堀田春樹
メインイベンターに起用された大月慎也、あっけなく敗退!
安河内秀哉はアグレッシブに攻めるも倒し切れない圧勝。
◎NKB爆発シリーズvol.6 最終戦 / 12月13日(土)後楽園ホール17:15~20:15
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会
戦績はプログラムを参照し、この日の結果を加えています。
◆第10試合 65.5kg契約 5回戦
セーンダオレック・スターライトジム(元・タイ国イサーン地方覇者/2003.1.24タイ・サコンナコーン出身/ 65.25kg)204戦162勝(58KO)37敗5分(推定)
VS
大月慎也(Team arco iris/1986.6.20埼玉県出身/ 65.3kg)28戦11勝(9KO)13敗4分
勝者:セーンダオレック / TKO 1ラウンド 2分5秒
主審:前田仁
セーンダオレックは2024年4月に重森陽太に判定負け。6月に大谷翔司にTKO勝利も12月に大谷と再戦もTKO負け。大月慎也は前戦の10月18日、小磯哲史(テッサイ)にTKO負け。再起を期して今回は初のメインイベンターとして出場。
両者、軽い蹴りで距離を計る様子見はセーンダーオレックの間合いの取り方が上手い。大月慎也の蹴り終わりを狙った左ストレートで後退させるとパンチヒジ打ちの連打で追い込む。大月は左眉尻を切られた様子で、セーンダーオレックは組み付いてのヒザ蹴り、左フックが当たったか、大月は崩れ落ちノックダウンとなった。

勢いづくセーンダーオレックは大月を追い回し、パンチヒザ蹴りを使い分け、ロープ際に追い込んで左ミドルキックからヒジ打ちパンチと対しに掛かるとレフェリーが割って入り試合をストップ。大月はTKO負けとなった。
大月慎也は試合後、「セーンダーオレックはメチャクチャ強いですね。パンチは見えているので行けると思った矢先、首相撲の展開になった瞬間にヒジ打ちが来たんです。全然見えなかったです!」と語り、このカットがあった為、連打受けた際、レフェリーに止められた模様である。

◆第9試合 フェザー級3回戦
ホワッチャイ・スガ・スターライトジム(2004.1.20タイ・サコンナコーン出身/ 56.6kg)
101戦90勝7敗4分(推定)
VS
安河内秀哉(RIKIX/2003.10.7東京都出身/ 56.95kg)16戦11勝(5KO)4敗1分
勝者:安河内秀哉 / 判定0-3
主審:笹谷淳
副審:PIRIKA 29-30. 関勝28-30. 前田28-30
ホワッチャイは初来日。安河内は8月3日、大阪でNKBバンタム級2位 雄希(テツ)と対戦して引分け。
初回、少々のローキックで様子見の後、前進し始めた安河内秀哉。ホワッチャイの蹴りに動じず距離を詰めて蹴っていく。顔面前蹴りからパンチ連打、ホワッチャイの下がり気味、ロープを背にする展開は変わらずも、クリーンヒットを許さずしっかり蹴り返す技はムエタイ熟練者の技である。
第2ラウンド以降も安河内が蹴りからパンチで追うも、接近戦ではホワッチャイのヒジ打ちを警戒してか、強引に打ち合う展開には至らない。終始追い回しても仕留めるには程遠い展開となったが安河内が攻勢を維持した順当な判定勝利。
セコンドの石井宏樹氏は「追い詰めた時にどう仕留められるかがこれからの課題です。タイ選手はこういう逃げの体勢は上手いですから!」と語った。


◆第8試合 フェザー級3回戦
NKBフェザー級5位.半澤信也(Team arco iris/1981.4.28長野県出身/ 57.15kg)
36戦11勝(4KO)20敗5分
VS
堀井幸輝(ケーアクティブ/1996.11.7福岡県出身/ 56.8kg)8戦5勝(1KO)2敗1分
勝者:堀井幸輝 / KO 1ラウンド 2分27秒
主審:PIRIKA
蹴りとパンチの様子見から堀井幸輝の右ストレートで半澤信也が脆くもノックダウン。再開後、飛びヒザ蹴りで牽制。更にローキック。距離が縮まると右ストレート。半澤は脚が効いている様子があり、堀井の内股ローキックでスリップダウンする半澤。更にパンチで圧し、攻勢を続けた堀井が立て続けに右ストレートでノックダウンを奪い、3ノックダウンとなって堀井のノックアウト勝利となった。


