NKB鐵人シリーズvol.1開幕 どん冷え貴哉と山本太一が王座戴冠!

堀田春樹

カズ・ジャンジラ、引退を控えて王座陥落。
棚橋賢二郎、4度目の挑戦も実らず。
渡邊信久連盟代表、キックボクシング業界歴60周年を役員がサプライズで祝う。

◎鐵人シリーズvol.1 / 2月21日(土)後楽園ホール17:15~20:47
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

戦績はプログラムを参照にこの日の結果を加えています。
当日計量は午前10時よりプロ選手全員一回でパス。

◆第9試合 NKBウェルター級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.カズ・ジャンジラ(=佐々木和也/team JANJIRA/1987.9.2東京都出身/ 66.2kg)
46戦21勝(4KO)18敗7分
          VS
挑戦者3位.どん冷え貴哉(TOKYO KICK WORKS/1988.10.15滋賀県出身/ 66.6kg)
51戦28勝(6KO)21敗2分
勝者:どん冷え貴哉 / 判定0-3
主審:笹谷淳
副審:宮本48-49. PIRIKA47-50. 前田49-50

昨年2月22日の対戦ではノックダウン奪ったカズ・ジャンジラが判定勝利。カズの1勝1分で迎えた今回、初回からどん冷え貴哉の先手打つ蹴りとパンチ。やや出遅れた感のカズ・ジャンジラ。第2ラウンド、カズジャンジラの左ハイキックがどん冷え貴哉の顔面狙いは辛うじてブロックするが、インパクトあるハイキックだった。

油断ならなかったのはカズジャンジラのハイキック。前回はこれでノックダウンを奪っている
どん冷え貴哉が今度は負けないと意気込んで攻めたミドルキック。リズムを掴んで行った

「狙っている気がした」と言う、どん冷え貴哉陣営の竹村哲氏の声。組み合う展開が増えるとヒザ蹴りとウェイトの掛け合い、更にヒジ打ち貰う危険性の中、スタミナの削り合いの苦しい時間が続くが、どん冷え貴哉の組み負けない攻防と蹴りの圧力、試合運びがやや優って圧し切った。どん冷え貴哉は第17代チャンピオン。

ピントは竹村哲氏に当たってしまったが、勝利が告げられた瞬間のどん冷え貴哉と陣営

どん冷え貴哉はリング上で「この一年、ホンマしんどかったです。今後はKNOCK OUTとかNJKFのウェルター級チャンピオンとか上位ランカーとか、外の選手とも戦っていきたいと思います。」と語り、控室では、「昨年2月、一回喧嘩売っといて負けて、その後挑戦者決定トーナメント勝ち進んで、カズさん内心イヤやったやろうと思うんですよ。でも受けて貰ってホンマ有難かったです。」

首相撲の展開については、「ヒジ有りなので油断したら下(ボディー以下)より上(頭部)が怖かったし、相手に有利なポジション取らせんように考えていました。」

カズジャンジラは「貴哉選手が組んで来ると思ってヒジ狙ってたんですけどタイミング合わずでした。」と戦い終わり、カズジャンジラの控室を訪れたどん冷え貴哉と語り合う二人の会話は、戦い終えるまでは語れなかった多くの裏話を語り合い、この1年の苦しさを覆す温かさがあった。

夫婦で勝ち獲ったとも言えるどん冷え貴哉のツーショット。王座奪取で味わえる瞬間二つ目

◆第8試合 第17代NKBライト級王座決定戦 5回戦

1位.棚橋賢二郎(拳心館/1987.11.2新潟県出身/ 61.05kg)26戦12勝(7KO)12敗2分
        VS
3位.山本太一(ケーアクティブ/1995.12.28千葉県出身/ 61.1kg)
22戦8勝(5KO)10敗4分
勝者:山本太一 / TKO 1ラウンド 2分10秒
主審:前田仁

距離を取ってフットワーク速く動き回った山本太一。ローキックやパンチ、自分のタイミングで先手先手と打ち込んでリズムを掴んでいった。棚橋の踏み込んだ前足を払ってバランスを崩させるなど、上手い試合運びからタイミング計って飛びヒザ蹴りで棚橋賢二郎の顔面を打ち抜くとノックダウンに繋げて圧勝。山本太一は、チャンスを見事に掴んで花咲かせた王座奪取となった。棚橋は4度目の挑戦も実らず、タイトルに見放された運命を辿ることになった。

