堀田春樹
KICK insist.27は満員の観衆で熱気ある試合が展開。
勝負の厳しさ、瀧澤博人も敗れる。
睦雅は圧倒の勝利も空振りと相手のしぶとさに手を焼く大差判定勝利。
◎KICK Insist.27 / 7月5日(日)後楽園ホール17:15~21:15
主催:VICTORY SPIRITS、ビクトリージム
認定:WMO、ジャパンキックボクシング協会JKA
放送:TwitCasting
戦績はプログラムを参照し、この日の結果を加えています(無効試合が加わっていない等は詳細不明)。
◆第11試合 WMO世界スーパーフェザー級王座決定戦 5回戦
10位.馬渡亮太(治政館/2000.1.19埼玉県越谷市出身/ 58.9kg)
47戦33勝(17KO)12敗2分
vs
12位.ワタナー・ウォー・ウラチャー(タイ/ 58.65kg)90戦62勝25敗3分
勝者:ワタナー・ウォー・ウラチャー / 判定1-2
スーパーバイザー:ウラチャー・ウォンティエン(タイ)
主審:ナルンチョン・ギャットニワット(タイ)
副審:椎名利一(日本)49-48.
アラビアン長谷川(タイ)48-49.
ソンマーイ・ケーウセーン(タイ)48-49

公開採点だけに初回からポイント奪いたい思惑もあったかもしれない両者。スピーディーに交錯する蹴り。中盤からワタナーが距離感掴んだ攻めに流れた。首相撲が増えヒザ蹴りのワタナーペース。馬渡亮太は互角に蹴り返してもポイントは取り難い印象。一旦離れてもワタナーの蹴りから接近して首相撲の展開。攻防は互角に進んでいても距離感掴んでいるのはワタナーの上手さ。判定2-1でワタナーの勝利。新チャンピオンとなった。

ジャッジ三者が揃ったのは初回の10-10のみ。僅か1点差でも打ち破れないのがムエタイの駆引きの難しさだった。歴代はオーウェン・ギリスからワタナーへ。馬渡亮太の名はまだ刻まれない。
ワタナーは勝利について「嬉しいです。馬渡はパンチが強かったので、首相撲に持ち込んだのが良かったです。」と語った。

◆第10試合 57.2㎏契約3回戦
WMO世界フェザー級チャンピオン.瀧澤博人(ビクトリー/1991.2.20埼玉県出身/ 57.15kg) 47戦29勝(16KO)14敗4分
vs
ラジャダムナンWS・フェザー級7位.ペットナムヌン・トー・スラット(タイ/ 58.35→58.2kg) +1.0kg計量失格。/103戦71勝27敗5分
勝者:ペットナムヌン・トー・スラット / 判定0-3
主審:椎名利一
副審:西村26-30. 勝本27-30. 宮沢26-30
ペットナムヌンの頑丈そうな蹴り技。距離感と攻めのタイミングが良い。瀧澤博人は自分のリズムを作るジャブや蹴り技が少ない印象。蹴りパンチとも打っても返される威力の差でペットナムヌンの判定勝利。瀧澤博人は二度のノックダウンから攻められながらも倒されない意地が感じられた試合だった。

◆第9試合 63.0㎏契約3回戦
ジャパン・ライト級チャンピオン.睦雅
(=瀬戸睦雅/ビクトリー/1996.6.26東京都出身/ 62.65kg)34戦25勝(14KO)7敗2分
vs
タイ東部ライト級チャンピオン.チャロムポン・サイヨットムエタイ(タイ/ 62.8kg)
45戦24勝18敗3分
勝者:睦雅 / 判定3-0
主審:西村洋
副審:椎名30-26. 勝本30-26. 宮沢30-27
初回の様子見から先手打った睦雅がパンチや蹴りでアグレッシブに攻める勢いを増して行く。第2ラウンドにはパンチやヒザ蹴りで徐々に圧倒しノックダウンを奪ったが、更に圧倒する展開も、チャロムポンの凌ぎ切るディフェンス。倒す気満々の睦雅だったがノックアウトには至らずも圧倒の大差判定勝利となった。

