トップ団体へ挑戦が続く全日本キックボクシング協会、日本からアジアへの基礎固めへ!

堀田春樹

瀬川琉は前回に続いて韓国戦士を迎え撃ち、インパクト残す判定勝利。
広翔は前回の判定負けを払拭。韓国戦士に圧倒の展開で判定勝利。
勇生欠場で、弟・野竹生太郎が存在感見せたTKO圧倒勝利。

◎SAMURAI WARRIORS 挑戦3rd / 10月5日(日)後楽園ホール17:30~21:32
主催:全日本キックボクシング協会 /

前日計量は4日(土)稲城ジムにて14時より行われ、一人を除いて一回でパス。その一人も30分後に難なくパス。
戦績はプログラムを参照し、この日の結果を加えています。

◆第13試合 60.0kg契約3回戦 

全日本スーパーフェザー級チャンピオン.瀬川琉(稲城/ 59.5kg)23戦16勝(4KO)6敗1分
      VS
鄭相鉉(=チョン・サンヒョン정상현/韓国プロムエタイ55㎏級Champ/ 59.5kg)
16戦13勝3敗
勝者:瀬川琉 / 判定3-0
主審:少白竜
副審:竜矢30-29. 勝本30-28. 和田30-28

初回早々から瀬川琉がサウスポーからのローとミドルキックで早くもリズム掴んだ流れ。左ミドルキックは腕の上からでも強くヒットさせたが、鄭相鉉の打たれ強さと頑張りもあって仕留めるには至らなかったが、テクニックで優って判定ながら完勝の内容。

瀬川琉の左ミドルキック、初回から主導権を奪っていった
腕の上からでも折らんばかりに強く蹴って出た瀬川琉

試合後のリング上では、「ちょっとデカいこと言いたかったんですけど、12月28日にもう一回いい試合して、自分の言いたいこと、しっかりアピールしていきたいと思います。」とKO出来なかったことへの反省と、「今27歳ですけど、23歳で格闘技で飯食えなかったら辞めようというつもりでいました。だけど今の勤める会社の社長に拾って貰ったからこそチャンピオンベルト巻けて格闘技が出来ていると思います。練習も仕事も続けられる環境で、格闘技をバックアップして応援して頂いています。」と観戦している社長さんを紹介。

控室に帰ってからは、「相手は蹴り終わりを狙っていたので、そこを警戒し過ぎてたかなと感じます。今迄の中では一番見えていたんですけど、ちょっとまた練習の半分も出せていない感じですね。来年に向けて一試合一試合、自分の中では合格点出して他団体なり、トップどころと戦いたいなという目標はありますね。」と以前も他団体やトップ選手の存在を意識した発言があったが、来年へ向けて更に力強く抱負を語った。

瀬川琉が勤務するエコプロコート株式会社は、住宅関連各種コーティング施工関連の業務の模様。保護犬格闘家として、ファイトマネーを保護団体に寄付する活動をしている瀬川琉は犬や猫が安全に快適に過ごせるように床材を保護する施工の仕事のようである。

◆第12試合 スーパーライト級3回戦

ジョカミ・ナカジマ(ドミニカ/中島道場/ 63.45kg)1戦1敗
VS
アイドゥル(=金炳秀キム・ビョンス김병수/韓国/ 63.25kg)14戦7勝7敗
勝者:アイドゥル / 判定0-3
主審:椎名利一
副審:竜矢25-30. 勝本24-29. 少白竜25-30

勇生(=野竹勇生)欠場で代打出場のジョカミ・ナカジマはドミニカでの全国大会優勝の実績ある選手。アイドゥル(=金炳秀)は6月20日に瀬川琉に判定負け。

ジョカミ・ナカジマはテコンドー技で変則的にアイドゥルを手古摺らせたが、最初の1分半程まで。動きが読めて来たアイドゥルはパンチや組んでのヒザ蹴りで圧力掛けていった。ジョカミは鼻血を流し、圧されながらも屈しない攻防を続けた。

後ろ蹴りなどテコンドーで鍛えた技を変則的に使ったジョカミ・ナカジマ

第2ラウンドにアイドゥルの組み付いてのヒザ蹴り連打でスタンディングダウンを取られたジョカミ。第3ラウンドもアイドゥルのヒザ蹴り連打でスタンディングダウンを取られるも大きなダメージは受けていない様子で後ろ蹴りも見せるも逆転は成らず。アイドゥルが大差判定勝利した。

ジョカミの動きを読んだアイドゥルは多彩に攻め優っていった

◆第11試合 スーパーバンタム級3回戦

広翔(稲城/ 55.1kg) 6戦4勝(1KO)2敗
VS
申大容(=シン・デヨン신대용/韓国/ 54.95kg)2戦2敗
勝者:広翔 / 判定3-0
主審:和田良覚
副審:竜矢30-28. 椎名30-28. 少白竜30-28

広翔の鋭いミドルキックやローキックが申大容の前進を阻む。申大容もアグレッシブに攻めるが、広翔がパンチから蹴りのコンビネーションブローが申大容の前進を許さぬプレッシャーを与えた。なかなか鋭く落ち着いて迎え撃つ広翔。テクニックで圧倒した広翔が失点なく判定ながら完勝した。

広翔の蹴りが鋭く申大容を圧倒した。今後はKOが重要となる

広翔は試合後の帰り際、「前回(3月)の試合で負けたので、プレッシャーがあった感じで、蹴りで倒しに行きたかったですけど、行くところとで行けなかったので、次はもっとメンタルを強化してしっかり攻めて行きます。野竹兄弟に負けないようにKO目指します。今日は野竹生太郎がKO勝利で先を行かれたので、ここからもっと練習して打倒野竹兄弟で上を目指します。」と全日本キックボクシング協会のエース格争いにも階級超えたライバル意識が感じられた。

広翔も腕の上からでも強く蹴り込んだ。連続でしつこく蹴りたかった

◆第10試合 63.0kg契約3回戦

野竹生太郎(ウルブズスクワッド/ 62.85kg)4戦4勝(1KO)
        VS
キム・ハヌル김하늘(漢字表記不明/韓国/ 61.75kg)4戦2勝2敗
勝者:野竹生太郎 / TKO 1ラウンド 2分0秒
主審:勝本剛司

兄・勇生の分までインパクトあるTKO圧倒勝利を残した野竹生太郎。開始早々から両者アグレッシブに攻めるが、野竹生太郎が的確なヒットのローキックで優った。蹴って出たキム・ハヌルにヒザ蹴りで迎え撃つと、ボディーへまともに貰ったキム・ハヌルはノックダウン。

立ち上がるもパンチで反撃するキム・ハヌルに生太郎は迎え撃ち、更にヒザ蹴りボディーヒットでキム・ハヌルは苦しそうに蹲り、ノーカウントのレフェリーストップとなった。

野竹生太郎のヒザ蹴りを受けたキム・ハヌルは堪らず蹲った

◆第9試合 スーパーウェルター級3回戦

義斗(FPLUS TEAM QUEST/ 68.05kg)5戦3勝(2KO)2敗
        VS
康示勲(=カン・シフン강시훈/韓国/ 68.6kg)4戦3勝1敗
勝者:康示勲 / 判定0-2
主審:竜矢
副審:和田29-29. 椎名28-29. 勝本29-30

康示勲のアグレッシブな蹴りとパンチの圧力が義斗を圧していく。やや調子付かせてしまったか。大差は付かないが、我武者羅に出る康示勲に義斗は距離感掴めず、僅差判定で康示勲が勝利した。

康示勲の我武者羅に打って来るタイミングが掴めない義斗は攻め倦む

◆第8試合 ライト級3回戦

山田旬(アウルスポーツ/ 61.2kg)5戦4勝1分
        VS
清宮拓(GODSIDE/ 61.05kg)10戦2勝(1KO)7敗1分
勝者:山田旬 / 判定3-0
主審:少白竜
副審:和田29-28. 椎名29-28. 竜矢30-28

大きな差は無いが、パンチと蹴りの攻防が続き、第3ラウンドには山田旬が圧力掛けて蹴りのインパクトを残し僅差ながら判定勝利。

ラストラウンドで攻勢掛けた山田旬。蹴りでインパクトを残した

◆第7試合 スーパーフライ級3回戦

HIROKI(AKIRA~budo school~/ 51.8kg)8戦4勝(1KO)4敗
      VS
鬼久保海斗流(健成會/ 51.7kg)2戦2敗
勝者:HIROKI / 判定2-0
主審:勝本剛司
副審:少白竜30-29. 椎名29-28. 竜矢30-30

初回は蹴りから組み合う展開が増えた。偶然のバッティングで鬼久保海斗流が痛そうに蹲ること2度。更に股間ローブローもあって鬼久保は苦しい展開。ジャッジ三者が揃うラウンドは無かったが、僅かながら攻勢に立ったHIROKIが判定勝利。

