《対談》低迷する日本が活路を見出す自主独立の極東地政学

小坂浩彰(NGOレインボーブリッヂ)× 木村三浩(一水会代表)

まもなく1年を迎える高市政権において、もっとも顕著なのが、対米従属の深化だ。特に外交における「アメリカ・ファースト」が、日本に国益をもたらすとは思えない。それでも、日本に活路が「ある」と言うのは、実業家として外交の現場に携わるNGOレインボーブリッヂ・小坂浩彰氏と、愛国者外交を展開する一水会・木村三浩代表。何ものにもおもねらない極東地政学を2人が語る。(構成・本誌編集部)

◆日本の国力と外交的存在感の低下

小坂 最近、カナダのカーニー首相が演説などで、米国主導の国際秩序の崩壊を指摘すると同時に、大国に対抗できるような「ミドルパワー(中堅国家)」の結束を、たびたび提言している。これは、日本にとっても指針となる考え方であることは間違いない。ただし、それが可能なのか、という疑問がある。米国に骨抜きにされている日本が、主体的にミドルパワーの国々と組むことは、非現実的なのではないか。

木村 大国とは、言うまでもなく米中のこと。その大国に対抗するための結束であるならば、日本が米国から自立した外交を行なっていることが前提となる。しかし、我が国を見渡すと、たとえばウクライナは2022年にいきなりロシアに侵略されたとか、中国が台湾を武力併合しようとしている、といったナラティブに染まっている。そして、日本もロシアや中国、あるいは北朝鮮に、いつ攻撃されるかわからないから、米国に護ってもらうのが唯一の安全保障であり、米国製の武器を買って国防を固めるべきだ、という〝信仰?が蔓延している。

小坂 それに加えて、私が言いたいのは、国力があまりにも落ちたということ。今、日本が外交の主導権を握るのが、非常に難しくなっている。30年前の日本のGDPは、世界の約20%を占めていたが、現在は約4%にすぎない。他国から見て、日本の存在感が大きく低下してしまった。まず、それを心配しなければならない。

隣国の中国やロシアと良好な関係を築くべきであるのは、わかりきった話だ。過去、日本に国力があった時代には、表向きには米国に従いつつも、ロシアと交渉すれば、相手は日本側の姿勢を一定程度、理解してくれた。それが2001年、森喜朗首相とプーチン大統領による「イルクーツク声明」(北方4島の帰属問題の解決を通じて平和条約を締結する認識を両国が確認)であり、1992年にも、コズイレフ外相の「北方領土・2段階返還秘密提案」があった。こういう時がチャンスだった。

木村 確かに、ロシアや中国にとって、米国に追従する日本に、わざわざ譲歩するメリットが薄れてしまっている。

小坂 中・ロが無理なら、東南アジアとの協力を目指すべきかもしれない。また、グローバルサウスは世界の3分の2の人口を占めており、影響力を拡大させている。ただしグローバルサウスは、それぞれ国力も抱える事情も違うため、ひとまとめにはできない。

木村 フィリピンとは現在、対中国で軍事協力が進んでいる。同様にインドネシアやオーストラリアとも関係を強化しているが、それらは米国の影響下での結集にすぎない。大国による覇権主義に対抗するものではない。

小坂 そこで、日本が活路を見出すとすれば、北朝鮮がカギではないかと、最近になって考え始めている。周知のように、北朝鮮はロシア・中国の両国と、うまく関係を築いている。その国と日本が国交正常化することには大きなメリットがあるのではないか。

◆今が絶好のチャンス

木村 非常に興味深いが、その前に、もう少し現状を確認しておきたい。ご指摘のとおり、日本は世界GDPランキングで長く2位を保持したが、2010年に中国に抜かれ、今はドイツ・インドに抜かれて5位。2030年にはイギリスに抜かれると予測されている。

低下の要因を考えると、日本が米国に喰われている状況がある。昨年に80兆円の対米投資を約束させられたように、米国も国力が低下しているのを、日本が補わせられている。それはやはり政治の問題だ。

戦後81年、あと19年で1世紀を迎える中で、日本が主体的な政治をどれだけ行なってきたのかを振り返れば、まず米ソ冷戦下で対共産主義の最前線として、いわば保護されることで存在価値を与えられ、国力を高めてきた。その冷戦が30年前に終了し、国際情勢が変化しているのに、我が国の政治はまだ〝冷戦脳?から抜け出せていない。

その中でも、小坂さんの言う通り、ロシアとの関係を国益に結びつけるチャンスがあった。にもかかわらず、我が国はむしろ対米従属の袋小路に自らはまりこんでいる。世界はすでに多極化していて、時代遅れであるにもかかわらず、だ。

そういう現状にあって、ミドルパワー論を考えた時に、果たして諸外国が、米属国日本を信じてくれるのかということが問題となってくる。日本にも対米従属一辺倒ではなく、自立してものを考える人間もいるということを示すのが日本の国益と考え、我々一水会はロシア・中国・北朝鮮と民間外交を続けているが。

小坂 それを国家として具体的に示す方策こそ、日朝国交正常化ではないかと思う。私が言いたいのは、日本にとって起死回生のチャンスが今、訪れているのではないか、ということだ。

木村 チャンスとは?

小坂 まず、気まぐれなトランプ大統領が、北朝鮮と仲良くしようというメッセージを発している。米韓軍事演習の縮小に繰り返し言及し、「金正恩は57の強力な核兵器を持っている」と核兵器保有国として扱うような発言までしている。

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《11月のことば》今日だけがんばれ

松岡利康

《11月のことば》今日だけがんばれ(鹿砦社カレンダー2026より。龍一郎揮毫)
《11月のことば》今日だけがんばれ(鹿砦社カレンダー2026より。龍一郎揮毫)

11月に入り一気に肌寒くなりました。北の国ではもう雪化粧とのこと、今年もあと2カ月となりました。すなわち、このカレンダーもあと2枚を残すのみとなりました。というよりも、書家・龍一郎ががん闘病により体力的にカレンダーを揮毫する力が失くなり、15年続いた鹿砦社カレンダーももうすぐお終いとなります。私と、大学の後輩でもある書家・龍一郎が、3.11の福島原発事故に衝撃を受け、このことを忘れず見つめ続け、復旧・復興に向け頑張る人たちを応援して行こうという、私たちなりの決意表明でした。手にされた方は、この立派さに驚かれますが、これを無料で、書店様や『紙の爆弾』の定期購読者の皆様に配布し、当初1000部だったところ、好評で最終的には1800部となりました。私たちは決して無駄だったとは思っておらず、むしろ、これを15年も続けてきたことで清々しい気持ちです。

福島は今年、震災から15年を迎えました。すっかり忘れられた感があり、はっきり言って政府の棄民政策も進められています。このかん、私のふるさと熊本に10年前と今年、二度の大地震が襲い、福島ほどではありませんが、大きな被害をもたらしました。さらには集中豪雨、水害など大きな自然災害も続き、この国には大きな自然災害が起きやすいということも、あらためて悟りました。こんな中でも、懲りずに原発を再稼働させたり(しかも老朽原発を)、あらたに造ろうなど言語道断です。

このカレンダーは今年で終わりますが、私たちが続けて来た営為の欠片ぐらいはご理解くだされば嬉しいです。

ほら、今月も龍一郎は、みずからの病に冒された体に鞭打ち、私たちを元気づける珠玉のような言葉を書いているでしょ!?

このかんお伝えしているように、11月1日付けで私は株式会社鹿砦社の代表取締役を退任し、これまで『紙の爆弾』編集長を創刊以来務め、この創刊直後の出版弾圧で壊滅的だ気を受けた中でも一人会社を守り、さらには取締役として東京編集室を守って来た中川志大(もとひろ)が新代表取締役に就任いたします。苦難の中の船出となりますが、皆様方にありましては、これまで以上のご支援、ご厚誼、若い故に未熟な中川への叱咤激励のほど、よろしくお願い申し上げます。私は、取締役会長として、代表権は外れながらも、あと何年続けられるか解りませんが、「前門の虎」中川をバックから支える「後門の狼」として、一老編集者として、ぼろぼろになるまで、栄光の時代も暗黒の時代もあった、歴史ある、唯一無二の〈独立メディア〉たる鹿砦社の旗を守り続けます。今後共、よろしくお願いいたします。

残念ながら、カレンダーは今年で最後となりますが、これまでの龍一郎の珠玉の言葉と揮毫をまとめた手帳「Monthly Free Note 龍一郎作品集抄」を製作中です。12月初め発行の『紙の爆弾』『季節』の定期購読者、会員の皆様方らには、両誌と共に贈らせていただきます。

11・1 同志社大学ホームカミングデー高橋博子さん講演会、いよいよ明日開催! 多くの皆様方のご参集をお願いいたします!

