NKBの存在感見せる、高橋一眞の戦い!

高橋一眞の右ストレートがヒット

新日本キックボクシング協会との交流戦開始に続き、NJKFとの14年ぶりという交流戦も実現。実力測れる対戦が増え、新たな世代の選手が育って来たNKBの現在、更に活動の枠が広がれば面白くなるNKBであり、国内活性化でもあります。

◎闘魂シリーズFINAL(vol.6)
12月8日(土)後楽園ホール17:15~20:30
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

続けて高橋の右ストレートがカウンターでヒット
右ストレートを浴びた棚橋は2度目のダウンとなった

◆メインイベント NKBライト級タイトルマッチ5回戦

チャンピオン.高橋一眞(真門/61.1kg)vs 同級1位.棚橋賢二郎(拳心館/59.95kg)
勝者:高橋一眞 / KO 3R 1:50 / 3ノックダウン / 主審:前田仁

上手さ目立った高橋一眞の戦い。ディフェンス技術が向上し、棚橋賢二郎に何もさせなかった印象が残る。

1ラウンドから一眞の先手ローキック、ミドルキックをヒットさせていく。棚橋の強打がいつ炸裂するのか、そんな怖さがありつつ、勢いが増すままパンチを当てていった一眞。3ラウンドにヒジ打ちをアゴにヒットさせて効かせたところへヒザ蹴り追撃でスタンディングダウンを奪う。

これも高橋一眞のヒジ打ちカウンターで最後のダウンに繋げた
ヒジ打ち喰らって縺れた後、そのまま倒れ行く棚橋をレフェリーが止める

更に右ストレートでノックダウンを奪い、最後は右ヒジ打ちカウンターさせ、棚橋は効きながらも縺れ合い倒れ行く中、レフェリーが止め、3ノックダウンとなるKO勝利となった。高橋一眞が2度目の防衛成る。

◆セミファイナル 57.0kg契約 5回戦

NKBフェザー級1位.ひろあき(=安田浩昭/SQUARE UP/57.0kg)
   VS
NJKFスーパーバンタム級1位.久保田雄太(新興ムエタイ/57.0kg)
勝者:久保田雄太 / TKO 2R 1:09 / カウント中のレフェリーストップ
主審:鈴木義和

序盤はひろあきがローキックで様子見から徐々にパンチで出ると、久保田は得意の強い蹴りで応戦しつつも下がり気味。接近戦でひろあきはヒザ蹴りも見せて圧力を掛ける。2ラウンドに入っても流れは変わらず、パンチで出て来るひろあきに久保田の右ストレートのカウンター一発でダウンを奪うと、ひろあきはフラつきながら立ち上がるもレフェリーに止められ、久保田の逆転TKO勝利となった。

ひろあきの突進を止める久保田雄太の右ミドルキック
久保田の右ストレートカウンターでひろあきを倒した

◆59.0kg契約 3回戦

野村怜央(Team KOK/58.8kg)vs KEIGO(FLAT UP/58.7kg)
勝者:KEIGO / 判定0-2 / 主審:川上伸
副審:前田30-30. 佐藤友章29-30. 佐藤彰彦28-30

◆56.0kg契約3回戦

WBCムエタイ日本フェザー級5位.大脇武(GET OVER/55.0kg)
   VS
NKBバンタム級5位.海老原竜二(神武館/55.7kg)
勝者:大脇武 / TKO 2R 2:08 / カウント中のレフェリーストップ
主審:亀川明史

第2代NJKFフェザー級チャンピオンの中島稔倫の愛弟子である大脇武がダウンを奪われながら左ストレートで逆転して倒し、レフェリーが止めるTKO勝利を収めた。

ひろあきを倒し、喜びが現れる久保田雄太

◆63.0kg契約3回戦

NKBライト級5位.パントリー杉並(杉並/62.7kg)
   VS
ちさとkiss Me(安曇野キックの会/62.9kg)
引分け1-0 / 主審:佐藤友章
副審:鈴木30-30. 亀川30-30. 川上30-29

◆ウェルター級3回戦

蛇鬼将矢(テツ/66.4kg)vs 雅喜(ReBORN経堂/66.6kg)
勝者:蛇鬼将矢 / TKO 3R 1:52 / 主審:佐藤彰彦

◆フェザー級3回戦

鎌田政興(ケーアクティブ/56.95kg)vs KAZUYA(JKKG/56.95kg)
勝者:鎌田政興 / 判定2-0 / 主審:鈴木義和
副審:佐藤友章28-27. 亀川28-27. 川上28-28

◆ミドル級3回戦

剱田昌弘(テツ/72.05kg)vs 田中STRIKE雄基(BFA-SEED/72.4kg)
勝者:田中STRIKE雄基 / 判定0-3 / 主審:佐藤彰彦
副審:亀川27-30. 鈴木27-30. 前田27-30

◆フェザー級3回戦

山本太一(ケーアクティブ/57.0 kg)vs 森田勇志(真門/56.45kg)
勝者:森田勇志 / 判定0-2 / 主審:川上伸
副審:亀川29-30. 前田29-30. 佐藤彰彦29-29

◆バンタム級3回戦

古瀬翔(ケーアクティブ/53.45kg)vs 志門(テツ/53.4kg)
勝者:志門 / TKO 2R 1:54 / カウント中のレフェリーストップ
主審:佐藤友章

◆ウェルター級3回戦

元長(アルン/66.68kg)vs DAIKI(渡邉/65.5kg)
勝者:DAIKI / TKO 1R 1:58 / 主審:亀川明史

◆ライト級3回戦

神田拳児(Team S.A.C/60.5kg)vs ISSAY(テツ/60.5kg)
勝者:神田拳児 / KO 2R 2:19 / 3ノックダウン
主審:前田仁

2度目の防衛で、渡辺信久代表より認定証を受ける高橋一眞

《取材戦記》

棚橋賢二郎や安田浩昭はダウンした後、本能的に立ち上がってしまうであろう闘争本能が感じられました。他のノックアウトに於いても同様ですが、軽い脳震盪の状態で、意識朦朧の中では、「倒されると分かっていても本能的に立ち上がってしまうんだよ」と昔の選手から聞いたことがあります。完全に打ち抜かれた脳震盪の場合は眠らされ、戦いたくても意識が無い。

ボディーブローで倒された時は、腹全体が鈍痛で、息苦しくて立てたものではない。ローキックで倒された時は、脚が麻痺してしまって立ち上がろうにも立ち上がれない。意識も闘争心もあるのに立ち上がれない。悔しい負け方のようです。

今年の高橋三兄弟は6月に三男・聖人がフェザー級王座戴冠し、長男・一眞が2度目の防衛成功。しかし鎖国された団体内でチャンピオンになっても日本国内全体ではどうなのか、そんな疑問符が付いて回った昨年までのNKB。それが「KNOCK OUT」というリングで、または交流戦でその結果を残していることに喜ぶファンも多いでしょう。名選手に勝利し、名勝負を生み、負けることはあっても惨敗ではない。来年のNKBと高橋三兄弟に更に期待が持てる今年の活躍でした。

2019年第一弾興行は2月9日(土)後楽園ホールに於いて、出陣シリーズvol.1が開催されます。

この後のNKB年間興行は、4月13日(土) 後楽園ホール、4月28日(日)城東区民センター(NKジム主催)、6月15日(土) 後楽園ホール、10月12日(土) 後楽園ホール、12月14日(土)後楽園ホールの6回が開催予定となっています。

「KNOCK OUT」イベント出場を含め、活躍が目立った今年の高橋三兄弟

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

上條英男『BOSS 一匹狼マネージャー50年の闘い』。「伝説のマネージャー」だけが知る日本の「音楽」と「芸能界」!
一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

熱狂MAXのヤバい野獣たち! NJKF

YETI達朗の自信を持った右ストレートがクリーンヒット
YETI達朗の右ストレートでダウンした匡志YAMATO

YETI達朗の豪快KOが印象的な今年の活躍。白神武央(拳之会)から王座奪取した2月は僅差だったが、6月のクンタップ戦から続いて、いずれも左フックが決め手の2連続1ラウンドKOとなった。そこにはプロボクシングH’s STYLE ジムに出向いて吉野弘幸会長から指導を受けたパンチの強化があり、日本重量級での存在感が増してきた今、他団体交流戦があれば更なる飛躍が期待できそうなYETI達朗である。マイクアピールでは「NJKFはヤバい選手がいっぱい居るヤバい団体」と褒め言葉で持ち上げた。

フライ級ではデビュー8ヶ月の16歳でチャンピオンとなった松谷桐がアグレッシブな打ち合いに出る存在も目立つ。こちらも今後、他団体チャンピオンやムエタイ第一線級選手と戦ってどう試練を乗り越えていくか、来年の興行主役の期待が掛かります。

“頑張ったよ、ママ!”と勝利者インタビューで、応援してくれる高校生の息子に応えた伊織。家庭の空気が読めるような微笑ましいムードが流れる場内。キック界の流行語になりそうな一言だった。昔の殺伐としたリング上から比べて、時代が大きく変化したものである。

◎NJKF 2018.4th / 12月2日(日)後楽園ホール 17:00~20:50
主催:NJKF / 認定:WBCムエタイ日本実行委員会、NJKF

◆第11試合 WBCムエタイ日本スーパーウェルター級タイトルマッチ 5回戦

第4代チャンピオン.YETI達朗(キング/69.55kg)
    VS
挑戦者NJKF同級チャンピオン.匡志YAMATO(大和/69.8kg)
勝者:YETI達朗が初防衛 / TKO 1R 2:13 / ノーカウントのレフェリーストップ
主審:竹村光一

開始から両者の蹴りでのやや様子見の後、パンチの交錯に移り、YETI達朗の重そうなパンチが当たり出す。タイミングを計ったところで、強いロングフック気味の右ストレートをヒットさせると匡志YAMATOがダウン。更に勢い付けてロープに詰めての接近戦で左右フックを連打し、右フックで2度目のダウンを奪ったところでレフェリーがストップするYETI達朗の豪快なTKO勝利となった。

