東京駅に着くと、人混みはいつものことながら、駅のそこここで、外国人観光客に対応している駅の職員や係の姿が目に付く。揉め事の主たる原因は「コインロッカーの封鎖」だ。


◎[参考動画]“異色”補佐官イバンカ氏に熱狂 片や冷やかな海外(ANNnewsCH 2017年11月3日公開)

◆はじまりのオウム地下鉄サリン事件

あれはたしか、1995年オウム真理教の地下鉄サリン事件以降からだったのではないだろうか。一時は駅のゴミ箱が撤去された。以降、要人来日やサミット開催の時に「コインロッカー封鎖」は「あったりまえ」のように行われるようになった。

その否々(是非ではない)はともかく、私たちはもう「厳重警戒」に慣れてしまっているので、ぶったまげるほどのことではないが、事情を知らずに「運悪く」観光旅行にやってきた海外からのお客様にとって迷惑千万だろう。東京駅地下のコインロッカーコーナーには、トラブルを予想して担当者が配置されていたが、傍から見るところ海外からのお客様は英語が母国語ではなさそうで、担当者との間で意思疎通は全く成立していない模様。

大人を折り曲げたら1人入りそうな、大きな旅行鞄を2つも3つも持っての移動は想定していなかっただろうから、お客様にすればホテルへのチェックインまで「どうしてくれるのだ!」という苦情になっていたのだろう。そして残念ながらコインロッカーだけでなく、手荷預かり物所も「閉鎖」されている。

この「厳重警戒」に当たるに駅員さんや警備員さんもさぞご苦労が多いことと拝察されるし、そんなことを知らずやってきた観光客(国内外とも)には「迷惑」以外の何物でもない。


◎[参考動画]President Trump in Japan. President Donald Trump plays golf with prime minister Shinzo Abe (CHANNEL 90seconds newscom 2017年11月5日公開)

◆ドナルド来日で水かさが上がる「厳重警戒」のほうが気持ち悪いぞ!

どこぞの国のロシアの援助で当選したとの報道も絶えない大領領が来日している。首都圏の電車やバスは、年から年中「テロ特別経過中」だけれども、最近の彼らいうところの「テロ」は欧米で爆弾や銃だけでなく自動車を使うという、発想の転換による手法も用いられている。じゃあコインロッカーを封鎖しても無駄じゃないの「経済」的に損じゃないの?

東京を見回してごらんよ。

爆弾や薬物を使って「何事か」を準備している人がいるようには、さらさら見えない。そんな団体聞いたこともないし、近年起こる「凶悪事件」のほとんどは個的理由に帰結するように思えてならない。もちろん「あらゆる犯罪は社会的意味を持つ」とのテーゼは今日でも有効だとは思う。だから事件が起きてから「ああだの、こうだの」言い募ることは誰にでもできる(しかしその「ああだの、こうだの」が有効で次なる事件を事前に制止できた例は寡聞にして聞かない)。

それよりも毎年水かさが上がるこの「厳重警戒」のほうが気持ち悪く、実際に迷惑だ。偉大なる大統領さまは瑞穂の国の首相閣下と「ゴルフ」に興じられた由。夜は銀座での会食。銀座はその店だけでなく、近所が(歩道を含めて)立ち入り禁止になっていたぞ。制服警官からなんど「職務質問」受けたことだろう。まま、私たち庶民には関係のねー話でごぜーやすので、親方二人鳩首会談うまいことやってくださいなまし。


◎[参考動画]トランプ大統領来日 横田基地スピーチ Donald John Trump a visit to Japan(nbsc006 2017年11月4日公開)

◆「パナマ文書」と「パラダイス文書」──脱法資本主義と無縁の私たちの自由は?

あれこれうるさいなと思い、ちょっと不機嫌に目を覚ましたら「パラダイス文書」の文字が、朝刊1面に踊っていた。あれあれあれ。また出たぞ。「パナマ文書」はそっけないけど「パラダイス文書」はいい響きだ。

オフショアに税金逃れできる企業は一握りだよね。朝刊では、丸紅、住友商事、日本郵船・大阪ガス、三井住友火災保険、ソニー、生命保険、ソフトバンク・グループ、東京電力、KDDI、UHA味覚糖の名前があがっていた。その他総数日本関連で1056件の記載があるらしい。

コインロッカーの閉鎖に閉口している市民や旅行者。オフショアやタックスへイブン(租税回避地)とは金輪際無縁なわたしたち。ちゃんと読み解いてくれる分析者はいないものか? ロシアの核兵器はNYワシントンに向けられていて、米国ICBMもモスクワやサンクトペテルブルグに焦点を定めている。でも、そういう対立と別の水脈で(どうやらそれらは「国際金融」と呼ばれるそう)片側の大統領が誕生する。国家や資本の概念が徐々に確実に変容している。自由な個人にとっては、なんとも複雑で不快な時代である。

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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