衆院平和安全法制特別委員会は7月13日午前、有識者の意見を聞く中央公聴会を開いた。憲法や外交・安全保障の専門家ら5人が出席。野党推薦の3人が法案に否定的な見解を表明し、与党推薦の2人が賛意を示した。(毎日新聞2015年07月13日

◎[参考動画]2015年7月13日衆議院平和安全特別委員会中央公聴会(村田晃嗣は動画13:35から)

◆同志社大学は大学長が「戦争推進法案」賛成を表明した初の大学となった!

いったいどんな輩が「戦争推進法案」に賛成を表明したのかと記事を読み進むと、一人は外交評論家と自称するタカ派で有名な岡本行夫で、ああ、この人間ならさもありなんと驚きはなかったが、何ともう一人は同志社大学長の村田晃嗣ではないか。村田の反動ぶりはイラク派兵の際に当時の川口外相を学内に招き(多数の私服警官も学内へ招き入れ)「派兵」の抗弁をする機会を与えた過去があることからも明確な通り、文字通りの好戦的米国追従学者だったが、学長に就任してから昨年までは以前に比べれば目立った政治的発言は控えていた。

しかし、昨年の「解釈改憲」について実質的に是認する発言を行ったあたりから、この男はいつ本性を露わにするのか、と注視していたがまさか「戦争推進法制」の「中央公聴会」で政府の暴走是認を行うとは考えもしなかった。毎日新聞の記事によると村田は「憲法の精神を守るのは言うまでもないことだが、これは安全保障の問題でもある。安保の学会では多くの専門家が肯定的回答をするのではないか」と述べたという。(産経新聞2015年7月13日

◆「安保の学会」とはどの学会なのか?

「安保の学会」とは何を指すのだろうか、名前が近いところでは「国際安全保障学会」がある。

この学会は1973年に「防衛学会」と言う名前で発足しているが、2013年次大会記録を見ると「日米武器技術協力の模索 1978-1986 日本原子力研究開発機構 武田悠」や「東アジアにおける共同軍事演習 防衛省 廣瀬律子」と言った、とてもではないが「学問」の範疇には収まらない「戦争推進学会」であることは一目瞭然だ。この学会なら「反対はしないだろう」というのが村田の言い分だ。

それはたぶん正しい。この学会は「戦争をしたくてしたくて仕方がない」連中の寄合なのだから。では「日本平和学会」に対しても村田が中央公聴会で発言したのと同じ内容を語れるのか。日本憲法学会に対してはどうだ。

◆新島襄の「良心」は「学生を戦場に送るのに熱心な学長」を許すのか?

村田が学長の地位にある同志社大学は「新島襄」が設立した「リベラル」を学風とする大学だった。昔はそうだった。しかしこの村田の言動は一体どう表現すればよいのだろう。大学長が「戦争推進法案」に積極的に賛成するということは学生に対して「戦争へ行け、戦場で人殺しをして来い、若しくは殉死して来い」と言っているのに等しい。あらゆる屁理屈を並べようと村田のこの発言は絶対に許されるものではない。大学人として万死に値する。「学生を戦場に送るのに熱心な学長」など殺人者と変わらない。

私はこの文章を書きながら指が震えている。何年振りか、体の奥底からの怒りを抑えることが出来ない。村田は政治学者だが人間性を持ち合わせない「悪魔」であることが明らかになった。

同志社大学の教職員、学生諸君はこのような人間を学長のまま放置するのか。否、同志社大学だけでなく、日本中の大学関係者は村田のこの蛮行を黙認するのか。私の指の震えは増すばかりだ。村田晃嗣を人間として絶対に許せない。

◆同志社大学の広報課に電話して問いただしてみた!

それにしても村田の発言を同志社大学はどう考えているのだろうか。広報課の植村巧課長に電話で話を聞いた。

田所 午前中の中央公聴会で村田学長が安保法制に賛成の立場の発言をしたが問題を感じないか。
植村 発言は個人としての意見を述べたものであると考えている。
田所 大学の学長が国会の委員会で発言する内容が「個人としての意見」と言うのは無理がある。そんな詭弁は世間では通用しない。現に複数のマスコミは「同志社大学長」村田晃嗣氏の発言と報じている。しかも発言内容は「戦争を可能にする」法案への賛成意見だ。違和感を感じないか。
植村 確かに問題化する恐れはあるとは思う。
田所 あなたは今審議されている法案が「戦争を可能にする」法案である、と認識しているか。
植村 それはそうだ思う。
田所 それでも呑気な応答をしていられるのか。大学の使命は学生を守ることではないのか。
植村 それはその通りだ。
田所 大学の学長が国会で「戦争を可能にする」法案に賛成意見を述べたことなど戦後の歴史にはない。同志社大学として問題だと感じないか。
植村 だから、先ほど申し上げた通り「個人としての発言」と言う認識だ。
田所 あなたは大学職員として恥ずかしくはないのか。「戦争推進」を公聴会で明言した学長の下で呑気に仕事をして学生に申し訳ない、恥ずかしいとは思わないのか。
植村 …………。
田所 村田氏はイラク戦争の際にも川口外相(当時)を招き派兵を正当化する講義を指せた前科がある。今回の発言と繋がっているのではないか。
植村 あの時は個人的な企画で………。
田所 違うだろ。法学部が決定した正式な大学行事だったのではないか。
植村 法学部の行事ではあった。
田所 ならば個人的な企画ではないではないか。同志社大学は戦争を推進する大学なか。
植村 そうではない。
田所 ならば、国会で学長が「戦争を可能にする法案」に賛成の意見表明を行ったことは極めて大問題ではないか。
植村 執行部で対応を協議することになると思う。大学へ何らかのマイナスはあるかもしれない。
田所 総長の大谷實氏は地元で「戦争に反対する」運動に名前を連ねているが矛盾しないか。
植村 それも個人的な意見表明ではないか。
田所 新聞報道では同志社大学総長大谷實と肩書が書かれている。だいたい大学の学長や総長が公的な場所で発言をする時に「個人的な意見」だと断ってもそんな理屈は通じない。彼らは「公人」だし公の場での発言は常に「学長」、「総長」の発言と理解されるのが普通の感覚だ。
植村 意見として伺っておく。
田所 意見ではない。大学学長の公式発言としては「戦後最悪」だと私は呆れている。同志社大学は村田氏を学長から解任すべきだ。そうでなければあなた方全員が「戦争法制加担責任者」と看做されることを心すべきだ。
植村 意見として伺っておく。

役人風の緊張感の欠片もない問答だった。最悪の学長を抱いた同志社大学に学ぶ学生と心ある教職員が不憫でならない。しかし同志社関係者が村田を学長から引きずり降ろし、謝罪を述べさせることが出来れば、この最悪の「不名誉」を回復する道はある。学内で大した問題にもされないとすれば、残念ながらもうこの大学には存在意義が全くないと断ぜざるを得ない。

決起せよ! 同志社大学学生諸君! 心ある教職員諸君!


◎[参考動画]2015年6月1日 同志社大学講義「良心学」第7回「総括」(村田晃嗣)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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