昨年3月7日の”黒船”襲来(つまり英公共放送BBCによるドキュメント放映)以来、わが国の芸能界のみならず社会全体が震撼させられている。言うまでもなく、これまでわが国芸能界を支配してきたジャニーズ帝国の崩壊である。これはその後、宝塚歌劇団の若き劇団員の自死、さらにダウンタウン松本による「性上納」問題へと拡がった。どれもまだ現在進行形で終わりが見えない。

 

『ジャニーズ帝国 60年の興亡』鹿砦社編集部=編

1995年、ジャニーズ事務所による理不尽な出版差し止めによって惹起されたスキャンダル暴露攻勢を始めた際には、まさかここまで来るとは想像だにしなかった。かつてベルリンの壁崩壊が東欧の民主化、そうして巨大なソ連崩壊へと繋がったことを想起する。何度も繰り返して言ってきたが、蟻が象を倒すこともありえ、また針の一穴がダムを崩壊させることもありえるということだ。

四半世紀余りも前からジャニー喜多川による未成年性虐待(当時の言葉で言えば「ホモ・セクハラ」)やジャニーズ事務所による理不尽な芸能界支配を批判、告発してきたわれわれとしては、やはりその〈集大成〉、あるいは〈総決算〉を行う必要がある。

しばらくは事態の推移を眺め、マスメディアからの取材協力要請に協力しつつも、途中からそれに違和感を覚え、『文春』よりも以前から立て続けにスキャンダル暴露に務めてきた立場は、これだけでも自負できることで、今夏から急遽集大成的な書籍をまとめる作業に集中した。

私は長年の不摂生が祟り目の疾患で編集実務が十分にできなくなり編集者としては役立たずになっているが、そうも言ってはおれず執念でことに当たった。

そうして世に送ったのが『ジャニーズ帝国60年の興亡』だ。A5判、2段組み、320ページの大部の本になった。東京新聞紙上で斉藤美奈子さんが「労作」と正当に評価してくれた。他にも幾つか正当に評価してくれた記事を見た。

『東京新聞』2023年11月22日付け

ところで、鹿砦社に対して斉藤美奈子さんにしても栗原裕一郎氏にしても「イエロージャーナリズム」といったイメージで見てきたようだ。2人ともみずからそう言っている。「イエロージャーナリズム」の対極に立派な本来の「ジャーナリズム」なるものがあるのかわからないが、立派な本来の「ジャーナリズム」がこれまでジャニー喜多川による未成年性虐待を放置し隠蔽してきたことに比べればマシだと思う。

また、栗原氏は「小出版社の孤独な奮闘が見直されることにもなった」と評価する一方で、「夥しく出版されたジャニーズ関連本にも怪しげなものが多い」とも詰る。これらジャニーズ関連本、とりわけスキャンダル系、告発系のものには直接私がすべてにわたり精魂込めて編集に関わったので、一冊たりとも「怪しげなもの」はないと自認する。

『週刊読書人』2024年1月5日号

思い返せば、ジャニーズ関連本にも、パチスロ界の雄・アルゼ(現ユニバーサルエンターテインメント)に対する本(4点)でも、さらに大学院生リンチ事件(しばき隊リンチ事件)に対する本(6点)でも、力を抜いたものはなく、生来鈍愚な田舎者である私は精魂込めて「奮闘」した。

その〈返り血〉は、決して小さくはなかった。逮捕・勾留(192日)もされ有罪判決も受けた(このことにより新規の銀行口座も作れなくなった。複数の金融機関を提訴し争ったがすべて敗訴)し巨額な賠償金も支払った。賠償金含め訴訟費用は1億円を越す。安全圏から、あれこれ講釈を垂れるのではなく、みずからが当事者となり身銭を切って「奮闘」してからものを言って欲しいものだ。

鹿砦社のアルゼ告発書籍

いわゆる「イエロージャーナリズム」には「イエロージャーナリズム」の意地がある。元々「芸能人にはプライバシーはない」とする私(たち)にとって、芸能人のプライバシーを時に侵害するのもやむをえない。芸能人たる者、みずからそういう職業を選んだのだから──。

最近、同世代の死が相次いでいる。齢72、もうわれわれの時代ではない。『ジャニーズ帝国60年の興亡』は、私の拙い出版人生の〈集大成〉の一つである。

今、まことしやかで、きれいな言論が増え、「怪しげな」「イエロージャーナリズム」はほとんど見当たらなくなった。そうした中で「孤独な奮闘」をするのもおつなものだ。われながら特異な出版人生だったな(苦笑)。

(松岡利康)

鹿砦社編集部編『ジャニーズ帝国 60年の興亡』A5判 320ページ 定価1980円(税込み)

【主な内容】
Ⅰ 苦境に立たされるジャニーズ
  2023年はジャニーズ帝国崩壊の歴史的一年となった!
  文春以前(1990年代後半)の鹿砦社のジャニーズ告発出版
  文春vsジャニーズ裁判の記録(当時の記事復刻)
 [資料 国会議事録]国会で論議されたジャニーズの児童虐待

Ⅱ ジャニーズ60年史 その誕生、栄華、そして……
1 ジャニーズ・フォーリーブス時代 1958-1978
2 たのきん・少年隊・光GENJI時代 1979-1992
3 SMAP時代前期 1993-2003
4 SMAP時代後期 2004-2008
5 嵐・SMAPツートップ時代 2009-2014
6 世代交代、そしてジュリー時代へ 2015-2019
7 揺らぎ始めたジャニーズ 2020-2023

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315290/

鹿砦社にとっても、私にとっても最大の事件だった、2005年の「名誉毀損」に名を借りた出版弾圧事件の主任弁護人を務めていただいた中道武美(なかみち・たけよし)弁護士が亡くなられました。慎んでご冥福をお祈りいたします。

『救援』10月号より

中道弁護士には、『タカラヅカおっかけマップ』出版差し止め事件(民事。1996年)にも代理人を務めていただきました。

中道弁護士は、1967年10・8羽田闘争で斃れた、かの山﨑博昭さんの高校(大阪・大手前高校)の1年後輩(先輩には東大全共闘代表の山本義隆さんがいます)ですが、当時の時代の空気もあってか、反権力の塊のような方でした。また、死刑廃止の活動にも積極的に関わられました。

「名誉毀損」弾圧後、なしくずし的に音信が途絶えていきました。最後にお会いしたのは2年ほど前でした。

このところ、身近にあった方、お世話になった方、先輩,後輩らの死が続き、いささか滅入っていたところでした。

ちなみに、あまり知られていませんが、かの橋下徹は中道弁護士の弟弁の関係にあり、親弁は、かつてはRG裁判など新左翼系の弁護を先頭になって担っていた樺島正法弁護士で、光市母子殺害事件では、弟弁の橋下が兄弁の中道弁護士ら弁護団に対し懲戒請求を呼びかけ(橋下自身は請求人にならず。却下)、これに怒った樺島弁護士が,今度は橋下を懲戒にかけ(業務停止2カ月)、さらに損賠賠償請求訴訟を提訴するといったこともありました。この件についてご関心のある方はご自身でお調べください。

中道弁護士もそうですが、今後私の歳と前後する世代の方々の死が続いていくものと思われます。直近で著名人としては谷村新司もそうですし、坂本龍一もそうですね。「しんどい、しんどい」と喘ぎながらも仕事に追われているだけで幸せと思わなければ罰があたります。死んだら仕事できないわけですから。合掌。

(松岡利康)

10月23日発売 尾﨑美代子『日本の冤罪』(鹿砦社)

ここ1カ月ほど、28年間追及してきたジャニーズ問題(創業者社長ジャニー喜多川による未成年性虐待とジャニーズ事務所の横暴)を〈集大成〉する書籍(『ジャニーズ帝国60年の興亡』)の編集に追われました。ようやく校了し今月20日頃の発売となります。ジャニーズ問題に対する四半世紀余りの言論活動の〈集大成〉としてA5判・320ページの大著となりました。資料も満載し今後に残るような豊富な内容で、堂々とした本に仕上がる見込みです。28年間も継続して追及してきた私たちにしかできない仕事だと思い、総力で取り組みました。すでにアマゾンなどで予約募集していますので、ぜひ予約申し込みをお願いいたします。

そういうこともあって、『週刊金曜日』鹿砦社排除問題についての追及のほうが休止してしまいました。この問題、少なからずの方々が注視されてきましたが、休止してしまったことをお詫びいたします。決して水面下で裏取引していたわけではありませんよ(笑)。

8月28日にColabo仁藤夢乃代表と『金曜日』植村隆社長宛てに9月5日を締め切りとして書面(質問書)を送りました。

ところが両氏からの返信はありません。仁藤代表、植村社長には森奈津子、黒薮哲哉両氏からも質問書が送られました。植村社長からは(内容はともかく)返信があったとのことですが、仁藤代表からはないそうです。

どうやら仁藤代表は嵐の過ぎ去るのをひたすら待ち、無視に徹し逃げ切ろうとしているのかと推察されます。いつも元気な仁藤代表のようにがんがん反撃していただきたいものです。

問題となった『週刊金曜日』6月16日号鹿砦社広告

 

問題の書『人権と利権』

◆Colabo仁藤夢乃代表への質問事項

私から仁藤代表には6項目の質問を記しました。

1. くだんの『人権と利権』の表紙が「こんなふうにバスを切り刻まれ、ぐちゃぐちゃにされたこと、本当に傷つきました。」とのツイートが全く事実に反するので、「明確な訂正や謝罪、態度表明」を求める。

2. 仁藤代表のツイート後、本件書籍『人権と利権』で森さんと対談を行った埼玉県富士見市加賀ななえ議員に対して仁藤代表と昵懇の太田啓子弁護士、影書房編集者はじめColabo支持者らから激しいネットリンチがなされたが、これに対し「やめるよう忠告したりされた」かどうか。

3. 本件書籍でColaboについて加賀議員は一言も触れておらず、言及しているのは須田慎一郎氏なのに、須田氏に一切触れていなのはなぜか?

4.「Colaboと仁藤夢乃さんを支える会」に当初から大学院生リンチ事件の加害者・李信恵らが名を連ねていることをどう考えているのか?

5. 公開討論を要請するので、植村社長と一緒に出席することを希望するが応じていただけるか?

6. 私に先立って森奈津子、黒薮哲哉両氏からの質問書に対して「誠意あるご回答」を送ることを希望するが、回答しないのはなぜか?

ご覧の上記6点、私は決して無茶なことを求めているわけではないことはご理解いただけるでしょう。

[左]『週刊金曜日』6月30日号に掲載された「おわび」。[右]『金曜日』を屈服させたことを喜々として表明する仁藤夢乃代表のツイート(2023年6月27日付)

◆『金曜日』植村社長への書簡

一方、植村社長とはたびたびやり取りしてきましたが、今回は、大学院生リンチ事件(いわゆる「しばき隊リンチ事件」)の李信恵ら加害者側代理人・神原元弁護士が、植村社長の「慰安婦訴訟」の代理人に就いていたり(両件とも中心的に活動)、本件鹿砦社排除問題の「伏流」に、このリンチ事件があるので、これについて、「『人権』を尊重されるのであれば、ぜひ資料を一瞥され、一人の生身の人間として誠意を持って答えられることを熱望いたします。」と記載し、あらためて大学院生リンチ事件についてのコメントを求めました。植村社長には先にリンチ関連書6冊を送り、今回もこれらの本のあとに発行された未収録の資料の中でも特に重要なものを同封させていただいております。

加えて、仁藤代表と一緒に公開討論を要請し、ぜひ出席されることを求めました。

ちなみに、くだんの『金曜日』掲載の広告代金、請求はしないということでしたが、チャラにしてもらう道理もないので振り込んだところ、現金書留にて返金してきました。人を見下したような不快感を覚えましたので、開封せず、そっくりそのまま返送しました。その後、音沙汰ありません。

同誌7月7日号掲載の敗北宣言と鹿砦社への宣戦布告

さらに追い打ちをかけた同誌8月4日号掲載の鹿砦社絶縁宣言

◆『週刊金曜日』や、植村社長の出身母体『朝日新聞』(と、この系列雑誌)はジャニーズ問題をどう報じたのか?

『人権と利権』を一部(1ページの4分の1)掲載した『週刊金曜日』の広告掲載に対するColaboと仁藤夢乃代表への謝罪に端を発した鹿砦社広告排除と鹿砦社との絶縁問題は、すでに『金曜日』のみならず『紙の爆弾』など鹿砦社出版物における共通した読者の方々にも波紋を広げ、『金曜日』の定期購読をやめた(あるいは定期購読が切れても更新しない)という方が複数知らせてくださいました。

 

植村社長の出身母体『朝日新聞』系列の『週刊朝日』(2019年7月26日号)の表紙。ジャニー喜多川死後に「追悼ジャニーさんありがとう」などと失笑ものの特集を組んでいた

いわゆる「左派メディア」といわれる『金曜日』が、本来なら〈言論・出版の自由〉や〈タブーなき言論〉を先頭になって死守すべき立場にあるにもかかわらず、そうではなかったことが自己暴露されました。

この問題は、冒頭に記した昨今のジャニーズ問題を引き合いに出して言えば、ひとり『金曜日』のみならず、植村社長の出身母体『朝日新聞』(やこの系列の雑誌など)が、長年にわたり(『週刊文春』が告発し勝訴してから20年以上も)ジャニーズ問題を黙過・黙認、放置、隠蔽し、それどころかジャニーズ事務所に忖度しつつジャニーズタレントを積極的に起用したりして来ながら(今はなき『週刊朝日』はジャニー喜多川死後に「追悼ジャニーさんありがとう」などと失笑ものの特集を組んでいます)、海外メディアのドキュメントによって、今頃になってあたふたするという喜悲劇を演じていることにも通じていると思います。朝日時代、社会部記者だった植村社長はジャニーズ問題をどう認識し、どう対応されたのでしょうか?

