで、休める場所を探す人たちはまだまだ釜ヶ崎の周辺に大勢いる。これらの写真は、この半年の間に撮った写真だ。私が昼のバイトから帰る途中で会うおじさん、高齢で足が悪く5メートルを数分かけて歩く。 

センターがあった時は昼間センターで段ボール敷いて休んでいたのだろう。足も顔も洗えるし、洗濯も出来る。シャワーも浴びれた。釜ヶ崎に来れば、毎日どこかで飯が食える。釜ヶ崎地域合同労組の炊き出しは毎日昼と夕方にある。朝飯や昼飯があちこちでやってる。弁当を配る人たちもいる。中には貧困ビジネスの連中もいる。「うちのアパートに入れますよ」と甘い言葉で勧誘している。いい物件ならばよいが、生活保護費をむしり取る酷いところもある。気いつけてや。 

それでもどこかで飯が食える。冬になれば冬物、夏になれば夏物をあちこちで「放出」してくれる。セーターやジーパンも露店で100円で買える。三角公園の「西村商店」でも300円だ。月初め、西成警察横東側の「子どもの里」で、毎週水曜日、西成警察西側の「いこい食堂」前でバザーが出て、かみそり、石鹸、タオル、靴下、下着も安く買える。生活に困った人には本当に住みやすい釜ヶ崎、そこに住む人たちが大切にしてきたセンター、それが解体される。

この国で、貧困や差別がなくなるというのならばまだしも、今後も生きるのに難儀な人たちはもっと増えていくだろう。 今でも、炊き出しの列には30、40代の人も並んでいるで。

この釜ヶ崎は、本当にふところの広い町。ニッカポッカ履いた鉄筋の兄ちゃんが、立ち飲み屋で大きな縫いぐるみ抱きながら飲んでても誰も何もいわない。女装するおじさんも山ほどいる。誰も何もいわない。いっとき、Tバックで釜ヶ崎を闊歩する兄さんもいたな。さすがにそのままうちの店に入ろうとしたから、「兄さん、店に入るときはズボンはいてな」といったけど。

罪を犯し刑務所に服役し、出てきた人も多い。ある時、店で仕事も年齢も全く違う、ほとんど接点のない客同士が、目で挨拶するのを見た。話はしないが、必ず「元気か」みたいに目で話をしている。親しい客の方に「あの人、知っているのか?」と聞いたら、「刑務所で一緒だった」という。突然店に来なくなり、数年後また顔を出すようになった人に、普通なら「久しぶり。どこへ行ってたの?」と聞くだろうが、私は聞かない。「久しぶりやね」というだけ。病気で入院してたか、借金が膨れて飯場に入ってたか、あるいは服役していたか。間違っても、故郷に戻って家族と楽しく暮らしていた、などという人はいない。素性も前歴も家族の有無なども、こちらからは聞かない。今でこそ、生活保護など受けたから本名を教えてくれる客が多いが、昔は労働者ばかりで、多くは偽名。山ちゃんなんか10人以上いた。のっぽ山ちゃん、ちび山、おデブな山ちゃん、がりがり山ちゃん、黒い山ちゃん、犬好き山ちゃん、女好き山ちゃん……仲間に刺されて亡くなったバンダナ山ちゃん。素性も前歴も関係ない。釜ヶ崎人情ではないが、「誰に遠慮がいるじゃなし じんわり待って出直そう」が出来る町だ。

星野リゾート近くのコインランドリー前に立てられた非常に差別的な幟。「浮浪者出禁」と書かれている

本当にこの町はどうなるのだろう。もう一度言うが、貧困や差別が無くなるのならばまだしも、無くなるどころか増えていくのだから。こういう町がひとつくらいあってもいいではないか。いや、なければ困る人たちがたくさんいるではないか。 

そのために、西成特区構想を進める維新の会こそ解体していこう!