更なる右ストレートで倒し切ったYETI達朗
「NJKFはヤバい団体」とアピールするYETI達朗

◆第10試合 58.0kg契約3回戦

WBCムエタイ日本フェザー級チャンピオン.新人(ESG/57.9kg)
   VS
NOWAY(NEXTLEVEL渋谷/57.95kg)
引分け 三者三様 / 主審:宮本和俊
副審:神谷29-30. 和田29-29. 竹村30-29

三者三様となる見極めの難しい展開となった。両者の手数足数多く、互いのパンチのヒットも多かったが強烈にヒットは少なく、一進一退の攻防に見解が分かれた結果。パンチで出る勢いはNOWAYにあったが、新人は下がり気味でもヒットが目立ち持ち堪えた。

互角の展開ながらパンチの攻勢が目立ったNOWAY
僅差ながら積極性で優った波賀宙也

◆第9試合 56,5kg契約3回戦

WBCムエタイ日本スーパーバンタム級チャンピオン.波賀宙也(立川KBA/56.5kg)
   VS
ペットワット・ヤバ・チョーベース(タイ/56.05kg)
勝者:波賀宙也 / 判定2-0 / 主審:多賀谷敏朗
副審:宮本29-28. 和田29-29. 竹村29-28

離れた距離での蹴り合いから、首相撲からヒザ蹴りが主体の攻防が長く続く。ヒジ打ちも加え、次第に先手を打って圧力掛けて出た波賀が判定勝利を掴む。

◆第8試合 NJKFフライ級タイトルマッチ 5回戦

第11代チャンピオン.松谷桐(VALLELY/51.0→50.8kg)
   VS
挑戦者同級4位.池上侑季(岩崎/50.7kg)
勝者:松谷桐が初防衛 / 判定3-0 / 主審:神谷友和
副審:宮本49-47. 多賀谷49-47. 竹村49-48

ローキックの様子見からパンチ、ハイキック、前蹴りを織り交ぜていく両者。両者パンチの被弾も恐れずスタミナ切れない攻防が続いていく。ハイキックや前蹴りのヒットが多く、更にパンチや蹴りで圧した後、手を止めずに打っていく勢いがあったのは松谷で、踏ん張る池上を突き放した。

松谷桐が優った突進ハイキック

◆第7試合 64.5kg契約3回戦

ISKA・M・IC・ライトウェルター級チャンピオン.宮島教晋(誠至会/64.2kg)
   VS
NJKFスーパーライト級チャンピオン.畠山隼人(E.S.G/63.9kg)
勝者:畠山隼人 / 判定0-2 / 主審:和田良覚
副審:宮本29-29. 多賀谷28-30. 神谷28-30

宮島は左ミドルキックを多発し、畠山は左右パンチの連打で出る。宮島の蹴りを上回る畠山のパンチが徐々にクリーンヒットが増やし、判定勝利を掴む。

大田原友亮の格差を見せ付ける重いハイキック

◆第6試合 57.0kg契約3回戦

HIRO YAMATO(大和/56.6kg)vs大田原友亮(B-FAMILY NEO/56.5kg)
勝者:大田原友亮 / TKO 2R 2:31 / ヒジによるカットで悪化によるレフェリーストップ
主審:竹村光一

ムエタイスタイルの両者だが、本場タイでの経験値が大きい大田原が経験値でタイミングを見極め、左ハイキックや前蹴りで突き飛ばす。HIROのパンチと蹴りにやや下がる大田原だが、しっかりHIROの動きを見ており、カウンターのヒジ打ちが見事にヒットするとHIROの額のカットに成功。ドクターチェック後、パンチで出て来るHIROを組んで転ばせ、応戦している間に流血が酷くなり、2度目のドクターチェックを受け、続行可能かと見えたがレフェリーが止めて試合は終了。大田原のTKO勝利となった。

◆第5試合 NJKF女子(ミネルヴァ)スーパーフライ級タイトルマッチ 3回戦(2分制)

チャンピオン.伊織(T-KIX/51.3kg)vs同級1位.三宅芳美(OGUNI/52.0kg)
勝者:伊織 / KO 1R 1:44 / 2ノックダウン制によるKO / 主審:宮本和俊

長い手足で芳美の顔面に前蹴りを入れた序盤からヒザ蹴りに持ち込むと、ボディーをカバーし、効いた様子の芳美に更にヒザで攻めると、コーナーに詰まった芳美はスタンディングダウンを取られる。続けてボディーに狙いを定めた伊織がヒザ蹴りで攻めるとレフェリーがストップした。伊織は息子さんが高校3年生で、「頑張ったよ、ママ!」とメッセージを送った。

伊織が開始早々からボディーに狙いを定めた
「頑張ったよ、ママ!」とアピールする伊織

◆第4試合 バンタム級3回戦

NJKFバンタム級5位.鰤鰤左衛門(CORE/53.2kg)
    VS
NJKFバンタム級7位.清志(新興ムエタイ/53.35kg)
勝者:清志> / TKO 3R 1:02 / ハイキックによるダウンでレフェリーストップ
主審:多賀谷敏朗

◆第3試合 61.0kg契約3回戦

NJKFライト級6位.野津良太(ESG/60.8kg)
    VS
NJKFスーパーフェザー級4位.梅沢武彦(東京町田金子/60.9kg)
勝者:梅沢武彦 / 判定0-3 / 主審:神谷友和
副審:多賀谷28-30. 竹村27-30. 宮本27-29

◆第2試合 スーパーライト級3回戦

NJKFスーパーライト級6位.木村弘志(OGUNI/63.3kg)
    VS
MA日本スーパーライト級4位.増井侑輝(真樹AICHI/63.5kg)
勝者:増井侑輝 / 判定0-3 / 主審:和田良覚
副審:多賀谷28-30. 神谷29-30. 宮本28-29

◆第1試合 バンタム級3回戦

雨宮洸太(キング/53.25kg)vs翔YAMATO(大和/53.0kg)
勝者:翔YAMATO / TKO 2R 2:21 /
有効打によるカットの悪化でレフェリーストップ

王座初防衛を振り返る松谷桐

《取材戦記》

宮島教晋の持つ王座は“ISKAのムエタイルールのインターコンチネンタル王座”。文字数が長くなるので、別枠記載としました。

伊織がヒザ蹴りで三宅芳美をグロッギーに追い込む中、レフェリーが「1回目のスタンディングダウンで止めようかと思った」と言うほど強烈にヒットし、腹を押さえる行為に出た芳美。どこまでやらせるかはレフェリーの判断ですが、追撃を受けたところで止めに入ったタイミングは順当なところでした。

先日の立嶋篤史の試合など、ダメージはあるが、なるべく長く戦わせてやろうというレフェリーの判断、配慮を感じる時があります。一方で「早いよ、何で止めるんだ!」と言うセコンドの抗議があるのも事実。

先日10月7日の舟木昭太郎さんトークショー内の「増沢潔、サミー中村両氏を称える会」での参加したレフェリーの意見では、こういう抗議には、「危ないから止めるんです」と率直に応えると言う主張もありました。最近はレフェリー判断を尊重される傾向にありますが、ルールでの明記の難しい境界線での判断は、延々と語られる終わりなきテーマなのかもしれません。

12月9日はNJKF若武者会主催のDUEL16が大森ゴールドジムで16時30分より開催。来年も連盟主催興行は4回と少ないが、若武者会などやジム主催興行が増え、年間でプロ興行は12回。現在に於いては少なくはない。2019年最初のNJKF連盟主催興行は2月24日(日)後楽園ホールで開催されます。

加藤愛香さん。2年務めたマスコットガールを卒業、最後の登壇

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

月刊『紙の爆弾』2019年1月号!玉城デニー沖縄県知事訪米取材ほか
上條英男『BOSS 一匹狼マネージャー50年の闘い』。「伝説のマネージャー」だけが知る日本の「音楽」と「芸能界」!

あまりに異常な2020東京五輪マスコミ翼賛化

以下の文章、主要部分は、『NO NUKES voice』16号に掲載した内容と重複するが、日々「東京五輪」めく日常の異常さに耐え切れないので、お読みになっていない方にも知っていただきたく、ここに再度内容を改め掲載する。

もとより近代オリンピックはスポーツの祭典ではあるが、同時に国威発揚の道具として利用されてきた。さらに「アマチュア規定」(オリンピックにはプロスポーツ選手は参加できない)の撤廃により、1988年のソウル五輪からプロのアスリートが参加するようになり、雪崩打つように商業的な側面が肥大化した。いまや五輪はイベント会社やゼネコン、広告代理店にとっての一大収入源と化している。2020年東京五輪は、安倍や新聞広告がどうほざこうが、明らかに「巨大な商業イベント」である。

現在IOCはスポンサーを「ワールドワイドオリンピックパートナー」、「ゴールドパートナー」、「オフィシャルパートナー」の三つのカテゴリーに分けている。「ワールドワイドオリンピックパートナー」は「TOPパートナー(もしくはTOP)」とも呼ばれ、直接IOCと契約をしている企業で、基本一業種一企業とされている。年額数十億円のスポンサー代のほかに、当初契約料(かなりの高額であることが想像されるが、確定的な額は不明)を支払い、世界中でオリンピックのロゴやエンブレムを使用することが許される。ちなみにトヨタは10年で1000億円の契約を結んだと報じられているので、単年度あたり100億円という巨額を投じていることになる。現在下記の13社がTOPである。

コカ・コーラなどはおなじみのロゴだが、念のために社名を紹介しておくと、Atos、Alibaba、Bridgestone、Dow、GE、OMEGA、Panasonic、P&G、SAMSUNG、TOYOTA、Visaだ。かつてはこのなかに「マクドナルド」の名前があったが、世界体な経営不振で撤退したようだ。一業種一企業というが、サムソンとパソニックはともに家電を作っている。

「TOP」と異なり、「ゴールドパートナー」、「オフィシャルパートナー」は開催されるオリンピック組織委員会との契約し、国内に限りロゴやエンブレム、その他イベントの共催や参加が認められる。スポンサー代、使用諸権限とも「ゴールドパートナー」が「オフィシャルパートナー」より上位だ。「ゴールドパートナー」には、