松岡利康

たびたびお知らせしておりますが、私も関係している同志社大学学友会倶楽部が10数年にわたり行っている、大学が創立記念日にちなみ毎年この頃に行っているホームカミングデー(同大OBらにキャンパスを公開し、同窓会やイベントを行う場を提供するという趣旨で始められた)での講演会も本年が第12回となります。

今回は、研究者としても反核活動家としても国際的に活躍されている高橋博子さん講演会を、母校同志社大学京田辺キャンパスにて明日午後1時から開催いたします。

ウクライナ、ガザ、イランと戦火が続く中、まさに時機に合った講演会です。一人でも多くの皆様のご参加を切望しています!

高橋さんは母校での講演に際し、張り切って10ページにわたる詳細なレジメを準備、万全の構えで明日の講演に臨まれます。

また、先着30名の方には、高橋さんの論考が掲載された反原発情報誌『季節』夏号を贈呈いたします!

講演会の概要は次の通り。詳細は添付ファイルのチラシをご覧ください。

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  • 日時: 2026年11月1日 日曜日 13:00〜16:00 (開場12:30)
  • 場所: 同志社大学 京田辺キャンパス 知真館3号館(TC3)202教室
  • 講師: 高橋博子(同志社大学卒業生、奈良大学教授)
  • テーマ: 日米両政府の核兵器観:広島・長崎・核実験・原発事故
  • オープニングライブ(カオリンズ)
  • 参加費: 無料(一般の方も参加自由)
  • 主催:同志社大学学友会倶楽部 ホームカミングデー講演会実行委員会
  • 同志社大学京田辺キャンパスアクセス↓
    https://www.doshisha.ac.jp/information/access/index.html
    新田辺駅からバスが便利かも↓
    https://www.youtube.com/watch?v=9NjSvzuwky4
    明日は臨時バスも増便されます。 よろしくお願いいたします!

■臨時バス運行のお知らせ■

皆様にできるだけスムーズにご来場いただけるよう、近鉄電車「新田辺駅」「三山木駅」、JR「京田辺駅」から京田辺キャンパスまでの臨時バスを運行いたします。
当日は周辺道路の混雑が予想されますので、ご来場の際は、公共交通機関および臨時バスをご利用ください。各駅からの臨時バスの運行時刻は、以下よりご確認いただけます。

【往路】
新田辺駅(近鉄) 発→同志社大学正門 着 所要時間:約15分 運賃:300円
京田辺駅(JR) 発→同志社大学正門 着 所要時間:約14分 運賃:270円
三山木駅(近鉄) 発→同志社大学正門 着 所要時間:約6分 運賃:220円
【復路】
同志社大学正門 発 降車駅により運賃が異なります。

期待の新星、西田蓮人がメインイベンターとして聖地に君臨!

堀田春樹

全12試合中、女子試合が8試合。
西田蓮人の妹、永愛はパワフルな攻防を制する判定勝利。
メインイベンター西田蓮人は倒せない課題残るもNJKFの明夢に大差判定勝利。
吏佐は15歳差の年上、大久保貴宏に僅差ながらテクニックで打ち勝つ。
ジョニー・オリベイラはコウキのロー(カーフ)キックに圧される敗北。

◎TITANS NEOS.39 / 10月18日(日)後楽園ホール17:15~20:28
主催:伊原プロモーション / 認定:新日本キックボクシング協会
協力:ミネルヴァ実行委員会

◆第12試合 51.0kg契約3回戦

日本フライ級チャンピオン.西田蓮斗(伊原越谷/2009.12.6埼玉県出身/ 51.0kg)
9戦9勝(3KO)
VS
明夢(新興ムエタイ/神奈川県出身24歳/ 50.8kg)17戦5勝(1KO)9敗3分
勝者:西田蓮人 / 判定3-0
主審:ノッパデーソン・チューワタナ
副審:北尻30-26. 宮沢30-27. 中山30-27

初回は互角の展開。明夢のパンチと蹴りに対抗する西田蓮人。

第2ラウンドには蹴りからパンチの攻防が増えると、西田の右フックで明夢は西田に組み付くように縺れて倒れたが、ノックダウン扱いとなるがダメージは小さい。
ラストラウンドも明夢はプレッシャー掛けて出ると下がる流れもある西田だが、すぐ反撃し、的確差が優ってラストラウンドも押さえて判定勝利。

西田蓮人のヒザ蹴りがヒット、明夢の勢いを弱めた
西田蓮人のヒザ蹴りがヒット、明夢の勢いを弱めた
明夢のローキックに右ストレートを合わせる西田蓮人。しんどい試合だが踏ん張った両者
明夢のローキックに右ストレートを合わせる西田蓮人。しんどい試合だが踏ん張った両者

西田義和会長は「倒して欲しかったですね。倒せるように仕上げて来たんですけどね。力んで距離がちょっと合わなくて、当てたいから狙い過ぎて、もうちょっと落ち着いて畳み掛けられれば良かったですが、出来なかったのが若さですので、これからもっと大人の身体になってくれば倒せるでしょうね。」

西田蓮人は「最後、自分から合わせに行ってしまい、下がって雑になってしまって、自分で距離を作れるようになりたいです。」と反省の言葉を残しました。

◆第11試合 ライト級3回戦

ジョニー・オリベイラ(トーエル/ブラジル出身48歳/ 61.2kg)68戦16勝(1KO)33敗19分
VS
NJKFスーパーフェザー級8位.コウキ・バーテックス(=市村滉季/VERTEX/1997.9.20栃木県出身/ 60.8kg)12戦6勝5敗1分
勝者:コウキ・バーテックス / 判定3-0
主審:スイット・サエリム・ランボー
副審:北尻27-30. 宮沢27-30. 中山28-30

ローキック(カーフ)の勢い強いコウキ。上下の蹴りにも繋げてジョニー・オリベイラにプレッシャーを掛け、打って出る勢いを弱めていった。ジョニーはラストラウンド終盤になってパンチで圧したが脚が効いてコウキを弱らせるには至らず、コウキが初回から主導権支配した展開で大差判定勝利。

コウキがローキックでジョニー・オリベイラを苦しめた。脛狙いは蹴る方も痛い
コウキがローキックでジョニー・オリベイラを苦しめた。脛狙いは蹴る方も痛い
蹴り度に声を張り上げながら気合を入れて蹴ったコウキ
蹴り度に声を張り上げながら気合を入れて蹴ったコウキ

ジョニー・オリベイラはかなりカーフキックが効いていた様子。しかし、コウキも蹴ったが為に自身も足を痛めていた様子でした。

コウキ陣営の若林会長は「カーフは狙っていました。山浦俊一がジョニーにやったように倒せるという作戦でコウキに指示しました。」と語りました。

◆第10試合 65.0kg契約3回戦

アレハンドロ・ガルシア(スペイン出身17歳/ 64.9kg)10戦10勝(2KO)
VS
剣夜(SHINE沖縄/沖縄県出身37歳/ 64.6kg)27戦9勝(5KO)16敗2分
勝者:アレハンドロ・ガルシア / 判定3-0
主審:ノッパデーソン・チューワタナ
副審:北尻30-28. ランボー30-28. 中山29-28

初回からガルシアのパンチ、ヒザ蹴りの先手打ちに圧される剣夜。第2ラウンドにはややエンジン掛かったような剣夜のパンチ、ローキックも出るが、若いガルシアのアグレッシブな攻勢が優って終了。両者好戦的ながら流れを大きく変えるクリーンヒットが少なかった。

アグレッシブなアレハンドロ・ガルシアと後手に回った剣夜の攻防
アグレッシブなアレハンドロ・ガルシアと後手に回った剣夜の攻防

◆第9試合 女子ミネルヴァ・フライ級3回戦(2分制)

ラケル・ロドリゲス・ゴメス(スペイン/ 49.85kg)7戦5勝2敗
VS
Minervaスーパーフライ級1位.Yuka☆(SHINE沖縄/1984.7.3沖縄県出身/ 50.6kg)
22戦9勝8敗4分1NC
勝者:Yuka / 判定1-2
主審:宮沢誠
副審:北尻29-28. ノッパデーソン28-29. 中山29-30

初回、蹴り合いよりYukaの組み合ってのヒザ蹴りや崩して転ばすムエタイ技がラケル・ロドリゲス・ゴメスの前進を阻む。第2ラウンド以降もゴメスもパンチ蹴りで攻め、Yukaの組み技からヒザ蹴りとの互角の攻防は採点が分かれる見極め難しい流れでYukaがスプリットデジションで勝利した。

Yukaのムエタイ技が優り、ヒザ蹴りでラケル・ロドリゲス・ゴメスを攻め勝利を導く
Yukaのムエタイ技が優り、ヒザ蹴りでラケル・ロドリゲス・ゴメスを攻め勝利を導く

◆第8試合 フライ級3回戦

吏佐(タイ南部ソンクラー県フライ級覇者/2010.10.8群馬県出身/伊原/ 50.75kg)
6戦5勝(1KO)1敗
VS
NJKFフライ級8位.大久保貴宏(京都野口/京都府出身31歳/ 50.7kg)
11戦4勝7敗
勝者:吏佐 / 判定2-0
主審:スイット・サエリム・ランボー
副審:北尻29-29. ノッパデーソン29-28. 宮沢30-29