◆第6試合 ライトヘビー級3回戦

星のケースケ(百足道場/ 78.1kg)2戦2勝
      VS
菊池圭治(GODSIDE/ 78.65kg)13戦9勝(4KO)3敗1分
勝者:星のケースケ / 判定3-0
主審:和田良覚
副審:少白竜30-28. 椎名29-28. 勝本29-28

菊池圭治は変則的にフェイント掛けながら蹴りやパンチを当てるが、第3ラウンドに星のケースケが菊池をロープに詰めてパンチ連打。最終ラウンドを制した星のケースケが際どくも勝利した。

◆第5試合 66.0kg契約3回戦

Katsuya Norasing Family(Norasing Family/ 64.9kg)5戦3勝(2KO)2敗
        VS
NAOKI(ウィラサクレック/ 65.65kg)4戦1勝3敗
勝者:Katsuya Norasing Family / 判定2-0
主審:竜矢
副審:少白竜30-28. 和田29-29. 勝本30-29

◆第4試合 59.0kg契約3回戦

KAI×A.K.G(A-BLAZE×KICK/ 58.85kg)3戦3勝(1KO)
        VS
杉浦昂志(キックスターズジャパン/ 58.9kg)5戦2勝2敗1分
勝者:KAI×A.K.G / 判定3-0
主審:椎名利一    
副審:少白竜30-29. 竜矢30-28. 勝本30-28

◆第3試合 67.0kg契約3回戦

滝口遥輝(中島道場/ 65.5kg)4戦3敗1分
      VS
成瀬晴規(無所属/ 67.1→67.0kg)6戦3勝2敗1分
勝者:成瀬晴規 / 判定0-2
主審:和田良覚
副審:少白竜29-30. 竜矢29-30. 椎名29-29

手数少ない両者にレフェリーがアグレッシブに攻めるようにイエローカードが示された。攻め難さがあったか、第3ラウンドにやや攻勢掛けた成瀬晴規が僅差で勝利。

◆第2試合 68.0kg契約3回戦

石塚健太(武士魂2代目闘心塾/ 66.5kg)2戦2敗
        VS
小玉倭夢(Norasing Family/ 67.9kg)3戦2勝(1KO)1敗
勝者:小玉倭夢 / TKO 3ラウンド 1分42秒 /
主審:勝本剛司

蹴りパンチの攻防は徐々に小玉倭夢が攻勢強め、第3ラウンドにはコーナーに詰めパンチ連打。2度のスタンディングダウンとなってレフェリーストップ。

◆第1試合 スーパーバンタム級3回戦

渡邊獅生(JTクラブ/ 55.2kg)2戦1勝1敗
      VS
梅原竜雅(龍成會/ 55.3kg)2戦1勝(1KO)1敗
勝者:梅原竜雅 / KO 1ラウンド 2分40秒 /
主審:竜矢

蹴りから首相撲とパンチと蹴りの攻防。組んで崩す梅原竜雅に圧される渡邊獅生。ロープ際でパンチで攻める梅原はヒジ打ちも放ったか、渡邉の額から鮮血が流れ、崩されて倒されると脳震盪のダメージもあったのか、ノックダウンとなって立ち上がるも足下ふら付いてテンカウントが数えられた。

《取材戦記》

韓国戦士を迎え撃った瀬川琉、ジョカミ・ナカジマ、広翔、野竹生太郎は場内盛り上がるアグレッシブな展開が見られたが、第3試合から第9試合は主導権支配の難しい僅差の判定が続いた。皆全力で戦っているが、感動のノックアウトはなかなか難しいものである。

全日本キックボクシング協会・栗芝貴代表が設立当初から目指すもの。

前回6月20日興行が終った後、全日本キックボクシング協会は中国の団体との交流へ臨みました。栗芝貴代表は8月2日、 海南省三亜市に訪れ、中国と日本のキックボクシングの交流と発展を促進するための会議が開催されました。中国の選手も全日本キックボクシング協会へ参加したいという話が進んだ模様です。

今回の興行の後、栗芝代表は香港に向かい、昭和の時代に試合をした際に交流あった香港ムエタイ協会との交渉も進め、来年を足掛かりにアジアトーナメントへプランを進める方向である。

栗芝代表は前日計量にて全出場選手に対し、「来年から本格的にアジアトーナメントに向けて準備していかねばならない。アジアトーナメントには強い日本人が必要なんですね。プロとして世界の強豪選手と戦える選手を作っていかねばならない。それで会場に来たお客さんに感動や勇気を与えられるような試合でなければならない。何を目指してやるのか。僕たちは日本や世界でトップに立てる選手になろう。腹を括って出て来る人を待っているんです。その為に私も目一杯やっています。」と語り、またメディアとの対話では、「まだウチの協会はテレビに載せられる人材が少な過ぎる」という。

その昭和時代のような地上波テレビ放映に向けては、「まだウチは設立以来7回目の興行です。来年は4回の興行、全て後楽園ホールで日曜日も取れました(土曜1回、日曜3回)。僕らは後楽園ホールでしかやりません。なぜか。スターを作りたい。輝く舞台を用意したい。その一心です。トップに行くこと。これが目標なんです。これからも世界に向けて準備をどんどん進めています。今から60年前に日本でキックボクシングがバーンと注目された時、毎週テレビ放送したんですね。ここもう一度、僕、絶対掴みます。なので明日の試合、スターになってください。全力で戦ってください。是非盛り上げて頑張ってください。宜しくお願いします。」と叱咤激励して締め括った。

他団体にも期待の新星と言える選手は多く居るが、全員が勝ち上がれる訳ではない、トップに立つスターはごくわずかとなる勝負の厳しさが有ります。全日本キックボクシング協会にも野竹勇生・正太郎兄弟や広翔が注目度高い選手で来年に期待が掛かっています。団体内ではなく、日本のトップ、更に世界最高峰に立てるか。

近年、地上波放送というのは難しい話だが、今月はキックボクシングの新イベントがテレビ東京で地上波放送という発表もされています。キックボクシングを知らない人の目に触れる機会が大きいのが地上波放送の力。ボクシングで例えれば、井上尚弥の名前は知っていても、中谷潤人の名前を知らない一般の人が多いのは、過去に地上波での世界戦が多かった方が知名度高いということでしょう。キックボクシング各団体がいろいろなイベント試みる中、設立3年目、初陣興行から7回目の全日本キックボクシング協会がどこまで躍進するか。栗芝貴代表の手腕に期待が掛かります。

次回の全日本キックボクシング協会SAMURAI WARRIORS 挑戦4thは12月28日(日)に後楽園ホールで開催されます。期待される出場選手は瀬川琉、広翔、野竹兄弟でしょう。

後半戦セレモニーで対峙した日韓各選手達

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

普通に「パレスチナ」と言えるようになった時代に…… 豊田直巳さん講演会「パレスチナから福島へ」を終えて

尾﨑美代子

普通に「パレスチナ」「パレスチナ」と言えるようになったのにと話してた10月4日、「ヤバイこと言ったら電波止めるよ」の女が自民党総裁になったとは……。

10月4日、大国町社会福祉法人「ピースクラブ」で開催のフォト・ジャーナリスト豊田直巳さんの緊急報告会に参集された皆様、どうもありがとうございました。タイトルは「パレスチナから福島へ」で、終了後SNSなどを見ると、パレスチナ問題に関心ある方、福島に関心ある方、その両方に関心がある方、その2つがどう繋がっているの?と思った方など、さまざまな方が参加されたようです。 私は、どちらかというと、パレスチナ問題には詳しくなく、豊田さんをお呼びすることになって慌てて、いろいろ勉強したという感じでした。

とはいえ思えば、1980年代半ば、私は東京の山谷で日雇い労働者の組合の支援を関わっていましたが、その組合の映画を撮って欲しいと、ドキュメンタリー映画監督・故布川徹郎さんに依頼するため、組合の書記長と私の2人で目黒区の布川邸を訪問したことがありました。そして撮って頂いた日雇い労働者の組合のドキュメンタリーの中で、イスラエル大使館へ抗議にいく場面があり、私が組合の車からシュプレヒコールを行うシーンがありました。なので、当時はなんとなくパレスチナ問題に関心を持っていた訳ですが、その後どうなったかについてはあまり知らなかったという訳です。聞けば、豊田さんは、この布川監督に連れられて初めてパレスチナを訪れたとのこと、驚きました。