『金曜日』は創刊30年などとはしゃいでいますが、同誌は30年間に、一般的な性加害問題はたびたび採り上げても、ジャニー喜多川による未成年性虐待をどれほど告発したでしょうか? 20年前に『週刊文春』が告発し激しい裁判闘争で実質勝訴し、未成年性虐待という性犯罪の実態が暴露された時に、『金曜日』がどう対応したか、ぜひご教示いただきたいものです。

さらに、このかんジャニーズ問題が騒がれる中、Colaboと仁藤夢乃代表に近い者らによって、いわば傀儡組織「PENLIGHT ジャニーズ事務所の性加害を明らかにする会」が作られ、「当事者の会」にも近づき入れ知恵をしたりしているといった情報も入ってきています。これまでジャニーズ問題に関わったこともない者が、あたかも「ジャニーズ・ファン」を装い、政治主義的にジャニーズ問題に介入し、あわよくば今後予想される賠償金などの利権やこれに関する第三者機関にありつこうとしているように思われます。これは断じて排斥しないといけません。

手前味噌ながら、私たち鹿砦社は文春よりも5年も早くこの問題に取り組み3度の出版差し止めにも屈せず、文春の告発が始まるまでに15冊の告発系、スキャンダル系の書籍を刊行し、かつその後も大手パチスロメーカーを告発し「名誉毀損」に名を借りて私が逮捕されたり会社が壊滅的打撃を受けたりしました。『金曜日』にはこういうことがあったでしょうか?(この裁判の経過を終結するまで故・山口正紀さんは『金曜日』にレポートされたことが懐かしく想起されます。山口さんらのこのコラムはその後なぜか打ち切られました)

さらにその後、7年間も大学院生リンチ事件(しばき隊リンチ事件)の被害者支援、真相究明に全力で取り組み、多大の返り血を浴びました。しかし私(たち)はこのことで俗に「知識人」とか「ジャーナリスト」といわれる人らに対する判断の基軸のようなものを体得することができました。

『金曜日』には、こうした経験が果たしてあったでしょうか? 安全圏から高見の見物、みずから血を流すことなく、取って付けたようなコメント、きれいな言論でお茶を濁してきたのではなかったでしょうか?

私(たち)から喧嘩を売ることはありませんが、売られた喧嘩は買うしかありません。喧嘩を売っておきながら無視や逃亡は許しません!

株式会社 鹿砦社 代表
松岡利康

先般は、このかん私たちの元に寄せられた皆様方のご意見、激励などを列挙いたしました。日々少しづつ鹿砦社への理解者が増え、他方の『金曜日』への批判も増えています。今回は、植村隆社長が、これみよがしに送って来た、『金曜日』に寄せられたというツイートを掲載いたします。執拗に被害者や鹿砦社を誹謗し続けた「leny φ(^▽^)ノ#鶴橋安寧!」のような「大学院生リンチ事件」(しばき隊リンチ事件)の加害者支持者もいます。

『金曜日』編集部内に蝟集する「しばき隊」「カウンター」の支持者、そして彼らに連携する外部の者らによる鹿砦社や森奈津子さんらに対する非難中傷が下記のツイートです。

あらためてつぶさに見ていきましたが、これぐらいのツイートで困るようでは『金曜日』の近未来が思いやられます。

鹿砦社への非難中傷は、私たちが2014年師走に大阪・北新地で起きた「大学院生リンチ事件」の被害者支援、真相究明を始めてから始まりました。これに関する本を6冊出版し、その都度『金曜日』に1ページ広告を出しましたが、加害者側につらなる編集部員、ライター、読者らは不快を感じたかもしれません。しかし、彼らが日ごろ「人権」という言葉を口にしているのであれば、むしろ虚心坦懐に事件の内容に真摯に向き合うべきではなかったか。

北村肇前社長は、編集部やジャーナリストの中では、暴力に対し、ほとんど唯一真正面から向き合われました。

今回の処置の底流には、件の「大学院生リンチ事件」があります。原一男映画監督が登場する号の裏表紙に偶然鹿砦社の広告が掲載され(つまり、定期的に出していた鹿砦社広告の掲載日として予め決まっていた号で、これに偶然に原監督とSEALDs奥田愛基の対談が掲載されたということで、これが今回の鹿砦社排除の一因になったということですが、これは鹿砦社に責任はありません)、これに激怒した原監督は北村前社長を呼び出し激しく叱責したといいます。われわれの世代にとってカリスマ的存在だった原一男が、たかが広告で激怒するほどケツの穴が小さい人物だったことを知り愕然としたわけですが、その広告にはリンチ関連本の第一弾『ヘイトと暴力の連鎖』が掲載されています。

原一男監督が激怒した『週刊金曜日』1100号(2016年8月19日号)

植村社長には数日前にリンチ事件関連本6冊(その内の1冊には森さんも寄稿)全部を送っておきました。「人権」だ、「反差別」だと言うのなら、言葉の真の意味で一人の人間の人権を尊重し、差別と闘うという崇高な営為について既存の価値観を超えて根源的に考え直すべきでしょう。「人権」や「差別」という内容は『金曜日』や植村社長らが決めるものではありません。今回も、『金曜日』や植村社長らが「差別本」だと決めたから「差別本」だとされるのなら人間の英知など硬直化してしまいます。

植村隆社長(2019年12月7日の鹿砦社50周年の集いにて)

私事になりますが、いまだに鹿砦社の地元・兵庫県では語られる、戦後最大の差別関係の暴力事件とされる「八鹿(ようか)高校事件」(1974年)に於いて、当時赴任したばかりで、私の大学の先輩が激しく暴行を受けました。いまだにネットでは、この場面が名前入りで検索できます。最初見た時は大ショックでした。この事件以来、私なりに差別と暴力ということについて真剣に考えて来ました。「大学院生リンチ事件」の被害者支援と真相究明に関わったのも、心の底にはこの問題がありました。硬直し教条主義化した『金曜日』ごときにああだこうだ言われなくても、差別のなんたるかぐらいはわかっているつもりです。あんた方に言われたくありません。ましてや、今回矢面に立たされている『人権と利権』が「差別本」だと安直に規定することには断固反対です。『人権と利権』で、Colabo、LGBT活動家や利権団体が、まるで「人権は金になる」といわんばかりに跳梁跋扈していますが、その実、利権を求めて蠢いていることこそ、当時の言葉でいえば「糾弾」されなくてはなりません。

今回、『金曜日』によって、『人権と利権』が「差別本」という汚名を着せられ、企画、編集を担当した私や著者の森奈津子さんも、このままでは済まされないでしょう。場合によっては公開討論をやりましょう。こちら側は森さんと私、『金曜日』側は植村社長とColabo仁藤代表が妥当でしょう。11・2『週刊金曜日』創刊30周年大集会の前ではどうでしょうか? 逃げないでくださいね!

言論の多様性をみずから棄て北村肇前社長の遺志に反する、今回の鹿砦社排除が『金曜日』の「終わりの始まり」になることを懸念せざるをえません。

[左]『週刊金曜日』6月30日号掲載「おわび」。[右]Colabo仁藤夢乃代表の『週刊金曜日』に関する6月27日付けツイート

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Sayu
@sayu_nt
コレ読みたいな。コノ本で某界隈が内ゲバしてんでしょ
本屋で週刊金曜日パラ見した時、巻末広告に載ってたからあら?と思ったんだよね。
広告料欲しさに週刊金曜日も内ゲバ始めた?w
さすが鹿砦社w話題作りはうまいねw

@skryta
人権と利権は週刊金曜日に広告が出たと聞いて、ちょっと驚いたのだ。週刊金曜日は本多勝一が編集委員にいたように左寄りの媒体だったはずなのだ。ところが、朝日・毎日と異なり、本書を広告する方にまわったのだ。

hirohiro
週刊金曜日。よくHanadaに記事を書くような人にレギュラー的に記事を書かせるものだ。やはり納得できない。鹿砦社のヘイト広告といい内部が相当おかしくなっているのかな。そろそろ購読継続も考えどきかも。

leny φ(^▽^)ノ#鶴橋安寧!
@LenyIza
トランスヘイターの森奈津子に好き勝手に言わせ、デマを流し続ける鹿砦社に広告枠を提供する週刊金曜日が、また専門家でも無い人間にいい加減な事をしゃべらせる。
ホント、植村隆の見識と能力って信用出来ない。

@shimadakou
週刊金曜日の立ち位置はどうなってんだろう
なんでそんな広告掲載したんだ

spectre_55
鹿砦社、なんで週刊金曜日に出稿できてたんだろ、ジャニーズの性暴力に関する本を(しかもかなり早い時期に)出してたりした記憶があるから「反権力」で?
でもしばき隊云々は置くにしてもなんかあんまマトモな出版社だというイメージないし、あんなヘイト本の広告通したとこに責任はあるよね…

@HqCwkeSAdzCwXF6
週刊金曜日もよく広告オッケーしたなぁ

のんこ≪共に生きよう≫人民だよ
@korieramucho
週刊金曜日どうした?どうした???

purify
週刊金曜日のTwitterアカウントを開くと「広告に依存せず」って書いてあるのに。広告内容を精査しないの?

バンビーナ
@d_bambina
週刊金曜日、もうずっと読んでないけど今は極右の雑誌なの?

@JaHi8SXKvGxebKx
仁藤が、身内と思っていた『週刊金曜日』の広告にケチをつけています。意外なところに敵がいた?

青島清華
@Seika_Aoshima
→編集委員の各氏が積極的に関わっていたとは思えないが、名前が表紙に記載されている以上、何らかの声明をなるべく早く出すべきだろう。
週刊金曜日編集部も広告掲載の経緯を調査した上で対応をしなければ、広告掲載商品に消極的にであっても賛同しているとみなされても仕方がない。

児玉正志
@1967s_yo
マジか?週刊金曜日よ。ちゃんと説明できるんだろうな。

金滿里(新しいアカウントです)
@kD6mD47Tz7XnTxI
何でこれでもか、これでもかって、マスメディアの而も「週刊金曜日」という真っ当なとこと思ってた雑誌までが!どうなってんの?!全部が、吉本か、騙しか、劣化が激しすぎる!

MEP:ラジオネームヘンするウサギ
@mepphyj
Colabo代表仁藤夢乃さんは「週刊金曜日がこの本の広告を裏表紙に」とおっしゃってますが、週刊金曜日は広告収入には頼らないのではなかったでしたっけ?

Tenko chanz ▼・ェ・▼
@T_ichi_jyo
週刊金曜日、創刊時にはその想いがビンビン伝わってきて、定期購読していたが、こんな本を広告として載せるところまで落ちるとは。
なんだか、どこもかしこも劣化が酷くて、しんどいな。

ナょωレよ″丶)ょぅすレナ
@rna
週刊金曜日、どうなっちゃったの?

政治・選挙マニア学生
@xnbh5Gtw1e84pJI
鹿砦社や週刊金曜日が「なんかズレてる」というのは昔からあったんですが。指摘していた人たちを黙殺しておいて、我が身に降りかかった時に初めて「気付く」のですか?

@kuraiseikaku
週刊金曜日終わっとるな。

@kaeshikaji
仲岡さんに対してもめちゃくちゃヘイト行為だし、そもそもこの公告を出す時点で週刊金曜日終わってる、、何も考えないで、ではなかろうし。。

@Miew5dzYiy1hi2s
内ゲバなんていつもの事ってのと
週刊金曜日とは全く切れてないってのと

川上芳明
@Only1Yori
えーっ、「週刊金曜日」が。それはまずい(-_-;)そもそも、私は「鹿砦社」って、かなり危険なというか問題のある出版社だと思っています。「左翼出版社」と思っている方もいるかもしれないけど。
ヘイトを許さない市民の会/人権と民主主義を守る会SK
@nohate38306132
週刊金曜日@syukan_kinyobi
はいい加減鹿砦社との契約打ち切ったら?(*´ω`*)
鹿砦社はもう言論の自由の範囲を逸脱したただのヘイト出版社じゃん

あさり固め
@athalisawali
ていうか週刊金曜日って広告あるの?ないイメージだったんだけど無ってことじゃないみたいなことなん?

てのりん
@trochilidae
「『週刊金曜日』は、広告に依存せず、定期購読主体(書店でも販売)の総合週刊誌」と言いつつ鹿砦社の『人権と利権』の表紙を使った広告を裏表紙に載せるというのは,週刊金曜日編集部もこの森奈津子らの本と同様の問題意識を持っていると考えていいのか.

てのりん
@trochilidae
週刊金曜日までもか……
最悪すぎるだろう

憲法改正反対!改憲阻止を!平和外交を!にっちもさっちもす808
@wshootingstar
そこまでチェックしてないんだろな。週刊金曜日も。

自分 北海道を核のゴミ捨て場にしない
@KiyokawaNozomu
週刊金曜日がヘイト本のような類の本の広告を掲載していたという情報。

仁藤夢乃Yumeno Nito
@colabo_yumeno
週刊金曜日がこの本の広告を裏表紙に載せていたそうです。最悪。どういうつもりなのか。@syukan_kinyobi

これでは「週刊金曜日不買運動」をせざるを得ません。

eve lee gacco インボイス反対
@mocchimochibbb
ちょっと…週刊金曜日…どういうつもりなの

ちまこBlue 魔人
@chimakoBlue
週刊金曜日ヲィ

るい
@tao823906
週刊金曜日っていう誰も読んでいない雑誌。
アホ丸出しw

きんちゃん
@kinchubby666
森奈津子の著書が週刊金曜日に広告として載ってるって…。
何考えてるの@syukan_kinyobi ?

