筆者が社主の広島瀬戸内新聞では、12月22日(水)20時~、オンラインで以下の要領でおしゃべり会「どうなる 介護現場 働く人の処遇改善、そして利用者・ご家族の安心はどこへ」を開催します。お待ちしております。

オンラインおしゃべり会
「どうなる 介護現場 働く人の処遇改善、そして利用者・ご家族の安心はどこへ」

主催 広島瀬戸内新聞
とき:2021年12月22日(水)20時~
ミーティングID: 411 718 3285
パスコード:5N6b38

本社社主のさとうしゅういち(介護福祉士・元介護保険担当県庁マン・岸田総理の選挙区の有権者)から、介護保険制度のこれまでの経過と岸田政権がおこなおうとしている処遇改善など介護保険制度について問題提起。

そのあと、参加者との質疑応答、そしてみなさまでの意見交換をしていきます。ご発言はよりおおくの方にしていただくために原則2分以内。また、チャット機能もご活用ください。

どなたでもご参加いただけます。入退室ご自由です。顔出ししたくないかたはされなくても結構です。

趣旨 介護の「社会化」があやしくなる中でご利用者・ご家族の安心をどうつくるか?

2000年に介護の「社会化」(とくに女性を中心にご家族ばかりで介護労働を背負うのをやめる)をかかげて介護保険制度ができて21年が経過しました。

しかし、現場で働く労働者の労働条件は劣悪で慢性的な人手不足となっています。給料が低いので人手が不足する。不足するから現場の人間関係も悪化する。ますます人が定着しない、の悪循環が依然、続いています。

全産業平均(役職者抜き)の平均月収が36.6万円に対して介護職員平均は27.4万円。(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/zensedaigata_shakaihoshou/dai6/siryou1.pdf の7ページ)
そこへ、コロナ禍がおそいかかり現場の疲弊は頂点に達しています。

この間、「消費税増税」を社会保障の充実ために使うという安倍晋三さんらの触れ込みとは正反対に、利用者負担は増える一方です。たとえば、お金持ちとはいえない水準の利用者に2割負担、3割負担が導入されています。そして、利用控え、家族の介護負担が増え、当初から危惧された「保険あってサービスなし」になりつつあります。

さらに、家族の介護で人生を消耗してしまうという状況がいまや、いわゆる老老介護だけでなく、若者や子どもにもいわゆる「ヤングケアラー」として広がっています。

介護の社会化という当初の目標がますますあやしくなっています。こうした状況をどう改善し、働く人もなによりご利用者・ご家族も安心でできる介護をどうつくるか? 現状を勉強した上でざっくばらんに意見を交換したいと思います。

◆衆院選2021の前にも開催

広島瀬戸内新聞では、2022年10月7日に、オンラインおしゃべり会「介護と衆院選」を開催しています。介護現場のあり方はすべて法律で決まっています。介護現場の改善のためには衆院選への取り組みが大事という趣旨で開催させていただきました。わたくし・さとうしゅういちと、介護福祉士で衆院選2021山口4区において安倍晋三さんに挑んだ竹村かつしさん、そして関東地方の現役介護職員2名をパネラーに意見交換しています。給料の抜本的な改善は本当に共通の切実な思いであることを確認。

また、特養における夜勤の人員基準の改善をもとめる声が強く出ました。とくにユニット型ではプライバシーが守れると言われて進められてきたのですが、人員が少ない日本では目が行きにくくなって危険、などの現場を踏まえた意見が出ています。

また、「普通の会社員」という方からも、そもそも、こういう市場原理で介護をやるのは難しいのではないか?というご意見もいただきました。

今回は、衆院選2021終了後、最初の取り組みとなります。地元・広島選出の岸田総理が、自民党総裁選2021、そして衆院選2021で介護職員の給与アップを公約にして勝利したことを受けての開催となります。

◆岸田総理による介護労働者の給料アップ・改革案をどうみるか

ただし、総理が現時点で打ち出しているのは、2022年2月からの3%アップです。普通の状況であるなら3%アップはありがたい。しかし、介護職員の場合はベースとなる現在の給料が低いのです。

そして、そもそも、総理は経団連に対して労働者全体の3%賃上げを求めています。これでは、他の産業平均との格差は実額ではむしろ拡大してしまいます。たとえば広島で言えばマツダの社員のほうが一般的には介護職員より給料は高いから、一律に3%アップなら格差は拡大してしまいます。

もちろん、総理もおっしゃるとおり(本当は連合など労組がもっとガツンと取り組まないといけないのですが)、労働者全体の給料アップもマクロでみて必要ですが、人手不足解消の決定打にはならないのです。

一方で、介護労働者の給料アップを介護報酬の中だけで行うのは困難です。今までは「処遇改善加算」という形で介護報酬に上乗せして、給料アップを事業者に促してきました。

こうした中で、わたしがれいわ新選組の政策の「介護職員給料10万円アップ」をご紹介させていただくと、「たしかに介護の給料が低いのは問題だが、俺の介護保険料負担が上がるのは勘弁してくれ」といったご反応も少なくありません。今回の給料アップは補正予算で当面は行うものです。今後、恒久的な給料アップを実施する際は介護保険の枠ではなく、一般財源(税金でもいいが、れいわ新選組などが主張するお金を刷って調達するのでもよい)投入で行うべきと考えます。最終的にはやはり、公務員化(そもそも大昔は広島市でも訪問介護を公社でやっていた)をめざすべきではないでしょうか?

また、総理はITなどを導入しての効率化も打ち出しています。もちろん、ITの導入で現場が効率化するのはよいことです。しかし、それとセットで人員基準の緩和が目指されているのが大問題です。

実際に、介護施設で夜勤をしてみればわかります。わたしは、一人でグループホームのワンフロア9人を見ています。夜、あちこち徘徊されるお年寄り、心配事を何度も相談に来られるお年寄りもおられる中で、IT化したとしても、人員を削減する余地はどこにもない、と実感します。

これまで、根本的には女性の仕事だからと、与野党から結局は後回しにされてきた介護労働。総理が重視をせざるを得ない状況になったのは事実です。

いまこそ、現場の声を、利用者・ご家族の声をガツンと総理に伝えていかないといけない。総理のお膝元・広島から全国とつながりながらがんばっていきましょう。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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