kindleでは3ヶ月間kindle専属で発売するという契約を行えば、専属販売期間中に5日間無料で書籍を販売できるキャンペーンを行える。この無料キャンペーンというのはなかなか無名の作家にとっては良いものだ。無料キャンペーン中の作品にも販売数などを含めたランキングが出るのだが、当時はkindleで出版している人が少なかったためいくつかあるkindleのレビューサイトなどで取り上げてもらえれば、すぐにランキング上位に入れた。もちろん出版している冊数が少ないので取り上げてもらうのも難しくはない。

ランキング上位に入れば、有料のkindle本と肩を並べることができる。AmazonのHP上で芥川賞受賞作、直木賞受賞作の隣に並ぶこともある。そうなると人の目にも触れやすく名前も憶えてもらいやすい。上位になると目立つためこれまで取り上げてもらったサイト以外のサイトで取り上げてもらえるという連鎖反応のようなものもあった。私は榛野氏に言われた日程通り5日間無料のキャンペーンを行うことにした。

そうすると、やはり連鎖反応のようなものが起こり次々と作品がランキング上位に入っていく。無料とはいえ、数多くダウンロードしてもらえたと思う。可愛らしい表紙というのも無料ダウンロードしてもらったきっかけかもしれない。現在もエロ系、萌え系の表紙が上位に入りやすかったりする。私の表紙も可愛らしさにプラスしてエロ系、萌え系の表紙が多かったのでそれも上位になった理由ではないかと考えている。

そうなってくると、ツイッターなどを通していろいろなkindle作家の方とも交流を取るというきっかけも増えてくる。交流を取る中である日、私の作品の奥付などが丁寧と褒められるということがあった。自分で発売していないので奥付が丁寧なのだ、という話をするとそういう人は珍しいと言われた。その人は、ほとんどの人がkindleの場合は自分で表紙も校正もプロモーションも全て行っているというのだ。それも、最初こそ難しかったが今はマニュアルが出来てきているので勉強さえすればそこまで難しくないという。この時点で個人出版は自分で出来るということは分かっていたが、難しくないというのは意外であり、ほとんどの人が自分で行っているという事実に驚いた。印税の半分とさまざまな権利を豊穣出版に取られているのに私は校正も自分で行っている、プロモーションも自分で多く行っている。プロモーションに関してはサイト管理者と親しくなったのもあり、個人的にレビューサイトに掲載依頼を出したりしていたのだ。自分で行っていないのは表紙だけだが表紙に関しては周りにいくらでも頼める人物は居た。そして、別の人にも自分で出していないという話をすると「それは出版社ぼろ儲けのシステム出来てますね。自分で出した方がいいですよ」とはっきりと言われるのである。この一連の流れで私は今後、自分で出そうと心に決めた。騙された気分であった。いや、元々無料で出来ることを無料で行うと言われていたのだから騙されていたのだと思う。

(但野仁・ただのじん)

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