トーエルジム、RIKIXジム、鷹虎ジム、新興ムエタイジム。フリーや他団体主力ジムの参加があった今回の興行。また逆にフリーや他団体の興行に出場する日本キック連盟(NKB)の選手もいます。2月は高橋三兄弟それぞれの試合があり、試練の勝負が続く。

◎出陣シリーズvol.1 / 2月9日(土)後楽園ホール17:15~21:05
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

接近戦でヒザ蹴りを繰り出す高橋聖人、ブロックするシーンが増える山浦俊一

高橋聖人の蹴りが山浦俊一を追い込んでいく

◆第12試合 メインイベント 59.5kg契約 5回戦

NKBフェザー級チャンピオン.髙橋聖人(真門/59.35kg)
   VS
NJKFスーパーフェザー級3位.山浦俊一(新興ムエタイ/59.3kg)
勝者:髙橋聖人 / 判定3-0 / 主審:前田仁
副審:亀川50-46. 馳50-46. 川上50-46

高橋聖人は最終ラウンドに2度のダウンを奪って判定勝ち。前半から多彩な技で突破口を探り合う両者。その駆け引きが長く続く。第4ラウンドに入って見映えいいローキックを見せた聖人、最終ラウンドにラッシュを掛け、ヒザ蹴りでボディを効かせると右ストレート、左ローキックでノックダウンを奪い、更に連打から右ローキックで再度ノックダウンを奪う。山浦も諦めず2度ダウン後も反撃に転じる粘りを見せる好ファイトとなった。高橋聖人は倒し切れぬも最終ラウンドの見せ場で、本来の5回戦の最高潮を作り上げるチャンピオンの貫禄を見せた。

ボディーブローからローキックでダウンを立て続けに奪う高橋聖人

パンチへ繋ぐローキックでけん制する田村聖

◆第11試合 ミドル級 5回戦

NKBミドル級1位.田村聖(拳心館/72.3kg)
   VS
J-NETWORKスーパーウェルター級3位.森本一陽(NEXT LEVEL渋谷/72.25kg)
勝者:田村聖 / TKO 1R 2:21 / カウント中のレフェリーストップ
主審:鈴木義和

4月からのミドル級トーナメントに出場する田村聖はパンチに磨きが掛かった威圧感がKOを予感させる流れとなった中、右ストレートヒットでコーナーに詰め連打とヒザ蹴りでノックダウンを奪い、森本は立ち上がるも足がもつれ、レフェリーが止めるTKOとなった。

右ストレートヒットでコーナーに釘付けから連打する田村聖

ひろあきが得意の強打で圧力をかけていく

◆第10試合 58.5kg契約 3回戦

NKBフェザー級1位.ひろあき(=安田浩昭/プラスα/58.5kg)
   VS
KEIGO(FLAT UP/58.1kg)
勝者:ひろあき / 判定3-0 / 主審:亀川明史
副審:佐藤友章30-28. 佐藤彰彦30-29. 馳30-28

ひろあき(=安田浩昭)もパンチを得意とする選手。序盤、KEIGOの蹴りが優勢を保つ中、パンチで追っていくひろあき。徐々に自分の強打を当てる距離を詰めていき、右ストレートを威圧的に繰り出していく。倒すに至らなかったが、ひろあきの圧力が目立つ展開となった。

更なる右ストレートが度々ヒットし、KO狙うひろあき

ガムシャラファイトでも好感持てる踏ん張りで勝利を掴んだ藤野伸哉

◆第9試合 ライト級3回戦

LBSJスーパーフェザー級1位.角谷祐介(NEXT LEVEL渋谷/60.95kg)
   VS
WMC日本フェザー級4位.藤野伸哉(RIKIX/60.95kg)
勝者:藤野伸哉 / 判定0-3 / 主審:川上伸
副審:前田29-30. 鈴木29-30. 佐藤友章28-30

フリーから出場した者同士となった角谷祐介対藤野伸哉戦は、両者ともに多彩な技を繰り出すスピードでガムシャラに出て、互いにバッティングで額が切れるも、若さで優る藤野がハイキックも見映えよくヒットさせ、手数で打ち勝った。藤野伸哉はRIKIXジム期待の選手で、今後も経験値を積めばフリー参加可能な国内タイトルには挑戦に至るであろう逸材である。

◆第8試合 65.0kg契約3回戦
 
洋介(渡邉/64.6kg)vs勝斬 平(=かつき・たいら/Team S.A.C/64.7kg)
勝者:洋介 / 判定3-0 / 主審:馳大輔
副審:亀川30-28. 佐藤彰彦30-28. 前田30-27

ウェイトオーバーが有利に展開したか、蹴りで優ったリョウタ

◆第7試合 フェザー級3回戦

NKBフェザー級5位.鎌田政興(ケーアクティブ/56.9kg/6オンス)
   VS
J-NETWORKスーパーバンタム級5位.リョウタ(鷹虎/60.65kg/8オンス)
勝者:リョウタ / 判定0-2 / 主審:川上伸
副審:亀川29-30. 佐藤友章29-30. 鈴木30-30
リョウタが3.5kgオーバーによりグローブハンディ有り

仙台の船木鷹虎氏の鷹虎ジムから出場したリョウタは再々計量でも3.5kgオーバー。それでも出場が認められたが、蹴りを多発する勢いで僅差ながら勝利を掴む。

◆第6試合 ウェルター級3回戦

NKBウェルター級2位.稲葉裕哉(大塚/66.5kg)vsゼットン(NK/66.4kg)
勝者:稲葉裕哉 / 判定3-0 / 主審:佐藤彰彦
副審:馳30-27. 鈴木30-28. 前田30-27

