米国らの平和祈念式典ボイコット、「原爆の日」=「祝賀会」発言 旧「白人帝国主義」諸国に忖度無用だ さとうしゅういち

◆「懸念」と言えば聞こえはいいが、事実上の「脅し」だった

8月9日の長崎平和祈念式典。長崎市の鈴木史朗市長は「平穏かつ、厳粛な雰囲気のもとで円滑に式典ができるように」することを理由に、イスラエルを招待しませんでした。一方で、パレスチナ国代表は招待しています。

広島市がイスラエルを招待する一方で、パレスチナを招待しなかったのとは対照的です。

こうした中で、7月の段階で既に、エマニュエル駐日米国大使が音頭を取って、米独英仏伊加の日本以外のG7やEUが長崎市に対して、イスラエルを招待しないことへの懸念を表明していました。懸念と言えば聞こえはいいですが、「イスラエルを招待しないと、俺たちは大使級の出席は見合わせるぞ」という事実上の脅しでした。

そして、8月9日、米独仏伊加やEUの大使級の姿は長崎平和公園にはありませんでした。それでも、過去最多の国が長崎平和祈念式典に参加されたそうです。改めて、鈴木史朗・長崎市長の毅然たる対応を支持したい。

もちろん、そもそも、ロシア・ベラルーシもイスラエルも両方招待するのが平和行政の原理原則であると筆者は考えます。しかしながら、ロシア・ベラルーシを円滑に運営するためと言う理由とは言え、すでに招待しない決断をしている以上、イスラエルを招待しないというのは筋が通っています。

そして、今回のG7―日本の対応は、まさに自称先進国の高慢さを世界にあぶりだしたと言えます。

◆「イスラエル万歳」姿勢を天下にさらした米独英仏伊加欧 

米独英仏伊加は、イスラエルを招待しないことを、ロシア・ベラルーシとイスラエルを同列に見なすことになる、としていました。だが、2023年10月7日以前のイスラエルはパレスチナ人の土地を奪い続けていました。今ほどではないですが空爆も続けていました。これを侵略者と言わずしてどういうのでしょうか? もちろん、ハマスによる10月7日の攻撃は、国際人権法違反です。これはこれでICCにより関係者に逮捕状が請求されています。侵略に対する防衛側であっても国際人権法を守らなければいけないのです。

他方で、当然、イスラエル首相のネタニヤフ被疑者と国防相のガラント被疑者にも逮捕状は請求されています。プーチン大統領が逮捕状を出されているロシアとイスラエルを同列にみなされて何が悪いのか? 米独英仏伊加のこんな「イスラエル万歳」姿勢がネタニヤフ被疑者をさらにつけあがらせ、犠牲者を増やしているのではないでしょうか?

◆変わらぬ「日本人は欧米先進国を忖度してくれるだろう」という思い上がり

そして、今回、エマニュエル駐日大使らから感じたのは、「日本人は、我々欧米先進国を忖度してくれるもの」という思い上がりです。実際に、残念ながら、広島市長は、脅される前から、イスラエルは招待し、パレスチナは招待しないという選択を取ってしまいました。しかし、長崎市長は違いました。そこで、「この野郎」とでも逆上したのでしょう、エマニュエル駐日大使は、欧州諸国にも呼びかけ、長崎平和祈念式典をボイコットしたのです。

◆原爆の日=祝賀会=セレブレーション 米報道官失言

さて、今回の件について記者会見した米国政府のミラー報道官は「原爆の日」のことを「セレブレーション=祝賀会」と言ってしまいました。これは、結局、原爆は戦争を終わらせたのだからめでたい、という米国のエライ人たちの本音を暴露しただけではないでしょうか?結局、「変わっちゃいない」です。

◆「反省無き」米国に忖度し舐められる広島

さて、広島は2023年、G7広島サミットを開催しました。そして、その後、広島市の松井市長は軍事基地であるパールハーバーと平和記念公園の姉妹協定を結んでしまいました。筆者は「米国政府は原爆の謝罪も反省もしていないのに随分おめでたいなあ」とあきれ果てていました。案の定、G7広島サミットから1周年の5月19日、米国が核実験をしたことが発覚しています。広島は完全に米国・バイデン大統領に舐められています。

米国の国会議員が「ガザをヒロシマ・ナガサキのようにすべきだ」などと暴言を吐いた時も松井市長は抗議もしませんでした。筆者が広島市長なら「こちらが低姿勢に出ればつけあがりやがって」とキレそうですが、この松井市長は違うようです。そして、今なお、舐められていることへの怒りも感じられません。

◆ダブスタの米英仏独伊に忖度無用!

結局、日本人の命もパレスチナ人の命も米英独仏伊加にとっては軽いものということが今回あぶりだされました。いくら、米英独仏伊加が民主主義だの人権だの「ご高説」を垂れていてもそういうことなのです。広島の平和行政もこれを参考に今後の在り方を考えるべきです。アジア大会1994を広島は開催しています。そのアジア大会にはパレスチナは来てくれました。核兵器禁止条約にもパレスチナは参加してくれています。

核兵器禁止条約を推進する平和首長会議と横の連携を引き続き重視すべきです。その上で、広島・長崎に核兵器禁止条約の締約国会議を招致したらどうでしょうか。その上で、核保有国=米英仏ロ中印パ朝イに迫っていくべきです。ヒロシマもナガサキも、米英仏独伊などの政府に対して礼儀は尽くすにしても、忖度はする必要はないでしょう。

◆ガザでのジェノサイド終結へ粛々と行動!

ともかく、筆者と広島瀬戸内新聞では、ガザにおけるジェノサイド終結、中東和平へ向け、粛々と行動していきます。

9月18日には、元イスラエル軍兵士・ダニー・ネフセタイさんをお呼びしての講演会を開催します。また議会への請願を通じて、広島市にも粘り強く米国忖度の路線からの軌道修正を働きかけていきます。

◆元・イスラエル軍兵士が語る「平和」 
 イスラエルの歴史と今・そして日本~ダニー・ネフセタイさん講演会IN広島

もうすぐ、イスラエル軍によるパレスチナ・ガザ地区への侵攻・虐殺が激化してから1年になろうとしています。ガザ地区では連日のように多くの命が奪われる状況に終わりは見えず、中東全体にも戦火が広がろうとしています。そもそも、なぜ、こんなことになってしまったのか?

 そして平和をつくるために、日本・広島に住むわたしたちはどうすればいいのか?

イスラエル軍の元兵士で現在は日本で木製家具職人の傍ら日本全国を「非戦・平和」等をテーマに講演されているダニー・ネフセタイさんにお聞きします。

日時 2024年9月18日(水) 18時開場 18時半スタート
場所 広島市東区民文化センター工作実習室 
(〒732-0055 広島市東区東蟹屋町10-31 広島駅から徒歩約10分) 
資料代 1000円
主催 広島瀬戸内新聞 
連絡先 佐藤 090-3171-4437 hiroseto2004@yahoo.co.jp

◎ダニー・ネフセタイさん プロフィール
1957年、イスラエル生まれ
1975年 高校卒業後、徴兵制によるイスラエル軍入隊。空軍にて3年間兵役を務める。
1979年 退役後、アジアの旅に出る。日本各地をヒッチハイクなどで旅をし、交流を深める。日本語学校にて更に深く言葉を勉強しその後神奈川の家具会社に勤める。
1988年 東京より埼玉県皆野町金沢へ引っ越す。木工房ナガリ家を開設。
1999年 皆野町金沢・出牛に自宅のログハウスを夫婦で自力建設。

現在は、夫婦で注文家具、遊具、木工小物、社会性オブジェの創作活動。ギャラリー にて個展、グループ展など多数開催。「世の中を良くすることも物づくりをする人間の指名である」という信条を持ち戦乱の絶えない祖国イスラエルを批判、「3.11」後の日本で脱原発の道を進むことを願い、活動をつづけている。
WEBサイト https://nagariya.handcrafted.jp/ 

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。

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『広島の追憶 原爆投下後、子どもたちのそれからの物語』【著者略歴】梓 加依(あずさ・かえ)。児童文学・子どもの生活文化研究家。1944年長崎生まれ、小学校から高校まで広島市内に在住。公共図書館司書、大学非常勤講師、家庭裁判所調停委員などの仕事を経て、現在は物語を書く会「梓の木の会」主宰。

今こそ、鹿砦社の雑誌!!

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2024年の8.6原爆の日 イスラエルのみ参加の広島市主催とパレスチナ招いた「市民主催」 二つの平和記念式典 さとうしゅういち

今年も8月6日がやってきました。

筆者は今年も平和記念式典に参加。原爆犠牲者の皆様を追悼するとともに核兵器廃絶、世界恒久平和を改めて祈りました。

 
「関所」での手荷物検査

筆者は、6時過ぎに広島市東区の自宅を出ると、バスで平和公園近くまで向かいました。

原爆ドーム前まで向かうと行列ができていました。「関所」で手荷物検査を行っていました。 

広島市は、「法的根拠はない」としながら、プラカードやビラ、幟、拡声器の持ち込みを禁止するとしています。筆者はこの日、別の行事で使う予定のプラカードやビラをカバンに入れていました。

原爆ドーム前の「関所」では、年配の女性警備員が「これは何ですか?」とビラやプラカードについて質問されました。筆者は「これは、ただの紙です。ここでは。」と押し通しました。何度か同じ問答を繰り返しましたが「これはただの紙です。ここでは。」でなんとか、「検問」を突破しました。この際、ペットボトルの内容物を「一口飲んでください」と言われました。黄色のリストバンドをつけさせられました。

原爆ドーム前では、新左翼系市民団体が、前日の22時頃から座り込みをされていました。筆者はそのまま平和公園へと向かいました。

そして平和公園中心部の式典会場前では今度は金属検査をされました。金属検査はわからなくはありません。

金属検査をパスすると青のリストバンドをつけさせられました。

8時、平和記念式典が始まりました


◎[参考動画]平和記念式典終えて 広島瀬戸内新聞ニュース号外 さとうしゅういち

◆「平和記念式典」の挨拶「だけ」は素晴らしい湯崎英彦知事

 
筆者

広島市議会議長の式辞、そして献花、広島市長の平和宣言、子どもたちの「平和への誓い」、岸田総理の挨拶、広島県知事の挨拶、そして国連事務総長の挨拶と続きました。

広島市の松井一實市長は平和宣言の中で、「市民社会」を強調されました。ただ、市民社会を強調するのであれば、原爆ドーム前まで手荷物検査を課す規制区域にする、それも法的な根拠もなしにすると言うのは矛盾した対応です。

岸田総理の挨拶は、予想通りと言いますか、核兵器禁止条約はもちろん、核の先制不使用にすら言及しないお粗末なものでした。

広島県の湯崎英彦知事のあいさつが、一連の要人の発言では最もインパクトがあり、拍手も大きかったように思えます。

「現代では、矢尻や刀ではなく、男も女も子供も老人も銃弾で撃ち抜かれ、あるいはミサイルで粉々にされる。国連が作ってきた世界の秩序の守護者たるべき大国が、公然と国際法違反の侵攻や力による現状変更を試みる。それが弥生の過去から続いている現実です。