16歳と31歳の戦い蹴りの攻防は、吏佐は柔軟なスピードある蹴りで31歳に対抗。大久保貴宏は隙を突く上手さで優るが、この辺は人生の経験値。初回は吏佐が優ったが、第2ラウンド以降は差が出ない流れで吏佐が僅差判定勝利した。

吏佐の前蹴りが大久保貴宏にヒット、年齢差は大きいが、それぞれの上手さが発揮された
吏佐の前蹴りが大久保貴宏にヒット、年齢差は大きいが、それぞれの上手さが発揮された

◆第7試合 女子ミネルヴァ・スーパーフライ級3回戦(2分制)

ゼイナ・クランティッチ(ボスニア/51.4kg)10戦7勝3敗
VS
Minerva・Super Fly級3位.紗耶香(BLOOM上板橋/51.85kg)23戦10勝(1KO)12敗1分
勝者:紗耶香 / 判定0-3
主審:中山宏美     
副審:ランボー28-30. ノッパデーソン28-30. 宮沢28-30

初回はゼイナ・クランティッチのパンチに対し、紗耶香はヒザ蹴りやミドルキック中心の攻勢。第2ラウンド以降も紗耶香がヒザ蹴り中心に攻勢を維持。ゼイナはパワーあるパンチを見せるが紗耶香は下がらず主導権支配して判定勝利。

紗耶香が組み付きヒザ蹴り中心に攻勢を維持した
紗耶香が組み付きヒザ蹴り中心に攻勢を維持した

◆第6試合 女子ミネルヴァ・スーパーフライ級3回戦(2分制)

Minervaスーパーフライ級5位.RUI・JANJIRA(JANJIRA/ 52.0kg)15戦4勝9敗2分
VS
同級6位.松藤麻衣(クロスポイント吉祥寺/ 51.75kg)11戦5勝6敗
勝者:松藤麻衣 / 判定1-2
主審:北尻俊介
副審:ランボー29-30. ノッパデーソン29-30. 宮沢30-29

よく手足が出る両者の蹴りパンチ。前蹴りローキックの攻防。流れは松藤麻衣がヒザ蹴りヒットやパンチの打ち合いで圧す流れも、RUIも打たれても打ち返し、蹴りからパンチのヒットが目立った。最後は激しく打ち合って終了。スプリットデジションながら松藤麻衣がラストファイトを判定勝利で飾った。

松藤麻衣もヒザ蹴りで攻め勝つもRUIもアグレッシブに攻めた
松藤麻衣もヒザ蹴りで攻め勝つもRUIもアグレッシブに攻めた

◆第5試合 女子ミネルヴァ・ペーパー級3回戦(2分制)

永愛(=西田永愛/タイ南部2タイトル保持者/伊原/埼玉県出身15歳/ 43.0kg)2戦2勝
VS
Minervaペーパー級4位.港町なぎさ(ワイルドシーサー前橋関根/群馬県出身36歳/ 42.6kg)9戦4勝4敗1分
勝者:永愛 / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:ランボー30-28. ノッパデーソン30-29. 宮沢30-29

パンチとローキック、ミドルキックの攻防は永愛がややリズムを掴んだ流れ。更に小さな身体でもパワーと回転力ある左右フックで港町なぎさを下がらせ判定勝利した。

永愛は小さな体でパワフルに攻め勝った
永愛は小さな体でパワフルに攻め勝った

◆第4試合 女子ミネルヴァ・ライトフライ級3回戦(2分制)

Minervaライトフライ級8位.山崎希恵(クロスポイント吉祥寺/東京都出身29歳/ 48.7kg)8戦4勝(1KO)3敗1分
VS
菅原咲希(東北AVANTI/山形県出身29歳/ 48.45kg)2戦2敗
勝者:山崎希恵 / 判定3-0
主審:北尻俊介
副審;ランボー30-27. ノッパデーソン30-27. 中山30-28

パンチと蹴りの攻防から、山崎希恵の前蹴りがインパクトあるヒットを見せる。更にペースを上げて行く山崎が完全に主導権支配し、フルマークの大差判定勝利。菅原咲希もパンチで出るが、山崎の蹴り中心の攻めに圧されてしまった。

◆第3試合 女子ミネルヴァ・ペーパー級3回戦(2分制)

石岡真理絵(FIGHT TRIBE/青森県出身47歳/ 41.2kg)9戦9敗
VS
沙緒里(ワイルドシーサー前橋関根/群馬県出身24歳/ 42.4kg)4戦1勝(1KO)2敗1分
勝者:沙緒里 / TKO 2ラウンド 1分32秒
主審:北尻俊介

第2ラウンドに沙緒里が右のパンチで石岡真理恵からノックダウンを奪い、更に飛びヒザ蹴りでノックダウンを奪うとノーカウントのレフェリーストップで沙緒織がTKO勝利した。

◆第2試合 アマチュア女子 53.0kg契約2回戦(2分制)

三橋暖愛(士道館ひばりヶ丘/埼玉県出身14歳/ 51.75kg)
        VS
遠藤舞(Y’ZD/埼玉県出身25歳/ 52.95kg)
勝者:遠藤舞 / 判定0-3 (18-20. 19-20. 18-20)

◆第1試合 アマチュア女子 52.0kg契約2回戦(2分制)

ルシア・エステベ・ミンガリョン(スペイン出身17歳/ 51.4kg)
VS
みゃんちゅう(ツルザップ/福岡県出身/ 51.45kg)
引分け 1-0 (19-19. 19-19. 20-19)

(当初第4試合予定) 女子ミネルヴァ 52.0kg契約3回戦(2分制) 
MIO La Reyna(TEAM REY DE REYES)vsさかこ(ハイボルテージ/宝塾蒲田支部/ 50.65kg)MIOの欠場により中止。
試合順はこのカードを省いて、順次繰り上げています。

《取材戦記》

会場にはキックボクシング創設60周年を記念し、創生期から携わって来た伊原信一氏にスポンサーや興行関係者からのお祝いスタンド花がリング北側に20件飾られていました。その60周年セレモニーが行われる予定と聞いていましたが、なぜか行われませんでした。伊原信一代表によると、野口修さんがキックボクシングを創設された1966年に、沢村忠さんから始まったこの競技が紆余曲折を経て世界に広がったこの60年を振り返り、先陣を敬う想いがあった様子でした。

新日本キックボクシング協会が期待する若きエース格はやがて17歳となる西田蓮人と16歳になったばかりの吏佐。二人は伊原越谷ジム所属です。

西田蓮人は今回9戦目でメインイベンターを務めました。過去の多くのメインイベンターが存在した新日本キックボクシング協会において、西田蓮人は新妻聡、小野寺力、武田幸三、江幡ツインズの存在感を超えなければならない。後楽園ホールで大抜擢される背景には、新日本キックボクシング協会のここ数年の選手層の薄い状況から、ようやくの右肩上がりへの期待が高まっている象徴でしょう。身体がまだ成長期にある西田蓮人と吏佐。大人との対戦は苦戦しながら成長するでしょう。西田蓮人は12月にタイ・ラジャダムナンスタジアムで試合出場の予定です。

昭和のテレビ隆盛期の沢村忠氏がまだ現役の時期に、当時最短の9戦目でメインイベンターを務めたのがウェルター級でパンチ得意の乗富悦司(目黒)でした。当時は有望株でしたが、稲毛忠治に敗れ、その後もチャンピオンには届かず、惜しくも僅か22歳、全23戦で生涯を閉じました。この60年には、こんな選手も居たものです。

他にも最短戦歴でメインイベンターを務めた選手は居るかと思いますが、再び選手層の厚い時代、多くのスター誕生へ、新日本キックボクシング協会の変化も見届けたいものです。

新日本キックボクシング協会の2027年興行は、3月7日(日)、5月4日(火・祝)、7月19日(月・祝)、10月17日(日)の4回が後楽園ホールで開催予定されています。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

ルラ氏、事前の予想を覆して勝利し、ラテンアメリカの左派に希望を取り戻す

セサル・ゴメス・チャコン

ついに、予想されていたことが現実となった……。

ブラジルで日曜日に行われた選挙で、ルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ氏が勝利した。この勝利は、困難に負けずに努力を続けてきたことの成果であり、保守派の政治的な動きに対して国民の意思が勝ったことを意味する。また、ブラジルの選挙結果は、ラテンアメリカの左派勢力が、再び希望を持つ根拠となった。

間もなく81歳になる労働運動出身のルラ氏は、歴史的な逆転勝利を果たした。第1回投票では相手候補に後れを取ったものの、ブラジルの極右勢力の政治的な後継者であるフラビオ・ボルソナロ氏を破り、4期目の大統領の座を勝ち取った。ルラ氏の歩みは、国民が自らの将来を選ぶ力を持ち続ける限り、選挙の結果は事前に決まっているわけではないことを改めて示している。