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

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大阪・関西万博開催まで三か月を切り、維新は「機運」を「醸成」しろと言うが…… 尾﨑美代子

◆年末の紅白でも全く取り上げられなかった国家プロジェクト

4月13日の万博開催まで三か月を切ったが全く盛り上がらない。先日関東在住の方とZOOM会議を行った際「万博っていつからですか?」と聞かれた。今日は京都在住の方からも同じことを聞かれた。国家プロジェクトなのに、年末の紅白でも全く取り上げられなかった。

なんというか、この状態、全校生徒からシカトされている、超いじめ状態にあっているようなもの。虐めは虐められる側にも問題があるという人がいるが、私は確実に虐める側に問題があると思う。

しかし万博に関しては、このご時世に万博やろうとブチ挙げた維新の会に大いに問題があると考える。チケットは全く売れてない。企業が買った(買わされた)分が、そのうち大安売りで出てくるだろう。

維新のやることは全てそうだ。大阪城公園の樹木をバッサバッサと切り倒して作られた劇場「KEREN」が開演するとき、ある人から「吉本のお偉いさんに怒られるのでチケット、ただで貰って」とメールがきたね。

新今宮駅北側に星野リゾートが開業したと同時に高架下に造られた「新今宮屋台村」、当初は営業していたが今は閉まったまま。地元で有名なホルモン屋を立ち退かせてまで作った割にはどうなってるんだ。ていうか、カラ家賃、今誰が払ってるんだ。

◆40億円近くかけた「機運醸成キャンペーン」の愚

万博が全く盛り上がらないなか、焦った連中が始めたのが40億円近くかけた「機運醸成(きうんじょうせい)キャンペーン」。昭和どころか、大正、明治なおっさんらがひねり出したこのネーミング。「三者凡退」の世界だな。若い連中で「おっさん、あっすみません。部長、こんなネーミング、ダメダメですよ」という人がいなかったのか?それが一番怖い。こんなネーミングで機運が醸成するかよ! 

「今回はだめだけど、70年万博は良かったね」という声もあるが、そうだろうか。私の住む釜ヶ崎は、先の70年大阪万博開催のため、労働者を大量に集めるために作られた地域だ。釜ヶ崎の研究を続ける原口剛さん(神戸大准教授)によれば、70年万博の工事では、尻無川水門事故で11名が生き埋め死亡、会場造成工事で17人が死亡、開幕後の地下鉄天神橋筋六丁目の建設工事で、ガス爆発で79名死亡、420名重軽傷の犠牲を出すなど、多くの労働者が犠牲になっている。

◆「カジノで儲けて福祉に回す」

工事が遅れに遅れ、開演時に完成してるパビリオンはわずか3ケ国だという。今後突貫工事が必至だろうが、そんな工事現場でさらに犠牲者は増えるだろう。わずか184日間(4月13日~10月13日)の万博のために、多くの労働者が犠牲になり、私たち府民・市民が赤字を背負う羽目になる万博にはやる意味があるのか? しかも、万博開催のために、昨年12月1日、釜ヶ崎のセンター周辺に野宿する人たちがいきなり強制排除された。釜ヶ崎からこそ万博に反対していかなくてはならない。なのに、仲間と作った万博反対のチラシを、釜ヶ崎の越冬闘争の現場で多くのちに読んでもらおうとまいたら、「(公園の)外でまけ」とどやされたそうだ。なぜ?

万博開催の目的は、そのあとに予定するIR・カジノをやるためだ。カジノ(ばくち場)建設のために道路や鉄道を整備の整備費用に税金を使ったら、さすがにまずいと考えた維新は、まずはその前の万博のために道路や鉄道を整備しましたと口実につかった。

元市長の松井は「カジノで儲けて福祉に回す」とのたまった。「父ちゃん、ボートで取ったら、お前らに美味しいモノ食わせてやっからよ」の世界だ。「父ちゃん、住ノ江(ボート)行くのやめて、今日の夕飯のコメ買って」と父ちゃんの足元に縋りつくところだろうよ。

吉村、松井よ! 生活保護のおっちゃんらが月末頼りにしていた激安スーパー玉出のひと玉19円のうどんもなくなったんだぞ。万博、IR・カジノにつぎ込む金は、いますぐ生活に困窮した人たちの生活費用に回せ!

