この「通信」前号(7月27日)において、くだんのM君リンチ事件にまで引き続く〈差別と暴力〉について忌憚なく申し述べました。特に私の大学の先輩が巻き込まれた1974年の「八鹿(ようか)高校事件」を引き合いに出して記述しました。以前だったら、タブーの中のタブーで、こうした形で述べることなどできなかった問題ですが、李信恵さんらによるM君リンチ事件を論じる際に、どうしても避けて通れない問題です。少なくとも私にとっては……。そうは言っても、やはり構えてしまいましたが、勇気を奮って書き綴りました。〈差別と暴力〉── 45年余り経ってもいまだにはっきり総括されていませんし、加えてM君リンチ事件(被害者M君支援と真相究明)に関わることになり、私なりに悩みながら真剣に考えてきたつもりです。

しかし、M君リンチ事件を本質的に検証・総括する際には、この〈差別と暴力〉の問題は避けて通ることはできません。ひいては、反差別運動、社会運動、市民運動の内部における暴力(言葉の暴力も含め)は決してあってはいけません。それを、M君リンチ事件では、いわゆる「反差別」運動の中心とされる者らがやったということで深刻であることは言うまでもありません。この問題を隠蔽したり逃げている人たちに、人間としての真摯さを見ることはできませんし、「八鹿高校事件」のように、この問題が将来的に運動に深刻な〈影〉を与えるとは思わないのでしょうか。

くだんの「通信」について、ノンフィクションライターの立石泰則氏はご自身のFBで次のように述べておられます。──

〈「目的は手段を正当化しない」とは、ずっと言われ続けてきたことだが、左右のイデオロギーに関係なく暴力に走る者は後を絶たない。「正義が暴走して何が悪い」と公然と言い放つ弁護士まで現れる始末で、世の中の腐敗・堕落が全体に進んでいるように思います。
「差別問題」はイデオロギーやどんな組織に所属しているかなどに惑わされることなく、「事実」と向き合うことがもっとも大切なことだと改めて実感させられています。〉

まったく同感です。

ところで、対李信恵第2訴訟(大阪地裁第24民事部)、この訴訟は、李信恵さんによる鹿砦社に対する止まることのない「クソ鹿砦社」「鹿砦社はクソ」等という誹謗中傷について不法行為が認定された訴訟の「反訴」として出され併合審理を求めながら裁判所に認められず独立した「別訴」とされたものです。李信恵さんは原告として鹿砦社に賠償金550万円と出版差止めを求めています。これまで非公開の弁論準備手続きが続いてきました。この間、李信恵さんはただ1回出廷したのみで、私は突然目が見えなくなるという急病で1度は休ませていただきましたが(この時、提訴の材料とされた証拠資料の原本を提出しようとして前任の裁判長は頑なに拒否するという事件が起きました。一部分のコピーでいいというのです)、こういうことが再びあってはいけないということもあり、これ以外は全回出廷し陳述書も4通も提出しましたが、ようやく来る11月24日(大阪地裁1007号法廷)に本人尋問が行われることが決まるところまで来ました。午前11時から被告(鹿砦社)側、こちらは取材班キャップ・田所敏夫さん、昼休みを挟んで午後1時20分から原告・李信恵さんの、それぞれ尋問となります。李信恵さんは、この訴訟のみならず、今さして訴訟も抱えていないようですので、おそらくこれが最後の尋問になるのではないでしょうか。

ちなみに、前任の増森珠美裁判長は、李信恵さんが在特会らを提訴した訴訟で、李信恵勝訴の判決を下した裁判長です。さすがに不公平は否めず(ですから、冒頭から証拠資料の原本を拒絶したり強権的で不可解な訴訟指揮をやったのでしょう)、私たちは裁判官忌避申し立てを行おうとした、まさに当日、急に京都地裁に異動になりました。新たな裁判長に交替になりましたが、増森裁判長のままだったら、「闘わずして敗北する」ことは必至だったでしょ

少し先になりますが、今から日程の都合を調整されぜひ傍聴をお願いいたします。おそらくカウンター/しばき隊側は、以前のようにいつもの顔ぶれを大挙動員してくるものと思われます。「俺を倒してから世界を動かせ!」(学生時代に学費値上げ阻止闘争で仲間と立て込もったバリケードに書いた言葉)という心構えで、常にたった一人ででも権力・権威や不条理と闘う気概を持った私や田所さんと違い、徒党を組まないと何もできない人たちですからね。M君裁判を支援する会も解散した今、支援されてきた皆様のどれほどが傍聴されるかわかりませんが、彼ら「反差別チンピラ」(森奈津子さんの規定)に対峙するには私と田所さんとで十分です。それでもできるだけ多くのみなさんが、李信恵さんの酒焼けした顔を見るぐらいの気持ちでご参集ください。

ちょうど田所さんは8月6日にみずからが広島原爆被爆二世であることをカミングアウトされました。被爆者やその二世、三世がどれほどの後遺症や差別に苦しめられてきたか、言うまでもありませんが、いつもは「差別」という言葉を“錦の御旗”にみずからが「被差別者」であることを殊更喧伝し、相手にカマシを入れ萎縮させる李信恵さん、あるいは彼女の熱烈支持者たる神原・上瀧両弁護士らが、在日コリアンとは違う被差別者の田所さんにどう対応するか──決戦は11月24日です。

さらには、この4年有余にわたる「カウンター大学院生リンチ事件」、別称「しばき隊リンチ事件」の検証・総括本(タイトル未定)の集稿。編集作業も開始しました。いちおう11月24日の上記尋問までの出版を目指しています。本質的に「カウンター大学院生リンチ事件」(別称「しばき隊リンチ事件」)とは一体何であったのかを広く深く探ります。加えて、M君訴訟の控訴審以降の最終報告と総括、鹿砦社vs李信恵/藤井正美訴訟の経過報告などてんこ盛りの内容です。執筆陣も特別取材班はじめ山口正紀、黒藪哲哉、森奈津子、合田夏樹、尾崎美代子さんら、もちろんM君も、多士済々の人たちによって、運動内部での激しいリンチを惹き起こした「反差別」―カウンター運動の問題を検証、総括いたします。これまでの5冊の本同様、期待を裏切りません。ご期待ください。

リンチ事件を隠蔽しても、一時的には事実をカモフラージュできるかもしれませんが、それは本来の反差別運動、社会運動、市民運動の正しい姿ではありません。私たちは、徹底した調査・取材によってリンチ事件の真相究明をなし遂げ、将来への〈生きた教訓〉にせねばなりません。私の言っていることは間違っているでしょうか? 「間違っている」と言うのであれば、「言論には(暴言・暴力ではなく)言論で」きちんと反論していただきたい。逃げても何も解決しません。

そのように春先から膨大な資料を整理してきましたが、目についた李信恵さんによる鹿砦社に対する倒錯したツイートのほんの一部をアトランダムに以下掲載しておきます。今読むと、怒りを通り越して笑止千万です。中でも、鹿砦社取材班のメンバーによる「嫌がらせ」や「妨害」で、警察に相談したとか(警察からは何の連絡もありませんし、これを李信恵さんは裁判で主張してもいません。おそらく虚言、カマシだと推察されます)、目が痛くなった、体調を崩した等々と、被害妄想もいい加減にしてほしいものです。李信恵さん、あなたの「被害」なるものよりも、酷いリンチを受けたM君の心身にわたる〈被害〉のほうが遙かに深刻です。もういい加減、血の通った人間の心を取り戻してください。

「反差別」運動の女帝の素晴らしいツイート

同上

同上

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