銀座の蝶、凋落のフジテレビ社長よりも伸びしろある新人作家へ

森村誠一、野沢尚、東野圭吾、池井戸潤などを輩出した“売れっ子作家製造器”とも呼ばれる「第62回江戸川乱歩賞贈呈式」(日本推理作家協会主催・後援・フジテレビ/講談社)が9月9日18時から帝国ホテルで行われたが、この手の文学賞を彩るために呼ばれる「銀座の艶っぽいホステス」が群がったのは、フジテレビ社長の亀山千広社長や講談社の野間省伸ではなく、大御所作家で選考委員の有栖川有栖、池井戸潤、今野敏氏らでもなく、337名の中から大賞に選ばれ、『QJKJQ』で受賞した新人作家、佐藤究(きわむ)だった。

佐藤究氏

「例年、念入りにフジテレビの亀山社長や野間社長や大御所作家に挨拶するのですが、今年、招待された銀座のホステスたちは、挨拶は数分程度で、さっそく『金の卵』と化ける可能性もある新人作家、佐藤のところに並ぶ編集者の列に入ってきたのはびっくりした」(文芸雑誌記者)

とくにフジテレビの亀井社長は活気あふれる受賞式とは正反対でどんよりとした雰囲気。日帯(6~24時)視聴率で、TBSに抜かれて民放4位に転落、破棄がないフジテレビの亀山千広社長は「年々、受賞作が映像化しづらい作品になっておりまして。特に今回の受賞作は、本の帯に『私の家族は全員、猟奇殺人鬼』とある。テレビでは絶対できません」と冗談交じりに、あいさつの弁。その声には張りがなく「体調が悪いのか」とささやかれる始末。負のオーラがばらまかれているのか、近寄るのは男ばかりで、ポツネンとひとりたたずむ姿も。

いっぽうで吉本興業の警備員だったという異色の受賞者、佐藤は「私も今回応募した337名と同じくただ書き続ける日々を送ってきました。書くことは私の古い友人です。作家は、サーカスの曲芸師です。ここはトランポリンやブランコなどを行うサーカスをする楽しい場所です。楽しんでいってください」といっぷう変わった挨拶で聴衆を引きつけていた。

和服姿の美女ホステスがこっそり教えてくれる。「今時の出版社社長や落ち目のフジテレビの社長や、ベテラン作家などに営業しても、もうひいきの店は決まっているし、新人作家は大化けしてベストセラー作家になって大枚をお店に落とす可能性があるのです。だから店どうしの争いも激しいのです」(同)

佐藤への挨拶の順番を巡って割り込む和服ホステスもいて、「ちょっと、私たちが並んでいたのです」と押し返される場面も。いっぽうで野間社長も旧知の男性とばかり話しており、あまり女性を受け付けない雰囲気をかもしだしていた。

「さながらこの会場は現在の不況が凝縮されていた。出版社もテレビ局も銀座の店で遊ぶ余裕がなく、結局、当たれば億単位で稼ぐ“作家”のほうが銀座ホステスにとって“くどくべき相手”だということです。その証拠に、夜8時ごろはもう例年だとほぼ解散なのに,佐藤の“出待ち”をしているホステスもいた」(同)

同賞は、講談社の編集者ががっちりと佐藤をプロテクトしており、佐藤のほうは挨拶してきた連中に名刺を渡さない。

「佐藤が気に入った相手がいれば出版者の編集者であれ、銀座のホステスであれ、広告代理店スタッフであれ、佐藤のほうから連絡するのが受賞式でのマナーであり、ルールです」(同)

さて、凋落のフジテレビ亀井社長は、つぎの予定があるのか早々と会場をあとにした。
「江戸川乱歩賞は賞金が1000万円だが、かつて東野圭吾が『1000万円なんてはした金』と第60回の江戸川乱歩賞贈呈式で言い放ったことがあるように、売れっ子になれば『一晩に数百万を銀座に落とす』のも夢じゃないからね」(同)

この作品は、一家全員がシリアルきらーというかなりエキセントリックな作品だが、ふたりが推薦したようだ。 池井戸潤の選評を紹介する。

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現実と幻想が交錯するストーリーで、その境界線が曖昧なことが読み味なのかもしれない。小説は自由なのだから主人公を含め家族全員が殺人鬼という設定があってもいいし、殺人鬼が犯人を追って密室殺人に挑むというのなら、それはそれでおもしろい。

だが、その謎解きは肩すかしだ。その後の展開も、この小説世界を支える枠組みやルールを後だししている印象を受け、果たしてこれが周到に準備された小説ともいえるか、という疑問を最後までぬぐえなかった。

だが、これはあくまで私一己の読み方である。選考委員のうちふたりがこの小説に最高点を与えて評価するというのであれば、それを拒むものではない。受賞者の今後の活躍をおおいに期待したい。