いわゆる現実主義者は、だからこそ、力には力を、と言う。核兵器には、核兵器を。しかし、そこでは、もう一つの現実は意図的に無視されています。人類が発明してかつて使われなかった兵器はない。禁止された化学兵器も引き続き使われている。核兵器も、それが存在する限り必ずいつか再び使われることになるでしょう。」

には、全くその通りとうなずかざるを得ません。また、

「現実を直視することのできる世界の皆さん、私たちが行うべきことは、核兵器廃絶を本当に実現するため、資源を思い切って投入することです。想像してください。核兵器維持増強の十分の一の1.4兆円や数千人の専門家を投入すれば、核廃絶も具体的に大きく前進するでしょう。」

は、知事の元通産官僚、またIT企業経営者としてのいい意味での感覚も反映されていると感じました。

湯崎英彦知事は、「本業」の県政では、三原本郷産廃処分場など産廃問題が深刻なのに「放置プレイ」だったり、平川理恵・前教育長の官製談合事件を「改革の副作用」と庇うなど問題ありまくりです。ただ、この8月6日の挨拶だけは素晴らしい。さすがは、原爆の社会的影響について研究されてきた広島大学総合科学部教授の湯崎稔先生のご子息だ、と思います。

◆島根再稼働・上関貯蔵施設・岸田原発推進に抗して 中国電力前で街宣

 
中国電力前で反原発の街宣

式典終了後、中国電力前で反原発の街宣に参加しました。

今年は、島根原発再稼働反対や昨年のこの時期に持ち上がった上関貯蔵施設反対、そして、広島選出の岸田総理が進める「原発推進」(安倍晋三さんすらやらなかった)への批判が大きなテーマです。

各弁士からは島根原発については、周辺の能登半島と似た活断層が多数ある中で、多くの断層が連動した能登半島大震災が元日に発生。そうした中で、再稼働は無謀だ、という指摘がされました。

上関への中間貯蔵施設の建設については、岸田総理の原発再稼働政策で核のゴミが関電で溜まってしまい、行き場がないという中で、中国電力が救いの手を差し伸べたわけです。

また、原発推進については、これからはAI関連のデータセンターが電力を食うから原発だ、という議論が横行しているが、諸外国のデータセンターではグリーン電力を使っていることを売りにしており、そうでないと使ってもらえない、ということも紹介されました。

3.11から13年が経過し、「原発は必要かも」という雰囲気も広がる今日この頃。しかし、騙されないよう、きちんと勉強していくことの重要性を感じました。

◆田上・前長崎市長の講演を初めてお聴きする

 
「8.6ヒロシマ平和の夕べ」

午後は「8.6ヒロシマ平和の夕べ」に参加。田上富久・前長崎市長らのお話を伺いました。田上さんは、筆者同様、若くして公務員を辞めて政界にチャレンジされた方です。今回、初めて、お会いできました。「平和のために市民社会ができること」です。

田上さんはまず、「現役核弾頭」が増えており、核軍拡は進み、核軍縮は後退していることを紹介。こうした中で被爆地は1.被爆の実相を伝える 2,ズレをただす 3、ネットワークを広げる 4,次の一歩を示す 5,ゴールを示し続ける 役割を果たしてきたとしました、

そして、平和のために市民社会にできることとして、せめぎあいを超える力として「平和の文化を広げる」こと。

知っているのと知らないのでは大きな違いが出てくるので、これを埋めていくこと。また、歴史と文化について学んでいくこと、等を上げました。

これについては、数年前、ブラジルのカーニバルで原爆をテーマにした出しが登場し、その際、ネット上で「裸踊りで原爆を茶化すとは何事か?!」的な炎上があったことを紹介しました。

カーニバルは、真面目なテーマを取り上げるものであるというブラジルの文化への理解が日本人に不足していたこと。SNSで反応してしまい、本来は味方である人たちを敵視してしまうことになる、と田上さんは警鐘を鳴らしました。この山車はちなみにカーニバルのテーマである「知の力」の悪い例として原爆を取り上げたのです。ブラジルの現地の広島や長崎の県民会も協力し、出演者も出していたのです。

◆「市民の平和記念式典」にパレスチナ駐日大使招待

6日夜は、原爆ドーム対岸で、パレスチナ駐日大使と広島・日本の市民の対話集会がオンラインで開催されました。広島市の松井一實市長は、平和記念式典にイスラエルを招待する一方で、パレスチナは招待しませんでした。こうした中で「市民による平和記念式典」となりました。

最初にワリード・アリ・シアム・パレスチナ駐日大使からお話がありました。


◎[参考動画]#freepalestine パレスチナ駐日大使登場 原爆ドーム対岸市民集会 広島瀬戸内新聞ニュース8.6号外 さとうしゅういち

「女性も子どもも日常的に軍隊のターゲットになっている。わたしたち非戦闘員、一般市民の避難所となっている学校が攻撃され、何千人もの人が死に、捕虜として束縛している。占領軍は死者をわざと掘り起こし、ガザとヨルダン川西岸でジェノサイドを行っています。」と糾弾。

その上で、「パレスチナを招待し、イスラエルの招待を見送った「平和と」長崎市を称賛するとともに、パレスチナは招待せず、イスラエルは招待する広島市の姿勢に「永続させる人たちに招待状を送るいっぽうで、わたしたちの声がなかったかのようにする」ことは「広島の掲げてきた正義に反する」と憤りを示されました。

その後、広島・日本の市民から質問などがありました。

筆者は、11524人の署名を集め、パレスチナ代表を平和記念式典に招待するよう広島市長宛に要請したことを報告。その上で、広島市側が「朝鮮は核兵器禁止条約に入っていないから招待する。パレスチナは入っているから招待しない」と回答したことを紹介。

 
オンライン署名『平和記念式典にパレスチナ国代表を招待してください』(QRコード)

「核兵器禁止条約に入っている国こそ大事にしないといけないと思う。今のパレスチナのおかれた状況(イスラエルによる侵略・虐殺)を止めることに全力を挙げるので、どうか、(広島市のこの無礼に懲りずに)核兵器禁止への広島の取り組みに今後もご協力いただきたい。」とお願いしました。

「パレスチナは核兵器は絶対ダメだという立場だ。核兵器だけでなく、核戦争、戦争そのものに反対しています。戦争自体は絶対ダメだという意識がある。イスラエルの軍は、合意を必ず覆して武力で抑えようとしてくる。それを覆すのは市民の力だ。声を上げること、署名をすることは一つ一つが希望だ。パレスチナ人だけでなく世界の人々にとって必要な声です。」などと回答いただきました。

なお署名「平和記念式典にパレスチナ国代表を招待してください」自体は「広島市議会」への請願として9月議会までお願いし続けます。宜しくお願い致します。


◎[参考動画]#freepalestine 原爆ドーム対岸で『市民による平和記念式典』広島瀬戸内新聞ニュース号外  のハイライト 13:19 – 18:18 さとうしゅういち

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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『広島の追憶 原爆投下後、子どもたちのそれからの物語』【著者略歴】梓 加依(あずさ・かえ)。児童文学・子どもの生活文化研究家。1944年長崎生まれ、小学校から高校まで広島市内に在住。公共図書館司書、大学非常勤講師、家庭裁判所調停委員などの仕事を経て、現在は物語を書く会「梓の木の会」主宰。

〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の〈脱原発〉季刊誌『季節』2024年夏・秋合併号《創刊10周年記念特集》どうすれば日本は原発を止められるのか

過剰警備・過剰規制は人権制約・人権侵害! これで良いのか? 広島平和記念式典・平和行政 8.6前夜の平和公園報告 さとうしゅういち

2024年8月6日の広島市主催の広島平和記念式典。以下のような問題点があります。

◆米国忖度・イスラエルひいき問題

2022年以降、ロシアとベラルーシを招待していない。にもかかわらず、核兵器を実際に使用した米国や、2023年10月以降、報復と称して侵略・ジェノサイドを激化させているイスラエルは招待。そしてパレスチナ国代表は招待しない。

また、2023年5月のG7広島サミットを契機に、平和記念公園と「原爆を反省・謝罪していない」米国の軍事基地・パールハーバーの姉妹協定も締結してしまった。
そうした一連の流れの中で、結局、米国忖度・イスラエル寄りの行事と化しているのではないか?

◆G7以降の過剰警備・過剰規制問題

 
 

昔(コロナ前)は平和記念式典に参加するのに手荷物検査等はなかったのですが、記憶に誤りがなければ(コロナ明けの)G7広島サミットを契機に式典会場のあるエリアの入り口に『関所』が設置されるようになりました。

そして、2023年の式典の際、新左翼系の市民団体と右派系市民団体の間に入った市職員が尻もちをつくという「事件」を口実に、新左翼活動家多数が逮捕されるという不当逮捕事件が起きました。暴力行為法違反ということで、まるで、例えば、8月5日現在、バングラディシュで起きているような暴動のようなイメージもマスコミによって流布されました。

そして、この『事件』を奇貨として、広島市は法的根拠もないのに、今度は原爆ドーム前にも『関所』を設け、手荷物検査を実施。プラカードやビラを持っていても入場禁止にするという構えを見せています。

たしかに、市民団体の街宣の音量が高いという苦情があったのも事実です。しかし、その規制とて、表現の自由との関係から、最大限慎重にならなければならない。それなのに、さらに、式典と関係ない原爆ドーム前でサイレントに平和を訴えたり、あるいは、企業や学校の原爆死没者を弔う集会もできなくなったりするわけです。

過剰警備・過剰規制は過剰な人権の制約であり、人権侵害である。人権侵害というのは平和とはいえないのではないでしょうか?

◆8月5日夕方の動き

さて、8月5日は、17時過ぎ、警察労働者多数が、原爆ドームへの入口から平和公園方面へぞろぞろと入って行かれました。

下記の動画の9秒から17秒くらい。筆者の背後を警察労働者の行列が入っていきます。


◎[参考動画]これで良いのか?!!広島平和記念式典 いよいよ8.6前夜原爆ドーム前 広島瀬戸内新聞ニュース8月5日号外

原爆ドーム前にはすでに『関所』が出来上がっています。また、原爆ドーム周辺の植え込みでは警察労働者が猛暑の中、不審物がないかどうか捜索しておられました。

松井一實・広島市長の法的根拠のない過剰規制・過剰警備のために、熱中症のリスクの高い仕事をさせられる警察労働者も大変だな、と心から感じました。

 
オンライン署名『平和記念式典にパレスチナ国代表を招待してください』(QRコード)

◆パレスチナ国を平和記念式典に招待してください 署名を提出

これより先、7月30日、筆者はさとうしゅういち個人名で呼びかけたオンライン署名『平和記念式典にパレスチナ国代表を招待してください』(QRコード)を広島市長宛に広島市市民活動推進課田中係長様に提出しました。

短期間で、しかも個人でよびかけた署名に1万1524人がご賛同いただきました。意見交換の中で、パレスチナについては「日本政府が承認している」か「核兵器禁止条約に入っていない」のどちらの招待基準に該当しないということを伺いました。朝鮮=金正恩氏=については核兵器禁止条約に入っていないから招待するというわけです。

確かに広島市としてはそういう基準で招待していても、結果として、イスラエルは招待し、パレスチナは招待しないという風に外部からは見える。そして実際にパレスチナ代表部が激怒していたわけです。

筆者は「長崎はパレスチナを招待しているのだから、長崎にできることが広島にできないはずはない、最後まで、可能性をあきらめないでいただきたい」とお願いしました。

また、1994年のアジア大会の時はパレスチナも参加し、アジアの国を一国一館運動で応援していた。しかし、G7広島サミットを契機に米欧にばかり目が向いている傾向もあるのではないか。それは今後、自治体としての戦略的にもまずいのではないか?というお話もさせていただきました。

 
 

今後、9月議会会期中に「請願」の形で広島市議会にも提出する予定です。引き続き、ご署名をお待ちしております。すでに広島市長宛に提出した分と合わせて提出させていただく予定です。今後、市長をチェックする議会できちんと議論をしていただくことを望みます。

また、愛知県では、県がイスラエルと事業連携することに反対する署名運動も起きています。こうした運動とも筆者は連帯していきたいと考えています。

このオンライン署名に賛同をお願いします!

