2018年7月27日19時、怒りに燃えた5千人の群衆が、永田町の自民党本部前に集結した。

ただし、5千人というのはあくまでも主催者発表であり、実際に現場に見物に行ったあるゲイは、証言した。

「あんな狭いスペースに5千人も集まれるわけないじゃない! 千人もいなかったわよ。せいぜい数百人がいいところね」

――主催者発表、ずいぶんと人数を盛ったものである。

事の発端は、自民党の杉田水脈衆議院議員が雑誌「新潮45」8月号(7月18日発売)に寄稿した論考「『LGBT』支援の度が過ぎる」で、同性愛者を「生産性がない」と表現したことだった。それに憤った人々が、抗議のために自民党本部前に集まったのだ。

しかし、それだけでは、あんな騒ぎにはならなかったはずだ。

当時、「新潮45」の実売数は1万部前後であったと聞く。なのに、抗議デモに5千人(主催者発表)も集まるか?

デモに参加した方たちに問いたい! あなたたちの中に、過去に「新潮45」を一度でも購入したことがある人は、一体、何人いる? 自慢ではないが、私は一度もない!……すみません。

これは、ほとんど世間では知られてはいないことだが、実は立憲民主党のレズビアン衆議院議員・尾辻かな子氏がツイッターで煽ったのが、あの騒ぎの直接の原因だったのである。

ツイートの文面は次の通り。

杉田水脈自民党衆議院議員の雑誌「新潮45」への記事。LGBTのカップルは生産性がないので税金を投入することの是非があると。LGBTも納税者であることは指摘しておきたい。当たり前のことだが、すべての人は生きていること、その事自体に価値がある。

実はかなり意図的な要約である尾辻かな子氏のツイート

まーた、立憲民主党かーいっ!

しばき隊/ANTIFA/カウンター界隈主催のデモやイベントに参加した過去がある有田芳生参議院議員、石川大我参議院議員、ひわき岳杉並区議らが所属する、立憲民主党である。

有田先生、レイシストをしぱきたい方々とパチリ

デモに参加する石川大我氏の背後にはANTIFAの旗

誇らしげにANTIFAデモ参加動画をツイートするひわき岳氏

親しい運動仲間であることがうかがえる平野氏と野間氏のやりとり

そして、尾辻議員のツイートに続き、しばき隊の母体である反原発団体・首都圏反原発連合(反原連)のゲイ活動家・平野太一氏と、C.R.A.C.(旧レイシストをしばき隊)代表の野間易通氏が、ツイッターで次のようなやりとりをしていたこともまた、世間ではほとんど知られていない。

野間氏「TRP方面の人さそってデモもやらない? 杉田名指しの」

平野氏「どんどんやりましょう!」

TRPとは、連載第1回でも言及した日本最大のLGBTイベント・東京レインボープライド(TOKYO RAINBOW PRIDE)の略称だ。

ここ2年は新型コロナ流行の影響で、オンラインでの開催だったが、2019年には、パレード参加者が初めて1万人を超え、2日間のイベントの総動員数は約20万人にもなった。

平野氏は「しばきマインド」がギュッと濃縮された次のような暴言ツイートでデモを呼びかけた。

「主催はないデモ」を呼びかける平野太一氏

「差別しか能のないゴミ議員を俺らの税金で食わすな。議員辞職しろと自民党本部に抗議しましょう。」

「27日(金)19時~自民党本部前。」

「各々でお好きに広めちゃってください。」

「主催はないので #0727杉田水脈の議員辞職を求める自民党本部前抗議 とかまあなんとかそんな感じで適当に広めてください。」

え? 「主催はない」?

後に「主催者発表で5千人」と報道されたデモなのに、主催はない?

小学生でも理解できる矛盾ではありませんか?

中学生ぐらいになれば「あんたがデモを呼びかけてるのに、なんで当のあんたが『主催はない』なんて言ってるの?」ぐらいのツッコミは入れられるだろう。

うーん……。デモを呼びかける一方で「主催はない」と自ら断言――これって、「抗議のために市民が自発的に集まった」という体裁にしたいからですよね? ぶっちゃけ、無責任すぎやしませんか?

だいたい、このデモ、許可申請書を警察に提出しているのですか? 提出しているのなら、平野さん、あなたが主催ですよね?

反対に、届け出をしてないのに警察にお目こぼしされているのなら、それ、以前から一部の良心的左翼が指摘してきたように、しばき隊界隈が実は体制側とつながっている証左ではないのですか? どうなのですか?

それに「差別しか能のないゴミ議員を俺らの税金で食わすな」ですって?

お下品ですこと!

こんなツイートを見たら、普通の感覚なら「このデモ、やべぇやつだ!」と気づくというものです。

しかし、東京レインボープライド公式アカウントは次のようなツイートでデモを呼びかけたのである。

しばき隊との共闘を呼びかける東京レインボープライド(TRP)

杉田水脈衆議院議員(自民党)が『新潮45』に寄稿した論考「『LGBT』支援の度が過ぎる」に対し、7月27日に自民党本部前で実施される抗議活動に連帯し、東京レインボープライドも参加します。共に抗議の声をあげましょう。#0727杉田水脈の議員辞職を求める自民党本部前抗議

……アホなの? 

ねえ、LGBT活動家って、アホなの?

そして、そんなにしばき隊が好きなの? 

もう、なにがあっても離れられないの?

そのデモ、明らかに地雷だよね? わからないの?

まあ、地雷というものは、わからないから踏んでしまうものではあるが。

ちなみに、その地雷、デモの真っ最中には爆発しなかった。

しかし、後に、しばき隊界隈活動家とLGBT活動家の足元でバンバン爆発することになる。

そのデモは、いわゆる「黒歴史」と化したのであった。(つづく)

 

▼森奈津子(もり・なつこ)

作家。立教大学法学部卒。90年代半ばよりバイセクシュアルであることを公言し、同性愛をテーマにSFや官能小説、ファンタジー、ホラーを執筆。『西城秀樹のおかげです』『からくりアンモラル』で日本SF大賞にノミネート。他に『姫百合たちの放課後』『耽美なわしら』『先輩と私』『スーパー乙女大戦』『夢見るレンタル・ドール』等の著書がある。
◎ツイッターID: @MORI_Natsuko https://twitter.com/MORI_Natsuko

◎LGBTの運動にも深く関わり、今では「日本のANTIFA」とも呼ばれるしばき隊/カウンター界隈について、LGBT当事者の私が語った記事(全6回)です。
今まさに!「しばき隊」から集中攻撃を受けている作家、森奈津子さんインタビュー

《関連過去記事カテゴリー》
森奈津子「LGBT活動家としばき隊の蜜月はどこまで続くぬかるみぞ」

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』11月号!

『暴力・暴言型社会運動の終焉』