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いい選評だ。審査委員の今野敏は、「終盤の主人公の少女と実父とのエピソードには思わず涙しそうになった」と語っている。

このところ「文学賞」は、最初からテレビドラマ化しやすい作品に受賞させるようになった。さらに同じおもしろさなら「現代劇よりも時代劇」を、「笑える話よりも泣ける話」を選ぶようにトレンドが変化してきた。ゆえに「本来なら受賞する作品も、落選する可能性がある」と日本推理作家協会のわが師匠も話していた。

さて、「家族全員が殺人者」というストーリーで羽ばたく佐藤氏は、もともと吉本興業の警備員をしていたという変わり種だ。

もともと江戸川乱歩がポケットマネーでつくったこの賞は、森村誠一、東野圭吾、西村京太郎、鳥羽亮ら偉大な作家たちを生み出してきた。この賞の存続を強く望む。

そして92年から後援で参加しているフジテレビよ! 亀山社長よ! 
ドラマ化しにくいのはわかるが、てめえの挨拶が終わるやすぐ帰るという姿勢はいかがなものか。

現在、不況にあえぐ出版社は無名の作家は初刷り1000部なんてザラ。ファンが確実に集まる江戸川乱歩賞受賞作家に「夜の女」がなびき、凋落の出版社やテレビ局らは相手にされない時代が到来したのだ。

(伊東北斗)

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映画「64」に見る理想の警察広報と現実の差

「クライマーズ・ハイ」などで知られる横山秀夫の原作は、「正義と悪」が必ずしも軸にはならない。立場により「悪が正」となり、また逆もしかり。 ヒットした横山氏の原作を基に、『感染列島』などの瀬々敬久監督と『ザ・マジックアワー』などの佐藤浩市主演で映画化した犯罪ドラマが作られた。

前半と後半で2連作となっているのだが、新聞記者が警察の広報官とことごとく対立する。その内容は、『被疑者を匿名』としたり「誘拐犯人を匿名」としたりする警察側と記者クラブとの攻防を縦軸として、昭和時代の最後の1週間にあたる昭和64年に起きた未解決誘拐事件をオーバーラップさせていく。新たに発生した類似の事件の謎に迫る。県警の広報官を演じる佐藤のほか、綾野剛、榮倉奈々、永瀬正敏、三浦友和ら豪華キャストが集結。

僕は、「記者クラブ」というものが不思議でならない。警察に事件について問うと禅問答のようなやりとりになる。

警察 「あなたは加盟社の記者ですか」
筆者 「いえ、ちがいます。所属はエスエル出版会といいます」
警察 「原則として電話では教えていません」
筆者 「電話では教えないということは、FAXでは事件の概要を教えているということですか」
警察 「いいえ、そうは言い切れません。一般のかたに公開できない情報もあるからです。あなたがどの社に所属しているか、身分を特定しないとわけがわかりませんし」
筆者 「それでは、名刺や書いた記事など一式と社長に身分保障を書いてもらって郵送すれば事件の概要について教えていただけるということでしょうか」
警察 「いいえ、そうとは言っていません。こちらであなたの身分を特定して、公益性があると判断すれば教えるケースがあります。ただし、その結果を 担保しません。われわれとしては」
筆者 「何を言っているかよくわかりません、それでは書類を一式、FAXしますが、ご検討いただきたい」
警察 「送っていただくのはかまいませんが、それで教えるケースが生まれると保証できかねます」

いったい、何を渋っているのだろうか。ここで僕は取材依頼書と名刺、住民票までも送る。そして警察の広報に連絡を入れる。

筆者 「FAXは届きましたか」
警察 「届きましたが、検討はまだしておりません」
筆者 「どういうことでしょうか? FAXを送らせておいて検討しないというというのは、どうすれば教えていただけるのですか」
警察 「ですから、こちらに来ていただいて、事情を説明していただければお教えする可能性はありません」

ここで頭に来て電話を切った。
行かないと話にならないなら、はじめから交渉などしない。
知り合いの新聞記者にとっくに頼んでいる。
ちなみにこのバカ警察は大津警察署だ。
バカも休み休み言えとは警察のためにある言葉だ。

話をもとに戻せば、こうして「現実」を無視して理想の警察の広報官をこの映画では佐藤浩行が演じている。この誘拐事件の行く末はもちろん、警察と 記者クラブとの摩擦や警察内の対立、主人公の娘の行方など怒とうの展開に目がくぎ付けとなるだろう。

だが諸君、誤解することなかれ。こと警察の広報は、バカばかりで話にならぬ。このほか、バカ警察の広報のふざけた対応は山ほどあるが、機会があれば紹介しよう。ただし僕が仲がいい警視庁のエリートの刑事はきちんとしている。一応、フォローしておこう。