弁護士仲岡しゅん(うるわ総合法律事務所)
@URUWA_L_O
私への殺害予告記者会見を記事にした週刊金曜日から1部送られてきたんですが、裏表紙にこの本の広告が載っていました。
ずいぶん皮肉が効いてるなと思っていたんですが、カラーになるとこんな画像だったとは…。モノクロだったので気付きませんでした。

ジプシー公務員
@Gypsykoumuin
おお…!
「週刊金曜日」が「ネトウヨ雑誌」だと市中に出回る出版物はすべて「ネトウヨ雑誌」になってしまいますな…「前進」が「ネトウヨ雑誌」呼ばわりされる日も近そうで。

蛇舌
@menkaidekinai
「紙の爆弾」って鹿砦社ですよね。確か週刊金曜日も鹿砦社の広告を載せていましたが同社はこの問題をどう考えるのでしょう?

TAKEKAWA
@takekawa45
デマナツ氏の侮辱と共にあった「鹿砦社」
既視感は「週刊金曜日」だったか
手持ちの裏表紙に何冊か載っている
共産党と反共記事を載せたり、デマに近い転載記事を出したりで、この頃は安田浩一さんと田中優子さんの出る号の立ち読みと反共著者のないものだけにしている
社長が編集に無関心だからか

有田芳生
@aritayoshifu
「週刊金曜日」は広告収入に依存しない。本多勝一さんや井上ひさしさんにそう聞いていました。いまは違うんだ。しかも、です。

leny φ(^▽^)ノ#鶴橋安寧!
@LenyIza
週刊金曜日って、人権や差別に本質的に無関心なビジネス新左翼の鹿砦社の広告を未だに載っけるんやねぇ。
ホンマ、週刊金曜日は人権にだらしない。

Flag Lucky in the house(2021年4月から無職)
@tmhk_y
影書房さんに鹿砦社さんよりも高額で広告出してもらえればいいのか?
週刊金曜日は広告に依存しないってことだから別の問題なのか?
ちょっと不気味

aki
@nekonekominmi
週刊金曜日はいい加減に鹿砦社の広告を載せるのを止めた方がいい。言論の自由とヘイトの自由は別でしょ。

hirohiro
@arataka_lie_gen
週刊金曜日は経営状況はあまりよろしくないのかもしれないが、頼むからしっかりしてくださいよ。ヘイト雑誌を広告に載せるなどかなり恥ずかしいことだ。

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◎[関連記事]【『週刊金曜日』鹿砦社排除問題続報】鹿砦社に対する村八分と排除行為は差別そのものであり、北村肇前社長の遺志に反するものだ! 多くの皆様の鹿砦社への支援と激励に感謝します! 板坂剛さん、11・2『週刊金曜日』30周年記念集会へ「乗り込む」ことを提起! 鹿砦社代表 松岡利康

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今回の問題は、「カウンター大学院生リンチ事件」(いわゆる「しばき隊リンチ事件」)に対する、私たち鹿砦社による被害者支援と真相究明に陰ながら不快感を持っていた『週刊金曜日』編集部内の日本共産党としばき隊につらなる人たちによって画策されたものと推察いたします。くだんのリンチ事件の加害者側代理人と植村社長の慰安婦訴訟の代理人兼事務局長は同じ神原元弁護士ですしね。

この非人間的なリンチ事件に関わり始めてから、これについての取材と支援、訴訟などの内容を2016年以来6冊の本にし出版、同時に『金曜日』にもその都度巻末広告を出広してきました。それ以前にも広告は定期的に出広してきましたが、一度たりとも抗議などありませんでした。『金曜日』に抗議がなされ始めたのは、これ以降だと思われます。

これが問題の広告。たった4分の1の小さな広告で大騒ぎする輩と、これに簡単に屈した『週刊金曜日』

北村肇さんによれば、『金曜日』の定期購読者は3つに分かれていて、(1)日本共産党支持者、(2)社民党支持者、(3)無党派だということですが(今はれいわ新選組なども出来たので少し変わったかもしれませんが)、(2)の一部と(3)の読者が鹿砦社の読者と重なるそうです。また、小さな会社なのに組合も3つあり、なにかあればいちいち3つの組合と団交しないといけないそうで疲れるとこぼされていました。北村さんの命を縮めた一因は組合だということは元社員からも聞きました。誤解ないように私たちは組合の存在と活動を否定しているわけではありません。

生前の北村肇前社長。太っ腹な方だった

今回の鹿砦社に対する「ヘイト出版社」扱い、森奈津子編『人権と利権』に対する「差別本」呼ばわりで私たち鹿砦社も、まさに「名誉毀損」に遭っているというほかありません。植村隆社長ら『金曜日』の見解が一方的に喧伝され、特に重なる読者層の方々に誤解を生むことを懸念します。『金曜日』と鹿砦社の力関係は、マジョリティとマイノリティですから。鹿砦社の書籍や雑誌の広告が掲載できなくなることで、ますます私たちの出版活動の内容を外部に知らせる場が一つなくなりました。

今回の件で、『金曜日』に言論の多様性などなく、異論を簡単に排除する左翼教条主義的な組織に成り下がったことを実感しました。今後は「多様性」とか「表現の自由」とか言うなよ!

鹿砦社は「ヘイト出版社」? 森奈津子さんは「差別者」? 人の人権を顧みず、簡単に「ヘイト」だ、「差別」だと言う者こそ差別者だ!

以下、このかん寄せられた読者の皆様方からのご意見です(一部の方を除いてお名前を省いています)。畏敬するゲバリスタ(元・日大全共闘)、板坂剛さんからは11・2金曜日30周年集会へ「乗り込む」ことが提起されました。狂犬・板坂さん一人で乗り込ませるわけにはいかんでしょう。私も抗議のビラ撒きぐらいはやりたいと考えています。行動を共にしてもいいという方はご連絡ください。久しぶりに「老人行動隊」(古い!)を組みましょう! 情宣貫徹! 闘争勝利!

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◆板坂 剛 『マツオカ』へ 1       
 怒りと笑いが同時にこみあげる今回の『週刊金曜日』の広告拒否事件。鹿砦社の出版物に不適切な表現があったから、鹿砦社の広告を掲載するなと、多くの読者から脅迫的な要求があって、それで発行人が今後同誌に鹿砦社の出版物の広告を一切載せないことになったという。完全な倒錯である。
「文春砲」と揶揄され現実の巨悪を撃つ『週刊文春』の足元にも及ばない『週刊金曜日』の末路というべきか。文章で表現された内容に異議があるなら、文章で反論すればいい。
 百歩譲って鹿砦社の出版物の内容を否定するなら、鹿砦社に抗議するのが筋であろう。それを同業他社に広告の掲載を打ち切るように迫るなど卑怯の極み、昭和の右翼が好んで用いたヤクザまがいの手口だ。
『週刊金曜日』の読者がここまで低レベルであったことに驚くと共に、そんな姑息な言動に屈するのは出版人として自殺行為であることを自覚できない『週刊金曜日』の編集者には、もはやジャーナリスト失格であると言い渡しておこう。彼らには自分の仕事に対する意地も誇りもないのだ。今まで『週刊金曜日』を書店で購入したことは何度もあったが、もう二度と買わない。

◆板坂 剛 『マツオカ』へ 2       
 どうも腑に落ちない『週刊金曜日』の鹿砦社に対する広告打ち切り措置。事実上の絶縁宣言であるにもかかわらず「鹿砦社を否定するわけではありません」というヒラ社長のコメント。
「今回の『人権と利権』の広告問題で、『もう鹿砦社の広告をやめるべきだ』という読者の声がさらに強まりました。社内でも『広告取りやめやむなし』いう意見が大多数です」って、ヒラ社長よ「読者の声」「社内の意見」ではないあんたの本音を聞かせてくれと言いたい。
『人権と利権』のどこが問題なのか、自分の言葉で語った上で、今後一切鹿砦社の広告を取りやめる必然性があるのかを説明しない限り、鹿砦社の支持者=読者は納得しないだろう。説明責任を果たさないのは自民党だけで結構。
 11月2日木曜日に日本教育会館一ツ橋ホールで『週刊金曜日』創刊30周年記念大集会が行われるという。私はここに乗り込むつもりである。鹿砦社シンパ関西派の結集を望む。

◆黒薮 哲哉 わたしの新刊の広告も同じスペースで掲載された(週刊金曜日の)号なので、具体的にどのような事情があったのか、週刊金曜日と仁藤氏には説明してほしい。

◆週刊金曜日が鹿砦社の広告掲載を止めた、だけの理由ではなく積もり積もったもの(北村肇さんへの敬意を踏みにじられたことなど)もあり、定期購読を止めました。他人を排斥するなら、自分も排斥されることを知るべきです。

◆本日付の「デジタル鹿砦社通信」を読みました。 6月29日付の記事とあわせ、この間の事情がよくわかりました。松岡さんのおっしゃることは理路整然としており、賛同いたします。
『週刊金曜日』は長く定期購読してきた愛着のある雑誌であり、西宮ゼミでお会いした北村肇さんのお顔も浮かぶのですが、自ら省みることができないようなら区切りをつけるべきかと思案しております。
これに代わる週刊誌が今の日本に無いので困るのですが…。

◆創刊からの購読者でしたが、とっくにやめました。

◆ちょっとひどい ネ、中島氏はやめちゃうし、週刊金曜日にがっかりした。

◆(『週刊金曜日』の)7/7日号確認しました。「社会的には非正規雇用問題を批判しながら、社内に同じ問題を抱え込んでいる」とおっしゃってますが、今回の問題が決定的だったんでしょう。残念です。

◆本多勝一さんのような文章成金がうらやましいですよ。

◆特にというのも変だが2014年のブルデモやリンチ事件のことは今後も何かと付きまとうであろう…

◆週刊金曜日 8/11 1435号読書会から 植村社長鹿砦社決別宣言について さいたま読者から 仲良くしろよ。
と言あり、要は単なる喧嘩口喧嘩のレベルか?
できれば紙の爆弾読書会を開いてこの問題を討議できないだろうか?

◆金曜日に問う
週刊金曜日の植村さんは、自分への攻撃には敏感のようだが、その際の自分の反撃がどういう意味をもっているのかを判断する力は弱いようだ。
反ヘイトなどの運動体の中には、内包する問題を指摘されているところもある。それにつけこんで、誹謗中傷する輩もいる。
しかし、まともな疑問や批判に対しても、誹謗中傷あるいは差別だと逆にレッテル貼りをすることがないとはいえない。
その運動体が社会的にも、さらにさまざまな運動を支持しているひとたちにも、認知をされている場合、この団体が「虐められている」と声を挙げれば、その主張が受け入れられやすくなる。
しかし、大事なことは、事実関係をきちんと押さえ、そのことに歴史的にも理論的にも、正しい解釈をすることだ。感情に流されてはならない。
今回の記事だけでは、当該団体の詳細が分からないので、そのことには触れない。
ここで明らかにされているのは、週刊金曜日が、鹿砦社の出版物の広告を掲載したが、某団体のクレームを受けたら、鹿砦社とは何の話し合いをすることなく、自分が広告掲載を了承した本を「差別的だ」と決めつけたうえ、某団体への謝罪を表明した、ということだ。
右翼の脅迫を受けて、一度出していた会場使用許可を一方的に取り消す自治体の例を想起してしまう。
しかし今回は、ことなかれ主義の自治体が行ったのではなく、言論機関である。それも、一部のリベラル勢力が信頼を寄せているメディアである。
直ちにいい悪いの結論を出す必要はない。
何が問題点であるのか、議論を闘わせてほしい。特に、金曜日に寄稿している人々には、その論争に参加すべき義務がある。

◆「一番弱い所」として生け贄にされた「週刊金曜日」。
カウンター界隈に煽動されたColabo

◆一番の問題点は『金曜日』が鹿砦社を今後無視することだと思う。

◆公開討論を開催するべき案件。

◆「買ってはいけない」の非科学性を(もっと言えば「トンデモ」)を訴え続けた熊野寮OBたちの意見をガン無視し続けた段階で、『週刊金曜日』の購読をやめています。あそこ、サヨクの悪い所を煮詰めたようなところがありますね。

◆う~ん、『週刊金曜日』は左翼なのかなあ。私にはリベラルという認識しかないけど。

◆僕がカタカナで書くときは基本的に「リベサヨ」という、軽蔑的ニュアンスを込めています。

◆松岡さん応援しています。

◆言論弾圧に屈せずに、おかしいことにおかしいと言う松岡さんの姿勢断固支持します。
今日、八鹿高校事件の動画を見ていました。
汗水垂らして働く必要の無い特権階級どもが、デマや暴力で言説を封殺する。今も昔も全く変わらぬ構造に悔しさと虚しさが溢れてきます。
出身や性別や民族やセクシュアリテで括る左派が何故人民大衆に見放されたか。
それは貧しい者、所得の低い者、低賃金労働者を見殺しにし、差別問題や民族問題、LGBT問題にしかとりくまなかったからだ。
左派が被差別者と規定している者たちの中にも、富裕層や搾取収奪を繰り返してきた輩はたくさんいる。
持つ者と持たざるもので分けるべきところ、部落か否か、在日か否か、女性か否か、ゲイか否かで分ける。
こんなふざけたことを未だに続けている。
上記のどれにも当てはまらなくても、ギリギリの生活をしている者はたくさんいる。餓死する人も首括る人もいる。
多くの左派はそんなことなどおかまいなし。彼ら自身が富裕層だから。活動家も2世3世が多い。
労働組合を名のりながら、労働とは無縁の貴族ども。

