キックボクシング、2025年を振り返る

堀田春樹

今年も選手各々にとって目標達成した者。届かなかった者。陥落した者。目立った活躍出来なかった者。引退した者。それぞれの明暗でもそれぞれの成長がありました。ごく一部の選抜ですが、活躍と苦戦の振り返りです。

◆各々の運命

大田拓真は2025年2月2日、金子貴幸にノックアウト勝利しNJKFフェザー級王座初防衛。6月8日、WBCムエタイ世界フェザー級タイトルマッチでチャンピオン、アントニオ・オルデンにKO勝利で世界王座奪取とNJKFのエース格を証明。

大田拓真はWBCムエタイ世界王座を奪取。今後もトップは安泰か(2025年6月8日)

吉田凜汰朗も2月2日に、健太に僅差2-0判定勝利でNJKFスーパーライト級王座初防衛。この後、健太とオープンフィンガーグローブで決着戦。無判定による引分けも流血の激闘を戦い、11月30日には切詰大貴に判定2-1勝利ながらIBFムエタイ日本スーパーライト級王座も獲得。IBF版の先陣を切り、より知名度が高まりました。
画像3健太vs吉田凜汰朗

小林亜維二は体格も成長し減量苦の苦戦も、2025年9月28日に宗方888に第1ラウンド完封TKO勝利し、王座防衛による“認定”から“正規”チャンピオンと言える存在感に成長。吉田凜汰朗と並ぶ若きエース格は健在。しかし11月30日にも計量ギリギリパスながらウェイトが苦しい事態を曝け出し、肩脱臼によるTKO負けは残念な結果となったが、次なる上位王座への期待感を見せました。

壱・センチャイジム(=与那覇壱世)は2025年10月12日にKNOCK OUTイベントにてWBCムエタイ日本スーパーバンタム級王座獲得。MuayThaiOpen興行がホームリングながら、他の団体、イベントでも参加し、トップクラスを維持し続ける実績を残しています。

睦雅の2025年は4勝2敗、その内ONE Championshipで2勝1敗。WMO世界王座奪取成らなかったが、ジャパンキックボクシング協会でのメインイベンター格は不動でした。

瀧澤博人は2024年に2-1惜敗で世界王座奪取成らなかったが、2025年11月30日には再挑戦でヒジ打ちによる完封勝利で念願のWMO世界王座感動の奪取。諦めず努力を続ければ夢は叶うことを実践。

瀧澤博人は念願のWMO世界王座奪取で号泣。夢は叶ったが更なる上を目指す(2025年11月23日)

令和の全日本キックボクシング協会では瀬川琉が健在。まだ大手ビッグイベント出場には至っていませんが、2026年はアジアエリアでの主導権を握る存在感が期待されます。

坂本嵐は2025年6月8日にWBCムエタイ日本バンタム級王座は獲得成らず、11月30日にはNJKFバンタム級王座も初防衛成らず陥落。いずれもボディーを攻められた敗戦。厳しい試練から復活成るか。そこに注目が集まる存在感があります。

健太(山田健太)がついに引退。全126戦は平成以降では最多の偉業でした。
各団体のチャンピオン、政斗(黒澤政斗/治政館)、匡志YAMATO(福田匡志/大和)、剱田昌弘(テツ)もリングを去りました。

木下竜輔が2025年3月2日にジョニー・オリベイラを倒し、日本スーパーフェザー級王座奪取。前年の王座決定戦で敗れた雪辱を果たしました。新日本キックボクシング協会の団体エース格となったが下半期の出場は無し。勿体無い隆盛期の時間であったが、2026年3月には復帰予定である。

新日本キックボクシング協会のトップ争い、ジョニー・オリベイラvs木下竜輔戦は再度戦うか(2025年3月2日)

◆団体の方向性

各団体にとっても諸々の動きがありましたが、計画性が明確な団体と、低迷から脱せないところもあります。タイトル乱立も増し、その曖昧さも存在します。

全日本キックボクシング協会は2024年の初陣興行から満2年となります。今後も続くのは韓国勢との対抗戦。中国との交渉は一時難航した様子でしたが現在進展中。香港とは栗芝貴代表の現役時代以来の交流も復活する予定です。

今後、アジアトーナメントを計画しているという中、10月25日にはタイ・バンコクに於いてWPMTA日本代表に栗芝氏が就任。突然現れたようなWorld Pro MuayThai Associationは以前から存在するものの、これまで大きな活動は無かった模様。今後の活動によってはかつてのタイ発祥の代表的世界機構WPMFなどや、現在の主流にあるWBCムエタイに迫るか、今後の活動に注目です。

全日本キックボクシング協会栗芝貴代表が語るプランは2026年どこまで進むか(2024年12月28日)

ジャパンキックボクシング協会では7月以降、WMO世界戦が3試合行われましたが、馬渡亮太のWMO世界スーパーフェザー級王座挑戦は勝ちか引分けか、王座はどうなのか。結果の保留状態が続きました。それがメディアから問題視されるほどの話題に取り上げられないのもキックボクシングのマイナー感。それでも問題点を見直し改善へ進み、11月23日には睦雅と瀧澤博人がWMO世界王座挑戦を実現。睦雅は獲得成らなかったが、二つのタイトルマッチは滞りなく終了しました。

疑惑の判定となったオーウェン・ギリスvs馬渡亮太。再戦はどこでやるか(2025年7月12日)

新日本キックボクシング協会から最初の分裂が起こったのが2019年春。2023年春にも離脱があり、この協会型三派という流れの三団体は、もう一度集まれば大きな団体となるのに惜しいことではあります。

ニュージャパンキックボクシング連盟は2023年11月より武田幸三氏が率いるようになって11度の興行を開催されました。2025年8月24日、WBCムエタイ日本タイトルの活性化が発表された後、IBFムエタイ日本タイトルも活動開始を発表。

「えっ、マジ?」といったNJKF含めて「タイトル多過ぎ!」という声は多い中、他団体でもタイトルマッチは行なわれるにしても全て活発にタイトルマッチ開催出来るのか疑問は残ります。

毎度過激な檄を飛ばす武田幸三プロモーター。NJKFを日本一の団体にするのは何時か(2025年11月30日)

◆NKB傘下の日本キックボクシング連盟

連盟エース格、NKBフェザー級チャンピオンの勇志の出番少な過ぎだった。他の階級のチャンピオンでも引退や脱退が相次ぐ。スターが居ない中、他団体を抜く勢いの浮上は難しい存在でも今後、新世代の運営が強化されれば虎視眈々と狙う飛躍も考えられます。

◆2026年はどんな変化が起こるか

ある大手企業の支配人がキックボクシング好きで、各団体を纏めようと考えている動きもあるという噂も聞くことがあります。そんな噂や信憑性高い情報もいつの間にか立ち消えるパターンは多いものです。個人の力より群衆の力とならないと改革は難しいでしょう。

地上波テレビなどの大手メディアに扱われなければ全国区への知名度は上がらないのは過去から変わりません。ここまで毎度取り上げる範疇の各団体や選手だけでしたが、これらの名前や活動がどこまで世間に浸透するかの各団体の挑戦は続きます。イベントの盛り上げより競技としての確立を目指して追って行きたいところです。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

「台湾有事発言」は序章にすぎない 日本を襲う高市リスク

孫崎享(文責・本誌編集部/紙の爆弾2026年1月号掲載)

タブーなき月刊誌『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。

◆安倍「台湾有事は日本有事」発言との違い

2025年11月7日、衆院予算委員会での、日本が集団的自衛権を行使可能な「存立危機事態」に関する高市早苗首相の国会答弁が、中国の大きな反発を招いています。主要部分をまとめれば、