飛び蹴りは3度見せた山本太一だったが、牽制の飛び蹴りと、最後は不意を衝く一瞬の狙った打ち抜く蹴りで鮮やかに倒してしまった。

山本太一は距離感維持して先手を打った戦いだった
いきなり飛ぶから、また画面ズレだが、山本太一の飛びヒザ蹴りで圧倒勝利

「飛びヒザ蹴りは狙っていました!」という山本太一。見せ場を作る「太一やるじゃん!」は王座獲得まで達成してしまった。

リング上では周囲へこれまでの感謝を伝え、今後については、「いやあ最高!強い奴とやりたいんですよ。ベルト獲ったからって、僕まだまだ弱いんで、強さの証明にもなっていないんで、関西のテツジム勇志くん。キミが一番NKBで強いよ。俺は逃げない。絶対やろう。」と語り、2024年に「KNOCK OUT」に出てボコボコにKOされたことで、その時に「チャンピオンに成ってやり返しに来ます。」と言ったことにも触れ、今、名乗り出る立場に立ったことで、フェザー級から59kg域がベストと言い、6月再出場を懇願し「他団体シバきます。」と宣言した。

王座奪取で味わえる瞬間一つ目。これまでの苦悩が晴れた笑顔と今後を語る山本太一

◆第7試合 55.0kg契約3回戦

NKBバンタム4位.香村一吹(渡邉/2007.2.22東京都出身/ 54.15kg)6戦4勝(1KO)2敗
        VS
NJKFバンタム級3位.志賀将大(エス/1993.2.20福島県出身/ 54.55kg)
25戦15勝(4KO)8敗2分
勝者:志賀将大 / 判定0-3
主審:宮本勲
副審:PIRIKA29-30. 笹谷28-30. 前田28-30

初回早々はローキックで勢いあった香村一吹だが、徐々に志賀将大の首相撲からのヒザ蹴り加えたムエタイ技と距離の取り方、攻めのタイミングで優っていき、志賀の蹴りで香村はボディーが真っ赤になっていく。香村の積極的なパンチと蹴りは元・NJKFチャンピオンの志賀を劣勢に追い込むには至らなかったが、密度の濃い試合展開で良い経験となっただろう。志賀は的確なヒットで優り順当に判定勝利。

香村一吹はNJKFの元チャンピオンと貴重な対戦。志賀将大がテクニックで優るが、香村もアグレッシブに攻めた

◆第6試合 74.0kg契約3回戦

TOMO JANJIRA(JANJIRA/1992.1.12京都府出身/ 74.0kg)11戦4勝(3KO)6敗1分
        VS
福舘正(CHEERFUL/1988.10.12岩手県出身/ 72.95kg)13戦7勝(4KO)6敗
勝者:福舘正 / 判定0-3
主審:鈴木義和
副審:前田28-29. 関勝27-29. 宮本28-30

互いに攻めたパンチと蹴り。初回、TOMOは空いたガードに福舘正の右ストレートあっさり貰ってノックダウン。度々福舘のパンチを貰ってしまうTOMOだったが、ややダメージを引き摺ったか、巻き返し狙って多彩に打って出るも逆転成らず。福舘正が判定勝利。

◆第5試合 ライト級3回戦

猪ノ川海(大塚道場/2005.9.30茨城県出身/ 60.85kg)7戦3勝(2KO)3敗1分
        VS
魔娑屋(SLACK/1991.2.4岩手県出身/ 61.1kg)9戦4勝(3KO)5敗
勝者:魔娑屋 / 判定0-3
主審:PIRIKA
副審:笹谷28-30. 前田29-30. 鈴木28-30

ローキックとパンチもよく出した両者。攻めはやや優った魔娑屋。攻勢を維持して判定勝利。

◆第4試合 64.0kg契約3回戦

五井雅輝(TOKYO KICK WORKS/1985.5.2東京都出身/ 63.55kg)1戦1敗
        VS
光基(DANGER/2001.12.28岩手県出身/ 63.45kg)4戦3勝(1KO)1敗
勝者:光基 / KO 2ラウンド 1分43秒
主審:関勝

