埼玉県の伊奈町で行われている「バラまつり2016」(5月11日開催)に出かけた。主催は伊奈町観光協会で、場所は伊奈町制行記念公園内バラ園だ。このイベントは世界的な名物で、実は300種、4800株以上のバラを楽しめる。夜は夜でライトアップされており、まさに「ラヴィ・アン・ローズ」という感じだ。※バラ園(町制施行記念公園)

 

膨大なバラを見ていると、地上で起きるすべての出来事はうたかたのようだ。だが、伊奈町が歩む道は厳しい。行政でいうと、町としては平成30年度に赤字に突入するという。行ってみるとわかると、伊奈町には(住民には申しわけないが)発展する要素は何もない。

 

2001年5月1日に浦和市、大宮市、与野市が合併し、さいたま市が発足するが、ここに合流するはずだった伊奈町は、合併への協議を断念。たしかに合併すれば市民税が上がったり、行政サービスが充実するかわりに「浦和や大宮に比べて条件が低い住民サービスを受ける」という状態を住民が嫌ったようだ。だが、岩槻はのちにさいたま市へ合流を表明し、2003年4月1日には実現した。

 

思うに、僕のなかのバラ園での光景は、伊奈町の景気と連動している。確かに、伊奈町はこの「さいたま市へ合流」したほうがいいのではないか、という議論はいまだにくすぶっており、1983年の埼玉新都市交通伊奈線(ニューシャトル)の開通により区画整理が実施され、さいたま市のベッドタウンとして宅地造成が進んでいる。国内で10番目に人口の多い町(約44,500人)となった現在でも、たまに住民の間でも話題になっている。要するにまだまだ「町のありよう」を語るべきモデルケースなのだ。

撮影=林雅子(ライター)
文=ハイセーヤスダ

▼ハイセーヤスダ(編集者&ライター/NEWSIDER Tokyo)?テレビ製作会社、編集プロダクション、出版社勤務を経て、現在に至る。週刊誌のデータマン、コンテンツ制作、書籍企画立案&編集&執筆、著述業、漫画原作、官能小説、AV寸評、広告製作(コピーライティング含む)とマルチに活躍。座右の銘は「思いたったが吉日」。格闘技通信ブログ「拳論! 蹴論!」のアソシエイト・スタッフ。

7月14日衝撃緊急出版!『ヘイトと暴力の連鎖』(『紙の爆弾』増刊)