◆第7試合 バンタム級3回戦
シャーク・ハタ(=秦文也/テツ/1987.10.20大阪府出身/ 52.75kg)11戦4勝4敗3分
VS
磯貝雅則(STRUGGLE/1986.11.29東京都出身/ 53.4kg)8戦2勝5敗1分
引分け 0-1
主審:関勝
副審:笹谷29-29. 前田29-29. PIRIKA 29-30
両者、牽制のローキックからパンチの展開。磯貝雅則は接近戦ではヒザ蹴りを入れるがシャーク・ハタもバックハンドブローも使い、アグレッシブな前進が目立った。第2ラウンド以降も多彩に攻め合うが、差は付き難い展開が続いた。各ラウンドで磯貝のヒザ蹴りはやや攻勢のインパクトあったが勝利に導くには至らず。

◆第6試合 ウェルター級3回戦
安田学登(クボ/1995.9.14群馬県出身/ 66.65kg)12戦7勝4敗1分
VS
ソムプラユン・ヒロキ(DANGER/1997.3.25茨城県出身/ 65.8kg)11戦3勝(1KO)8敗
勝者:ソムプラユン・ヒロキ / TKO 2ラウンド 1分40秒
主審:鈴木義和
初回は安田学登が前蹴り左ミドルキックでリズム掴みパンチを加えて主導権支配。第2ラウンドも安田の勢いは衰えずも、ソムブラユン・ヒロキもローキックで前進。やや劣勢もパンチの距離に入った中、右フックのクロスカウンター一発で倒したソムブラユン・ヒロキ。カウント中のレフェリーストップとなり、意外な逆転TKO勝利となった。

◆第5試合 フライ級3回戦
滑飛シオン(テツ/2007.6.28岡山県出身/ 50.65kg)4戦2勝(1KO)2敗
VS
緒方愁次(ケーアクティブ/2004.1.6東京都出身/ 50.7kg)5戦3勝2敗
勝者:滑飛シオン / 判定3-0
主審:PIRIKA
副審:前田30-26. 関勝30-26. 鈴木30-27
初回のパンチとローキックで先にリズム掴んだのは滑飛シオン。第2ラウンドには緒方愁次の飛びヒザ蹴りに右ストレートカウンターでノックダウンを奪った。ダメージは小さいがスリップ気味で身体が流れた尻餅ダウンではあった。第3ラウンドもシオンの優勢維持。展開は変わらずシオンが判定勝利。

◆第4試合 63.0kg契約3回戦
菅野登生(テツ/2005.11.2兵庫県出身/ 62.4kg)2戦2勝(1KO)
VS
清水和也(アルン/2003.9.22新潟県出身/ 62.9kg)6戦2勝3敗1分
勝者:菅野登生 / 判定3-0
主審:笹谷淳
副審:関勝30-28. 前田30-29. PIRIKA 30-29
蹴りとパンチの探り合いのアグレッシブな攻防が続く。前進してパンチラッシュする清水和也と下がりながらも左ストレートカウンターとミドルキック、ハイキックのリズムが攻勢を維持して菅野登生が判定勝利。
◆第3試合 フェザー級3回戦
鈴木ゲン(拳心館/1973.6.5新潟県出身/ 56.65kg)16戦6勝(4KO)9敗1分
VS
加藤宙(神武館/2008.11.26埼玉県出身/ 56.75kg)2戦2勝(2KO)
勝者:加藤宙 / TKO 3ラウンド 1分5秒
主審:鈴木義和
初回早々からパンチで猛攻掛ける加藤宙だが、鈴木ゲンがロープに詰まりながらも凌いで蹴って体勢を立て直していく。スピードある加藤のヒジ打ちで鈴木ゲンは額を切られるが、ミドルキックやヒザ蹴りで立て直す頑張りは見せた。
第2ラウンドも加藤は我武者羅なパンチとヒジ打ちで鈴木は流血と右目辺りが腫れだす。第3ラウンドには鈴木ゲンの左目が腫れて塞がり、左頬もコブが出来るなど出血もありドクターの勧告を受入れレフェリーストップとなった。35歳差対決はスピードある加藤とテクニックは無いが、ジワジワ蹴りとヒザ蹴りで巻き返そうとする鈴木のアグレッシブな頑張りを見せた。

