◆瀕死の安倍政権を鞭打つ

 

タブーなき言論を! 月刊『紙の爆弾』2020年4月号

今号で、やってくれた(!)のは浅野健一氏である。「安倍野合政権崩壊へ『桜を見る会』再終幕」では、ホテルニューオータニに執拗に取材した末、ついに決定的な証言を得たのである。浅野氏ならではの電突取材は「個別の案件」ではなおものの、ANAインターコンチネンタルホテルと同じ「個別に契約することはない」「明細書は存在する」「営業上の秘密を理由に、明細書の提供(発行)をお断りすることはない」と、ニューオータニの支配人が回答したのである。しかもその明細書や見積書は「七年間は保存される」と明言したのだ。

記事には具体的なやりとりが「ナマ放送」に近いかたちで再現され、みずからニューオータニ「鶴の間」に足を運んで、参加費の支払い方法を検証している。これらの取材・調査活動は、記事の後段で報告される刑事告発に生かされるに違いない。東京地検は「犯罪構成要件に該当する具体的な事実を特定して欲しい」と、異例の「加筆・修正」を求めてきたという。検察の動きが注目される。

安倍政権が東京高検・黒川弘務検事長の定年延長で画策した「司法の私物化」はしかし、河井夫妻への強制捜査など、あまり功を奏していないかにみえる。が、籠池夫妻への刑事裁判では、論告求刑に虚偽記載があるという。記事は「大阪地検劣化の果てに『論告求刑』虚偽記載」(青木泰)である。捜査報告書と論告求刑の中身が矛盾するというのだから、大阪地検の劣化ぶりは明らかだ。

◆ビートたけし──誰も祝わない結婚

本誌芸能取材班のレポートは「ビートたけし再婚」である。18歳の年齢差結婚の相手・古田恵美子(55歳)はとんでもない女のようだ。自分の再婚を“大ニュース”とはしゃいでみたものの、誰も祝福しない深い理由が全面的に暴露されている。そもそも古田による略奪婚だったのだ。関係者によるベトナム人への不法就労、事務所関係者への恫喝にパワハラ。そして、たけし自身による軍団の切り捨て。そもそもオフィス北野からの独立劇も、古田恵美子の主導したものだったという。

◆小泉進次郎──地に堕ちた若手のホープ

環境大臣になったがために、その内容と実務力のなさを露呈してしまった小泉進次郎。私見ながら、若手のホープの座は北海道の鈴木直道知事に奪われたと言っていいだろう。記事「小泉進次郎の本性」(横田一)は、創価学会に接近する進次郎のパイプづくりが、菅義偉官房長官を介して行われているというものだ。

◆強力連載陣の見どころ

「れいわ新選組の『変革者』たち」(小林蓮実)第5回は、船後靖彦(参院議員)さんだ。「人は、自分の死と真剣に向き合ったとき、使命を確信し、それに向かって進む決意をする」(ハイデッガー)が座右の言葉とのこと。活躍に期待したい。
「格差を読む」(中川淳一郎)は「コロナ騒動が露呈させた『分断』」。いわゆる「上級国民」現象による分断も怖いが、資産階級および老後勝ち組の象徴だったクルーズ船が、いまや「監獄」であることに諸行無常を感じる。

マッド・アマノさんの連載「世界を裏から見てみよう」は「実は『横田幕府』が日本を支配している」で、かなり怖い内容だ。35年前、御巣鷹山に墜落した日航機事故に、自衛隊が関与していた疑惑をさぐる。横田幕府とは何か? 乞うご期待。
「日本の冤罪」(尾﨑美代子)は、強殺事件で冤罪をうけ、再審勝訴および国賠訴訟を勝ち取った布川事件。無罪の証拠を隠し続けた検事が、何の処分もされない現実を糺す。

連載ではないが、Paix2のプリズン・コンサート500回達成の様子(横浜刑務所)が活写されている(松岡利康執筆)。ファンクラブへの入会は、本誌挟み込みの振替用紙(Paix2ファンクラブ用)に、名前と住所を記入の上、入会費1000円・年会費5000円です。

▼横山茂彦(よこやま・しげひこ)
編集者・著述業。「アウトロージャパン」(太田出版)「情況」(情況出版)編集長、最近の編集の仕事に『政治の現象学 あるいはアジテーターの遍歴史』(長崎浩著、世界書院)など。近著に『山口組と戦国大名』(サイゾー)『日本史の新常識』(文春新書)『男組の時代』(明月堂書店)など。

タブーなき言論を! 月刊『紙の爆弾』2020年4月号