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
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尾﨑美代子著『日本の冤罪』(鹿砦社)
尾﨑美代子著『日本の冤罪』(鹿砦社)
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タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2025年2月号

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釜ヶ崎の野宿者追い出し裁判、最高裁が上告棄却 今の大阪に必要なのは万博やカジノでなく、生活困窮者のセーフティネットの町「釜ヶ崎」です 尾﨑美代子

 
シャッターの閉められたセンター西側には野宿する人たちがいる。行政はわざとゴミを放置し、「野宿者がいるからこんなに汚いのだ」とアピールする

釜ヶ崎の野宿者追い出し裁判、最高裁が5月27日付で上告を棄却しました。

長い裁判のこれまでの経緯を説明します(不足している部分もありますが)。

JR新今宮駅前にドンと建つ「あいりん総合センター」(以下、センター)は長年西成の日雇い労働者の労働・生活の中核となり、野宿者にとっては最後のセーフティネットの場になっていました。

ところがセンターを管理する国と大阪府は、センターの耐震性に問題があるから解体し建て替えるとして、2019年4月に強制的に閉鎖しました。しかし、その後も周辺には多くの人たちが野宿していました。

すると、国と府はそれも認めないと、2020年4月22日、野宿者と、センターに誰でも泊めれるようバスを置いている釜ヶ崎地域合同労組の稲垣浩氏ら22人に対して立ち退きを求める裁判をおこしました。しかも、そのわずか数か月後の7月、本訴が終わるまで時間がかかるから緊急に立ち退かせる必要があるとして断行の仮処分命令を訴えてきました。

これに対して稲垣氏は、仮処分命令が決まって野宿者らがセンターからばらばらに追い出されては、その後本訴を闘うにも団結することが困難だと考え、断行の仮処分命令にも毅然と闘うべきだと訴え闘ってきました。これと闘わなければ、次の闘いも闘えない、当然の判断だと思います。

センターに停めてある釜ヶ崎地域合同労組の車両。24時間誰でも休めるようになっている

 
明らかにヨソから持ち込まれた粗大ゴミ。行政、西成警察はこうした「不法投棄」を取り締まる気もない

この裁判で大阪地裁は12月1日、国と府の断行の仮処分命令を却下しました。野宿者ら被告側の勝利です。却下した理由ですが、国と府は早く立ち退けとの理由に、2008年から「センターの耐震性に問題がある」と主張していましたが、そのセンター問題を考える「まちづくり会議」などで、肝心の耐震性問題が「喫緊の課題」として論議された形跡がないからだというのです。至極真っ当な理由です。しかもこの時点では、センター解体後の跡地をどうするかも具体的な計画案も決まっていないのでした。

その後、本訴である土地明渡訴訟が始まりました。2021年12月2日、大阪地裁は国と府の主張を認め立ち退きを認める判決を下しました。但し、原告(府)が求めていた、全ての裁判が終わるのを待たずに「すぐに立ち退け!」とできる仮執行宣言は認めませんでした。被告側は敗訴しましたが、実質強制排除されることはなかったのです。これもある意味「勝利」でした。

その間、大阪市や西成区は野宿者に対して、生活保護を受けさせ立ち退かそうと説得などを行ってきました。普段は生活保護を受けさせない、あるいは受けたのちにもあれこれ難癖つけて保護をうち切ろうと必死の行政側も「今なら簡単に保護が受けれますよ」と甘い言葉をかけまくってました。

もちろん生活保護を受けるか否かは本人の自由で、受けたい人は既に受けています。それでもなお、様々な理由で野宿にとどまる人がいることも事実です。しかもこの間には、コロナ禍で職を失い困窮し新たにセンターに来た人を何人も見てきました。釜ヶ崎のセンターは社会的に困窮する人たちの最後の砦になっていることは明らかなのです。

