『紙の爆弾』10月号に寄せて

『紙の爆弾』編集長 中川志大

アメリカによるイラン攻撃が再開される中、キューバで経済封鎖により深刻なエネルギー危機が続いていることは、あまり報じられません。長時間の停電は家庭の明かりを奪うだけでなく、給水や交通・食料・医療など市民生活のあらゆる面に影響を及ぼしています。そんなキューバの現状と、危機の中で抵抗する人々について、同国ジャーナリストのセサル・ゴメス・チャコン氏が本誌に寄稿しています。

“当事者”を除き、あらゆる方面から疑問の声が挙がった「国民会議」というネーミング。そして、結局何が話し合われたのか、何のための会議だったのかも、まったく不明。「国民による会議」ではないのはすぐにわかることでも、では誰による何のための会議だったのか?という問いに答えたのが、今月号の植草一秀氏の論考です。その空虚さゆえに、常に“背後”が垣間見えるのが高市政権の特徴といえます。ならば、表面的な事象を批判して終わっては、背後勢力の術中にはまるだけです。

「高市早苗政権はこんなにも大局観を欠いた国家運営しかできないのか」「首相が(飲食料品の消費税率)1%案を断行しようとするのに対して、野党が『結論ありきだ』と批判するのも当然だ」。前者は7月30日付日経新聞社説、後者は31日付読売新聞社説です。本誌巻頭で指摘したとおり、さんざん逆進性が指摘されてきた消費税が、いまや税収合計の3分の1を占める現状をどう捉えるべきか。ちなみに6年連続の最高税収を記録した2025年度、所得税収・法人税収がそれぞれ大きく上がっても、消費税の総収に占める割合は31%です。

世界のコロナ対策をリードしてきた元アメリカ大統領首席医療顧問、アンソニー・ファウチ博士への追及がアメリカで始まっています。着目すべきはKダブシャイン氏指摘のとおり、日誌に表れたファウチ博士のキャラクターで、いかにも利用されやすそうなのは高市首相と共通するところ。芸能人へのリアクションも似ている気がします。コロナ騒動の本質はもとより、それまで“主流”とされていた見解が逆転するのかに、もっとも注目しています。

8月号から前・中・後編でお送りした植草一秀氏“3つの冤罪事件”の真実。それぞれの事件の状況はもちろん、不可解な経緯と、当時の社会状況についても詳しく説明しています。そこから見えてくるのは、「今の日本」です。なぜ日本だけが「失われた35年」にはまり込み、抜け出せないのか。「失われたもの」とはいったい何か。それらが事件の背景から浮かび上がってきます。

ほか10月号では、首相官邸SNSの“高市PR動画”が炎上した「首相の無意味な熊本視察」と2024年地方自治法改正の関係を解説。これは副首都法や緊急事態法制とも関係します。2026年熊本地震をめぐっては、各地で加速する“AI防災”のリスクについてもレポート。ほか25年目となった「9.11」の真相、「SNS年齢規制」の国内議論の的外れぶりや、ひきこもり支援事業における「労働」についてなど、今月号も独自の切り口で真実を追求します。
『紙の爆弾』は全国の書店で発売中です。ぜひご一読ください。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

『紙の爆弾』2026年10月号
A5判 130頁 定価800円(税込み)
2026年9月7日発売

「飲食料品1%」のしょぼい減税でも迷走 財務省が主導する消費税減税反対論 植草一秀
ビル倒壊と瓦礫の謎 行方不明の墜落機体 実行犯にCIAスパイ…9.11 二十五年目の真相 浜田和幸
キューバを襲う米国によるエネルギー危機 経済封鎖という暗闇を武器にしてはならない セサル・ゴメス・チャコン
日本のSNS年齢規制はキエフの大門である 昼間たかし
2026年熊本地震に見た地方自治と緊急事態条項 足立昌勝
“加害者”を隠しきった裁判 優生思想を護持した日弁連とマスコミ 野田正彰
植草一秀インタビュー「冤罪の真実」後編 無罪の証拠を司法は無視 小泉・竹中批判封じ
「憲法より日米安保が最高法規」の現状を変えよ プーチン大統領択捉島訪問の意味 木村三浩
それでも進む完全自動化 イオンモール爆発の“人災”と“AI防災”のリスク 片岡亮
「使用者」はいても「労働者」はいない ひきこもり支援事業の“空白” 川田祐一
暴力的カウンター運動と「リンチ事件」「反差別運動」についての共産党見解への疑念 黒薮哲哉
LGBT問題の現在 「女性スペース法案」の必要性 井上恵子
成年後見制度という宿痾 ある老齢薬剤師の手紙から 鈴木愼哉
サナエ流独裁の奥義 こうして絞め殺される“日本の議会制民主主義” 佐藤雅彦

〈連載〉
コイツらのゼニ儲け:西田健
「格差」を読む:中川淳一郎
シアワセのイイ気持ち道講座:東陽片岡
The NEWer WORLD ORDER:Kダブシャイン
「絶望ニッポン」の近未来史:西本頑司
芸能界 深層解剖

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