8月2日(日)、東京都渋谷区で安保関連法案(戦争法案)に反対するデモが行われた。
主催したのは、SNSやネットを通じて集まった高校生約30名が立ち上げた「T-nsSOWL(ティーンズソウル)」だ。日曜日の渋谷の街を練り歩き、安保法案の反対と選挙権の18歳以上への引き下げの二大テーマについて、同世代への関心を高めるために呼びかけた。
高校生に対しては制服での参加が推奨されたり、スピーチでは「テレビカメラやパソコンの前にいる高校生」に対しての言及もあり、主催者は街を歩く人はもちろんネットでの写真や映像の拡散を明確に意識していた。またSNSでの告知には「#制服デモ」のハッシュダグが用いられ、早い段階から主催と参加者の双方でどのようなデモのビジュアルを作るかが共有されていた。


当日参加した約5,000名の中には大人の姿も多く見られたが、彼らは主催側の意図を理解して多くは後ろの梯団に回って、「先頭を行く子供達、後方を支える大人達」という画作りに積極的に協力した。デモ隊のゴールシーンでは先に到着した高校生たちが大人達を迎えていた。
高校生の呼びかけで生まれた世代間の繋がりを是非とも映像で感じて欲しい。


[動画]戦争法案に反対する渋谷・高校生デモ – 2015.8.2(21分8秒)

このデモを呼びかけた男子高校生は、サウンドカー上からこう言った。

「僕は少し前まで高校生が政治や憲法に興味を持つ事はどこか違和感があると感じていました。
ですが、こうやって活動している中で、僕は思いました。
高校生に政治に関心を持たせないようにしているのは社会の空気だと。
だから今、学校では政治の話はタブーになりつつあります。
早ければ来年の夏、選挙権が18歳に引き下げられます。
今こそ高校生が政治について関心を持たなければならないんじゃないんでしょうか。
このままでは『まあ選挙権を取ったから、とりま選挙に行ってみるけど、
どこに入れていいか分からないし、大きいし自民党でいいや』と、
そういう票を伸ばす結果になってしまい、
そういう人が増えれば増えるほど、権力者が喜ぶのです。
何故かって、それは何も考えずにただ票を入れてくれるんだから知らぬ間に、
暮らしづらい社会になってしまうんじゃないかと、僕は思います。
だから、僕らは今回高校生に興味を持ってもらうため、
高校生が参加しやすいデモを企画し、実行しました。
このデモをきっかけに、今日来てくれている高校生や、
今渋谷の街を歩いている高校生や、今テレビカメラやパソコンの前にいる高校生に、
『僕らが有権者である』っていうことと、
僕らが今後、安倍みたいな独裁者を止め、歯止めする、
そういう人達になるんだという重要さとチャンスを少しでも感じてもらいたいなと思います」

このスピーチを聞けば、彼らがしっかり考えて行動を起こしたことが充分に分かると思う。
しかも、相当に勇気を出して、人前に立つことを決めたはずである。それは「最初の一歩を踏み出す不安」よりも「安倍政権が国民に抱かせる不安」の方が遥かに大きいから、全国各地で若者たちの反対の声が上がっているのだろう。

高校生から老人まで、ありとあらゆる世代がこの法案に反対の声を上げている。それが今の日本だ。政権は反対の声を聞け。


[2015年8月2日(日)・東京都]

▼秋山理央(あきやま りお)
1984年、神奈川県生まれ。映像ディレクター/フォトジャーナリスト。
ウェブCM制作会社で働く傍ら、年間100回以上全国各地のデモや抗議を撮影している現場の鬼。
人々の様々な抗議の様子を伝える写真ルポ「理央眼」を『紙の爆弾』(鹿砦社)で、
全国の反原発デモを撮影したフォトエッセイ「ALL STOOD STILL」を『NO NUKES voice』(鹿砦社)にて連載中。

《ウィークリー理央眼》
◎《019》戦争法案に反対する若者たち VOL.13 福岡
◎《018》戦争法案に反対する若者たち VOL.12 福島
◎《017》戦争法案に反対する若者たち VOL.11 長崎
◎《016》戦争法案に反対する若者たち VOL.10 津
◎《015》戦争法案に反対する若者たち VOL.9 熊本

タブーなき月刊『紙の爆弾』最新号7日発売開始!

『NO NUKES voice』第5号amazon.co.jpでも発売中!

するな戦争!止めろ再稼働!『NO NUKES voice vol.5』創刊1周年記念特別号!