日本人は宗教に対して無節操、無頓着とはよく言われる。というより自分たちで自覚していて冗談にしているぐらいだが、年末年始は殊更感じる。クリスマスを祝って一週間もすると、今度は初詣に出かける。初詣にしても神社に行ったり寺に行ったりと、本当に無節操だ。

「我々の力と云うのは、破壊する力ではありません。造り変える力なのです」
芥川龍之介の著書の中に、上記の一文がある。戦国時代に、宣教師としてやってきたオルガンティノの前に現れた老人が語った言葉だ。この国でキリスト教を広めれば、皆帰依する。表面上は。しかしいつの間にか日本のものとして変わってしまう。実に日本人の真理を突いている。昔、中国から伝わった孔子や孟子の教えは、日本人の道徳観の中に入っている。仏教が伝わってきて、皆帰依したはずだった。遅れてキリスト教も入ってきた。江戸以前は大名すら大勢洗礼を受けた。しかし今、この国を支配している宗教は無い。皆八百万の神になってしまう。

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