石川県中能登町で行われた町長選をめぐって、選挙管理委員会が絡んだ不正選挙疑惑が浮上している。皮肉なことに「100日裁判」と呼ばれる司法の壁が、事件の真相解明を阻んでいる。そこから、権力構造の歯車としての司法の立ち位置と、形骸化した日本の議会制民主主義の実態が輪郭を現わしてきた。

 

記者会見する木原弁護士と林前町議

事件の発端は、2021年3月21日に投開票が行われた町長選である。この町長選で落選した林真弥(前町議)氏は、選挙管理委員会に対して選挙の無効を申し立てたが、選管はこれを棄却した。そこで林前町議は、石川県選挙管理委員会に対して審査を申し立てた。しかし、石川県選挙管理委員会は、それを棄却した。

そこで林前町議は昨年の9月29日に、石川県選挙管理委員会を相手に選挙の無効を求める裁判(名古屋高等裁判所・金沢支部、合議体)を起こしたのである。審理は現在、林前議員側が忌避(裁判官の交代を求める手続きで、現在は最高裁で継続している)の手続きを行っているために中断している。

このところ地方議会を舞台とした不祥事が相次いでいる。たとえば以前に筆者がとり上げた神奈川県真鶴町の事件である。町長(当時は町職員)が選挙管理委員会の職員と結託して選挙人名簿などの複写を持ち出し、自らの選挙に使用した事件である。現在、住民グループが町長らを横浜地検へ刑事告発している。

◎[参考記事]すでに崩壊か、日本の議会制民主主義? 神奈川県真鶴町で「不正選挙」、松本一彦町長と選挙管理委員会の事務局長が選挙人名簿などを3人の候補者へ提供 http://www.rokusaisha.com/wp/?p=40794

この記事を読んだ石川県中能登町の住民が、同町で起きた事件についての情報を筆者に提供したのである。

◆町長選の候補者が母親と無理心中

疑惑は、昨年の3月21日に投開票が行われた町長選で浮上した。この選挙には当初、尾田良一(前町議)氏、林真弥(前町議)氏、それに廣瀬康雄氏(前副町長)の3名が立候補した。このうち廣瀬氏は、杉本栄蔵前町長の後継者とみられていたらしい。

ところが廣瀬氏は、選挙選がスターとする前に変死を遂げる。

2021年2月16日付け『北陸中日新聞』(電子)によると、「中能登町武部の前副町長、広瀬康雄さん(65)方で、『家族二人が血だらけで意識がない』と、親族の女性から一一九番があった。駆け付けた七尾署員が、広瀬さんと母芳江さん(93)が同じ部屋でいずれも首から血を流し倒れているのを発見。二人は病院に搬送されたが、一時間後に死亡が確認された。広瀬さんは3月16日告示の同町長選に出馬予定だった」(https://www.chunichi.co.jp/article/202839)という。

警察は、後日、この事件を無理心中と結論づけた。実際、廣瀬氏は町長選に出馬することを嫌がっていたという。廣瀬氏は、副町長の経験があるとはいえ、元々は中能登町の職員で、選挙の経験はない。

 

当選した宮下為幸氏、自民党石川県連、公明党県本部推薦(出典:北國新聞電子版、2021年3月21日)

とはいえ町の工事請負業者選定委員会の委員長などを務め、杉本町長とは親密な関係にあった。杉本町長の会社である杉本工務店の公共事業の入札に関して、林前町議から談合疑惑を追及されたこともある。町長を務めるにしては汚点があったのだ。その廣瀬氏が心理的なプレッシャーから自殺したのだ。

廣瀬陣営としては、談合を追及したことがある林前議員が町長に当選する事態だけはどうしても避けたかったようだ。そこでやはり杉本町長に近い宮下為之氏(撚糸の会社の経営者)を擁立したが、選挙選には完全に出遅れたのである。ところが開票の結果、次のようになった。

宮下為之:5,069
林 真弥:2,565
尾田良一:1,501

この選挙結果に林前町議が異議を申し立てた。開票プロセスの中で、宮下陣営に不正があったとして、4月5日に中能登町の選挙管理委員会に対して選挙の無効を申し立てたのだ。しかし、申し立ては却下された。そこで前町議は石川県選挙管理委員会に審査を求めた。審査は却下された。そこで林前議員は、最終的に石川県選挙管理委員会を被告として選挙の無効を求める裁判を起こしたのである。

◎訴状の全文 http://www.kokusyo.jp/wp-content/uploads/2022/04/mdk220415.pdf

 

中能登町役場(出典=ウィキペディア)

◆林前町議が裁判所へ求めた4つの調査

林氏が、不正選挙の根拠としたものは、開票のプロセスに不可解な点があることだ。

訴状によると、最初に開票された当日投票分は、林氏が2400票で宮下氏が1200票だったが、「17分の立会人への回付が止まった後に回付された期日前投票」(訴状)の票は、林氏が100票、宮下氏が3200票になっていたという。その原因として、期日前投票の票が、すり替えられたり、偽造された可能性などを指摘している。また、開票作業中にすり替えが行われた可能性も指摘している。

これに対して石川県選挙管理委員会は、「一時的にせよ、原告が大幅に得票数でリードしていた、あるいは17分間という長時間にわたり、選挙立会人への回付が止まったという事実はない」と真向から反論している。また、投開票のプロセスにも汚点はないと主張している。

原告は、今回の町長選に限って開票の際に票の「読み取り分類機」が使用されなかったことも疑問視している。

原告の林前町議は、11月24日に行われた第1回口頭弁論で次の4点について裁判所が職権で調査するように申し立てた。

1、北國新聞が実施した出口調査の結果の開示。(調査嘱託申立書)

2、未使用の投票用紙の確認。(検証物提示命令及び検証申立書)
 ※票のすり替えがなければ、適正な枚数の用紙が残っている。当然、有効票についても確認する

3、有効票の筆跡鑑定(鑑定申出書)

4、開票作業のビデオ映像の確認(調査嘱託申立書(2))
 ※テレビ金沢と北陸朝日放送がそれぞれ撮影したとされる開票作業のビデオにより、開票作業が公正に行われたか否かを確認する。

◆真相解明の壁、「100日裁判」

閉廷後に記者会見した林前町議と代理人の木原功仁哉弁護士によると、蓮井俊治裁判長は早々に請求を却下すると告げたという。これに対して木原弁護士が抗議したところ、蓮井裁判長は第2回の口頭弁論の期日を12月24日に設定した。1回で結審することに、さすがに良心の呵責を感じたのだろう。

しかし、第2回口頭弁論で裁判長は結審を決めた。もちろん原告が裁判所に求めた4件の調査も実施されない。こうした状況の下で原告は、裁判官らの忌避を申し立てた。しかし、それも却下された。原告は抗告、さらには特別抗告(最高裁)を申し立てたが、やはり棄却された。現在、裁判は継続している。

ちなみに選挙の無効などを求める裁判では、公職選挙法の213条が適用され、裁判を迅速に進めるために、起訴から100日以内に判決を出すよう努めなければならないとされている。俗に「100日裁判」と呼ばれている。中能登町のケースも、「100日」裁判が適用されたのである。

しかし、筆者が取材した限りでは、明らかな疑惑がある。選挙結果が覆らないにしても、裁判所は真相を解明する義務がある。とりわけこの町長選に関連しては、自殺者が出ているわけだから、曖昧に闇に葬るわけにはいかない。司法制度が不正を隠す役割を担ってはいけない。