▼小林俊之(こばやし・としゆき)
裏社会、事件、政治に精通。自称「ペンのテロリスト」の末筆にして松岡イズム最後の後継者。師匠は「自分以外すべて」で座右の銘は「肉を斬らせて骨を断つ」。

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映画「シン・ゴジラ」にみる「反原発」精神

映画総監督・脚本は庵野秀明だ。僕の先輩はたとえば55歳で庵野世代であり、ゴジラ世代なのでもう3回もこの映画を観たという。

まあ、いってみれば「エヴァンゲリオン」に出てくる正体不明の敵、「使徒」がゴジラになったといえばわかりやすいか。

物語は展開が早すぎて、たぶん2回見ないとわからないだろう。たとえばプロデューサーの山内章弘氏(46)はマスコミにこう話す。

──「シン・ゴジラ」には多くの人の思いが込められている

「そうなんです。1本目のゴジラ(1954年)の精神にのっとっている感じですね。平成ゴジラが大好きな方々には拒絶反応があるかもしれませんが。ハリ ウッド版を除いて日本のゴジラの製作は12年ぶり。12歳までの子供たちは『ゴジラ』なんて知らない。そういう人たちに対してどういうアプローチ でゴジラを再生して新しいものとして見てもらおうかと(総監督の)庵野(秀明)さんとも随分話しました。“今の日本でやる意味”を突き詰めると、 かなりのリアルシミュレーションというか、今の日本にゴジラという巨大生物が現れたら一体どうするのか、どうなるんだろうかという発想の集大成の ような映画。大人の鑑賞に堪えうるゴジラです」
伊藤徳裕【スクリーン雑記帖】=2016年8月11日付産経ニュースより引用

たしかに、ゴジラは、大人向けに作られている。だが、ゴジラが登場したときの「無力な政府の対応」は、まるで原発事故が起きたときの民主党のそれにそっくりだ。責任転嫁をし、国民に嘘の情報を流す。もしくは情報を小出しにする。

ゴジラが原発で、自衛隊が唯一の希望で、あの「3.11」の事故のときに海水を原発に放水していたあのときを思い出ししてしまう。

世代によって「ゴジラ」は見方がちがうと思う。僕が見るゴジラは、すでに「正義の味方」となっており、悪のメカゴジラと戦っていた。

少なくとも、ゴジラが登場したら、本物の政府もこうした反応をとると思う。行政がどう対応するか、この映画には、都知事となった小池百合子氏がアドバイザースタッフとして参加しているのだが、そのあたりも見所だろう。

二度目を見たいが、おそらく僕には見る時間はないだろう。また、見るのに多少のためらいもあるのも事実だ。なぜならゴジラを見ると「原発事故と民主党政権のていたらく」を思い出して、情けなくなってくるからだ。

ところで庵野監督の5万文字インタビューも掲載している公式本公式記録集「ジ・アート・オブ シン・ゴジラ」が9月中旬に発売されるが、すでに予約が5万部超えているとか。

「庵野×ゴジラ」は、確実にブームとなった。第2弾を期待するが、今度はもうすこしゆったりとしたストーリー展開を望む。

▼小林俊之(こばやし・としゆき)
裏社会、事件、政治に精通。自称「ペンのテロリスト」の末筆にして松岡イズム最後の後継者。師匠は「自分以外すべて」で座右の銘は「肉を斬らせて骨を断つ」。

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この夏、原宿の「ことりカフェ」で喧噪を忘れてみる

原宿にある「ことりカフェ」にでかけてみた(http://kotoricafe.jp/access)。 今の原宿は、外国からの観光客だらけで韓国語、中国語、ベトナム語などが複雑に入り混じっている。青山六丁目の交差点あたりでは、イスラム風の衣装の人たちが太鼓を叩いて民族音楽を奏でて通りすぎていった。そのような喧噪の中、青山六丁目の信号の近くに、インコやかわいい オウムを店内でじっくり観賞できる「ことりカフェ」に行ってみた。

普段、寝る時間すら削っている身にとっては、インコたちがお互いに毛繕いをしている仲のいい光景すら、癒される。

そして鳥といったときに僕は「池中玄太80キロ」というテレビドラマを思い出す。主演は西田敏行で、写真雑誌の敏腕カメラマンだ。だが彼が本当にカメラに収めたいのは実は鶴。休みになると出かけて鶴を追いかける。そのようなわがままを普通は妻が許さないが、許してくれていた妻が早くに逝去する。そして残された三人の娘とどうやって暮らしているのか、重要なテーマだ。このとき西田が歌った「もしもピアノが弾けたなら」はスマッシュヒットとなった。