浅野健一 松岡さんの投稿に賛同します。私が山口正紀さん(故人)、中嶋啓明さんの三人で担当していた「人権とメディア」連載を打ちきり、小林和子編集長(当時)が私を完全排除(植村社長の業務命令)したのも、もう1つのターニングポイントだったと思います。YМ子助教の私の週刊金曜日記事の盗用を不問にしたのも、縁故主義、編集の私物化でした。植村氏は、私に対しては絶縁宣言をしていません。

◆大内問題というタブーも抱えてしまった。タブ―なき雑誌を売りにしていたのにタブーだらけになっては魅力がなくなってしまう。タブーに挑戦する若さも勇気もなさすぎ。

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『週刊金曜日』発行人にして株式会社金曜日社長の植村隆氏がまたしても鹿砦社に対し執拗に“決別宣言”し、鹿砦社の出版活動を非難されています。

植村社長は、同誌最新号1435号(8月4日/11日合併号)に「さようなら、鹿砦社! 長い付き合いに感謝」なる、人を食ったようなコラムを掲載され、言葉は表向き丁寧で、まさに“真綿で首を絞め”ようとするかのような表現で、あらためて森奈津子編『人権と利権 「多様性」と排他性』を「差別本」として規定して詰り、この本を製作・発行した鹿砦社の広告を、今後掲載しないことを内外に公言し、まさに鹿砦社を「ヘイト出版社」扱いし排除、出版メディアの世界において村八分に努めています。まるで『週刊金曜日』は良い雑誌、これを発行する株式会社金曜日は良い出版社で、一方鹿砦社の本『人権と利権』は「差別本」であり鹿砦社は悪い出版社であるかのような口ぶりで、それを判断するのは『金曜日』でありボスの植村社長と言わんばかりです。実際にこう触れ回っている徒輩もいます。

植村社長のコラムが掲載された『週刊金曜日』1435号(2023年8/4、8/11合併号)

問題となった広告 『金曜日』1450号(6月16日号)

この際、植村社長が基にするのが同社の2019年6月20日制定の「『週刊金曜日』広告掲載基準(内規)」なるもので、ここに記載された「差別、プライバシーの侵害など基本的人権を侵害するおそれがあるもの」は「掲載できません」としています。さらには「本誌の編集方針に合致しない企業は掲載しない」とも記載されています。

制定の日付からして、これは植村氏が社長就任してから制定されたものと推察できます。これに基づき、何をもって「差別」とするかの規定、基準を明らかにもせず(『金曜日』と植村社長が「差別」と言えば「差別」?)、『人権や利権』を「差別本」、鹿砦社を「ヘイト出版社」とするのでしょうか? その「内規」で教条主義的に「差別本」「ヘイト出版社」と判断されてはたまったものではありません。そういう「内規」というものは〈死んだ教条〉ではなく、〈生きた現実〉の中で、その時々で検討され改善されていくものではないでしょうか。『金曜日』の体質としてよくいわれるのは教条主義的ということですが、まさに〈左翼教条主義〉といえるでしょう。

人の世には、人それぞれ多様な意見や生き方があります。私たちは多様な言論を尊重し最大限それらを汲んで雑誌や書籍を編集・発行しているつもりです。『金曜日』や植村社長はこのことを自ら否定し、異論を排除せんとしています。異論や多様な言論を主張する私たち鹿砦社を、いわゆる「リベラル」「左派」界隈において村八分にしようとしています。排除はやめろ! 村八分はやめろ! 

植村隆社長(2019年12月7日の鹿砦社50周年の集いにて)

◆鹿砦社の広告をめぐる問題

長いこと(創業54年)出版社をやっていれば広告が問題となることは何度かありました。いい機会ですので、2件ほど挙げてみます。

一つは、古い話ですが、鹿砦社第二次黄金時代(第一次は1969年の創業から70年代前半、第三次は2010年代前半)の1995年、毎日新聞との訴訟です。別掲の記事の上部の広告ですが、毎日新聞に念願の全面広告を出すことになり、代金(内金)300万円も代理店を通じ支払い、版下も送り、東京本社版、大阪本社版ともに日程も決まっていたのに、その数日前にドタキャンになりました。これも毎日新聞の内規に触れ「品位を汚す」ということでした。やむなく東京地裁に提訴、高裁まで争いましたが、結果は敗訴。勝ち負けの問題ではなく、異議申し立てが目的の提訴でした。

『週刊現代』2018年5月15/12日合併号 この左上の広告が毎日新聞社により掲載拒否された

もうひとつは、『金曜日』です。これは鹿砦社の広告の掲載日が、偶然に映画監督・原一男とSEALDs奥田愛基との対談の号とバッティングし、これに原一男監督が激怒、当時の北村肇社長を何度も呼び出し理不尽な抗議を行い、すでに病に冒されていた北村社長の死期を早める結果となりました。われわれの世代にとってカリスマだった原監督が実は器の小さい人間だったことがわかり私(たち)を落胆させました。

この件では、鹿砦社になんの非もありません。また、『金曜日』についても、広告掲載の号を前週か次週にするなどの工夫はしたほうがよかったかもしれませんが、それは結果論で『金曜日』にも非はありません。原監督の子どもじみた“抗議”こそ批判されるべきでしょう。

『週刊金曜日』1100号(2016年8月19日号)

そして、今回の問題、これは『金曜日』が鹿砦社の広告をしっかりチェックせず掲載したことが問題ではなく、広告主の鹿砦社や、くだんの本の編者・森奈津子になんの打診もなく、Colabo仁藤代表や取り巻きらの抗議にあわてふためき、安易にColabo仁藤代表に謝罪し、さらには、あろうことかイエローカードを飛び越して一気にレッドカードへ、今後の鹿砦社の広告を掲載しないことを決定したことが問題ではないでしょうか。

今よく使われる言葉に「多様性」という言葉がありますが、これはどこの世界でも尊重されねばなりません。「釈迦に説法」かもしれませんが、多様な言論は、創刊30年、本多勝一という著名な記者になよって設立された『週刊金曜日』こそが大事にすべきではないんじゃないですか? 『金曜日』に比べ歴史が浅い創刊18年の『紙の爆弾』は、松岡利康と中川志大という無名の二流編集者によって創刊されましたが、そんな私たちに“説教”されるようではダメですよね。

◆私たちの危惧

『週刊金曜日』やブックレット/書籍などの出版物と、『紙の爆弾』をはじめとする鹿砦社の出版物の読者は重なっている部分があります。かつて北村肇さんに聞いた話ですが、『金曜日』の読者は、①共産党支持者、②社民党支持者、③無党派の3つに分けられるとのことです。このうち①共産党支持者が「極左」とする鹿砦社の出版物を支持するわけはありませんから、②の社民党支持の一部と③の無党派の方々が『紙の爆弾』や鹿砦社出版物の読者と重なると思われます。

この意味で、植村社長による、このかんの再三にわたる鹿砦社非難は、とりわけ無党派の方々へ鹿砦社があたかも「ヘイト出版社」であるかのような強い印象を与え、打撃が大きいです。

さらには、寄稿者や著者も『金曜日』と重なっている方々もおられます。『金曜日』の編集者や関係者が、『紙の爆弾』、反原発情報誌『季節』の寄稿者らに、本件のことをたずねられたら、どう答えるのか? 多様な言論を自ら棄てた人たちの物言いがみものです。

鹿砦社は創業50数年、独立独歩、自律した小出版社として、芸能から社会問題までの中で大手メディアが報じない領域の出版物を数多く世に送り出してきました。今20年遅れで大手メディアが取り組んでいるジャニー喜多川未成年性虐待問題も、文春報道・訴訟の以前の95年から取り組んでいます(なので英BBC放送は逸早く鹿砦社に連絡してきたわけで私たちは多くの書籍や資料を提供したわけです)。また、「名誉毀損」に名を借りた逮捕・勾留によって壊滅的打撃を被ったこともありました。しかし、それでも挫けず這い上がってきました。

『週刊金曜日』というカリスマ雑誌のトップに詰られると、『金曜日』と重なる無党派の読者や寄稿者の方々にマイナスイメージを与え、これこそ名誉毀損で被害も決して小さくありません。

昨今よくいわれる、マジョリティ、マイノリティの物差しで言えば、『金曜日』は圧倒的にマジョリティであり、鹿砦社は遙かにマイノリティです。しかし、真理が常にマジョリティに在るのではなく、時にマイノリティに在ることもあります。この点、心ある読者や寄稿者、著者の皆様方のご判断に委ねたいと思います。

◆『金曜日』は他人を詰る前に自らを律せよ! 脚下照顧、内部矛盾を解消してこそ他人を批判できる!

 

中島岳志編集員辞退の言 『週刊金曜日』1453号(2023年7月7日号)

長年『金曜日』の編集委員を務めてこられた中島岳志氏が、時を同じくして編集委員を辞退されました。鹿砦社の問題とは直接関係はないとは思いますが、まずは『金曜日』は自らの足元や内部を反省し改善することが先決ではないでしょうか。

中島氏は「保守派」を自認されていますが、多数いる編集委員の中で『金曜日』でこの立場を堅持することは大変です。「リベラル」、あるいは「左派」を自称する人たちが多い『金曜日』の編集委員の中では調整役として中島氏の存在は貴重だったと思われます。

そうした中島氏がいなくなり、一時は親密だった鹿砦社を排除した『金曜日』がますます「しばき隊」化し、偏狭化していくことが懸念されます。他人の家の中のことにあれこれ口出すわけではありませんが……。

偶然かもしれませんが、鹿砦社広告掲載拒否、中島岳志編集委員辞退は、『金曜日』の今後の行方にとってターニング・ポイントになるかもしれません。

◆「カウンター大学院生リンチ事件」(別称「しばき隊リンチ事件」)について植村社長の見解を問う!

2016年以来、私たち鹿砦社が、会社の業績に影響があることを承知で関わってきた事件が、「しばき隊リンチ事件」ともいわれる「カウンター大学院生リンチ事件」です。事件から来年で10年が経とうとしています。激しいリンチを受けたM君はいまだにPTSDに苦しんでいます。

私と植村社長に共通するのは、「慰安婦訴訟」の植村社長の代理人と、「大学院生リンチ事件」関係訴訟の加害者側代理人に神原元弁護士が中心的に関わっていることでしょうか。神原元弁護士は大学院生M君リンチ事件を「でっちあげ」と強弁していますが、2014年師走に大阪北新地で、李信恵ら5人によって集団リンチが行われたことは厳とした事実であり、これは一連の訴訟の最後になって大阪高裁がリンチがあったこと、李信恵らが連座し、被害者の大学院生が瀕死の重傷を負っているのに放置して立ち去ったこと等を認定し、訴訟の骨格ともいえるこの部分が鹿砦社の逆転勝訴となりました。

被害者の大学院生(その後博士課程修了)の訴訟も併せ、被害の程度からすると遙かに低額の賠償金を加害者5人のうち2人に課しながらも「勝訴」とはいえ決して納得のいくものではありませんでしたし、裁判所は、決して被害者や市民の側に立って判断しないことを、あらためて思い知りましたが、このことは「慰安婦訴訟」で敗訴が確定した植村社長なら同じ想いを持たれることでしょう。

私見ながら、植村社長の「慰安婦訴訟」も、この大学院生リンチ事件に関する一連の訴訟も、黒薮哲哉氏が指摘されるように「報告事件」(詳しくは生田暉雄元大阪高裁判事著『最高裁に「安保法」意見判決を出させる方法』を参照してください)だと思っています。

『金曜日』や植村社長が「人権」を口にするのであれば、神原弁護士はじめリンチ事件(と、この隠蔽)に直接、間接に関わった人たちが『金曜日』の誌面に何人も登場していること、一時は毎回鹿砦社の『金曜日』広告には、一連のリンチ事件関係書(6点)の広告を出広していたことなどから、この事件について植村社長の見解をぜひお聞かせいただきたいと要請し拙稿を閉じたいと思います。

株式会社 鹿砦社 代表
松岡利康

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本年も7月12日がやって来ました。鹿砦社にとっても私個人にとっても重要なメモリアルデーでした。事件があった2005年の7・12から早18年が経ちました。再来年で20年となります。会社にとっては壊滅的打撃を被りましたし、また私にとっても人生最大の苦難でした。毎年この日を迎えると、「よくぞ生き延びてきたな」と、いささか感傷的になると共に、まだこの世界でやることが残っていると思います。いい機会ですので、われわれの会社・鹿砦社の社史を簡単に振り返ってみましょう。

◆創業の頃

当社の創業は1969年(昭和44年)、70年安保を前にして国内のみならず世界中が騒然としていた時代です。沖縄はまだ米国領、ベトナムでは戦争が続いていました。最初の出版は、マルクス経済学者、中村丈夫編『マルクス主義軍事論』、時代を象徴するような本です。鹿砦社という社名も中村丈夫先生が命名されました。「鹿砦」とは、辞書を紐解けば鹿の角などで作った「山城」、今で言えば「バリケード」(死語?)ということですが、敵の攻撃や理不尽なことに対してはバリケードをこしらえ徹底抗戦せよ、という意だと解釈しています。