日本の議会制民主主義は形骸化して、すでに中身は崩壊している可能性もある。選挙監視団を導入する制度が必要なまでに劣化しているのではないか。


◎[参考動画]2021年11月24日の記者会見

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

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黒薮哲哉『禁煙ファシズム-横浜副流煙事件の記録』

大阪で多重債務者らを支援する「大阪いちょうの会」の事務局長・川内泰雄氏から、西成でヤミ金に悩む人たちの相談の場を作りたいといわれ、店で相談会を数回やったのち、西成市民館での週1回の無料相談会に繋げることができた。10数年前のことだ。その川内氏から当時、ギャンブル依存症の問題からカジノ問題を教えて頂いた。韓国で、韓国人の入場を認めているカジノ「江原ランド」周辺に、質屋、中古車店、風俗店、金融屋が多数でき、「カジノホームレス」が増えている実態など。ほかにも、マネーロータリング、治安の悪化など問題山積のカジノを含むIR計画を、大阪維新が進めている。公金を絶対使わないと豪語してきた大阪維新だが、昨年12月公金を投入することが発覚し、潮目が一挙に変わってきた。

◆「違うんです」と公金投入を否定してきた松井市長

大阪府と大阪市は、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)を、大阪湾の埋め立て地「夢洲」で進めている。昨年12月21日、大阪府と大阪市、事業者に決まった米国MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックス合同の大阪IR社で作成した「区画整備計画案」が公表された。3月24日府議会で、29日市議会でIRカジノ関連議案が採択されたため、4月末に国へ申請を行うこととなった。

これまで「カジノに税金は一切使わない」と公言してきた松井市長だが、12月21日の計画案で、夢洲の液状化対策や土壌汚染の改良工事費用に約800億円の公金が投入されることが明らかになった。

2月16日、大阪府と大阪市が大阪IR社との間で締結した「基本協定」によれば、初期投資1兆0800億円、経済波及効果は1兆1400億円(運営)で、年間売り上げは5200億円(うち8割の4200億円がカジノ)となりという試算が出ている。大阪府は、そこから年740億円の納付金を受け取るほか、入場者収入320億円と120億円の税収も入るという計算だ。儲かるならば、ばくちに公金を投入しても良いという訳ではないが、果たしてこの構想は実現可能なのだろうか。

大阪府内各地で繰り広げられる署名活動

◆大阪維新の「負の遺産を作り替える」のウソ

その検証の前に、大阪維新のいつものやり口からカジノ構想が始めった経緯を見てみよう。実は、松井市長自身も「IRは全員が賛成とは思っていない。賛否拮抗していると思う。ただ夢洲の負の遺産を有効な資産に作り替えると公約で掲げ、エンタメの拠点としていく」と発言している。出た! 大阪維新の「負の遺産」。「どうしようもない場所を維新が見事に発展させてやった」という維新がよく使ういつものパターンだ。しかし、それが嘘であることは、私の住む西成の釜ヶ崎の「西成特区構想」が見事に証明している。橋下氏が市長時代が「西成がよくなれば大阪がよくなる」と始めた「西成特区構想」で、「まちづくり会議」の座長を務めた鈴木亘教授も、「ゴミが溢れ、ションベン臭く、覚せい剤の売人がいる酷い町」と釜ヶ崎をさんざんコケにし、俺の手で釜ヶ崎がよくなったと手柄にしようとした。

しかし、長年この街に住む私は、この発言に非常に違和感を覚えた。確かにかつての町の主流であった日雇い労働者は高齢化し、多くが生活保護受給者、年金生活者になり、活気は失せつつあるものの、皆が助け合う町であること、新参者、生活困窮者、様々な障害などを抱えた人にも非常に住みやすい町になったとの印象しかなかったからだ。そんななか、始まった「西成特区構想」はどうなったか?

西成特区構想の目玉の「あいりん総合センター」(通称センター)の解体は、その理由を10年以上前から「耐震性に問題があるから」と言われてきたが、2019年4月23日強制閉鎖されて以降も進んでいない。センターは未だにしっかりそこに建っている。コロナ禍にあるとはいうものの、本当に「耐震性に問題がある」ならば、即刻どんな手段を使ってでも、解体工事を進めなくてはならないのではないか。しかも、解体後に空き地をどうするかの具体的な計画も決まっていない。インバウンドが押し寄せていた当時は、センター跡地に屋台村を作ろうとの構想もあったように、維新が欲しいのは金になる土地で、そこに維新関連業者を投入し、儲けさすだけだ。

維新が「負の遺産」という夢洲も、大阪市のごみの最終処分場として機能しているうえ、コンテナヤードが整備された関西圏の物流の中心拠点となっている。 釜ヶ崎同様、夢洲も決して「負の遺産」ではないのだ。

◆「カジノで儲けて福祉に回す」のウソと欺瞞

大阪IR・カジノがダメすぎる2つのポイント

松井市長は、2016年12月22日、総合区・特別区に関する意見募集・説明会(平野区)でこう発言した。「カジノに税金は一切使いません。これは民間が投資する話なので、皆さんの税金がIR,カジノに使いません。特定の政党が間違った情報を流布していますけれど、これだけははっきり言っておきます。IR、カジノには一切税金は使いません。」。

更に、2019年9月12日大阪維新の会親睦会ではこう発言していた。「よく役所の周りにデモ隊がくるんですよ、『カジノをやめて福祉に回せ』言うてね。違うんですよ。カジノをうまく利用して、儲けて福祉に回すんです」。おい、いいのか、これ。ギャンブル依存症のオヤジが、ごはん食べれない子供らに「父ちゃん、次のレース取ったら、お前らに旨いもん食わせてやっからな」と同じではないのか。

しかもこの間のコロナの影響などもあり、カジノを含むIR構想は、2019年12月の基本構想から、IR施設の延床面積が3分の2、展示場は5分の1に削減・縮小され、当初掲げてきた「世界最高水準のIR」とは程遠いものになっている。松井市長がいう「経済波及効果1兆円超、納付金など収入1060億円」を達成するには、カジノで年間約6兆円の掛け金が必要になるという。ちなみにセブンイレブンの国内売り上げは約5兆円、JRA(競馬)の掛け金の全国合計は約3兆円。それよりカジノが集客できるというのだろうか?

コロナでインバウンドが激減して以降、カジノへの来場者は国内の日本人などが想定されているが、年間1430万人の集客しているユニバーサルジャパンと比較し、カジノは年間1070万人を想定しているという。この数字は、日本中の20歳以上の10人に1人が入場料6000円を払ってカジノに来場し、全員が1日あたり60万円をかけるという想定だ。これ、実現可能なのか?

しかも、大阪IRは35年契約のうえ、その後「事業継続を前提に」30年の延長ができ、実質65年のライセンスという異例に長期契約になっている。マカオのライセンスが20年から10年と厳しくなったばかりなのに。

一方で、万博・IRのために夢洲造成費用は、2021年度以降で2482億円を予定。この金額は、大阪市の年間税収約7500億円の3分の1に相当し、大阪市民一人あたり9万円負担することになる。

さらに驚くことがある。大阪市港湾局の資料によれば、そんなカジノで利益が出るのは、2076年以降、つまり54年後ということだ。ここまで来たら、辞めるしかないと考えるのが普通ではないか。

では、何故大阪維新が、初めから「負け」がわかっているバクチに売って出るのか? 答えは簡単、そこに利権があるからだ。土建屋はじめ維新の関連業者に儲けてもらうためだ。こんな大バクチにつきあってはいられない。

3月25日から始まった、カジノ誘致の賛否を問う住民投票条例制定を求める署名が始まっている。「ノーカジノ」を突き付け、維新政治を終わらせよう!

