『紙の爆弾』増刊号として8月25日、脱原発のための共同戦線雑誌『NO NUKES voice 』が創刊された。

これに先駆け、鹿砦社スタッフは8月22日の関西電力前金曜行動に参加。現場で臨時販売したところ、手持ちの50冊中35冊が売れ、手応え十分ありと見た。

書店に配本する委託部数も好調で、当初予定していた5000部の4倍超となる2万2000部発行となった。編集部としては「うれしい悲鳴」だが、逆にそれだけ印刷・製本代などは「想定外の支払い」となるわけで、「創刊号は一冊でも多く売れ!」と鹿砦社の松岡社長は険しい顔だ。

巻頭グラビアは秋山理央の「こどもと反原発の風景」。3.11以後、全国各地のデモや抗議集会で当たり前の風景となってきたフツーの家族とこどもたちの表情を紹介している。

世代や地域を超えた「新たな脱原発情報ネットワーク」構築を創刊目的に掲げた通り、記事内容は多彩な新旧世代による充実の14本構成だ。

◆「京大熊取六人衆」今中・小出両記事は必読!

その概要は文末の書籍広告を参照していただくとして、特にお勧めしたいのは、70年代初頭から日本政府の歪な原子力開発に異を唱え続けてきた「京大熊取六人衆」の二人、今中哲二(インタビュー)と小出裕章(講演録)の記事だ。事実分析に対する冷徹真摯な二人の姿勢はいつもながら素晴らしく、必読だ。

例えば、今中助教が自ら測定した東京・多摩地区土壌の放射性セシウム量は1平方メートル当たり約15,000ベクレル。今中氏いわく「ひでえなあ!」という状況だそうだ。こうしたシリアスな情報をさらりとあこれこれ披露しながらも、今中助教の語り口は常に飄々としていて読後感が心地よい。

他方、小出助教の同志社大での講演録は、原子力の基本問題をわかりやすく解き明かしつつ、徐々に国への義憤の熱を原子炉のように高めていく小出節が誌面から伝わってくるはずだ。

◆「東のたんぽぽ舎」と「西の鹿砦社」の協力で生まれた脱原発雑誌!

かつてスキャンダル雑誌の世界では、東の『噂の真相』、西の『紙の爆弾』と呼ばれていた。『噂の真相』はすでにもうないが、『紙の爆弾』はしぶとく健在だ。

今回の『NO NUKES voice 』では、西の鹿砦社が長年、「脱原発」で地道に活動をしてきた東のたんぽぽ舎の協力を得て初めて実現した雑誌でもある。これから世代を超えて続けねばならぬ脱原発運動の新たな共同戦線の始まりで、創刊号はその最初の狼煙。街の書店で見かけたら、ぜひお手に一冊を!

(本間 解)