月日が流れ、2011年3・11がありました。私たちは「西成青い空カンパ」を作り、直接被災者にカンパを渡したいと、8月頭京都の講演会でお会いした飯舘村の長谷川健一さんを通じてカンパを送ることにしました。またその当時、ネットで読んだのが、豊田さんの「福島で線量計の針が振り切れた」という記事でした。パレスチナの取材以降、イラク、チェルノブイリなど取材した豊田さんだからこそ、すぐに福島に入れた(入らなくてはならないと感じた)訳ですが、その豊田さんは偶然私たちが支援していた長谷川さんの映画を撮影していました。

4日当日、豊田さんにはお話を75分(1時間と15分)お願いしておりました。パレスチナと福島をどうつなげるのか……参加された方の中には「無理筋」ではないかと思っていた方もいたようです。確かにパレスチナからイラクでの劣化ウラン問題…そして福島まで辿り着くのか…という時間になりまして、豊田さんは「もう終わり?」と私に聞き、「まだいいですよ」と答え、再び「もう終わり?」と聞かれ「まだ話して」と伝え、結局15分×2回の30分オーバーとなり、どうにかパレスチナと福島の問題をつなげていただけました。

想定外ではありますが、全然OKでした。なにしろ豊田さんの話が面白い。面白いと言ったら語弊があるかもしれませんが、報告会終了後、はなで行った親睦会で、豊田さんは「面白い」と言われるのは嫌ではないとおっしゃってました。そう、本当に面白いから、本当はもっともっとお話を聞きたくなるのです。皆さん、どうぞ豊田さんのお話を聞いてくださいませ。

あと、親睦会でどなたかが話していたのは、それこそ1980年代、あるいは少し前でも「パレスチナ」のデモの参加者はまだ少なかった。パレスチナと口に出すことさえ、「過激派」(それも超がつく)と思われていた。それがどうでしょう!今では、多くの人がその名を口にし、デモに参加し、スイカのバッチを身に付け、支援を表明しています。その変わりようが凄いという話になりました。そう、私たちは、もっともっとパレスチナ支援の声を高らかに揚げていかなくてはならないと痛感致しました。

参集された皆様、ありがとうございました。今後も共にパレスチナ支援の声を広めてまいりましょう!!

毎回だが、音響、プロジェクター関係で何人もの仲間が関わってくれる

尾﨑美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者X(はなままさん)https://x.com/hanamama58

◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4846315304/

〈原点〉に立ち返り苦境を打破し『紙の爆弾』『季節』の発行継続、鹿砦社の出版活動継続へ更なるご支援を!

鹿砦社の新刊/既刊の書籍購入、『紙爆』『季節』の定期購読(新規、継続、前倒し更新)、会員入会、カンパなどで、『紙爆』『季節』発行継続、苦戦する鹿砦社の言論・出版活動継続へ更に圧倒的なご支援をお願いいたします! 

鹿砦社代表 松岡利康

『紙の爆弾』『季節』を愛し、鹿砦社の言論・出版活動を支持される皆様!

このかん私たちは、1985年(偶然ながら本年同様阪神タイガースが優勝した年)、私松岡が、10年間のサラリーマン生活を辞め、期待と不安のなか本格的に出版の世界に飛び込み、この際、その数年前に、(どういう経緯かは覚えていませんが)知り合った歴史家の小山弘健先生の最期の著書『戦前日本マルクス主義と軍事科学』の編集作業の過程で教えていただいた、
「われわれの出版の目的は、一、二年で忘れ去られることのない本を作ることである」
というクラウゼヴィッツの言葉に非常に感銘を受け、これを〈原点〉として、徒手空拳でスタートしました。偶然に書庫解約・整理の過程でその本が1箱出て来て、あらためて思い出した次第です。

クラウゼヴィッツの畢生の大著『戦争論』が「一、二年で忘れ去られることのない本」であることは言うまでもありません。果たして私(たち)はこういう本を作って来たのか!?

そうして出発したのですが、出版を甘く見ていたことを痛感するのに時間はかかりませんでした。まずはスキルの面、しかしこれも偶然に府川充男さんという稀有の活字研究家にして装丁、編集のプロに出会い教えていただき、編集技術を習得することができました。府川さんは私より1学年上、存命中ですが闘病中で、最近も、かつて府川さんが装丁された当時の書籍が書庫整理の過程で出てきたので送り電話で話したところです。

ちなみに、私はまさに芸術品の府川さんの校正を見て感嘆し習得したのですが、『季節』編集長・小島卓も『季節』夏・秋合併号に掲載された山本義隆さんの長大な講演録の校正紙が、まさに芸術品で「家宝」にするほどだと言っています。やはり一流の人は校正作業も蔑ろにせずしっかりやるということでしょうか。

爾来40年、前述したように、果たしてどれだけ「一、二年で忘れ去られることのない本」を作って来たのか冷汗物ですが、やはりこのクラウゼヴィッツの言葉こそが、今に至るも私たちの出版の〈原点〉だといえましょう。

◆いろいろあった40年、浮き沈みの激しかった出版人生でした

40年の間にはいろいろなことがありました。やはり一番大きかった事件は、「名誉毀損」に名を借りた言論・出版弾圧事件でしょう。松岡逮捕、192日間の勾留(人質司法。半分は接見禁止)、多額の賠償金(控訴審で倍額600万円余りに)、有罪判決(幸いに執行猶予付き)など、これまでの出版の世界では初めてのことで(かの『噂の眞相』でさえ在宅起訴)、「まさか」の出来事でしたが、会社は壊滅的打撃を受けました。その事件前後も、ヒットが続きカネ余りの状態になったり、逆に転落して苦境に陥ったり……大小の浮き沈みを幾度となく経験もしました。

最近の新型コロナによる打撃は、想像以上に大きく、今に至るも回復せず苦境に陥ったままです。せっかく復活したので、もう二度と落ち込まないことを誓い頑張って来たのですが……。

本年は『紙の爆弾』創刊20年?出版弾圧20年ということでしたが、苦境脱出に弾みをつける目的もあり、4・5東京、7・12関西と二つの「反転攻勢の集い」を開かせていただき、多くの方々がご参集され盛況のうちに終了することができました。

ご参加された多くの皆様方、あるいは参加できずとも支援金をお送りいただいた方々── その二つの「反転攻勢の集い」における多くの皆様方の叱咤激励を受け、苦境を打破し次の10年に向けて再出発に歩み出したところです。

おそらく皆様方のご支援がなかったら、とっくに会社は潰れていたでしょう。皆様方のご支援によって、なんとか青色吐息ながら『紙爆』、そしてこの増刊号で唯一の反原発情報誌『季節』とも発行を継続でき、さらには書籍も刊行できています。

これまでご支援いただいてきた皆様方も、私たちの非力でなかなか苦境を突破できないことに焦れておられ忸怩たる想いですが、復活を信じていただき、もうひと踏ん張りご支援をいただけないでしょうか。前述した20年前の「名誉毀損」に名を借りた逮捕事件で壊滅的打撃を受けつつも復活できたのですから、必ず復活はできる!と信じ日々頑張っています。

◆基本は本を買ってご支援!

私たちは本や雑誌を出す出版社ですから、本を買ってご支援いただくことが基本です。

特にこの夏、歴史的な猛暑のさなか刊行した『季節』夏・秋合併号、野田正彰・著『流行精神病の時代』、『3・11の彼方から』の3冊を、未購読の皆様には、まずもってぜひご購読お願いいたします! この3冊は、間違いなく「一、二年で忘れ去られることのない本」です。

さらに余裕がある方には1口5万円の特別カンパも先月お願いし、応じていただいた方もおられますが、正念場である今こそ集中してお願いいたします! 例えば、お一人2口10万円、100人いらっしゃれば1千万円で一気に資金的蓄積も出来、支払いや資金繰りの計画も円滑にできます。

◆倉庫代に絶えられず、断裁危機の『紙の爆弾』バックナンバーのご購入を要請します!

もう一つは、高額な倉庫代が負担で、全般的な処分(総量削減)を迫られています。具体的には、創刊から20年間に溜まっている『紙の爆弾』の在庫の処分(断裁廃棄)を年末の繁忙期に入る前(つまり11月末まで)にやるように倉庫会社から迫られています。

実は、取引してきた倉庫会社は某老舗出版社の子会社で、私が鹿砦社を引き継いだ1980年代後半から取引し在庫管理、出庫、返品受領などの全般を委託してきましたが、昨年からその会社が会社整理し身売り、経営が換わり、取引も厳しくなってきました。

なので、『紙の爆弾』を愛する皆様方に、断裁されこの世からなくなる前に早急に『紙爆』のバックナンバーを、まとめてご購入いただきますようお願いいたします。応じていただける場合は、数量により割引もさせていただきます。本社・松岡までご連絡、ご相談ください。

◆ガンと闘う書家・龍一郎と共に!