人の背丈の3倍ほどに積み上げられたゴミ。行政は「釜ヶ崎をきれいな町に」とほかでは熱心に清掃してるのに

一審で敗訴した稲垣氏と野宿者らは、大阪高裁に控訴しました。大阪高裁は2022年12月14日、地裁判決を支持し、野宿者側の控訴を棄却しました。一方で地裁判決と同じく、最終的な判決が確定する前に強制退去が可能である「仮執行」(強制排除)は認めませんでした。

弁護団によれば、このような事態は極めて異例であるとのことです。野宿者の強制排除を許さないという主張を訴えてきた被告側の闘いの大きな成果でした。その後、被告らは最高裁に上告していましたが、最高裁は5月27日付で上告を認めないという判決を下した、という経緯です。  

現在、野宿者らはいつ強制排除されるかもしれない事態に晒されています。この問題に関心を持たれるみなさんには、ぜひ、今後の動向に注目して頂きたいと思います。

前述したように、大阪府はセンターを解体して出来た更地に何を作るかの具体案も決めていません。私が一番許せないのが、国と府は、耐震性に問題があるとしてセンターの入っていた第一市営住宅を解体しようとしていますが、同時に耐震性に問題のない第二市営住宅まで公費で解体しようとしていることです。

それは駅前により大きなきれいな形の台形を確保することで、一層儲けることが出来るからです。万博、カジノ同様、大阪維新とその仲間たちだけが儲けようという魂胆です。この間の物価高などで困窮者はますます増えていくでしょう。そんななか、生活保護者、野宿者含め生活困窮者が誰に遠慮なく、堂々と生活していける町、それが釜ヶ崎、こういう地域は本当に必要ではないでしょうか。

みなさん、ぜひご支援とご注目を!

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

尾﨑美代子著『日本の冤罪』

弱者に優しくない街になってしまった釜ヶ崎 尾﨑美代子

4月6日(土)の昼前、三角公園の炊き出しに集まった人たちに、仲間が7日(日)に企画した映画「カンタ!ティモール」の上映会のチラシを撒かせていただいた。200枚用意したチラシはあっというまにはけた。企画した仲間はどにかく釜ヶ崎のおっちゃんたちにこの映画を観て欲しいということだった(結果7日の上映会は満席でした)。 

 
朝の無料朝食に並ぶ人たち

チラシ配りのあと私は炊き出しの手伝いに。いつものメンバーの他に学生たちも多数参加していた。私はごはんに野菜たっぷりのスープをかける手伝い。配食時間となり、学生らが「こんにちわ」と声をかけながらおっちゃんらにお椀を手渡す。

どの人も嬉しそう。配食はあっという間に200食を超えた。それでも並ぶ人はまだまだいる。白米も大鍋の野菜スープも残りわずかとなったとき、リーダーの男性が「まずい、まだまだ大勢の人が並んでいる」と慌てた様子で、残った白米を汁に入れ雑炊にしようと言ってきた。私たちは慌てておひつに付いた米粒を一粒も残さないように鍋に入れ、チャチャと雑炊を作りお椀に注ぐ。それでも列が続くため、リーダーが「ちょっと少なめに盛って」という。結局300食は出ただろうか。

「もう終わりですか?」。片づけていると、残念そうに言ってくる男性がいた。大きなリュックを背負った男性は、釜ヶ崎に最近来た感じだ。どこかで「三角公園で炊き出しやってるで」と聞きつけ急いできたのだろう。本当に残念そう(涙)。

 
西成警察署北側にあるいこい食堂。「炊き出しに並ぶのは11時30分から」

釜ヶ崎ではこの三角公園の火曜日、土曜日の炊き出しのほか、釜合労が毎日センターで行う炊き出しもある。ほかにも無料で朝食を提供している団体が何ケ所かあり、どこも連日40~50人は並んでいる。