「愛知県はイスラエルとの事業連携をやめてください! Aichi-Israel マッチングプログラムの中止を求めます #NoTechForApartheid」 https://chng.it/HFNLBBvcNd @change_jp より

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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『広島の追憶 原爆投下後、子どもたちのそれからの物語』【著者略歴】梓 加依(あずさ・かえ)。児童文学・子どもの生活文化研究家。1944年長崎生まれ、小学校から高校まで広島市内に在住。公共図書館司書、大学非常勤講師、家庭裁判所調停委員などの仕事を経て、現在は物語を書く会「梓の木の会」主宰。

戒厳令が敷かれたような8月6日の広島平和記念式典 権威低下が著しい米国に「忖度」し過ぎて、広島の平和行政が自滅する さとうしゅういち

◆平和記念式典 ── これではまるで戒厳令だ!

8月6日に行われる平和記念式典2024の準備が広島市中区の平和公園周辺で進んでいます。右の写真をご覧ください。

 

この写真の立て看によると、なんと、原爆ドーム周辺も含む平和公園の入場口では手荷物検査を行い、さらに、平和記念式典のメイン会場になる参列者席では金属検査まで行うというのです。プラカードや幟の持ち込みも法的根拠もなく禁止し、従わない場合は、排除されるということです。平和記念式典どころか、戒厳令です。

2023年の平和記念式典の際、原爆ドーム前で新左翼系の市民団体と広島市役所の職員が押し合いになり、職員が尻もちをつくという「事件」が発生。当該新左翼の事務所などが警察に強制捜索を受け、暴力行為法違反で逮捕者が出るという事態になっています。

「暴力行為法違反」というとまるで、TVで良く報道されるフランスでの暴動などを思い起こしてしまう人も多いのではないでしょうか? しかし、実際にはそういうことではなく、現場で、左派系市民団体にプラカードで「静粛に」と抗議する右派系市民団体との間に入った市職員で、尻もちをつかれた方がおられたということです。正直、かなり、強引な法適用でした。そもそもこの規制自体が「平和記念式典の最中に新左翼系の団体が大声で演説しているので自粛してほしい」という話から出てきたものです。それ自体も表現の自由から慎重になるべきところです。

2021年に平和推進条例で厳粛に式典を行うということが盛り込まれましたが、規制の根拠はありません。ところが、2023年の「事件」を契機に、これまで規制のなかった原爆ドーム前も含めて規制区域にするという流れが加速。議会でも、社民党と保守系無党派の一部議員の反対だけで、規制を推進する決議が可決された経緯があります。(日本共産党は、委員会レベルで対応が分かれており、本会議では賛成に。どなたか議員が除名されるかと思っていたのですがそういうことはおきなかったようです。最近流行?の松竹伸幸さん、鈴木元さんらの共産党員の除名・除籍騒動は、志位和夫さん・田村智子さんらに反抗した場合にのみ適用されるのでしょうか?)

ともかく、まるで戒厳令です。法的根拠もなくこんな規制をする。松井一實市長の独裁的な姿勢に懸念を抱きます。こんな窮屈な平和記念式典なら、参加したがる人が減ってしまうのではないか? そう懸念します。

◆湯崎英彦知事が建設の「G7広島サミット記念館」で被爆アオギリが衰弱

下の写真をご覧ください。奥の建物は、湯崎英彦広島県知事が公園の所有者の広島市(松井市長)の許可を得て原爆資料館の北側に建設した「G7広島サミット記念館」です。ところが、その工事の過程で手前の木=アオギリの根が切断され、衰弱してしまいました。このアオギリは、元々は、爆心地から1.3kmの中国郵政局内にあったもので、被爆時には爆心地側の半分が焼けただれてしまった。

しかし、見事に、生物としての復元力を発揮し、焼けただれた側も、新たに生えた細胞が覆い、元気に伸びていきました。1973年5月にこの平和公園の原爆資料館北側に移植されました。被爆証言で有名な沼田鈴子さん(2011年、87歳で逝去)がこの木の下で証言をされたことでも知られています。

また、アオギリの衰弱については、当初、太陽光線がG7広島サミット記念館に反射して起きたという見方もあり、記念館の壁には光を吸収する黒いシートが貼られています。

また、同時に、アオギリの歌が流れてくるパネルも故障中でした(7月25日現在)。

さて、ご紹介した平和記念式典の過剰警備。そして、アオギリの衰弱。これらは、米国忖度の末にあるのではないか? その結果、広島自身の価値を暴落させ、広島の自滅につながっているのではないか? そのことを象徴しているのではないか?と思います。
 

[左]衰弱した被爆アオギリ。[右]アオギリの歌が流れてくるパネルも故障中(7月25日現在)

◆国力低下と「ダブスタ」で権威低下の米国

パレスチナにおけるイスラエルによる侵略・虐殺(実際はガザだけではない)を放置する一方で、ロシアは非難し、ウクライナ支援という、米国政府のダブスタは、さらに米国の権威を低下させています。

米国自身もいわゆる「ポリコレ」を推進する一方で、国内の経済格差が拡大・放置され、矛盾・不満が蓄積しています。正直、インド、中国と言ったアジア諸国が勃興する中で米欧の相対的な地位の低下は避けられなかったが、パレスチナ問題でのダブスタぶりはさらに傷を深くするでしょう。

さて、米国の三大黒歴史といえば、先住民虐殺・アフリカ系(黒人)奴隷問題・核兵器使用です。事実を率直に申し上げる。中国もロシアも朝鮮も核兵器は持っているけど使ったことはございません。ところが、米国は二度も使っているのです。これは、動かせない事実です。

そうした中で、米国はG7広島サミットという機会になんとか、核兵器使用を黒歴史でなくそうとしている。具体的には米国側のきちんとした謝罪も反省もない形で広島にうやむやにしてもらうことです。

それなら、「核兵器使用なんてたいしたことなかった」ということにできます。広島市はG7広島サミットを前にしてはだしのゲンや第五福竜丸を削除しました。諸説あるが、G7広島サミットでお見えになるバイデン大統領のお目を汚さぬように、と見るのが素直な見方でしょう。

そして、広島サミット2023で、採択された「広島ビジョン」。結局、米国の核兵器保有を正当化するものでした。否、オバマ政権が一時期積極的だった核兵器の先制不使用すらない酷いものでした。しかし、米国側からいれば、米国にゴマをする宣言を広島で出させたことに意味があります。そうしておいて、サミット一年後の2024年5月にバイデンは核実験を行った(情報を漏らした)。完全に広島はバイデンに舐められています。

また、米国政府は、広島市に「パールハーバー記念公園」と平和記念公園の姉妹協定を申し込みました。松井市長は議会にも諮らずに突然、この協定を結ぶことを発表。エマニュエル駐日大使と締結しました。2024年度からは関連予算が執行されています。

米国政府は繰り返すが、ヒロシマ・ナガサキと言う原爆使用はまったく反省も謝罪もしていません。その状況で広島が米国政府と結んでしまうということは、米国政府の大きな外交的勝利です。すなわち、極論すれば、今後の核兵器使用について広島からお墨付きをもらった、ということです。

◆日本政府以上に米国忖度「HIROSHIMA」に変質する松井広島市政

そして、広島市は2024年の平和記念式典にイスラエルは呼ぶ一方で、ロシア・ベラルーシは2022年、23年同様、呼ばない。そしてイスラエルに侵略されているパレスチナは呼ばないという。

まさに、米国政府が大喜びの対応だ。日本政府ですら、いまや、パレスチナの国連加盟は支持している。先日、イスラエル人入植者=侵略者への経済制裁も決めた。広島市は、日本政府以上に米国に忖度している。

「米国忖度のHIROSHIMAへ」変質です。岸田総理でなければこういうことはなかったでしょう。広島でサミットを開かないからだ。安倍でも高市でもあり得ない展開だった。岸田総理と言うのは、米国側にとって大チャンスだったのです。そのチャンスをものの見事にものにしたのです。

逆に、広島で安倍晋三さんを支持していたような右寄りの方の中には原爆慰霊碑の解釈は『米国が謝罪する内容だと解釈すべきだ。日本人まで主語と言うのは自虐だ』という方も多くおられます。ただ、そういう方も松井市長が教育勅語を利用していることで、松井市長への批判を緩めている部分があります。松井市長は、米国忖度への右派からの批判を緩めるために教育勅語を使っている可能性もあります。

◆米国ら大国指導者の独善を自治体の横の連携で抑えるのが広島の役目

しかし、米国の独善が「対広島」で通ったように見えても、落とし穴が待ち構えています。それは 「核兵器を使用した米国すら広島に許されるなら俺たちだって核を持っても、軍拡をしても許されるだろう」という方向で、ロシアも中国も朝鮮もインドもパキスタンも、今渦中のイスラエルも、加速しかねないということです。

松井市長は市民社会、と言うことを良く強調される。それなら米国政府と結ぶのではなく、既存の平和首長会議を強化すれば良いだけだ。ホノルル市も平和首長会議に入っている。核兵器禁止条約推進で頑張っている。自治体同士のスクラムを強めて、国家の指導者に迫っていく。それが地方行政としての平和運動の王道です。いくら広島が世界の広島といえども、たかが一市長が単独で超大国米国をどうこうしようとしても利用されるだけです。

そして、繰り返しますが、松井市長は市民社会とおっしゃる割には、法的根拠もなく、平和記念式典に入場するときの手荷物検査、さらにはプラカードや幟の禁止区域を広げた。騒音が問題だと言いながら、いつのまにか、サイレントで平和を訴えることも禁止と言うことです。

◆アジア大会でのパレスチナ参加・一国一館運動はどこへ

さて、30年前の1994年、広島広域公園をメインに広島アジア大会が開催されました。いわゆる1993年のオスロ合意でパレスチナ和平が盛り上がったかに見える中で、パレスチナ代表も来られた。「これからはアジアの時代だ。」当時の平岡敬市長や藤田雄山知事もそういう雰囲気でした。

ところが、現在の松井一実市長は、どう見ても米国忖度の行動ばかりです。そして、湯崎英彦知事も、平和記念公園の原爆資料館の近くに「G7広島サミット記念館」を建設。ところがその作業中に被爆アオギリの根っこを切ってしまうという失態で、アオギリが衰弱しています。

米国忖度で広島の価値が暴落している現状を表しているようにも思えます。

◆米国の権威低下の中でいかに人権や環境を守っていくか

次期米国大統領にトランプがなろうがハリスがなろうが、米国の権威低下は避けられない。ハードランディングかソフトランディングかの違いはあるだろうが。広島は広島で米国の力低下を見通して、いかに人権や環境を守っていくか。そういう議論を発信していくべきです。

たしかに米国、とくに民主党は、人権とか環境を表面重んじてきましたが、他方で戦争しまくり、経済侵略しまくりでした。(トランプはアンチ・ポリコレの反面、戦争を新たに仕掛けることはなかった)。戦争こそ最大の人権侵害であり、環境破壊であることは論を待ちません。

とはいえ、米国の権威の低下により、とくに女性の人権、あるいは環境と言った価値が「米国の道連れ」で低下しかねない懸念はあるのも現実です。とくに、日本は米国に人権を与えられた、という神話(本当にそれが事実かは別問題。戦前から「虎に翼」に見られるように頑張っておられた先輩もたくさんいたのだが)が強い国です。米国の権威低下の中で、どう一人一人の権利を守っていくか、環境を守っていくか。そういう議論を発信していくことは大事です。

また、元日に大震災に見舞われた日本だけでなく、パレスチナの豪雨、中国の豪雨や米国のハリケーンなど、世界的に豪雨、熱波、そして地震や火山など自然災害が大きな犠牲を起こしています。そして、食料や水の安全保障に暗雲が垂れ込めています。そういう部分で世界が協力していき、信頼醸成を図っていくということが今緊急課題です。本当は戦争なんぞしている場合ではない。この10年で何度も豪雨被害に遭った都市でもあり、世界最初の被爆地でもある広島からそういった議論を展開していくことが重要ではないか?