の15社の名前があるが、問題なのは「オフィシャルパートナー」である。

最終列にある「読売新聞」、「朝日新聞」、「NIKKEI」、「毎日新聞」の名前を見落とすわけにはゆかない。全国紙のうち実に四紙が「東京オリンピックオフィシャルパートナー」という呼称の「スポンサー」になっているのだ。産経新聞は広告費を捻出する余裕がなかったのであろうか。いや、

スポンサーの位置づけの中では最下位だが、「オフィシャルサポーター」の中に「北海道新聞」とともに、「産経新聞」の名前が確認できる。つまりすべての全国紙と北海道新聞は公式に東京五輪のスポンサー契約を結んでいるのだ。

わざわざ金を払い、スポンサー契約を結んだイベント(東京五輪)の問題を指摘する記事を書く新聞があるだろうか。批判することができるだろうか。さらには「読売新聞」は「日本テレビ系列」、「朝日新聞」は「テレビ朝日系列」、「毎日新聞」は「TBS系列」、産経新聞は「FNN系列」のテレビ局群が連なる。大手新聞、テレビ局がすべてスポンサーになってしまい、東京五輪に関しての「正確な」情報が得られる保証がどこにもない。そんな状態の中で「東京五輪翼賛報道」が毎日流布されているのである。

東京五輪組織委員会はスポンサー収入の詳細を公表していない。しかし、上記の金額とスポンサー企業数からすれば、東京五輪のスポンサー収入が1000億円を下回ることは、まずないだろう。短絡的ではなるが、日本に関係のない大企業がいくら金を出そうが、それはよしとしよう。しかし日本企業で10億、100億という金を「広告費」の名目で「五輪スポンサー代」に払っている企業は薄汚い。経費で計上すれば法人税課税の対象にならないじゃないか。ちゃんと法人税を納めろ。

その中に全国紙5社と北海道新聞も含まれる「異常事態」は、何度でも強調する必要があろう。東京五輪は、財政潤沢な東京都、日本国で開催されるわけではないのだ。安倍は大好きな海外旅行(外遊というらしい)に出かけるたびに、気前よく数億、数十億、あるいはそれ以上の経済支援や借款を約束して帰ってくるが、日本の財政は破綻寸前だ。それに、東日本大震災、わけても福島第一原発事故はいまだに収束のめどもつかず、「原子力非常事態宣言」は発令されたまま。忘れかかっているが、わたしたちは「非常事態宣言」の中毎日生活している。

人類史上例のない大惨事から、まだ立ち直れていない原発事故現場から250キロの東京で、オリンピックに興じるのは正気の沙汰だろうか。私はどう考えても、根本的に順番が間違っているとしか思えない。緩慢な病魔に侵されているひとびとが確実に増加している現実を隠蔽し、「食べて応援」を連呼し、少しでも危険性に言及すれば「風評被害」と叩きまくる。チェルノブイリ事故の後、日本では放射性物質に汚染した食物の輸入規制を強めた。基準を超えた食物は産地に送り返した。と言ったって、ロシアのキエフ産の農作物などではなく、主としてドイツやイタリアからの輸入品だった。

この差はなんなのだ。どうして庶民は、平然と汚染食品を食っていられるのだ?避難者は、公然と20ミリシーベルト被爆する地域に送り返されるのか?それは全国紙を中心とする報道機関が、こぞって東京五輪のスポンサーになるほど、ジャーナリズムなどという言葉は忘却し、もっぱら営利企業化してしまっているからだ。彼らはもう「事実」や「真実」を伝えてくれる存在ではない。そのことを全国紙すべてが東京五輪のスポンサーになっている現実が物語る。恥ずかしくはないのか? 全国紙の諸君? 戦前・戦中同様、そんなにも権力のお先棒を担ぎたくて、仕方ないのか? 日本人はどこまでいっても救いがたく愚かなのか。

全国紙や大マスコミの社員ではなくとも、個々人が同様の「歪な加担」に乗じていないか、点検が必要なようだ。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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月刊『紙の爆弾』12月号 来夏参院選敗北で政権崩壊 安倍「全員地雷内閣」

ルンピニースタジアム路線強化成るか、MuayThaiOpen!

貴(たかゆき)の右ミドルキックでポンサクレックを襲う
KO前の貴(たかゆき)が切る狙いの右ヒジ打ちヒット

ムエタイオープン興行を主催するセンチャイプロモーターは、ジャパンキックイノベーション(JKI)とのマッチメイク交流を発表。2019年より、ルンピニージャパンタイトルの活性化が期待されます。

この日、ルンピニージャパンとムエタイオープンの各2試合ずつの計4試合は、3つの王座決定戦でチャンピオンが誕生。1つの防衛戦は壱センチャイジムが王座奪取。昭和デビューの立嶋篤史と息子の挑己との親子出場は揃って敗北。

◎MuayThaiOpen.43 / 11月25日(日) 新宿フェース 16:00~20:55
主催:センチャイジム / 認定:ルンピニージャパン(LBSJ)

最後は倒す右ヒジ打ちで勝利に導いた貴(たかゆき)

◆第14試合 54.0kg 契約3回戦  

LBSJスーパーフライ級チャンピオン.貴センチャイジム(センチャイ/33歳/53.95kg)
VS
ポンサックレック・シンセンデート(タイ/22歳/53.15kg)

勝者:貴(=たかゆき)センチャイジム / TKO 2R 2:42 / 右ヒジ打ちヒット
主審:河原聡一

貴(=たかゆき)の引退に向けたカウントダウンが進む中、長身を利した前蹴りや組み合ってのヒザ蹴りが効果的にヒットする。第2ラウンドにはコーナーに詰めて、ヒザ蹴りから右ヒジ打ちを顔面にヒットさせると、ポンサクレックは崩れ落ち、レフェリーがカウント途中で試合ストップし、TKO勝利を収めた。

◆第13試合 67.0kg契約3回戦

喜入衆(=きいれ・とも/NEXTLEVEL渋谷/39歳/66.8kg)
VS
ルンラビー・OZ(タイ/26歳/66.65kg)
引分け / 判定0-1 / 主審:山根正美
副審:大沢29-29. シンカーオ29-30. 河原29-29

ルンラビーが相手の出方に合わせて場慣れした多彩な攻勢が目立った。首相撲ではルンラビーに転ばされるも、喜入はパワフルな蹴りとパンチが巻き戻しに至り、引分けに終わった。

パワフルに出る喜入のパンチにミドルキックで応戦するルンラビー
喜入とルンラビーの蹴り合いはルンラビーの方がバランスが優る

◆第12試合 MuayThaiOpenスーパーバンタム級王座決定戦 5回戦

渡辺優太(PK/28歳/55.1kg)
VS
キョウヘイ・ゴールドライフジム(ゴールドライフ/30歳/55.05kg)
勝者:渡辺優太 / 判定3-0 / 主審:少白竜
副審:大沢50-45. 山根50-46. 河原50-46

初回から渡辺がパンチとローキックでジワジワ出て、第2ラウンドには渡辺のローキックがやや効いた様子のキョウヘイ。その影響を引きずり、第3ラウンドには渡辺が上下打ち分けたパンチでダウンを奪う。渡辺ペースは変わらず、大差判定勝利を収めて王座獲得。

接近戦での渡辺優太のヒザ蹴りとキョウヘイの左フックの交錯
壱(いっせい)センチャイジム(左)と小嶋勇貴の攻防が激しく続いた

◆第11試合 ルンピニージャパン・バンタム級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.小嶋勇貴(仲FG/24歳/53.52kg)
VS
壱センチャイジム(センチャイ/21歳/53.52kg)
勝者:壱(=いっせい)センチャイジム / 判定0-3 / 主審:シンカーオ
副審:少白竜49-50. 山根48-49. 河原48-49

初回の様子見から壱(=いっせい)がパンチをヒットさせ、ペースを掴んで勢い付けていく。後半に入って劣勢を挽回しようと小嶋の勢いが増すが、壱(=いっせい)のペースを崩すに至らず、判定敗けを喫し、王座を空け渡してしまった。

激しい攻防の中、壱(いっせい/左)のヒットが目立った
壱(いっせい)の右ヒジ打ちがヒット

◆第10試合 MuayThaiOpenスーパーウェルター級王座決定戦 5回戦

J(=ジェイ/TSK Japan/27歳/68.9kg)vs 清水武(sbm/31歳/69.8kg)
勝者:J(=ジェイ) / 判定3-0 / 主審:大沢武史
副審:少白竜49-48. 山根49-48. シンカーオ49-48

J(=ジェイ)が距離を取る戦略で、蹴りやヒジ打ちの交錯があっても互いに効果的なヒットは難かしく、主導権が掴み難い展開が続く中、ややヒットが優るJ(=ジェイ)が僅差の判定勝利で王座獲得。

◆第9試合 フェザー級3回戦

立嶋篤史(元・全日本Fe級C/ASSHI-PROJECT/46歳/57.15kg)
VS
成澤龍(SRC/30歳/56.8kg)
勝者:成澤龍 / TKO 2R 2:06 / パンチ連打されてレフェリーストップ
主審:河原聡一

初回から成澤のパンチの猛攻の右ストレートでダウンを奪われた立嶋は、コーナーに追い詰められ連打でスタンディングの2度目のダウンを奪われる。更なる猛攻を受けたところをゴングに救われるも、フラつく足取りでコーナーへ帰る立嶋。

第2ラウンドには、この状況下でも底力発揮かと思わせるローキックとしつこいパンチで出る立嶋だったが、更なる成澤の連打を浴びたところでレフェリーが止めに入り、試合は終了。

成澤龍に右ストレートを打たれてしまう立嶋篤史
成澤のパンチの猛攻を貰い続けてしまった立嶋篤史
立嶋の底力発揮かと思わせたローキックだったが・・・

◆第8試合 ライト級3回戦

笠原淳矢(NEXTLEVEL渋谷/41歳/61.2kg)vs 雅駿介(PHOENIX/24歳/61.15kg)
勝者:雅駿介 / 判定0-3 / 主審:山根正美
副審:河原24-30. 大沢24-30. シンカーオ25-30

◆第7試合 スーパーフライ級3回戦

加藤洋介(チームドラゴン/39歳/52.05kg)vs 佐藤仁志(新宿スポーツ/30歳/52.0kg)
引分け 三者三様 / 主審:少白竜
副審:河原28-29. 大沢29-29. 山根30-29