ほかに週2日、西成警察署北側の「いこい食堂」というボランティア団体が炊き出しを行っている。ここでも毎回200食は出るという。食堂で作って隣接する四角公園で配食していたが、先ごろ四角公園が工事のため長期間閉鎖されることとなった。

いこい食堂の方と支援者が、「公園が全面閉鎖されては炊き出しが出来なくなり困る。工事中でも炊き出しスペースは開けて欲しい」と交渉を続け、認められることとなったようだ。

その交渉の場で、市の職員が「きれいに生まれ変わります」と強調していたという。これに対していこい食堂の方がこう言っていたとそうだ。

「きれいになること=排除されると感じる人が、この町には大勢いるんです」 

私も同感だ! きれいになることが悪いのではない。しかし、誤解を恐れずにいえば、この町に住む人たちは決してきれいな人ばかりではないということだ。生活保護、年金生活の人たちはいずれも貧しく、日々かつかつの生活を送っている。

 
いこい食堂の水曜日のバザー。タオル、靴下などが50円から100円で売られ、おっちゃんらに喜ばれている

生活保護費や年金の支給日を待って、玉出スーパーに大量の食料を買いに行く人、コインランドリーに洗濯に行く人、散髪屋で髪を切る人……。みんな、その日をじっと待っている。普段からカーキ、紺、黒など汚れの目立ちにくい色の服を着る人が多い。髪の毛が伸びても帽子で隠す、洗濯を貯めておく、一食浮かすために炊き出しに並ぶ……。それが悪いことだろうか? どんなに貧しい人でもどうにか生きていける……。それが釜ヶ崎の良さではないのか?

また近年、釜ヶ崎では酒の自販機が次々と撤去されている。自販機前で座り込み、コンビニで買ってきたつまみで安酒を飲むおっちゃんらも、きれいに変貌を遂げる釜ヶ崎では「目障り」なのだろうか。

しかし、カツカツの生活のなか、狭いドヤや福祉アパートで一人寂しく酒を飲むよりは、知り合いが集まる自販機前で仲間とバカ話しながら飲むほうが楽しいではないか。

「ボート取ったからいっぱい奢るで」とラッキーチャンスに巡り合えるかもしれない。携帯電話を持てなかった頃は自販機前が情報交換の場所だった。「山梨ナンバーの車に乗ったらあかんで」(山梨県のある飯場で殺人事件があったとき)。「7日、ふるさとの家の上映会でおにぎりが出るらしいで」。

懲役2年で服役した知人は刑務所である男性と知り合ったそうで、その男性の懲役は知人よりもっと長い。出所後行く当てのない男性は「俺も釜ヶ崎に行きたい」といったという。それに応えて知人は男性にこう言った。「5年後、おれが元気でいたら、毎日足立の自販機前にいるわ。必ずいるから訪ねてこい」と。しかし、その足立の自販機もなくなってしまった(二度目の涙)。

結局、今、釜ヶ崎は社会的な弱者、困っている人たちには、どんどん優しくなくなっているということだ(三度目の涙)。

西成警察署裏の四角公園(萩之茶屋中公園)。藤棚の下はみんなの憩いの場所

無料朝食に並ぶ人たち。今朝はこれまで以上に長い行列ができていた(4月11日筆者撮影)

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。2023年10月に『日本の冤罪』(鹿砦社)を上梓
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

尾﨑美代子著『日本の冤罪』


冤罪を作った人たちを罰することができないならば、冤罪は永遠になくならない 尾﨑美代子

多くの事件で、犯人でない、罪のない人を犯人に仕立てるための「汚れ役」を担わされる人がいる。冤罪と言えるかどうか、先ごろ私の住む釜ヶ崎で、監視カメラにゴム手袋などを被せた件で、釜ヶ崎地域合同労組委員長稲垣浩ら4人が「威力業務妨害」で逮捕・起訴され、一審で有罪判決が下された事案でも、そういう人物がいた。一審で、原告・大阪府側の証人として証言しながら、控訴審の逆転無罪判決で、その証言がほぼウソだったと認定された芝博基氏(当時、大阪府商工労働部参事、以下芝証人)である。