毎年好評の鹿砦社カレンダーを15年近く揮毫している、大学の後輩で書家の龍一郎が左肺の半分を取りガンと闘っています。数年前は大動脈解離で倒れましたが、これが一段落したと思ったら今度は肺ガンです。この龍一郎に比べれば、私たちの苦難もまだマシです。龍一郎も、ガンに打ち勝つことを信じ闘っています。私たちも苦境打破、再復活を信じ全力で闘います! 私たちは決して諦めていません。更に圧倒的なご支援をよろしくお願いいたします!

◆ご支援やカンパ、本のご購入は、『紙の爆弾』『季節』に投げ込んである赤い振替用紙をお使いいただくのが手数料も不要で簡便です。

鹿砦社の新刊 https://www.rokusaisha.com/kikan.php?group=new

10・5山﨑博昭プロジェクト2025年秋の東京集会と墓参に参加してきました!

鹿砦社代表 松岡利康

10月5日に山﨑博昭プロジェクト秋の東京集会に初めて参加しました。

この日、山本義隆さんが講演されるというので、『季節』夏・秋合併号に長大な講演録を寄稿いただいたお礼かたがた、その前の墓参も併せ参加しました。山本さんからも事前に直接お電話をいただき、「集会に参加し『季節』夏・秋合併号と『3・11の彼方から』を売るように」言われ、重たい本を携え参加した次第です。

こうしたこと(講演会やイベントで本を売ること)は、これまでもよくやってきました。しかし講演会では本はあまり売れず、帰りに重たい本を持ち帰るのは疲れるものですが、幸いにほとんど売れ、新幹線代の一部にさせていただきました。

山本さんの講演のテーマは、専門の科学史や物理学ではなく、
「テクノファシズムと高度成長 戦後80年を顧みて」
でした。山本さんらしく、詳細なレジメを作成され配布されました。

知っている方では、重信房子さんや水戸喜世子さんらも参加されていて再会を喜び合いました。

この日の報告は後日「山﨑博昭プロジェクト」のサイトに掲載されると思いますのでご覧ください。

10・5山﨑博昭プロジェクト2025年秋の東京集会での山本さんの講演の様子

『紙の爆弾』11月号に寄せて

中川志大 『紙の爆弾』編集長

自民党総裁選は前回に見た面々、誰が勝っても同じという不毛なものでした。自民党にとって昨年より状況が悪化しているのにこれでは……と誰もが思うでしょうが、では誰がいるのかといえば、誰も思いつかない。だから「石破辞めるな」が説得力を持ってしまったのでしょう。むしろ、維新・国民民主、あるいは参政党と、どの補完勢力を選ぶかということの方が、まだ考えようがあります。加えて、自公政権が衆参で少数与党である中で、今回も自民党の総裁選が電波ジャックをすることに正当性があるのか。マスメディアの異常さが、ますます浮き彫りになっています。

総裁選の不毛さを自ら強調するかのように、候補者が「外国人政策」を訴えたことに、参政党躍進の影響があるのは言うまでもありません。付け加えるなら、彼らは参政党を排外主義とみて、それが受けたと考えていることが、その主張の内容から読み取れます。10月号では、「日本人ファースト」がなぜ支持されたのか、その理由に焦点を当てました。大西広慶應義塾・京都大学名誉教授の指摘は、彼らこそ読むべきものです。「日本人」がどういう状態にあるのか、その原因は何なのかに向き合わない限り、国内世論の断絶を含めた「移民問題」は解決に向かいません。

そもそも、排外主義はどこではびこっているのか。個人的な実感をいえば、それなりに共生している地域が大半だと感じます。本誌執筆陣のひとり、木村三浩氏が代表の一水会のX(8月27日付)で、「川口市内各地の住民5000人に治安について聞いたところ、大半が『自宅周辺の治安は良い』と回答したが、同時に大半が『川口市内の治安は悪い』と回答した」という埼玉県川口市議の調査結果が紹介されています。そもそも日本人同士がきちんと共生しているのか。今の混乱状況自体を問題視すべきだと考えています。

消費税減税や政治資金問題の根本解決を封殺した石破首相が、それでも「レガシー」にできたはずだったのが、「パレスチナ国家承認」でした。フランスやイギリスが承認に動く中、石破首相は国連演説で、「イスラエルが『二国家解決』への道を閉ざすさらなる行動をとる場合、パレスチナを国家として承認する」などと述べたのは、まるで自分がカードを持っているかの物言いです。見送りがアメリカ政府を忖度した結果であることは言うまでもありませんが、少なくとも1990年代の日本には、アラブの国々に対して日本の自主外交を示した実例があり、それゆえに国際的な評価を受けていました。当時よりも対米従属が深化していることを、今回の事態は示しています。一方で、フランスをはじめ「承認」に回った国々にも、一定の目論見があるようです。本誌記事で詳細に明かしています。

ほか今月号では、10月13日閉幕の「2025大阪・関西万博」の“成功”をアピールしながら“辞任ドミノ”に揺れる維新の内情を解説。「大川原化工機事件」違法捜査が明らかとなった公安警察の歴史、国際表現規制といわれる「ハノイ条約」について提案国・ロシア外務省を取材、ネパール・インドネシアなどで相次ぐ“デモ暴動化”の理由、「アフリカ・ホームタウン騒動」の裏側など、本誌独自の視点でレポートをお届けします。『紙の爆弾』は全国書店で発売中です。ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2025年11月号
A5判 130頁 定価700円(税込み)
2025年10月7日発売
 

石破政権とは何だったのか? 財務省に操られた日本政治の真相 植草一秀
「万博成功」のはずが離党ドミノ 維新「副首都構想」の目的 吉富有治
フランスが動いた意図「パレスチナ国家承認」の真実 広岡裕児
米欧も絡むガザ沖合天然ガス争奪戦 イスラエル暴走の理由と「核危機」 平宮康弘
中国軍事パレードの裏で中ロ首脳の最大関心事 浜田和幸
原子炉格納容器がはらむ6大リスク 柏崎刈羽原発6号機設計者が語る脆弱性 後藤政志
「大川原化工機事件」違法捜査の闇 国民監視組織・公安警察の実相 足立昌勝
大江健三郎も上野千鶴子も“禁書”に?国際表現規制危機「ハノイ条約」とは何か 昼間たかし
日本政府「パレスチナ承認見送り」の大愚 木村三浩
混乱を招いた日本政府の不作為「アフリカ・ホームタウン」騒動の深層 片岡亮
「グローバリズム」はこうして始まった イチからわかるディープ・ステートの正体 広瀬隆
ネパール・インドネシア デモ暴動化の背後 早見慶子
予言への正しい向き合い方 佐藤雅彦
経団連による教育現場介入の危険性 永野厚男
シリーズ日本の冤罪 品川美容外科捜査資料漏洩事件 片岡健

〈連載〉
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER Kダブシャイン
【新連載】ニッポン崩壊の近未来史 西本頑司

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0FTFV61YB/

NJKF今回のメインイベンターは匡志YAMATO、感動のラストファイトで締め括る!

堀田春樹

ドラマを作った匡志YAMATO、敗れるも完全燃焼のラストファイトを飾った。
大田拓真はムエタイテクニシャンを倒し切れずも危なげない圧勝。
HIRO YAMATOは勝次にスピードで優る若さの勝利。勝次も見せ場を作る。
亜維二が豪快TKOで皆から認められる本物チャンピオンへ存在感見せた。
西田光汰がテクニックで明夢に大差判定勝利で借り返す初防衛。

◎NJKF CHALLENGER.10(2025.4th) / 9月28日(日)後楽園ホール17:15~22:12
主催:オフィス超合金 / 認定:ニュージャパンキックボクシング連盟、WBCムエタイ

戦績はプログラムを参照し、この日の結果を加えています(正式からややズレもあるかもしれません)。

◆第10試合 第7代WBCムエタイ日本スーパーウェルター級王座決定戦 5回戦

4位.匡志YAMATO(=福田匡志/大和/32歳/ 69.75kg) 31戦17勝(9KO)12敗2分
VS
5位.津崎善郎(LAILAPS東京北星/40歳/ 69.7kg)35戦19勝(6KO)14敗2分
勝者:津崎善郎 / 判定1-2
主審:スイット・サエリム・ランボー
副審:多賀谷47-48. 宮沢47-48. 中山48-47

王座決定戦ながら匡志はラストファイトに、かつて熱戦を繰り広げた好敵手、津崎善郎を選んだ。

激しい打ち合いにはならなかったが初回、蹴りから繋ぐパンチの交錯は勝負を一瞬で終わらせるスリリングな展開となった。

一発のヒットで勝負が決まるスリリングな交錯が続いた匡志と津崎善郎

第4ラウンドには津崎善郎のヒジ打ちで匡志の左目尻辺りをカット。最終ラウンドには匡志のヒジ打ちで津崎の鼻をカット。血みどろの好ファイトは僅差で津崎が制した。

新チャンピオンとなった津崎善郎、WBCの新調されたベルトが光る

試合後は新チャンピオン、津崎善郎も加わって匡志YAMATOの引退セレモニーが行われた。大勢の支援者がリングに上がり、賑やかな引退セレモニーとなった。ダメージが重かった場合、引退セレモニーは行なわない可能性があったが、無事に執り行われた模様。