光基がローキックで3ノックダウン奪ってノックアウト勝利。

◆第3試合 ウェルター級3回戦

ちさとkiss Me!!(安曇野キックの会/1983.1.8長野県出身/ 66.55kg)
45戦7勝(3KO)34敗4分
        VS
星野祐人(ケーアクティブ/1993.7.16千葉県出身/ 66.15kg)4戦2勝2分
勝者:星野祐人 / 判定0-3
主審:鈴木義和
副審:PIRIKA28-30. 笹谷28-30. 関勝28-30

ローキックからパンチの交錯は星野祐人の先手打つ攻勢が目立つ。攻め遅れるが、ちさともパンチ蹴りを返し、首相撲からヒジ打ちヒザ蹴りもしつこく繰り出した。見た目のインパクト小さいちさとは攻め負けてはいないが、蹴りの勢いの印象点優った星野祐人が判定勝利した。

◆第2試合 フェザー級3回戦

ウュグン(渡邊/1998.1.1ウズベキスタン出身/ 56.7kg)1戦1敗
        VS
鳥居大珠(ワイルドシーサー前橋元総社/2009.6.11群馬県出身/ 57.1kg)3戦1勝(1KO)2敗
勝者:鳥居大珠 / KO 3ラウンド 1分18秒

第3ラウンド、右ストレートで3ノックダウン奪った鳥居大珠のノックアウト勝利。

◆プロ第1試合 53.0kg契約3回戦

小林龍弥(SRK/1995.10.28大阪府出身/ 52.55kg)1戦1勝
        VS
青塚来弥(DANGER/2008.8.9茨城県出身/ 52.5kg)2戦2敗
勝者:小林龍弥 / 判定3-0 (30-26. 30-26. 30-26)

第3ラウンド、小林龍弥のパンチ連打で青塚来弥をロープ際に追い込み、スタンディングダウン2度奪って小林が大差判定勝利。

※他、アマチュア(オヤジ・オナゴキック)3試合。

《取材戦記》

渡邊信久代表に元・練習生から贈られたお祝いの言葉が切っ掛けで、ボクシングからキックボクシングに移って60周年を祝福するサプライズのセレモニーが行なわれました。役員が花束や記念品を贈呈。予期しなかった渡邉会長も感無量の表情で御挨拶されました。

「突然リングに上がれと言われて何事かと思ったよ!」と言う渡邊信久代表。選手時代の網膜剥離から波乱万丈な人生だっただけに感慨深い想いが過ったでしょう。

サプライズセレモニーだけにセリフも考えてなかった中で、これまでの御支援御協力に感謝を述べ、「これからも新たに挑戦していきたいと思います。」と宣言。

セレモニー開始と共にバックミュージック、加山雄三の「君といつまでも」が静かに流れた中、良く似合ったセレモニーだった。

ジムでは未だミットを持って指導するという渡邊信久代表。連盟の継続では現存する団体の中でいちばん長い日本キックボクシング連盟。“継続は力なり”は今後も続きます。

拳心館名誉館長・近藤健氏より花束贈呈。感無量の渡邊信久代表

山本太一は“意外”と言っては失礼ながら、飛びヒザ蹴りで豪快な王座奪取。一気に注目選手となり、NKBフェザー級チャンピオンの勇志(テツ)を名指し対戦を迫った。他団体、大手イベントに進出して盛り上げてくれたら面白くなる2026年である。

どん冷え貴哉も他団体選手との対戦を迫った。興行数少なく選手層薄いNKB内よりも他団体の名のある相手と戦いたくなるのは当然だろう。既存の古くからある団体間ならそう難しくはない戦いに期待である。

カズ・ジャンジラは4月18日の鐵人シリーズvol.2で引退試合が行われます。対戦相手はジャパンキックボクシング協会のウェルター級ランカーが予定されています。

ガルーダテツ、小林秀至、渡邊信久、近藤健、武笠則康、NKBを支える各理事

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
昭和のキックボクシングから業界に潜入。フリーランス・カメラマンとして『スポーツライフ』、『ナイタイ』、『実話ナックルズ』などにキックレポートを寄稿展開。タイではムエタイジム生活も経験し、その縁からタイ仏門にも一時出家。最近のモットーは「悔いの無い完全燃焼の終活」