◆第2試合 53.75kg契約3回戦
風間 祐哉(WSR三ノ輪/1997.7.17石川県出身/ 53.4kg)7戦1勝4敗2分
VS
早川曜平(ケーアクティブ/1994.1.13千葉県出身/ 53.0kg)4戦2勝1敗1分
勝者:早川曜平 / 判定0-3
主審:関勝
副審:笹谷29-30. PIRIKA28-30. 鈴木29-30
◆プロ第1試合 62.0kg契約3回戦
大利一真(テツ/1991.7.1大阪府出身/1981.5.30大阪府出身/ 61.35kg)3戦1勝1敗1分
VS
藏田浩二(SRK/1981.5.50大阪府出身/ 61.75kg)1戦1敗
勝者:大利一真 / 判定3-0
主審:前田仁
副審:笹谷29-28. PIRIKA29-28. 鈴木29-28
◆アマチュア第3試合 問答無用 東西対抗戦50.0kg級2回戦(2分制)
関東推薦選手.齋藤日吉(MAX FIGHTING SPORTS/2010.6.16福島県出身/ 49.4kg)
VS
関西王者.小西谷琉(ROYALKINGS/2010.12.3 兵庫県出身/ 49.25kg)
勝者:齋藤日吉 / 3R三者三様 延長2-1(19-19.10-9 / 20-19.10-9 / 19-20.9-10)
◆アマチュア第2試合 問答無用 東西対抗戦47.0kg契約2回戦(2分制)
45kg級関東王者.宮城壮一朗(FREEDOM@OZ/2012.2.17埼玉県出身/ 46.5kg)
VS
45kg級中四国王者.山本椅央(武魂會/2011.9.17岡山県出身/ 45.7kg)
勝者:宮城壮一朗 / 判定3-0 (20-19. 20-19. 20-19)
◆アマチュア第1試合 問答無用・関東33kg級キッズタイトルマッチ2回戦(2分制)
関東33kg級王者.山川樹(マスターズピット/2013.4.20千葉県出身/ 32.5kg)
VS
挑戦者.YU-NA(キング/2012.8.21東京都出身/ 31.7kg)
勝者:YU-NA / 判定0-2 (19-19. 18-20. 19-20)
《取材戦記》
予定されていましたバンタム級3回戦、杉山海瑠(HEAT)は高熱による体調不良で欠場。試合は中止。対戦者、雄希(テツ/53.1kg)は計量をパスし形式上勝者扱い(発表は不戦勝)。
センダーオレックと対戦したい選手は他にも居たようでしたが、今月や来月に試合を控えた選手の為、スケジュールが合わず、今回は大月慎也が出場となった模様です。
今回、NKB史上初の女性レフェリーが起用。PIRIKAさんの最近はMuayThaiOpenでレフェリーを務めていました。画像にある堀井幸輝KO勝利の瞬間はレフェリーの良い見本。すぐ勝者の手を上げるのではなく、まず敗者を保護することが優先。これがしっかり出来るのはプロボクシングJBCにおける全レフェリー。キックボクシングでは、最近は改善されてきましたが、ダメージある敗者を放りっぱなしにするレフェリーは今も存在します。PIRIKAはしっかり半澤信也を支えに入っていた。しっかり基本を教えられてきた土壌があったのだろう。今後もNKBには起用が見込まれます。
従来からの日本キックボクシング連盟において、チャンピオンにまで到達しながら団体離脱する選手は一定数存在します。最近では蘭賀大介や杉山空など、幅広い分野で自分の力を試したくなるのは自然の心理。先行きを見守りたいものです。
2026年の日本キックボクシング連盟興行は2月21日(土)、4月18日(土)、6月20日(土)、10月10日(土)、12月12日(土)にいずれも後楽園ホールで開催と、8月2日(日)に大阪176BOXに於いてテツジム主催興行と、年間6回予定されています。
2月21日はNKBウェルター級タイトルマッチ、チャンピオンカズ・ジャンジラ(Team JANJIRA)vs挑戦者.どん冷え貴哉(TOKYO KICK WORKS)戦が行われます。
時代が移り変わり、日本キックボクシング連盟も世代交代が進み、鎖国的な態勢から少しずつ体制が変わって来ました。2026年も新たに何が起こるか期待したいものです。
▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」