それにしても今は猫ブームなのだが、どうしてインコにスポットが当たらないのだろうか。

「やはり、世話がかかるのが一番の理由じゃないか。猫はほおっておいて旅行に行っても餌さえ与えておけば問題がないが、インコは自力では生活できないじゃないか」とペットショップの友人は言う。

なるほど、世話がかかるからかわいいという見方もあるかもしれない。いずれにしても、毎日の煩雑さから抜け出すのに、「ことりカフェ」はいいかもしれない。ここに訪れる外国人カップルたちも、鳥たちに魅せられていた。文化交流のために、日本との橋渡しを「とり」なしてくれているってわけだ。おあとがよろしいようで。

▼ハイセーヤスダ(編集者&ライター/NEWSIDER Tokyo)
テレビ製作会社、編集プロダクション、出版社勤務を経て、現在に至る。週刊誌のデータマン、コンテンツ制作、書籍企画立案&編集&執筆、著述業、漫画原作、官能小説、AV寸評、広告製作(コピーライティング含む)とマルチに活躍。座右の銘は「思いたったが吉日」。

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映画「ダーク・プレイス」はなぜかくも難解なのか?

映画「ダーク・プレイス」を見た。この原作は、ギリアン・フリンという才能あふれる作家でデビュー作の『KIZU―傷―』は、英国推理作家協会が主宰するCWA賞で2つのダガー賞を受賞、40週間以上もニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーリストに選ばれた。この映画の原作となる「冥暗」は、ニューヨーカー誌の〝批評的選書〟ウィークエンド誌の「この夏で一番の本」、パブリッシャーズ・ウィークリー誌の〝2009年最高の本〟シカゴ・トリビューン紙の「おすすめのフィクション」などに選ばれている。そして続く「ゴーン・ガール」が世界的にヒットする。なんと世界で1500万部も売れているのだ。手元の文庫は、すでに7刷を突破している。

そんなわけで、この「ダーク・プレイス」は、過去に一家惨殺をされて生き残った少女、リビー・デイが、成長し、もはや同情から慈善家たちから寄付がもらえなくなり,弁護士から「働くべきだ」と指摘されるところから物語は始まる。このとき「殺人クラブ」という、謎解きが趣味の集団が賞金を出すから「新犯人捜し」に協力してほしいと頼まれる。

事件当時、『悪魔教』に染まっていた兄が犯人として逮捕されるが、実は事実を掘り起こしていくと、自分が思ってもいない犯人象が浮かび上がってくるのだ。これは、主人公のリビー、兄、リビーの母親という3つの観点から描かれているので、いささかわかりにくい。

そこで、私の小説のほうの師匠、若桜木虔氏がリリースした最新書籍「ミステリー小説を書くコツと裏ワザ」(青春出版社)をもとに分析してみる。この映画はじつにわかりにくかった。原因は何か? それは、回想シーンを使いすぎたからだと僕は想う。

若桜木氏はこう綴る。

「どうしても画期的な冒頭が思いつけない、という理由で、その物語の中でもっとも劇的なシーンを冒頭に持ってくる手法がある。第27回横溝正史ミステリ大賞受賞作『首挽村の殺人』(大村友貴)や、第37回メフィスト賞受賞作の『パラダイス・クローズド』(汀こるもの)のような構成で、つまり同一シーンが作中の肝心な箇所と、冒頭と、二度と亘って出てくることになる。はっきり言って、この手法には賛成できない。物語の時系列が狂うからである。ミステリーに限らず、エンターテインメントでは回想やカットバックを可能な限り避け、エピソードを出来事の順番通りに並べる〝時系列厳守〟が鉄則なのだ。それは、なぜか。時系列に頓着しない,物語が過去と現在をいったりきたりするような作品でも、頭が混乱しないでストーリー展開を追える読者もいないわけではない。だが、頭が混乱して前後関係が把握できなくなる読者も、確実に存在する。また、時系列が狂った作品が大嫌いな選考委員も、一部には存在する。最終選考で時系列の狂いを扱き下ろされて受賞し損なった実例も、いくつかある。そもそも、ミステリーを含むエンターテインメント系の作品は『楽しみのために読む』のであって、知恵を絞って悪戦苦闘しながら読む、という性質のものではない。」

そうなのだ。この映画はたしかに頭を絞らないとなかなか時系列の流れに追いつかない。ただし主演のシャーリーズ・セロンはこの映画のプロデュースも兼務しているが、いい演技をしているし、暗闇をうまく使ったジル・パケ・ブランネール監督(脚本兼任)もなかなかいい演技を引きだしている。難解なパズルを楽しみたい諸兄には、ぜひおすすめしたい映画だ。