「中国政府が台湾に対する海上封鎖を戦艦で行なった場合には、封鎖を解くために米軍が来援する、それを防ぐために他の武力行使が行なわれる事態が想定される」
「台湾を中国北京政府の支配下に置くために戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースだ」

これは、いわゆる台湾有事における自衛隊の対応について、従来の政府見解(あいまいに留める方針)を踏み越え、「中国による海上封鎖」という具体例を挙げて、日本の自衛隊が「参戦」する可能性を示唆したものです。質問した立憲民主党の岡田克也衆院議員も指摘している通り、2024年9月の自民党総裁選出馬時にも高市候補は同様の内容を述べています。彼女が師と仰ぐ安倍晋三元首相も、2021年12月1日に台湾で行なわれたシンポジウムにオンラインで出席し、「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」と発言しました。

しかし、これは首相退任後のことで、在任中はむしろ、台湾との接触を控えてきました。内容も異なります。安倍氏は「台湾有事」とは言っても、自衛隊には触れていません。ただ「日本にとっても有事である」との認識を述べたものです(それでも十分に問題ですが)。

高市首相が自衛隊の対応にまで踏み込んだために、これまで中国の外交部門を中心に反論などの対応を行なってきたのが、今回は軍事部門が前面に出てきました。薛剣(シュエチエン)駐大阪総領事のX投稿「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく切り落とす」が話題になったものの、より注目すべき中国側の反応は、11月13日の人民解放軍広報部門による「日本が台湾海峡情勢に武力介入すれば中国は必ず正面から痛撃を加える」や、国防省の「日本が台湾情勢に武力介入すれば、中国軍の鉄の壁の前で必ず血を流すことになる」との警告です。

中華人民共和国の成立過程を見れば明らかなように、中国政府においては軍事部門が外交部門よりも圧倒的に上位です。政府トップである習近平氏の第一の役職は中央軍事委員会主席であり、国家主席は国際的な舞台における肩書にすぎません。つまり、外交部門の発言よりも、軍事部門の発言・行動の方が、中国政府の中心から発せられたメッセージと見るのが正しく、普段はそれほど表立って発言しない軍関係者が今回、先頭に立って反応を示したことが、まさに〝一線を超えた?事態の深刻さを示しています。

これを一過性の「騒動」のように語る政府・メディア・世論を含めた日本側の認識は甘すぎると言わざるをえないのです。実はこのことこそ、「台湾発言」にとどまらない、高市政権がもたらす日本にとってのリスクなのですが、この点については後に詳しく述べます。

◆〝中国の脅威〞の真相 

台湾をめぐる情勢の緊迫度は確かに高まっています。日本では、まるで習近平主席が暴走を始めたように伝えられてきましたが、いくら中国が急激に力をつけたといっても、それだけで緊迫化することはありえません。近年において、実際に事態を大きく動かしたのは、2022年8月2?3日、米国のナンシー・ペロシ下院議長(当時)による台湾訪問です。

米国ナンバー2といえる人物による訪台は、当然ながら中国から見れば、外部勢力による介入の度合いが急激に高まったと判断されます。同月4日正午に人民解放軍が台湾を取り囲む形で「重要軍事演習」を開始。11発の弾道ミサイルが発射され、うち5発が初めて日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下しました。

すなわち、〝中国の脅威〞は中国が圧力を強めたというよりも、米国が介入の動きを意図的に示したことをきっかけに高まったのです。ここで米中関係について振り返ると、日中共同声明の前年である1971年に、ニクソン政権のキッシンジャー大統領補佐官が周恩来総理と計39時間に及ぶ機密会談を行ない、キッシンジャー補佐官は「いずれ台湾は統一されるであろう」と述べました。このように当時の米国の認識は、「台湾は中華人民共和国の領土の不可分の一部である」とする中国の立場をあえて脅かすものではありません。
 しかし、中国が経済的な発展を遂げ、米国を追い抜く可能性が生まれるにつれ、それを阻止する動きが米国内に生まれます。その戦略の一つとして、米国は台湾問題を利用し始めたというのが現在の情勢に対する中国の認識です。米国の台湾への関与のレベルが上がったことが、中国が軍事演習などの行動に出ている理由なのです。

実際、2015年にGDPの購買力平価ベースで中国がアメリカを追い抜き、アメリカにとってナンバーワンの敵になりました。ウクライナ戦争が継続中でも、国民を含め、ロシアではなく中国こそ一番の敵だということが米国内のコンセンサスとなっています。かつての一時期に存在したウィンウィンを目指す考え方を捨て、いかに中国の影響力拡大を抑えるかが、米国の中心政策となりました。

そこで、米国の軍事シンクタンク「ランド研究所」が2015年から16年にかけて、米軍の委託を受けてまとめた報告書では、かつては中国に対して絶対的優位にあった米軍が、空中戦、サイバー戦など9つの作戦行動のうち、現在において明らかな優位性を保つのはわずか3項目だったと述べ、衝撃を与えました。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n1fba48476652

国家でもAIでもなく〝決済〞が言論を殺す クレジットカード帝国の静かな世界支配

昼間たかし(紙の爆弾2025年12月号掲載)

タブーなき月刊誌『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。

◆通帳の数字が止まると世界が止まる

誰が世界を支配しているのか? 政府か。軍隊か。GAFAか。それともイルミナティか。

全部違う。正解はクレジットカード会社だ。

2社のアメリカ企業が、世界中の決済インフラの90%を握っている。彼らが「ノー」と言えば、どんな合法的なビジネスも瞬時に殺される。裁判も、法律も、民主主義も必要ない。ただ決済を止めるだけでいい。

2024年、日本のインターネットで異変が起きた。4月3日、マンガ・ゲーム等の同人作品のダウンロード販売で国内最大手の「DLsite」が、VISAとマスターカードのクレジットカード決済を停止した。翌日にはアメリカン・エキスプレスも使えなくなり、残ったのはJCBだけだった。

5月21日、クリエイター支援サービス「Fantia」でも、VISAとマスターカードが停止。6月14日、成人向け大手ECサイト「FANZA」がVISAを停止。8月12日、同人誌販売の老舗「とらのあな」からもVISA・マスターカードが消えた。

これらはすべて合法なコンテンツを扱うサイトだ。児童ポルノでも違法な暴力描写でもない。日本の法律で認められたマンガやイラスト、同人誌を販売しているだけだ。それなのに、ある日突然、決済手段を奪われた。利用者が問い合わせても、事業者は「規約違反です」「コンプライアンスです」としか答えない。何が問題なのか、誰が判断したのか、どうすれば解決するのか。何も説明されない。VISAなのか、マスターカードなのか、決済代行会社なのか、AIの自動判定なのか。誰がボタンを押したのか、誰も知らない。

さらに不可解なのは、成人向けとは無関係なサイトまで巻き込まれていることだ。動画投稿サイト「ニコニコ動画」の一部でマスターカード決済が停止され、2024年12月には婚活支援サイト「アエルネ」までVISAに決済を止められた。婚活サイトである。成人向けコンテンツとは何の関係もない。

これは政府による検閲ではない。法律が変わったわけでも、裁判所が命令を出したわけでもない。議会で議論されたこともない。それなのに、合法的なビジネスが次々と殺されていく。「誰も命じていない検閲」が、静かに進行しているのだ。

◆1995年――〝入場券〞が配られた年

時代の分水嶺は1995年だった。この年、アメリカのネットスケープ・コミュニケーションズが世界で初めてSSL暗号化技術を組み込んだウェブブラウザを発表した。これによって、誰もが安全にクレジットカード番号を入力できるようになった。

同じ年の7月に開業したアマゾンは、当初からクレジットカード決済を前提として設計されていた。それまで、クレジットカードは数ある支払い方法の1つにすぎなかった。現金・小切手・銀行振込・郵便振替。選択肢はいくつもあった。カードを持たなくても生活に支障はなかった。