しかし、残念ながら、広島市長は米国忖度で暴走。広島県知事も8.6の平和記念式典のあいさつは悪くはないものの、肝心の「本業」の県政で、産廃問題について放置プレイなど「平和」とは言えない状況がある。足元から広島の政治を市民、県民の手に取りもどしていく。その取り組みが必要ではないでしょうか?

まず、原爆ドーム前でFREE GAZAのスタンディングをされている団体が8月6日の夜、パレスチナ駐日大使をオンラインで招待しています。こちらにもお時間があえばご参加お願いします。

◆FREE GAZA RAVE
 8月6日 広島平和公園
 原爆ドーム 向かいの川岸
 19:30 start – 23:00 end
 #StopGenocide #freepalestine
 8月6日 19:30-20:00

FREE GAZA RAVEのオープニングにパレスチナ大使がエジプトからオンライン参加決定! スピーチと市民とのコミュニケーションを予定しています!19:30-20:00で市民集会をやりたいです!ご協力よろしくお願いします!

当面、筆者と広島瀬戸内新聞は署名運動に取り組むとともに、勉強会なども開催していきたいと考えています。

署名運動は以下です。筆者が個人で呼びかけています。

このオンライン署名に賛同をお願いします!「広島市長への要請:2024年の平和記念式典にパレスチナ国代表を招待してください」
https://chng.it/RFChMmQyFc @change_jpより

7月中に一度集約し、広島市長と議長に提出。その後も、来年以降のことがあるので、継続して取り組んでいきます。

勉強会としては以下を予定しています。

◆楾大樹先生「檻の中のライオン」講演会WITHお好み焼き

 

広島県前教育長の官製談合。兵庫県知事のパワハラ、おねだり。鹿児島県警本部長による不祥事隠ぺい疑惑。権力のある人による暴走のニュースが相次いでいます。こうしたことを防ぐにはどうすればいいのか?

権力のある人をライオンにたとえ、対処法を皆様に全国1000か所でお話ししてこられた弁護士の楾大樹先生。今回は、お住いの地元・祇園でお好み焼きを交えながら、楾大樹先生のお話をうかがいませんか? お待ちしております。

日時 8月31日(土)12時-15時
場所 鉄板焼き居酒屋じゅげむ 広島市安佐南区祇園2-2-2
料金 2500円(クリアファイル、お好み焼き、ウーロン茶付)

楾大樹先生の「檻の中のライオン」講演会を「じゅげむ」にて開催予定です。お好み焼き+ウーロン茶+クリアファイル付きです。お待ちしております!

ビールなども飲んでも構いませんが(笑)、それは別料金です。人数確認の必要があるため、お申し込みは8月27日(火)までに佐藤まで。
090-3171-4437 hiroseto2004@yahoo.co.jp

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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広島県知事が産廃処分場問題を放置し続ける中で行われる三原市長選挙の行方 さとうしゅういち

任期満了に伴う三原市長選挙が7月21日、告示されました。

 
選挙ポスター。三原本郷産廃処分場近くで筆者撮影

新人で前の市議会議員の田中裕規さん(64)
新人で前の市の教育長の計田春樹さん(69)
2期目を目指す現職の岡田吉弘さん(39)
の3人が立候補されました。

2020年8月9日執行の前回選挙は、河井案里さんの参院選広島2019を巡る買収事件に伴い、前市長が辞職したために行われたものです。この点が、実は、東京都知事選挙2024で大善戦された前安芸高田市長の石丸伸二さんと全く同じです。ついでに言えば、岡田さんも石丸さんも両方とも京都大学ご出身の若手、という共通点があります。

選挙が告示された21日、筆者は、三原本郷産廃処分場近くの公営競技の場外売り場を家族の趣味に付き合い、訪れていました。開場まで時間があったため、処分場周辺の状況を確認させていただきました。

処分場から流れ下ってくる水路に近づくと硫黄のようなにおいがしました。色は茶色で、少しペロッとなめると、一瞬、塩辛い味がしました。その瞬間だけなのかもしれませんが、何が入っているかわからない。そういう状況です。

この水路は右下の写真の手前へ流れ、地域の農業用水となっている日名内川に合流します。これでは、安心して米作りなどできるはずがありません。

◆悪質産廃業者、そして業者ズブズブの湯崎英彦知事が起こした惨状

 
処分場から流れ下ってくる水路の水

三原本郷産廃処分場(JAB協同組合経営)は三原市の水源のど真ん中にある2020年に地域住民や議会の反対を押し切って湯崎英彦・広島県知事が許可をしてしまいました。住民側は裁判を提起して許可取り消しを求めますが、2022年秋から処分場が稼働開始。2023年6月頃には汚染水流出が発覚しました。

さすがに広島県もJAB協同組合に警告を出しましたが、一度水質検査をして「合格」になっただけで、警告を解除。一方、同じころ、広島地裁は「知事が設置許可を出す判断過程に看過できない過ちがあった」として、産業廃棄物処分場の許可取り消しを命じる判決を言い渡しました。

しかし、湯崎県知事はこれを控訴しました。そして、控訴審からは事業者であるJAB協同組合が県側に加勢=補助参加=するありさまです。湯崎英彦知事は悪質な産廃業者とズブズブであることを隠しもしなくなったのです。

そうこうするうちにも、汚染水流出は継続。しかし、2023年9月に定期の検査をして以降は、産廃処分場内の水質検査をしていなかったのです。「法律で定められた定期検査はしている」と県側は言い逃れています。それはそうなのですが、これだけ悪臭や泡が立っている状況で、抜き打ち検査もしないとはどういうことでしょうか? 現状では広島県は全く当てになりません。

そもそも、廃棄物処理法(廃掃法)は極めてザルです。形式さえ整っていれば、産廃処分場は作って良いというものです。その中でも、いわゆる安定型処分場は「安定している物を捨てる」と称して、シートもなしにゴミを捨てて良い、というものです。実際には、「安定しているもの」に猛毒物質などが混じっているわけですが、展開検査をするだけで、詳しく調べるわけではないのです。

その結果、1980年代、1990年代には香川県の豊島をはじめ、各地で大問題になりました。そこで、広島以外の多くの都道府県や産廃処分場ができそうな市町村では、「水源を守る条例」「水道水源保護条例」などが制定されました。ところが、広島県だけはその流れに遅れてしまったのです。

00年代以降は、多くの産廃が広島を目指すようになりました。三原本郷産廃処分場(写真、岡田和樹様SNSより)に来ているのも多くは群馬や長野などの関東甲信越地方から来たゴミです。あるいは、不適切盛り土で問題になっている上安産廃処分場(JAB協同組合が開発し、拡張後に外資系巨大企業に売り飛ばす)も多くが他府県のゴミです。そして、福山などでも汚染水流出問題が発生。東広島市安芸津でも巨大な産廃処分場が計画されています。

住民裁判の原告共同代表の岡田和樹さんによると他の都道府県では、ゴミの持ち込みの際にも抜き打ちで検査をしているそうです。それも広島県はしない怠慢ぶりです。

廃掃法を上回る条例はない。国の法律の枠内で独自に抜き打ち検査をすることすらもない。許可の手続きもいい加減。これで、惨劇が起きない方がおかしいし、現に起きています。

◆福島原発事故による放射性廃棄物も流入の疑い

こうした中、福島原発事故による放射性廃棄物も流入している疑いがあります。3.11後、広島県は2012年段階では、まだ一期目だった湯崎英彦知事の独自の判断で、100ベクレル/kg以上放射能で汚染されたゴミの県内持ち込みを禁止したのです。ところが(湯崎知事が大差で再選された)2014年に条件付きとはいえ、8000ベクレル/kgに緩和。三原本郷産廃処分場についていえば、福島周辺の十二都県から12回の搬入があります。

住民の請求で情報公開されても、黒塗りで実態がわからないのです。県が業者の主張鵜呑みで、測定もせずに放射性廃棄物が入り込んでいる可能性があるのです。
廃掃法では、放射性廃棄物チェックできない。岡田和樹さんたちは、いま、何をしたら良いのか考えているそうです。

◆三原市が独自条例も不十分な内容

これまでにご紹介したように、湯崎英彦・広島県知事は産廃業者と「完全にグル」です。そして、その言い訳として、「廃掃法では書類と検査データが整っていれば許可するしかない」というものです。しかし、広島地裁では、検査データのとり方そのものが不十分だったわけで、そうした点が違法とされたわけです。それでも控訴をした知事は全く、県民を守る気はなく、業者とグルということです。

そうであるならば、市民に最も身近な市長と議会が住民と水を守るしかありません。それには、法的根拠である条例策定です。三原市民たちは、産業廃棄物処分場計画が持ち上がった段階で、「水源を守る条例」をつくる運動を進めてきました。そして、ついに2024年4月、三原市当局が条例制定へ向けたパブコメを実施しました。

 
岡田和樹様SNSより

ところが、岡田吉弘・三原市長が2024年6月定例市議会に出してきた条例案は、問題だらけでした。市民の要望や市民への意見聴取会、250以上のパブコメ意見、市議による質疑などで求めてきた最低限度の実効性も削られていました。さらには、住民の責務として「特定事業者の立場を尊重しなければならない」という文言が組込まれ、水質汚染を受ける被害者という立場の住民側を縛り、被害者側に「解決に努めなければならない」と求める条文が加えられる始末です。 

「これでは、水源保全をするための目的は果たされず、業者側に忖度し業者の立場を保全してしまう事になると言う前代未聞の内容となっていたのです。全国的に見てもこんな条例は存在せず、三原市の姿勢を問うものとなっていました。」(原告団共同代表・岡田和樹様)

