その電話以来、榛野氏とは全く連絡はとっていない。
今は契約解除の方向でいろいろなところに話を聞いているが、なかなかスムーズに行かないのが実情だ。今すぐに契約を解除する場合は榛野氏から言われた通りの額を払うのが早いのかもしれない。しかし、発売当初は印税が入ったものの時間が経つと全く売れないため、売れないもののためにお金を払う気は今のところない。3年経てば契約解除できるのだからそれまで待つ方向で考えている。個人出版は作品内容に関わらずまだまだ儲からない。新しい作品を次々と出し、人目に触れ続けることでファンが付く、その流れで前作を買ってもらうというのが今のところ利益が出る方法かもしれない。

本を出し続けることがベストだとしたら豊穣出版は儲かっていないだろう。知り合いの本ばかり出していたためだとは思うが今は全く新刊が出ていない。知り合いではネタが尽きたとみられる。レビューも自演で星5つをつけているが同じアカウントで豊穣出版から出した人ばかりが星5つだと叩かれるのも時間の問題だ。実際、疑わしき人間は大手掲示板で名前が挙げられるなどもしている。大手掲示板に関してはステマに限らずストア内で売れているだろう人の名前が挙がっている。どれもこれも嫉妬や妬みが原因の悪口ばかりだ。そうやって足を引っ張り合っているうちは個人出版業界自体が伸びないのかもしれない。
また、豊穣出版はホームページを見たところ現在、5万円で出版代行を請け負っているが、それが掲示されてからも新刊は出ていない。5万円という値段設定からしても販売だけで利益は出ていないようだ。

もし、自分で出版の仕方を勉強するのが面倒で業者を頼もう、という人が居るならば私はオススメしない。勉強さえすれば確実に自分でできることを手間に思うような人は、今の個人出版に参入してももたないと思うからだ。甘い考えだと確実に売れない。売れれば実績になるが売れなければネット上でブログに挙げるのと変わらない。出したという自己満足で終わりたいというのならば問題は無いがそれ以上を求めるのは自分で販売した方がやりやすい。
また、自分の書きたいものが本当にあり、アナログ人間のためになかなか手続きができないという人も業者を通す時はよく考えるべきだ。実際に電子書籍に関する機関に問い合わせたところ、お金をもらってストアに載せるだけで全くプロモーションをしないためトラブルになるというケースが多々あるそう。金額も多いところは30万円ほどで一冊を請け負い、そのままストアに載せるだけというところもあるらしい。

それを聞くと自分のケースはまだマシな方だと思われる。業者にどうしても頼む場合は本当にプロモーションを行っているか自分の目で確かめることが大切だ。電子書籍のプロモーションは、ほとんどがWEBで行われるのだから簡単に調べることができる。その他、企業についても調べるべきだ。榛野氏に関しても今はwikipediaから削除されている。削除理由を見るとwikipediaに載せるような人物ではないためとなっていた。Amazonの著者ページと全く同じ内容のため本人が作ったと考えられる。私もこれに気付いていれば頼まなかっただろう。また、豊穣出版で調べると出ないが豊穣株式会社で調べるとブラック企業として名前が上がる。きちんと調べれば出てくるのだ。ちなみに始めに豊穣出版を紹介した芳川氏は会社ではなく、自分の名前でライティングの営業をして他のライターに書いてもらい儲けている人物であった。豊穣出版のパートナーと書いてあったが、ライターとしては、ほぼ実績が無い人である。パートナーというのは名義だけに間違いはないだろう。今となってはもっとよく調べていればトラブルに巻き込まれなかったのだろうと後悔している。

まだまだ個人出版業界は難しい。もし、売れたいと思うのなら面白い作品を書いたうえで、自分でプロモーションをするということが必要だ。だが、内容が伴っており、ある程度部数が売れた人は結局、出版社からお声が掛かり紙で出版するというのが現状である。個人出版だけで売れて、ある程度のお金が入る時代はまだまだ先のようだ。

(但野仁・ただのじん)

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