その後、『ブハーリン裁判』『クロンシュタット叛乱』『マフノ叛乱軍史』『左翼エスエル戦闘史』(これらは風塵社で復刊されています)等々、ロシア革命の捉え返しを中心として革命の意味を問い直す出版を続けます。当時関係した方々はほとんど亡くなられていますが、『続・全共闘白書』を編纂された前田和男さんは今でも生き残り老戦士として頑張っておられます。この頃はまだ私は入社しておらず熱心な一読者でした。一読者が、読んでいた本の版元の代表になるとは皮肉なものです。

しかし時代が70年代、80年代と推移するにつれ、こうした本も売れなくなり経営も厳しくなっていきます。

最初の出版『マルクス主義軍事論』とその広告

◆私が経営を引き継いでから

そうした中、80年代後半に私が経営を引き継ぎ、しばらくはそうした路線を踏襲していましたが、やはりにっちもさっちもいかなくなり、ちょっとした縁で一気に芸能暴露本路線へ転換、一時はこれが成功し「暴露本出版社」として世間に名を挙げます。これが性に合ったのか芸能路線は、いわゆる暴露本のみならず今に至るまで継続しています。それまでの鹿砦社をご存知の方には驚かれましたが、私にとってはロシア革命も芸能も等価とみなしています。

今、社会的に問題となっているジャニー喜多川未成年性的虐待問題も、『週刊文春』がキャンペーン始める以前の90年代半ばからパイオニア的に相次いで出版しています。なので、今春突如日本で報道され大きなインパクトを与えた英国BBCのドキュメントも最初当社に問い合わせがあり、簡単なレクチャーと当時の多くの書籍・資料を送り協力した次第です。現在多くの日本のマスメディアが20年遅れで採り上げていますが、こうしたマスメディアの態度が性的虐待の被害を広めたといえます。遅いです! 私たちは少部数ながらどんどん出版を世に訴えていたのですから。その後、唯一、採り上げたのが『週刊文春』でした。

また、芸能暴露本と同時並行的に継続していた社会問題書もラジカルに出版を続け、あまり知られていませんが出版差し止め5度、遂には代表の私が「名誉毀損」に名を借りて逮捕されるという前代未聞の事件になります(2005年)。捜査は取次3社(トーハン、日販、旧大阪屋)や製本所、倉庫会社はじめ取引先など広範囲に及び、特に取次3社は検察の求めに軽々に応じ販売資料を提出するという愚を犯しました。平素は「言論・出版の自由」を叫びながらこの体たらく、頑と拒否してほしかったところです。いや、拒否すべきでした。

鹿砦社弾圧を報じる朝日新聞(大阪本社版)2005年7月12日朝刊

結局6カ月余り勾留され有罪判決(懲役1年2カ月、執行猶予4年)と600万円ほどの高額賠償金を課せられ(刑事、民事とも最高裁で確定)、会社は壊滅的打撃を被ります。ちなみに、これまで1億円を越す訴訟費用(賠償金含む)を使いました。

それでも読者や取引先、ライターの皆様方のご支援で奇跡的に復活し、事件前の水準を遙か凌駕する売上を上げるに至ります。べつに自慢するわけではありませんが…。一方当時本件を指揮した神戸地検特別刑事部長は別件の証拠隠滅で逮捕、失脚し、また刑事告訴し高額訴訟を提起した遊技機(パチンコ/パチスロ)メーカー創業者社長は政府高官への贈収賄容疑で海外で逮捕、遂には自らが作り育てた会社からも放逐されます。「鹿砦社の祟りか、松岡の呪いか」と揶揄される所以です。

◆新型コロナ来襲! 再び苦境に

そうして新型コロナ禍──またまたどん底に落とされました。手持ち資金数千万円をあっというまに溶かし、さらに新たな負債を積み上げながらも、ここでも読者、取引先、ライターの皆様方のご支援で、ようやく苦境を脱しつつあります。当社は土壇場に強いといわれますが、さすがに齢70を越すと、体にも心臓にもよくありません。

前述の「名誉毀損」弾圧事件の直前に月刊『紙の爆弾』を創刊しましたが、モットーは「タブーなき言論」です。創刊時には「ペンのテロリスト」と自称していました。

最近では『紙の爆弾』の増刊号で森奈津子=編『人権と利権--「多様性」と排他性』を発行いたしました。「顰蹙は金を出してでも買え」とは幻冬舎・見城徹社長の名言ですが、本書も四方八方から顰蹙を買い、あっというまに完売です。「炎上商法」を意識したわけではありません。

2019年、創業50周年を皆様方に祝っていただき、年が明けたら新型コロナ襲来です。コロナが来なければ、左団扇で後進に道を譲り勇退していたでしょうが、コロナによる(だけでもありませんが)打撃で背負った負債を消していくために、まだまだ「老人力」でもって奮闘しなければならないようです。昔風に言えば「闘争勝利!」です。

当面の目標は再来年(2025年)の月刊『紙の爆弾』創刊20周年ですが、満身創痍の50年余の社史を想起するに、冒頭に記したように、よくもここまで生き延びてきたものだと、あらためて感傷的になります。

7月12日、運命的な逮捕から18年が経ちました。いろいろあった鹿砦社の歴史の一端を紹介させていただきました。

歴史の彼方に忘却されつつある〈7・12〉のことを想起いただければ幸いです。

(松岡利康)

10周年に、大学の後輩で書家の龍一郎が贈ってくれた書

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2023年7月号

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2023年夏号(NO NUKES voice改題 通巻36号)

「私はあなたの意見には反対だ。 だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」(ヴォルテール)

『週刊金曜日』6月16日号掲載広告問題続報 ── たった1冊の本の広告で10数年続いた鹿砦社広告掲載を打ち切り! 

創業50年余の苦闘の歴史で培った〈タブーなき言論〉に立脚し、芸能から社会問題まで左右硬軟織り交ぜて多種多様に出版するという鹿砦社の出版スタンスが理解されず、左翼教条主義に凝り固まった『金曜日』を乗り越え、月刊『紙の爆弾』はじめ多種多様な出版をさらに推し進めます! 株式会社 鹿砦社代表 松岡利康

6月29日付けの本通信に関連しますが、『週刊金曜日』6月16日号掲載の鹿砦社広告(別掲)ついての続報です。

7月7日に『週刊金曜日』発行人兼株式会社金曜日社長の植村隆氏が鹿砦社本社を訪れ、10数年続いた鹿砦社広告を今後は打ち切ることを告げられました。6月16日号が最後の鹿砦社広告となりました。

『週刊金曜日』6月16日号掲載鹿砦社広告

◆『週刊金曜日』への広告掲載について

問題とされる、5月23日発売の『人権と利権──「多様性」と排他性』(紙の爆弾6月増刊号)は、総じて評価も高く、発売直後から売行きは快調です。元々フォロワーが多い編者の森奈津子さんがTwitterで積極的に発信されたことで、発売直後Amazonから700冊余の発注があり、その後在庫切れの状態が続くや、私たちの意に反しAmazonでは2倍以上の高値を付けて出品されているほどです。

ところが、発売後1カ月近く沈黙していたColabo仁藤夢乃代表が6月19日突然、その表紙とグラビアに対し言い掛かりをつけてきました。Colabo問題について言及した須田慎一郎さんと森奈津子さんの対談に対してはまったく批判も言及もしていませんが、せっかくならそこまで批判、言及していただきたかったものです。

仁藤夢乃Colabo代表の6月19日付けツイート

この仁藤代表のツイートを合図に、仁藤代表とつながりの強いColabo弁護団・太田啓子弁護士や影書房らが先頭になりColabo支持者らによって、対談者の一人、加賀奈々恵(ななえ)埼玉県富士見市議に対してネットリンチをするに至り炎上した感があります。

さすがに、こうしたことで長年の有力な支援者がColaboへのカンパを停止するに至ったといいます。加賀市議は、その直後コロナに罹り療養されていますが、彼女への激しいバッシングを私に向けるために6月23日付けの「緊急アピール!」を発信した次第です。

Colabo支持者、特に影書房や太田啓子弁護士らによる加賀市議に対するネットリンチを植村社長はどう思われるか、あらためて明らかにされたい。

さらに『週刊金曜日』6月16日号に掲載した鹿砦社広告の4分の1のスペースにすぎない『人権と利権』の部分に対しクレームが殺到し、あろうことか『金曜日』の植村隆社長(慰安婦訴訟の代理人かつ事務局長はColabo弁護団の一人でもある神原元弁護士)が、広告主や編者を飛び越して、編集長ともども仁藤代表を訪ね謝罪しています。株式会社対株式会社間の取引に於いて、商習慣上、道義上、信義上、長年有料広告を出広してきた鹿砦社を先に訪問し協議するのが筋でしょう。順序が逆です。植村社長はビジネス経験が皆無の中、社長職に就かれたことで世事に疎い方のようです。

世事に疎いといえば、植村氏が『金曜日』の社長に就任された直後、鹿砦社は歓迎の食事会を東京ドームホテルの高級日本料理店の個室で準備しながらも、待てど暮らせど現われず、来られたのは約束の時間から40分ほど後でした。お店の方も料理の準備があり渋い表情をされていました。常識的にこれはない!さらには、私たちが友好の気持ちを込めて歓迎会を催したのですから当然料金は私たち鹿砦社が全額支払うべきで、そのつもりだったのですが、何を思われたのか、割り勘にしてくれと言われ、とんだ大恥をかきました。ビジネス上の常識がわからない人とは付き合えないな、と思った次第です。

ここで、ちょっとした行き違いがあったことを申し述べておきます。

6月23日(金)夕方、植村社長からお電話があり、『人権と利権』が載った広告で抗議が殺到し困っているという主旨でした。午後にもあったそうですが、私は神戸にちょっと大事な取材に行っており、帰社してから2度目の電話で話しました。この際、植村社長は、「謝罪文を出す」旨言われたということでした。私にこの記憶がなく、おそらく「言われた」というのであれば言われたのでしょうが、私は取材から戻って疲れていたこと、来客中だったこと、あるいはまさかすぐに謝罪文を出すとは商習慣上も道義上も信義上も思ってもみなかったことなどで、それを聞き逃がしていたかもしれません。

週が明けた6月27日(火)午後15時29分、私のほうから植村社長に、
「せっかくおみえになるのですから、議論を密なものにするために、
(1)どこがどう問題なのか具体的にご指摘ください。事前に(前々日ぐらい前までに)メールで送ってください。
(2)抗議のメールやファックス等をお示しください。当日コピーをご準備いただければ幸いです。」
とメールしました。植村社長が当地に来られて諸々「議論」するのかと思い込んでいましたので、(1)のような文言となったのです。

すると、同日18時19分に植村社長から、
「メールありがとうございます。
お電話で先日説明しました通り、『週刊金曜日』6月30日号『おわびの社告』を出します。本日、同号が刷り上りましたので、『おわび』の部分のコピーを添付で送らせていただきます。」
との返信メールが届きました。

一気に「おわびの社告」を『週刊金曜日』6月30日を掲載することを聞き逃していて、同誌6月30日号に「おわびの社告」が掲載するとあり驚いた次第です。

そして、もっと驚いたのは、仁藤代表と植村社長の2ショット画像が仁藤代表のツイッターに掲載され、仁藤代表の“勝利宣言”ともいえる一文が27日夜に発信されていたことです。これは知らず、翌28日、ある方が教えてくれて知った次第です。当初から、広告主の鹿砦社とは話し合うつもりはなかったのですね。本社訪問は善後策を話し合うのではなく、広告掲載打ち切り(取引停止)を伝えに来られたということでしょうか。

[左]『週刊金曜日』6月30日号掲載「おわび」。[右]Colabo仁藤夢乃代表の『週刊金曜日』に関する6月27日付けツイート

とはいえ、植村社長が、電話一本、メール一本で通告するのではなく、わざわざ東京から関西の鹿砦社本社を訪問され誠意を示さたことには敬意を表します。

植村社長は、前社長の北村肇さん(故人。私と同学年)の指名で社長に就任されたと認識していますが、北村さんと私との合意で開始した『金曜日』への広告出広が、こういう形で今後なくなるというのは遺憾です。広告出広をどちらから持ち掛けたか、確たる記憶がありませんが、定期購読者が減ったり200万部の超ベストセラー『買ってはいけない』で得た“備蓄米”(資本蓄積)も底が見えてきたような時期でしたので、北村さんからの提案だったのではないかと思います。そうでないと、私から敷居の高い『金曜日』に広告を出させていただくという話にはならないでしょう。

北村さんは、『サンデー毎日』編集長時代、「芸能界のドン」といわれたバーニングプロダクションと、この創業者社長・周防郁雄追及キャンペーンを張り、『週刊文春』の告発以前の1990年代半ばからジャニーズ事務所と、この創業者社長・ジャニー喜多川の未成年性的虐待を追及してきた私たち鹿砦社のスタンスを理解され、学年も同期ということもあり懇意にさせていただきました。つまり、お互いに芸能界のメディア・タブーを追及したことへの共感です。

そうして、死期が近づいていた頃、私が上京した折、長く時間を割いていただき、これが生前お会いした最後となりました。北村さんからは「私がいなくなっても『金曜日』をこれからもよろしく」と言われ、「勿論です。広告もこれまで通り続けます」と返したことを覚えています。

北村さん、御意に添えないことになりましたよ。『金曜日』にはもう広告を出せず残念でなりません。

『金曜日』前社長・北村肇さん(故人)

◆『人権と利権』への評価と誤読・誤解

本書『人権と利権』は、ちょうど「LGBT理解増進法案」の国会審議に入る時期とも重なり、永田町界隈ではよく読まれていたようです。このことにより、編者の森奈津子さんが突然、参議院内閣委員会参考人質疑前日朝に電話で依頼があり参考人として呼ばれ発言しています(この評価についてはここでは述べません)。