◎若桜木虔小説講座 http://prosakka.main.jp/kouza/

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大橋巨泉さん追悼企画で囁かれる「11PM」復活の噂

昭和を代表する番組「クイズダービー」『世界まるごとHOWマッチ』(TBS)や「11PM」(日本テレビ)で昭和のテレビの制作の礎を築いたとも言われる大橋巨泉が逝去した。

大橋巨泉『ゲバゲバ70年! 大橋巨泉自伝』(2004年講談社)

ラジオ、テレビで大橋が出演したときの映像、音声が懐かしさとともにメディアに流れているが、リクエストが殺到しているものの、放映できないコンテンツがある。それが女性の裸満載、また今となってはコンプライアンス上問題がある性風俗ルポなどが満載している「11PM」(日本テレビ)の特集映像だ。

「たとえば7月22日には『「中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS)で、出演して闘病生活を語るとともに、竹下景子や北野大など往年の回答者を呼び『クイズダービー』を復活させたり、かつての映像を流して追悼。ラジオ番組『爆笑問題の日曜サンデー』(TBS)では、大橋がカナダでの移住生活を語るなど、大橋の魅力が十分、伝わるものでした」(放送作家)

ところが「もうひとつの大橋巨泉の魅力、エロスの探求者としての魅力」を伝えるのに、やはり「11PM」は欠かさせないという声は多い。

「実際、数十件の電話が日本テレビの視聴者センターに『かつての『11PM』の映像を流さないのか」と問い合わせがあったとも聞いています。やはりお色気番組のはしりとして、見ていた年代(40代以降)には強烈なインパクトがあったのでしょう」(同)

『11PM』は、深夜のお色気番組のはしり。世界の性風俗、そして最新の大人のおもちゃなど扱いつつ社会情勢の分析なども扱い「大人のおもちゃ箱」と呼ばれるほど最先端の情報が愛された。過激な水着をきせてカバーガール、かたせ梨乃を輩出、由美かおるや明石家さんまもテレビデビューは「11PM」だった。

「もし復活させるなら、タモリや北野たけしなどの大御所が考えられるが、まあ、あの文化的にして乱れた雰囲気の再現は無理でしょう。あの番組は曜日ごとに司会が異なっていたが、ほかの曜日担当の藤本義一や愛川欽也も故人となった。どんなに視聴者が望んでも、今のテレビ局のコンプライアンスでは、女性の裸と切り離せないあの番組の映像は使えません」(同)

となると、期待は「雑誌」での特集くらいものか。悲しき時代である。

しかし、これも誰かが流した「噂」か。「再放送への問い合わせは数件」という話も。系列のBS番組へのもちあげ情報を誰かが流したのか。行方を見守りたい。

(伊東北斗)

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具志堅さんもやって来た「めんそ~れ、沖縄!」──池袋で感じる〈琉球の風〉

 

今回で8回目となる、サンシャインシティ(東京・池袋)で開催される『沖縄めんそーれフェスタ2016』前夜祭イベントを取材した。

期間は5月27日(金)~6月5日(日)の10日間、展示ホールAでは、沖縄物産展、オリオンビールが飲めるビアガーデン、噴水広場ではエイサーの演舞や沖縄アーティストによる生ライブなど盛りだくさんの内容で、沖縄をアピールする催しだ。物産展では、沖縄そば、海ぶどう、もずく、サーターアンダーギー等42のお店が立ち並んでいる。なかでも、泡盛カクテル、スパム串を出しているお店の女性に取材した。

 

── 沖縄から来られたのですか?
「私は沖縄県民ですが、上京して六本木でお店をやっています。他の方々は沖縄から来て期間中はホテルに泊まっていますね」と話していた。

まさに大がかりな「出店キャラバン」だ。
また泡盛のカクテルの値段が千差万別だったので、質問した。
「一般的な ものは500円、 グレードが高いものは700円、 さらに古酒は900円 です」

── 古酒ってどういうお酒ですか?
「3年以上貯蔵したものです。こちらにはなんと入手困難な『美ら蛍』があります。古い酒はまろやかでおいしいですよ」

── なぜこの時期に「沖縄のフェスタ」を開催するのですか?
「今、沖縄は梅雨の真っただ中です。2週間後には梅雨が明けます。この時期に東京の皆さんに沖縄をアピールしてぜひ来てほしいと思います」とにこやかに話した。

 

さて、前夜祭のオープニングセレモニーのステージイベントには、具志堅用高や鈴木奈々がゲストで登場していた。

鈴木は鮮やかな黄色い沖縄の民族衣装に身を包み、かわいい笑顔をふりまいていた。いっぽうで具志堅はやはり「沖縄の顔」といえるキャラで、親しみやすく優しい性格がテレビでもお茶の間に伝わり、若い女性にも大人気だった。

 