▼尾崎美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

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〈原発なき社会〉を求めて集う 不屈の脱原発季刊誌 『季節』2022年春号(『NO NUKES voice』改題 通巻31号)

藤井正美は、「しばき隊/カウンター」の中心人物として鹿砦社に入り込み3年間在籍しました。この間、労働契約に基づく「職務専念義務」を無視し勤務時間中に、私や社員に分からないように仕事をしている振りをして、鹿砦社の業務とは無関係のツイッターとメールを異常かつ膨大に発信しました。その数、ツイッターだけで約2万! メールも数多く、とりわけ近畿大学はじめ団体・企業に対して「取材」に名を借り「鹿砦社」の名を騙った恫喝メールを送り付けました。そうしたことから、常識的に考えて責任を追及されるべきでしょう。

また、本件訴訟は「カウンター大学院生リンチ事件(別称「しばき隊リンチ事件」)」とも絡み、藤井はその隠蔽活動にも尽力しました。

こうしたことに対し、鹿砦社は放ってはおけず給与返還、損害賠償を求め大阪地裁に提訴しました。しかし、大阪地裁第16民事部・本田能久裁判長(先般、冤罪被害者・青木恵子さんの国賠訴訟で国の責任を認めなかった判決を出したことで話題となった)は本年2月24日、原告鹿砦社の請求を全部棄却し、逆に反訴した藤井正美に対する名誉毀損とプライバシー侵害を認め鹿砦社に10万円の賠償金+弁護士費用1万円を課す判決を下しました。

当然鹿砦社は3月7日、大阪高裁(第3民事部)に控訴しました。その「控訴理由書」を4月15日提出したのです。これには心血を注ぎ27ページにも及ぶ長文となりました。一審判決の判決文に沿って一つひとつ丁寧に検証し、一つひとつに批判・反論を加え誤判と結論付けました。本控訴審は、代理人弁護士を立てず、私たちの主張がダイレクトに裁判官に伝わるように本人訴訟の形を採りました。なので「控訴理由書」も、これまでの対しばき隊関連訴訟を見てきた方々のご意見も反映させ私が執筆いたしました。前日夜まで推敲、修正、加筆を加え、現時点では最善のものになったと思っています。

画像の左が藤井正美。上部に野間の推奨コメントがある。松岡ら鹿砦社の関係者は、この画像を見て強い衝撃を受けた

藤井が発信したツイッターの一部

◆私たちの生きる社会の〈常識〉から逸脱した藤井正美の行為と、これを容認した大阪地裁の誤判

私たちの生きる社会は畢竟〈常識〉によって成り立っています。藤井正美が行った異常な行為は〈常識〉からかけ離れています。法律を司る者も、法律以前に〈常識〉がなければ虚妄です。ところが本件一審判決は、ことごとく〈常識〉に反し、現実からかけ離れた文集です。原告鹿砦社は、あくまでも私たちの生きる社会の〈常識〉に基づき一審判決の誤りを指摘し、控訴審に妥当な判断を求めるものです。

「釈迦に説法」かもしれませんが、そもそも裁判の意味とは、一切の予断と偏見なく証拠と法律に基づき事実関係を客観的に精査し公平・公正に審理し裁くことにあることは言うまでもありません。裁判所の存在理由(レゾン・デートル)はそこにあります。

しかし一審判決は事実関係のごく初歩的な精査もなさず、一審原告である鹿砦社が提出した数々の証拠を意図的に無視したとしか考えられません。それに対して一審被告藤井正美(代理人・神原元弁護士)の主張を過大かつ恣意的に評価しています。双方の主張と証拠を公平・公正に審理したとは到底言えない粗雑な判断です。

鹿砦社のリンチ関連本で有名になった、ITOKENこと伊藤健一郎(当時立命館大学大学院生)が作成し藤井と配布を画策したリンチ隠蔽の内部文書「声かけリスト」

同上「説明テンプレ」

◆鹿砦社に対する予断と悪意に満ちた一審判決は破棄されるべきです

一審判決は、被告藤井正美に不利なことには全部目をつむり、原告鹿砦社の主張のうち、藤井を勝訴させるにあたり、裁判所として都合の悪い部分や、きちんと説明できないことは無視して、鹿砦社を敗訴に持ち込む。そういう極めて恣意的な、鹿砦社に対する予断と悪意に満ちた不当判決だというのが、控訴人(一審原告)鹿砦社の見解です。

よって、一審判決は全面的に取り消され、あるいは変更されるべきであり、高等裁判所は、控訴人鹿砦社の主張を認め、被控訴人藤井正美への損害賠償が認められるべきです。

今後悪しき判例として残さないために、控訴審にあたり大阪高等裁判所は、一審判決のような誤判ではなく、藤井に対して〈社会の常識〉に照らした判断を下すべきです。

そうでなければ、裁判所が労働契約に基づいた「職務専念義務」を蔑ろにし藤井の不法行為を容認することになり、社会的にも、また藤井本人に対しても良い影響を与えません。かつて前例を見ない異常な不法行為には厳しい判断を藤井に課さないと、「裁判所が容認したから」と他社でも同様のことを繰り返しかねません。司法は、藤井が行った不法行為を決して容認してはならないのです。

さらに、昨今のSNSの拡大により、今後も本件と同種・同類の事件が起きることが予期されます。実際起きていて、例えば大阪国税局の職員は、勤務時間内にスマホで株取引を行い、懲戒処分を受け退職に追い込まれています。

そんな中、一審判決のような非常識な判断が確定すれば、裁判所が不法行為を容認することになり、この国が長年培ってきた社会規範が崩壊するでしょう。いくらなんでも、これは絶対避けなければなりません。

そうとすれば、本件は、単に鹿砦社と藤井正美間の雇用問題に留まらず、公益に係る問題であり、極めて公共性のある問題なのです。

よって、〈社会の常識〉から乖離した非常識な判断を下した一審判決のような〈ゼロ回答〉は変更されるべきであり、鹿砦社の見解を汲み常識的な社会規範に基づいた判断を求めるものです。鹿砦社が主張していることは常識的でシンプルです。

本件訴訟は、広く多くの人たちが注目しています。大阪高裁は、誰が見ても納得できる判断を下すべきです。

私たちは、これまでのリンチ被害者M君による対李信恵らリンチ加害者に対する訴訟、同じく野間易通に対する名誉毀損訴訟、また鹿砦社と李信恵間の訴訟同様、本件訴訟の帰趨について、今後も機を見て「控訴理由書」や判決文の公開と分析、これに対する意見などを全て報告していく所存です。

《関連過去記事カテゴリー》
 M君リンチ事件 http://www.rokusaisha.com/wp/?cat=62

Amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B07CXC368T/
鹿砦社 http://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000541

朝鮮の平壌市内に暮らす、よど号メンバーの魚本公博さんより、次のテキストが届いた。ただし、「依頼のあった」ということだが特に依頼したつもりはないため、今回で最終回としたい。

衛星放送を観ている魚本公博さん

◆「『日米同盟基軸』を問い直す絶好の機会」よど号メンバー・魚本公博さんより

「ピョンヤンからのラブレター」。今回、小林さんから「ウクライナ情勢で東側の言い分」を書いてはどうかとの提言をもらったので、それを考えてみました。題目をつけるとすれば「『日米同盟基軸』を問い直す絶好の機会」とでもなりましょうか。

ウクライナ事態を見る上で重要なことは、それが日本にとってどういう意味をもつのかということだと思います。

今、日本でのマスコミ報道は、「プーチン=悪」のオンパレードです。そして、それを利用して、様々な聞き捨てならない論説が出てきています。その典型は、安倍元首相や維新が主張する「核の共同所有」論でしょう。そして「非核三原則」の廃棄、敵基地攻撃能力保持、専守防衛の見直しなど9条改憲の動きが強まっています。

