感染拡大が確実なのに、日本政府の対策が定まらない。いわずと知れた新型コロナウイルス(COVID-19)についてである。「専門家会議」なる団体は「罹患の恐れのある人は自宅で留まる」ようにと、責任放棄ともいえる暴論をはきだした。


◎[参考動画]「1、2週間が瀬戸際」 政府の専門家会議が見解(ANN 2020/02/25)

新型コロナウイルスに罹患しているかどうかをチェックするキットは、すでに開発されているのだから、軽度のうちに罹患者を発見し、家族や周辺の人から罹患者を隔離するのが、予防原則だと思うが、厚労省にはそういう考えがないらしい。

大規模イベント主催者の対応には、苦悩が見られる。無観客試合を計画したり、コンサート場などは中止も珍しくなくなってきた。そのなかで、最後の最後まで「連中」が放棄しないのは、利権の祭典「東京五輪」だ。しかし、わたしに限っても、これまで何回も批判してきた偽りの「復興の祭典」は、文字通り赤信号がともりだした。日本を対象として「渡航禁止」を出す国が増加しはじめた。各地の観光地も閑散とした状態で、ついに愛知県では旅館の倒産も発生した。

朝日新聞紙上は矛盾に満ちている。「東京五輪」称揚と、新型コロナウイルスにに対する警鐘。優先順位をスポンサーである立場が誤認させているのか。なにを優先すべきかがまったく伝わらない。


◎[参考動画]IOC委員 東京五輪中止も検討 判断は5月下旬まで(FNN 2020/02/26)

ある程度は仕方ない面もあろうが、クルーズ船内では、かえって罹患者を増加させてしまう始末。神戸大学の岩田健太郎教授がその対応の杜撰ぶりを徹底的に糾弾した。あれと同程度に無責任な体制が「東京五輪」を背景に抱えることにより、深刻化している。「重症者」になってから対応したのでは、感染症は遅い。この簡単な原理原則が通じない、この国では、残念ながら爆発的感染が近く訪れるだろう。


◎[参考動画]Japan ends ‘failed’ coronavirus quarantine on cruise ship(DW 2020/02/19)

わたしは、おもしろがっているのではない。わたし自身が癌患者を家族に持つものとして、医療機関で検査を進めているが、感染症の爆発的広がり(パンデミック)は、感染症以外の疾病患者への対応を遅らせることにより、副次的に犠牲者を増やしてしまう。

こういった大規模な感染症にどのように対応するかどうかで、その国や地域が国民の命をどう考えているかが鮮明に浮き上がる。嘘ばかりついて、責任を取らない最高権力者をこれほど長く頂いていると、結局被害にあうのは国民だということを、痛みをもって(場合によっては「取り返しのつかぬ」かたちで)知るしか手段はないものなのか。残念至極である。


◎[参考動画]【報ステ】“コロナショック”株価急落 経営破綻も(ANN 2020/02/25)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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