匡志は試合後、「出だしはちょっと悪かったのと、後半は良かったんですけど、けど結構減量が響いたのかなという動きでした。そこも込みの勝負なので結果に文句は無いです。大和ジム会長として4年目で、若い子達が育って来て、これから指導者として、この子達を育てていくのを天秤に掛けた時に、自分は現役を退いて、これから未来ある後輩達に僕の培ってきたものを注いで想いを託そうと決心したので今回引退をしようと決めました。」と語り、応援して頂いた皆さんに対しては、「ここまで匡志YAMATOを応援して支えてくれた皆さん、有難うございました。皆さんの御陰で32戦、ここまで戦って来れたと思います。一人だったらこんなに続けて来れませんでした。これからは皆さんに恩返ししていけるような人生を歩んで行きたいと思うので、これからも匡志YAMATOじゃなくて福田匡志への応援宜しくお願いします。」と動画インタビューと被るところあるかもしれないが、丁寧に語ってくれました。

2021年7月のWBCムエタイ日本スーパーウェルター級王座決定戦で、津崎善郎にTKO勝利して獲得した王座はWBCムエタイ側の意向で返上した形だったという。その経緯で今回も王座決定戦という形で津崎善郎と再戦となった模様。

支援者に囲まれた賑やかな引退セレモニーとなった感無量の匡志YAMATO

◆第9試合 58.0kg契約 5回戦

WBCムエタイ世界フェザー級チャンピオン.大田拓真(新興ムエタイ/1999.6.21神奈川県出身/ 58.0kg)43戦33勝(11KO)8敗2分
VS
ルークニミット・シンクロンシー(元・S-1・Sフェザー級、ライト級覇者/タイ・ロッブリー拳出身38歳/ 57.85kg)
勝者:大田拓真 / 判定3-0
主審:多賀谷敏朗
副審:児島30-27. 宮沢30-27. 中山29-28

大田拓真は今年6月8日にWBCムエタイ世界フェザー級王座挑戦し、チャンピオンだったアントニオ・オルデン(スペイン)に3ラウンドにノックアウト勝利で王座獲得してからの初戦となった。

ONEなど強豪揃う世界で競う上位のステップに行く為にも、今回の興行ではセミファイナルとなった立場としてもインパクトあるノックアウト勝利を収めたい大田拓真にとっては悔しい展開となった。

ルークニミットは大田に優るスピードは無くても、ベテランムエタイボクサーのしぶとさは発揮された。大田拓真はローキックやボディーブローでノックアウトを繋げそうな圧倒するテクニックを見せながらも倒し切れずに終わった。大田拓真には本来の5回戦で戦わせたい試合だった。

大田拓真のボディーブロー、一発で倒せる可能性もあったが、ルークニミットはしぶとかった

◆第8試合 WBCムエタイ日本ライト級タイトルマッチ 5回戦

第7代選手権者初防衛戦.HIRO YAMATO(大和/2000.6.25愛知県出身/ 60.95kg)
36戦20勝(7KO)13敗3分
VS
挑戦者同級8位.勝次(=高橋勝治/ TEAM TEPPEN/WKBA世界SL級覇者/1987.3.1兵庫県出身/ 61.15kg)82戦48勝(20KO)24敗10分
勝者:HIRO YAMATO / 判定2-0
主審:宮沢誠
副審:多賀谷48-47. ランボー47-47. 中山49-46

負けが込んでもチャレンジ出来るリング。連敗中の勝次は再浮上を狙いたいが、若いHIRO YAMATOが立ち塞がった。勝次にも勝機は充分にあった。ベテランの戦略は侮れない。その動きは初回早々に起こった。開始後距離を詰めた両者。勝次が右ストレートで軽いヒットだったがノックダウンを奪った。

このポイントを守り切れば勝利は有り得る話だが、ラウンドマストシステムで行なわれているこの日のWBCムエタイでは、ノックアウトか終始圧倒しなければ逃げ切りは難しい。

やはりHIROのパワー、スピードは徐々に優り、首相撲に持ち込んでのヒザ蹴りは勝次にとって反撃もままならず、不利な体勢の時間は勿体無かった。勝次のパンチも攻勢を維持出来ればいいが、HIROの圧力に圧されていった。判定は僅差の2-0でHIROが初防衛に成功した。

HIRO YAMATOのローキック、スピード手数でHIROがかつての名チャンピオン勝次を抑えた
藤原敏男氏と並ぶHIRO YAMATO、歳の差52歳。偉大さで追い付けるか

◆第7試合 スーパーライト級3回戦

NJKFスーパーライト級チャンピオン.吉田凜汰朗(VERTEX/2000.1.31茨城県出身/63.25kg) 30戦14勝(3KO)10敗6分
VS
TENKAICHIスーパーライト級チャンピオン.剣夜(SHINE沖縄/沖縄県出身36歳/ 63.1kg)
23戦9勝(5KO)13敗1分
勝者:吉田凜汰朗 / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:多賀谷30-26. ランボー30-26. 中山30-26

初回、吉田凛汰朗が剣夜の右ミドルキックに合わせて右ストレートでノックダウンを奪うが軽いヒットで、その後も先手打つ吉田のパンチと蹴りは剣夜を圧倒。諦めない剣夜もミドルキックで攻めるが、第3ラウンドには吉田のヒジ打ちで剣夜の左瞼辺りがカット。終了間際には吉田の怒涛のラッシュも耐える流血の剣夜だった。

吉田凛汰朗の攻めの上手さが発揮、剣夜は忍耐の勝負となった

◆第6試合 スーパーライト級3回戦

JKイノベーション・スーパーライト級チャンピオン.切詰大貴(武勇会/高知県出身26歳/ 63.4kg)9戦8勝(2KO)1敗
       VS
SB日本ライト級2位.基山幹太(BELLWOOD FIGHT TEAM/ 2001.12.24兵庫県出身/ 63.4kg) 25戦15勝(2KO)9敗1分
勝者:切詰大貴 / 判定2-1
主審:スイット・サエリム・ランボー
副審:多賀谷27-30. 宮沢29-28. 児島29-28

ポッシブルKが欠場で基山幹太出場。
両者アグレッシブにパンチと蹴りの攻防が続く。打ち合いはスリリングながら強烈なヒットは無く、差が出難い互角の展開の中、極端な2-1判定で切詰大貴が勝利となった。

◆第5試合 NJKFウェルター級タイトルマッチ 5回戦

認定王者.亜維二(=小林亜維二/新興ムエタイ/2006.神奈川県出身/ 66.95→66.8→66.78→66.68kg)13戦10勝(6KO)2敗1分
VS
挑戦者同級1位.宗方888(KING/ 66.4kg)14戦5勝(3KO)7敗2分
勝者:亜維二 / TKO 1ラウンド 1分37秒
主審:中山宏美

計量で躓いた亜維二。調整に狂いが出たか、減量がキツくなったか。しかし試合までにはしっかりリカバリー出来、開始早々にローキック牽制、宗方も蹴り返すとそこへ亜維二が左フックヒット、グラつく宗方。打ち合いに出た宗方に亜維二も迎え撃ち、左フックヒット。亜維二はノックダウン取ったと思ったか、後ろを向いてしまうが、更に蹴りからパンチ連打し、右ストレートでノックダウンを奪う。

亜維二が圧倒した強打の連続、大舞台への一歩となったか。宗方は為す術が無かった

立ち上がった宗方にヒザ蹴りからミドルキックでロープ際に追い込み、右ストレートから連打で倒したところでレフェリーストップ。テクニカルノックアウト勝利に繋げた。ノックダウンを奪った際、ニュートラルコーナーに行かず、ロープに上って応援団側にアピールするなどは冷静さが欠けるところは気を付けなければならないだろう。

亜維二は昨年6月に王座挑戦試合がチャンピオンの青木洋輔の欠場で、認定チャンピオンと成った。この在り方は任意団体都合で起こり得るもの。亜維二はタイトルマッチで勝たなければ真のチャンピオンとは言えない立場は理解しており、怒涛のTKO勝利で「これで皆、チャンピオンとして認めてくれたかな!」と安堵した様子。