そこで、議会中、住民たちは問題個所を修正するように指摘。市民とともに動く多くの議員と、修正案を練り上げ、各会派や個々の議員に問題と修正への理解を話し合いながら伝えていきました。その結果、6月12日の委員会で市民側の修正案が議員提案で可決。しかし6月18日の本会議では残念ながら当局側の原案が成立し、多くの課題を残しました。

◆汚染激化の中で三原市長選挙突入

そして、7月に入り、深刻な異臭が確認されました。これまで、住民の通報などに冷たい対応だった広島県と県警も重い腰を上げ、調査・捜査に乗り出しました。

また、三原市の7月の独自調査では、日名内川のCODの値が農業用水としての基準を上回ったことも発覚しました。こうした中で、三原市長選挙が告示されたのです。

◆「市民に寄り添う産廃対応」二新人、「個別の案件については意見交換しない」現職

前市議の田中さんは街頭演説などで「本郷産業廃棄物処分場の対応はまったく県の言いなり状態で、地域の市民の皆さんに寄り添う姿勢が見られない」と厳しく批判しておられます。

前教育長として元校長として長年三原の教育を支えてこられた計田さんも、「住民に寄り添った本郷産業廃棄物処理場の対応をします。」と公約しておられます

他方で、岡田吉弘市長は、選挙事務所でのミニ集会で岡田和樹さんが「汚染水が出て、住民に実被害が出ている本郷処分場問題に対する公約を出してほしい。また、意見交換の場を設けてほしい」と要望しましたが、吉弘さんは「印象操作はしないでいただきたい。個別の案件については、候補として意見交換しない」とのことでした。

終了後、一対一で和樹さんが「敵対心を持たないでいただきたい」と話すと、吉弘市長は「あなたが敵視している」趣旨の返事がありました。

和樹さんは吉弘市長に対して、「司法でも許可の違法性が問われ、三原市民8割の水道水源で進行している汚染水問題。

地域住民として実被害もでて、死活問題である本郷処分場問題に対して、この3年9ヵ月市長として何をしてきたのか。今回の市長選挙では、市長候補として、本郷処分場問題や困窮する市民にどう向き合うのか問われます。2018年から地域住民の方たちとともに求め続けてきた問題だけに、非常に寂しく今後がとても不安な気持ちになりました。」とコメントしておられます。

最近、選挙や政治を巡るマスコミやネットでの言説では、「石丸旋風」などに見られたように、若者が持ち上げられる一方で、「老害叩き」「シルバー民主主義批判」が流行っています。しかし、現実には「若い方が市民から乖離」ということも、この三原市における産廃問題などのように大いにあるのです。そのことに注意していきたいものです。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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「パレスチナ抜き・イスラエル招待」 筋が通らぬ広島市 こんな8.6広島平和記念式典で良いのか? さとうしゅういち

2024年8月6日の平和記念式典について、広島市は、以下の方針です。

2022年、23年同様、ウクライナ侵攻中のロシアと同盟国のベラルーシは招待しない。

ガザで大虐殺を続けるイスラエルは招待する。

パレスチナは招待しない。

 
2023年の長崎平和祈念式典、同市ホームページより

他方で、8月9日。長崎市は、ロシア・ベラルーシを招待しない点は広島と同じですが、イスラエルは招待せず、パレスチナは招待する方針です。

こうした中、パレスチナ政府の駐日代表部は広島市に対して旧ツイッターのXで「破壊の被害者として知られ、平和を訴える広島市がパレスチナを招待しないのは衝撃的です。この決定はダブルスタンダードです」と抗議しました。当然のことです。

筆者は平和行政の原理原則としては平和記念式典には「すべての国と地域を招待するべき」と考えています。

というのも、広島と長崎への原爆投下という形で、世界で最初に核兵器による虐殺を行った米国「さえ」招かれているのです。米国を招待する以上、それ以外の他の国や地域を排除する理屈は成り立ちません。

ロシアはウクライナ侵攻において、核兵器による威嚇を行っています。それは核兵器禁止条約にも反し、許しがたい。だが、米国は現に核兵器を使っているわけです。当時の国際法規においても、核兵器使用は違法であることは当時の大日本帝国政府も米国政府宛ての抗議文で明らかにしています。

◆ロシアは排除、イスラエル招待……筋が通らぬ広島市

松井一實・広島市長は平和記念式典にイスラエルを招待するということです。だが、ロシアやベラルーシを排除しておいてイスラエルを招待するというのも理屈に合わないことです。

イスラエルの首相・ベンヤミン・ネタニヤフ被疑者は既にロシアのプーチン大統領同様にICC=国際刑事司法裁判所から逮捕状を請求されています(プーチン大統領については発行済み)。

この点に関しては、ロシア・ウクライナも、イスラエルも招待しない、という長崎市の方が筋は通っている。ただ、長崎市についてはロシアの同盟国ベラルーシを排除するなら、なぜイスラエルの後ろ盾の米国を排除しないのか?という疑問が出てきます。

今後は、広島でも長崎でも平和行政の在り方をもう一度議論し、合意形成を図っていく必要があるとは思います。

◆日本政府が国家承認していない朝鮮にも招待状 

広島市は、パレスチナを招待しない理由に、日本政府が国家承認していないことを挙げています。16日の記者会見で松井市長は、国家を「人をまとめる単位」としています。

一方、広島市は日本政府が認めていない朝鮮(金正恩氏)に対しても招待状は送り続けています。この点をみても、広島市の対応ははなはだ矛盾しています。

◆日本政府自体もパレスチナの国連加盟には前向き

そもそも、日本政府自体も、4月のパレスチナの国連加盟を求める決議案に賛成票を投じています。同じ西側諸国でもスペインやアイルランドなどがパレスチナを国家承認しています。日本政府も、パレスチナを正式に国家としては承認してはいないものの、国家と同等のものとして認識はしているということです。

広島市の松井市長は、日本政府のこのようなパレスチナを国家として認める前向きな変化にも水をかけているのです。正直、松井市長は、日本政府に対してというより、米国政府、それもシオニスト寄りの勢力に過剰に忖度しているのではないか?そんなことさえ考えてしまうのですが、これって「陰謀論」でしょうか?

◆1994アジア大会、広島に来てくれたのは「パレスチナ」

1994年、広島でアジア大会が開催されました。42の国と地域が参加しました。その時、パレスチナは参加しています。ちょうど前年にパレスチナ和平でいわゆるオスロ合意がなされ、パレスチナにおけるイスラエルとパレスチナの二国家併存が動き出した直後でもありました。

イスラエルについては、アジアではあるのですが、パレスチナでの蛮行から、アジア大会を主催するOCA(アジアオリンピック評議会)から拒否されています。このように、アジア大会で広島に来てくれているパレスチナは招待せずに、イスラエルを招待するのはおかしいのではないですか?

◆16日にようやく「来年の招待方法」見直し

広島市長は16日になって、ようやく「来年」の招待方法の見直しを打ち出しました。しかし、何を悠長なことを言っているのですか?

イスラエルは招待し、パレスチナは日本政府ですら事実上国家として認める方向なのに、招待しない。広島がむしろ、日本政府以上にイスラエル寄りだということを世界に示してしまいます。

ちなみに筆者はイスラエルを呼ぶな、という市民団体の署名には苦渋の決断でサインしています。ただし、条件付きであり、それはイスラエルの後ろ盾である米国、広島に原爆を投下しておいて、まったく反省のない米国も招待しない、ということとセットであるならば、ということです。筆者は、むしろ、パレスチナを招待することに運動の総力を挙げた方がいいという考え方です。

だいたい、ウクライナ戦争により、ロシアやベラルーシを排除することについては「即決」している松井市長。別に条例の改正も必要ないのです。パレスチナを招待すれば良いじゃないですか?

◆平和都市から米国忖度戒厳令都市へ変質する今年の「8.6」

それはともかくとして、2023年のG7広島サミット以降、広島市も広島県も米国への忖度は異常です。2023年度からは広島市の公立小中の平和教育資料から小学校ではだしのゲン、中学校で第五福竜丸が削除されました。サミットを前に、原爆について謝罪も反省もない米国への忖度は明らかです。

広島県の湯崎英彦知事も、G7広島サミットを顕彰する記念コーナーを修学旅行の小中高生が休む場所も削ってまで建設していますが、その落成の日に、米国の核実験が発覚する有様です。

そして、今年の平和記念式典では、原爆ドームを含む平和公園全体への入場に当たり、手荷物検査を実施すると言う。法的根拠もないけれども拒否すれば退去を命じることもあるという

 

米国に忖度し、米国になめられる。そして、イスラエル寄りを世界に見せつける。こんな広島で良いのか?!

広島がむしろ、イスラエルによる虐殺や、その後ろ盾の米国が反省も謝罪もしていない核兵器使用にお墨付きを与えてしまうのではないか?情けないがこれが現実です。

しかし、これも、岸田文雄総理を広島一区で当選させ、湯崎英彦知事、松井一實市長に四期と言う長期政権を任せたつけであります。平和都市ヒロシマを取り戻すためにも庶民の手に広島を取り戻す庶民革命を。

筆者と広島瀬戸内新聞は呼びかけ続けます。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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拝啓 斎藤元彦 様  今すぐ兵庫県知事をお辞めなさい さとうしゅういち

兵庫県では、2024年3月、当時の県民局長が兵庫県知事の斎藤元彦さんのパワハラやおねだりなどの「ご乱行」疑惑を文書で県議やマスコミに告発。これに対して、知事は「噓八百」と決めつけた上、元局長の退職を取り消し、さらには、停職処分を課すという、江戸時代で言えば〈座敷牢〉のような状態に置きました。

これに対して、県民の怒りが爆発。無所属市民派の丸尾牧議員や、自民党の一部の議員も先頭に、百条委員会の設置の動きが強まり、6月定例会で51年ぶりの百条委員会設置が決まりました。

しかし、この間にも、疑惑に関与したとされる課長が自死とみられる死亡。そしてついに、7月8日、元県民局長が百条委員会での証人喚問を前に亡くなられました(自死と報道されていますが、断定は現時点で避けます)。斎藤知事がいなければ、死なずに済んだ職員が二人もいる。都道府県は違いますが元県庁職員として許せず、そして、斎藤知事の同じ大学・同じ学部の先輩として恥ずかしい思いです。

そこで、以下のお手紙を、兵庫県知事の斎藤元彦後輩のXアカウントにお送りしました。

わたしは、昨年末(到着は2024年1月)には獄中の同じ大学の法学部出身で麻布学園の5年先輩でもある柿沢未途先輩に辞職勧告のお手紙を送っています。

柿沢先輩は衆院議員を潔くお辞めになりました。兵庫県知事の斎藤後輩はいかが対応されるでしょうか?