◆第5試合 60.0kg契約 3回戦

KAZUYA(JKKG/59.55kg)vsウルフ・タツロウ(アント/59.95kg)
勝者:ウルフ・タツロウ / 判定1-2 / 主審:佐藤友章
副審:馳29-30. 川上30-29. 亀川28-30

◆第4試合 ウェルター級3回戦

火人(TEAM KOK/66.45kg)vsちさとkiss Me!(安曇野キックの会/66.3kg)
勝者:火人 / 判定2-0 / 主審:佐藤彰彦
副審:川上30-28. 前田30-29. 亀川30-30

◆第3試合 フライ級3回戦

則武(テツ/50.8kg)vs阿部秀虎(鷹虎/50.3kg)
勝者:則武 / 判定3-0 / 主審:馳大輔
副審:鈴木30-27. 前田30-27. 佐藤友章30-28

◆第2試合 フェザー級3回戦

平塚一郎(トーエル/56.75kg)vs山本太一(ケーアクティブ/56.95kg)
引分け 三者三様/ 主審:亀川明史
副審:川上29-30. 馳30-29. 佐藤友章29-29

◆第1試合 バンタム級3回戦

裕亮(光/53.35kg)vs會町(テツ/52.5kg)
勝者:會町 / 判定0-3 / 主審:鈴木義和
副審:川上29-30. 馳29-30. 佐藤友章29-30

◆4月よりPRIMA GOLD杯ミドル級トーナメント開催!

NKB(日本キックボクシング連盟、K-U)では、「PRIMA GOLD杯ミドル級トーナメント」を4月13日(土)後楽園ホールから開催。

国内トップクラスのミドル級選手8名が集まり、初戦(準々決勝)4月13日、準決勝6月15日、決勝10月12日までのトーナメントで優勝を争います。

純金ジュエリーブランド「PRIMA GOLD」の提供により開催されるこのトーナメント、優勝者には副賞として30万円が授与されます。(PRIMA GOLD販売サイト https://www.rakuten.ne.jp/gold/24k-shop/

初戦(準々決勝)、準決勝は3回戦、決勝は5回戦で行なわれます。 
(引分けの場合、いずれも延長1R有)

PRIMA GOLD杯ミドル級トーナメント準々決勝3回戦 4試合

NKBミドル級チャンピオン.西村清吾(TEAM KOK/40歳/13戦9勝《2KO》2敗2分)  
        VS
J-NETWORKミドル級3位.小原俊之(キングムエ/ 33歳/12戦7勝《3KO》4敗1分)

清水武(元・WPMF日本スーパーウェルター級C/sbm TVT KICK LAB../ 31歳/31戦16勝《6KO》14敗1分)
        VS
郷野聡寛(第4代全日本ヘビー級C/GRABAKA/44歳/16戦9勝7敗)

日本ミドル級1位.今野明(市原/35歳/32戦16勝《15KO》13敗3分)
    VS
井原浩之(前・MA日本ミドル級C/ Studio-K/33歳/19戦12勝《4KO》5敗2分)

NKBミドル級 1位.田村聖(前・C/拳心館/30歳/14戦8勝《5KO》5敗1分)
       VS
J-NETWORKミドル級 1位.吉野健太郎(前・C/TEAM COMRADE/43歳/14戦6勝《4KO》4敗4分)

PRIMA GOLD杯トーナメント

《取材戦記》

久しぶりに船木鷹虎氏と対面。鷹虎ジムとしては初めて出場の日本キックボクシング連盟興行だそうで、鷹虎ジムから2名出場しました。昔、団体を転々とした気まぐれ瀬戸幸一会長の仙台青葉ジムに所属していた船木さんは、この団体でも活躍しました。“ヤンガー舟木”というリングネームで戦い、後に日本ムエタイ連盟と全日本キックボクシング連盟でチャンピオンに君臨。この団体興行では久々の顔見せとなりました。

トーナメント戦はキック界に於いて、過去にも幾つも行なわれてきた優勝や賞金を争う戦いでした。

PRIMA GPLD杯ミドル級トーナメントについては、常識どおりのミドル級リミット(72.57kg以下)で行なうこと。勝ち上がり、一定期間を置きながらコンディションを整えた試合となります。チャンピオンクラスが出場なので、できればすべて5回戦であるべきと思うところですが、今時の習慣に寄るものと各興行の全ラウンド数の兼ね合いもあって準決勝までは3回戦となる模様。これで真の国内ミドル級覇者が決まるものではなく、まだ中間点。更なる終わり無きトーナメントに期待が向きます。

3.5kgオーバーで出場したリョウタは勝ちましたが、この日は従来どおりのグローブハンディーのみ。そのグローブハンディーは「ハンディーになっていない」という意見を聴くことがあります。「2オンス重い分、逆に有利ではないか」、「グローブが大きい分、ブロックが楽ではないか」、「蹴りにはハンディーが付いていない」という意見。ならばグローブハンディーはせず、オーバーウェイト側に、そのウェイト差に応じ減点させる制度も近年採用され始めました(500グラム以内で1点とか)。これも減点が正しい手段か難しいところですが、議論が増えるに従い、進化していく競技でもあるでしょう。プロボクシングルールは参考に成る教科書。大いに活用すればいいと思うところです。

日本キックボクシング連盟・出陣シリーズvol.2は4月13日、上記どおりの主要カードが組まれています。

戦い終わってツーショット、山浦俊一と高橋聖人

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]

フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

衝撃満載『紙の爆弾』3月号絶賛発売中!

上條英男『BOSS 一匹狼マネージャー50年の闘い』。「伝説のマネージャー」だけが知る日本の「音楽」と「芸能界」!