◆第6試合 女子45.0kg契約3回戦(2分制)

Sae-KMG(クラミツ/44.75kg)vs ミレイ(ペルー/HIDE/44.9kg)
勝者:ミレイ / 判定0-3 / 主審:シンカーオ・G
副審:河原28-29. 少白竜28-30. 山根28-30

◆第5試合 フライ級3回戦

立嶋挑己(ASSHI-PROJECT/20歳/50.6kg)vs 白幡裕星(橋本/16歳/50.45kg)
勝者:白幡裕星 / 判定0-3 / 主審:大沢武史
副審:シンカーオ28-30. 少白竜29-30. 山根29-30

「親子だなあ」と思わせる父親の動きそっくりの挑己のローキック。硬い動きも似ていて挑己より柔軟に動く白幡が的確さと崩し技で優り、判定勝利を収めた。若い頃の父親(篤史)のように、例え5回戦であっても初回からガンガンいけば、業師発揮かと思わせる素質も垣間見れるところ。

白幡裕星vs立嶋挑己(右)。立嶋挑己のセコンドに付く父親・篤史
先手に出る白幡の圧力でリズムに乗れなかった立嶋挑己

◆第4試合 バンタム級3回戦

加辺陸翔(北流会君津/18歳/53.15kg)vs 村井雄誠(エイワスポーツ/16歳/53.35kg)
勝者:村井雄誠 / 判定0-3 /主審:河原聡一
副審:シンカーオ28-30. 少白竜28-30. 大沢28-30

◆第3試合 女子45.0kg契約3回戦(2分制)

ピーポー梨乃(ストライフ/43.9kg)vs 田中千草(ボス/43.9kg)
勝者:ピーポー梨乃 / 判定3-0 / 主審:山根正美
副審:シンカーオ30-27. 河原30-28. 大沢30-28

貴センチャイジムの勝利ポーズ

◆第2試合 フェザー級3回戦

山田龍弥(北流会君津/17歳/56.0kg)vs 山口浩太郎(トイカツ/19歳/56.9kg)
勝者:山口浩太郎 / 判定0-3 / 主審:少白竜
副審:山根28-29. 河原28-29. 大沢28-29

◆第1試合 ルンピニージャパン・スーパーミドル級(-76.18kg)王座決定戦 5回戦

プイユウ・リム(中国/33歳/74.6kg)vs グラモア(マレーシア/27歳/75.2kg)
勝者:プイユウ・リム / TKO 2R 0:21 / ローキック、カウント中のレフェリーストップ
主審:シンカーオ・ギャットチャーンシン

《取材戦記》

ジャパンキックイノベーションとの交流戦が宣言され、新たなルンピニージャパンタイトル活性化と、本場ルンピニースタジアム王座挑戦へ繋がる、この路線は今後上手く展開されるのか、NJKFとの交流戦で進めて来たWBCムエタイ路線はどうなるか、動向を見ていく必要があります。

プイユウ・リムがルンピニージャパン王座獲得したが、酷くレベルの低い試合だった。当然ながら、本場スタジアムに行けるかは更なる条件の査定試合が必要でしょう。

立嶋篤史の悲壮感漂う打たれる姿、まだ続けるには苦しい道程となりそうで、気が付けば負け越している戦績だが、通算100戦は近い。

ムエタイオープン.44は、2019年2月24日(日)新宿フェースに於いて開催されます。貴センチャイジムが公式戦を終えて引退式を迎える予定です。

チャンピオンベルトを巻いて貰う壱(いっせい)

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

上條英男『BOSS 一匹狼マネージャー50年の闘い』。「伝説のマネージャー」だけが知る日本の「音楽」と「芸能界」!
一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

「貴乃花問題」とは何だったのか? 貴ノ岩の提訴取り下げにもかかわらず、くすぶるモンゴル部屋の談合疑惑 暴力問題再発防止検討委員会の最終報告書から

一年の締めの九州場所は、場所の直前に貴ノ岩関が民事公訴を取り下げることで順風万帆の幕開けと思われたが、唯一の日本人横綱・稀瀬里の4連敗休場で盛り上がりを欠いている。白鵬と鶴竜、そして稀瀬里が休場することで、横綱不在の場所となってしまったのだ。元貴乃花部屋力士では、貴ノ岩はいまいちだが、貴景勝が好調だ。このうえは実力伯仲の若手力士がしのぎを削り、万全ではない大関陣を巻き込んだ優勝争いを繰り広げて欲しいものだ。

◆第三者委員会による報告書

ところで、もう先月のことになるが、日本相撲協会が設置した暴力問題再発防止検討委員会が発表した最終報告書には、驚愕の事実が記されていた。この再発防止検討委員会は相撲協会からは独立した第三者委員会である。委員会によると、昨年秋の鳥取巡業での事件の概要が、関係力士たちの証言とともに明らかにされているのでレポートしておこう。

事件が起きたのは、鳥取城北高校の校長の呼びかけによるものだったが、同校のアンバサダーを務める白鵬に、同行とは無関係の日馬富士と鶴竜も同行することで、モンゴル勢の集りになった。やはり最初にモンゴル語で貴ノ岩に説教をはじめたのは白鵬だった。初場所で白鵬に勝った貴ノ岩が「これからは俺たちの時代」と発言していたことに腹を立てての説教である。この段階では、日馬富士が貴ノ岩をかばっていた。

ラウンジでの二次会になってから、白鵬は照ノ富士に対しても日頃の言動をあげつらう。ついには照ノ富士が土下座を強要される事態となった。強要罪は、それを行なったのが暴力団組員なら、即刻逮捕される事件である。白鵬の説教が一段落したと思った貴ノ岩がスマホをいじったところ、日馬富士が「おまえ、大横綱が話をしているのに!」と激昂したのは既報のとおりだ。ここから1.56キログラムのカラオケリモコンで頭部を殴打し、あの無惨な頭部裂傷がもたらされたのだ。

◆白鵬による暴力の是認が明らかに

深刻なのは、事件のきっかけを作った白鵬が何ら反省をしていないことだ。危機管理委員会の事情聴取にさいして、白鵬が「今回の事件は、あえて愛の鞭と呼びたい」と発言していたことだ。ようするに横綱による暴力の是認が明らかなうえに、相撲協会がそれに何らの斯道も行なえず、放置している現状が報告書にまとめられているのだ。最終報告書は「横綱在位が長期に亘ってくると、初心を忘れ、自己の地位に関する過信から相撲道に悖(もと)る言動が頻発した例が、遺憾ながら観察された」としている。

いや、そればかりではない。報告書は大相撲が直面している深刻な事態を結論としているのだ、

 
貴乃花光司『生きざま 私と相撲、激闘四十年のすべて』ポプラ社2012年

◆モンゴル互助会の存在は、貴乃花氏の正しさを立証した

報告書はこう云っている。「相撲部屋に所属力士が、当該部屋以外の別組織との関係において緊密な関係があって別組織の指示・指導等によって行動しなければならないような関係が生じてくると、当該力士は、二律背反の関係が生まれるなど難しい立場に置かれることになり、本来的に期待される行動が取れなくなる危険がある」というのだ。

まわりくどい言い方をしているが、この「別組織」とはモンゴル人力士の集まり、すなわちモンゴル互助会にほかならない。鳥取事件を生起させたモンゴル人力士の集りが、八百長を発生させる危険があると、報告書は指摘しているのだ。繰り返すが、暴力問題再発防止検討委員会第三者委員会である。

事実関係をつかんでいるからこそ、ここまで踏み込んだ報告になったのであろう。まさにこれこそ、元貴乃花親方が危惧していたモンゴル互助会、もはやモンゴル部屋と言うべき実態ではないか。相撲協会が頭を悩ませてきたいわゆる「貴乃花問題」とは、相撲協会にはびこる八百長を告発し、その改革に積極的だった元貴乃花親方の闘いにほかならない。

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)

著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

月刊『紙の爆弾』12月号 来夏参院選敗北で政権崩壊 安倍「全員地雷内閣」
横山茂彦『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

北海道震災復興チャリティーイベントは2部制のKick Insist.8!

ヨードゲンの右ハイキックを余裕でかわす石原將伍
ローキックの後、パンチに繋ぎ、隙を読んでいく石原將伍

二大潮流のキックとムエタイ!

打倒ムエタイ路線。伝統あるムエタイに挑み続けるのがキックボクシング。それは個人レベルではない競技レベルの戦いの歴史が続いて行くことである。この日の2人のメインイベンターが果敢にムエタイ戦士に挑んだ。石原は一撃完勝、瀧澤は判定負け。

◎KICK Insist.8 / 11月11日(日)新宿フェース
主催:ビクトリージム、治政館ジム / 認定:新日本キックボクシング協会

《第2部》(18:00~20:10)

ロープに詰めたところで右ストレートをボディーへ突き刺しKO勝利した石原將伍

◆第8試合 メインイベント 59.0kg契約 5回戦

日本フェザー級チャンピオン.石原將伍(ビクトリー/58.5kg)
VS
ヨードゲン・ルークプラパーツ(タイ/58.65kg)
勝者:石原將伍 / TKO 1R 0:54 / カウント中のレフェリーストップ
主審:桜井一秀

ヨードゲンは元・ムエサヤーム中部フェザー級1位の肩書きを持ち、蹴りとヒジ打ちが得意の選手という情報。石原はローキックとパンチでけん制、ヨードゲンも前蹴りで様子見から、いきなりのハイキックを見せるが、石原は素早くかわし、圧力をかけるようにパンチとローキック中心に前に出て、ロープを背負いガードを固めるヨードゲンのボディーへ右ストレートを突き刺すと、効いたヨードゲンは崩れ落ちてしまい立ち上がれず、レフェリーが止めるTKO勝利を収めた。

永澤サムエルのパンチ力は、マイより優っていた
ラッシュに入った最終ラウンドの永澤サムエル

◆第7試合 62.0kg契約 5回戦

日本ライト級2位.永澤サムエル聖光(ビクトリー/62.0kg)
VS
マイ・ルークプラパーツ(タイ/61.7kg)
勝者:永澤サムエル聖光 / KO 3R 2:10 / テンカウント / 主審:少白竜