しかし1995年以降、状況は一変した。オンラインで商売をする事業者は、クレカ決済を導入しなければ顧客を獲得できなくなった。消費者は、クレジットカードを持たなければ最新のインターネットサービスを利用できなくなった。現金も小切手も、オンラインでは全く役に立たなくなったのだ。つまり、クレジットカードは「あると便利なもの」から「なければ参加できないもの」に変わった。

カード会社は意図していたかどうかにかかわらず、インターネット経済全体への入場券を握る立場についた。誰がオンラインでビジネスを行なえるか、誰が新しいサービスを利用できるかを、事実上決定する権力を手にしたのである。

そして彼らは、著しく成長した。VISAは1990年代を通じて拡大を続け、2001年までに発行枚数は10億枚を超えた。現在、VISAとマスターカードは中国以外のすべての決済処理の90%を占める。経済学者たちは、この2社の関係を「機能的二重独占」と呼ぶ。ネットワーク効果によって新規参入が事実上不可能だからだ。

その結果、両社の営業利益率はVISAが67%、マスターカードは57%だ。トヨタの営業利益率が約10%であることを考えれば、この数字の異常さがわかる。両社は世界中の人々がお金を使うたびに手数料を徴収する「通行税」で莫大な利益を上げているのだ。

こうして彼らが得た権力の1つが、金融検閲である。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n91f384c9bf98

高市自維政権からの〝報復〞 公明党連立離脱の全真相

大山友樹(紙の爆弾2025年12月号掲載)

タブーなき月刊誌『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。

1999年10月の連立発足以来、民主党政権の3年3カ月の期間を除いて21世紀の日本の政治を事実上、仕切ってきた自公連立政権が、10月10日に突然、公明党が自民党に3行半を突き付ける形で崩壊した。

衆参両院で過半数に満たない少数与党の自民党は、公明党に去られたことで、石破茂首相の辞任表明を受けて行なわれた総裁選で当選した高市早苗氏の総理就任の可能性が揺らいだため、急遽、国民民主党や日本維新の会に接触。最終的に「第2自民党」(馬場伸幸前代表)などと自称していた野党ならぬ“癒党”の維新との連立にこぎつけ、日本初の女性総理を首班とする高市自維連立政権が10月21日に発足した。

一方、自民党と袂を分かった公明党は、野党に軸足を移し政権離脱による存在感の低下をカバーしようと腐心している。だが、自維両党の連立条件に衆院比例区の定数削減が盛り込まれるなどしたことから、今後、衆院比例区に重点を置く公明党は高市政権による厳しい報復にさらされる可能性が高い。

それにしても、日本の政治にドラスティックな変化の季節を招いた今回の公明党の連立離脱。多くのメディアがその理由と背景を分析しているが、宗教団体・創価学会を母体とする公明党は、1970年に引き起こした言論出版妨害事件に対する厳しい社会的・政治的批判を受けて、創価学会との組織的な政教分離宣言を行なったものの、その実態はあくまでも政教一体の宗教政党である。右顧左眄する公明党の動静を分析するには、創価学会の意思・思惑の考察が不可欠で、政治的視座や政局がらみの報道だけでは正確性に欠ける。そこで本稿では、なぜ公明党と創価学会が突然、26年にわたって積み上げてきた自民党との連立から離脱したのか。その理由と背景について、対象の内部にある論理や構造・意味を、対象の立場や主観に寄り添って理解しようとする宗教研究のアプローチ手法である「内在的理解」に基づいて俯瞰してみたい。

◆連立離脱の〝前兆〞

唐突な印象を受ける今回の公明党の連立離脱だが、しかしその布石は石破茂首相が辞任を表明した9月7日にはすでに打たれていた。石破辞任表明を受けて記者会見した公明党の斉藤鉄夫代表が、「保守中道路線で、理念に合った方でなければ、連立政権を組むわけにはいかない」と発言。連立維持のための必要条件を示唆していたからだ。

斉藤発言の意図を公明党の元地方議員は、次のように解説する。

「一般に宗教団体には自らの教えを最善のものとする独善性があるが、とりわけ創価学会はその傾向が強い。したがって、もともと神社に対する忌避感があるが、靖国神社は軍国主義の精神的シンボルという性格を持つことから創価学会の忌避感は特に強い。というのも、創価学会の牧口常三郎初代会長と戸田城聖二代会長は、戦前、軍部政府が督戦のため推進した国民精神総動員の一環として配布された伊勢神宮の大麻(神札)に対する不敬罪と、治安維持法違反で逮捕・投獄され、牧口初代会長は獄死している。

牧口会長を獄死させた軍部政府の首脳らA級戦犯を合祀している靖国神社に、高市氏は総理・総裁になっても参拝を強行すると高言する右翼タカ派。それだけに高市氏だけは勘弁してくれというのが創価学会の本音。斉藤発言は、そうした公明党そして創価学会のメッセージだった」

だが自民党は高市氏を新総裁に選出。その結果、自公連立の雲行きはにわかに怪しくなる。

発端は10月4日の高市新総裁と公明党首脳の初顔合わせだった。石破・岸田・菅と、歴代の自公連立政権の首班との初顔合わせの際の公明党首脳らは、にこやかに新総裁を出迎え、最初の党首会談で直ちに連立合意書に署名するのが通例だった。しかし新総裁に選ばれた直後に、公明党本部にあいさつに出向いた高市新総裁を出迎えた斉藤代表らは、祝意もそこそこに、さっそく「私たちや党員、支持者の懸念事項を率直にぶつけた」(公明新聞10月5日付)のである。

ここにある「支持者」とは創価学会を意味する。その創価学会と公明党がぶつけた「懸念事項」とは「1、『政治とカネ』の問題。2、靖国参拝と歴史認識問題。3、外国人との共生」(同前)の3点。このうち「政治とカネ」の問題についての懸念を斉藤代表は、具体的にこう述べている。

「まず『政治とカネ』の問題にきちんとけじめをつけなければならない。与党が選挙で大敗した大きな原因の1つに(自民党の)不記載の問題がある。また、企業・団体献金の規制強化を進めることについても、政策協議の中で明確にしてほしいと申し上げた」(同前)

ここで斉藤代表は、昨年の衆院選、今夏の東京都議選・参院選に大敗した原因として自民党の裏金問題を指摘すると同時に、企業・団体献金の規制強化を求めている。その底意には「政治とカネ」の問題の放置は、選挙敗北の因という次元にとどまらず、公明党そして創価学会の政界進出の基本理念や存在意義の否定につながる深刻な問題だという危機意識が潜んでいる。

周知のように公明党は、創価学会文化部を前身とし、公明政治連盟を経て1964年に政党となるが、その「結党宣言」には次のようにある。

「王仏冥合・仏法民主主義を基本理念として、日本の政界を根本的に浄化し、議会制民主主義の基礎を確立し、深く大衆に根をおろして、大衆福祉の実現を図るものである。こうして、広く地球民族主義の立場から、世界に恒久平和機構を確立することを最大の目標として勇敢に戦うことを、国民の前に固く誓うものである」(『公明党50年の歩み』公明党機関紙委員会編)

「政界浄化」は、公明党そして創価学会の政界進出の原点ということだ。

またここにある「地球民族主義」や「恒久的世界平和」などの理念が、「懸念事項」の「靖国参拝と歴史認識」や「外国人との共生」と通底することは明らかである。その意味で、公明党ならびに創価学会は、政界進出の基本理念と存在意義をかけて高市新総裁との連立の可否に臨んでいたことが看取できる。