今回の選挙結果は、米国政府からの圧力や保守勢力の台頭に直面しているラテンアメリカにおいて、特に大きな政治的意味を持っている。ルラ氏は、米国が覇権を広げようとする動きに対し、ブラジルの独立と自主性を強く守ってきた。最近、国連で述べた「ブラジルは、どの国の裏庭にも収まるような国ではない」という発言には、ラテンアメリカにとって重要な信念が表れている。それは、他国からどのような圧力を受けても、自国のことは自国で決めるという姿勢を貫くべきだという考え方だ。

◆キューバも今回の勝利を特に歓迎している

ルラ氏とキューバ革命とのつながり、そしてフィデル・カストロ最高司令官との個人的な関係には、社会正義やラテンアメリカの統合をめぐって交流を重ね、互いに尊重し、考えを共有してきた歴史がある。フィデル氏は、労働者の闘いの中から生まれた指導者としてルラ氏を評価していた。また、貧しい家庭に生まれた経験を、社会を変えるための政治的な力へと転換できる人物だと認めていた。

2003年にルラ氏がブラジル大統領に就任すると、キューバとブラジルの間で緊密な協力関係が始まった。両国は協力を強化するとともに、より公正な国際秩序の必要性を訴えるため、さまざまな分野で連携した。その目標は、グローバルサウスの国々が外部からの押し付けを受けず、自らの将来を決められるようにすることだった。

このため、ルラ氏の勝利は、単に右派勢力が選挙で敗北したことだけを意味するものではない。国民の利益を重視する政治勢力が、不利な選挙運動に直面しても持ちこたえ、市民の信頼を取り戻すことができるということも示している。

ルラ氏の人生は、貧困、労働組合での活動、投獄、そして政権への復帰によって形づくられてきた。その歩みは、困難に直面しても簡単には屈しない政治的な意志の強さを示している。

今回、選挙で4度目の勝利を収めたことで、ルラ氏が歴史に名を残すことは確実となった。そして、今回も改めて明らかになったことがある。それは、事前の予想や外部からの圧力がどうであろうと、最後に決定を下すのは国民だということだ。

セサル・ゴメス・チャコン(César Gómez Chacón)

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2026年10月28日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼セサル・ゴメス・チャコン (César Gómez Chacón)
キューバのジャーナリスト、代表作にアンゴラ内戦を取材した『Cuito Cuanavale. Viaje al centro de los héroes(クイト・クアナバレ――英雄たちのただ中へ)』

Fuente:
https://www.cvi.icrt.cu/lula-derrota-los-pronosticos-y-devuelve-la-esperanza-a-la-izquierda-latinoamericana/

11・1同志社大学ホームカミングデー高橋博子さん講演会 矢谷暢一郎(ニューヨーク州立大学心理学名誉教授)さんから熱い連帯のメッセージが届きました!

松岡利康

11・1同志社大学ホームカミングデー高橋博子さん講演会に、激動の1960年代後半、ヴェトナム反戦運動が世界的に盛り上がる中、「伝説の学友会委員長」といわれ先頭で闘った、アメリカ在住の先輩・矢谷暢一郎(ニューヨーク州立大学心理学名誉教授)さんから熱い連帯のメッセージが届きました!

全関西の労働者、学生、市民のみなさん! 11・1には同大京田辺キャンパスに圧倒的に結集し、今こそ反戦、反核、反原発の声を拡げていこうではありませんか! 同志社大学キャンパス内での講演会ですが、同志社OB・関係者でなくても、他大学OBでもどなたでも自由に参加できます。

以下、矢谷さんからのメッセージを掲載いたします。(松岡)

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60年前同志社大学学友会の反戦・反核運動と今日の挑戦

矢谷暢一郎
Professor Emeritus of Psychology at Alfred State College

奈良大学・高橋博子先生を招いて行われる2026.11.1 同志社大学ホームカミングデー講演会に、ニューヨークの片田舎アルフレッドより連帯のメッセージを送ります。

高橋教授(文化史学博士)は1969年生まれ、同志社大学文学部卒業とあります。それよりも23年前1946年生まれの私は、1965年に同志社の英文科に入学しました。第二次世界大戦・太平洋戦争直後に生れた日本人はアメリカ民主主義の第一世代と言われます。1945年の夏、広島・長崎に落とされた世界で初めての原子爆弾で、21万人以上の(1945年12月末までに)犠牲者たちの死の上にもたらせた民主主義と平和憲法でした。自治と民主主義、平和は日本だけではなく世界共通の国際主義が要求されるとは、アメリカ民主主義第一世代が突き付けられた1960年代の教訓でもありました。

大戦中、浜松航空隊の「特攻隊候補生」だった父親は7月幸いにも(!?)大病に見舞われて、死の突撃の前に矢谷家の跡取りを産むために日本海の漁村の田舎に一時帰省が許され、娶った母親に私を産ませて浜松航空隊に戻る直前に民主主義国家アメリカの原子爆弾で「生き長られる羽目になりました」。(10年ほど前、生前の母親に、「原爆が落とされず、浜松に戻った親父が太平洋でゼロ戦で爆死して後、ボクを妊娠していなかったとわかったら、お母さんどうなっていた?」と訊いたら、そげなこと誰にもわからへんかった。同じような境遇の女の人は私ひとりじゃなかったんだよ…」と応えた。)

1965年に隠岐の島出身の私が入学した京都の同志社は、ヴェトナム反戦運動が盛り上がり、あっちこっちに、学術団、文連、新聞局、学生放送局、各自治会などを総括する全学自治組織「学友会」の反戦の看板が立ち並び、先生方、生協の組合員たちも一緒になって、同志社は全体としてアメリカのヴェトナム戦争反対、「非核三原則」を支持し、戦争放棄した日本国憲法を守る運動、「護憲運動」を繰り広げていました。1968年1月17日~21日、原子空母エンタープライズがヴェトナム北爆に参加した戦闘機を搭載していたことから、この空母が日本初の佐世保寄港をすることがわかり、日本がヴェトナム戦争の出撃基地になることへの不安、反発、そしてエンタープライズの寄港が日本への核兵器の持ち込みと放射能汚染の懸念が広まり、日本全国から原子力空母寄港反対派の労働組合員や新左翼系の学生たち(三派全学連など)が佐世保に結集し、「エンプラ反対」の激しい運動を繰り広げました(当時の詳細や映像はNHKアーカイブスや佐世保エンタープライズ寄港阻止闘争 – Wikipedia参照)

同志社英文科の新入生となった私は、1967年の2回生で文学部英文科自治委員3人の1人に選出され、1月の「エンプラ反対」に他の自治会委員・学友会執行部委員たちと京都から鉄道深夜便で佐世保に入り、エンプラ寄港反対運動に参加しました。全国から集まった若い労働組合員たち、そしてたくさんの佐世保市民たちと4日間にわたる、あのような大きい反戦・反核・護憲運動を体験したことはありません。

1968年、2万人を擁する同志社の学友会中央委員長に選ばれた私は、10月21日の国際反戦闘争に全学ストライキで参加しました。フランスでは5月革命・5月危機と言われたパリのカルチェ・ラタン闘争に続き、アメリカ、ドイツとヨーロッパ各地で起こったヴェトナム反戦の学生運動は文字通りのinternational anti-war dayと世界的な規模となりました。

この年の2年前、英文科助教授として就任したばかりの矢内原伊作の招待で同志社にやって来たジャン=ポール・サルトルとシモーヌ・ド・ボ―ヴォワールが、実存主義をベースに「人間は社会に対してどのように主体的に関わるべきか(政治参加すべきか)」を強く説いた講演をしましたが、後の日本の学生運動や大学闘争の思想的背景に大きな刺激を与えた実例としても語られるべき60年代の同志社の社会政治的態度、行動の表明でした。

一国の良心として育成される同志社の教育精神は受け継いだものの、私は同志社を卒業していません。60年代の反戦学生運動が三派全学連内の「日本革命運動を巡る党派・党内闘争」の結果に責任が負えず、同志社を中退、2、3年のサラリーマン生活にも満足できず、1977年アメリカに渡りました。

ユタ州の大学で学士、オレゴン州の大学院で修士、そしてニューヨーク州のストニー・ブルック大学院で心理学の博士号を取りつつあった1986年、オランダであった国際政治心理学会での論文発表後、帰国したニューヨークのジョン・F・ケネデイー空港で逮捕され、アメリカ連邦拘置所に44日間拘留。学生ヴィサも取り消され、国外追放の危機に見舞われました。

拘留・追放の容疑・罪状は「日本でのアメリカのヴェトナム反戦活動、共産主義団体のメンバーもしくはそれに関係ある組織の反米活動に従事、アメリカ人とアメリカ国家に不利益な、undesirable alienとしてMcCarran-Walter Act(1952)のブラック・リストに載せられ、国外追放の処罰」。国際学会の研究発表は、アメリカの「反核態度と反核運動の不一致:不一致を正当化する心理的詭弁としてのアメリカ国家主義と個人主義」。国外追放の直前、私を「救出」したのは、日本のパスポートを発給した日本政府ではなく、アメリカの大学・法曹界・人権団体・新聞テレビラジオのマス・メディア、ワシントンDCの議員たちのアメリカ政府批判などで、名もしれぬ多くのアメリカ人の抗議によって、レーガン・アメリカ政府は国外追放を諦め、私は妻とアメリカ生まれの二人の息子たちのアメリカの土地に戻されました。