元・タイ国ムエスポーツ協会スーパーフライ級チャンピオンのマイは、頑丈そうな体格の重い蹴りで出て来る。永澤はパンチ中心に互角に応戦していくが、倒すにはやはり、パンチしかない流れではあった。

最後は右ストレートで倒しきった永澤サムエル聖光

第3ラウンド半ばには、ここで行くしかない残り時間で一気に出た永澤。左アッパーをヒットさせた後、左右のパンチ連打を5~6秒手を止めずに打ち続け、最後は右ストレートで仕留め、マイは崩れ落ちた後、立ち上がれず、レフェリーがテンカウントを数えた。

◆第6試合 フライ級3回戦

日本フライ級3位.細田昇吾(ビクトリー/50.6kg)
VS
JK・イノベーション・フライ級6位.多根嘉輝(直心会/50.8kg)
勝者:細田昇吾 / 判定2-1 /主審:仲俊光
副審:少白竜30-29. 宮沢30-29. 桜井29-30

若い二人の素早く多彩な攻防が続き、ラウンドが増すごとに激しさも増す。多根がやや蹴りの前進が目立ったが、細田の右ストレートがヒットし、一瞬腰が落ちかけた多根だが、スリップだとしても印象は悪かった。しかしすぐ立て直しダメージはほぼ無し。スタミナ切れない攻防に応援も激しくなるが、判定は2-1に分かれた結果となった。

◆第5試合 54.0kg契約3回戦

日本フライ級4位.幸太(ビクトリー/53.6kg)
VS
日本バンタム級3位.阿部泰彦(JMN/53.8kg)
勝者:幸太 / 判定3-0 / 主審:椎名利一
副審:少白竜30-25. 桜井30-25. 仲30-26)

蹴り終りや脚が揃ったところへ貰ったパンチで、二つのダウンが大きく響いたベテラン阿部にとっては残念な結果。

◆第4試合 63.0kg契約3回戦

日本ライト級8位.林瑞紀(治政館/62.7kg)
VS
細野裕希(NEXT LEVEL渋谷feat MSJ/62.8kg)
勝者:細野裕希 / 判定0-3 / 主審:宮沢誠
副審:椎名28-29. 桜井28-30. 仲28-30

◆第3試合 61.5kg契約3回戦

日本ライト級9位.興之介(治政館/61.2kg)
   VS
LBSJスーパーフェザー級1位.角谷祐介(NEXT LEVEL渋谷/61.4kg)
引分け 三者三様 / 主審:少白竜
副審:椎名28-29. 桜井29-28. 宮沢29-29

瀧澤博人も崩し技で転ばされた

◆第2試合 バンタム級2回戦

翼(ビクトリー/53.3kg)vs 一斗缶テツ(契明/53.0kg)
勝者:翼 / TKO 2R 0:20 / カウント中のレフェリーストップ

◆第1試合 フェザー級2回戦

睦雅(ビクトリー/56.8kg)vs又吉淳哉(市原/57.0kg)
勝者:睦雅 / 判定3-0 (20-17. 20-17. 20-17)

瀧澤博人のパンチはヒットせず、巧みな攻防戦を見せるチャモアペット

《第1部》(14:00~15:45)

◆第7試合 メインイベント 56.0kg契約 5回戦

瀧澤博人(元・日本バンタム級C/ビクトリー/56.0kg)
VS
チャモアペット・ルークプラパーツ(タイ/55.2kg)
勝者:チャムアペット / 判定0-3 / 主審:椎名利一
副審:少白竜27-30. 仲27-30. 桜井27-30

チャムアペットは元・ラジャダムナン系スーパーフライ級2位の肩書きを持つ。
初回はローキックの攻防で次第に高めの蹴りと接近戦でのパンチに移っていく。瀧澤の出方を見抜いたか、第2ラウンドに組み合った接近戦で瀧澤はチャムアペットの右ストレートでダウンを喫してしまう。更に組み合う接近戦が増え、ヒジ打ちも見せるチャムアペットの完全なペース。瀧澤の右ストレートをスウェーバックしてかわすなど距離の取り方が上手いチャムアペットが判定勝利。

チャモアペットの右ストレートでダウンを喫した瀧澤博人
ダーウサヤームの崩し技で馬渡が宙に舞う

◆第6試合 55.0kg契約 5回戦

日本バンタム級2位.馬渡亮太(治政館/55.0kg)
VS
ダーウサヤーム・ノーナクシン(タイ/54.9kg)
引分け 0-1 / 主審:仲俊光
副審:椎名28-29. 宮沢29-29. 桜井29-29

ダーウサヤームは元・ラジャダムナン系スーパーフライ級9位で、日本でも他団体チャンピオンクラスから何度も勝利を上げている実力者。初回はローキックで短い様子見から、すぐにハイキックや接近戦でのパンチやヒジ打ちの攻防に移っていく。馬渡は関節柔らかいハイキックやヒザ蹴りを繰り出すが、ダーウサヤームは接近戦での巧みさのヒジ打ちや足払いで馬渡を引っくり返す転ばしを見せる。馬渡の苦戦は珍しい展開だったが、打ち負けないハイキックやパンチの攻勢もあり、結果は引分けに終わり、馬渡の成長と他団体チャンピオン勢との実力も計れる展開となった。

馬渡のしなりあるハイキックが先にヒット

◆第5試合 72.6kg契約3回戦

日本ミドル級1位.今野顕彰(市原/72.4kg)v
VS
ルンチャイ・ペットポートング(タイ/71.6kg)
勝者:今野顕彰 / 判定3-0 / 主審:少白竜
副審:椎名30-28. 宮沢30-28. 仲30-28

今野はルンチャイに手数足数、ヒット数を上回る勢い。終盤はパンチで怯んだルンチャイにロープ際で更にパンチを打ち込む。主導権を支配した展開で判定勝利。

◆第4試合 63.0kg契約3回戦

日本ライト級3位.直闘(治政館/63.0kg)vsマサ・オオヤ(八王子FSG/63.0kg)
勝者:直闘 / TKO 2R 0:46 / カウント中のレフェリーストップ
主審:桜井一秀

NKBとの交流戦となった1戦。直闘が第1ラウンドに右フックでダウンを奪い、第2ラウンドにはローキックで倒し、レフェリーが止めるTKO勝利。

◆第3試合 55.0kg契約3回戦

日本バンタム級5位.田中亮平(市原/54.8kg)vs高橋茂章(KIX/54.9kg)
勝者:高橋茂章 / TKO 2R 0:30 / ノーカウントのレフェリーストップ
主審:仲俊光

◆第2試合 ウェルター級2回戦

モトヤスック(治政館/66.5kg)vs RYOTA(トーエル/66.5kg)
勝者:モトヤスック / TKO 1R 1:36 / カウント中のレフェリーストップ

◆エキシビジョンマッチ2回戦

リカルド・ブラボ(伊原)EXハルキング(Typhoon club Okinawa/74.0kg)

高橋デミアン(伊原)の体調不良ドクターストップによって欠場し、ハルキングのエキシビジョンマッチに日本ウェルター級チャンピオンのリカルド・ブラボ(伊原)が出場。

◆第1試合 58.0kg契約2回戦

RYOUICHI(トーエル/58.0kg)vs眞斗(KIX/57.9kg)
勝者:眞斗 / 判定1-2 (19-20. 19-20. 20-19)

《取材戦記》

2011年秋から昨年まで、地震国日本の、主に東日本大震災を切っ掛けに始まった震災チャリティーイベントとして、7回を重ねたKick Insist、今年は9月に発生した北海道地震復興チャリティーイベントとなったムエタイ路線を突き進むビクトリージム主催のイベント。

石原將伍は昨年10月22日、日本フェザー級チャンピオンとなって1年あまりが経過。常に強い相手とのマッチメイクを懇願してタイ選手との戦いが続きます。それは瀧澤博人も同様に、勝ち星に恵まれない時期もあるが、諦めない心で戦いが続いている。各団体でそれぞれの方向性は違っても、こんな挑戦が50年も続いている日本のキックボクシング。打倒ムエタイは今後も続く永遠のテーマなのでしょう。

次回、新日本キックボクシング協会興行は、12月9日(日)に後楽園ホールに於いて、藤本ジム主催「SOUL IN THE RING」が開催されます。勝次の次なるステップに挑む前哨戦が予定されています。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』
上條英男『BOSS 一匹狼マネージャー50年の闘い』。「伝説のマネージャー」だけが知る日本の「音楽」と「芸能界」!

進化するNKB! NJKFと交流開始!

日本キックボクシング連盟(NKB)は12月よりニュージャパンキックボクシング連盟(NJKF)との交流開始を決定した。

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【交流開始のお知らせ】NKBオフィシャルリリース

NKB(日本キックボクシング連盟、K-U)は2018年12月からニュージャパンキックボクシング連盟(NJKF)との交流を開始致します。これに伴い、2018年12月8日(土)、NKB後楽園ホール大会(闘魂シリーズvol.6)では、NKBフェザー級1位 ひろあき(SQUARE UP道場)vs NJKFスーパーバンタム級1位 久保田雄太(新興ムエタイ)の1戦が行われます。
 この交流がキックボクシング界の発展に必ずや寄与するものと信じ、今後も関係各所とより良い関係を築いていく所存でございます。今後ともNKB、そしてキックボクシングをよろしくお願い致します。

NKB代表理事、日本キックボクシング連盟代表 渡邉信久
(日本キックボクシング連盟広報部より発表)


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メインイベント前に、日野実志リングアナウンサーによって、リングサイドに来賓として来場されていた新日本キックボクシング協会、伊原信一代表が紹介されると、伊原氏はNKB・渡辺信久代表理事に歩み寄り、握手しハグする親密さを見せたという。

1996年に伊原氏率いる伊原ジムが離脱した経緯はあるが、元々は1984年の日本キックボクシング連盟発足当時から歩みを共にし、それ以前にも日本系・全日本系の壁はあれど、キックボクシング隆盛期から低迷期にかけて、力を合わせて来た古き仲であった。