◆引き金は「萩生田光一幹事長代行」

しかし自民党なかんずく高市氏の周辺にこうした公明党・創価学会の覚悟を理解する人物はおらず、むしろ公明党が自らの政治理念と対極にある解釈改憲や軍拡を推し進めた小泉・安倍・菅政権などに追随してきたこともあって、しょせん「下駄の雪」である公明党は、なんだかんだいってもついてくると軽視し、タカをくくっていたきらいがある。そうした公明党、そして創価学会を舐め切った態度が表面化したのが、10月7日の党首会談を前に行なわれた自民党の新執行部人事だった。

両者の関係悪化に火に油を注ぐ形となったこの執行部人事が、公明党の連立離脱を決定的なものとしたことは明らかだ。

というのも高市氏は総裁選での論功行賞として、派閥解消に反して唯一存続した麻生派の領袖である麻生太郎元首相を1年ぶりに副総裁に就任させたが、麻生氏は“大の創価学会・公明党嫌い”で知られる人物である。前回の副総裁時代の2023年9月24日に福岡市内で行なわれた講演では、岸田政権が22年の暮れに敵基地攻撃能力の保有を明記した安保関連三文書を閣議決定した際に、公明党が専守防衛の観点から反対したことに言及しつつ、「山口(那津男代表)」「石井(啓一幹事長)」「北側(一雄副代表)」と公明党首脳を呼び捨てにしつつ、公明党と「その裏にいる創価学会」を「ガン」呼ばわりした。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n79cfa0b335a5

NKB爆発シリーズFINALはスターのいない最終戦!

堀田春樹

メインイベンターに起用された大月慎也、あっけなく敗退!
安河内秀哉はアグレッシブに攻めるも倒し切れない圧勝。

◎NKB爆発シリーズvol.6 最終戦 / 12月13日(土)後楽園ホール17:15~20:15
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

戦績はプログラムを参照し、この日の結果を加えています。

◆第10試合 65.5kg契約 5回戦

セーンダオレック・スターライトジム(元・タイ国イサーン地方覇者/2003.1.24タイ・サコンナコーン出身/ 65.25kg)204戦162勝(58KO)37敗5分(推定)
        VS
大月慎也(Team arco iris/1986.6.20埼玉県出身/ 65.3kg)28戦11勝(9KO)13敗4分
勝者:セーンダオレック / TKO 1ラウンド 2分5秒
主審:前田仁

セーンダオレックは2024年4月に重森陽太に判定負け。6月に大谷翔司にTKO勝利も12月に大谷と再戦もTKO負け。大月慎也は前戦の10月18日、小磯哲史(テッサイ)にTKO負け。再起を期して今回は初のメインイベンターとして出場。

両者、軽い蹴りで距離を計る様子見はセーンダーオレックの間合いの取り方が上手い。大月慎也の蹴り終わりを狙った左ストレートで後退させるとパンチヒジ打ちの連打で追い込む。大月は左眉尻を切られた様子で、セーンダーオレックは組み付いてのヒザ蹴り、左フックが当たったか、大月は崩れ落ちノックダウンとなった。

セーンダーオレックが大月慎也を追い詰め、これかは微妙だがヒジ打ちがヒット

勢いづくセーンダーオレックは大月を追い回し、パンチヒザ蹴りを使い分け、ロープ際に追い込んで左ミドルキックからヒジ打ちパンチと対しに掛かるとレフェリーが割って入り試合をストップ。大月はTKO負けとなった。

大月慎也は試合後、「セーンダーオレックはメチャクチャ強いですね。パンチは見えているので行けると思った矢先、首相撲の展開になった瞬間にヒジ打ちが来たんです。全然見えなかったです!」と語り、このカットがあった為、連打受けた際、レフェリーに止められた模様である。

セーンダーオレックが連打で仕留めに掛かるが、レフェリーが止めに入る直前

◆第9試合 フェザー級3回戦

ホワッチャイ・スガ・スターライトジム(2004.1.20タイ・サコンナコーン出身/ 56.6kg)
101戦90勝7敗4分(推定)
      VS
安河内秀哉(RIKIX/2003.10.7東京都出身/ 56.95kg)16戦11勝(5KO)4敗1分
勝者:安河内秀哉 / 判定0-3
主審:笹谷淳
副審:PIRIKA 29-30. 関勝28-30. 前田28-30

ホワッチャイは初来日。安河内は8月3日、大阪でNKBバンタム級2位 雄希(テツ)と対戦して引分け。

初回、少々のローキックで様子見の後、前進し始めた安河内秀哉。ホワッチャイの蹴りに動じず距離を詰めて蹴っていく。顔面前蹴りからパンチ連打、ホワッチャイの下がり気味、ロープを背にする展開は変わらずも、クリーンヒットを許さずしっかり蹴り返す技はムエタイ熟練者の技である。

第2ラウンド以降も安河内が蹴りからパンチで追うも、接近戦ではホワッチャイのヒジ打ちを警戒してか、強引に打ち合う展開には至らない。終始追い回しても仕留めるには程遠い展開となったが安河内が攻勢を維持した順当な判定勝利。

セコンドの石井宏樹氏は「追い詰めた時にどう仕留められるかがこれからの課題です。タイ選手はこういう逃げの体勢は上手いですから!」と語った。

安河内秀哉が追い詰めても、躱してしっかり蹴り返すホワッチャイ
安河内秀哉がホワッチャイをコーナーに追い込むも倒すには至らないもどかしさ

◆第8試合 フェザー級3回戦

NKBフェザー級5位.半澤信也(Team arco iris/1981.4.28長野県出身/ 57.15kg)
36戦11勝(4KO)20敗5分
        VS
堀井幸輝(ケーアクティブ/1996.11.7福岡県出身/ 56.8kg)8戦5勝(1KO)2敗1分
勝者:堀井幸輝 / KO 1ラウンド 2分27秒
主審:PIRIKA

蹴りとパンチの様子見から堀井幸輝の右ストレートで半澤信也が脆くもノックダウン。再開後、飛びヒザ蹴りで牽制。更にローキック。距離が縮まると右ストレート。半澤は脚が効いている様子があり、堀井の内股ローキックでスリップダウンする半澤。更にパンチで圧し、攻勢を続けた堀井が立て続けに右ストレートでノックダウンを奪い、3ノックダウンとなって堀井のノックアウト勝利となった。

堀井幸輝が狙った右ストレートで半澤信也を追い詰めていく
堀井幸輝KO勝利。立て続けに右ストレートで半澤慎也を倒し切った

◆第7試合 バンタム級3回戦

シャーク・ハタ(=秦文也/テツ/1987.10.20大阪府出身/ 52.75kg)11戦4勝4敗3分
      VS
磯貝雅則(STRUGGLE/1986.11.29東京都出身/ 53.4kg)8戦2勝5敗1分
引分け 0-1
主審:関勝
副審:笹谷29-29. 前田29-29. PIRIKA 29-30

両者、牽制のローキックからパンチの展開。磯貝雅則は接近戦ではヒザ蹴りを入れるがシャーク・ハタもバックハンドブローも使い、アグレッシブな前進が目立った。第2ラウンド以降も多彩に攻め合うが、差は付き難い展開が続いた。各ラウンドで磯貝のヒザ蹴りはやや攻勢のインパクトあったが勝利に導くには至らず。

シャーク・ハタのバックハンドブローはヒットせずも、互いの技を出し切った

◆第6試合 ウェルター級3回戦

安田学登(クボ/1995.9.14群馬県出身/ 66.65kg)12戦7勝4敗1分
      VS
ソムプラユン・ヒロキ(DANGER/1997.3.25茨城県出身/ 65.8kg)11戦3勝(1KO)8敗
勝者:ソムプラユン・ヒロキ / TKO 2ラウンド 1分40秒
主審:鈴木義和