◆第8試合 バンタム級3回戦
ジャパン・フライ級チャンピオン.西原茉生(治政館/2003.6.27埼玉県出身/ 53.35kg)
19戦13勝(5KO)5敗1分
vs
ヌアシラーS.R.K(タイ/ 53.15kg)77戦57勝19敗1分
勝者:西原茉生 / KO 1ラウンド 2分38秒
主審:勝本剛司
積極果敢な西原茉央の先手を打ったローキックからパンチで、サウスポーからの左ストレートでノックダウンを奪い、右左のパンチ連打で二度目のノックダウンを奪い、テンカウントによるノックアウト勝利となった。

◆第7試合 52.8kg契約3回戦
ジャパン・フライ級1位.細田昇吾(ビクトリー/1997.6.4埼玉県出身/ 52.55kg)
28戦18勝(6KO)8敗2分
vs
チェンチャイ・ギャットパノムチャイ(タイ/ 52.45kg)57戦39勝16敗2分
勝者:チェンチャイ・ギャットパノムチャイ / 判定0-3
主審:宮沢誠
副審:椎名28-30. 西村28-29. 勝本29-30
前進する細田昇吾にサウスポーのチェンチャイ、左ミドルキックからパンチで細田を入らせず、蹴られても怯むこと無かったチェンチャイは戦略的には終始自分の距離を保った展開。追う細田のパンチは届き難いチェンチャイの距離の取り方で細田は突破口開けず、チェンチャイが判定勝利。

◆第6試合 63.0㎏契約3回戦
ペップンミー・ビクトリージム(2001.3.2タイ国出身/ 62.15kg)70戦54勝(16KO)16敗
vs
ペプシ・ショウブカイ(タイ/ 63.3→63.3→63.15→62.95kg)33戦20勝13敗
勝者:ペップンミー・ビクトリージム / 判定3-0
主審:西村洋
副審:椎名29-28. 宮沢30-28. 勝本30-28
在日タイ人同士のマッチメイクはペップンミーの蹴りが入っても湧かない場内。しかし第2ラウンドにはペップンミーのヒジ打ちでペプシの右瞼をカットする技を見せ、ペップンミーの蹴りで主導権支配した中の判定勝利となった。
ペプシは昔も同名選手が存在したが、ペプシコーラがスポンサーだったと考えられる。
◆第5試合 フェザー級3回戦
ジャパン・フェザー級2位.樹(治政館/2004.10.12埼玉県出身/ 57.0kg)
21戦9勝(4KO)11敗1分
vs
ジャパン・フェザー級5位.海士(ビクトリー/1988.10.14山形県出身/ 57.05kg)
10戦6勝4敗
勝者:樹 / 判定3-0
主審:勝本剛司
副審:椎名30-27. 宮沢29-27. 西村30-27
正攻法の樹が蹴りからパンチで前進も、海士が下がりながらも思い切ったパンチで打って出ると樹は鼻血を流すも、第2ラウンドには樹が左フックから連打でノックダウンを奪い、更にヒジ打ちか、海士の右瞼をカットさせたが、海士も飛び込んでいくようなパンチで樹を惑わせた。樹の前進は変わらず攻勢を維持して判定勝利した。

◆第4試合 バンタム級3回戦
ジャパン・バンタム級4位.西澤将太(ラジャサクレックムエタイ/ 53.4kg)
4戦3勝(1KO)1敗
vs
滝川慎吾(KING LEO/ 52.9kg)6戦3勝3敗
勝者:滝川慎吾 / 判定0-3
主審:宮沢誠
副審:椎名27-29. 勝本26-29. 西村26-29
初回はローキック中心に様子見も、次第にパンチの距離に入り、滝川慎吾が左フックでノックダウンを奪い、パンチの交錯続く中、右ストレートで二度目のノックダウンを奪った。
第2ラウンド以降もパンチ中心の打ち合い多い展開も西澤将太もヒットを見せる場面も見られた中、互角の打ち合いもノックダウンの差で滝川が判定勝利した。