7月から始まった新日本キックボクシング協会との交流戦、今回の代表的カードとなったメインイベントは、団体のプライドを懸けた意地のぶつかり合いとなったようです。

◎闘魂シリーズ vol.4 / 10月13日(土)後楽園ホール 開始17:15
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会
全12試合 公式記録(主催者発表、計量結果、主審名は不明)

 
今野顕彰vs西村清吾(2018.10.13)

◆第12試合 72.5kg契約 5回戦

NKBミドル級チャンピオン.西村清吾(TEAM-KOK)
VS
日本ミドル級1位.今野顕彰(市原)
勝者:西村清吾 / 判定2-1 (馳49-48. 亀川49-50. 川上49-48)

◆第11試合 フェザー級 5回戦

NKBライト級5位.ひろあき(=安田浩昭/SQUARE-UP)
VS
コッチャサーン・ワイズディー(元・ルンピニー-系スーパーバンタム級7位/タイ)
勝者:ひろあき / 判定3-0 (佐藤友章49-45. 前田49-46. 亀川49-46)

◆第10試合 ライト級3回戦

NKBライト級4位.野村怜央(TEAM-KOK)vs山澤裕介(號志會)
勝者:野村怜央 / KO 1R 0:54

◆第9試合 バンタム級3回戦

NKBバンタム級2位.高嶺幸良(真門)vs同級5位.海老原竜二(神武館)
勝者:高嶺幸良 / 2-0 (佐藤友章30-28. 鈴木30-29. 馳29-29)

◆第8試合 64.0kg契約3回戦

NKBウェルター級5位. SEIITSU(八王子FSG)vs洋介(渡邉)
勝者:洋介 / KO 2R 2:10

◆第7試合 ヘビー級3回戦

山中政信(真正会)vs打田知彦(テツ)
勝者:打田知彦 / 0-2 (鈴木29-30. 前田29-30. 佐藤友章29-29)

◆第6試合 ウェルター級3回戦

雅喜(ReBORN経堂)vs火人(TEAM-KOK)
引分け 0-1 (副審 川上29-29. 佐藤友章29-29. 亀川29-30)

◆第5試合 バンタム級3回戦

古瀬 翔(ケーアクイティブ)vs剣汰(アウルスポーツ)
勝者:古瀬翔 / KO 3R 2:21

◆第4試合 ライト級3回戦

小笠原裕史(TEAM-KOK)vs川畑RYU直輝(NK)
勝者:川畑RYU直輝 / KO 2R 1:10

◆第3試合 バンタム級3回戦

志門(テツ)vsダルシム・ヤイタレー(ReBORN経堂)
勝者:ダルシム・ヤイタレー / 0-2 (鈴木29-30. 佐藤友章30-30. 馳29-30)

◆第2試合 フェザー級3回戦

山本太一(ケーアクティブ)vs松下裕太(マッハ)
勝者:松下裕太 / 0-3 (馳28-29. 佐藤彰彦28-29. 亀川28-30)

◆第1試合 バンタム級3回戦

則武知宏(テツ)vs北田竜汰(光)
勝者:則武知宏 / KO 3R 2:24

◆12月8日闘魂シリーズvol.6(FINAL)の対戦予定カード発表!

12月8日(土)後楽園ホールで開催の闘魂シリーズvol.6(FINAL)の対戦予定カードが発表。

高橋一眞は毎度の危険な打ち合い2度目の防衛戦。

▼メインイベント NKBライト級タイトルマッチ5回戦
チャンピオン.高橋一眞(真門)vs挑戦者1位.棚橋賢二郎(拳心館)

▼セミファイナル NKB-NJKF交流戦 57.0kg契約 5回戦
NKBフェザー級1位.ひろあき(=安田浩昭/SQUARE UP)
VS
NJKFスーパーバンタム級1位.久保田雄太(新興ムエタイ)

▼59.0kg契約 3回戦
野村怜央(Team KOK)vsKEIGO(FLAT UP)

▼56.0kg契約3回戦
WBCムエタイ日本フェザー級5位.大脇武(GET OVER)
VS
NKBバンタム級5位.海老原竜二(神武館)

▼63.0kg契約3回戦
NKBライト級5位.パントリー杉並(杉並)vsちさとkiss Me(安曇野キックの会)

他、7試合を予定。

日本キックボクシング連盟・渡辺信久代表とNJKF・藤田真理事長(当時)は1999年当時に話し合いの場があり、後にアジア太平洋キック連盟(APKF)とK-Uが加わりNKB設立に繋がりました。1年以上かけて2002年4月から王座決定戦に進んだ順調な流れも2004年11月を最後にNJKFが脱退する運命を辿って行きました。NKBは本年12月に本格的にNJKFと再び交流を開始し、すでに7月から新日本キックボクシング協会とも交流戦が始まっており、NKBの2019年はまた新たな挑戦へ突き進むことになります。

古くから囁かれていた、興行数が少なく、交流戦を拒み、ムエタイ第一線級選手の招聘力も無い中では選手は育たず孤立するばかり。それぞれの団体がそこから脱却してきた中、ようやくNKBも動き出した現在。「KNOCK OUT」ばかりが注目されていてはいけない。そんな巻き返しに自然と結束力が働いてきたようなキック業界です。

※筆者の諸事情(母親の永眠)により、この10月13日のNKBには取材に行っておりません。主催者公式発表の試合結果を頂いての掲載で失礼します。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

格闘道イベント「敬天愛人」11月11日(日)鹿児島アリーナにて開催!鹿砦社取締役・松岡朋彦も出場します! 九州、鹿児島近郊の方のご観戦をお願いいたします!

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老舗、変革! 交流戦が名勝負を生む! MAGNUM 48

仕留めたのは江幡塁の左ヒザ蹴り、下腹部だが、股間ではないと見える

「華麗な技で倒すのが僕の得意なKOパターン」と言う江幡塁の今回のKOに結びつけるまでの攻防は、“強い”と思わせるテープブリーの蹴りとパンチの返す強さと素早さ、判定までもつれ込むとしたら苦しい攻防となりそうな気配の中、幾つものコンビネーションブローを試しながらKOパターンを掴んでいく江幡塁の戦略は3ラウンド中盤に突然やって来た。

それまでに狙いを定めたか、左ボディーブローから右ローキックでテープブリーを怯ませるとコーナーに追い詰め、パンチ連打から左ヒザ蹴りがテープブリーの下腹部へヒットさせ悶絶、テンカウントを聞かせるKO勝利。

ファールブロー(ローブロー)をアピールするテープブリーと陣営だが、レフェリーは認めず。ボクシングで言えばベルトラインより下となるローブローだが、キックでは直接的にノーファールカップに当たらなければ反則とはならない。

「ラジャダムナン王座へいつでも挑戦できます。そして獲ることができます」と伊原代表に、いつでもいける臨戦態勢をアピールする江幡塁。2013年の初挑戦の敗戦から、勝利を重ね再挑戦を待ち続けてもう5年。来年こそは実現させたいだろう。

江幡塁のローキック、序盤は素早く蹴り返すテープブリーが厄介だった
喜多村の右ヒジ打ちがT-98の顔面をカット、勝負をほぼ決めた一発

T-98 vs 喜多村誠戦は、初回から両者の重いローキック、ミドルキック、パンチへと相手の出方に応じた打撃が交錯する。主導権を握って圧倒したい、その意地の競り合う攻防が第4ラウンドに入るまで続き、一瞬の喜多村の右ヒジ打ちがT-98の顔面を捕らえると流血したT-98。ドクターは続行可能と判断するが、再開直後の喜多村のヒジ打ちが軽いながらもまたヒット、ややパンチの打ち合いと組み合ってもつれた中、T-98は流血激しくなり、レフェリーが試合を止めたTKO。

喜多村陣営、大勢の応援団が静止出来ないほどドッとリングになだれ込む。日本統一果たしたかのような興奮醒めぬ歓声と祝福の応援団。タイトルは何も懸かっていないが、それに値するプライドが掛かった密度の濃い試合だった。

喜多村の右ストレートがT-98の顔面にヒット
最後も左フックをヒットさせ完全に倒しきった勝次

 

勝次は再起戦3連勝。今回も初回から早くも左ボディーブローでダウンを奪い、連打の後、左フックが顔面を捕らえると沈み込むように倒れたオートー。

レフェリーが止めるTKOで豪快に仕留めた勝次は、次なる目標がWKBA世界タイトルと言う。

来年3月に挑戦が内定しているが、その前に12月の藤本ジム興行でインパクトある勝利を掴まねばならない。またKO勝利で見せるパフォーマンス“1、2、3、ハッピー”が見られるか。

勝次のボディーブローでオートーを怯ませる

9月2日のTITANS NEOSに於いて、NKBとの交流戦で田村聖(拳心館)に敗れ、「負けたままで終われません。明日にでも再戦したいぐらいです」と語っていた斗吾がヨードプーパーをローキックからパンチ連打、左ボディーブローから右フックで圧倒、うつむき気味に怯むヨードプーパーに追撃し、あっけなく35秒でレフェリーが止めたTKO勝利。悪夢から醒めた開放感か、マイクで興奮気味に嬉しさを表現するも、早口で声も響かず、何を言っているのか聴こえないマイクアピールだったが、応援団に向かって感謝の言葉を述べていたことにはその観衆から拍手喝采を浴び、喜びを分かち合っていた。

斗吾の連打でヨードプーパーを一気に倒した

リカルド・ブラボがデビューから9戦目で初黒星。トリッキーなUMAの繰り出す前蹴りで前進を止められるだけでなく、ボディーも効いたかのようなブラボは、次第にリズムを狂わされてしまう。

蹴り返しやパンチはリカルド・ブラボの方が重く強い技を持っているが、この欧米パワーで勝ち上がって来た新人クラスと違い、チャンピオンとして総合力が試される今、UMAに主導権を握られ、終了間際にもパンチ連打を受け劣勢のまま判定負け。

いろいろなタイプの選手がいるものだと試練の壁にぶつかっているようなデビュー1年半、18歳のリカルド・ブラボ。対戦可能なトップクラスと戦い、経験を積めばまた新たな強さが見えてくるだろう。

UMAの前蹴りがリカルド・ブラボのリズムを狂わせた

MAGNUM 48 / 10月21日(日)後楽園ホール17:00~
主催:伊原プロモーション / 認定:新日本キックボクシング協会

◆56.0kg契約 5回戦

WKBA世界スーパーバンタム級チャンピオン.江幡塁(伊原/55.6kg)
VS
テープブリー・オー・デットポン(元・ルンピニー系フライ級2位/タイ/56.0kg)
勝者:江幡塁 / KO 3R 2:00 / 10カウントアウト / 主審:椎名利一

◆70.0kg契約 5回戦

T-98(=今村卓也/元・ラジャダムナン系スーパーウェルター級チャンピオン/クロスポイント吉祥寺/69.85kg)
VS
喜多村誠(前・日本ミドル級チャンピオン/伊原新潟/69.5kg)
勝者:喜多村誠 / TKO 4R 0:45 / レフェリーストップ / 主審:少白竜

KO勝利のポーズを再現してくれた勝次、1、2、3、ハッピー!

