たまに、「いつも、どんな本読んでるの?」と聞かれることがある。
いつも読んでいる本というのはない。
このところ読んだ本の著者を並べてみると、清水潔、山本周五郎、ヘッセ、大城立裕、モーパッサン、姫野カオルコ、門田隆将、ドストエフスキー、池上泳一、古賀茂明、エリカ・ジョングとなっていて、やはり「こういう本をいつも読んでます」と言えるような統一性はない。ライターの読書は、だいたいこんなものだろう。

ちなみに、前からちょくちょく読んでいた姫野カオルコは、デビュー作がおもしろいと聞いたので、『ひと呼んでミツコ』を出張先のホテルで読んだのだが、笑って頭を壁に強打してしまった。要注意である。
2人の女性を股にかけるお調子者の男を、お得意の深刻な語り口で描く、ドストエフスキー『虐げられた人びと』もけっこう笑えるので、タイトルの暗さで敬遠しないほうがいい。

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