再び浅野健一さんによる出版差し止め(=発禁)仮処分問題について

鹿砦社代表 松岡利康

先日、四半世紀にわたる知人に会いに奈良・大和西大寺に行ってきました。行き交う人の多い駅でしたが、地方都市らしい雰囲気のする、どこか牧歌的に感じられました。

「ここで山上徹也が安倍晋三を銃撃したのか」──このあたりの牧歌的な空気とは相いれないものを感じました。

さて、先の私の文章は、5度の出版差し止め(発禁)をされた私なりに危機感を持って書いたつもりですが、あまり反響がなかったようです。ふ~む、出版差し止め(発禁)ということに対する、浅野さんはじめフォロワーのみなさん方、私の文章を目にされたみなさん方の危機意識のなさに危機感を持ちました。

浅野さんは、今度はあけび書房本の帯を書かれた鈴木エイトさんと大喧嘩をされています。帯を書くにあたってゲラを読むわけですが、だからと言って「共犯者」呼ばわりされたら誰だって怒るでしょう。

仮に理が浅野さんにあったにしても出版差し止め(発禁)はやめるべきです。出版差し止めということは、権力(~者)や大企業が、みずからの不祥事や知られたくないことを隠蔽するために行うものです。いやしくもジャーナリストが出版社やその著者に対して出版差し止めを行おうとしたことなど聞いたことがありません。浅野さんの本の出版を引き受けた三一書房も代理人の山下幸夫弁護士も、表現の自由や言論・出版の自由を殊更大事にする出版社であり法曹人だと思うので、今からでも浅野さんをたしなめるべきです。

私のFBや「デジタル鹿砦社通信」にも浅野さんのFBや著書などと共通の読者がおられますが、なぜ浅野さんをたしなめないのか不思議です。本当にそれでいいんですか? 

先の私の文章で、浅野さんとの古い付き合いについて述べましたが、今回はあけび書房の経営を受け継いだ岡林信一さんとの付き合いについても簡単に述べておきます。

私は、「名誉毀損」に名を借りた言論・出版弾圧事件で会社も私個人も壊滅的打撃を受け、その後、多くの皆様方のご支援にて再興することができ、2010年から地元西宮で市民向けのゼミを企画し開催いたしました。隔月で3人の方を中心に5期5年間やりました。故・鈴木邦男さん3年、浅野さん1年、前田日明さん1年の5年です。計30回で、前田さんの分を除いて記録として残しています。

ここに、当時神戸の社会保険協会に勤めながら「市民社会フォーラム」という自由に意見を述べ合うネット上の場や講演会などをやっておられた岡林さんが、自らの集まりの宣伝兼ねて、ほぼ全回来られました。これで知り合ったのですが、彼はその後、旅行会社を経てあけび書房の経営を引き受けられ現在に至っています。岡林さんがあけび書房の代表に就かれた時に、ささやかながら置時計をプレゼントし、この出版事業が厳しい時代に、あえて出版社の経営を引き受ける蛮勇に対する私なりのエールでした。彼が本格的に出版の仕事を開始するや、一人で毎月複数点数の新刊を出して来たのは驚きでした。「岡林という人は本当に本が好きだったんだな」と思った次第です。思想・信条や出版についての考え方、取り組みなどは異なるところは少なからずありますが、多種、多様に自由に本を出せるのが、出版という世界のいいところだし、頑張れるだけ頑張ってほしいと思っています。

ところで浅野さんはブログで「私(注:浅野さん)は、2025年4月、『紙の爆弾』からも排除され~」と述べられていますが、これは違います。先の文章でも触れましたが、同誌昨年5月号(2025年4月7日発売)に掲載の浅野さんの記事についての抗議に対して真摯な態度を取られず、自説を固持し、対応を鹿砦社に押し付け逃げられたというのが事実です。それまで、懇意にしていた故・山口正紀さんに対する浅野さんの度を過ぎた誹謗中傷があっても、『紙の爆弾』には浅野さんの寄稿を受け入れてきましたが、これも私が逮捕された際に真っ先に駆け付けてくれたことのお礼の一つでした。恩着せがましく言うつもりはありませんが、私たちからの特段の配慮でした。

今、浅野さんが書ける場は、『救援』や社民党や新社会党の機関誌など、いわば特殊で限定的なものだけになっていますが、ものごと何につけても原因と結果があるもので、度を過ぎて唯我独尊的な態度があったのではないかと察します。

どうやら浅野さんは、浅野さんのfacebook、ブログなどを見る限り、本気で出版差し止め仮処分を申し立てられるようです。振り上げた手を下すのは恥でも何でもありません。今からでも“勇気ある撤退”をされるべきです。前回も述べましたように、ジャーナリストとして自殺行為だからです。

極めて深刻で重要な問題ですので、他にやる仕事が山積していますが、あえて時間を割いて上記文章を書き連投します。皆様方にありましては、出版差し止め(発禁)という行為に対する、私の危機感をご理解いただきたいと思います。

画像は、左・浅野本(三一書房)と右・あけび書房本