※         ※         ※

拝啓 斎藤元彦 様

突然、お手紙を差し上げるご無礼をお許しください。私は、1999年、貴方と同じ大学の同じ学部を卒業した佐藤周一と申します。貴方は、私から見れば後輩にあたります。卒業後は広島県庁に入庁。労働や介護・医療・福祉などの行政に携わらせていただき、今は介護福祉士として民間で働きながら広島を県民の手に取りもどす「ヒロシマ庶民革命」に取り組んでおります。

本日は、先輩として、また、元県庁職員として斎藤君、あなたに兵庫県知事を引退されることをお勧めするために筆を執りました。

斎藤君。あなたは、本年3月、県民局長だった渡瀬さんが、あなたの様々な疑惑についての文書を、県議やマスコミに送ったことについて記者会見で「嘘八百」「公務員失格」と罵倒されましたね。

斎藤君。あなたは、その後、渡瀬さんの退職を取り消し、いわば、江戸時代で言えば座敷牢のような状態に彼を置くという、とんでもない手段に出られた。そして、阪神とオリックスの優勝パレードの資金調達における県補助金キックバック疑惑の関連先として名前が挙がっていた金融機関の利害関係人の弁護士に「内部調査」を依頼した。そんな客観性のない調査をベースにあなたは「核心的な部分が事実ではない」として渡瀬さんに停職処分を下しました。

斎藤君。そんなあなたの対応に兵庫県民の怒りは爆発し、結局あなたを最初の選挙の時に本部が推薦した自民党の県議も含めて百条委員会設置を決めたのです。

そうこうする間にも、阪神タイガースとオリックスバッファローズの優勝パレードに関する疑惑に関与したとされる課長が自死されたそうではありませんか?

そして、このたび、渡瀬さんも19日の百条委員会を前に自死されたというではありませんか?

斎藤君。あなたは、職員に対して百条委員会に協力するよう命じています。だが、あなたが知事と言う上司である限り、職員はあなたと県民の板挟みになってしまいます。

「証言そのもので、知事に処分されることはなくても、別件にかこつけて嫌がらせをされるのではないか?」
と職員たちを追い詰めるだけのことをあなたはしてきたのではありませんか?

20m歩かされただけで職員を怒鳴りつける?!あなたはわたしよりも若いスポーツマンですよ。何をおっしゃっているのですか?

そして、母親たちが使うべき授乳室を使っていたという話には失笑を禁じえません。

スーパーの幟にあなたの顔を使わせるとか?! 恥ずかしいと思わないのですか?

斎藤君。君は、渡瀬さんに対して「今は感謝の気持ちが強い」などとおっしゃっています。どの口が言うのですか?それならまずは、処分を撤回してから言うべきです。

斎藤君。君があまりにも独裁的だから、渡瀬さんも、内部通報ではなく、外部に文書を送らざるを得なかったのではないですか? 斉藤君。君はそのことを恥じるべきです。

斎藤君。私は、これ以上、同じ大学の同じ学部の後輩が恥をさらすのを見ていられません。また、都道府県は違いますが、元県庁職員として、君が職員を苦しめ続けるのを許せません。

斎藤君。君は今すぐ知事を辞めるべきです。君が辞めないなら、他県ではありますが、兵庫県民や議会、職員労働組合の皆様の君を打倒する動きを全力で応援します。

斎藤元彦君。悪いことは申し上げません。今すぐ、知事をお辞めなさい。

それでは、盛夏の候、お体に気を付けてお過ごしください。

2024年7月 佐藤周一
敬具

※         ※         ※


◎[参考動画]【元幹部が自殺か】知事の“パワハラ”疑惑 内部告発した元県民局長が死亡 「心理的負担あったと推察」と斎藤知事 知事を批判する「告発文」配布し懲戒(カンテレNEWS 552024/07/08)

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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都知事選で「大善戦」したものの、地元広島では「惨敗」を喫した石丸伸二・前安芸高田市長の歪な選挙結果 さとうしゅういち

東京都知事選挙は7月7日執行され、現職で都民ファースト、自民党、公明党、国民民主党が支援する小池百合子さんが三選されました。ただし、得票数は291万8,015票にとどまり、300万票を切りました。得票率も42.8%と5割を大きく下回りました。

現職が圧倒的に強いのは過去の都知事選挙の結果からもわかりきっていたことでした。特に、東京は新自由主義政治による一極集中を原資に小池知事が、子育て世帯に特に全国でも異常なレベルで支援を行い、とくに勝ち組共働き世帯女性の間では小池さんの支持は圧倒的なものがありました。

ただ、その陰で、大手不動産会社と癒着しての開発や、スクールカウンセラー雇止めなど、現場労働者の使い捨てなどの問題が噴出していました。都庁の下の食料配布には、幅広い層が並んでいます。

小池知事は、得票率が5割を大きく切ったことを真摯に受け止めるべきです。小池知事は小池都政そのものの是非を問う都民投票には「判定負け」した、という見方もできます。とくに、小池さんが「公平」を盾に開き直っていたスクールカウンセラー雇止めはNOを突き付けられたのです。これをただちに撤回すべきです。

◆石丸さんはなぜ、蓮舫さんを「差し切った」のか?

こうした中で小池都政への不満の受け皿となったトップ、すなわち新人で二番目に得票したのは石丸伸二さんで165万8,363票(24.3%)でした。石丸さんは立憲、共産などが応援する前参院議員の蓮舫さんの128万3,262票(18.8%)を上回りました。

東京に全く地盤がなかった石丸さん。しかし、大手コーヒーショップのドトールの支援を受けるなど、資金力も充実。そして、10~20代の若者では小池さんを上回る投票を得ました。

正直、この結果は、筆者は一定程度予測していました。

○蓮舫さんの政策の方が具体的に若者労働者支援は充実している。しかし、SNS等で圧倒的に若者に知られているのは石丸さん。

○蓮舫さんを推していた立憲、共産両党が若者には敷居が高い政党になっていること。(楾大樹先生のはしごを外したり、支持者や地方議員が筆者に無礼を働いたりした立憲。ちょっと田村智子委員長や志位和夫議長に逆らったらすぐ除名や除籍になる体質の共産。)

○石丸さんが有力視された3候補で唯一の男性であったこと。近年の選挙では女性が有利な傾向はあったが、女性二人が有力候補とされたことで、逆に男性の石丸さんが有利な面があった。

などが根拠です。また、

○東京の若者は広島など地方から進学や就職で来た人も多い。そういう人たちは、「地方の古臭さ」にげんなりしている面もある。それで、「老害議員をぶっ叩いている」イメージを醸し出している石丸さんを見てスカッとするのではないか?

ということも要素として考慮しました。

蓮舫さんの敗因を上げるとすれば、結果論ですが、以下です。

現場労働者の待遇改善を打ち出したのは良かったものの、「若者」に限定したイメージが伝わってしまった。それこそスクールカウンセラー雇止めの被害者には就職氷河期世代も多くいる。保育や介護の現場にも、最近では、低年金で働かざるを得ない高齢者労働者も多い。特に単身女性はその傾向が強い。

小池さんも石丸さんも弱いとみられる氷河期世代以上の庶民男性や子育て支援の恩恵がない単身女性などにも幅を広げてアプローチをしていれば例えば、もうちょっと違った展開もあったのではないか? 若者を狙って、若者は石丸さんに取られ、取るべき票を取っていなかったのですから三位と言う結果もやむなしです。

また、蓮舫さん自体がもともとは小池さん、石丸さんと変わらない新自由主義グローバリストでした。そのことの記憶がある世代には、急に庶民に優しいことを蓮舫さんが言いだした、という受け止めもあったでしょう。

筆者も都民なら蓮舫さんに一票は入れていたでしょうけれども、積極的に選挙運動にはかかわりたくなかったかもしれません。

◆地元・広島では評判は散々

しかし、そんな石丸さんも、地元・広島では評判は散々です。

石丸さんの出身高校近くでも、

「安芸高田市もまとめられないで東京に行くなんてどうなのだ?」(60代男性)

「もうちょっと、年配者にゴマをすってでも、やりたい政策をやってから東京へ行けばよかったのに。」(40代女性)

「石丸さんは頭が良すぎるのではないか? もう少し市民の目線に合わせるべきだった」(60代女性)

など辛口の評価が多くなっています。石丸さんを支持しているという70代の男性も「とんがりすぎているところがあるからもう少し丸くなってほしい」と注文を付けます。

◆安芸高田市長選挙で「石丸後継」候補が大敗

都知事選と同日で、石丸伸二さんの辞職に伴う安芸高田市長選挙が執行されました。

そして、石丸さんの市政を修正していくスタンスの51歳の元郵便局長の藤本えつしさんが当選しました。

安芸高田市長選挙に立候補された皆様と市議補選に立候補された皆様(安芸高田市八千代町で筆者撮影)

有権者数  21,995人(前回より -1,701人)
藤本えつし  6746 非石丸元郵便局長
くまたか昌三 4541 親石丸市議
あかつ誠一郎 1216 親石丸
森谷まさあき  106

元郵便局長、51歳の藤本さんが、石丸前市長に近い市議だった熊高さんらを破り、初当選。事実上の政権交代となりました。

今回は熊高 vs 藤本=2:3
前回は石丸 vs 元副市長=3:2

安芸高田市長選挙 – 2020年08月09日投票
有権者   23,696人
石丸伸二   8076
竹本みねあき 5344

4年前に石丸さんに期待しながら、4年間の「石丸市政にはNO」という有権者が大量におられたのです。石丸さんは、やはりご自身の再選が危うい自覚があって東京に行かれたのではないでしょうか?

たしかに、今回、藤本さんを自民、公明、立憲が推したのは確かです。しかし、それは前回もほぼ構図は一緒です。石丸さんが評判を落とし、支持を失った自滅。それだけのことです。ネット上で石丸支持者の方がおっしゃる「組織票にやられた」というのは失当です。前回は組織票なしで石丸さんが圧勝していたのですから。


◎[参考動画]都知事選2位で躍進も…“地元”安芸高田市では“反石丸”市長が当選 地元「東京の人には魅力的に見えたかも」

安芸高田市に限らず、いわゆる地方の自治体では、年配の有力者が過去の成功体験から、なかなか変化を嫌う一方で、石丸さんや、広島県の平川教育長のような意識高い系の新自由主義グローバリストの若手や女性が好き勝手をする傾向もあります。

両者の狭間で割を食ってきたのは「地道に地元で頑張っている若手、中堅の特に女性」というあたりだと、筆者は痛感しています。藤本さんが、そうした層の力をうまく引き出すことができれば、安芸高田市の将来は捨てたものではないと思っていますし、一つのモデルにもなるでしょう。

◆ポスター代を踏み倒し、最高裁でも敗訴

そして、それに追い打ちをかけるように、7月8日、石丸伸二さんが、2020年の市長選挙でのポスター代72万円余りを踏み倒したとして、石丸さんの妹さんが勤務されていた会社から訴えられ、広島地裁、高裁に続き、最高裁でも敗訴したことが決定したと報道されました(決定は5日付)。

この裁判は、公費との差額を請求した会社側に対して、石丸さんが支払いを拒否したことから会社側がおこしたものです。普通、親族の会社に頼んでおいて、こういうことをする人は、常識的には存在しません。72万円と言っても、市長の給料で何とか払える金額でしょう。分割にしてもらうとか、貸し付けをしてもらった形にするとか、いろいろ話し合えば裁判になるはずもありません。


◎[参考動画]安芸高田市・石丸市長の控訴棄却 市長未払いの選挙ポスター製作費 支払いを命じる 広島高裁(2023/12/13 広島ニュースTSS)