トークコーナーで夫婦円満の秘訣を聞かれると、「誉めることが大事」と熱弁していたのが印象的だった。

ところで「沖縄そば」と「ソーキそば」のちがいはご存知だろうか?
物産展で沖縄そば店の男性に話を聞いた。

「沖縄そばは豚のバラ肉(3枚肉)を使う。ソーキそばは、豚バラの軟骨の肉を使っている違いですね」と教えてくれた。イートインのコーナーも広く充実しているので、じっくりと沖縄の味を堪能できる。ほかに「BIGIN」の「島人ぬ宝」を唄うバンドの演奏や沖縄の伝統芸能エイサーの太鼓を舞ながら叩くパフォーマンスは力強く迫力があった。

沖縄の観光客は多い月は3月、ついで8月、11月となっている。少ない月は1月、6月、9月で、9月は台風期、6月は梅雨期、1月は曇りの多い冬のためという。このオフシーズンには、修学旅行誘致に力を入れて一定の成果を出しているそうだ。近年は「沖縄美ら海水族館」が大人気で人を集めている。

元米兵による女性遺体遺棄事件や基地問題など沖縄関連で暗いニュースが飛び込む今、沖縄の青くきれいな海とこうした素晴らしい自然や海産物、歌などの文化とのギャップに心が痛む難しい問題が沖縄の人たちを苦しめている。この『沖縄めんそーれフェスタ2016』が成功し、沖縄の観光客が増えて、潤い、沖縄に元気を! と切に祈りたい。

『島唄よ、風になれ! 「琉球の風」と東濱弘憲』

文・撮影=林雅子 
プロデュース=ハイセーヤスダ

▼ハイセーヤスダ(編集者&ライター/NEWSIDER Tokyo)
テレビ製作会社、編集プロダクション、出版社勤務を経て、現在に至る。週刊誌のデータマン、コンテンツ制作、書籍企画立案&編集&執筆、著述業、漫画原作、官能小説、AV寸評、広告製作(コピーライティング含む)とマルチに活躍。座右の銘は「思いたったが吉日」。格闘技通信ブログ「拳論! 蹴論!」の管理人。

絶望の牢獄から無実を叫ぶ極限芸術──広島で「冤罪死刑囚たちの絵展」が好評

5月21日(土)から広島市安佐南区の「カフェ・テアトロ・アビエルト」で開催されている「冤罪を叫び続ける死刑囚の絵展」が好評を博している。

これまで店内で様々な個性的イベントを開催してきた同店。死刑囚が獄中で描いた絵の展覧会は、数年前から全国各地で開かれるようになっているが、その先駆けといえる存在でもある。

独特の存在感を放つ林氏の作品

◆ブームの火付け役にも刺激

同店が初めて「死刑囚の絵展」を開催したのは2012年の秋だった。死刑囚・大道寺将司氏(1948年~)の亡母・幸子氏が遺した預金で創設された基金によって毎年開催される死刑囚の作品展に寄せられた20数名の約50点の絵を展示した。同店のオーナー・中山幸雄氏がその作品展の主催者らと親交があった縁で実現したとのことだった。

そして翌年、この展覧会に刺激を受けた福山市の「鞆の津ミュージアム」のアートディレクター・櫛野展正氏が死刑囚37人の約300点の絵を集めた展覧会「極限芸術 ~死刑囚の表現~」を開催。これが全国各地から観客が殺到する大ブレイクとなり、死刑囚が手がけた芸術に広く注目が集まるようになった。

実を言うと、筆者が今年2月、冤罪死刑囚たちの書画を集めて制作した編著「絶望の牢獄から無実を叫ぶ ―冤罪死刑囚八人の書画集―」も元々、アビエルトが開催した2012年の「死刑囚の絵展」に足を運び、感銘をうけたことから着想したものだった。

司法に対する強い憤りを表現した高橋氏の作品

◆7人の冤罪死刑囚の絵を展示

今回、同店が開催した展覧会は、冤罪を主張する死刑囚の絵を特集したもの。林眞須美氏、藤井政安氏、何力(フウ・リー)氏、松本健次氏、風間博子氏、金川一氏、高橋和利氏という7人の冤罪主張死刑囚の絵を展示している。

毎度なんともいえない情念を感じさせる林氏の絵は今回も会場で独特の存在感を放っていたが、他の6人の作品もそれぞれ独特の味わいがある力作ぞろい。画力の高さには定評がある風間氏と高橋氏は前掲「絶望の牢獄から無実を叫ぶ」にも書き下ろし手記を寄稿してくれているが、この展覧会でも自らの潔白を訴えかけてくるようなメッセージ性の強い作品を提供していた。今回も一見の価値がある展覧会になっていると思う。

