9・16神宮前で第99回草の実アカデミー 安倍政権後の政治のかたちを考える

戦後培ってきた民主主義を否定し、基本的人権を保障した憲法を壊そうと安倍政権は暴走し続けているが、それにつれて政権打倒、政権交代の声も高まっている。

野党共闘を推進しようという声もあるなかで、市民が明確な政策をかかげ、政策の一致で市民レベルがまとまろうというイベントが本日9月16日(土)夕方6時から、東京都渋谷区の穏田区民会館で行われる(後述)。

◆森友・加計問題で安倍政権は窮地に

このところ、北朝鮮のミサイル問題が騒がれて報道量は減っているものの、森友学園・加計学園問題で安倍政権は窮地に陥っている。安倍政権の「お友達政治」の実態は、どんどん明らかになっている。怒涛のような北朝鮮ミサイル報道で隠されているだけだ。

とりわけ加計学園獣医学部問題では、安倍首相の関与は深く、放置できない問題である。8月末に、地元の今治加計獣医学部問題を考える会の共同代表・黒川敦彦氏が、獣医学部の建築図面を公表してますます疑惑が強まった。建築費水増し問題である。

公表された資料から計算すると建設坪単価は約150万円にものぼる。黒川氏らが専門家に意見をもとめたところ、「倉庫に毛が生えた程度の建物で、民間どうしの発注だったら、坪70万円くらい」との回答が来た。

政府統計の「建築着工統計調査」のうち、愛媛県内の学校建築7件中6件は加計学園のものと判明した。そこに記載されている数値をもとに建築費坪単価を割り出すと約88万円。どうみても150万円は高額すぎる。

これに対して加計学園側は、立て続けに4通のファックスで反論してきた。それよると、「校舎の建築費は136億円で1期工事が約80億円と認めました。2期工事は1945㎡(平米)しかないのに建設費56億円ということになるので、坪単価は、なんと962万円! ひとつ嘘をつくと辻褄があわないことがどんどん出てきます」(黒川氏)という状況だ。

さらに黒川氏は続ける。
「森友学園の籠池前理事長夫妻は、補助金約5600万円を詐取した容疑で逮捕されましたが、加計学園の疑惑は50億円以上の建設費水増しです。加計孝太郎理事長と安倍晋三首相を刑事告発する全国運動を展開したい」

こうした動きが実際に起きれば、相応のインパクトがあるだろう。このような森友・加計学園隠しをはかる安倍政権に対し批判はますます強まるに違いない。

◆キーワードは「受け皿」「消費税廃止」「原発廃止」

8月29日の院内集会。安倍打倒の声は急速に高まっている

このような動きの中で、政権交代に向けて様々な人やグループが動き始めている。そうした人々が9月16日(土)渋谷区の穏田区民会館集会室に集まる予定だ。

ひとつには、従来から言われている、民進党・共産党・社民党・自由党による野党共闘がある。また、①消費税廃止、③原発廃止、③悪法一括廃止(共謀罪法・秘密保護法・安保関連法・盗聴法新刑事訴訟法)、の三つの政策で一致して一大勢力を築けないかという試みもある。

いずれにせよ、安倍政権、自公政権に批判的な人たちを受け入れる“受け皿”が必要だということだ。都議会議員選挙における、都民ファーストの圧勝を見ても、現状に批判的な人のための“受け皿”があれば事態が大きく変わるのは間違いない。

「不公平な税制をただす会」の財源試算によれば、2017年度のデータで企業優遇税制などを廃止すれば38兆円の税収増が見込める(『福祉と税金』第29号より)
同上

この場合、どの政党が、どの政治家が……というよりも、争点となる重要政策を市民・有権者の側が明確に設定し、その政策に賛同する政党・政治家・市民が結集すればいいのではないか。まずは明確な政策を提示し、少なくとも市民レベルの共通認識にできないか、というのが16日のイベントの趣旨である。

最近、自民党の一部が消費税10パーセントへの増税を強調し始めているので、「消費税」を最大の争点にすべきだという意見が急速に増えている。そもそも、1989年4月1日に消費税が導入される以前の日本経済は、基本的に右肩上がりだった。

しかし消費税導入以後、じり貧状況が続いており、97年4月1日に消費税が3%から5%に増税されたときからデフレがはじまり、「失われた20年」が続いている。

その一方で、大企業減税、高額所得者や大資産家への減税は続いてきた。消費税導入の1989年から2015年までに法人税の減税累計は、262兆円。消費税の累計は294兆円。貧乏人から金持ちまで一律に支払う消費税で大企業減税の穴埋めをしている事実に注目すべきだろう。

さらに、いまは原発反対が多数派になっているのだから、原発廃止も加えて総選挙の争点づくりをしたらどうかという意見もある。

今回は、政権交代を目指して活動している方々に集まってもらい、その方法と展望を語ってもらう。イベントの詳細は下記のとおり。

第99回草の実アカデミー 「“受け皿”は、消費税廃止・原発廃止・悪法廃止で」

講師:小林哲雄氏(市民と野党をつなぐ会@東京事務局長)
田中正道氏(森友・加計告発プロジェクト共同代表)
黒川敦彦氏(今治加計獣医学部問題を考える会共同代表)
斎藤まさし氏(選挙ボランティア)

日時:9月16日(土)17:40開場 18:00開演 20:40終了
場所:渋谷区穏田区民会館1階集会室  渋谷区神宮前 6-31-5
交通:JR東京メトロ千代田線明治神宮前駅徒歩2分

※会場への問い合わせはしないでください。連絡は下記まで
資料代:500円
主催:草の実アカデミー(公益社団法人マスコミ世論研究所)
E-mail kusanomi@notnet.jp

▼林 克明(はやし・まさあき)
ジャーナリスト。チェチェン戦争のルポ『カフカスの小さな国』で第3回小学館ノンフィクション賞優秀賞、『ジャーナリストの誕生』で第9回週刊金曜日ルポルタージュ大賞受賞。最近は労働問題、国賠訴訟、新党結成の動きなどを取材している。『秘密保護法 社会はどう変わるのか』(共著、集英社新書)、『ブラック大学早稲田』(同時代社)、『トヨタの闇』(共著、ちくま文庫)、写真集『チェチェン 屈せざる人々』(岩波書店)ほか。林克明twitter 

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