初回は安田学登が前蹴り左ミドルキックでリズム掴みパンチを加えて主導権支配。第2ラウンドも安田の勢いは衰えずも、ソムブラユン・ヒロキもローキックで前進。やや劣勢もパンチの距離に入った中、右フックのクロスカウンター一発で倒したソムブラユン・ヒロキ。カウント中のレフェリーストップとなり、意外な逆転TKO勝利となった。

画像は位置が悪いが、ソムブラユン・ヒロキが右フック一発で安田学登を倒し切った

◆第5試合 フライ級3回戦

滑飛シオン(テツ/2007.6.28岡山県出身/ 50.65kg)4戦2勝(1KO)2敗
      VS
緒方愁次(ケーアクティブ/2004.1.6東京都出身/ 50.7kg)5戦3勝2敗
勝者:滑飛シオン / 判定3-0
主審:PIRIKA
副審:前田30-26. 関勝30-26. 鈴木30-27

初回のパンチとローキックで先にリズム掴んだのは滑飛シオン。第2ラウンドには緒方愁次の飛びヒザ蹴りに右ストレートカウンターでノックダウンを奪った。ダメージは小さいがスリップ気味で身体が流れた尻餅ダウンではあった。第3ラウンドもシオンの優勢維持。展開は変わらずシオンが判定勝利。

緒方愁次の飛びヒザ蹴りと滑飛シオンのバックハンドブローの交錯

◆第4試合 63.0kg契約3回戦

菅野登生(テツ/2005.11.2兵庫県出身/ 62.4kg)2戦2勝(1KO)
      VS
清水和也(アルン/2003.9.22新潟県出身/ 62.9kg)6戦2勝3敗1分
勝者:菅野登生 / 判定3-0
主審:笹谷淳
副審:関勝30-28. 前田30-29. PIRIKA 30-29

蹴りとパンチの探り合いのアグレッシブな攻防が続く。前進してパンチラッシュする清水和也と下がりながらも左ストレートカウンターとミドルキック、ハイキックのリズムが攻勢を維持して菅野登生が判定勝利。

◆第3試合 フェザー級3回戦

鈴木ゲン(拳心館/1973.6.5新潟県出身/ 56.65kg)16戦6勝(4KO)9敗1分
      VS
加藤宙(神武館/2008.11.26埼玉県出身/ 56.75kg)2戦2勝(2KO)
勝者:加藤宙 / TKO 3ラウンド 1分5秒
主審:鈴木義和

初回早々からパンチで猛攻掛ける加藤宙だが、鈴木ゲンがロープに詰まりながらも凌いで蹴って体勢を立て直していく。スピードある加藤のヒジ打ちで鈴木ゲンは額を切られるが、ミドルキックやヒザ蹴りで立て直す頑張りは見せた。

第2ラウンドも加藤は我武者羅なパンチとヒジ打ちで鈴木は流血と右目辺りが腫れだす。第3ラウンドには鈴木ゲンの左目が腫れて塞がり、左頬もコブが出来るなど出血もありドクターの勧告を受入れレフェリーストップとなった。35歳差対決はスピードある加藤とテクニックは無いが、ジワジワ蹴りとヒザ蹴りで巻き返そうとする鈴木のアグレッシブな頑張りを見せた。

鈴木ゲンが若い加藤宙をヒザ蹴りで追うも、流血と腫れが酷くレフェリーストップが掛かる

◆第2試合 53.75kg契約3回戦

風間 祐哉(WSR三ノ輪/1997.7.17石川県出身/ 53.4kg)7戦1勝4敗2分
        VS
早川曜平(ケーアクティブ/1994.1.13千葉県出身/ 53.0kg)4戦2勝1敗1分
勝者:早川曜平 / 判定0-3
主審:関勝
副審:笹谷29-30. PIRIKA28-30. 鈴木29-30

◆プロ第1試合 62.0kg契約3回戦

大利一真(テツ/1991.7.1大阪府出身/1981.5.30大阪府出身/ 61.35kg)3戦1勝1敗1分
        VS
藏田浩二(SRK/1981.5.50大阪府出身/ 61.75kg)1戦1敗
勝者:大利一真 / 判定3-0
主審:前田仁     
副審:笹谷29-28. PIRIKA29-28. 鈴木29-28

◆アマチュア第3試合 問答無用 東西対抗戦50.0kg級2回戦(2分制)

関東推薦選手.齋藤日吉(MAX FIGHTING SPORTS/2010.6.16福島県出身/ 49.4kg)
        VS
関西王者.小西谷琉(ROYALKINGS/2010.12.3 兵庫県出身/ 49.25kg)
勝者:齋藤日吉 / 3R三者三様 延長2-1(19-19.10-9 / 20-19.10-9 / 19-20.9-10)

◆アマチュア第2試合 問答無用 東西対抗戦47.0kg契約2回戦(2分制)

45kg級関東王者.宮城壮一朗(FREEDOM@OZ/2012.2.17埼玉県出身/ 46.5kg)
        VS
45kg級中四国王者.山本椅央(武魂會/2011.9.17岡山県出身/ 45.7kg)
勝者:宮城壮一朗 / 判定3-0 (20-19. 20-19. 20-19)

◆アマチュア第1試合 問答無用・関東33kg級キッズタイトルマッチ2回戦(2分制)

関東33kg級王者.山川樹(マスターズピット/2013.4.20千葉県出身/ 32.5kg)
      VS
挑戦者.YU-NA(キング/2012.8.21東京都出身/ 31.7kg)
勝者:YU-NA / 判定0-2 (19-19. 18-20. 19-20)

《取材戦記》

予定されていましたバンタム級3回戦、杉山海瑠(HEAT)は高熱による体調不良で欠場。試合は中止。対戦者、雄希(テツ/53.1kg)は計量をパスし形式上勝者扱い(発表は不戦勝)。

センダーオレックと対戦したい選手は他にも居たようでしたが、今月や来月に試合を控えた選手の為、スケジュールが合わず、今回は大月慎也が出場となった模様です。

今回、NKB史上初の女性レフェリーが起用。PIRIKAさんの最近はMuayThaiOpenでレフェリーを務めていました。画像にある堀井幸輝KO勝利の瞬間はレフェリーの良い見本。すぐ勝者の手を上げるのではなく、まず敗者を保護することが優先。これがしっかり出来るのはプロボクシングJBCにおける全レフェリー。キックボクシングでは、最近は改善されてきましたが、ダメージある敗者を放りっぱなしにするレフェリーは今も存在します。PIRIKAはしっかり半澤信也を支えに入っていた。しっかり基本を教えられてきた土壌があったのだろう。今後もNKBには起用が見込まれます。

従来からの日本キックボクシング連盟において、チャンピオンにまで到達しながら団体離脱する選手は一定数存在します。最近では蘭賀大介や杉山空など、幅広い分野で自分の力を試したくなるのは自然の心理。先行きを見守りたいものです。

2026年の日本キックボクシング連盟興行は2月21日(土)、4月18日(土)、6月20日(土)、10月10日(土)、12月12日(土)にいずれも後楽園ホールで開催と、8月2日(日)に大阪176BOXに於いてテツジム主催興行と、年間6回予定されています。

2月21日はNKBウェルター級タイトルマッチ、チャンピオンカズ・ジャンジラ(Team JANJIRA)vs挑戦者.どん冷え貴哉(TOKYO KICK WORKS)戦が行われます。

時代が移り変わり、日本キックボクシング連盟も世代交代が進み、鎖国的な態勢から少しずつ体制が変わって来ました。2026年も新たに何が起こるか期待したいものです。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

精神科医・野田正彰先生の『過ぎし日の映え 続社会と精神のゆらぎから』を刊行

鹿砦社代表 松岡利康

師走も押し迫り寒さも厳しくなり、世情は慌ただしくなってまいりました。皆様、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

さて、このたび小社では、わが国を代表する精神科医・野田正彰先生の『過ぎし日の映え 続 社会と精神のゆらぎから』を刊行いたしました。去る8月に同じく野田先生の『流行精神病の時代』を刊行し各方面から好評を博し、短期間に2冊立て続けての出版となります。

本書は、著者の故郷の地元紙、高知新聞の長期連載「高知が若かったころ」の後半部分にあたり、前半部分は『社会と精神のゆらぎから』というタイトルで講談社から刊行されています。その続編という恰好ですが、前半とは全く異なる構成と内容で独立した書籍となっています。

その多くの文章はペレストロイカ後のロシアやバルト海沿岸諸国などを歩き続けた記録となっており、そこで旅しながら考えた、人間社会への深い考察になっています。

何卒ご一読いただき、ぜひ、紹介、書評などお願い申し上げます。

いよいよ2025年も押し迫ってまいりました。慌ただしいさなかでの出版ですが、著者の深い思索の一端をご理解いただければ幸いに存じます。

『過ぎし日の映え 続 社会と精神のゆらぎから』https://www.amazon.co.jp/dp/4846315959

冤罪を作る検察官は恥を知れ!

