開幕戦の逆転負けから悪夢の9連敗。前半はとてつもなく厳しい闘いの連続でした。開幕以来、3月=0勝6敗(月間借金6)、4月=9勝14敗1分(月間借金5)、5月=11勝13敗(月間借金2)と負け越し続き。最悪時には16も借金があり日本プロ野球史上最悪勝率を記録してしまった時期がありました。

ただ、3月から5月の負けが込んでいた時期、順位は当然セリーグ最下位でしたが、チーム防御率は2点代中盤で6球団中トップという不思議な記録を残していたんですよね。そして完封負け、1点差負けゲームが目に余るのが特徴でした。つまり簡単にいえば「打てなかった」んですね。投手陣は大崩れすることはなくむしろ好調でした。ですから、得点力がもう少し上がりさえすれば前半戦の間に、借金返済とはいかなくても、なんとか最下位を脱出できるのではないか、と結構少なくない解説者たちも予想していました。

そしてわたしは「そんなもんじゃないでしょう」と確信を持っていました。それは自分の目で確かめた5月22日甲子園での対巨人戦での完封勝利です。

プロ入り初完封を4月にあとアウト1つで逃していた、伊藤将司投手がわたしたちの目の前で完璧かつ全く不安を感じさせない完封を飾りました。佐藤、大山両主軸にもタイムリーが生まれ「いやー最高の観戦でしたね」と気分よく帰路についたのを覚えています。シーズン当初の最悪状態からチームが確実に上昇傾向に転じたのは、顧みると5月22日あの日の対巨人戦完封劇からだったといえるかもしれません。

6月に入ると14勝8敗1分 7月は14勝6敗でオールスター前に勝率を5割に戻し、甲子園で迎えたオールスター明けの首位ヤクルトとの3連戦でも2連勝で、ついに今シーズン初の貯金ができました。阪神タイガース以外を見渡すと、今年は序盤の混戦からヤクルトが抜け出し、早くもマジックが点灯する独走を見せています。気が付けば2位に浮上した阪神タイガースより下、3位以下のチームはすべて勝率が5割以下で現在のところヤクルトの独走が、まだ続いています

セ・リーグ順位表(2022年8月1日現在)

でも、ヤクルトは打線の迫力はあるものの、投手陣に疲れが見え始め一時の勢いからは、だいぶ失速しているように思えます。今年も暑い夏ですが、夏場は投手により大きな負担がかかります。ですからどれだけ先発陣が安定しているか、そして中継ぎの層の厚さ、抑えの疲労蓄積回避が夏場はポイントです。阪神タイガースは高校野球が甲子園で行われている間は、甲子園以外に遠征に出るか、京セラドーム大阪で主催ゲームを行います。昔は「死のロード」と呼ばれましたが、名古屋と東京ではドーム球場(エアコン入り)でゲームできるのですから、夏場の一番暑い時期に甲子園を高校生に譲るのは、まんざらマイナスでもないと考えられます。

「阪神タイガースはどうなっているのか」をテーマにに選んだのは正解でした。だって、史上最悪のスタートを切って最下位確定間違いなしと思われ、試合後のインタビューで久々に勝った矢野監督が泣く姿を見せるほどボロボロだった。あの姿からわずか2か月でまさか借金を返済して2位まで上昇するとは、まあ、ファン心理としては「そうあってほしい」と思うことはあっても、現実を信じた人は少数だったと思います。

でも、先ほど触れましたが投手陣の安定が崩れないんですよね。昨年最多勝の青柳はもう11勝(1敗)していますし、前半調子に波があった西勇も抜群の安定感を取り戻しました。2年目の伊藤もすでに7勝を挙げ、復活した才木も無敗で2勝。先発の層が厚いし、若手を中心にした中継ぎも崩れません。抑えに定着した岩崎はすでにセーブを22上げています。

そして、攻撃の活性化は誰の目にも明らかでしょう。ホームランを量産しだした大山、大山に本数は及ばないものの佐藤の存在感は2年目の選手とは思えません。そして見逃せないのは「走れる」選手の活躍が増えてきたことでしょう。中野、近本は昨年から盗塁では実績がありましたが、代走出場が多かった島田のバッティングが好調で2番に定着したことで1番から3番まで、隙あらばヒットが出なくとも盗塁を狙える選手が揃いました。代走には熊谷がいます。7月31日(午前現在)チーム盗塁数は73でセリーグではヤクルトの56を引き離し断然トップです。

さて、このように見てくると阪神が勝てなかった序盤戦から2位に上昇した7月まで、まさにドラマチックな展開だったといえることでしょう。しかし、わたしはまだ波乱はあるのではないかと予想します。これまでは「地獄から奇跡の生還」のドラマを目にしてきたわけですが、開幕戦の不思議な大逆転負けを思い出すにつけ、「いいことばかりが続く保証はない」という教訓を、ファン心理も学んだのではないでしょうか。ことしに限っては「コロナ第7波」の影響が後半戦には出てくるでしょう。現在多数の感染者を出している巨人は対戦をストップしています。試合出来るメンバーを組めないというのが理由だそうですか、振替試合は9月以降に回されるでしょう。ほとんどのチームで「コロナ7波」の感染者が出る中、主力選手が長期間離脱を余儀なくされる状況が生じると、先が読めなくなりますね。

ですからわたしは心の中では「こうなるんじゃないか」との予想を持っていますが、それをお伝えすることは遠慮しておきます。いや、逃げじゃないですよ。本当に「何が起こるかわからない」ことを今年のセリーグは教えてくれているように思えますので、ならば次にはどんなドラマが生まれるのか。ワクワクしながら見守りたいと思ってるんです。だって今日の最高気温35度ですよ。もうこれ以上頭に血を回したら自分でもどうなるか、自信がありませんから。

◎阪神タイガースはどうなってるの? http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=102

▼伊藤太郎(いとう・たろう)
仮名のような名前ながら本名とのウワサ。何事も一流になれないものの、なにをやらしても合格点には達する恵まれた場当たり人生もまもなく50年。言語能力に長けており、数か国語と各地の方言を駆使する。趣味は昼寝。

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