家に帰った後博士号学位を取りましたが、アメリカ政府のブラックリストに載せられた私のアメリカでの就職探しはなかなか大変でした。それでもニューヨークの片田舎で、30年間ニューヨーク州立大学のアルフレッド工科大学で教授職に携わり、現在心理学名誉教授としてアルフレッドで田舎暮らしをしています。

来年6月,University of Split in Croatiaの“Archipelagos of Meaning”をテーマとした人文科学国際学会で、“Living in the Kafkaesque:An Undesirable Alien in America”と題して、「ヤタニ・ケース」の発表を行う予定です。

アメリカ帰りの新島譲は同志社の創設精神として、一国の良心たらんと若い学生たちを鼓舞しました。今年80歳になった私はアメリカに在って、夢を託した未来を「明日があるさ」と期待しましたが、「明日」は早く来すぎてしまい「明日の明日」を期待しなければならないスーパーパワーの混乱を見る今日です。

米国政府もロシア政府も、外国人排斥政策と不必要な戦争で自らの失策を覆い隠そうと躍起です。グローバル化した世界にあって、日本政府も外国人排斥に戦争と繁栄の道を求めていませんか?

仕組まれていた大阪関西万博未払い問題

西谷文和(紙の爆弾2026年11・12月号掲載)

昨年10月13日に大阪関西万博が閉幕して、まもなく1年が経過する。開催中「万博の華」といわれていたのが外国のパビリオンだ。しかしいまだにアンゴラ・アメリカ・中国・マルタ・ルーマニア・セルビア・ドイツ・ネパール・インド・ポーランド・ウズベキスタンの11カ国の工事を請け負った下請け業者が、総額10億円を超える工事費の未払いに苦しんでいる。

ちなみに「愛・地球博2005」は、未払いゼロ(当たり前だが)。電通と業者の間でワイロの授受があり、関係者が塀の内側に落ちてしまった「東京オリンピック2020」でも未払いはゼロ。なぜ「大阪・関西万博2025」だけに多くの未払い問題が生じたのか?

その答えは、無謀なタイムスケジュールと、夢洲という最悪の会場設定だった。

まずは日程問題から振り返ろう。前回の「ドバイ万博2020」がコロナ禍で1年延期され、そもそも準備期間が4年に短縮されていたことが、第1の原因だ。この4年のうちにウクライナ戦争が勃発し、資材が高騰。さらに人材不足と建設業界の働き方改革による残業規制など、そもそも遅れる原因が複雑に絡み合っていた。2022年秋には宮本洋一・日本建設業界会長(清水建設会長)が「このままでは間に合わない」と警鐘を鳴らしていた。

さらに1年が経過した2023年夏、大手ゼネコンがいっせいに工事から撤退を始めた。外国政府が独自に建てる〈パビリオンAタイプ〉はデザインが複雑で、その国の意向を取り入れながら建設していくため、追加工事や設計変更などで遅れが生じやすい。そうなれば追加資金が必要になるが、外国政府は支払わないだろうと予測したのだ。

大手ゼネコンは「資金が回収できない」とAタイプから逃げた。ゼネコン関係者は匿名で「このまま請け負えばやけどする」と語っている。当然、万博協会も国も大阪府もこの事実を知っている。

その結果、2023年8月の時点で、Aタイプで工事を開始した国はゼロ。このままでは間に合わないと焦った万博協会と吉村洋文大阪府知事は説明会を開催。関西の中小建設業者・設備業者を集めて、異例の協力要請を行なった。この時、吉村知事は「大手だけでできるものではない、中小業者のみなさんのご協力をお願いしたい」と頭を下げた。

今年6月、国会で日本共産党の大門みきし参院議員がこの説明会について質問した。なんと万博協会と大阪府知事は「大手ゼネコンは資本回収リスクがあるから撤退した」事実を隠した上で、協力だけを要請していたのだ。

そうこうするうちに2024年1月、能登半島地震が起きて多大な犠牲が出た。この時せめて「震災のため1年延期」と工事期間を延ばしておけば、未払い問題は回避できただろう。建設業者を急がせて2025年4月開催に突き進んだ吉村知事と万博協会の罪は大きい。

その結果、宮本会長が危惧した通り多額の未払いが発生、少なくとも38社の下請け企業が10億円を超える被害を受けた。38社の下には孫請け、ひ孫請け、1人親方たちがいて、おそらく1000人を超える人々が今も泣き寝入り状態で放置されている。

◆手のひらを返した吉村知事と万博協会

次に夢洲という会場の問題について振り返ろう。夢洲はゴミの処分場として大阪湾に埋め立てられた無人島で、工事期間中はまだアクセス用の地下鉄が開通しておらず、路線バスもなし。職人さんたちは重い工具を持って自家用車に相乗りし、駐車場からかなりの距離を歩いて現場に入っていた。

Aタイプは全て円形大屋根リングの内側に建つ。大屋根リングは日本の税金で作っていたので「資本回収リスク」はない。だから大手ゼネコンが予定通り作ってしまった。リングが先にできたので、工事用のトラックが入りにくくなった。笑い話のようなアホ状況の中、急ピッチで外国パビリオン工事を進めざるを得なかった。

さらに夢洲の地盤はN値5。これは「保育園の砂場レベル」のゆるさで、通常の2階建て家屋はN値20以上ないと建たない。マンションはN値50が必要だ。つまり、デザインに趣向を凝らした上で、高い建物を建てようとすれば、杭を打たねばならない。おそらく外国の担当者は夢洲がそんな地盤であることを知らずに、工事計画を練っていたのだろう。だから余計に設計変更・追加工事が多発し工事予算は膨らんでいく。

未払い被害者たちは「何度も設計変更があって、ほぼ眠らずに凍えながら現場に泊まり込んで作業した」と証言している。工事最終盤は2025年1月から3月、「労働者が逃げ出すのではないか」と考えたのか、現場に監視カメラが設置された中での突貫工事だった。

彼らは「万博を支えた影の英雄」である。吉村知事と万博協会は、工事前は頭を下げたものの、工事後は手のひら返し。「民・民の問題だ」と彼らを切り捨て、救済に動かない。

先の大門議員は「資金回収リスクがあることを事前に知らせなかったのは、国や協会の重要事項説明義務違反である」と追及している。万博協会・国・大阪府は道義的責任どころか、法的責任を問われる立場でもあるのだ。

ここから先は https://note.com/famous_ruff900/n/ndf1f4449f460

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「日本ユネスコ運動全国大会 in 久留米」に参加して

江上武幸(弁護士 福岡・佐賀押し紙弁護団)

戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に「平和のとりで」を築かなければならない。(UNESCO憲章前文より)

去る10月3日、福岡県久留米市の石橋文化センターで「第82回日本ユネスコ運動全国大会 in 久留米」が開催されました。民間ユネスコ運動は市民の力で国際理解と平和の心を育むことを目的に日本から始まった草の根ボランティア活動です。

1947年7月に最初の国内民間ユネスコ団体「仙台ユネスコ協会」が設立されています。日本がユネスコに加盟したのはそれから4年後の1951年7月です。民間ユネスコは政府機関とは独立した非政府組織(NGO)として活動しており、世界93の国と地域で約5300の団体・組織が設立されています。日本には268の民間ユネスコが存在します。

今回、全国から200名を超える会員が久留米市に集い、第82回全国大会と懇親会が開かれました。久留米ユネスコは福岡県で最初に設立されたユネスコです。東京でユネスコ活動をしておられた中村静雄氏が故郷久留米に戻られてから親族に声をかけて1982年に結成され、今年で44年になります。(執筆者:弁護士)

私はユネスコの何たるかも知らずに誘われるまま入会し、毎年1月に久留米市役所の2階で開かれる小・中学生の「わたしの町のたからもの絵画展」の優秀作品に額縁をプレゼントする活動に協力するだけでした。今回、全国大会の成功のために2年間準備に専念してこられた白石会長(元久留米市長)が怪我のため急に参加されなくなり、懇親会の乾杯の挨拶を頼まれることになりました。

全体会は久留米市発祥のブリヂストンタイヤ(BS)の創業者石橋正二郎氏がスポーツ・文化・芸術の振興と市民の憩いの場として寄贈された石橋文化センターの一角にある音楽ホールで開かれました。

外務省・文部科学省、福岡県、久留米市、福岡県教育委員会、久留米市教育委員会、久留米大学等の後援を受けて開催された今大会は、善導寺の僧・賢順(けんじゅん)を祖とする箏曲の演奏と、地元出身のシンガーソングライター野田かつひこさんのオリジナル曲のギター演奏で幕を開けました。