「核の共同所有」、その論理は「ウクライナは核を放棄したから侵略された。日本は核をもたねばならない。そこで、NATOのような核シェアリングを」ということです。

これを聞いて、私は1980年代初頭の欧州反核運動のことを思いました。当時、私は、欧州でこの取材をしていましたので、ことの外このことが頭をよぎったのです。

ことの始まりは、米国がNATOの未核保有国であるドイツ、ベルギー、イタリア、オランダ、トルコの5カ国に中距離核ミサイル・パーシングIIを配備する計画を発表したことです。それまで、核戦争は米ソ両国がICBMを相互に打ち込むというイメージでしたが欧州に中距離核ミサイルを配備すれば、欧州が核戦争の戦場になる可能性が高まります。そこで、「欧州を核の戦場にするのか」「米国を守るために欧州に盾となれと言うのか」という怒りの声が高まり、空前の「欧州反核運動」が起きたわけです。

安倍元首相らの「核の共同保有」論なるものは、「パーシングII配備」とまったく同じであり、それは、「日本を核の戦場にするのか」「米国を守るために日本は盾になれというのか」という問題だと思います。

このような「とんでも論」が出てくるのは、ウクライナ事態を「プーチン=悪」とのみ見るからです。しかし、その根本要因は「NATOの東方拡大」にあるということを見逃してはならないと思います。

冷戦終結期に米国のベーカー国務長官が「NATOの東方拡大はしない」と約束し、2014・15年の2回のミンスク合意でも約束したことを「俺が約束したことではない」と反故にし、NATOへの加盟、ドネツク、ルガンスク攻撃を強めたゼレンスキーに責任はないのでしょうか。そう仕向けた米国に責任はないのでしょうか。

そして考えるべきは、「米国の核の傘の下での平和」論の虚構性です。本来なら米国は核の脅しで、ウクライナへの侵攻は許さない、撤兵しろと言った筈です。しかし、それをせずに、米国もNATOも武器を送り込み、諜報部員を送りこんで、ウクライナ人に戦わせている。核の脅しなどやれば米国自体が危うくなると踏んでいるからです。

それだけ米国の覇権力が落ちたということでもありますが、そうであるのに、いまだに「米国の核の傘」を信じ、あるいは「核の共同所有」で、これを支えるなど、日本を核戦場にし、日本だけが戦わされるものにしかなりません。

日本は、あの地獄のような戦争を体験し、「もう二度と過ちはくりかえしません」と誓い「非戦、非核」を国是としました。ウクライナ事態は、その正しさを証明しているのではないでしょうか。9条自衛、専守防衛に徹し、対外的に敵を作らず友好国を増やして日本の平和と安全を守り、外交の力で対外問題を解決するということです。

そのためにも、「米国の核の傘の下での平和」。その具体化としての「日米同盟基軸」の国のあり方、そして、米中新冷戦で日本が対中国対決の最前線に立たされようとしていることの危険性などを真剣に考えるべき時です。

ウクライナ事態は、それを契機に起きた物価高騰などの経済混乱を含めて、日本が今まで通り「日米同盟基軸」でやっていくのか、それとも真に日本の平和のために、日本の国益のために、「日米同盟基軸」を見直すのかを問う絶好の機会となっているし、しなければならないと思っています。

◆防衛論の前に意識したい、善悪二元論を疑うこと

「『日米同盟基軸』を問い直す」こと自体は、国内の動きとして見受けられる。バイデン政権が対ロ参戦を否定したことにより、日本の防衛の前提とされていた「核の傘」が危ぶまれたからだ。

マスコミ報道には、変化が見られるようになった。個人的には日頃よりマスコミ報道を懐疑的に見ているが、左派などの間でブチャの虐殺などはデマであるという論調が広まり、それに対する反応も含めて眉唾ものだと考えていた。特に極端なものというのは、左右を問わず内容を疑い、エビデンスを追究すべきではないだろうか。すると、報道の側にも冷静なものが出始めるようになってきた。ただし、冷静を装うようなものもあるし、エビデンスが十分であるともいえない。

現代における情報戦では、情報が速く広く収集できるようになっている。いずれの側も権力者はそれを最大限に活用しようとするだろう。受け取る側も、ポジショントークとはいわないまでも人間であるがゆえ、信じたいものを信じがちだ。極端に走れば、いずれかの「陰謀論」に陥ってしまう。事例が多々見受けられる。このような問題に自覚的であるべきだと、私は思う。そのうえで、「真実」に近づくべきではないか。

「核の共同所有」論や(少なくとも現時点での)9条改憲には反対であり、そもそもアメリカから「独立」して戦争責任も取り直すべきと考えているが、その先に関してここに一度書いたものは消しておく。議論も重ねたいところだ。

ここ数日の間、インターネット上では、護憲派や自衛隊論を述べた共産党に対する批判が見られたり、「プーチンはアイヌ民族をロシアの先住民族に認定している」と危機感を表す人もいる。『ロシアにおける遵法精神の欠如 : 法社会学と経済史の側面から見たロシアの基層社会』という論文も注目された。朝日新聞社編集委員が安倍氏インタビュー記事公表前の誌面を見せるよう週刊ダイヤモンドに要求していたことも報道された。その一方で、日本とロシアの共通点をあげる人もいた。だが、「日本のために戦おうという国民は、ほとんどいないのではないか」と問う人もいる。今こそ「真実」を見極めながら、私たちはこれらのことについて考えるべきだろう。

▼小林 蓮実(こばやし・はすみ)
1972年生まれ。フリーライター、編集者。労働・女性・オルタナティブ・環境 アクティビスト。地域搾取や自然破壊の現場でカウンター活動をしていらっしゃる方、農作業や農的暮らしに関心ある方からのご連絡をお待ちしております。
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タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年5月号!

ロシアのウクライナ侵攻による戦闘は長期化しています。最近ではキーウ(キエフ)周辺からロシア軍が後退する一方で、東部の2州での戦闘が激化していると伝えられています。

◆広島でも反戦運動の反面、核武装論も勢いづく

こうした中で広島市でも、ロシアのウクライナ侵攻に抗議する行動が行われています。4月10日には、若者たちの3日程度前の呼びかけにより、原爆ドーム前に多くの人が集まりました。

一方で安倍晋三さんや「維新」による「核共有論」なども物議を醸しました。「核共有論」については、自民党でさえも、正式な党の見解として否定をしています。しかし、最近、「金正恩主義」とでもいうべき主張が街頭で接する有権者の方からも目立つようになりました。

この4月10日も、別の場所で街宣をしたあと、原爆ドーム前にかけつけようとした筆者に対して、以下のような主張をしつこくされる方がいらっしゃいました。「これからはアメリカには頼れないから、日本が独自に核武装して自衛するしかない。」ということです。

これは、そのまんま、朝鮮の金正恩総書記の主張です。金正恩総書記の主張は大まかにいえば、以下のようなものです。

「アメリカにやられないようにするには、我々は核兵器で対抗するしかない。」

アメリカをロシアや中国に入れ替えれば、この「おっさん」の主張とまったく同じになります。

4月10日、若者たちの呼びかけにより、原爆ドーム前に多くの人が集まりました

◆イラク戦争で加速した「金正恩主義」

冷戦崩壊でソビエトや中国の後ろ盾がなくなった以上は、アメリカにやられないようにするには、核兵器をもつしかない。そう金正恩総書記が考えるのも思考回路として「わからなくはない。」

実際、2003年のイラク戦争は、アメリカはイラクに大量破壊兵器がないにも関わらず、「ある」と決めつけて攻撃しました。金正恩総書記の父の金正日が「イラクは核兵器がないからアメリカにやられた」と考えたとしても不思議ではありません。実際、イラク戦争後に朝鮮は核兵器開発を加速させているのは皆様もご存じのとおりです。

◆「5大国はまとも」という国連・NPTの建前と実態のかい離

アメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランス。この5大国は第二次世界大戦の主たる戦勝国であることを背景に、国連安全保障理事会の常任理事国となっています。また、1968年に発足し、1995年無期限延長が決まったNPT(核拡散防止条約)で核兵器の保有を既得権として認められた国でもあります。両方のことには明らかに密接な関係があるといえます。