そういうことが複合的に次々と起こり話題を呼んでいて、結果売上に貢献したようで皮肉なものです。

さて、植村社長が仰るように果たして『人権と利権』は「差別、プライバシーの侵害など基本的人権を侵害するおそれのあるもの」でしょうか? 私はそう思いません。各々の世界でそれなりの経験も名もある何人もの方の力を借りて一所懸命作った本をそう詰(なじ)られると力が抜けます。

私や森さん、その他の対談者、寄稿者らは、きのうきょう出てきた編集者や作家、研究者、ジャーナリストではありませんから、「差別」や「プライバシーの侵害」のイロハぐらいは周知しています。私は1970年代、狭山裁判が盛り上がり、同時に糾弾闘争や八鹿(ようか)高校事件以来差別問題については私なりに長年思慮してきました。八鹿高校事件では私の大学の先輩が暴行を受けたことで尚更です。

また、グラビアページで仁藤代表の顔写真を撮影し掲載したことを「肖像権の侵害」だとおっしゃっていますが、これは(仁藤代表のような)著名人や公人は、自らが大衆の強い関心の対象となる結果として、必然的にその人格、日常生活、日々の行動等を含めた全人格的な事項がマスメディアや大衆等による紹介、批判、論評等の対象をなることを免れませんから、そして表現の自由や言論・出版の自由が優先し、それを「肖像権」の名の下に拒絶、統制したりすることが許されない場合がありえます。これには確立した判例もありますが、おそらく植村社長が過去に在籍した朝日新聞でも、あるいはAERAや他社の週刊誌なども、そうした考えを元に、時に隠し撮りを行ったりし、紙面での写真掲載をなされていると思われます。そうでないと、写真一枚一枚被写体の人に許諾を取らないといけなくなります。無名の市井人ならいざしらず著名人や公人にとっては受忍の範囲内です。『人権と利権』に限らず、これまでこうした取材やグラビア、本文構成など行ってきました。植村社長にはお見せしましたが、ある本では、東電の勝俣会長が早朝、孫と自宅周辺を散歩しているところを隠し撮りし直撃取材を行っています。こうした取材はどこの雑誌も行っています。植村社長のような海千山千の新聞記者を経験された方が何を仰ってるんですかね。

思い返せば、これまで創業50年余の鹿砦社(関連会社のエスエル出版会含め)が出版した書籍・雑誌は年間100点として(50年余の社史の中で前半はさほど多くありませんでしたので)単純計算で3千点ほどになるでしょうか。そのうち『人権と利権』のように私が直接的に手がけた本もそれなりの数になります。芸能から社会問題まで、まさに多種多様、玉石混交で、内容的に良い本もあれば、そうでない本もありました。それでいいんじゃないでしょうか。忘れている本はほとんどなく、一冊一冊に想い出があります。出版差し止め(5回!)や訴訟になった本も何点かありますが、それがどうしたというのでしょうか。『金曜日』も敗訴した事件もありました。植村社長自身も、いわゆる慰安婦訴訟では敗訴が最高裁で確定していますよね。来社された際に対李信恵訴訟で敗訴したことを仰っていたので一応記しておきます。裁判所(官)と市民感覚が乖離する現今の司法にあって、敗訴は恥ずべきことではありません。

長年多くの訴訟を争いましたが、時に裁判所は市民感覚とずれている場合が往々にしてあり、裁判所の判断がすべて正しいとはいえず、冤罪や「報告事件」(植村社長、ご存知ですか?)もあります。18年前のちょうど今頃の7月12日に「名誉毀損」容疑で私が逮捕された際の対象の『アルゼ王国はスキャンダルの総合商社』という本もありました。一時ある大学の非常勤講師を拝命され、学生全員にこれを配布し後日意見を聞いたところ、問題はないという意見がほとんどでしたが、裁判所では刑事で懲役1年2カ月(執行猶予付き)の有罪、民事では賠償金600万円の判決が下され確定しました。

『人権と利権』が特段問題になるとは思えません。

本書について、ある方は次のようなメールを送ってこられました。

「わたしは、『人権と利権』はLGBT問題を提起した優れた本だと考えています。
 もちろん全ての発言や記述に同意するということではありませんが、ひとそれぞれに異なった読後感や受け止め方があるわけですから、細部にまで強いこだわりを持てば、出版企画そのものが成立しなくなります。多様な言論を尊重するのが、鹿砦社のスタンスですから、今回の企画も何の問題もないと思います。」
 
こういう評価もあるのですから、一方的に自身の価値観=左翼教条主義で「差別、プライバシーの侵害など基本的人権を侵害するおそれのあるもの」と本書『人権と利権』を断じられることには賛同できません。『週刊金曜日』という雑誌、植村隆という言論人は、そんなに度量が浅かったのでしょうか!? 太っ腹だった北村さんとは大違いです。

一昨年末の『抵抗と挫折の狭間──一九七一年から連合赤軍へ』(『人権と利権』と同じ「紙の爆弾増刊」)以来久し振りに企画から原稿や対談を依頼し、一時は失明の危機にあった目の疾患をおして編集実務まで関わり、多くの方々の力を借りて完成させることができました。売行きも快調、多くの方々の評価も悪くない中で、皆様方には素直に受け入れていただき、その上で喧々諤々議論して欲しかったところです。

言論人、出版人であれば誰でも知っているヴォルテールの有名な言葉、「私はあなたの意見には反対だ。だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」を、あらためて『金曜日』と植村社長に捧げます。今回の『金曜日』の処置〈排除の論理〉は、ヴォルテールの精神に反し、今後禍根を残すことでしょう。

後日、問題箇所を書面で送っていただけるということですのでお待ちしたいと思います。

◆『人権と利権』出版の経緯

以下、本書を出版するに至る経緯を申し述べます。

① 昨年11月、対藤井正美訴訟(藤井は元鹿砦社社員でカウンター/しばき隊の中心的活動家。ここでは詳しく述べませんが、本通信バックナンバーや大学院生リンチ事件関連書を参照してください)が終結し、すべてのM君リンチ事件関係の訴訟が終わり、ホッとしていたところに、M君リンチの加害者側に立って弁護した神原元弁護士らが元ゲームクリエーター暇空茜(仮名)さんに対し、有名になった「リーガル・ハラスメント」だとして訴訟を起こしたと記者会見、「Colaboと仁藤夢乃さんを支える会」が結成され、その賛同人に李信恵、辛淑玉、北原みのりらМ君リンチ事件加害者とこれに連がる者たちが名を連ねていることで自然と注目しました。

それまでColaboについては、その活動舞台が東京だったこともあり、詳しくは知らなかったのですが、私なりに調べたら1千万円単位の大金(補助金)が毎年どんどん入っていることに驚きました(問題になった2021年度は2600万円。22年度は4000万円余とされますが、この会計問題は不明)。他のボランティア団体やグループは、自己負担で慎ましくやっているところがほとんどで、なんでColaboや、Colaboと連携する「ぱっぷす」「若草プロジェクト」「BONDプロジェクト」ら一部の団体だけが優遇されるのか、疑問を覚えました。

また、ちょうどコロナで猶予されていた国税の納税に四苦八苦し(零細企業の鹿砦社の規模で毎月最低150万円、時に250万円納付)、これがあと1回でようやく終わりに近づいていたところで、苦しんで税金を払ったのに、一方で簡単に公金を手にし杜撰な使途と管理をしていることに怒りさえ覚えました。暇空さんが公金の使い道に疑問を持ち、この住民監査請求を行ったことは理解できました。おそらく神原弁護士や李信恵らが関わっていなければ注目することもなかったかもしれません。

② 年が明けると「LGBT理解増進法」の成立がリアリティを帯びて来ました。LGBT問題と同法について、Colabo同様、それまでほとんど真剣に考えてきませんでしたし、同法の内容にも無知でした。今でもまだ十分に理解しえていないところがありますが、「性の多様性」「マイノリティの人権」などの美名に惑わされ、この裏を知るにつけ、疑問は沸くばかりでした。ここでも利権が発生しています。ColaboにしろLGBTにしろ裏では利権だらけではないか。この法律が利権団体の集まり「LGBT法連合会」+野党案で成立すれば、世の中、大変なことになると思いました。加えて、中核派の区議が反対した東京杉並区のように地方・地域行政では先行してLGBT条例がどんどん成立したり利権団体が侵食しつつあり、公教育への進出や女性トイレの廃止などの現実も知りました。果たしてこれでいいのか? まだコロナで落ち込んだ会社立て直しに四苦八苦しているさなかでしたが、疑問がどんどん煮詰まり居ても立ってもおれませんでした。

「LGBT理解増進法」は、利権団体の集まり「LGBT法連合会」、超党派の国会議員の集まり「LGBT議員連盟」(岩屋毅会長=自民党、稲田朋美副会長=自民党)らが右、左関係なく蠢き、国民的な議論も合意もなく短期間の審議で通ろうとしていました。岸田首相の側近の失言や首相謝罪、駐日米大使のプッシュなどで「LGBT法連合会」などはみずからが盛り込んだ法案で、首相側近の失言と首相謝罪をいいことに与党も抱き込み国民にあまり知られる前に成立させたかったとさえいわれています。

③ この「LGBT理解増進法」の野党案は「LGBT法連合会」の意向を100%丸飲みした「性自認至上主義」(トランスジェンダリズム)に基づく極端なもので、これまでの日本の文化や規範などを全否定し、女性トイレの廃止(ジェンダーレストイレへ)、女子更衣室、女湯の問題など女性・女児の人権、安心・安全を保障せず、さらに男女の肉体的性差を顧みず同等に争わせる女子スポーツの問題……こうした問題を曖昧なまま成立されようとしていました。この私の疑問は、最近意見を明らかにされた白井聡、倉田真由美らと似ていて、人間考えることは同じだと思いました。

結局、自民、公明、維新、国民4党の「与党案」が成立しました。議員連盟がどう動き幹部の岩屋、稲田議員らがどちらに投票したかは不明です。「性自認至上主義」に歯止めを掛けたことには一定の評価ができるかもしれませんが、上記したように短期間に決めるべきではなかったと今でも思っています。しかし「野党案」と「与党案」の2択しかなく、もっと時間を取り議論を尽くし女性・女児の不安を払拭し内容豊かなものにすべきだったのではないでしょうか。政治的妥協で2択しかない中で「与党案」が成立してしまいました。今後は、この「与党案」を元に成立した法律をどう改善していくべきか、もっと広く周知させ国民的議論を尽くすべきだと考えます。女性トイレにしろ更衣室にしろ女子スポーツにしろ身近な問題なのですから。少なくとも『人権と利権』は、そのために賛否はあれど問題提起したと自己評価しています。

④ 本年初めからColabo問題とLGBT問題が切迫化してきつつある中で、こうした問題に真正面から取り組んだ本もほとんでないことから、本年2月から動き出しました。当初、企画から寄稿、対談の交渉まで私が行い、『季節』春号校了後からは同誌編集者のK君にも手伝ってもらい、さらに「虎の威」を借りようと、著名な作家でLGBT問題にも詳しく、これまで多少の面識があった森奈津子さんにも参画いただき「編者」として協力していただきました。森さんとは、これまで小さな仕事しかやってもらってはおらず、さほど親しい付き合いでもなく、丸々一冊やってもらうのは『人権と利権』が最初でした。

私たちは手当たり次第に対談や寄稿の依頼を行い、年度末の慌ただしい時期もあったりして、ことごとく断られました。こうした中で、Colabo問題を追及していた須田慎一郎さんが対談を承諾され、そうこうしているところで必死に女性・女児の人権、安心・安全、女性トイレ廃止などの問題を訴えていた加賀奈々恵市議の動画を偶然見て感銘を受け当たってみたところOKをいただきました。

さらに、三浦俊彦東大教授が寄稿を、橋本久美元豊島区議が対談を引き受けてくださいました。

他にも入ってほしかった方もいますが、欲を言えば切りがありません。森さんはじめ皆さん方に、頑張っていただき「短期間でよくやった」と自己評価しています。

以上が、私が『人権と利権』を出版するに至る経緯です。ともかく、前記したようにColabo問題が社会問題化し「LGBT理解増進法」が成立しようということに対して問題提起することが目的でしたし、たとえ不十分ではあったにせよ、少なくともそれは果たすことができたと、認識しています。

⑤ 『人権と利権』の対談等を開始した当初、「LGBT理解増進法案」は「連合会+野党案」が脚光を浴び、与党や議員連盟もこれに乗り決まるのかと思っていました。それは「性自認至上主義」(トランスジェンダリズム)そのもので到底支持できるものではありませんでした。

野党3党(立憲、共産、社民)がなぜ「性自認至上主義」(トランスジェンダリズム)に毒され、これ以外の案を出せなかったのか、理解できません。野党がもっと女性の意見を聞き、これを法案に反映させていたならば、もっと支持を得たでしょうが、そうではなくLGBT利権団体の主張を100%丸飲みしてしまったところも問題です。マスメディア総体、なかんずく『金曜日』や植村社長らも「LGBT当事者」と表現されますが、私から見れば「LGBT利権団体」としか思えません。「LGBT当事者」といえば森さんらもそうで、他にもたくさんいますが、「LGBT利権団体」の一部エリートが無名無数の「LGBT当事者」の声や想いを代表しているとは言い難いと私は思います。

