こんにちは。デジタル鹿砦社通信をご覧の皆様、パープルヘイズレヴォリューションのコーナーでございます。司会の原田卓馬です。

本連載では「お前、またか!」というぐらい毎度おなじみのJTコールセンターに電話してみたわけだが、そろそろ私、要注意人物としてJTの部署内で「例のあの人」になっていることだろう。某カード会社のコールセンターに長いこと勤務していた私、だいたい想像つきますよ。

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◆あなたの吸っているタバコの添加物がわかる!かもしれない…

銘柄別主要添加物リストではJTの各銘柄のタバコ葉に使用されている主要添加物を掲載しているというのだが、読者の皆さんのうち、具体例としてあげているセヴンスターの添加物リストの燃焼部分の項目のうち、パッと見て「はい、なるほどね」と納得できる方はいるだろうか。特にわけのわからない『グリセリン』、『糖類』、『プロピレングリコール』、『セルロース』、『その他たばこ添加物』について取材してみた。

── こんにちは、原田です。タバコ葉の添加物のことを教えてください。あれとこれとそれ(上記の具体的な添加物)の使用目的と原料を知りたいです。

JTの人「はい、では、あれと、これと、それと、むにゃむにゃに関して、上席から折り返しご連絡します」

── はい、お願いします。

私は別にメーカーに文句が言いたいわけではないのだが、この表示でユーザーに納得しろというのが無理難題なわけである。ただ、私は事実を知りたいだけなのだ。意味のわからない専門用語を羅列しただけで「お客様の安心」のための情報公開なんて、片腹痛いわ。がっはっはっは。

おそらく、こういった問い合わせがない前提で経営しているのでしょう。JT製品の広告は巷に溢れていますが、「○○県産、無農薬たばこ葉100%使用」なんていうような掲示は見た事がありません。無いものを有ると言えば嘘になりますが、有るものについて言わないのは嘘にはなりません。

食品添加物の表示については、農林水産省の指導に基づいてパッケージへの記載が各食品メーカーに義務づけられています。(食品表示もたいしてあてにならないですけどね)

まあとにかく、喫煙者もとい消費者のみなさんに伝えたいことは、「どうせユーザーは馬鹿だからいちいち細かいことには気付かないだろう」という姿勢の企業がもの凄く多いということです。「騙されるな」とか「なんでもかんでも疑え」とか言いたいわけじゃありません。信頼するに足るかを自分で判断して欲しいんです。これは、原発の問題と同じです。私は3.11の原発事故の一番の責任は国民にあると考えています。環境に優しいエネルギーと喧伝された原子力による電気を購入し続けた国民は馬鹿です。消費者はわがままでいいんです。欲しいものがないなら買わなけりゃいいんですけど、日本では電気とタバコを選ぶのがなかなか難しい。独占企業の高イビキを叩き起こすのはやはり消費者の購買意欲にかかわると思います。

◆うやむやなタバコ添加物の出身地

3時間経ってもJTからの折り返し連絡はないので待ち時間でああじゃこうじゃしていた。JTコールセンターの終業時間である夕方5時を過ぎてようやく、電話がかかってきた。うんじゃかんじゃと遅くなったことに関する謝罪を挟んでこう言った。

JTの人「タバコの添加物に関しては、内外の文献や外部の専門家からの指導で安全なものを使用していますのでご安心ください」

いきなりびっくりである。なんだそりゃ。何を根拠に安心できるのか。内容も明かさずに安心しろとは、馬鹿にしてるのか?冷静を装って質問を再開する。

セヴンスターの主要添加物リストより引用】

JTの人「グリセリンは保湿剤で、アルコール類です。糖類は香料で、果汁などをもとにした水溶性の糖類です。セルロースは紙巻きタバコ(シガレット)の形や構造を維持するための植物繊維です。プロピレングリコールは有機化合物の一種でアルコールの仲間ですが、保湿剤として添加しています。以上でよろしいですか?」