◆第3試合 KORAKUEN JAMBULL 60kg級出場者決定戦(60.0㎏契約)3回戦
天晴(=西山天晴/治政館/2007.4.25埼玉県出身/ 59.95kg)4戦2勝(1KO)2敗
vs
木村大夢(KIX/ 59.6kg)1戦1敗
勝者:天晴 / 判定2-0
主審:椎名利一
副審:宮沢30-27. 勝本30-28. 西村29-29
初回は天晴がパンチで攻勢の展開。第2ラウンド以降は木村大夢が前進。天晴は手数が減ったがヒットを見せ、初回以外採点が分かれるラウンドもあったが、パンチヒットが活きた天晴が判定勝利し、9月27日の後楽園ジャンブル出場権を獲得した。

◆第2試合 ミドル級3回戦
前田啓伍(SOGA KICKBOXING/ 71.75kg)1戦1敗
vs
赤見内竜太(モリタキックボクシング/ 72.1kg)5戦3勝(2KO)1敗1分
勝者:赤見内竜太 / TKO 1ラウンド 2分45秒
主審:西村洋
パンチ打ち合いが続く中、やや前田啓伍が圧す展開も赤見内竜太の連打でノックダウンを奪い、前田は立ち上がりそうもないところでレフェリーストップが掛かって赤見内がTKO勝利となった。
◆プロ第1試合 65.0㎏契約3回戦
ユウキックレック・オー・チャロンチャイ(Team Kuntap/ 64.6kg)7戦1勝5敗1分
vs
佐田貴章(MATSUMOTO DOJO/ 63.95kg)1戦1勝(1KO)
勝者:佐田貴章 / KO 2ラウンド 1分13秒
主審:勝本剛司
佐田貴章の組み付いてのヒザ蹴り連打でノックダウンを奪いテンカウントでノックアウト勝利。
◆オープニングファイト アマチュア79.0㎏契約2回戦(90秒制)
西村寿一(SOGA KICKBOXING/ 77.95kg)vs GGゴトウ(RBムエタイ/ 78.35kg)
勝者:西村寿一 / 判定2-0
主審:宮沢誠
副審:椎名19-19. 西村20-19. 勝本20-19
《取材戦記》
昨年7月に馬渡亮太がオーウェン・ギリスに挑戦したWMO世界戦は、ジャッジの集計ミスが発覚して2-1判定勝利から後日、三者三様引分けに訂正、最終的に無効試合と発表されました。採点は一枚のジャッジペーパーに5ラウンドまで採点し、合計まで記入してレフェリーが回収。そんな問題点から今回は各ラウンド毎の公開採点となりました。
今回も僅差判定となるも、馬渡亮太はまたも王座獲得成らず、幻のチャンピオンベルトは幻のままとなってしまいました。
10位と12位による王座決定戦は、チャンピオンへのルートが導かれている印象を受けるも、ワタナーは強かった。オーウェン・ギリスも強かったが簡単には獲らせてはくれないムエタイの厳しさがありました。それは瀧澤博人に判定勝利したペットナムヌンにもあり、ムエタイの間合い、相手に応じて体勢変える技が長けている技術の差がありました。
そのペットナムヌンは前日計量で1.15kgオーバーし、1時間半程で1.0kgオーバーで減量を断念。ペナルティーは減点2と罰金が科されましたが、減点は瀧澤博人が拒否したという情報が入って、試合そのものはハンディー無しの試合となりました。3ラウンドしかない試合で2点減点は勝負に興味が薄れるもので、ルール的には決定したシステムを拒否出来るのかは疑問が残るものの、瀧澤博人の全力で勝負に掛ける真剣さが試合を面白くさせました。
結果はハンディーあったとしてもペットナムヌン勝利となる大差の展開で、ウェイト差がどう影響したかは解らない点も残り、再戦させたいカードでしょう。
後楽園ジャンブルは各団体での出場権決定戦も進み、この日は天晴が獲得。他団体等の推薦枠もある中、カードが決まっていく模様です。
今回もジャパンキックボクシング協会の主力メンバーが出場。最近の各団体の観衆も少なかった中、今回の久々のギッシリ感ある満員は意外ながらも、興行の本気度が感じされました。
次回のジャパンキックボクシング協会興行KICK Insist.28は9月20日(日)に新宿フェースに於いて開催されます。現在のところ時間は未定です。
新宿フェースは9月30日をもって21年間に渡る会場営業が閉鎖されることが決定しています。
▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」