なお、風間氏については、蜷川泰司氏の小説「迷宮の飛翔」に提供した挿し絵の原画も同時に展示。会の開催は6月5日(日)まで。同4日(土)には、蜷川氏によるトークイベントも開かれる。

風間氏の抽象画。開いた扉からあふれる光は「無実の希望」か

(1)「冤罪を叫び続ける死刑囚の絵展」の詳細は「カフェ・テアトロ・アビエルト」のHPにて。
(2)上記の櫛野氏が福山市につくったアートスペース「クシノテラス」でも「極限芸術2 ~死刑囚は描く~」が8月29日まで開催中。5月29日には都築響一氏、7月4日には茂木健一郎氏のトークイベントがある。

▼片岡健(かたおか けん)
1971年、広島市生まれ。早稲田大学商学部卒業後、フリーのライターに。新旧様々な事件の知られざる事実や冤罪、捜査機関の不正を独自取材で発掘している。広島市在住。

片岡健編『絶望の牢獄から無実を叫ぶ――冤罪死刑囚八人の書画集』(鹿砦社2016年2月)

黒ラベルのレコンキスタ──がんばれ!! サッポロビール

「今年はサッポロの黒ラベルがいいみたいだね」と年輩の編集者が言った。
彼は、今年、サッポロ黒ラベルとヱビスビールしか飲んでいないようだ。

◆日頃から黒ラベルを愛飲しているという妻夫木聡はイメージキャラクター7年目突入!

桜が満開となった3月31日、東京・六本木ヒルズの大屋根プラザで、サッポロ生ビール「黒ラベル『パーフェクトデイズ2016』オープニングイベント」が開催。ゲストで登場したのは、イメージキャラクターを務めて7年目の妻夫木聡だ。 紺のスーツ、黒のネクタイでキリッと引き締まった印象は、集まったマスコミ陣や業界関係者を魅了した。

プライベートでも「黒ラベルを愛飲している」とぶっちゃけたトークや「ハイスピードカメラを使った撮影で美術さんが凝った星形のセットを組んでくれて、水が流れ出たのを見たときはおおっと感動した」など新CMを撮影した上でのこぼれ話を語っていた。

◆4月12日発売開始の数量限定『黒ラベルエクストラブリュー』に注目!

中でも、4月12日から数量限定(25万ケース)で発売される『黒ラベルエクストラブリュー』を飲む場面では「本当に美味しい!」「仕事を忘れて旨いです」と大絶賛。

「女性でも、ビールが得意ではない方でも、苦みがうまみになっていて、飲みやすいです」として「限定なので、今作った分が売り切れたら終了なので、1本でもいいので、みなさんに飲んでいただきたいですね」と話し、レギュラー商品化を切望していた。
ビールが苦手な筆者には、半信半疑だった。イベント終了後、ついに試飲することができた。つきあいで飲んでも、筆者は最後まで飲みきったことはない。今までビールを「美味しい」と感じたことがなかったが口にしてみると「あれ、苦くない」と二口目からグビグビとためらわず、一気にグラス一杯を飲み干せたのだ。我ながらびっくりした。苦みより、旨みが勝っており「おやおや」と思ったのだ。

それもそのはず、「完璧なビールを目指す」というコンセプトの黒ラベルから、初めて出すエクステンション商品で、旨さ長持ち麦芽を初めて100%使用し、「喉ごしのうまさ」と「爽快な後味」が売りである。

◆丸くなるな! ★になれ!──ビール好きにはまだまだ多いサッポロ派

黒ラベルCM 丸くなるな、★星になれ。

その後、ビールのことを調べてみると、さらに興味が湧いてきた。
そこで、人生で出会った人のうち「もっともビール好き」な年輩男性に取材を試みた。ビール愛好歴50年以上というから、話だしたら止まらなかった。

―― 何を基準にビールを選んでいますか?
「スーパーで新商品は必ずチェックするが、試しに買って飲んで、気に入ったら続けてまた買って飲むかな。 売れている商品にも自然に興味が出てきて、手が伸びるね」

―― ビールのおいしさの決め手は?
「やはり喉ごしだね。辛いビールは苦手だから、喉を通ったときに、スーッと入ってくるものがよい。最近、 サッポロの黒ラベルがおいしくなったから、よく飲んでいるよ」

なんと、すでにもう「黒ラベル」はチェック済みだという。そう、じわじわと黒ラベルのブームがきているのだ。

さて、この黒ラベルを武器にビールメーカーの商品売り上げランキングでシェアが4位となっているサッポロが巻き返すのだろうか。この夏、ご期待といこうじゃないか。

◎[参考動画]サッポロビールの黒ラベルCM 丸くなるな、★星になれ。

取材・撮影=林雅子(ライター) 
構成=ハイセーヤスダ

▼ハイセーヤスダ(編集者&ライター)
テレビ製作会社、編集プロダクション、出版社勤務を経て、現在に至る。週刊誌のデータマン、コンテンツ制作、著述業、落語の原作、官能小説、AV寸評、広告製作とマルチに活躍。座右の銘は「思いたったが吉日」。格闘技通信ブログ「拳論!」の管理人。