◆名誉棄損裁判で市議に高裁でも敗訴

石丸さんはまた、就任直後に、市議らに恫喝されたとしてSNSに拡散。しかし、山根温子市議が「恫喝はしておらず、石丸市長に名誉を棄損された」として、石丸さんを訴えました。そして途中から、被告として安芸高田市も原告側は加えました。これは、職務としてSNSに投稿したので市にも責任があるという趣旨です。

広島高裁は3日、安芸高田市長の公務として石丸さんが山根市議の名誉を傷つけたとして、安芸高田市に損害賠償を命じました。山根市議は上告せず、あとは、安芸高田市の新市長が石丸さんに対して求償することを求めています。

この山根市議も、石丸さんが新市長になられた時はどちらかといえば期待をされていた方です。https://yamaneatsuko.net/kouenkaitougisiryou/

2020年の山根議員の後援会討議資料

そういう方を裁判になるまで怒らせてしまう石丸さんって東京都知事として大丈夫なのか? 広島県民、安芸高田市民の多くはそう思ったのですが、東京の有権者にはその事実はほとんど伝わっていなかったようです。


◎[参考動画]石丸市長の「市議から恫喝」発言訴訟で市長側敗訴 安芸高田市に名誉棄損で33万円の賠償命令 広島地裁(2023/12/28 広島ニュースTSS)

◆筆者はうわべだけの「意識高い系」ではなく、地域で地道に頑張る「若手・中堅」重視

石丸市長には実は悪いお手本が広島県内にあります。広島県知事の湯崎英彦さんです。湯崎知事は、平川理恵・前教育長が引き起こした諸問題について「法令違反は改革の副作用」と開き直っておられました。そんな知事を見ていたら、「俺だってこれくらいしても良いだろう」と石丸さんが思ったとしても不思議ではありません。

筆者は今後とも、旧来の成功体験からの卒業を県民の皆様に呼びかける一方で、湯崎英彦知事や石丸伸二さんや平川前教育長のような、アメリカンな意識高い系よりも、地元で地道に頑張っておられる中堅・若手の力で【MAKE HIROSHIMA GREAT AGAIN】を訴えていきます。また、権力への監視をきちんとしていくこと、湯崎知事ら権力が暴走する今は、湯崎知事から県民の手に広島を取り戻す「ヒロシマ庶民革命」を県民の皆様とともに進めていきます。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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東京都知事選で可視化された「小池党」=勝ち組子育て世代+裏金自民ステルス 対抗軸は「庶民・地方」に光を当てる政治! さとうしゅういち

◆元「ワーキングマザー」入所者の「小池批判」

まず、東京の若い女性の方は、お気を悪くしてもかまわないので読んでいただきたい。

筆者の勤務先の高齢者施設でニュースの時間。都知事選のニュースで小池百合子候補が無痛分娩や保育完全無料化、私立高校無償化などの子育て支援の実績や公約を訴える様子が映された。

すると、利用者の女性が、「なにをぜいたくな。うちらのころはそんなのありゃせんかったで。それでも、わたしはずっと働いてきたんよ。」とおっしゃった。

まあ、進歩を否定したら身もふたもない、というのも正論です。しかし、これも「女性の声」なのです。

他方で、やたらに高齢者を叩いて溜飲を下げるという言説がマスコミにもあふれています。これは、わたしも違和感を覚えています。

◆時代の転換点

筆者は、2011年~2013年、広島市で男女共同参画審議会の委員もさせていただきました。また、全国各地で女性候補者の応援にかけつけてきました。ジェンダー解消という観点からです。旧態依然とした、広島の地元政治に最も異議を申してきた人間であると自負もしています。

しかし、東京都知事選挙2024を巡る情勢を拝見し、男女共同参画行政なり、ジェンダー解消を求める市民活動も一つの転換点に来ている、と感じます。東京の一定年齢以下のエリート女性から、地方、庶民に比重を移していくべきではないか?という感覚です。

◆小池氏を圧倒的に支持する30代のエリート女性

マスコミの世論調査では、小池氏は女性で支持が厚く、特に30代女性では鉄板どころか、劣化ウラン装甲並みです。

例えば、東京の勝ち組の子育て世代は、いまや、8年間の小池百合子政権で非常に優遇されているのも事実です。人物像としては、東大、京大、早慶などをご卒業され、大手企業や外資などに勤務され、夫婦共働きと言う女性です。

「選挙巧者」の小池知事。選挙対策でこの層を大事にしてきたというべきでしょう。まさに、現代東京の政治家を代表する「横綱」です。

一方で、この層には極論すれば自民党に対しては「田舎のセクハラオヤジ・パワハラオヤジ」のイメージがあり、大変自民党のイメージはよろしくない傾向がある。次期衆院選ではむしろこの層は立憲民主党に投票する人が多いでしょう。それは同時に実施された国選選挙に関する世論調査でも見て取れます。

しかし、都知事選では小池氏が自民党に支援されていることで、この層が小池氏から逃げるかと思いきや、むしろ小池氏を支持している状況がある。それは、裏金自民のマイナスイメージを打ち消すくらい「利益誘導」をやってきたからでしょう。
例えば、高校無償化。名門私立と言われる「開成」や「麻布」、「桜蔭」や「渋渋」も都民は安く行ける。そりゃあ、喜びます。

いまや、成田悠輔さん、高松ななさん、ら若手論客を中心にマスコミでは、「日本は子育て支援は手薄で、高齢者は優遇されている」論が強い。これは本当でしょうか?

少なくとも「小池百合子政権の元での東京」ではその構図は崩れています。

◆疲弊する教育・子育て現場労働者、加速する小池都政

一方で、学校現場では、先生方は長時間労働に疲弊している。スクールカウンセラーなど非正規公務員は低賃金で切り捨てられています。

子育て支援を叫び、実際に実施をしながら、勤務先の校長先生にも生徒にも人気のスクールカウンセラーを切り捨てる。

これが小池都政です。現場労働者の犠牲の上に、勝ち組子育て世代がサービスを享受しているのです。

◆スクールカウンセラーに冷たい小池都政──組合側のアンケート結果より

都内公立学校のスクールカウンセラーが4年で大量に雇止めになった事件。これについて、組合側が都知事選各候補者にアンケートを送り、2日20時現在、小池百合子、蓮舫、清水国明、田母神俊雄候補から回答がありました。

◎心理職ユニオン東京都知事選立候補者に東京都スクールカウンセラーの問題について聞いてみた

東京公務公共一般労働組合心理職一般支部(心理職ユニオン)は雇止め被害者の復職や、制度の改善について要望。現在回答を寄せた候補のうち、小池候補は、組合側の四項目の要望にことごとく賛同できないないし後ろ向きな検討中、としています。

組合側の要望・質問は以下です。
1.雇止め撤回
2,5年を超えて雇用継続を
3,スクールカウンセラーは勤務実績を考慮した採用をすべき
4,残業代を払うべき
これに対して各候補は以下のように回答しています。
小池百合子候補=1、3に「賛同できない」
2,検討中。(公募はしている、というが、実際には、評判の良い人も落とされているのに逃げている。)
4,既に支払われているという認識
(実際は十分払われていないから問題なのですが?!)

蓮舫候補=1~4すべてに賛同。
清水候補=1~3に賛同。4も肯定的な検討中。
田母神俊雄候補=1、3、4に賛同。2は検討中(段階的制度設計)。

◆東京一極集中と地方へのゴミの押し付けに依存した東京の「豊かさ」

また、小泉・竹中政権以来、どんどん、東京に広島を含む地方の富は移転されていきました。

他方で、昔から、東京を含む関東の産業廃棄物はバンバン広島などに来ているわけです。もちろん、湯崎英彦広島県知事や石丸伸二・安芸高田市長(当時)が日本一緩い広島の産廃規制を放置してきた問題はあります。それにしてもです。

原発にしても、そもそもは東京など大都市の電力不足を補うためのものでした。いま、福島の放射性廃棄物を含むゴミが三原本郷産廃処分場にも来るのではないか、と言う話にもなっています。

東京のインテリの間には「田舎のために東京のお金が吸い取られている」という論調も強くありました。しかし、大手企業の地方工場の利益は東京本社が吸い上げています。そして、上記のような地方への東京による負担の押し付け。このことを無視して地方や地方の年配者を見下すような、東京のエリートの発言を拝見すると一人の東京出身者としてげんなりします。

◆70代以上単身女性が半数以上働いている国ニッポン

そもそも、日本の高齢者は70代でも半分以上働いています。
これは諸外国でも異常なことです。特に単身女性の方にその傾向は強くあります。
コンビニ。工場。土木現場。介護職員。ありとあらゆる現場には、外国人とともに高齢女性の方が多くおられます。というか、最近は円安を背景に外国人が伸び悩んで、日本人の高齢女性が目立つ感じもします。

夫がいることを前提に、女性が賃金を抑えられていた時代があった。それで、単身女性の賃金収入は低く、老後も年金が低い状態にあるわけです。そして直近では男性高齢者も最近は孫育て、アルバイトに忙しい方が増えています。

そして、今後、就職氷河期世代においては、男性も非正規雇用が多いため、現在の単身女性高齢者の惨状が男性にもこの小池政権的な政治が続けば広がるのは間違いありません。

もちろん、例えば、中央省庁→地方自治体の幹部という出世をされる方も30代、40代の女性に結構おられます。あるいは、畝本新検事総長も含めて、要職に女性が多くなっていること。これ自体は、大変結構なことです。長期的にはジェンダー解消につながっていく効果はある。

しかし、同時に、それは多くの先輩方の努力の上で現在があるということでもある。ただ、どうも、若手の女性の方の間には「虎に翼」を最近見るまでそうした歴史をご存じなかった、という方も多かったようです。

そして、いまなお、保育や介護、非正規公務員など女性の割合が大きい現場労働者の大きな犠牲があります。

そして、ご紹介したように、東京に富を集中させ、核を含む東京のゴミを地方に押し付けてきたことで、豊かさが成り立っている。

残念ながら、東大、京大、早稲田、慶応等を優秀な成績でご卒業され、仕事をバリバリされ、お子様を名門校に送っている昨今の女性の方でも、こういうことはわかっていただけていないことはよくわかります。その層に、特に小池氏はウケています。

一方で、「パワハラオヤジ」イメージの強い自民のステルスな組織の支援もガッチリ得ている。ということでしょう。

◆地方の男女共同参画行政も「地元重視」へ転機

地方自治体でも最近は女性の副知事や副市長を任命するのは当たり前になってはいます。これも良いことです。とくに副知事だと中央省庁の東大卒の女性を持ってくる、が定番です。

女性副知事は良いことなのですが、では、東京のエリート女性を持ってきて、それで、地方の庶民の女性の状況が改善するか、といえば、なかなか難しいでしょう。
島根県の丸山知事は高卒の県庁たたき上げの女性を副知事に今年度から任命されました。高卒から60歳まで農業から教育まで、あらゆる県内の部署を回られた方です。これこそが、これから必要な「男女平等施策」の一つではないでしょうか?