大会のメイン行事は「わたしにとっての平和とは」と題する女性5名によるリレートークでした。92歳になる元秋月中学校長(日本遺族会女性部長)の戦争遺児としての体験、福岡市在住のウクライナ人女性の母国からの避難民受け入れの話、沖縄県在住の女性平和教育ファシリテーターの活動報告、ジュネーブの国連欧州本部に反核署名を届けた女子高校生の署名運動、それと「お義父さん、戦争ってどげんやった?」(竹書房・コミックエッセイ大賞受賞)で漫画デビューした地元作家の制作秘話など、それぞれの体験に基づき心の中に築いた平和への思いを話されました。

私は「心の中に『平和の砦』を築かねばならない」というユネスコ憲章の意味するところを今ひとつ実感できないまま漫然と過ごしてきましたが、リレートークを聞きながら自分の心の中に少しずつ「平和の砦」が築かれていく気がしました。

外務省キャリア官僚として長年中東の和平構築に携わってこられた久留米市出身の元久留米大学教授の宮原信孝氏から「一人ひとりにそれぞれの人生があり、一人ひとりの命と生活こそが、かけがえのない最も大切にするべきものであることを皆さんに伝えてもらいました。本日のこのような話を大会参加者個々人のネットワークを通じて世界の市民に伝えていくことを提案します。」との総括の言葉があり大会を終了しました。

私がこの投稿をしようと思ったのは、民間ユネスコの活動の一端を知ってもらいたいと考えたのと、シンガーソングライター野田かつひこさんの「大和桜」という歌と、ゆる山まげよさんの漫画本「お義父さん、戦争ってどげんやった?」を是非とも紹介したいと思ったからです。

「大和桜」の歌は、太平洋戦争の末期に戦艦大和を指揮して沖縄に出撃を命じられた艦隊司令官伊藤整一海軍中将(死後、海軍大将に昇進)の子孫の方たちが野田かつひこさんに頼んで作詞・作曲してもらった曲です。伊藤整一は部下に下船を命じて部下の命を助け自らは戦艦大和と運命をともにした福岡県三池郡高田町(現・みやま市)出身の軍人です。伊藤整一の生家の桜の木が枯れたあとに芽生えた若木が大きくなり、満開の花を咲かせるようになったことから子孫の方たちが伊藤整一の思いを曲にしてほしいと頼んだそうです。

伊藤整一には、毎日、片道3時間以上かけて柳川市にある旧制柳川中学校に通学し、行き帰りに歩きながら勉強したという逸話が残っています。その後、海軍兵学校・海軍大学、そしてアメリカのイェール大学に学び、アメリカと日本の圧倒的な国力の差を目にして帰国し、連合艦隊司令長官山本五十六らとともに日米開戦を避けるため懸命の努力をした軍人として知られています。

私は「大和桜」の歌を聞いて伊藤整一海軍中将のことを初めて知り、同時に軍人であった伊藤整一を偲ぶ「大和桜」が、世界平和を誓うユネスコの全国大会の舞台で歌われたことに深い感銘を受けました。

※ネットで「伊藤整一」を検索したからだと思われますが、最近、部下を助け、あるいは部下と運命をともにした海軍の高級将校らの情報が次々と出てくるようになりました。特攻隊を指揮した大西瀧治郎中将が終戦の翌日に割腹自決したことや、宇垣纏中将が終戦の日に自らの特攻機に乗って出撃したことなど知らない話を知ることができます。

それとは反対に、戦後、航空幕僚長から自民党参議院議員として84歳まで生き延びた源田実氏が特攻隊とのかかわりを徹底して隠しつづけたことや、統一教会や勝共連合と深い関係をもっていたこと、また、前記大西中将の自決を受けてあとに続くのではないかとみられていた中澤佑少将が幕僚たちを前にして「俺は死ぬ係じゃないから」と言い放って生き延び、その後、米海軍横須賀基地に勤めて83歳の長寿を全うした話なども知ることができます。

以前、「甲斐弦『GHQ検閲官』の読後感」や「裏千家玄室大宗匠お別れ会に参加して」の投稿でも触れましたが、死ぬべきでない人間が死に、死ぬべき人間がのうのうと生き残ってきてできたのが今の日本です。防衛大学生が制服姿で靖国神社に集団参拝している姿をネットで見るたびに、特攻で死んでいった10代後半から20代の戦中の若者たちのように、卑怯な大人たちに騙される自衛官がでないことを祈るばかりです。

大会終了後、ユネスコ活動の支援企業のホテルマリターレ創世に会場を移して懇親会が開かれました。偶然、隣りあわせになった「ゆる山まげよ」さんから「お義父さん、戦争ってどげんやった?」の漫画を頂戴しました。

年上のご主人と結婚した若いお嫁さんが義父から幼い頃の戦争の思い出話を聞き出しそれを素材にして描いた戦争漫画です。義父の父親は徴兵検査に合格したものの運よく軍用木材の切り出しと運搬の仕事を命ぜられたことから戦地に行くことも戦闘に巻き込まれることもなく生き延びることができました。

終戦に近い頃、B29が近くに墜落し一人の若い米兵が空腹に耐えかねて投降してきた時の話です。村人につかまえられ、木にくくりつけられた米兵に向かって息子を戦地で殺された父親が鎌を振りかざして襲いかかろうとしますが皆にとめられます。

B29爆撃機の編隊が日本上空に現れるようになってから、各地で撃墜された乗員がパラシュートで落下し住人に捕獲されるという事件が発生しています。中にはパラシュートで脱出した米兵に食べものを与えたり怪我の手当をした事例もあるようです。

戦後、墜落したB29の残骸の回収のために義父の村に進駐軍がやってきます。物珍しさに子供たちが近づくと米兵は角砂糖やガム・チョコレートなどをくれます。大人たちには温めたコーヒーを飲めと言います。それを見た義父の父親は軒先に縄でつるした干し柿をとって米兵に与えます。うまそうにほおばるのを見て残りの干し柿を縄ごと首にかけて渡します。作者は義父に「お爺さんは敵の兵隊さんになぜ干し柿をあげたりしたの。干し柿一個でも食糧難の時で大切な食べ物だったはずなのに。」と聞きます。すると、義父は「ただ、お返ししたかっただけじゃろ」と答えます。そこには、敵とか味方とかいう考えが入り込む余地はありません。戦争を無事に生き延びた人間同士が目の前にいるだけで十分ではないかと言いたげです。

作者は義父の答えを聞いて「人の『本質』は敵味方の枠を超えうるとてもシンプルなものかもしれない……」という思いに至ります。

この漫画はゆる山まげよさんの処女作ですがネット上では早くも高い評価を得ています。原爆漫画「はだしのゲン」(中沢啓治作)と同じように世代と国を超えて読み続けられてほしい作品です。

徴兵制という言葉が普通に聞かれるようになりました。ハガキ一枚で戦争に駆り出された「赤紙」の時代が昔語りといえなくなるような予感がします。しかし、歴史は確実に進歩しています。戦前と違い国の主権者は国民です。政治家も官僚も裁判官も自衛官も警察官も、また皇族も一人の国民であり他の国民の命や生活を奪うことはできません。国がなくとも人は友人・知人さえいれば世界のどこに行っても生きていける逞しさをもっていることが「ポツンと一軒家」や「YOUは何しに日本へ?」といったテレビ番組でわかります。

憲法で最初に学ぶのは条文ではなく憲法制定前から存在する自然権についてです。自然権は誰かから与えられるものでもなく人間として生まれた時から持っている権利です。他人に譲渡したり国家によって奪われたりすることのない権利です。この考えは、フランス人権宣言・アメリカ独立宣言以来、各国憲法に受け継がれて今日に伝わっています。

自然権の次に学ぶのは「抵抗権」です。抵抗権は国家や政府が不当に国民の権利・自由を侵害し、憲法や法の秩序を乱した場合には人民がそれに反抗することができる権利です。インドのガンジーや南アフリカのネルソン・マンデラが独立運動で指導した「市民的不服従」と異なり力をもってこれを打倒することをも認める権利です。

大日本帝国憲法には、「自然権」・「抵抗権」といった考えはありませんでした。国民は「臣民」と呼ばれており臣民の権利は天皇が与えたものでした。そのため天皇はいつでも法律で臣民の権利を制限することができました。治安維持法で死刑をもって思想・信条の自由を制限したのはその一例です。

日本国憲法はアメリカを中心とする連合国が人類の英知を結集して日本にその制定を求めた世界に誇るべき憲法です。自然権・抵抗権の権利も条文に定めがなくとも当然に含まれています。戦争に行って人を殺したり殺されたりするのが嫌な国民は法律がどうであれ自然権・抵抗権に基づいて戦争に行くのを拒否することができます。自衛官・警察官、その他の公務員であっても変わりはありません。

田中角栄元首相は人は「人相」で判断できるという考えをもっていたと言われています。新潟の農村出身であり高等小学校の学歴しか持たない首相の慧眼だと感服します。「人相見」は、古代中国や古代ギリシャ時代から伝わっている世俗の知恵です。テレビであまりにも酷い顔つきの政治家や官僚、時事評論家等の顔を見るたびに、誰か人相見ができる占い師はいないかと思ってしまいます。