“正規”ではあったが“認定”止まりから豪快TKOで皆が認めるチャンピオンへ成長した亜維二

◆第4試合 NJKFフライ級タイトルマッチ 5回戦

第14代選手権者初防衛戦.西田光汰(西田/2001.2.13愛知県出身/ 50.8kg)
14戦9勝(1KO)4敗1分
VS
挑戦者同級2位.明夢(新興ムエタイ/ 50.65kg)15戦5勝(1KO)7敗3分
勝者:西田光汰 / 判定3-0
主審:児島真人
副審:多賀谷49-46. 宮沢49-46. 中山50-47

6月8日予定だった初防衛戦は永井雷智欠場により、明夢とノンタイトル戦へ変更となった西田光汰は僅差判定負けだった。今回も挑戦者1位.永井雷智欠場で挑戦者は明夢となった。

今回は西田光汰が主導権を握った展開。西田のローキック、ボディーブローなど攻め優り、組み合っての圧力がインパクトを与えた。最終ラウンドは明夢も捨て身の前進。巻き返しには至らぬも、せめぎ合って終了。西田光汰が大差判定勝利し前回敗戦の借りを返した。

主導権支配した西田光汰がローキックで攻める、明夢に快勝。今後もライバル関係となるか

◆第3試合 55.0kg契約3回戦

HIROYUKI(=茂木宏幸/元・日本フライ級・バンタム級選手権者/RIKIX/1995.10.2神奈川県出身/ 54.95kg)
62戦42勝(22KO)16敗4分
VS
後藤和範(REALMuayThaiFitness/静岡県出身39歳/ 54.85kg)43戦14勝(4KO)28敗1分
勝者:HIROYUKI / KO 1ラウンド 2分0秒
主審:多賀谷敏朗

圧倒の展開を見せたHIROYUKI。蹴って来る後藤和範の動きが読めたか、左フックからローキック、右ストレートでノックダウン奪い、更に打ち合いの距離に誘い込み、立て続けの3ノックダウンで圧倒のノックアウト勝利となった。7月13日にジャパンキックボクシング協会興行でも初回ノックアウト勝利しており、円熟期を迎えたHIROYUKIの存在感が目立った。

◆第2試合 スーパーフェザー級3回戦

NJKFスーパーフェザー級6位.匠(KING/東京都出身23歳/ 58.65kg)
12戦8勝(2KO)3敗1分
VS
NJKFスーパーフェザー級7位.細川裕人(VALLELY/北海道出身23歳/ 58.95→58.9kg)
10戦6勝(1KO)3敗1分
勝者:細川裕人 / TKO 2ラウンド 2分26秒
主審:宮沢誠

◆第1試合 フライ級3回戦

植田琥斗(E.S.G/埼玉県出身18歳/ 50.15kg)4戦1勝3敗
VS
竹田奏音(TAKEDA/埼玉県出身16歳/ 50.0kg)1戦1勝(1KO)
勝者:竹田奏音 / KO 2ラウンド 1分25秒

《取材戦記》

存在感あったのは吉田凛汰朗のテクニックで剣夜を圧倒した勝利。豪快に倒して勝った亜維二。勝次をテクニックで優ったHIRO YAMATO。チャンピオンとしてこの地位を譲らない強さ、風格が身に付いた印象だった。来年はメインイベンターとしての登場も有り得るだろう。

武田幸三氏の総評は「ラストの試合はドラマではあったですね。興行的にはいろんな課題も有りつつ、でも人間のドラマをしっかり表現出来て、“THE NJKF”という形を見せました。そろそろ自力が付いて来たので、来年はもっと大きいこと、もうちょっと大きな会場で開催をチャレンジ出来ればと思っています、今回9割ぐらいのチケット売れたんですけど、まだ満員じゃないし、まだまだ皆の力の結集が必要なのかなと、皆の経験値でチャレンジしたいです。」と語り更に、「大田拓真はエースとして最後は倒したかっただろうし、今回はWBCタイトルが主役だったからメインを譲り、そこで大田くんの意地の反応観たかったですね。WBCムエタイはまた大きな発表もしていきます。」と語った。

興行終了後には武田幸三氏のTAKEDAジムの子供たちが後楽園ホールのゴミ集めなど掃除をして帰るという作業をしていた様子。皆が積極的に率先して掃除していた。これはこの子達が、将来に渡って会場を汚さない思想が定着していくだろうと思えました。大人になってからでは身に付き難い道徳心でしょう。

今回はいずれの試合も引分けが無くて良かった。WBCムエタイ戦はラウンドマストシステムで、他の試合によってはややこしい裁定があるのですが、文面が長くなるので今回は割愛します。いずれNJKFルールについては触れたいと思います。

NJKF CHALLENGER 11は11月30日(日)に後楽園ホールで開催予定です。今年の集大成としてメインイベンター争いも楽しみなところです。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」

1960年代 同志社ラジカリズムとは何だったのか?〈同志社大学学友会倶楽部2025年度 第11回ホームカミング・デーの集いご案内〉

鹿砦社代表 松岡利康

同志社大学学友会倶楽部2025年度 第11回ホームカミング・デーの集い
2025年11月9日(日)13時より(12時30分開場)
同志社大学今出川校地良心館 
参加自由(他大学の方もOK)参加費無料

◆同志社大学学友会倶楽部とは?

1960年代から70年代初めにかけての時代は、日本の転換期といわれ、高度成長下、政治、社会、文化・音楽面すべてにわたり大きな発展を遂げた時期でした。

その時代、私たちは同志社大学で青春のエネルギーを費やしました。当時東洋一といわれた旧学生会館での学術団、文連、放送局、新聞局、各学部自治会などで活動した私たちは、大学を離れても、なんとか親睦を深め記録に残す作業を行う目的で結成したのが「学友会倶楽部」で、30年ほど前から活動を行ってまいりました。

年に二、三度、なにかと機会を見つけ連絡を取り合い集まり歓談しておりましたが、2013年から、OBで、広く各分野で活躍している方を招いて講演会を開き毎回100名(最高200名余)前後の方々が全国から集まられ、コロナ禍で開催できない時期を除き盛況のうちに10回を開催することができました。

しかし、代表の堀清明氏や実行委員会スタッフの高齢化とこれに伴う健康不安により、所期の目標だった10回の講演会が終了したことなどで、重篤な持病を抱えつつ輝かしい同大学友会の運動とこの精神の継承のため長年頑張って来られた堀氏が代表を辞され実行委員会もひとまず解散、堀氏から松岡が代表を引き継ぎ本年から新たな態勢で幾分規模を小さくして再出発することになりました。堀氏の人格と経験に遙かに劣る松岡が果たして大任をこなせるか懸念されますが、学友会の歴史と精神を語り継ぐために精一杯奮闘いたします。

◆本年の企画概要

前記のように、同志社大学における文化・音楽、社会、政治(自治会)など多くの領域での活動は、わが国でもひときわ目立った存在でした。たとえば、文化・音楽面では、「関西フォーク」と呼ばれ一世を風靡しましたが、この中でも同志社大学は中心でした。岡林信康、はしだのりひこ、中川五郎(2018年ゲスト)、豊田勇造(2023年ゲスト)……。

また、ベトナム反戦運動の世界的拡がりの中で、「べ平連」(ベトナムに平和を!市民連合)の中心を担ったのも同志社の学生でした(私が入学した70年当時、学館別館1階にボックスがあり、学生会館ホールで開かれたべ平連主催の小田実やジェーン・フォンダの講演は衝撃でした)。

さらに学生運動においては、60年─70年の二つの反安保闘争、ベトナム反戦、沖縄返還問題が国民的関心となる中で、その圧倒的な戦闘性で全国の先進的学友を牽引しました。

こうした事実は、半世紀余りを経た今、いかなる意味を持ち、いかに歴史的評価をされるのか──このことが学友会倶楽部の一貫とした課題でした。

先にご紹介しましたが、1962年に同志社大学に入学された前田良典氏が先頃、いわば、みずからの“回顧録”として、当時の出来事や記憶などを書き溜めたものを編集し、後輩有志の協力を得てまとめ出版されました(書名『野の人』)。知らなかったことも多い内容です。

一般的には無名に近い方ですが、かの塩見孝也氏と同期で、当時の京都の学生運動に関わった方々、とりわけ同大OBの中では知る人ぞ知る方です。

今回は、その前田氏の著書を参考(資料)に、広く全国から同大OB、のみならず他大学OBの方や若い世代の方にもお集まりいただき、世界的にも国内的にも激動の時代だったといえる当時の出来事、そこにおいて同志社大学の学生はいかに行動したのか、「同志社ラジカリズム」といわれる比類なき急進性、戦闘性などについて語り合いたいと考え、今年は標記のテーマを設定いたしました。

ウクライナやパレスチナでの戦争が続き、60年代と似たような情勢になりつつある中で、私たちが後世に語り継ぐものとは? 私たちは老いても問い続けます。このたびの企画もその一環として開かれます。

