確かに社長は、例の開発が終わったら給料を上げると言っていたが、大失敗に終わったのでうやむやになっていた。それどころか、赤字をやり繰りしている中突然、事前連絡もなくアンナという女性社員を雇い、会社に連れて来た。馴染みのキャバクラから。金遣いは荒いが、行くのは結局キャバクラ程度なのだ。そこが小市民的というか、社長はどうも大成しなさそうな、そんな雰囲気がある。

アンナは何の仕事もできなかった。マスカラで目をくっきりさせ、顔をラメでキラキラさせて出社してきた。事務仕事で雇ったのにまともにPCを扱えない。それどころか、ネイルアートを施したやたらと長い爪で、まともにキーボードすら打てないのだ。歳は二十歳ぐらいで、デスクワークのイロハもわからない。そんなのが同じ給料で雇われたのだからたまったものではない。社長に散々文句言ったのだが、
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