宇宙から地球を眺めることができる神の目を持ちえた人類が21世紀を迎えてもなお戦争を続けていることの不思議さをつくづく感じます。むしろ、人間よりAIの方が戦争を防ぐ知恵を出してくれるかもしれません。アメリカでは日本の国家予算122兆円を軽く上回る166兆円の資産を一人の人物で所有しているそうです。完全に狂っているとしかいいようがない世界が出現しています。

核ミサイルや原子力発電もそうですがAIも人類を滅亡させかねないと言われています。これらの化け物と化した人類の科学の発展や社会構造を人間が理性によってコントロールできるかどうかが問われる時代に突入したように思います。広島・長崎の原爆被害と福島第一原子力発電所の事故を経験した日本がその役割の一端を担うことができれば良いのですが。

※ユーチューバーの金子吉友さんの「反DSあつまれニュースの森」の「郵政民営化の嘘 笹川財団、満州人脈、清和会、日本維新の会、ダボス、竹中平蔵すべてが裏でつながる」の番組は必見だと思います。参考まで。

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2026年10月14日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼江上武幸(えがみ・たけゆき)
弁護士。福岡・佐賀押し紙弁護団。1951年福岡県生まれ。1973年静岡大学卒業後、1975年福岡県弁護士会に弁護士登録。福岡県弁護士会元副会長、綱紀委員会委員、八女市役所オンブズパーソン、大刀洗町政治倫理審査会委員、筑豊じんぱい訴訟弁護団初代事務局長等を歴任。著書に『新聞販売の闇と戦う 販売店の逆襲』(花伝社/共著)等。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

物価高騰の写真にだまされた ── 氾濫するAIによる偽造写真

黒薮哲哉

本稿の右側に掲載した写真は、フェイスブックに投稿されたものである。転載機能や写真のコピーによって、かなり広範囲に拡散されているため、最初の投稿者を特定することは難しい。わたしも写真の内容を事実だと思い、拡散した。

写真は、同じ系列のスーパーマーケットにおける商品の販売価格を、2002年と2026年で比較したものである。たとえば、「コシヒカリ5キロ」は980円から4200円に値上がりしている。「牛乳1リットル」は98円から260円に、「たまご10個」は78円から310円に、「食パン1斤」は68円から210円に、さらに「キャベツ1玉」は58円から230円になっている。

ところが、わたしが転載した画面に、「これはさすがにウソ」というコメントが書き込まれた。そこで、AIを使って2002年当時の推定価格を調べてみると、次のような数字が提示された。

「コシヒカリ5キロ」195円
「牛乳1リットル」201円
「たまご10個」204円
「食パン1斤」144円
「キャベツ1玉」170円

冒頭の給食の国際比較も事実ではない。あるいは日本の全体像ではない。

インターネット、特にSNSには、ウソの情報が多いことを物語っている。ネット上の情報は、公表した後でも削除や修正が簡単にできるため、裏付けのない情報が出回っているのだろう。車の運転免許を持たない人が車を運転し、周囲に迷惑をかけているのと同じような状況が生まれている。

余談になるが、先のブラジル大統領選挙(第1回投票)では、米IT大手のメタ(Meta Platforms)が介入し、極右候補を応援していたとの指摘がある。同社は、Facebook、Instagram、WhatsAppなどを運営している。

※本稿は黒薮哲哉氏主宰のHP『メディア黒書』(2026年10月16日)掲載の同名記事を本通信用に再編集したものです。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、『禁煙ファシズム』(鹿砦社)他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

全日本キックの前進する韓国路線 新スターの飛躍と低迷!

堀田春樹

メインイベンター広翔はKO出来ぬ課題残るも大差の圧勝。
福僚太、近藤祐一がノックアウト勝利で注目株に浮上。
対する横尾空、KAI・AKGは無念の敗北。

◎SAMURAI WARRIORS 7th / 10月11日(日)後楽園ホール17:20~21:00
主催・認定:全日本キックボクシング協会 / 協力:全日本キック韓国支部、HERO

◆第13試合 56.0kg契約3回戦

全日本バンタム級3位.広翔(=北川広翔/稲城/神奈川県出身20歳/ 55.95kg)
10戦7勝(1KO)3敗
        VS
李閏宰(イ・ユンジュ/韓国/ 56.0kg)19戦10勝9敗
勝者:広翔 / 判定3-0
主審:椎名利一
副審:勝本30-27. 竜矢30-27. 少白竜30-27

蹴りの牽制での両者の攻防は前進するのは李閏宰だが、広翔が距離に合わせて先読みする蹴りのヒット、三日月蹴りも的確な上手さで優る。パンチと若干の首相撲に移っても広翔の攻めが優った流れで倒すに至らない展開でもフルマークの大差判定勝利となった。

広翔の左ハイキック。狙いは良いが当たりは浅い
広翔の左ハイキック。狙いは良いが当たりは浅い

広翔は試合後「倒せると思ってましたけど疲れてしまって。作戦の10割の内の6で終ってしまって、最後まで作戦を追行していたらKO出来たかなと思います。」
作戦とは上下の打ち分けとか細かな戦略はあった様子だが、考えどおりに行かないのが相手あっての試合なのだろう。

広翔のヒザ蹴り。離れても接近戦でも主導権支配した
広翔のヒザ蹴り。離れても接近戦でも主導権支配した

◆第12試合 HERO JAPAN スーパーフライ級王座決定戦 5回戦

全日本スーパーフライ級6位.横尾空(稲城/神奈川県出身18歳/ 51.85kg)8戦6勝2敗
            VS
同級7位.福僚太(健成會/東京都出身22歳/ 51.95kg)10戦7勝(1KO)2敗1分
勝者:福僚太 / KO 2ラウンド 2分22秒
主審:勝本剛司

蹴りの攻防では互角の展開も福僚太がやや前進。タイミングが合って来た福僚太の得意とするパンチが当たりだし、横尾空の左ミドルキックに合わせた左ストレートがヒットし、横尾空は崩れるがスリップ裁定。更に攻勢に出た福僚太の右ストレートで連続して3ノックダウンに繋げた。横尾空も立ち上がる度に打ち合いに出る勝負に出たが、ダメージが残っては福僚太の的確差に圧され崩れ落ちた。福僚太は来年3月に韓国でHERO王座統一戦の出場決定。

福僚太と横尾空の攻防。福僚太のパンチ攻勢が増えていった
福僚太と横尾空の攻防。福僚太のパンチ攻勢が増えていった
福僚太が連打から右ストレートで最初のノックダウンを奪った
福僚太が連打から右ストレートで最初のノックダウンを奪った
HERO JAPAN王座獲得した福僚太。次、韓国で勝って統一したい
HERO JAPAN王座獲得した福僚太。次、韓国で勝って統一したい

◆65.0kg契約3回戦 勇生体調不良による欠場で前日中止

勇生(=野竹勇生/ウルブズスクワッド)vs柳權(リュウ・グオン/韓国/ 64.3kg)

◆第11試合 58.0kg契約3回戦

全日本フェザー級6位.KAI×AKG(A-BLAZE×KICK/静岡県出身26歳/ 57.85kg)
9戦6勝2敗1分
        VS
近藤祐一(デポルターレ/ 57.85kg)6戦5勝(1KO)1敗
勝者:近藤祐一 / TKO 1ラウンド 0:12秒
主審:少白竜

数発の蹴りの交錯からKAIが前進した瞬間の近藤祐一の左フック一発でKAIはうつ伏せに倒れ、レフェリーはカウントに入るかと見えたところで直ぐにストップ。僅か12秒で終った。担架で運ばれたKAIだったが、控室では回復し歩いて帰れる模様。勝率高く、今後が期待されている両者の攻防展開は、僅か数秒であっけなく終わったが、初回早々の様子見でもチャンスを逃さない、油断ならない間合いだった。

不覚にも近藤祐一の左フックを貰ってしまったKAI×AKG。時間は戻らない
不覚にも近藤祐一の左フックを貰ってしまったKAI×AKG。時間は戻らない

◆第10試合 ライト級3回戦

全日本ライト級9位.山田旬(アウルスポーツ/ 61.1kg)8戦4勝3敗1分
        VS
權正晧(クオン・ジョンホ/韓国出身30歳/ 60.7kg)3戦2勝1敗
勝者:權正晧 / 判定0-3
主審:勝本剛司
副審:少白竜25-30. 伊東マサル25-30. 椎名25-30

初回、蹴りとパンチの攻防は、權正晧が勢い付いていくと右ストレートで山田旬はノックダウン。第2ラウンドは山田旬が蹴りでリズム掴んでいくも、權正晧のパンチで圧され気味。ラウンド終盤は權正晧のパンチラッシュに圧されてしまう。ラストラウンドも勢い付いた權正晧の飛びヒザ蹴りでノックダウンを喫した山田旬大差判定負け。權正晧が圧倒の展開を制した。