2019年4月、労働者や野宿者らの寄り所であった「あいりん総合センター」が強制閉鎖されたのち、支援者、野宿者らが寄り合いや共同炊事をするために作った団結小屋に、ある日突然、逆方向を向いていた監視カメラの向きが変えられた。

釜ヶ崎周辺の監視カメラについては1990年、稲垣氏らが大阪府を被告として、監視カメラ15台の撤去と慰謝料の支払いを求めて提訴し、1994年大阪地裁が原告らのプライバシーを侵害する恐れがあるなどとして、組合事務所前の監視カメラ1台の撤去を命じる判決を言い渡し、撤去させた実績がある。今回も、稲垣氏と支援者らは同様の理由で、監視カメラのカメラにゴム手袋やレジ袋で被せた。この件でのべ6人が逮捕、4人が起訴された。被告4人は裁判で、この行為はプライバシーや団結権を守るための非暴力的・非破壊的な行為で正当防衛だと主張していた。

一方、芝証人は、カメラの向きを変えた理由について、数日前、センター西側の団結小屋付近と東側でボヤが発生したため防災目的であり、団結小屋に出入りする人たちを監視する意図は全くなかったと証言した。当時、センターは閉鎖したが、上階の「大阪社会医療センター」(以下、医療センター)が業務を続けていたため、再びボヤが起き、「医療センターへの延焼や有毒ガスの発生により入院患者らの生命、身体に対する危険が生じかねない」と、防犯対策の必要性を強調した。

しかし、芝証人は、団結小屋のある西側の防犯対策には必死になったが、玄関や窓がありボヤが起きたら西側より一層患者に危険が及びかねない東側のボヤについては、検証すらまともに行わなかった。そればかりか、カメラに映った犯人がその後どうなったかなどの捜査状況を、西成警察署に問い合わせてもいない。犯人を逮捕する気などさらさらなかったのだ。更に芝証人は、カメラの新設も考えたが「ほかに良い場所がなかったため」、南海電鉄高架下のセンター仮庁舎前の駐車場に向けられていたカメラの向きを、仕方なく団結小屋側に向けるしかなかったと証言した。

一審有罪判決に対して被告3人が控訴したが、稲垣氏の弁護人・後藤貞人弁護士が「控訴趣意書」で、先の芝証言について「芝のこのような供述は虚偽であるか、さもなければ完全に間が抜けている」と厳しく非難した。「新設するのであれば、最も適切な場所は目の前にあると。つまり本件の監視カメラが設置されているポールそのものである。1本のポールに複数のカメラが設置できることは素人にもわかる」と。「控訴審の勝ち負けは95%控訴趣意書で決まります。この控訴趣意書は私が書いたこれまでの中でも3本の中に入ります」と後藤弁護士。その「控訴趣意書」で「間が抜けている」とマヌケ認定された芝証人だが、「汚れ役」をやり遂げたのち、出世したという。

このような「汚れ役」を担う人物が冤罪事件でも良く登場する。拙著「日本の冤罪」から何人か紹介したい。姫路の花田郵便局で2人組のナイジェリア人による強盗事件が発生した事件では、ジュリアスさんがその1人として逮捕・起訴され、有罪判決で服役した。事件後、自首した犯人の1人は、共犯の男はジュリアスではなく、別の男と供述していた。

しかし、ジュリアスさんを逮捕した警察もあとに引けない。裁判では、郵便局から押収したカメラ画像が公表された。郵便局を立ち去る際、犯人の1人が目出し帽を思わず脱ごうとする場面がある。しかし、その瞬間の数秒間にはノイズ(砂嵐)が入っており、ジュリアスではない真犯人の顔はわからなかった。専門家によれば、そのような短時間にノイズが入ることは通常考えられないという。不可解なノイズを作為したのは、ジュリアスが犯人でないことを必死に隠したい警察、検察の仕業ではないのかと疑ってしまう。しかし、法廷で検察は、郵便局から押収した時からノイズが入っていたと説明、「マスクを取ろうとした直後に砂嵐が入って(筆者注・犯人の顔は)映っていませんでした。それでとても残念だったことを覚えています」と白々しく証言した。
 