この五大国は「ある程度はまとも」だから、拒否権や核兵器の保有といった大きな力をもたせておいてもよかろう。また、大国同士なら、いわゆる核抑止力もはたらくだろう。

上記のような建前で、20世紀後半の国際秩序は動いていた、といって間違いないでしょう。5大国以外の国でとくに北半球の国は多くがアメリカかソビエトかにつき、どちらかの核の傘に入りました。

もちろん、実際にはヒヤリとする場面もありました。たとえばアメリカは朝鮮戦争で核兵器を使おうとしました。また、キューバ危機は有名です。その他にも核兵器という刀の柄に手を掛けたことは、何度かあったことが明らかになっています。実際のところは、たまたま、核戦争が幸運にも起きなかっただけかもしれません。ただ、核兵器の実戦使用は、ヒロシマ、ナガサキにおけるアメリカ。そして、アルジェリア独立戦争における実験と称したフランス軍による使用。これでとどまっているのも事実です。核兵器使用に反対する世論が大きいこと。それを考慮する程度の合理性は5大国の為政者にあったこと。これも事実でしょう。

他方で、冷戦時代、核は使わなくても、集団的自衛権と称した侵略も米ソ双方やっていました。そして、核兵器を独占する5大国への不満もつねにありました。「君たちは非核兵器国の安全を保障してくれるのか?」と。

◆イラク戦争契機に建前と実態のかい離拡大、そして「金正恩主義」の勃興

こうした建前と実態のかい離は、21世紀に入ると拡大していきました。911テロ後、アフガニスタンを侵略したアメリカ大統領のジョージ・W・ブッシュ被疑者はさらにイラクに先制攻撃。これは「大量破壊兵器がある疑い」で一方的に行ったものでした。そして、多くの市民が犠牲になりましたが、大量破壊兵器はありませんでした。「共犯者」の英国首相・トニー・ブレア被疑者は謝罪して政界を引退したものの、ブッシュ被疑者はまったく謝罪もせず補償もされませんでした。そして、中東は荒れ、ISが興隆。ISの鎮圧に手こずった米英は、結局、ロシアによる手荒なシリア空爆作戦を黙認することになります。このことで、プーチンが勢いづいた面は否定できないでしょう。そして、ロシアのウクライナ侵攻です。

そんなこんなで大国の信用は地に墜ちています。そうしたなかで、金正恩主義ともいえる考え方が日本をふくむ世界各地に広がるのも支持はしませんが「理解」はできます。

◆反米・反グローバリズムの一部に食い込む金正恩主義

また、反米主義・反グローバリズムの考え方の皆様の一部にも「金正恩主義」がくいこんでいる感じがします。街頭などリアルでも、筆者の食料安全保障強化や脱原発は支持しつつ、核武装して自衛するべき、という方に遭遇する頻度も以前に比べて増えています。アメリカへの反発の勢いあまって、という感じも受けます。もちろん、過剰なグローバリズムは脱却するべきでしょう。しかし、「金正恩主義」で大丈夫なのでしょうか?

◆収拾がつかなくなる金正恩主義

では、全ての国が「(核兵器をもつ)大国から防衛するために核兵器をもつ」などと言い出したらどうなるでしょうか?

おそらく、大混乱になるでしょう。日本だけがNPT/国連の例外だ、などということを納得する人はいないでしょう。「日本がもつなら俺も」と言い出す。実際に、過去にはアルゼンチンや南アフリカ共和国なども核兵器を開発していました。それを非核地帯条約加入にともない、放棄しているのです。昔のアルゼンチンや南アフリカ共和国のようなことを多くの国がやりだしたらどうなるか?合理的でない指導者が核のボタンをもつ確率もあがる。そして、おそらく、核兵器を使ってしまう国も出てくる。一度使われてしまえば、使用への心理的なハードルが下がる。そして、気がつけば地球滅亡、になりかねません。やはり、核兵器は禁止しかない。5大国も朝鮮などの小さな国も持たないようにしないといけないのです。

◆加害国であった過去 日本は忘れず核兵器禁止条約推進を

そもそも、日本が独自に核武装しようとすれば、国連憲章の敵国条項に抵触します。日本は袋叩きにあうこと必定です。日本は第二次世界大戦の敗戦国であり、アジアへの加害国です。そのことを忘れて独自に核武装など、袋だたき必定です。いわゆる反米や反グローバリズムは構わないのですが、日本が加害国であることを忘れて頂いては困ります。

日本の近隣にはASEAN・東南アジア諸国連合があります。すべて核兵器禁止条約に署名しています。あのミャンマーでさえです。最近では連携して米中両方にモノを言うようになっています。

NPT体制は核兵器廃絶を進めるものではありません。しかし、取りあえず、野球でいえばファウルボールでゲームセットを逃れるイメージで捉えれば良いでしょう。その上で、緊張緩和を、ランナーをコツコツ貯めていくイメージで進めていくべきです。

日本はとりあえず、核兵器禁止条約の締約国会議が6月にあるのですから、ぜひ、参加するべきでしょう。そうなると岸田総理の人気も上がって、参院選で広島の野党は筆者も含めて苦戦はまぬかれませんが、それはそれで仕方がないことです。党利党略ではなく、日本があるべき方向にすすむことが大事なのですから。

◆ウクライナ 1秒でも早い停戦を!

戦闘が長引けば長引くほど、核兵器をふくむ、力で問題を解決しようという考えが広がっていきます。正直、冷戦崩壊後、アメリカが調子にのりすぎて新自由主義グローバリズムで暴走した反動で、アメリカべったりの文脈の力の論理は、かつてほどは力がないかもしれない。

しかし、「金正恩主義」ともいえる「大国に対抗するために核武装」という考えは勢いづく恐れが日本国内はもちろん、世界でもありえます。わたしが街頭でお会いした「おっさん」のような方が一般市民の立場で発言する程度なら、笑い話でまだ済むかもしれない。しかし、朝鮮以外でも、国家の為政者が暴走して核を持ち出すようになってからでは手遅れです。あらゆる手段で1秒でも早くとりあえず、戦闘を停止することが大事です。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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◆ウクライナ情勢が浮き彫りにした日本の「好戦」指向

個別の事態が確実なものであったとしても、ではなぜその事態が生じさせられたのか?ある独裁者の思い込みだけが原因だと、断定することは乱暴ではないのか?身近な何人もの識者や学者がロシアによるウクライナ侵略の全体像をどのように考えればよいのか、苦悶している。

まさか21世紀に突きつけられようとは、予想もしなかった隣国へのある意味原始的な手法による侵略。この設問への私的な困惑は深く簡単になにかを断じることができない。ロシアの侵略行為に私は全く同感しないし、承認することはできないが歴史(直近から中長期のそれ)や、現存するNATOと消滅した「ワルシャワ条約国機構」の問題、さらには原発を巡るロシアの一貫しない軍事行動などを耳にすると、これが総体としていかなる現象(現地で痛みを負い無くなっておられるひとびとには失礼な表現かもしれないが)であるかの総体を表現することが極めて困難に感じるのだ。

◆軽すぎ薄っぺらすぎる言説と報道

一方でいまだに「西側」、「東側」という呼称が通用しているのもおかしな話だとしか思えない。ロシアもベラルーシも自称「旧社会主義国」ではあったが、現在経済体制は資本主義であり、その視点を維持すれば「西」対「東」の対決ではなく、帝国主義間の終末的領土・資源収奪争いの側面も、あながち無いとはいいきれないのではないか。