東大に女性を増やすという案もあるけど、それだと間に合わないし、今の東大の教育を受けても、これまでの男性エリート同様に地方なり現場なりを見下すような女性が増えるばかりではないかと危惧します。

地方においては、学歴関係なく、地元で地道に頑張って来られた優秀な女性がたくさんおられます。

そういう方をきちんと光を当ててポストにつけた方がいいと思う。上野千鶴子先生のご講演を聞くのも悪くはないけど、むしろ、地道に地方で頑張って来られた方が意思決定過程に参画するようにするのが良いと思う。

地方の庶民の女性は、東京から落下傘的にやってきたエリートと、地元の「年配男性中心」の狭間で、意思決定過程への参加が疎外されてきたからです。

◎関連記事「地元で地味に頑張る若手・中堅世代の女性」を大事にし、「メイク ヒロシマ グレート アゲイン」 筆者が県東部女性議員ら前に講演 

広島では特に、湯崎英彦知事が「東京(関東)の女性」を重視しています。平川前教育長は女性民間校長を神奈川から一本釣り。副知事には、東大・経産省の後輩の女性。医療行政担当に局長には厚労省から若手女性。

しかし、平川教育長が暴走し、医療行政では、厚労省出身の若手女性の局長の元、1300~1400億円をかけた巨大病院計画が暴走しています。

◆東京でもエリート重視から庶民・現場に比重を

他方で、東京においても、先ほどご紹介したように、女性でも高齢単身女性、また非正規公務員など大変である。男性でも特に就職氷河期世代以降、大変なことになる。都庁の真下では、いわゆる典型的なホームレス以外の方が次々と食糧支援に並んでいる。

小池氏、蓮舫氏とも、東京のインテリ女性の代表としてやってこられた政治家です。女性が意思決定過程に少なかった時代にはこのタイプの政治家は絶対に必要だった。

ただ、東京の一定年代以下のエリート女性に関しては、小池知事の今回の公約である「無痛分娩」「保育無料化」が実施されれば、一定程度、欧米などにも追いついたという判断ができると思います。

これからは、東京でも地方でもこれまで使い捨てにされてきた現場労働者、そして地方の庶民、こちらに光を当てていく段階ではないでしょうか?

◆「庶民の蓮舫」と「地方の石丸」

蓮舫氏が今回、非正規公務員の待遇改善や中小企業対策として公契約条例を提起したのは、庶民に光を当てる、と言う意味でこの部分について応援しています。ただ、かつて、立憲民主党にせよ、蓮舫氏にせよ、新自由主義的だったのが響いて、なかなか、本来票を得るべきところに伸びきれていない感はある。

筆者自身もくどいようですが、立憲民主党は好きになれません。それでも、路線転換は支持したい。今後、蓮舫氏の路線転換が立憲全体に広がるか?注視していきたい。野党で最も地方に優しい経済政策なのはれいわ新選組ですが、今回の都知事選では山本太郎が「静観」しているのも理解はできます。

※ただし、小池と石丸はありえない、という街頭演説をして結果として蓮舫に援護射撃。この線で今回は良いと思います。

今回、石丸氏は「地方」に光を当てたという「功績」はある。石丸氏の「地方がつぶれたら東京もダメになる」という持論に対して全く異論はありません。こんなことは、筆者がもう何十年も前から申し上げてきたことではあります。

石丸氏が本気であるなら、安芸高田市長時代に例えば、産廃規制を強化するとかすべきだったとは思います。今後は石丸氏が本気であるなら、安芸高田市長時代の「老害叩き」パフォーマンスに頼るのではなく、地方と都会の格差是正を軸としてぶれない姿勢で行くべきです。従来の彼の姿勢のままだと、橋下徹さん的な方向に行きかねないと危惧しています。

なお、田母神閣下こと、田母神俊雄候補は、スクールカウンセラー問題では、労働者寄りの見解を示しています。さしずめ、フランス総選挙で躍進した国民連合に近いと思います。今後、若手で田母神候補の後を継ぐような人が出た場合、国民連合みたいな感じでバカ受けする可能性はあると思います。

◆国政野党が対抗軸をはっきりさせよ

蓮舫、石丸のどちらかが当選となればこれは大事件だ。事件だけれども、「勝ち組子育て世代」と「既得権自民」をがっちり抑えた小池に勝つのはフランスみたいに決選投票制度でもないと難しいでしょう。

難しいけれども、最後まで「小池打倒!」をあきらめるわけにはいかない。「庶民」軸で蓮舫、「地方」軸で石丸が伸び、蓮舫一位、石丸二位、小池三位に持っていければ万々歳。4月の衆院15区補選では小池系候補がマスコミ予想を下回る惨敗もしています。ふたを開けてみないとわからないでしょう。

また、日本全体を変えるには、国政です。国政で野党勢力が東京中心から舵を切り、地方と東京の格差是正を重視するような方向に行くのが望ましいと考えます。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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《検証》石丸伸二都知事選候補の広島県内での評判 ── 行政と自身の政治活動を公私混同していた「政治屋」は、石丸氏本人ではなかったか? さとうしゅういち

2024年7月7日執行の東京都知事選挙では、前安芸高田市長の石丸伸二さんが「小池百合子VS蓮舫」の(日本の女性政治家だけでなく現代の東京を代表する政治家)いわば「横綱対決」に割って入り、台風の目となっています。

◆期待していた人も「東京へ行くのは残念」、コミュニケーション不足指摘の声も多く

さて、この石丸伸二さん。地元・安芸高田市を含む広島都市圏での評判はどうなのでしょうか? 筆者は、安芸高田市内に本社を置く病院や高齢者施設を運営する企業に2011年から3年間、勤務したことがある「元在勤者」です。また、石丸氏の出身高校の地元である地域を政治活動上の地盤としています。そうした人的ネットワークを活かし、電話や対面、SNSメッセージなどで取材を行いました。

正直、ポジティブな意見は、安芸高田市を含む広島3区では、リアルでもあまり、うかがわないのです。ただ、若手の市役所職員や教員の間には、石丸さんを惜しむ声もあったそうです。

他方で、安芸高田市から少し離れた呉市とか、県東部では、石丸さんに期待する声も結構あります。

ただ、石丸さんに期待している人でも、

「もっと安芸高田市で頑張ってくれたらいいのに。」

「広島県内で頑張ればいいのに、東京なんか行って何を考えているのだ?」

というご意見が多くなっています。

また、

「石丸さんはお勉強ができるけれども、地元の人たちは振り回されるだけだったのではないか?」(安芸高田市出身、広島市在住の70代男性)

「最後まで、地元の人とすれ違いになってしまったのではないか?」(石丸さんの出身高校近くで店を開く60代女性)

など、石丸さんのコミュニケーション不足を指摘する声も多く上がっています。

◆台風時にトライアスロン参加を優先し、安芸高田市を不在にしていた市長 ── 地道に頑張っている「同年代」から「嫌いになった」の声も

一方で、石丸さんに対して批判的な声も多くあります。一つは、安芸高田市内で農業を営み、消防団の元分団長もされた40代男性の声です。石丸さんとは同年代。故郷(ふるさと)のために地道に頑張っておられる方です。

2022年9月、西日本に台風14号が接近しました。この時、石丸市長(当時)は千葉県へトライアスロン競技に参加するために安芸高田市を不在にしていたのです。そのことを後に議会でとがめられると、「プライベートを詮索されるというのは大変に気持ちが悪いのでやめていただきたいと思います。」「はっきり言ってキモいです。」と開き直られたのが石丸さんです。

この元分団長は、以下のように発言されています。
 

「みなさんのお住いの行政組織図(機構図)を見ていただくとわかるように、消防本部の上をたどると市長がトップになっていると思います。

市長は消防機関の長を通じて指揮監督を行う立場にあるのです。これにはもちろん消防団も含まれます。

災害出動、それも「過去に例がないほどの大型台風」ともなれば最悪人命に関わることは簡単に想像できるでしょう。

市民の命と財産を守るためとはいえ、消防職団員にも命の危険がある災害出動を命令しなければならない立場というのは私には想像もつきません。

そんな立場にある人間が、ただただ詰問された議員に反省の弁もなく、「プライベートを詮索されるというのは大変に気持ちが悪いのでやめていただきたいと思います。」「はっきり言ってキモいです。」

信じられない発言です。前もって指示をだしているから大丈夫?あなたは市民の命を財産を守る立場にいるのではないですか?人の命の重さを全く感じさせない言動は吐き気を催します。

大規模災害が想定される場合、消防団員は防災センターに詰めて出動命令を待つこともあるでしょう。

消防団員は非常勤特別職の地方公務員とされていますが、普通にサラリーマンだったり、農家だったり鳶職人だったりします。分団長は階級があるとはいえ、分団員に出動命令(お願い)する立場です。

そんな人たちに災害対応させておいて、自分はプライベートでトライアスロン? まったく、全然理解できません。万が一、そんな時に自分の所属する分団員が災害対応によって落命したとしたら、絶対に、絶対に納得できません。許せません。」

 
安芸高田市に隣接する広島市北部の安佐南区沼田町吉山。台風14号で大きな被害が出た(2023年5月筆者撮影)

◎[引用元]「私は、こうして石丸伸二さんを嫌いになりました。」(seijiさんの2024年6月23日付note) 

まったくそのとおりです。消防団員は非常勤特別職の地方公務員ですが、いわば雀の涙の報酬でやっているボランティアです。確かに、トップが不在だったら機能しない行政機構はまずい。しかし、一方で、では、トップが台風接近中だというのに、行き先も告げずに自治体を不在にするのもいかがなものか?
 
この台風14号では、安芸高田市に隣接する広島市北部でも大きな被害が出ています。この地区ではがけ崩れ寸前になっているような場所もあったのです。ただ、幸い、死傷者がでるようなことがなかったのが不幸中の幸いでした。

また、同じく当時広島県北部の建設会社の支社に勤務していた男性によると、

「あの時の安芸高田市高宮エリアに現場があったが、道が刳れるような被害だったし、現場詰め所が流されるところだった。

自分は免除だったけど上の人は非常呼集されたぐらいだ。だから、(石丸さんのことは)最初から信用していない。」

と証言しています。


◎[参考動画]最高傑作!石丸市長 10手先を読む戦略がトライアスロン(取材不足 2024年6月1日)

◆市議会・新聞批判に県議批判まで 広報「あきたかた」の異常

安芸高田市民の60代の女性は安芸高田市の広報「あきたかた」が異常だ、と呆れておられます。

実際に拝見してみると、異常さが分かります。市議会や地元新聞と石丸市長が対立しているのは筆者ら市外の人間もよくわかっています。わかっていますが、わざわざ、税金を使った市の広報紙で地元新聞を名指しで批判するのはいかがなものか?
 
さらに、石丸市長は市民に県政について伝える、と称して、地元選出の玉重県議にインタビューを申し入れ、断られたそうです。そこで、この広報紙には、

「一方で、県議は市長選への立候補を表明した人物を紹介して回っているという情報が届きました。自身の政治活動を優先し、市民への説明責任を劣後させる状況となっています。」

と県議を批判しています。

安芸高田市の広報「あきたかた」の誌面

しかし、県政について伝えるのは、県議自らが、議会報告なり、ご自身の街頭演説なり、すればいいことです。県議の仕事が足りない、有権者が判断すれば、次の選挙でその県議を有権者が打倒すれば良いだけのことです。

行政の広報紙で特定の県議などを批判するのは、おかしい。石丸氏は、「政治屋を一掃する」と言っておられますが、行政とご自身の政治活動を混同する政治屋はご自身ではないのか? 反省していただきたいものです。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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