◆当日の開催場所、時間 

所:同志社大学今出川校地 良心館(現在教室番号未定。10月半ばに同志社大学ホームカミングデーのホームページにて公表とのこと。当日、良心館の入口でもご案内の予定です)
時間:12時30分 開場 受付開始
   13時00分 開始 
   16時00分 終了 

◎主催:同志社大学学友会倶楽部              
〒663-8178 兵庫県西宮市甲子園八番町2-1-301 (株)鹿砦社気付
電話0798-49-5302 FAX0798-49-5309 メールmatsuoka@rokusaisha.com
代表・松岡利康(1970年文学部入学。71年文学部自治委員、72年文学部自治会委員長、73年第98回EVE[大学祭]実行委員長)

《10月のことば》慌てず騒がずじっと手を見る

鹿砦社代表 松岡利康

《10月のことば》慌てず騒がずじっと手を見る(鹿砦社カレンダー2025より。龍一郎揮毫)

「慌てず騒がず」どころか、今回は慌て騒がざるをえません。

先にお知らせしましたように、龍一郎がガンで倒れ左肺の半分を取る手術をするとのことでした。先にお知らせした文面の末尾に「追記」を記しましたが、末尾ということもあってほとんどの方が読まれていませんでしたので、手術後送られてきた龍一郎からのメールを再掲載いたします。

「心配かけて申し訳ない。24日に手術は無事終わりました。手術後の諸々も順調に進んでいます。頑張ります」(9・26,PM17:37)

ひとまずホッと一安心ですが、思い返せば、14年半前の東日本大震災後、フクシマ(の方々)に寄り添り龍一郎の力強い言葉と筆致で激励していこうという主旨で、大学の後輩で書家・の龍一郎と共に、私たちなりの想いを込めたカレンダーを、その年の暮れから毎年お届けしてまいりました。最初は1000部で、主に『紙の爆弾』の定期購読者、営業で回る書店の方々、主な取引先や熱心な読者の方々に、一部の方には、これも龍一郎揮毫のエコバッグに入れて手渡してきました。

大変好評で現在は、『紙の爆弾』の定期購読者が増え『季節』も創刊したことで、1700部を製作・配布しています。

無料ですが、これにかこつけてカレンダーだけをくれという方はお断りしています。昨年もありました。一方で身銭をきって(中には貴重な年金の中から)雑誌を定期購読されている方がいらっしゃるわけですから。私たちがなんで無料にこだわって、このカレンダー を作り届けて来たのかの意味がまるで理解されていない人たちには送りたくありません。カネにあかしてタダで配っているんじゃないぞ!このかんは苦しくてもタダで配っていることの意味を知れ! 

途中から『季節』(当時『NO NUKES voice』)も創刊し、年末に『紙の爆弾』『季節』を発送する際に同封して来ました。これが毎年年末の“恒例”の作業でした。

来年は東日本大震災、そしてこれによって惹き起こされた福島第一原発爆発から15年になります。このこともあり、来年のカレンダーまでは何としてもお届けしたいです。万が一、龍一郎が書けなくなり、鹿砦社が潰れても、15年間ずっと、カレンダーという形で、私たちの想いを伝えて来たという足跡は残り、私たちが知る少数の方であってもこのカレンダーで私たちの想いが伝わっているのは事実なわけで、私たちはそれで清々しい気持ちで一杯です。世の中には、商売ではない人の営みもあるのです。

ガンと闘う魂の書家・龍一郎を応援しよう!

鹿砦社代表 松岡利康

10年以上毎年、福島への応援の想いを込めて鹿砦社カレンダーを揮毫してくれる、大学の後輩で書家の龍一郎から9月18日、下記のようなメールが届きました。手術前に騒ぎたくないと、しばらく伏せておきました。まだ術後の経過は連絡ありませんが、心の中で龍一郎を応援しましょう! 応援してください! 

龍一郎は5年ほど前には大動脈解離で倒れ、次いで連れ合いをガンで亡くしています。彼は、若い頃、一昨日触れた同志社大学学友会で活動し、その後、郷里に帰り教職に就き、全国的に有名になった「ゲルニカ事件」に巻き込まれ、一貫として生徒を信じ生徒の側に立って、全国の心ある先生たちや父兄らと共に最高裁まで裁判闘争を闘いました。頑張れ、龍一郎! (ゲルニカ事件にについて、以前に講演会をやった際の資料が残っていましたので参考にしてください)

「昨日 肺がんの手術が決まりました。
来週 24日です。左肺の半分を切り取ります。
8月のレントゲン撮影で左肺に小さなガげが見つかりました。
それから検査を重ね肺がんと断定されました。
そして昨日手術の予定が決定しました。
さて。カレンダーです。
今年が最後になるかもしれません。
松岡さんの言葉を気合を入れて書きたいと思っています。
半分ほどはもう書いております。
手術後の状態がどのようなものになるか分かりません。
体調がいい時をカレンダー作りに集中するつもりです。
よろしくお願いします。
龍一郎」

【追記】
龍一郎より先ほど(9・26,PM17:37)次のようにメールありました。
「心配かけて申し訳ない。24日に手術は無事終わりました。手術後の諸々も順調に進んでいます。頑張ります」
ひとまずホッと一安心です。闘争勝利!

政斗がラストファイトで盛り上げたKICK Insist24

堀田春樹

昨年の王座奪取も豪快だった政斗が激しい攻防を制して初防衛も引退へ。

◎KICK Insist.24 / 9月15日(月・祝)新宿フェース(開場17:00 / 開始17:30)
主催:(株)VICTORY SPIRITS、ビクトリージム
認定:ジャパンキックボクシング協会(JKA)

第8試合  ジャパンキック協会ウェルター級タイトルマッチ 5回戦
チャンピオン初防衛戦.政斗(=黒澤政斗/治政館/1992.7.17東京都出身/ 66.6kg)
35戦19勝(5KO)13敗3分
       VS
挑戦者同級2位.細見直生(KICK BOX/ 66.55kg)5戦4勝(1KO)1敗
勝者:政斗 / 判定3-0
主審:椎名利一
副審:勝本48-46. 西村48-46. 中山48-45

初回、様子見から先手を打つ細見直生の右ストレートで政斗がマットに手を付いた。すぐに立ち上がったところへ細見が攻め込もうとしたが、すでにノックダウン扱いで、レフェリーが割って入った。政斗にダメージは無さそうで、政斗は組んでのヒザ蹴り加えた落ち着いた試合運びに移っていった。

政斗のミドルキックに顔を歪める細見直生

第2ラウンド以降も激しさ増していく蹴りとパンチの攻防の中、政斗の首相撲からのヒザ蹴りとヒジ打ちも加わりしつこく攻め込んでいく。細見直生も手数で劣らず攻め込むが、政斗の圧力に打つ手が無くなっていく。両者のパンチとヒジ打ちの激しい攻防は顔面が斬れる流血に移っていく中、。焦る細見は必死の形相に変わっていった。

政斗も流血から底力を見せた
気合いを入れた両者、政斗と細見直生の必死の打ち合い

最終ラウンドまで政斗の主導権支配は変わらず、初回のノックダウン以後は全て奪った政斗が判定勝利で初防衛に成功した。

勝利者インタビューに応える政斗が引退宣言で、「辞めるの~?」とは細田リングアナ

リング上、細田昌志リングアナウンサーのインタビューが始まり、初回にノックダウン奪われ、劣勢のスタートとなったことについては、
「ちょっと泥臭い試合になったんですけど、絶対やり返すと最後まで諦めないで頑張って立ち続けて勝てました。」

第3ラウンド以降、ミドルキックが当たり始め、ペースを取り戻したことについては、
「ミドルは練習どおりの技が使えて嬉しかったです。やっとペースが自分の方に流れて来たので、維持すれば勝てると思ったので頑張りました。」

細見直生選手の印象については、
「やっぱりパンチは注意していたんですけど、一発いいの貰っちゃって倒れたんですけど、そんなダメージは無かったので、この後やり返そうという気持ちでいっぱいでした。」

最終第5ラウンドを迎えた時の心境は、
「今日で現役最後なんですけど、最後の3分間と思って戦いました。最後という意識を持って今迄練習に励んで来ました。初防衛戦して引退しようと思っていました。なので夢を叶えて凄く嬉しいです。」

感謝を伝えたい師範と婚約者を迎え、飯塚健師範には、
「15歳でキックボクシングを始めてチャランポランばかりだった僕をずっと最後まで見捨てないでここまで導いてくださって本当に有難うございました。ここまで僕を育ててくれた師範がチャンピオンです。」と飯塚健師範の腰にチャンピオンベルトを巻いた。