◆62.5㎏契約3回戦

日本ライト級チャンピオン.勝次(藤本/62.5kg)
VS
オートー・オー・デットポン(タイ/62.1kg)
勝者:勝次 / TKO 1R 2:12 / カウント中のレフェリーストップ / 主審:仲俊光

◆73.5kg契約3回戦

日本ミドル級チャンピオン.斗吾(伊原73.5kg)
VS
ヨードプーパー・オー・デットポン(タイ/70.7kg)
勝者:斗吾 / TKO 1R 0:35 / カウント中のレフェリーストップ / 主審:宮沢誠

◆67.0kg契約3回戦

日本ウェルター級チャンピオン.リカルド・ブラボ(アルゼンチン/伊原/67.0kg)
VS
UMA(=ゆうま/元REBELS65kgC/K&K BOXING CLUB/66.6kg)
勝者:UMA / 判定0-3 / 主審:桜井一秀
副審:仲28-30. 宮沢29-30. 少白竜28-30

◆65.0kg契約3回戦

石井達也(元・日本ライト級C/藤本/64.9kg)
VS
MA日本ミドル級3位.竹市一樹(二刃会/65.0kg)
勝者:石井達也 / TKO 3R 2:59 / レフェリーストップ / 主審:椎名利一

◆67.0kg契約3回戦

日本ウェルター級1位.政斗(治政館/66.6kg)
VS
レック・エイワスポーツ(WMC世界SW級1位/タイ/66.7kg)
勝者:レック・エイワスポーツ / 判定0-3 / 主審:少白竜
副審:椎名28-30. 宮沢29-30. 桜井29-30

◆ライト級3回戦

髙橋亨汰(伊原61.23kg)vs TASUKU(CRAZY WOLF/60.9lkg)
勝者:TASUKU / 判定1-2 / 主審:仲俊光
副審:椎名29-28. 少白竜29-30. 桜井29-30

◆ライト級3回戦

日本ライト級5位.ジョニー・オリベイラ(トーエル/60.9kg)
VS
日本ライト級7位.渡邊涼介(伊原新潟/61.0kg)
勝者:渡邊涼介 / 判定0-3 / 主審:宮沢誠
副審:椎名28-29. 少白竜29-30. 仲29-30

◆フェザー級3回戦

日本フェザー級6位.渡辺航己(JMN/56.9kg)vs FUJIMON(亀岡/57.15kg)
勝者:渡辺航己 / 判定3-0 / 主審:桜井一秀
副審:仲30-27. 少白竜30-27. 宮沢30-

◆70.0㎏契約2回戦

大久和輝(伊原/69.8kg)vs 萩本将次(CRAZY WOLF/69.3kg)
勝者:大久和輝 / 判定3-0 (20-19. 20-19. 20-19)

◆フェザー級2回戦

瀬川琉(伊原稲城/kg)vs 平塚一郎(トーエル/56.9kg)
勝者:瀬川琉 / TKO 2R 0:57 / レフェリーストップ

《取材戦記》

T-98=「ヒジ出すんだも~ん!」
喜多村誠=「狙ってました!」

控室で聞かれた後腐れないサバサバした表情で語り合った両者。業界の総力を結集すればミドル級でも面子は揃うはず。トーナメント戦は「KNOCK OUT」イベントばかりに集中しないで既存の団体興行でも行なって欲しいもの。

健闘を称えあったT-98と喜多村誠

勝次のKO勝利の場合のみ見せる“1、2、3、ハッピー!”は定着するか?拳を突き上げるだけでなく、もう少し決めポーズが欲しいところ。飛びヒザ蹴りポーズでも加えたらどうだろうか。

新日本キックボクシング協会の年内興行は、あと2回。11月11日(日)に新宿フェースに於いて、「KICK Insist.8」が2部制で開催。メインイベンターは第1部(14:00開始)が瀧澤博人(ビクトリー)。第2部(18:00開始)は石原將伍(ビクトリー)。8試合ずつ全16試合が予定されます。第1部終了後、入れ替えとなり、1部と2部のそれぞれのチケットが必要になります。

そして最終興行が12月9日(日)に勝次が所属の藤本ジム主催で、「SOUL IN THE RING.16」が後楽園ホールで開催予定です。

リングに流れ込んだ喜多村陣営と仲間達

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

格闘道イベント「敬天愛人」11月11日(日)鹿児島アリーナにて開催!鹿砦社取締役・松岡朋彦も出場します! 九州、鹿児島近郊の方のご観戦をお願いいたします!

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囁かれる政界入り 貴乃花の逆襲が始まった! 貴ノ岩の日馬富士民事提訴は、角界改革の手はじめである


◎[参考動画]貴乃花親方が退職届提出 傷害事件の告発状巡り(KyodoNews 2018/09/25公開)

突然の親方引退と部屋の移籍、そして日馬富士氏の断髪式を待っての民事訴訟。これらは計画された戦術だったのだ。千賀浦部屋に移籍した貴ノ岩が、かりそめにも父親代わりである千賀浦親方に何ら相談することもなく、総額2400万円の損害賠償事件の民訴を行なったのである。

弁護士事務所は貴乃花氏の代理人と同じであることから、貴乃花氏の意向がつよく働いているのは誰の目にも明らかだ。そしてこの民事訴訟のねらいは、損害賠償金が目的ではないのも明白だ。なぜならば、あまりにもかけ離れた金額(日馬富士氏側は50万円)では、そもそも和解調停が不可能だからだ。

では、いったい何のために判決まで引っぱる訴訟を起こしたのか。これも少し考えればわかることだ。貴乃花氏の突然の「引退」の謎も、そして角界から身を引いた彼が何をしようとしているのかも、ほの見えてきたというべきであろう。

◆貴乃花告発状の真否を争う裁判に

和解調停が不可能であれば、証拠調べ・証人尋問と公判が開かれることになる。その最大の証拠が、貴乃花氏が内閣府に提出した「告発状」なのである。この告発状は弟子の暴行事件でいったん取り下げられ、さらには大相撲協会の危機管理委員会によって、事実ではないと否定されたものだ。

貴乃花氏が「引退」する契機になった「日馬富士暴行事件の事実関係」の真相が「告発状」にあると言っていいだろう。その真否をめぐって、暴行事件の関係者たちが、偽証のゆるされない法廷で証言をしなければならないのだ。

白鳳をはじめ、現役力士たち、さらには教会関係者の出廷を強いる。これほど効果的な大相撲協会への揺さぶりはないだろう。そして事実関係が白日のもとに晒されれば、貴乃花氏が引退する理由となった危機管理委員会の報告書、すなわち大相撲協会の屋台骨がゆらぐことを意味する。その先にあるものは、大相撲の大改革である。

◆囁かれる政界入り

それにしても、貴乃花氏は角界をみずから引退しているのだ。協会内でほぼ完全に孤立していたとされる貴乃花氏が、いったいどうやって大相撲協会を改革できるというのだろうか。ここで、ある噂がにわかに信憑性を帯びてくるのだ。

そう、一部のマスコミで囁かれている貴乃花氏の政界入りである。すでに一部の報道では、来年の参議院選挙への出馬をと、自民党が声をかけたとされている。もともと「相撲は国体のために」などと口にしてきた貴乃花氏である。

この国体とは国民体育大会ではない。天皇を象徴にいただく国家のあり方という意味である。国の中心に天皇を据える国体思想はすなわち、天皇の元首化を明文化すること。つまり自民党が政治日程に上せようとしている改憲である。

 
元大鳴門親方『八百長 ― 相撲協会一刀両断』(1996年4月鹿砦社)

自民党が貴乃花氏を改憲運動の看板にしようとするのは、火を見るよりも明らかだ。そうやって政治利用されることに、貴乃花氏もある重大な決意で大相撲協会の改革を政治家として行なおうとしているのではないか。

◆高鐵山いらいの告発も?

もともと貴乃花氏は、現役時代にある告発をもとに引退を決意したことがある。それは兄弟対決となった、95年11月場所の「八百長」をめぐって、それをやらせた父への告発を一冊の本にしようとしていたのだ。版元の社長の判断で原稿は日の目を見なかったが、ガチンコが身上の貴乃花氏ならではの決意だったといわれている。

これまでにも、高鐵山の元大鳴戸親方が大相撲協会および北の富士氏を告発した『八百長―相撲協会一刀両断』(元大鳴戸親方、鹿砦社刊)がある。みずからの八百長体験で実態を暴露した元大鳴戸親方は、後援会長とともに不幸にも事件性の高い事故で亡くなっている(一部には謀殺説も)。改革の夢やぶれて大相撲協会から身を引いた形の貴乃花氏だが、外側からの改革に政治家として乗り出す。じつはあの「引退」劇も、計画として戦術だったのだろう。

▼横山茂彦(よこやま しげひこ)

著述業・雑誌編集者。主な著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ経営学』(宝島文庫)、『真田一族のナゾ!』『山口組と戦国大名』(サイゾー)など。医療分野の著作も多く、近著は『ガンになりにくい食生活――食品とガンの相関係数プロファイル』(鹿砦社LIBRARY)

2018年芸能界最大の衝撃新刊! 上條英男『BOSS 一匹狼マネージャー50年の闘い』西城秀樹、ジョー山中、舘ひろし、小山ルミ、ゴールデン・ハーフ、吉沢京子……。数多くのスターを見出し、育てた「伝説のマネージャー」だけが知る日本の「音楽」と「芸能界」! 
7日発売!衝撃満載『紙の爆弾』11月号! 公明党お抱え〝怪しい調査会社〟JTCはどこに消えたのか/検証・創価学会vs日蓮正宗裁判 ①創価学会の訴訟乱発は「スラップ」である他

イケメン・マジ強 総勢24選手出場のNJKF 2018.3rd!