さすがにこれではいかんだろうと出てきたのが、のちに決まる与党+維新・国民案です。このあたりは政治的思惑も入り乱れて、複雑で、すんなりと理解できません。ここにも私たち国民総体の理解がなされない一因があるようです。

先の国会で「LGBT理解増進法」が成立した事実は事実として認め、今後国民的な議論を尽くし、より良い法律に改変、豊富化されていくことを望みます。この場合でも、一部団体への利権は排していかなければなりません。

◆とりあえずのまとめとして──

長く書き連ねてまいりました。そろそろまとめに入りましょうか。

『人権と利権』に於いて私たちは、これまで〈聖域〉とされメディア・タブーとなっていたColaboとLGBTの問題に触れ、時に厳しい批判を行っています。私たちは「攻撃」(「ヒラ社長が行く)など行っておらず、あくまでも批判、公正な論評を行ったつもりです。それを「攻撃」と詰られれば、何とも言えませんが、『週刊金曜日』や書籍・ブックレットなどで丸ごと反論していただくことを望みます。

『週刊金曜日』7月7日掲載「ヒラ社長が行く」

植村社長らは、ColaboやLGBTが絶対善として思い込み、これらをちょっとでも批判することは許さない、たとえ小さな広告でも許さない ── まるで言論統制です(広告も言論です)。

『人権と利権』という本が『週刊金曜日』という、権威あるオールド左翼雑誌によって事実上「ヘイト本」「差別本」認定され、編者の森奈津子さんも「ヘイト本作家」、鹿砦社も「ヘイト出版社」の汚名を着せられました。遺憾なことです。逆の評価もありますから救われますが、定期購読1万人(植村社長談)の影響力ある老舗雑誌にそう認定されたのですから、影響は決して小さくありません。「ヘイト出版社」には「ヘイト出版社」の意地があります。不当な〈排除の論理〉に抗し、創業50年余の苦難の歴史で培ってきた意志を持って、私たちは私たちの道を突き進み汚名を払い除けねばなりません。

さて、編者の森奈津子さんについて少し触れておきます。

森さんといつ出会ったか記憶にありませんが、2018年に「デジタル鹿砦社通信」にて6回インタビュー記事を掲載していますので、この前だと思います。その後、「デジタル鹿砦社通信」に11回連載し、これは『人権と利権』に再録されています。また、大学院生リンチ事件関連本『暴力・暴言型社会運動の終焉』に9ページほど寄稿いただいています。『人権と利権』まではそれぐらいですで、『人権と利権』が当社では初めてのまとまった仕事になります。

森さんもみずからカミングアウトされていますが、森さんのお連れ合いは難病で森さんが24時間介護をやっておられることと、森さん自身乳がんで片方の乳房を切除していながら、このような困難な情況にも負けず頑張っておられます。しかし、森さんの言論活動をよく思わない一部の者が、こうしたことを揶揄し非難しているツイートを見かけます(特に共産党党員、及び同党支持者)。「人権」を嘯くなら、これはいただけませんし、即刻やめるべきです。

昨今亡くなりましたが、現在、鈴木邦男氏は、右左関係なく評価されています。私たちが氏の代表作『がんばれ!新左翼──「わが敵・わが友」過激派再起へのエール』(1989年)を出版した頃は、(特に新左翼周辺から)かなりバッシングされました。理解者や味方はほとんどいませんでした(リベラル/左派系で理解者といえば遠藤誠弁護士、筑紫哲也、田原総一朗氏ぐらいでしょうか。遠藤、筑紫氏は故人)。ちょっと似たケースです。

『人権と利権』、そしてこの編者・森さんは、しばき隊系は無論、いわゆる「リベラル」「左派」「野党」系からもバッシングの嵐にありますが、いつか「リベラル」「左派」「野党」系の方々の中から理解される日が来るものと信じています。今でも一部理解されている方はいますがごく少数です。

最後にもうひと言──。「顰蹙は金を出してでも買え」とは、カリスマ編集者の幻冬舎・見城徹社長の有名な言葉ですが、『人権と利権』がオールド左翼雑誌と左翼教条主義者らに「顰蹙」を買ったのであれば、まさに言いえて妙だといえるでしょう。(本文中、一部を除いて敬称略)

※読者の皆様へ。長い文章となりました。一所懸命書きました。最後までお読みくださり有り難うございました。事実誤認の箇所など発見されましたらご指摘ください。また、誹謗中傷ではなく、前向きなご意見、ご批判もお寄せください。

送り先:matsuoka@rokusaisha.com ファックス 0798(49)5309 です。

植村社長へ。7月7日の面談で、6月23日のような記憶違いや誤認などがございましたら、ご指摘ください。
 
株式会社 鹿砦社 代表
松岡利康

森奈津子編『人権と利権 「多様性」と排他性』 定価990円(税込)。最寄りの書店でお買い求めください

『週刊金曜日』6月16日号に掲載した小社広告(別掲①)について、広告を出広した鹿砦社に抗議するのではなく、『金曜日』に抗議が殺到し困ったと同誌発行人(社長)の植村隆氏(別掲②)から先週末の6月23日にお電話がありました。何を抗議したのか分かりませんが『金曜日』に抗議した人たちに抗議します。文句があるなら広告元の鹿砦社に言え!

①『週刊金曜日』6月16日号に掲載した小社広告

②『週刊金曜日』発行人兼社長の植村隆氏(2019年12月7日、鹿砦社創業50周年の集いにて)

さて植村社長、来週(つまり6月26日~30日の週)に小社を訪問したいということでした。どこの中小企業でもそうでしょうが(『金曜日』は違う?)、月末は支払いなどで慌ただしく月明け(7月第1週)にしていただきました。

なので、商取引の常識においても、あるいは道義上、信義上、植村社長と話し合うまでは、本件を伏せておき発言も控えておくつもりでした。

しかし、植村社長は小社を差し置いて先行的にColabo仁藤夢乃代表を訪問し一方的に謝罪し「おわび」文(別掲③)を同誌6月30日号に掲載されたということです。これを植村社長から聞いたわけではなく、仁藤代表のSNS(別掲④)で知りました。まずは、商習慣上、あるいは道義上、信義上、まずは長年の取引先で出広元の小社と協議すべきではなかったのではないでしょうか。

[左]③『週刊金曜日』6月30日号に掲載されたという植村隆発行人兼社長による「おわび」文。[右]④Colabo仁藤夢乃代表のSNS(2023年6月27日付)

『金曜日』には前発行人(社長)の北村肇さん(故人)の時代から10年以上にわたり広告を出広してきました。北村さんとは同期(1970年大学入学)で、世代が同じということもあり妙にウマが合い懇意にさせていただきました。亡くなる直前には上京した私のために無理を押して長い時間を割いていただきました。当地(兵庫県西宮市)での講演や市民向けのゼミなどにも複数回お越しいただきました。

今、『金曜日』には小社以外に有料広告は入っていません(見過ごしであればご指摘ください)。「広告に依存しない」と言っておられるようですが、「依存」するもなにも広告が入らないのですから、やせ我慢でそう言っているにすぎません。

当事者(広告主)である小社と話し合う前に一方的に、Colabo仁藤代表に勝手に謝罪し「おわび」文を掲載することは道義上、信義上、いかがなものでしょうか?

月が明けて植村社長と協議し、本件についてあらためてご報告いたしますが、とりあえず本日の報告は手短にとどめておきます。

広告の上部に記しているように私たちの出版活動のモットーは「タブーなき言論」です。これを基本に創業から50年余り出版活動に勤しんでまいりました。本年創刊18年を迎えた月刊『紙の爆弾』もその具体的な営為です。『金曜日』には及ばないかもしれませんが、長年多くの読者に支えられてきました。ですから、2005年の「名誉毀損」に名を借りた出版弾圧で壊滅的打撃を受けた際も、また近年新型コロナで苦境に落とされた際も、少なからずの方々にご支援いただき「命拾い」(ある方の言葉)することができました。

また、『金曜日』と重なる読者もおられます。なので一方的に「差別、プライバシーの侵害など基本的人権を侵害するおそれのあるもの」(「おわび」文より。内規にもあるそうです)と断じられると小社への信用を毀損することにもなりかねません。おわかりですか?

くだんの『人権と利権』は、これまでメディアタブーとされてきた「Colabo」「LGBT」に対してタブーなしに採り上げ思い切った誌面づくりをいたしました。しばき隊界隈で飛び交う誹謗中傷や汚い言葉は排し、真正面から問題に向き合い公正な論評に努めたつもりです。私たちなりに自信を持って世に送り、左右問わず多方面の方々にお読みいただき大きな反響があり多くの方々のご賛同も得ることができました。

かつて『金曜日』には、「大学院生リンチ事件」(いわゆる「しばき隊リンチ事件」)関係の出版物の広告を発行ごとに掲載させていただきました。そうした際に、『金曜日』編集部から咎められることも掲載拒否されることもありませんでした。さすがに『金曜日』、度量があることに感心した次第です。

ところが『金曜日』とあろうものが、今回は一体どうしたんですか!? あまりにも偏狭、北村肇さんも草葉の陰で泣いてますよ! メディアとしての自律性や主体性があれば、尚急に一方に謝罪するのではなく、意を尽くし公正に判断すべきではなかったでしょうか。

月末の慌ただしいさなか、こんなことに時間を割いている場合ではないのでしょうが、黙っているわけにはいかず一言呈させていただいた次第です。

株式会社 鹿砦社 代表
松岡利康

森奈津子編『人権と利権 「多様性」と排他性』 定価990円(税込)。最寄りの書店でお買い求めください

今年も〈7月12日〉がやって来た──2005年7月12日早朝6時頃、母親が当日の朝日新聞を持って来て「あんたが逮捕されるよ」と言った。眠気まなこに、その一面が目に入った。天下の朝日新聞の一面を飾ることなど、それ以前も以後もない。一面は大阪本社版だけで東京は中面の社会面だったようだ。

松岡逮捕を報じる朝日新聞(大阪本社版)2005年7月12日朝刊

当日は東京出張に出る日だった。夜は新宿ロフトで宮崎学氏らによるトークイベントに呼ばれていた(逮捕されたので急遽『紙の爆弾』編集長・中川志大が出席し発言、支援を訴えた)。そうしたことは前週末の呼び出しで主任検事の宮本健志検事(地元甲子園出身)に言っていたので、この日が狙われたのだろう。1日早く出掛けていればスカだったな。

松岡逮捕を報じる朝日新聞(大阪本社版)2005年7月12日夕刊

あれから17年の月日が経った。時の過ぎ去るのは速い。私はこれまで二度の“逮捕記念日”があり、二度とも有罪判決を受けた。一度目は50年余り前の1972年〈2月1日〉、20歳、私のいた大学で(いや、その年は関西大学や早稲田など全国多くの私大、また国公立大学で)前年から続いた学費値上げ阻止闘争の最終局面、最後まで身を挺して値上げ阻止の意志表示をせんとする私たちは大学の中央にある建物の屋上に拙い砦をこしらえ徹底抗戦し、そして逮捕された。このことは、すでに本年2月前後にこの通信(1月26日2月13日)でも記しているので、ここではこれ以上述べない。

◆2005年〈7月12日〉、逮捕は突然やって来た

その後、70年代、80年代、90年代と、生活や子育てに追われ過ごした。もう、かつてのように御堂筋をデモの大群が通ることもなくなった。大阪・心斎橋に在った勤め先のビルの7階から御堂筋の季節の移ろいを眺め日々見る夕陽のせつなさを感じながら過ごしバブル期到来、そして崩壊。勤め先も会社整理するということで独立、そうそううまくは行かなかった。

しかし、私にも、いわゆる「暴露本ブーム」で遅れてバブルがやって来たが、それも長くは続かなかった。苦闘しつつ凌いでいる中で、やって来たのが2005年、「名誉毀損」に名を借りた出版弾圧だった。主要な告訴人は大手遊技機(パチンコ・パチスロ)メーカー「アルゼ」(現ユニバーサルエンターテインメント)創業者オーナー社長(当時)岡田和生と役員Oで、「アルゼ王国の闇」シリーズによる告発が続いていた。

続々出版されけ「マスコミ・タブー」とされた問題企業を恐怖に陥れた「アルゼ王国の闇」シリーズ。直接の立件対象は第2弾『アルゼ王国はスキャンダルの総合商社』

これに業を煮やした岡田らは「名誉毀損」で刑事告訴と3億円もの巨額訴訟を起こしたのである。神戸地検特別刑事部になされた刑事告訴はしばらく進展がなかったが、その年の4月に大坪弘道検事が特別刑事部長に就任してから急速に進展し、私が大坪検事の指揮による最初の逮捕者だということだ。

松岡が192日間勾留された神戸拘置所

その後、宝塚市長、神戸市議会の長老親子らが続々逮捕されていく。大坪検事は、一時は検察トップ候補とまで言われるほどのエリートだったそうだが、のちに厚労省郵便不正事件(村木厚子冤罪事件)で証拠隠滅により逮捕・有罪判決を受け失脚する。「因果はめぐる」とはよく言ったものだ。私見だが、大坪検事が神戸地検に赴任して来なかったら、この事件はなかったと思っている。

すでに50歳を過ぎていて、小なりと雖も会社も経営し社員もいた中で、1972年の学生の頃と違い、社会的責任もあり、肉体的にも精神的にも辛かった。192日間勾留され、クリスマス、大晦日、正月を「鵯(ひよどり)越えの逆落とし」で有名な、神戸市北区ひよどり台、六甲の山の上に在る神戸拘置所の独房で過ごした。

