池袋サンシャイン噴水広場で見た「Crystal Kay」

 

5月3日、僕は「池袋サンシャイン噴水広場リニューアルイベント」に来ていた。ここでは、17時から「Crystal Kay」(以下、ケイ)が新曲を発表する。とはいっても、すでに3月23日に発売されている作品で、「サクラ」というタイトルだ。

あまりにも実力がずば抜けているという点で、この歌手はさまざまな羨望と嫉妬をかき集めた。そして安室奈美恵とコラボした「レボリューション」(https://www.youtube.com/watch?v=k0eaOuwA1mc)ですら、「事務所の力で強引にコラボを申し入れた」と囁かれた。

しかし現実に目の前で歌い、踊るケイは、情熱をたたきつけるようにして、初夏で熱気がこもりがちな噴水広場でめいっぱい、観客を惹きつけた。

 

サンシャイン噴水広場は、実はリニューアルして、大きなスクリーンがお目見えしている。だからコンサート会場にいるような迫力があるのだが、いかんせん音響には工夫がない。ものすごくシンプルに言うなら、「リバーブ」がかかり、カラオケボックスの中にいるように音がまわる。
「しかたないね。ライブ会場としては、まだまだ未成熟ですから」と音楽ライターは言う。

そして、驚くべきことにCDは見ていれば十数枚しか売れなかった。音楽が不遇の時代だ。しかし、それでも、と僕は思う。「伝える力のある音楽は残る」と。

 

そして「伝わらない音楽」は、歴史から消えていく。これは当たり前のことだ。実力とはまたちがう、「人の心に残る歌」を持っているミュージシャンは幸福だ。そしてどのような事情であれ、消えていった音楽家には哀悼の意を表したい。

来年の今日と【今年の5月3日】では、音楽シーンをリードする顔ぶれはまったくちがうだろう。だがそれでいいのだ。それでいて「新陳代謝」がなされる。大塚家具の老人社長のごとく、古い音楽家は去り、また今年も「アイドルの聖地」であるここ、池袋・サンシャイン噴水広場に新しい顔ぶれの音楽家や歌手がやってくる。

(伊東北斗)

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