さとうしゅういち
我らが広島東洋カープ。私・佐藤周一はカープ初優勝の1975年に福山で生まれ、東京での小学校時代に、広陵高校出身の被爆者の担任の先生に平和とカープはしっかり叩き込まれました。そのカープは広島市民球場(マツダスタジアム)の指定管理者であり、単なる民間企業ではなく公共性を背負う組織です。その球団が、羽月元選手の薬物事件の説明責任を果たせず、交流戦6連敗という実力面の危機にも直面しています。こうした状況の中で、「オーナー一族経営の限界」を指摘する声が、市民の間で静かに、しかし確実に広がっています。
◆オーナー一族経営の強みと弱み
カープの歴史は、松田家を中心としたオーナー一族の献身によって支えられてきました。これは事実であり、功績でもあります。しかし、同時に閉じた経営構造が透明性を損ない、説明責任の弱さにつながっているという指摘も根強くあります。
不祥事への対応が遅い
情報公開が不十分
意思決定が属人的
外部の視点が入りにくい
こうした構造的な弱点は、今回の羽月事件で一気に表面化しました。
◆「市民が株を持つ」 ── 市民参加型経営という選択肢
広島では以前から、「市民が株を持ち、経営に参画できる仕組みを」という声があった。これは単なる理想論ではありません。
●実例がある
・FCバルセロナ(スペイン)
・グリーンベイ・パッカーズ(NFL)
・ドイツの“50+1ルール”による市民参加型クラブ
世界では、市民がオーナーシップを持つスポーツクラブは珍しくない。
●広島に合う理由
カープは地域密着球団市民の愛着が強い指定管理者として公共性が高い市民の監視が透明性を高める市民が株主となり、経営に一定の発言権を持つ仕組みは、球団の公共性と透明性を高める現実的な選択肢である。
◆指定管理者制度との相性
カープは市民球場の指定管理者であり、市民の財産を預かる立場にある。であれば、市民が経営に参画する仕組みは制度の理念とも一致する。公共性の確保説明責任の強化経営の透明化不祥事の抑止市民の信頼回復これらは、市民参加型経営によって大きく前進する。
◆いま必要なのは「議論を始めること」
私は断言しない。「市民株主制度が唯一の正解だ」とは言わない。しかし、議論を封じることこそ最大のリスクだ。オーナー一族経営を続けるのか? 外部取締役を増やすのか? 市民株主制度を導入するのか? 指定管理者の更新条件を見直すのか? 広島市、市議会、球団、市民が開かれた議論を始める時期に来ています。
◆広島の球団は、広島の市民とともにあるべきだ
カープは広島の誇りであり、広島の象徴であり、広島市民の財産を預かる存在です。だからこそ、閉じた経営ではなく、開かれた経営へ。実力の立て直しと同時に、倫理と透明性の改革を進めるためにも、市民参加型の経営モデルは真剣に検討されるべき時期に来ています。
◆カープは市民球場の指定管理者 ── 公共性を自覚し、膿を出し切れ
そもそもカープは、ただの民間企業ではありません。広島市民球場 ── マツダスタジアムの指定管理者です。つまり、市民の税金で整備された球場を預かり、市民の財産を管理し、市民の信頼の上に成り立つ、公共性を持つ組織なのです。
市役所と同じレベルの透明性、説明責任、倫理性が求められる。これは制度上の当然の前提です。
◆羽月元選手の事件 ── 公共性を持つ組織としての説明責任が問われている
羽月元選手の薬物事件。「複数の選手に売っていた」とされる売人が再逮捕されました。この状況で、球団が内部調査だけで済ませることはできません。なぜなら、カープは市民の財産を預かる指定管理者だからです。何が起きたのか? いつ把握したのか? 管理体制に問題はなかったのか? 他の選手への影響はどうか?
これを外部の専門家が調べ、市民に説明することは、義務であり責任です。第三者委員会の設置は、選手を守るためにも、球団を守るためにも、広島の誇りを守るためにも必要です。
◆カープが膿を出し切れないなら、指定管理者の非更新も視野に入る
指定管理者制度は、更新制です。透明性を欠き、説明責任を果たさず、管理体制に問題がある組織には、更新しないという判断が制度上可能です。これは球団を攻撃するためではありません。
市民の財産を守るための行政判断です。もしカープが真相究明を避け組織改革を拒み倫理教育を怠るのであれば、指定管理者の非更新を議論するのは、市民として当然の権利です。もちろん、非更新を私は望みません。しかし、市役所や議会が、カープの抜本的な改革を迫る「ディール」の材料として指定管理者非更新は使わざるを得ないと思うのです。
◆公共性を自覚し、実力と倫理の両面で立て直せ
カープは今、交流戦6連敗という実力の低下と倫理の揺らぎという二重の危機にあります。だからこそ必要なのは、実力の立て直しと、倫理の立て直しを同時に進めること。そして、公共性を持つ組織としての自覚を取り戻すこと。それができなければ、指定管理者の非更新という議論を、市役所や議会サイドから起こしていくべきでしょう。カープには広島の球団として、広島の財産を預かる組織として、いまこそ本気の改革が求められています。ご清聴、ありがとうございました。
▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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