神戸拘置所が在る神戸市北区ひよどり台を解説する10月31日付け朝日の記事。偶然に勾留中に掲載

その半分ほどは「接見禁止」、これは単に面会ができないというだけではない。アメリカでは電話ができるらしいが、電話は勿論、面会も手紙のやり取りもできない。外界との交通は弁護士を通してのみで孤独感が募り毎日感情が変わりきつかった。この間に本社事務所も撤去を余儀なくされ、精神的にさらに追い込まれた。おそらく半年拘禁状態というのが精神的に一番きつく、1年、2年経つごとに日常化し諦念が生じていくのだろう。

保釈されたのは年が明けた1月20日、第3回公判の後だった。

松岡は神戸拘置所で年を越し、保釈されたのは2006年1月20日だった

保釈後そのまま地元のテレビ局、阪神タイガースの野球中継で有名な「サンテレビ」に連れて行かれた。サンテレビでは、私の逮捕事件を追ってくれた若手ディレクターがいて、何度となく報じてくれていた。すぐに取材を受け、その日のうちに報道されたと記憶している。その後彼は本件の取材を続けてくれ、判決など機会あるごとに報じてくれた。彼は爾来、いろいろな話題作を世に送り出し、その報道活動で賞を獲ったり、現在は幹部に昇進、東京勤務となっている。先日久し振りに旧交を温めた。

蛇足ながら、旧交を温めたのは、日比谷公園に面した事務所のある高層ビルのレストランだった。50年余り前の1971年11月19日、翌年の沖縄返還を前にして沖縄返還協定批准阻止闘争が盛り上がっていたが、そのうち「日比谷暴動」を叫ぶ中核派が日比谷野音に5千人を集め集会、首都中枢を占拠せんとデモに出る際、追い詰められた活動家らは松本楼を焼き討ちしたり1500人以上が逮捕された因縁ある場所だ。この意味でも懐かしかったが、このことを話しても通じなかった。報道に携わる者は、みずからの会社の近くで、過去にそういうことがあったことぐらいは調べて知っておいてほしかったが、私たちの世代では、どうしてもこういう記憶が口に出る。最近、モーニングショーで「ペレストロイカ」を知らなかった若い女性アナウンサーを観たが、時の経過は歴史を忘却させるのか。

いささか話が逸れたが、私の逮捕に危機感を持ったのは、地元テレビ局のディレクターだけではない。日本で活動する海外メディアの記者もそうで、保釈後外国人記者クラブから招かれ会見に応じた。

日本で活動する外国人記者の関心も大きく、招かれて外国人記者クラブで会見

◆刑事、民事、二つの「名誉毀損」裁判を闘うが敗訴、懲役1年2月・執行猶予4年、賠償金600万円が最高裁で確定

裁判は続き、一審判決(神戸地裁)が下されたのは翌年7月4日だった。「懲役1年2月、執行猶予4年」だった。

2006年7月4日、松岡一審判決当日のテレビ画像。右は佐野裁判長の画像と“名言”

アルゼ(現ユニバーサル)創業者元オーナー岡田和生、遂に逮捕! ロイター電子版2018年8月6日号。これに至るロイターの取材には水面下で協力した

最高裁まで争ったが覆ることはなかった。アルゼは、執行猶予付きで罪状が軽いとして再告訴したが不起訴処分となり確定した。ちなみに、私の人格のいたらなさゆえ支援会が分裂し、再告訴には、かつての支援会の代表ら中心メンバーも(別個に告訴したとはいえ)加担する恰好になり、ほうぼうに迷惑メールを拡散されたりして、アルゼからの再告訴よりも、実はこちらのほうが堪えた。

また、同時に損害賠償請求3億円の巨額民事訴訟も提起された。こちらは一審(東京地裁)300万円の賠償金が課され、控訴審(東京高裁)では二倍の600万円に跳ね上がった。

刑事告訴し3億円もの巨額訴訟を提起したのは、前記したように大手遊技機(パチンコ、パチスロ)メーカー「アルゼ」だった。創業者オーナーの岡田和生は、言論で対抗するのではなく(当時『週刊新潮』に告訴人Oが連載を持ったり女流文芸賞を設けたり昵懇だったのは新潮社だが、言論で対抗する手だてはあったはずだ)、警察との癒着(当時のアルゼの雇われ社長は警察キャリアの阿南一成で法廷でも証言に立ったが、その後耐震偽装問題企業との不適切な関係で辞任)で私の逮捕を画策したのだ。代理人弁護士は元検事。

当時アルゼと岡田らはラスベガスで「カジノ王」と称されたスティーブ・ウィンと組んでカジノホテル建設を計画し、その後、オープンしている。この勢いで、次はアルゼ単独でフィリピン・マニラでのカジノ建設を計画、この間、アルゼは岡田みずから先頭に立って現地に根を下しフィリピン当局幹部へのアプローチを行い、贈賄容疑で岡田は逮捕されてもいる。

その前には、もう一人の首謀者・大坪弘道検事も逮捕されている。

神戸地検特別刑事部長として鹿砦社弾圧を指揮した大坪弘道検事の逮捕を報じる2010年10月2日付け朝日新聞

さらにその後、フィリピンでの活動にうつつを抜かしている間に、息子や子飼いの社長、妻らのクーデターにより、みずからが作り育てた会社から放逐されている。

私の「名誉毀損」事件に蠢いた人たちのその後の歴史から学ぶとすれば、〈人をハメた者は、みずからもハメられる〉ということだ。大坪、岡田の事件がこのことを物語っている。さらに、私に手錠を掛けた主任検事の宮本健志検事は、次席検事として昇任先で深夜泥酔し一般市民の車を蹴り傷つけ検挙され降格(次席検事から平検事へ)─懲戒処分を受けている。

ところで、あまり知られていないが、日本でカジノを成功させた遊技機メーカーはアルゼしかない。かつて構想された「お台場カジノ構想」ではコナミやサミーなどの名も出たが頓挫している。このかん、大阪カジノ構想がリアリティをもって画策されている。背後には警察権力が控えている。反対運動が佳境に入れば、必ずや弾圧がなされるであろう。これは逮捕された私だからこそ言えることだが警鐘を鳴らしておきたい。

そもそも人の血を吸い上げるギャンブルで経済を活性化させようなどという発想自体が邪道である。まともな政治家なら、それぐらい気づくべきだし、もっと違う健全な方途を考えるべきであろう。

◆“官製スクープ”に踊った朝日新聞・平賀拓哉記者のその後

神戸地検と連携し大々的な”官製スクープ”を展開した朝日新聞大阪社会部・平賀拓哉記者

一昨年、ちょうど15年という節目ということもあり、神戸地検のリーク(「風を吹かせる」というらしい)により(官製)スクープしたのは朝日新聞大阪社会部の平賀拓哉記者だった。彼はその後、中国瀋陽支局長を務めたりしていたが、大阪社会部に戻り「司法担当キャップ」を務めていることが、偶然、とある冤罪事件の記事を執筆していることで判明、15年も経ったのだからわだかまりもなく面談を求めたが、あろうことか拒否されたのだ。それも本人からではなく広報部が担当者名なしの素っ気ないメールでだった。私は“当事者中の当事者”ですよ、事件直前に、あの本はないか、この本が欲しいなど、さも私たちの出版活動を理解しているかのような振りをして近づいていながら、それはないだろう。

平賀記者のみならず、朝日の記者は、そのような体質があるようで、それはここ数年私たちが精力的に取り組んできた「カウンター大学院生リンチ事件」(別称「しばき隊リンチ事件」)の取材でもそうだった。一例を挙げれば、当時阪神支局に務めていた阿久沢悦子記者は、リンチ被害者M君に、さも朝日で記事にするかのように期待させ近づき、「浪花の歌う巨人(虚人?)」こと歌手・趙博を紹介、当時は外部に出ていなかった貴重な資料を渡し、その後突然裏切られている。二人のやったことは「S」行為であり、私たちの追及に逃げ回っている。特に阿久沢記者は、他人を取材したり追及する時には「朝日」の金看板を後ろ盾にずいぶん居丈高だが、逆にみずからが取材される立場になると、逃げ回り、ここでも登場するのは広報部である。

◆思い出すだに──

この時期になると、あれこれと思い出す。それはそうだろう、地獄に落とされ血を吐く想いを強いられたからだ。平賀、聞いとるか! 逮捕から勾留中の出来事で、二つ三つ書き記しておきたい。

逮捕後、すぐに釈放されるものと甘く考え、ある印刷所には300万円を支払ったり月末の支払いも弁護士を通じ通常通り行った。この直後差し押さえされ金欠状態になる。こうしたこともあってか、その印刷所は翌月に急遽発行されることになった、事件を報告した『紙の爆弾』9月号(8月7日発行)の印刷を承諾いただき、さらに保釈後、迷惑を掛けたことを詫びに挨拶に伺ったところ、塩を撒いて追い返されても仕方ないなと覚悟していたが、築地の高級寿司屋の個室に招いてくれ、「私は支援しますので頑張ってください」と激励してくれたことは忘れられない。

その後5年近くかかったが、会社は再建され、2010年夏、もう不可能だと思っていた甲子園に戻ることができた。今はコロナ禍長期化で青色吐息だが、ひと頃は逮捕前よりも飛ぶ鳥を落とす勢いにまで飛躍し、くだんの印刷所の社長は心から喜んでくださり、今度は神宮前の高級レストランで祝ってくださった。

一昨日参議院選挙があったが、勾留中にも選挙があった。「松岡、選挙はどうする?」と刑務官からたずねられた。「当たり前じゃないですか、投票しますよ」と答えた。未決囚が投票すると希望すれば、国家権力の機関である拘置所は拒否することはできない。一人ひとり、住民票のある場所は違うので、いちいち投票券を取り寄せないといけないわけだから、ずいぶん面倒なことなのである。投票所も、道場だったか、急遽こしらえて行われた。誰もができるわけではない貴重な経験だった。

激動の2005年も押し迫った師走、第2回目の公判があり(12月19日)、それまで複数回保釈請求を行っていたが、却下され勾留が続いていた。「今度は、正月前だし、裁判官も比較的物分かりがよさそうだから大丈夫だろう」と弁護人も言うし甘く見ていたが、結果は却下、大晦日から新年を拘置所で過ごした。普通、ラジオ放送は午後9時で終わるところ、大晦日は『紅白歌合戦』を最後まで放送するということで、「拘置所も粋なことをやるもんだ」と思っていたが、電気が消され、真っ暗闇の中で虚しく曲が流れ華やかそうに伝えられる会場の雰囲気に切なさを感じたこともまた忘れられない記憶である。

もっと書き記したいこともあるが、また別の機会に譲ろう。

◆「人に歴史あり」というが……

「人に歴史あり」── 有名人の中でも獄に入れられ、そのことを肥やしとして、その後の人生を豊かにした人がいる。後輩の書家・龍一郎風に言えば、「人生に無駄なものなどなにひとつない」ということだろうか。

弾圧10周年に、後輩で書家の龍一郎が魂を込めて揮毫し贈ってくれた

例えば、昭和の名女優・沢村貞子。彼女は戦前・戦時下治安維持法で二度(私と同じ!)逮捕、計1年余り勾留されている。地下活動まで行っていたという筋金入りの活動家だったようだ。「人権」などという言葉がない時代だ、取調べや処遇が過酷だったことは言うまでもない。NHKの朝ドラ『おていちゃん』で、その裁判のシーンが出て来る。「文化運動のために闘います」というようなことを陳述していたことを記憶している。今では朝ドラでこうした作品を製作したり放映することはないだろう。

また、歌手・三波春夫、彼は日本敗戦直後からシベリアのラーゲリー(強制収容所)で4年も抑留されている。彼の反戦意識はこの経験に基づいているとされる。4年もソ連に抑留されていると洗脳されたようで、記憶が定かではないが、帰国してしばらくは「共産主義浪曲団」で全国を回っていたことを週刊誌で読んだことを微かに覚えている。書いたのは猪瀬直樹だったかな? しかし、これじゃあ生きて行けないということで“転向”したのだろうか、1964年の『東京五輪音頭』、1970年大阪万博のテーマソング『世界の国からこんにちは』などで国民的歌手として、押しも押されもしない大御所となる。勾留中に官本(拘置所に備え付けの本)で、私たちの世代には馴染み深い平岡正明が三波をインタビューした本を読んだが、破天荒とされる平岡が非常に緊張している様子がうかがえた。官本には田中角栄の『日本列島改造論』などもあって神戸拘置所は比較的揃っているような感がした。

沢村、三波の生き方を肯定、否定するかどうかは別問題として、私など足下にも及ばないが、拙い私の人生史に於いて、二度の逮捕は欠かすことのできない出来事であったと考えている。このことで(特に2005年の「名誉毀損」事件で)銀行口座を新規に作れなくなったり(3つの金融機関と裁判したがいずれも敗訴)不利益を蒙っているが、決して恥ずべきことではないと思っている。

 

*上記の「名誉毀損」に名を借りた出版弾圧事件については、とりあえず次の出版物をご覧ください。
『紙の爆弾』2005年9月号 (逮捕直後に発行された)
『紙の爆弾』2020年5月号 (『紙の爆弾』創刊15周年記念号。別帳付録として「『紙の爆弾』が創刊された2005年に何が起きたのか?」を16ページ渡り記述し、15年目の中間総括を試みている)
『パチンコ業界のアブナい実態──謀略と犯罪うごめく「三十兆円産業」』 (逮捕から判決確定までの詳細な記録と、パチンコ業界の実態を記述)

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年8月号

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の脱原発季刊誌 『季節』2022年夏号(『NO NUKES voice』改題 通巻32号)

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