ちょっと待て、今の説明でわかった方は優秀な科学者か、タバコ博士か、JTの研究者だけじゃないのか?一応説明しておくと、グリセリンは無添加として販売されているタバコでもほとんどのものに使用されている添加物である。タバコ製造各社の考え方によって量の多少は変わるようだ。糖類はシガレット黎明期から使用されている一般的な香料兼保湿剤のようだが、糖類の内訳は「コーンシロップ(液糖)」、「デキストリン」、「フルクトース」、「ブドウ糖」、「コーンシロップ(高果糖液糖)」、「ショ糖」である。なんのこっちゃわからないが、産地や原料についての説明はできないという。プロピレングリコールは市販の「麺類」や「おにぎり」にも添加されている防カビ性のある保湿剤ということだ。

── 全然わかりませんけど、それぞれの原料と産地を教えて下さい。たとえばセルロースは何からできているんですか?

JTの人「セルロースは植物の繊維です。タバコの添加物に関しては、内外の文献や外部の専門家からの指導で安全なものを使用していますのでご安心ください。それ以上のことはこちらでは……」

── 何も情報開示されていないのに安心も納得もできるわけないですよ。

JTの人「機密事項になりますので詳しいことは申し上げられませんが、添加物に関しては内外の文献や……」

── トレーサビリティー(生産や流通過程の情報開示)ってわかりますよね? そういうの、消費生活していれば考えるのは当然だと思いますけど、言ってる意味わかりますか? どこで何から作られてるのか知りたいだけなんですけど。

JTの人「JTで使用するタバコ葉のうち6割が外国産、4割が日本産です。国内は30都道府県で生産を行っています。」

── それは具体的に何県ですか?

JTの人「詳しい事は申し上げ……」

── 外国産というのはどこですか?

JTの人「マラウィ、アメリカ、ブラジル、アルゼンチンなどです」

── 主にこの4カ国なんですね?

JTの人「いいえ、JTで使用しているかどうかは別として、日本でのタバコ葉原料の輸入先を申し上げているだけです。他には、トルコ、ギリシャ、ブルガリア、イタリアなどが、あくまで一般論ですが、輸入先の国の一部となります。」

── 日本ではJTさん以外にタバコの製造販売はできないはずですけど、あくまで一般論だというんですか?

JTの人「はいあくまで一般論です。詳しいことは……」

── どこで採れたタバコを吸っているのかぐらい知りたいんですけど。

JTの人「放射能の問題ということですね? お気持ちはわかります。」

◆タバコと放射能

ん? 私は別に放射能なんてひとことも言ってないぞ。

JTの人「国内生産のタバコ葉については3.11以降に定めた自社基準値の100ベクレル/1kgを超えたタバコ葉に関しては農家からの買い取りを行っていないので、安全性を確認しておりますからご安心ください」

── その基準値はどうやって算出したんですか?

JTの人「外部の専門家の意見を……」

だめだこりゃ。

安全かどうかはここで話してもしょうがないからいいですけど、基準値オーバーのタバコ葉はどうしてるんですか?

JTの人「農家さんの方で処分してもらっています。」

── それじゃ、農家さんが潰れちゃうじゃないですか。具体的に何県のタバコ農家が基準値を超えたんですか?

JTの人「そういったことに関しては……」

── 話はかわりますけど、その他の添加物って香料のことですか?

JTの人「はい、香料については当社の重要な機密事項になりますので……」

とにかくJTという会社はユーザーに対して製品の安全性の根拠を説明することよりも、企業としての機密保持に務める姿勢らしい。かつてに専売公社時代の名残をひきづったまま国営企業時代から続く独占市場でふんぞり返っているようだ。資本主義なんて仕組みはちっともに好きではないが、競争のない独占企業の殿様商売には「そんな笑えないジョークをよく思いつくね」と、飽きれるを通り越して感心してしまう

JTの人「他のお客様の窓口にもなりますし、営業時間外なのでもういいですか?」

話にならない上に、営業時間を過ぎて連絡してくるのだからもうなんだかわけがわからない。

次回は触れてもつっついても全貌が把握できないタバコ香料と香料メーカーのお話でございます。

(原田卓馬)

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