婚約者には、
「10月に結婚式決まってるけど、もう一回想いを伝えたくて、ここでプロポーズです。今迄現役中、良い時も悪い時もずっと傍で支えてくれて本当に有難うございました。これからは俺が支えてあげられるように頑張るから、これからも宜しくお願いします。結婚しよう、愛してるよ!」と公開プロポーズでメインイベントを締め括った。

師範の飯塚健氏はかつて新妻聡(目黒)と対戦した元・日本ライト1位。自分は目黒ジムの選手に結構負けているんで、細見直生選手は鴇稔之さんのKICKBOXジムで目黒直系だし、今回は何とか弟子が勝って雪辱したい気持ちもありました。そんな想いも叶えてくれて嬉しいです。」という感無量だった様子。

治政館ジムの長江政人会長は「政斗は怪我が多いので一旦辞めて、もしかしたら、またやりたくなったら戻って来る選択もあるかもしれませんね。」と引退を労いつつ、先行きは分らないがそんな期待も語っていた。

◆第7試合 65.0kg契約3回戦

ペップンミー・ビクトリージム(元・タイ国ムエサヤーム・イサーン地方フライ級2位/タイ/ 64.6kg)
       VS
コムキョウ・シット・ボーチョーウォー(元・タイ国ムエサヤーム・中部地方スーパーフェザー級Champ/タイ/ 65.0kg)
勝者:ペップンミー・ビクトリージム / 判定3-0
主審:勝本剛司
副審:椎名30-29. 西村30-29. 中山30-28

ムエタイテクニシャンらしい攻防が続く両者。日本人との対戦も多いコムキョウ。しなやかな蹴りが目立ったコムキョウ。ペップンミーも前進して蹴り込み、採点は見極めが難しい中、やはりジャッジ三者が揃ったラウンドは無い僅差だった。

◆第6試合 ライト級3回戦

ジャパンキック協会ライト級1位.興之介(治政館/1988.12.17東京都出身/ 61.23kg)
25戦12勝(4KO)12敗1分
       VS
YUGA(エイワスポーツ/1999.11.19神奈川県出身/ 61.0kg)3戦3勝(1KO)
勝者:YUGA / KO 2ラウンド 1分56秒 /
主審:西村洋

初回、距離取った蹴りからパンチの牽制からYUGAの左フックか、スリップ気味に興之介を崩した。そこからYUGAがリズムを掴んだ様子。

第2ラウンドもYUGAが左フックで最初のノックダウンを奪った後、更に左ハイキックがヒットすると再びノックダウンした興之介。飛び蹴りを見せるなど攻め返す力は残っていたが、今度はYUGAの右ハイキックが興之介の側頭部を捕えると興之介は倒れ込み、3ノックダウンでYUGAのノックアウト勝利となった。

YUGAのハイキック、すでにダメージあった興之介は崩れ落ちた

◆第5試合 女子ミネルヴァ・ピン級3回戦(2分制)

アトム級1位.祥子JSK(治政館/1983.12.3埼玉県出身/ 45.7→45.36kg)32戦10勝19敗3分
          VS
ペーパー級1位.上真(ROAD MMA/1985.10.16石川県出身/ 44.8kg)19戦6勝11敗2分
引分け 0-1
主審:中山宏美
副審:椎名29-29. 勝本29-30. 西村29-29

初回早々からの蹴りやパンチや組み合う攻防は上真がやや圧力掛ける前進。祥子はやや下がり出遅れた印象も、第2ラウンド以降も手数減らない両者の攻防は祥子のミドルキックが目立った。ジャッジ三者が揃ったのは上真に付けた初回のみ。僅差の攻防は引分けとなった。

上真vs祥子JSKの接戦の攻防は引分けに終わる

◆第4試合 62.0kg契約3回戦

ジャパンキック協会ライト級4位.古河拓実(KICKBOX/ 61.8kg)8戦7勝(4KO)1敗
          VS
ソムプラユン・ヒロキ(=緑川広樹/DANGER/ 63.0→62.7kg計量失格 減点1)
10戦2勝8敗

勝者:古河拓実 / KO 2ラウンド 1分34秒 /
主審:椎名利一

ローキックからパンチの様子見の両者。次第に古河拓実のパンチでソムブラユン・ヒロキがバランスを崩し、ヒザ蹴りを貰ってしまう展開に移った。

第2ラウンドも蹴り合いは古河拓実が優る展開。更に古河拓実の左ストレートから連打、ヒジ打ちからヒザ蹴り連打でノックダウンを奪った。更にヒザ蹴り連打で2度目のノックダウン。飛び気味のヒザ蹴りから右ストレートで3ノックダウンとなって古河拓実がノックアウト勝利となった。ソムブラユン・ヒロキは計量失格の様子から体調も気力も精彩無い感じに見えた。

蹴りの圧力で優った古河拓実。出遅れ劣勢に陥るソムブラユン・ヒロキ

◆第3試合 フェザー級3回戦

ジャパンキック協会フェザー級5位.海士(ビクトリー/ 57.0kg)6戦4勝2敗
       VS
鈴木ゲン(拳心館/ 56.8kg)15戦6勝(4KO)8敗1分
勝者:海士 / 判定3-0
主審:勝本剛司
副審:椎名30-27. 中山30-27. 西村30-27

パンチと蹴りの攻防はスピードある海士が優る展開。スピード劣る鈴木ゲンはバランス悪く出遅れる。打たれ蹴られ劣勢になっても大きなダメージは無いのか、鈴木ゲンの倒れないしぶとさと蹴り返す頑張りはいつもどおりだった。倒しに行けない海士の方がパワー不足と感じるも全てのラウンドを海士が制したジャッジ三者が揃う大差判定勝利となった。

海士のボディーブローがヒット、打たれても最後まで倒れない鈴木ゲンだった

◆第2試合 66.0kg契約3回戦

三澤悠太郎(市原/ 64.55kg)2戦1勝(1KO)1分
       VS
TYLER(エイワスポーツ/ 65.3kg)1戦1敗
勝者:三澤悠太郎 / KO 1ラウンド 1分54秒 /
主審:西村洋

蹴りの攻防から三澤悠太郎が右ストレートでTYLERからノックダウンを奪うと、倒す距離感を掴んだ三澤悠太郎が立て続けにパンチ連打で3ノックダウンを奪ってノックアウト勝利となった。打ち返す展開も見せたTYLERだったが、距離感が悪かった。

三澤悠太郎がTYLERから3ノックダウン奪って速攻のKO勝利を飾った

◆プロ第1試合 フェザー級3回戦

BANKI(竹森万輝/治政館/2008.2.15埼玉県出身/ 56.8kg)2戦2勝(1KO)
         VS
ゲンキ・ノーナクシン(ノーナクシン/ 57.0kg)6戦2勝4敗
勝者:BANKI / 判定3-0 (30-28. 30-28. 30-28)

テクニシャンの攻防を見せる初回の両者。デビュー戦で魅せた右ハイキックも鮮やかに繰り出すBANKI。今回は簡単にはヒットさせないゲンキのディフェンスが強かった為、やや苦戦の流れもあったBANKI。展開に大きな差は無かったが、BANKIのハイキック、グローブの上からでも蹴りがやや優る攻勢でBANKIがデビュー後2連勝を飾った。

BANKIの鋭いハイキックが繰り出されるもゲンキもテクニックで対抗した

アマチュア3試合は割愛します。

《取材戦記》

今回のタイトルマッチが注目のカードだったKICK Insist.24“ジャパンキック協会ウェルター級タイトルマッチ”と謳っていますが、願わくば純粋に“日本ウェルター級タイトルマッチ”と謳いたいところでしょう。ここが分裂を繰り返して来た多くの団体の宿命です。

昨年3月24日、大地フォージャーを壮絶なノックアウトで王座奪取した政斗だったが、今回の初防衛戦は判定ながら、ノックダウン喫してからジワジワと巻き返しの激闘を制した。

長年のキャリアが活かされた政斗の底力。細見直生はまだ5戦目で政斗攻略法が出来上がっていなかっただろう。次の王座に臨むのは細見直生が再度挑むか、前チャンピオン、大地フォージャーが復活するか。ここはまだ予測するのは早いかな。

今回のセミファイナルに出場したタイ選手に「元・タイ国ムエサヤーム・パーカン」という経歴がありました。ムエサヤームというのは、専門誌のムエサヤームを冠にした各地方のムエタイ有識者による組織ごとの王座で、パーカンはPark・klang(パーク・クラーン)が正しく、パークは方向、クラーンは中央部で、タイの中部地方を指します。パーク・イサーンは東北部。パーク・ヌア(北部)、パーク・ターイ(南部)、パーク・タワンオーク(東部)などがあり、地方の若手選手達の登竜門的な王座でもあるようです。

ジャパンキックボクシング協会次回興行は11月23日(日)に後楽園ホールに於いて開催されます。睦雅と瀧澤博人のビッグマッチが見込まれています。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」