尾﨑美代子

再審(裁判のやりなおし)を請求する時には新たな証拠が必要と言われている。それを再審を請求する側が必死で探して、新たな鑑定書を作成したり、そのために再現実験行うだけで大変な時間、経費を要する訳だが、今年7月18日、36年ぶりに再審無罪を勝ち取った前川彰司さんの「福井女子中学生殺害事件では「そんな証拠どこにあったんだい」という証拠が出てきたのだ。

この事件は、事件当日「血のついた前川を見た」などの証言が多数あり、前川さんが逮捕された。複数の関係者の供述をあわせるために使われたのが、当時流行っていたテレビ番組「夜のヒットスタジオ」でアンルイスと吉川晃司が繰り広げた超卑猥なパフォーマンスだった。

「六本木心中」を歌うアンルイスの後ろに吉川晃司が回り腰を激しく打ちつけるというパフォーマンス。20歳そこそこの関係者が刺激を受けて「いやらしいな」と言い合っていたところに先輩から電話がきて、車で先輩の所に行くと、そこに血を付けた前川が来た……というストーリーだった。

弁護団は再審の控訴趣意書で、車のダッシュボードに前川が付けたという血痕は、関係者の証言のように唾で拭いた位で消えない、必ずルミノール反応が出るはずなどの実験を行い、結果を新たな証拠として出していた。私もその趣意書を何度も読んでいた。

ところがだ。再審開始の決定書の冒頭に突然でてきたのが、「夜のヒットスタジオ」やらアンルイスやら吉川晃司だった。おいおいおい……私は慌てたね。何なんだよ、おい! 実は血の付いた前川を見たと証言したキーマンの男性が「いやらしいな」と言ってたパフォーマンスは事件当日の放映ではなく、翌週だったのだ。

その証拠を警察、検察はとっくの昔から知っていた。つまり、再審で無罪を勝ち取るには、検察が持っている全ての証拠を明らかにしなくてはならないのだ。それを必死で隠そうとする検察。こんな連中とその検察を統括する法務省、法制審に再審法を任せていては、冤罪犠牲者は絶対に救済されない。

そもそもだが、冤罪を必死で作る仕事をしてて、あんたら恥ずかしくないか。嫁や子供、親に「オレ、こんな仕事してるんだ。カッコいいだろ」と言えるか??

そういえば、これまで冤罪作ってきて、その後「栄転」したのはいいが、その先でパワハラやらセクハラやら、不祥事やらかしている元検察官を、数人知ってるぞ。埼玉愛犬家連続殺人事件で風間博子さんに死刑判決を下した岩橋義明検事は、電車のドアにわざとカバンを挟み、運行を妨害したとして厳重注意処分を受けた。

千葉県東金女児殺害事件で知的障害を持つ勝木涼君を「金子さん、金子さん」となつかせ、有罪にし、「栄転」先の栃木県では更に今市事件で、当時日本語の不慣れな、台湾出身の勝又拓哉さんに、暴行を振るったりして犯人にした金子達也検事は、その後赴任した福岡で、部下の女性に不適切な発言をして減給の懲戒処分をうけた。

また不祥事ではないが、和歌山カレー事件で、林眞須美さんの夫の健治さんに「眞須美にヒ素を盛られたと証言してくれ」と頼み込んだ大阪地検特捜部の小寺哲夫検事は、なんと関西生コンに対して妨害したり、告発・告訴を続けてきた大阪広域生コン側の弁護人になっている。悪はいつまでも悪のままだ。本当に恥を知れ!!

◎[参考記事]冤罪被害者の救済、遠のく? 元裁判官63人・学者135人が危機感(2025年12月7日付け朝日新聞)

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

政治献金のグレーゾーンとマスコミ癒着 高市早苗首相のマネーロンダリング疑惑

黒薮哲哉(紙の爆弾2025年12月号掲載)

タブーなき月刊誌『紙の爆弾』の最新号記事がnoteで一部公開・購読可能となりました。独自視点のレポートや人気連載の詰まった「紙の爆弾」は全国書店で発売中です(毎月7日発売。定価700円)。書店でもぜひチェックしてください。

◆300万円の〝還付金〞

議席の数合わせの論理に翻弄された末、日本初の女性首相の座を射止めた高市早苗衆院議員。公明党の斉藤鉄夫代表が、政治資金収支報告書の記載漏れなど「政治と金」の問題を突きつけて自民党と決別したことを発端として、政争が拡大した。高市氏の傲慢な態度に業を煮やした斉藤代表は、高市政権ではこの問題に正面から切り込めないと判断し、26年にわたる連立を解消したとされる。

ところがワイドショーをはじめとする日本のメディアは、「政治と金」の問題よりも、むしろ政界再編をめぐる政党や派閥のかけひきをクローズアップした。

「政治と金」のグレーゾーンとは何か? 高市首相の政治資金問題を知り尽くす人物が東京都江東区にいる。『最高裁の暗い闇』(鹿砦社)などの著書を持つ志岐武彦氏である。志岐氏は2017年2月、高市氏が政治資金を巧みに動かして「資金洗浄」すなわちマネーロンダリングを行なったとして刑事告発した。

当時、彼女は第三次安倍晋三内閣の下で総務大臣を務めており、「総務大臣によるマネロン」に筆者は好奇心を刺激され、取材目的もあって告発人に名を連ねた。志岐氏が疑問視したのは、政治献金の還付金制度を利用して金銭を捻出する手口である。

有権者が政治献金を行なった場合、確定申告の際に税務署で所定の手続きを踏めば、一定割合の金銭が還付される。還付の割合は献金額のおおよそ30%(厳密には、寄附額から2000円を差し引いた金額の30%)で、積極的に政治献金をすることで政治参加の意識を促すことを狙いとしたのが、この優遇措置だ。

ただし、これは誰に対しても無条件に適用されるわけではなく、除外されるケースもある。租税特別措置法41条18・1は「寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められる」場合、優遇措置の対象外とすると定めている。志岐氏はこの点に着目し、高市氏の行為が還付金を受けるための要件を満たさないと判断して刑事告発に踏み切ったのである。

2017年2月4日、志岐氏と筆者は連名で告発状を奈良地方検察庁に提出した。告発状では、高市議員が2012年12月25日、自らが代表を務める自民党奈良県第2選挙支部(以下、第2支部)に1000万円を寄付し、その後、確定申告の際に税務署で「寄付金(税額)控除のための書類」(タイトル写真)を作成し、約300万円の還付を受けたことを指摘した。

形式上、この1000万円は高市氏が自ら調達した資金とされている。しかし、政治資金収支報告書を精査すると、その寄付行為の約1カ月前にあたる11月20日に、第2支部が高市氏個人に対して「寄付金」と称して1000万円を支出していたことが判明する。