わざわざ「キエフ」を含む複数都市の日本における読み方の変更を政府が発表したら、何の疑問もなく新呼称を採用するのが大マスコミであり、政府専用機で20名の避難者を林外相が連れてきたことが大きく報道される。これまで政治難民申請に冷酷無比と言ってよかった日本政府の入管政策を知るものとしては、強烈な違和感を禁じ得なし、米国が侵略したアフガニスタンやイラクから日本政府は(米国侵略直後)難民を受け入れたか。そもそも「米国」を侵略者と規定する報道があったか……。

難民を受け入れることにわたしが反対なのではない。「日本政府は、ウクライナ情勢の前と後で、やることが全然違うじゃないか」というのが正直な感触だ。

◆強烈な違和感を象徴する「共産党の自衛隊容認姿勢」に迫る

そしてこの違和感は政府・マスコミだけに向けてのものではない。リベラルと呼ばれる層も含め、日本全体がまたしても「次のきな臭い段階」に入ったのではないか、とわたしは感じる。以下に一つの例を挙げよう。4月8日には「有事の際には自衛隊を活用すると訴え」共産党の志位委員長が述べたと報道された。

ことの次第を確かめるべく、4月11日共産党本部に電話で話を聞いた。

田所  報道で拝見しましたが、志位委員長が「日本に侵略があった際は自衛隊を活用して侵略を防ぐ」と発言をなさったと聞いているのですけれども、それは間違いありませんでしょうか。

共産党 共産党は日本国憲法を順守する考えだと理解していますが。

田所  日本国憲法と自衛隊は矛盾しない、というのが共産党の考えですか。

共産党 矛盾します。矛盾するというか今の自衛隊は9条とは相いれないと思っています。ですので将来的には解消を目指す立場です。

田所  憲法と矛盾する自衛隊に国を守らせる、ということですか。

共産党 そうですね。

田所  それがにわかには理解できません。

共産党 順序だてて言いますとね、憲法と相いれないと思っていますが、今すぐには無くせないんですよ。御存知の通り国民の8割、9割は自衛隊に好意というか、評価していますので。

田所  共産党の方々はいかがなのですか。

共産党 私たちだって憲法とは相いれないけど、敵視しているわけじゃないし。災害出動なんか大いに評価していますよ。

田所  災害出動が役に立つのは理解できますが、武装している自衛隊も是認なさっているわけ?

共産党 是認というか、憲法にはやはり相いれない。ですから解消を目指すんですけど、時間がかかるんです。明日政権に入っても国民がこれだけ「自衛隊が必要だ」と言っていると、いきなりは無くせないですよね。そんなことをやったら独裁になっちゃいますから。相当長い期間がかかるんですよ。そうしたら国民が自衛隊がなくても安心できる状態なるかといえば、やはり北朝鮮のミサイル開発ですね。あのようなことが解決するとか、中国の覇権主義的な行動がなくなるとかね、そういうことがないと、なかなかそういう世論にはならないです。平和な東アジアを作る外交を大いに共産党はやって、その条件を作る努力をしていきますけれど、時間がかかる。その前に私たちは「過渡期」と言っていますが、5年10年ひょっとしたらもっとかかると思いますよ。その間に仮に、そういう事態が起きたらどうするのかという話なんです。

田所  万一そう事態が起きたときに共産党は与党であったらという前提で仰ってるわけですか。

共産党 与党であっても野党であっても賛成するってことですよね。

田所  今は野党でしょ。

共産党 今、野党です。

田所  野党であってもあの憲法違反の自衛隊の存在に塩を送ると宣言なさるということですか。

共産党 認めるということですよ。

田所  (あまりの断言にやや間をおいて)日本国憲法の前文をもちろんご存知だと思いますが、その前文と9条は結びついてますね。にもかかわらず9条違反の自衛隊を認めないのに、侵略があった時には自衛隊の活動を認めると。その理屈はなかなか分かりにくいですね。

共産党 わかりにくいですか。さっき言ったように「過渡期」があると。

田所 「過渡期」というのであれば、共産党が自衛隊をなくそうとした時からが「過渡期」なのでしょ。

共産党 はいはい。

田所  今なくそうとするところにも至ってないんじゃないですか。

共産党 いえいえ、だから、なくそうとしていますよ。

田所  誰が?

共産党 私たちが党として。

田所  どういうふうに?

共産党 なくすために努力して、その為に平和な東アジアを作ることが大事なんですよ。

田所  でもあなたさっき仰ったけど、例えば北朝鮮の脅威、中国の脅威がなくなるようにということは外交努力で出来るかもわからない。けれども、今外交する立場に共産党はないわけですよね。いまは外交を司ってるのは自民党と公明党の連合政権でしょ。で彼らの延長線で良いということなんですか。

共産党 いえ、違いますよ。例えば夏に参議院選挙がありますけどそういうことをうちが掲げて……。

田所  いま仮に政権の座にいらっしゃったら、例えばロシアがウクライナに侵攻した。北朝鮮はミサイルを発射する。中国は軍備を増強している。これについてどう対処なさるんでしょうか。

共産党 例えばいま国会をやっていますけど、近々の課題はウクライナ問題ですよ。これは政府に質問をぶつけていますよ。外交的解決をするためにあるいは国際的世論を高めるために、日本政府として大いに努力しろと、いうことは常に言っていますよ。

田所  それは承知しています。ではなくて仮にですよ、いま政権の立場にあればウクライナ、あるいはウクライナがなくても危機と仰った朝鮮、中国に対してどのような外交を展開になさるんでしょうか。

共産党 中国で言えば、いま敵対しているわけですよね。中国とアメリカ、日本、豪州、インドとかなり軍事的な方向でやっているわけです。軍事演習も中国の目の前でガンガンやっているわけです。それではあかんと。たとえばASEANは域内で数十年来紛争しないと努力してきているわけです。ASEANを中心に東アジアサミットという枠組みがありまして、そこには中国もアメリカも日本も入っているわけです。その枠組みを利用して、中国も引き込みながらその中の話し合いで中国に「ちょっとやめとけよ」という話し合いをやって行こうと訴えています。

田所  中国の軍拡をちょっと収めてくれという訴えをするということですか。

共産党 順序がありますので、まずはそう言うところからはじめるというね。大事なのは信頼醸成ですよね。お互いに話し合って同じ方向で解決してゆこうと。急にこんなことはできるものではありませんから。で、最初の話でいうとそういうかなり時間のかかるプロセスがあると思うんです。その時に万が一攻め込まれた時、目の前で日本の国民が殺されかけているときに「自衛隊は憲法違反だからじっとしていろ」と、いう話にはならないですよね。

田所  なるかならないかは共産党のご見解です。憲法違反と言いながら憲法違反のやつらに武力行使を認めるというのが共産党の立場でしょう。

共産党 そうです、そうです。そういうことです。

田所  それを私は個人的には理解できないですね。憲法違反のものは憲法違反。憲法違反の人たちに何でもさせるということであれば、例えば刑法違反の人たちが何かを行っても認めると。刑法はもっと下位法ですから。

共産党 お宅様の立場は、そういう事態になってもじっとしていろと?

田所  日本国憲法に従う限りそうですね、仮に侵略があっても。

共産党 私たちはそれを責任のある政党の立場だとは思っていませんので。

田所  私は別に団体の代表でも何でもなくて個人なので、共産党が今まで自衛隊をすぐにはなくさないということを過去表明された事実も知っています。また国会の開会式には天皇がやってくることを理由にずっと出席をしなかったけれども、ある時期急に天皇が出席する国会の開会式に出席されるに至った経緯も知っています。ということは、どんどん右傾化してるんじゃないですか。共産党は。

共産党 だっていま仰いましたけど自衛隊のことは20年前ですよ。いまの見解を表明したのは……。

田所  だから20年以上前に明確に「転向宣言」出されたんじゃないですか。

共産党 そんなことないですよ。それはなんの絡みで言ったかといえば「9条の全面実施」という流れで言っているわけです。

田所  9条を全面的に実施するのに自衛隊を認められた。

共産党 うん。そういう国民的な疑問も出てきて、その中で改めて表明したわけです。

田所  だって「長沼ナイキ」って古い話ですけど、違憲判決もあったわけですよね。裁判所ですらが。控訴審でひっくり返っておりますけれども、それを共産党は認めるというわけですか。

共産党 何を認めるというのですか?