山田旬は權正晧のこの右ストレートでノックダウン。主導権は權正晧のままとなった
山田旬は權正晧のこの右ストレートでノックダウン。主導権は權正晧のままとなった

◆第9試合 78.0kg契約3回戦

菊池圭治(GOD SIDE/神奈川県出身44歳/ 77.4kg)15戦11勝(1KO)3敗1分
        VS
崔薫(チェ・フン/韓国/ 77.5kg)33戦12勝(7KO)21敗
勝者:菊池圭治 / KO 3ラウンド 0:54秒
主審:竜矢

菊池圭治は意識的に脇見しながら右ストレートをヒットし、ローキックで崔薫のバランスを崩す余裕の攻め。第2ラウンドも飛びヒザ蹴りに入った体勢でヒジ打ちを落とし込む牽制技。崔薫はこれで頭部を斬ったか、ラウンド終盤には菊池が打ち合いに持ち込み左フックでノックダウンを奪った。ラストラウンドも菊池の左ヒジ打ちで崔薫の右目尻を斬り、右目が腫れて来たところでドクターチェック後、再開するもすぐにタオルが投入され、レフェリーが受け入れ菊池のTKO勝利となった。

菊池圭治は格差見せ付けるヒットを続けた。左フックが崔薫にヒット
菊池圭治は格差見せ付けるヒットを続けた。左フックが崔薫にヒット

◆第8試合 女子55.0kg契約3回戦

山本ほのか(チーム彩/ 54.95kg)2戦2勝(1KO)
        VS
張智雲(チャン・ジウン/韓国/ 54.3kg)4戦1勝3敗
勝者:山本ほのか / KO 1ラウンド 1分16秒
主審:椎名利一

蹴りとパンチの攻防は山本ほのかが強いヒットで圧力を掛け、右ストレートヒット。これが張智雲の左目に当たったか、ノックダウンして諦めたようにテンカウントを聞いた。山本ほのかのノックアウト勝利。

山本ほのかの右ストレートヒットで力強さを見せ付ける結果に繋げた
山本ほのかの右ストレートヒットで力強さを見せ付ける結果に繋げた

◆第7試合 67.0kg契約3回戦

NAOKI(WSR三ノ輪/埼玉県出身34歳/ 66.8kg)6戦3勝(1KO)3敗
        VS
浅井和也(KRONOS/ 65.95kg)6戦2勝(2KO)4敗
勝者:NAOKI / KO 3ラウンド 1分52秒
主審:勝本剛司

パンチと蹴りの攻防はややNAOKI攻勢も浅井和也が逆襲する展開も見せ、一進一退の展開から、NAOKIがヒザ蹴りで強い攻めを見せ、パンチ連打でノックダウンを奪った。NAOKIは更にパンチとヒザ蹴りで2度目のノックダウンを奪い、浅井をコーナーに詰めてのパンチ連打とヒザ蹴り入れたところでレフェリーが割って入り、3ノックダウンによるNAOKIのノックアウト勝利となった。

NAOKIのヒザ蹴りがヒット。ボディー攻めが勝利を導いた
NAOKIのヒザ蹴りがヒット。ボディー攻めが勝利を導いた

◆第6試合 57.0kg契約3回戦

中村健甚(稲城/ 56.9kg)6戦2勝2敗2分
        VS
南暻旻(ナム・ギョンミン/韓国/ 56.45kg)3戦2勝1敗
勝者:中村健甚 / 判定2-0
主審:少白竜
副審:伊東マサル28-27. 椎名29-28. 勝本28-28

初回に中村健甚が右ストレートでノックダウンを奪うが、南暻旻が徐々に盛り返し、中村はタイミングが合わなくなったか、ヒットに繋げられない展開で、打ち合っても南暻旻がややリズム掴んだ前進が目立ち、第2~3ラウンドのポイントの流れが運命を分ける中、僅差で中村が判定勝利。

◆第5試合 ライト級3回戦

清宮拓(GOD SIDE/神奈川県出身39歳/ 61.15kg)13戦4勝8敗1分
        VS
YOSHINORI(健成會/ 61.15kg)8戦2勝6敗
勝者:清宮拓 / 判定3-0
主審:竜矢
副審:伊東マサル30-25. 少白竜30-26. 勝本29-26

パンチと蹴りの手数多いのはYOSHINORIだが、パンチでやや前進の勢いは清宮拓の方。初回は三者三様の採点。第2ラウンドにはYOSHINORIの攻めを貰わず、パンチとローキックでジワジワ出て来た清宮拓が調子を上げて来た。ラストラウンドも清宮拓がパンチで攻勢を強め、ボディーブローで2度のノックダウンを奪い、追い詰めるが終了のゴング。清宮拓が大差判定勝利した。

◆第4試合 スーパーミドル級3回戦

オマル・ファーレス(稲城/ 75.8kg)5戦2勝3敗
        VS
清水日陽(J-KRANG/ 75.9kg)1戦1勝(1KO)
勝者:清水日陽 / KO 1ラウンド 1分54秒
主審:椎名利一

パンチとローキックが交錯する中、清水日陽が左ボディブローから左フックでノックダウンを奪うと、連打で2度スタンディングダウンに繋げ、3ノックダウンでノックアウト勝利した。

◆第3試合 ウェルター級3回戦

小玉倭夢(Norasing Family/ 66.5kg)5戦3勝2敗
        VS
堀江竣太(チーム彩/東京都出身31歳/ 66.4kg)2戦2敗
勝者:小玉倭夢 / 判定3-0 (30-27. 30-27. 30-26)
主審:勝本剛司

選手コール時に威嚇する堀江竣太だが、ゴングが鳴るとパンチ蹴りともリズム掴んで行くのは小玉倭夢。第2ラウンドには小玉の勢い増し、パンチからヒザ蹴りも攻勢を強め、ノックダウンに近いクリーンヒットを見せた。ラストラウンドも小玉が圧倒。打たれた堀江はフラ付きながらコーナーに戻った。小玉は大差判定勝利した。

◆第2試合 56.0kg契約3回戦

渡邉獅生(JTクラブ/ 55.85kg)5戦3勝(1KO)2敗
        VS
小原澤友樹(亀田同志会/ 55.05kg)2戦1勝1敗
勝者:渡邉獅生 / KO 1ラウンド 2分10秒
主審:竜矢

パンチと蹴りの交錯から渡邉獅生の右ストレートでノックダウンを奪い、連打から右ストレートで続けて2度ノックダウンに繋げ、3ノックダウンによるノックアウト勝利となった。

◆第1試合 フライ級3回戦

YUSEI Norasing Family(Norasing Family/ 50.8kg)2戦2敗
        VS
小倉大夢(REX/ 50.4kg)1戦1勝
勝者:小倉大夢 / 判定1-2 (29-28. 28-30. 28-30)
主審:少白竜

アグレッシブな両者の攻防は初回は小倉大夢の攻勢ポイントが付いたが、第2ラウンド以降はどちらが攻勢とも付け難い展開で採点が分かれる結果となって小倉大夢がスプリットデジションの判定勝利。

《取材戦記》

韓国との交流と対抗戦は、世間にはまだまだ浸透しない小さな世界に見られがちも、全日本キックボクシング協会としては存在感増して来たこの2年あまり。来年3月には韓国で二階級の、韓国発祥HEROと日本側HEROとの統一戦が行なわれます。

KAI・AKGが近藤祐一に倒された僅か12秒のTKOタイムは、キックボクシング界における最短記録となるかは、全ての記録は調べきれないので解りませんが、令和の全日本キックボクシング協会では最短。昭和のテレビ隆盛期では、代表的なものに木村保彦(目黒)がタイ選手に速攻のパンチで倒され、開始15秒でテンカウントされた敗戦や、富山勝治(目黒)の17秒ノックアウト勝利があります。

プロボクシングにおいては、海外ではノーカウントでの5秒。テンカウントでの10.5秒。国内ではノーカウントで10秒。テンカウントで13秒があります。

テンカウント、ノーカウント、カウント中のレフェリーストップなどで振り分けるのは、KO(TKO)タイムはカウントの有無で差が出るのは当然で、そのKOに至るノックダウンまでの短さが戦った跡でしょう。

過去に失神KO負けでも将来、名チャンピオンになった選手も居るので、KAI・AKGは休息を経ての今後は見守りたいものです。

近藤祐一の一発TKOに対し、清宮拓のような判定勝利ながらジワジワ追い詰めてノックダウンを奪った展開も熱がこもる試合でした。

欠場した勇生は、このところ試合から遠ざかり、韓国遠征を含めた連続しての欠場となりました。パンフレットに記載されていたところによれば、前回の欠場は「パニック障害」の影響がある模様。今回の事情は正確には解りませんが、期待が掛かる選手だけに心配なところである。

全日本キックボクシング協会 次回興行は12月27日(日)に後楽園ホールで開催。
HERO JAPANスーパーライト級王座決定戦、野竹生太郎 vs KATSUYAが行われる予定です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」