つまり、①第2支部が高市議員に1000万円を寄付し、今度は逆に②高市議員個人が同じ額の金を再び第2支部へ戻し、同時に寄付者・高市早苗として③約300万円の還付金を受け取った構図が浮かび上がる。

資金を循環させるだけで、庶民の手取り年収に匹敵する額の還付金を得ていたのだ。この1000万円の“源流”をさかのぼるとさらに興味深い事実が見える。第2支部が高市氏に1000万円を寄付した同じ日、自民党本部が第2支部へ「選挙費用」として1300万円を送付していたのだ。

これら一連の金の流れは、第2支部が作成した2012年度の政治資金収支報告書で確認できる。ただし、自民党本部から第2支部へあてた1300万円と、第2支部から高市氏が受け取った1000万円が同一の金である確証はない。重要なのは、高市氏が資金を循環させることで約300万円の還付金を生み出した事実である。これは租税特別措置法41条18・1が禁じる「寄附をした者に特別の利益が及ぶ」ケースに該当する可能性がある。志岐氏はこの点に着目して告発に踏み切ったのだ。

※記事全文はhttps://note.com/famous_ruff900/n/n80aa03ce4915

米国政府系の反共謀略組織・NEDからラテンアメリカ諸国の市民団体やメディアに63億円

黒薮哲哉

全米民主主義基金(National Endowment for Democracy=NED)から、2024年度、4,100万ドル(約63億~65億円)の資金がラテンアメリカ諸国の親米勢力(市民運動体やメディア)に支払われていることが分かった。支援対象となったプロジェクトの数は262。対象国は16カ国である。

NEDのウェブサイトは、支援の理由について次のように述べている。

ラテンアメリカとカリブ地域では、権威主義が広がりつつあり、指導者たちは民主的な制度を弱めて権力を固めている。

NEDは、キューバ、ニカラグア、ベネズエラのように強い権威主義体制が続く国々に特に注目している。

こうした国々でNEDは、現地の団体と協力し、政権の独裁的な性質についての理解を深め、市民が独立した情報を得られるよう支援し、反民主的なプロパガンダに対抗する。

厳しい弾圧がある中でも、活動家たちは平和的で民主的な改革を進めるという強い意志を持ち続けている。

NEDは、米国政府系の反共謀略組織で、他国の「民主化」を支援するための組織である。今年、ノーベル平和賞を受賞したベネズエラの反政府活動家で、同国への軍事介入を米国に要請しているマリア・マチャドも、NEDに深く連座してきたことが判明している。

NEDの手口は共通している。メディアを使って「親米」と「反共」で世論を誘導し、一種の混乱状態をつくった後にクーデターを試みる手口である。

しかし、ニカラグアでもベネズエラでも失敗している。日本にもNEDから資金援助を受けている人物がいるという情報もあるが、詳細については分からない。

《関連記事》
トランプ政権がUSAIA傘下の全米民主主義基金(NED)への資金提供を再開(2025.05.14)
USAID傘下の全米民主主義基金(NED)が、3月5日、行政機関と政府高官を相手に提訴、「予算を違法に保留している」(2025.03.12)
国境なき記者団の「報道の自由度ランキング」のでたらめ、スポンサーは米国政府系の基金NED(2024.06.07)

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2025年12月01日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

MuayThaiOpen 今回も壱世がメインイベンター、存在感を示すTKO勝利!

堀田春樹

壱世、全勝とはいかなかったが、今年もビッグマッチをこなして飛躍の一年で締め括る。
蒔音は2023年12月デビューから丸2年での二つ目の王座獲得。
エムトーンジムの期待の新星、夢叶もノックダウン奪って判定ながら圧倒の勝利。

◎MuayThaiOpen.51 / 12月6日(土)墨田区体育館(ひがしんアリーナ)
プロ興行:17:00~21:30
主催:センチャイムエタイジム / 認定:ルンピニージャパン

前日計量は中野駅近くのセンチャイジムにて5日13時より行われています。1名は当日計量。2名が学業の為に遅延。授業を終えて計量に向かった模様。全員いずれも一回でパス。

◆第12試合 55.5kg契約3回戦 

WBCムエタイ日本スーパーバンタム級チャンピオン.壱・センチャイジム(=与那覇壱世/センチャイ/1997.8.15沖縄県出身/ 55.1kg) 45戦33勝(12KO)11敗1分
VS  
ワイトップ・ソー・ガムジン(1992.10.17タイ国出身/ 55.5kg) 
勝者:壱・センチャイジム / TKO 2ラウンド 2分59秒
主審:河原聡一

両者見合って様子見から上下の蹴りに移る。互角ながら前に出ているのは壱世。第2ラウンドも壱世が蹴りでプレッシャーをかけて前に出てワイトップを追い詰めていく。

壱世のローキックがワイトップの右内腿辺りにヒットするとワイトップはバランスを崩して足を引き摺る。効いた様子あるワイトップに更に同じ個所を蹴るとワイトップはスリップながら尻餅をつくダメージある様子が窺えた。

ワイトップの効いている左脚を攻める壱世

下から上へハイキックで圧力を掛け、パンチ連打から左アッパーでノックダウンを奪った。立ち上がるも防戦一方のワイトップを首相撲からヒザ蹴り、蹴りからパンチを纏め4連打の最後は左アッパーで倒し、ノーカウントのレフェリーストップとなった。

壱世が左アッパーで最初のノックダウンを奪ったシーン
マイクアピールでは応援してくれたファンへの感謝を述べる壱世

◆第11試合 59.5kg契約3回戦 稔之晟インフルエンザで欠場。代打はモンコンチャイ

JKIスーパーフェザー級チャンピオン.夢叶(エムトーン/2004.4.7神奈川県出身/ 59.5kg)
13戦9勝(2KO)3敗1分
        VS
モンコンチャイ・キアチャイレック(タイ/29歳/ 59.2kg)
勝者:夢叶 / 判定3-0
主審:谷本弘行
副審:河原30-26. 少白竜30-25. 神谷30-25

初回から蹴りの攻防に立ち向かう夢叶。モンコンチャイをロープ際に追い詰める流れで蹴り優っていく。

夢叶はモンコンチャイを上回るスピード、アグレッシブな攻めで圧力掛けて出た

第3ラウンドにはロープ際に追い込んでのパンチ連打で2度のスタンディングダウンを奪った後の終了間際には飛びヒザ蹴りを見せたが、仕留めるには至らずも下がる場面は一切無かった圧倒の大差判定勝利となった。

試合後、夢叶は「今日は倒したかったです。次はKOで勝ちます!」と宣言した。

夢叶の飛びヒザ蹴り。ラスト2秒前だった。モンコンチャイも前蹴りで対抗して凌いだ

◆第10試合 MuayThaiOpenバンタム級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.イティポン・ポー・ジョー・ウォー(2002.1.6タイ国出身/ 53.5kg)
              VS 
挑戦者.蒔・センチャイジム(=佐藤蒔音/ JKイノベーション・バンタム級Champ/センチャイ/2003.7.8東京都出身/ 53.4kg)
勝者:蒔・センチャイジム / TKO 3ラウンド 2分46秒
主審:大澤武士

3月22日に矢島直弥に2-1判定勝利で王座獲得したイティポン。パンチとローキックで様子見ながら蒔音がプレッシャーを掛けていく。

イティポンは静かな蹴りの反撃も蒔音は冷静に躱し、自分の距離を保って攻めて行く。徐々にパンチの攻勢が強まり、蹴りと首相撲の攻防から第3ラウンドには怒涛の連打でノックダウンを奪い、更に連打で追い込み右ヒジ打ちで倒し切った。