泉大津コンビニ窃盗事件は、コンビニのレジから1万円札を盗んだとして逮捕、起訴された土井さんが、店から逃走する際ドアをこじ開けたが、ドア右側に土井さんの左手の指の指紋がついたとされた。普通なら左手で左側ドアを開ければよいのではないか。指紋は土井さんの指紋ではあったが、土井さんが良く通うその店に別の日についた可能性がある。にもかかわらず、警察、検察は、事件当日土井さんがつけたものと強弁。しかし、その後、弁護団が事件前のコンビニ入口のビデオ映像を証拠提出させ、そこから土井さんの母親が必死探し、指紋は5日前につけたものであることを発見した。

弁護団は、それを証拠に再度無罪を主張。それでも検察は、犯人が、わざわざ盗んだ1万円札を掴む左手で、身体を無理やりひねって右側のドアをこじ開けるという噴飯もので幼稚な再現実験を法廷でやってのけた。その後土井さんは無罪を勝ち取った。

こうした恥ずかしい「汚れ役」を担う裁判長もいた。神戸質店事件で、質店店主を殺害したとして逮捕、起訴された緒方英彦さんは、一審で無罪判決が下されたが、控訴審で追加証拠もなしに「無期懲役」の逆転有罪判決を下された。大阪高裁の裁判長・小倉正三氏の法廷は「小倉コート(法廷)」と呼ばれている。「裁判官の品格」などの著書があるジャーナリスト池添徳明氏は「非常に形式的でろくすっぽ証拠調べもしない。検察が起訴したんだから有罪だと決め打ちする”小倉コートにひっかかったらもうダメ、それが大阪の弁護士たちの共通認識だった」と痛烈に批判している。そんな小倉には、退任後、旧勲二等にあたる勲章が授与されている。

東金女児殺害事件で逮捕、起訴された知的障害を持つ勝木さんは、担当検事と「金子さん、金子さん」と呼ぶほどの親しい関係になった。そのため裁判では、検事らのいいなりで証言させられ、有罪判決が下された。金子達也検事は、その後栃木県宇都宮地検の次席検事に出世、「今市事件」に関わり、台湾出身で日本語に不慣れな勝又拓哉さんを、同じく女児殺害の容疑で逮捕、起訴し、無期懲役の有罪判決を下した。その後、2017年の福岡高検刑事部長時代、セクハラ行為で減給処分を下されたが、自ら依願退職。今では「ヤメ検弁護士」として活躍しているようだ。

冤罪がなくならないのは、上記のように堂々と冤罪を作った警察や検察が何の罪にも問われないからでもある。警察についていえば、東住吉事件の国賠で、青木恵子さんを逮捕時取り調べた大阪府警元刑事の坂本氏が証人にたった。青木さんに「坂本さん、今でも私を犯人と思っていますか?」と問われ、坂本氏は堂々と「はい、そう思っています」と証言、その理由を「あんた、自供所を自分で書いたでしょ。ほら、きれいな字で」と近所のおっさんのような口調で証言し、裁判長に注意を受ける場面があった。

同じく、再審を勝ち取ったのち、国と滋賀県を訴えた西山美香さんの湖東記念病院事件の国賠では、滋賀県(滋賀県警)側はなんと西山美香さんを犯人視する準備書面を提出してきた。弁護団が猛烈に非難し、撤回はさせたものの、こうした全く反省する気のない警察、検察、そして裁判所を罰せない限り、冤罪は決してなくならないだろう。

12月24日大阪「冤罪と司法を考える集い」

▼尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

尾﨑美代子著『日本の冤罪』