田所  だから自衛隊というもの自体が憲法違反だということを認めていながら、彼らが、仮に侵略者がいるとすれば武力行使することを認める、というご判断なんですね。

共産党 自衛隊が解消するまでの期間に、万一そういう事態があれば、ということです。

田所  なんでそんなこと今頃おっしゃるんですか。

共産党 だから……あなた自身も前から知っているとお認めになってるじゃないですか。

田所  いえいえ。志位委員長がどうしてこのタイミングで仰るのか。自衛隊をなくす間に、連立政権を実現するために共産党が自衛隊問題については「留保する」判断だと私は理解してたんですけど。

共産党 「留保」ではなく自衛隊が万一の窮迫性の事態の時には自衛隊を活用する、ということですよ。ちゃんと言っています。

田所  そんなことを胸張って言われたら余計にがっかりしますね。

共産党 22年前の22回大会で……。

田所  わたし党員じゃないから詳しいところまで知りません。だけども、22年前からはっきり言えば自民党と同じ主張をしていらっしゃったということですね。

共産党 同じじゃないですよ。違憲だというところは全然違う。

田所  違憲と言いながら、武力行使を認めるわけでしょ。違憲の武装集団が仮に攻撃を受けた場合の武力行使を認めるわけでしょ。それはごく基本的な論理的なところで矛盾じゃないかな。

共産党 個人で矛盾だと言う方々がいるだろうとは思いますけど、お宅様もたぶんそうなんでしょう。ただ私たちは政党ですからね。現実にそういう事態があってその時に自衛隊があって、訓練も積んでいると。スタンバイOKだというときにその出動を待てと。「お前ら憲法違反だから一歩も動くな」というのは政党としてはちょっと無理ですよ。国民の命がかかってるわけですから。

田所  国民の命がかかっている?

共産党 一方でそういう事態が起こらないように努力をしてゆくということです。

田所  分かりました。ありがとうございました。

例によってわたしと共産党のやり取りへの判断は読者諸氏にお任せする。ただし、わたしは共産党の言に強烈な違和感を抱いたことだけは強く述べておく。


◎[参考動画]日本共産党の躍進で日本の前途を切り拓く(日本共産党2022年4月7日)

▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。

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言うまでもなく、この国は地震大国です。記憶に残るのは1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東日本大地震、そして2016年、私のふるさと熊本で起きた熊本地震です。この4月14日、16日で6年です。

2016年4月14日の夜、ちょっと体調が芳しくなく早めに床についたところ、同志・安間弘志から電話があり叩き起こされ、「なんだい、しんどくて寝てるのに」と文句を言ったところ、「すぐにテレビをつけて見ろ」と言ったことを思い出します。もう6年か、阪神大震災から27年、月日の経つのは速い。

熊本地震の死者は、関連死も含め273人、郡部中心なのに大きな被害で、また広範囲です。九州の地震ではこれまで最大の被害だと思われます。

大きな被害を受けた、地震直後の熊本城

しかし阪神大震災の死者は6500人ほどで、うち私が住んでる西宮だけで1146人、被害の大きさが判ります。都市部の地震なので当然かもしれません。阪神大震災にしろ東日本大震災にしろ「大」が付くのに熊本地震には「大」が付かないのは死者が(阪神大震災や東日本大震災に比べ)少ないからでしょうか。

関西にしろ熊本にしろ地震はないといわれていましたが、考えてみると、熊本には阿蘇山がありますから大地震があってもおかしくはありません。というより、日本列島が火山だらけですから、いつどこで地震が起きても不思議ではありません。しばらくして帰郷しましたが、小さな頃から日々その雄姿を見て育ってきた熊本城、震源地の西原村、阿蘇へ行く途中の東海大学農学部学生のアパートは荒れ放題で、泥棒にもかなり入られたとのです。こういうのは絶対に許せません。

そして、先祖代々の墓がある、江戸時代から続くお寺も、本堂、山門も全壊。墓場も多数の墓が倒れていました。私のところの墓は前年秋に従兄弟と折半で200万円かけて改築したのですが、てっきり倒れているかと想像していたところ無事でした。きっちり仕事をしてくれた墓石屋に、茶菓子を付けてお礼の手紙を送った次第です。

松岡家の墓がある墓地。多くの墓石が倒れている

その後、徐々に被災から回復しつつありましたが、2年余り前から新型コロナで、同級生らも、この歳になって苦労しています。

もうひと踏ん張って帰郷したいと夢想する昨今です。

風よ吹け吹け 雲よ飛べ
越すに越されぬ田原坂
仰げば光る天守閣
涙をためて
ふりかえる ふりかえる
ふるさとよ    
(『火の国旅情』より)

ほぼ再建成りライトアップされた最近の熊本城(撮影:熊本在住のホシハラカツヤ氏)

避難所に貼ってあった寄せ書き

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年5月号!

「貧困のデパート」と自ら称する渡辺てる子氏は、2019年参院選と2021年衆院選に、れいわ新選組から出馬し落選した。その後も活動を続けていたが、立憲民主党から声をかけられ、最終的には、れいわ新選組の山本太郎代表とも話し合い、4月17日投開票の練馬区議補欠選挙に立憲民主党公認で出馬することに決まった。

その渡辺てる子氏の半生を描いた拙著「渡辺てる子の放浪記」(同時代社刊)の出版を記念する会で、本人が講演(2021年11月29日)した。

その第4回(最終回)では、困窮者を泥沼に沈める魔の言葉=自己責任を取り除き、怒りをパワーに! という主張をお伝えする。(構成=林克明)

 

『渡辺てる子の放浪記』(林克明著、同時代社)

◆自己責任という魔の言葉

「自己責任」は、最近の言葉ではないですか。イラクで日本人が人質になったときに、国を挙げて彼らを守るべきなのに、「危ない場所だと分かっていて、そんなところに行った人間を私たちの税金で助けるのはおかしい。自己責任じゃないじゃないか」ということを当時の首相すら言いましたね。小泉純一郎さんですが。

国家の役割は、そこに生きる人々の生命と財産を守ることです。それを放棄した言葉が自己責任という言葉です。自己責任とは、権力者がわれわれに対して向ける攻撃的で否定的な言葉です。

自己責任と言った時点で、政治をつかさどる人は自分の責任を放棄したことになります。政治家失格だと思って間違いない。

「あの人は今」になってしまった菅義偉さんが一年前に言ったのは、自助・共助があって初めて公助。あれも政治家失格、責任放棄の言葉ですが、自己責任と言った時点で思考停止になってしまいます。

あなたが悪いんだから、あなたが自分勝手にどうにかしなさい、と。自己責任を負っている人間以外は、あなたの問題を考える必要はない、解決する必要はないんだ、生きようが死のうが私には関係ないんだ、勝手におやりなさいというのが自己責任という言葉です。

つまり一方的なものです。強い者から、恵まれた者から社会的に弱い人に向けて声を上げるなと言っている。政策的、政治的、抑圧的な意味合いを持っているのです。

◆自己卑下すると居心地よく、声を上げるとバッシング

ところがいま自己責任が内面化されてしまっている。ワーキングプア―の多くの人々が、「自分が貧しいのは自分の努力が足りなかったからです、あのとき、もうちょっとああしていれば、頑張りが足りなかった、努力が足りなかった、自分には能力がないんです」って言っています。