MOMOTAROの前蹴りが一仁のアゴへ度々ヒット
MOMOTAROのミドルキックで一仁を突き放した

「リアル・チャンピオン“超豪華”大集結。運命の9.22、いよいよ来たる!」

興行タイトルは格好良く、激しい試合も展開されましたが、セコンドや応援団の声ばかりが響く試合も多かった。

◎NJKF 2018.3rd
9月22日(土)後楽園ホール17:00~20:55
主催:NJKF / 認定:WBCムエタイ日本実行委員会、NJKF

◆第12試合 メインイベント 57.5kg契約3回戦

再起戦を飾ったMOMOTARO、海外からも声が掛かり戦う場が広い若きエース

WBC・M・IN・フェザー級チャンピオン.MOMOTARO(=小寺耕平/OGUNI/57.4kg)
VS
J-NETWORKフェザー級チャンピオン.一仁(真樹AICHI/57.5kg)

勝者:MOMOTARO / 判定3-0 / 主審:竹村光一
副審:中山30-27. 神谷30-27. 宮本30-28

序盤、離れた蹴り会いから距離が縮まり、組み合った接近戦でMOMOTAROがヒジ打ちを執拗に連打すると負傷した一仁だが、その後も怯まずに出て来る。しかし、MOMOTAROのタイミングいい蹴りと距離を取るフットワークに、一仁の蹴りやパンチもヒットは弱く、リズムを狂わされてしまう。MOMOTAROは終始落ち着いた表情で的確にヒットさせるが、一仁のしぶとさに深いダメージを負わせる決定打は無いまま、大差判定勝利を掴んだ。

◆第11試合 58.0kg契約3回戦

WBCムエタイ日本フェザー級チャンピオン.新人(E.S.G/57.7kg)
VS
MA日本フェザー級チャンピオン.宮崎勇樹(相模原S/58.0kg)

勝者:新人 / 判定2-0 / 主審:和田良覚
副審:中山29-29. 竹村30-29. 宮本29-28

宮崎がパンチのリズム感と連打がヒットし攻勢を印象付ける勢いがあったが、打ち合いは避けたい新人は蹴り中心の的確さで試合を進める。新人が僅差ながら判定勝利。

宮崎勇樹VS新人。蹴りの距離で優勢を保った新人(右)のミドルキック
接近戦での打ち合いとなった実方拓海(左)と真吾YAMATO

◆第10試合 64.0kg契約3回戦

NJKFスーパーライト級2位.真吾YAMATO(大和/63.8kg)
VS
WMC日本スーパーライト級チャンピオン.実方拓海(TSKjapan/63.7kg)

勝者:実方拓海 / 判定0-3 / 主審:神谷友和
副審:中山28-30. 竹村28-30. 和田28-29

積極性と的確さがやや優っていた実方。第2ラウンドにはヒジでカットさせ調子を上げるが、真吾も下がらず応戦してくる。第3ラウンドもパンチとヒジ、蹴り合っても実方の勢いが目立ち、印象的にも優位に立って判定勝利を掴む。

人気実力急上昇中の実方拓海(左)が22歳同い年の真吾YAMATOにハイキックで攻める

◆第9試合 WBCムエタイ日本スーパーバンタム級タイトルマッチ5回戦

地花デビット(右)を蹴り続けた波賀宙也、再浮上へ執念を燃やす

暫定チャンピオン.波賀宙也(立川KBA/55.3kg)
VS
WMC日本フェザー級チャンピオン.知花デビット(エイワスポーツ/55.3kg)

勝者:波賀宙也が正規チャンピオン / 判定3-0 / 主審:宮本和俊
副審:神谷50-47. 竹村49-47. 和田50-47

波賀は距離をとってミドルキック中心に知花のパンチの距離に入れさせないテクニックで波賀が優った。知花デビットも勝負を掛けてパンチで前に出るが、波賀は接近戦でもヒジ打ちや組み合ってのヒザ蹴りなど波賀が体重を掛けていく有利な体勢で、知花デビットの距離を潰してしまう。波賀が判定勝利で正規チャンピオンに昇格。

主導権は波賀宙也(右)が握ったまま、知花デビットは今ひとつ力及ばず
NJKFを一番の団体に、満員にしたい、エースとなる,力強いアピールが続いた琢磨

 
 
◆第8試合 61.0㎏契約3回戦

WBCムエタイ日本スーパーフェザー級チャンピオン.琢磨(東京町田金子/60.3kg)
VS
NJKFスーパーフェザー級1位.澤田曜祐(PIT/60.4kg)

勝者:琢磨 / TKO 3R 2:13 / カウント中のレフェリーストップ
主審:中山宏美

初回からパンチからローの琢磨、更にハイキックと多彩に繰り出していくが澤田もパンチで応戦し、第3ラウンドのボディブローのヒットから一気にヒザ蹴りやパンチや距離に合わせた打撃が続く中、更に左のボディブローがヒットすると、効いた様子の澤田はついにダウンを喫する。

立ち上がるもコーナーを向いたままでレフェリーストップされてしまう。

「Knock outは正直、すごい出たいなあと思うんですけど、僕はこのNJKFをキック界一番の団体にして来年僕はメインイベンターで、エースとして、この舞台に立ちたいと思っているので、その時は会場を満員に出来るようにしたい。」というコメントを残しました。

ボディブローで防戦一方となる澤田曜祐へ琢磨(左)の猛攻が続く
目まぐるしい展開を見せた松谷桐(右)の左ストレートで高坂侑弥が仰け反る

◆第7試合 51.0kg契約3回戦

NJKFフライ級チャンピオン.松谷桐(VALLELY/50.8kg)
VS
WMC日本バンタム級3位.高坂侑弥(エイワスポーツ/50.9kg)

勝者:松谷桐 / 判定3-0 / 主審:竹村光一
副審:神谷30-28. 宮本29-28. 中山30-27

スピーディーで激しい打ち合いが最後まで続き、松谷がパンチの連打、ボディブローも印象付け、飛び技も見せた攻勢が高坂を下がらせたが、パンチの交錯では高坂も打ち負けない展開を見せ、松谷も右目瞼辺りが大きく腫れる被弾の跡が残る痛々しい表情となった。

終始、わずかに上回る松谷の攻勢の印象が残る中、ポイントも僅差から大差まで開く結果となった。これも5回戦で見なければ総合力が現れない結果でもあった。

◆第6試合 スーパーフェザー級3回戦

NJKFスーパーフェザー級5位.梅沢武彦(東京町田金子/58.8kg)
VS
同級9位.山浦俊一(新興ムエタイ/58.9kg)

勝者:山浦俊一 / 判定0-2 / 主審:
副審:竹村29-29. 宮本28-30. 中山29-30

◆第5試合 スーパーライト級3回戦-中止-

NJKFスーパーライト級7位.敦YAMATO(大和)
VS
同級10位.木村弘志(OGUNI/63.3kg)

敦YAMATOの体調不良によりドクターストップが掛かり、中止(場内発表は木村弘志の不戦勝)。

◆第4試合 56.0kg契約3回戦

将泰(PIT/55.8kg)VS 鈴木力也(ZERO/55.9kg)

勝者:鈴木力也 / TKO 1R 1:50 / カウント中のレフェリーストップ
主審:宮本和俊

◆第3試合 スーパーフェザー級3回戦

吉田凜汰朗(VERTEX/58.5kg)VS 吉田優佑(K&K/58.2kg)

勝者:吉田凜汰朗 / 判定3-0 / 主審:
副審:宮本30-28. 和田30-28. 神谷30-28

◆第2試合 スーパーバンタム級3回戦

雨宮洸太(キング/55.0kg)VS 雅(PIT/55.1kg)

引分け 0-0 (28-28. 28-28. 28-28)

◆第1試合 フライ級3回戦

宇宙YAMATO(大和/50.8kg)VS EIJI(E.S.G/50.8kg)

勝者:EIJI / TKO 1R 0:22 / ドクター勧告及び戦意喪失

正規王座を奪回した波賀宙也

《取材戦記》

総勢9名のチャンピオンの肩書きを持つ選手が出場。更にイケメンやマジ強のキャッチフレーズが付いた興行に反し、観衆の少なさは何を物語るか。

6月のNJKF 2018.2ndで健太が「僕はもう一度NJKFを満員にしたい」と語り、今回は琢磨もTKO勝利後、“来年はエース格宣言”したように「キックを良くしたい、盛り上げたい、満員にしたい」と言う宣言はよく聞かれるマイクアピールです。

セミファイナル以前の選手が「まだいい試合が続くので最後まで観て行ってください」とマイクアピールしてもメインイベント(最終試合)に近付くにつれ観衆が減っていくのは6月に続き、この日も見られた光景でした。

チャンピオン対決が行われてもこの状況。これらの増え過ぎた国内王座はどれほどの規模か。その先の頂点に繋がるものかどうか。ファンは見抜いているのでしょう。

現在のNJKFエース格、MOMOTAROは昨年6月18日、カルロス・セブン・ムエタイ(スペイン)の持つWBCムエタイ・インターナショナル・フェザー級王座に挑戦し、2ラウンドTKO勝利で王座奪取。最近は海外遠征や敗戦が続くも、約1年ぶりのホームリングで復活となりました。

来年に向けてメインイベンターとなるのは健太やMOMOTAROが続く他、琢磨が加わり、または前回のタイトルどおり、新たなニューウェーブ到来か。それらが超満員に導く存在となってくれるでしょうか。

NJKF年内プロ興行は、11月25日(日)に埼玉県春日部市ふれあいキューブに於いてPITジム主催の「絆 Ⅺ」、12月2日(日)に「NJKF 2018.4th」於:後楽園ホール、12月16日(日) 大阪・阿倍野区民センターに於いて誠至会主催の「NJKF 2018 west 5th」が開催予定となっています。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』