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募集から3年経っても当選者を発表しない竹書房の文芸賞にまつわる黒い噂

出版の世界でしばしば疑問にあがる話題として「なぜ2013年3月に募集した竹書房の第1回エンターテインメント文芸賞は発表されないのか」というのがちまたの出版社や小説家志望者の話題で、「出版七不思議のひとつ」ともされているが、ここにきて、きなくさいニュースが入ってきた。

「実は、文芸賞の発表がなされた直後、アイドル雑誌を作っている外部スタッフのひとりのA氏が『俺が当選しやすくしてやるよ』と女性の小説家志望者のB子に接近して、肉体関係となり、便宜供与をほのめかしたというものです。この女性は、A氏が『竹書房』の名刺を持っていたので信用したのですが、あとでその名刺はとっくに使ってはいけないタイミング(つまり辞職したあと)であり、そのA氏が『契約社員が連れてきた嘱託スタッフ』であり、評判が悪くて追い出された御仁だとわかりました」(事情通)

そのA氏を連れてきた契約社員はもう竹書房を去って別の会社にいる。今回、あまりにもA氏が同じ手口で「竹書房の文芸賞がまだ発表されていない」ことをいいことに、小説教室で応募した女性を見つけては「俺が賞をとれるように便宜をはかってやる」と接近して、体を迫っている話を伝え聞いたのに腹をたてた被害者のB子が、警察に「詐欺」で被害届けを出した。

その女性に直撃すると「その話はもうしたくありませんのでお察しください」としながらも、「文芸賞入選をえさにして女に接近して、体を奪うやり口を許してはいけないと思います。記事にしていただくのは結構です」とした。筆者はコピーだが、警察に出した被害届けも確認した。

なんでもB子の友人の話では「その詐欺男は、竹書房に電話をしたらA氏が普通に出ていた時期もあるし、その契約社員と一緒にB子がA氏に3人で会ったこともあるので、賞に影響があるはず(つまりすでに辞職していたことを知らない)として被害者も信じてしまったにちがいありません」とのこと。逆算してみると、A氏がB子をだましたタイミングは確かに竹書房から去っている。

竹書房の元社員によれば「しばしば、正規のルートじゃない外部スタッフが編集部に入り込んできて『だれなんだ、あれは?』といぶかしげにみんなが見るような嘱託スタッフがたまにいる」ということだ。それは元社員だったり、出入りしているライターだったり、編集長の友人だったりする。

「嘱託スタッフなんていつ来ていついなくなったか、俺らには知らされていない。部署がちがうならなおさらだ」と現役の社員は言う。

「この事件が竹書房の幹部の耳に入り、『なにが飛び出るかわからない』と賞の入選者が発表できないともささやかれていますが、そうではなくて、ただ単に事務が停滞しているようです。先日も、応募者が『賞の発表はまだなんですか?』と竹書房に聞いてみると、『そのうちに発表します』ということでした」(事情通)

かくして、A氏は今ものうのうとして、フリー編集者としてさまざまな出版社に出入りしているという。
「ある出版社には、Aの履歴照会の電話があったようです。警察としては、逮捕に向けて内偵に入っているのかもしれません。また、竹書房がまだ文芸賞の入選者の発表をしていないことについては、消費者庁が事情を調べ始めたとも聞いています」(同)

確かに「文芸賞をぶちあげて、当選者を発表しない」というのは景品表示法に抵触しそうだ。

今、B子は「週刊文春」に駆け込むことも検討し始めた。
「もし仮に、計画的に『文芸賞』を経費の消化や架空の審査員の雇用に使っているとしたら、それはまちがいなく法律に触れるでしょう」(猪野雅彦弁護士)

 消費者庁に「竹書房に文芸賞の未発表は景品表示法に触れるか」と聞いてみたが「個々のケースについては、お答えできません」という答えが返ってきた。

竹書房は平成27年3月に、雑誌のプレゼントを掲載どおりに送らずに消費者庁の行政指導を受けている。

「まあ、もしかして出版社の上層部は、当選者を発表してしまうと、『パンドラの箱』があいたみたいにさまざまな黒い噂が飛び出るのをきらっているのでしょう。ヤクザが投稿していて、『落選したら難癖をつける』と息巻いているという噂もありますしね」(元社員)

はたして「近く発表する」としている文芸賞の当選者が発表される日は来るのであろうか。

(鈴木雅久)

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