蒔音が首相撲でも優ってイティポンの頭を捻じり押さえる
蒔音がイティポンをロープ際に追い詰め、ラッシュを掛けてノックダウンに繋げた
MuayThaiOpenの王座で二つ目王座奪取となった蒔音。壱世に続くか

◆第9試合 アマチュアMuayThaiOpen 53.5kg級王座決定戦3回戦(2分制)

駒木根稔和(TSK Japan/2009.5.7神奈川県出身/ 53.25kg)
        VS
鬼久保蒼流(健成會/ 2009.8.30東京都出身/ 52.8kg)
勝者:駒木根稔和 / TKO 3ラウンド 1分30秒
主審:神谷友和

初回、素早い両者のフットワークの蹴り。そこに鬼久保蒼流が右ストレートで軽いノックダウンを奪った。駒木根稔和はダメージは殆ど無い様子で、蹴りで押し込み接近するとパンチの連打、攻めの勢いを増して行くとスタンディングダウンを奪って巻き返し。

第2ラウンドも駒木根稔和が鬼久保の攻めを封じ圧倒する流れ。第3ラウンド半ば、駒木根がパンチやヒジ打ち猛攻でコーナーに追い込み、パンチ連打で2度のスタンディングダウンを奪ってレフェリーストップとなるTKO勝利。

駒木根稔和はアマチュアながらスピーディーなテクニックで鬼久保蒼流を圧倒

◆第8試合 女子43.5kg契約3回戦(2分制)

ミネルヴァ・ペーパー級チャンピオン.Uver-miyU(=高橋美結/T-KIX/1999.12.7静岡県出身/ 43.5kg)
        VS
ロウ・イツブン(NEXTLEVEL渋谷/1995.5.26中国出身/ 43.4kg)
引分け 三者三様
主審:少白竜
副審:神谷29-29. 谷本28-29. 大澤29-28

初回、ミドルキックやハイキックで牽制する両者。ウーバー・ミユの蹴りにしっかり蹴り返すロウ・イツブン。接近した際にバッティングが起こったか、ウーバーの額にコブが出来ていた。

ロウ・イツブンはスマートな蹴りが出続ければ流れが傾きそうなところ、ウーバーも前進する圧力にパンチ蹴りとも手数を増して踏ん張る。終盤は激しい蹴り合いも互角の展開を残し、チャンピオンに成ったばかりの、負けるわけにはいかない立場のウーバーミユにとっては悔しい引分けとなった。

負ける訳にいかないウーバーミユだったが、ロウ・イツブンのミドルキックに苦しめられた

◆第7試合 アマチュア(ジュニア)55.0kg契約3回戦(2分制)東西王者対決

秀馬(エムトーン/2010.10.26神奈川県出身/ 当日計量55.0kg)
        VS
大澤透士(TRASH/2010.11.16広島県出身/ 54.7kg)
勝者:秀馬 / 判定3-0
主審:河原聡一
副審:神谷30-27. 大澤30-28. 少白竜29-28

蹴りの様子見から徐々に自分のペースへ持ち込む秀馬。タイミングいい蹴りとパンチで的確なヒットを見せながら圧力を掛けて大澤透士を追い込んでいく。

第3ラウンドは大澤も懸命に蹴りで出て来たが、秀馬はバランスいい攻めで判定勝利。

エムトーンジム南孝侍会長は秀馬の勝因について、「やられたらやり返す!」と応えたが、やられていないのに攻め勝ったことには笑うだけだったが、秀馬の試合運びには満足そうだった。

◆第6試合 女子バンタム級3回戦(2分制)

真秀鷹虎(センチャイ/2006.4.10宮城県出身/ 53.35kg)
        VS
優波(TFG EVOLVE/2010.6.8千葉県出身/ 52.95kg)
勝者:真秀鷹虎 / 判定2-0
主審:谷本弘行
副審:神谷29-29. 河原29-28. 少白竜30-29

激しい蹴り中心の攻防が続き、ラストラウンドにやや圧力掛けて出た真秀鷹虎が経験値の差か、僅差ながら判定勝利。

◆第5試合 アマチュア(ジュニア少年少女)35.0kg契約3回戦(2分制)

川原さくら(橋本道場/2012.1.14福岡県出身/ 34.9kg)
        VS
大牙虎男(Vallely Kickboxing team/ 2015.2.17東京都出身/ 34.5kg)
引分け 0-1 (29-29. 29-29. 28-29)

男子と女子の戦い。さくらの蹴りは積極的。この時期の年齢差は、大牙虎男には不利な体格差かもしれないが、男子のパワーが徐々に優り、互角の攻防戦が続いた。

◆第4試合 66.0kg契約3回戦(2分制)

志賀野真人(TSK Japan/2007.6.17神奈川県出身/ 65.3kg)
        VS
小泉琉(健成會/2006.11.25東京都出身/ 65.3kg)
勝者:志賀野真人 / 判定3-0
主審:神谷友和
副審:谷本30-28. 河原30-27. 大澤30-27

パンチヒットで志賀野真人の主導権支配した展開は変わらず終了。

◆第3試合 アマチュア(ジュニア)43.0kg契約3回戦(2分制)

阿部龍(橋本道場/2012.6.7東京都出身/ 42.9kg)
        VS
日野原晴海(HIDE/2012.1.20静岡県出身/ 42.7kg)
勝者:阿部龍 / 判定3-0 (29-28. 30-29. 30-28)

素早く多彩な互角の攻防だったが、阿部龍が勝利を掴む。

◆第2試合 64.0kg契約3回戦

ムラッシュ村松(TSK Japan/1998.12.10神奈川県出身/ 63.2kg)
        VS
古林けいご殿(龍拳會青葉台支部/1980.10.8神奈川県出身/ 63.95kg)
勝者:ムラッシュ村松 / 判定3-0
主審:河原聡一
副審:少白竜29-28. 神谷29-28. 大澤29-28

初回はやや古林けいごのペース。第2ラウンドからムラッシュ村松が盛り返した。古林が疲れて来たところを追い詰める。村松が主導権支配した流れで終わった。

◆第1試合 アマチュア(ジュニア)28.0g契約3回戦(2分制)

發知楓(橋本道場/2013.8.5東京都出身/ 26.8kg)
        VS
大空(SUCCEED/2015.6.1神奈川県出身/ 27.3kg)
勝者:大空 / 判定0-2 (29-29. 28-30. 29-30)

《取材戦記》

プロ興行の中でも最近は前座でアマチュア試合を組み込む傾向があります。一つの団体等で、プロ・アマチュア部門が存在するので、興行の都合ではその流れも起こっています。今回はセンチャイ一家の家庭的ムードが漂う興行。手作り感強い興行で、突然のアマチュア東西王者対決も決まった模様。何の王座かはアマチュアムエタイオープン55kg級ということだった。

プロ試合、メインイベンター壱世が奪ったノックダウンとノックアウトに繋げたヒットは、いずれも左アッパー。貴(たかゆき)センチャイ氏がスマホで撮っていた動画から判明。撮った動画をすぐ見れるのは便利になった時代です。

壱世は10月12日にKNOCK OUT興行 で行われたWBCムエタイ日本スーパーバンタム級王座決定戦でNJKF同級チャンピオンの繁那(R.S)と対戦し、壱世が3-0判定勝利し、王座獲得しています。次の試合は来年2月15日にKNOCK OUT興行に出場予定ということでした。

全試合試合後、センチャイ会長は「最近の日本の選手はレベル高くなって、本当に観る側も楽しいと思います。世界にいろいろな試合有るけど、日本の選手はよく研究していると思います。」とタイ選手を上回る攻防に感想を述べられました。毎度丁寧に纏め上げるのは、センチャイさんらしいところではあります。

コロナ禍から復活して今回4度目の興行となりました。来年もMuayThaiOpenは日程未定ながら3回ほど開催予定の模様です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」