これが、政治を劣化させている要因の一つだと思っています。政治家を甘やかす言葉になっています。

こうした自己責任の内面化を取っ払うには、自己尊重感、自分は権利を持つ人間なんだ、権利を行使すべき人間なんだという自覚だと思います。これがないと、自己責任だ、自分が悪いんだ、自分は社会保障を受ける分際ではないんだ、というふうに思ってしまうのです。

申し訳ないけれど、これは謙虚を通り越して自己卑下の最たるものです。でも、そのように自己卑下するほうが居心地のいいようにさせられてしまっています。これも洗脳の悪い成果のひとつですよね。

一方で声を上げる人間をみんなでよってたかってバッシングします。私もバッシングされました。

◆個人的な恨みつらみを一段上に進化させる

派遣労働者を一方的に雇止めするのはおかしいじゃないかと主張したことがあります。れいわ新選組の候補者になる2年前のことでした。

そうしたら、いろいろなマスコミが取り上げてくれました。なぜなら、そこまで明確に声を上げたのは、派遣労働者の中にいなかったからです。途中で私も実名を出したと思います。私のようなケースは珍しくないんですよ、もっと大変な人はたくさんいたんです。

でも、なぜ私がマスコミに取り上げられたのか。理由は二つあると思います。まずは、実名を挙げて顔を出したということ。もう一つは、なぜ自分はこういう目にあったかを、法律をチェックし、法律と現場の乖離を検証し、法律を批判的にとらえて、それから会社の仕組みやその業界の仕組みをとらえる。さらには、日本の労働行政・雇用行政はどういうものであるかまで検証して述べたからです。

つまり、第三者が理解できる根拠を示したわけです。言い換えれば、私の派遣労働の問題である個人的な恨みつらみ、ルサンチマンの客観化を試みたのです。

ですけれども、声を上げることに対してバッシングすると、声を上げる人はその行動を躊躇してしまい、結果的に学習して言語化する機会そのものが奪われてしまうことになります。私はたまたま活動していたから、声を上げることが活動のスタートなんだと思って声をあげました。 

でも99%の人はできない。他の人が声を上げて叩かれるのを見てわかっちゃったからです。見せしめのように他の人がひどい目に遭っているからです。そこまでして声を上げるメリットは、通常考えたらありません。

だから、声を上げたくても上げないという判断は常識的には正しいんですよ。リーズナブルですよ。

でも私はノーを突き付けました。当時、派遣だとわかっていたのに文句言うのはおかしい、派遣でも17年間勤められたんだから会社に感謝しろ、派遣だとわかっているなら次のキャリアプランを考えないのは怠慢だ、とまことしやかに言われました。

私が怠慢だとかそういうことではなく、それは構造的に無理なのです。個人でどうこうできる問題ではないからです。社会構造を変えなければならない。法律的システムもそうです。労働者派遣法という法律がダイレクトに働く人に影響を及ぼします。だから、明確に私は政治に進みたいと思ったわけです。

その結果、れいわ新選組の山本太郎との出会いがあったわけです。

◆すべての差別の根底に女性差別がある

れいわ新選組は、2019年の4月に政治団体として設立されました。それ以前にワーキングプアを直接受け止めるプラットフォーム的な野党があったのか否かの検証が必要だと思います。

なかったと思います。当時の立憲民主党、共産党、非常に優秀な方々がいっぱいいます。元弁護士とか元マスコミ、ジャーナリズムの第一線で活躍した方々が立候補者になったり議員になったりした、本当に頭のいいエリートの方々ですよね。

そういう人たちは一方でお金も持っているわけですよ。私たち庶民の生活の苦しみというものを具体的なことは知らないで済んでいる方々です。だからこそ、ああいう高学歴で、第一線で活躍できるわけです。

でも、国会議員は「代議士」ですから、いろいろな階層、いろいろな状況を抱えている人の代表者とするならば、非常に偏りがあります。一番の偏りは男女比率で、あまりにも女性の比率が少ない。今回の衆院選では女性議員が10%いません。

日本だけです、こんなにジェンダーギャップのあるのは。企業内でも女性管理者がまだまだ少ないですが、日本の女性が劣っているのでは決してなく、女性はこうあるべきだという女性に対してより強固に課せられる社会的な役割があるからです。それで社会的進出が阻まれているということがあるわけですよね。

当事者性でいうなら「女性」という当事者意識が私には強くあります。たとえば、れいわ新選組は障碍者の当事者が2名います。参院選の特定枠で男女一人ずつ当選できました。木村英子さんとは仲がいいですが、障碍者のなかでも特に女性障碍者は、男性障碍者とは別の差別を受ける、と。障碍者としての差別と女性としての差別を二重に受けると言っていました。

旦那さんや子供の面倒を見られないのに結婚する資格あるの?と言われる。障碍者の中でも女性の役割分担を強く言われる。男性がこのような言われ方をすることはそんなにないですよ。子供の面倒みなくていいの? なんて言われない。

男性と女性で扱いがまるで違うことが、男女の非対称性とかジェンダーギャップ、ジェンダーバイアスとかいろいろな表現で言われます。世の中にはいろいろな差別がありますが、女性差別はそのすべてに横たわっている。だから女性差別は普遍的な差別だと思っています。

このことが世の中ではまだ理解されておらず、男性はもとより女性でも理解している方は本当に少なく、日々の対話を通し、どうやったら伝わるだろうかと、精進というか研鑽を積むことを迫られています。

◆怒りの街宣はロックだ

当事者性に加えて、「共感」も大事にしたい。その二つを貫くには自己責任論をどう克服するかですね。それには「怒り」「怒ること」が社会的に容認されるべきだと訴え続けています。

私の街頭演説は、ちょっと激しいと言うか、よく言ってもらうとロック的な演説だと言ってもらっていますが、ロックとは体制に対してノーを突き付ける音楽ですよね。宮廷音楽とか教会音楽などは、パトロンがいてお金や権威を持っている方からオファーを受けてつくったもので、クラシックの原型です。

ところがロックというのは、そういうものとは無縁で、あるいはそういうものに異議申し立てする、権威に盾を突くという姿勢がロック。怒りは上等、怒りをもつことは正当なんだと。喜怒哀楽のなかで、なぜ怒りだけを皆さん認めてくれないんだろうと思います。

私が批判されるときに被害者意識を持っているからダメなんだと言われます。被害者なら被害者意識をもつのが当たり前じゃないですか。なぜそれが批判されるのか私には不思議でなりません。

もっと平たい言葉で言うならば、痛いことを痛いと言ってなぜいけないんでしょうか。それを2019年の参議院選挙で私はアピールしましたつもりです。そうしたらみんなが、そうだと言ってくれました。とどのつまり、被害者意識は持って当然だ、当たり前だと。

被害者意識の感情としては喜怒哀楽のうちの「怒」。怒りですね。なぜか不思議なことに怒り以外の感情はすんなり受け入れられる。喜ぶ、楽しむ、ポジティブだからいいよねと。それから悲しむことは相手の同情や共感をかいます。ところが、怒りに対して共感を得ることは非常にむずかしいのです。

◆怒りを表す芸(高等テクニック)も必要だ

でも、怒りは悲しみにも通じます。なぜ自分はこんな理不尽で悲しい目に遭わなければならないんだろうというのが怒りの端緒です。怒りは攻撃性を帯びるからいけないんだと思いますが、攻撃するのはどっちなんだと。何もないところからいきなり人間が攻撃することはありません。

自分の身を守るために、防御のために攻撃せざるをえないのですから。そうならば攻撃する主体はいったい誰なんだと。それが権力であり権威であり社会的強者だったりするわけです。そういう人たちが私たちの存在を蔑ろにしている。それに対してノーと言うことが怒りなのです。

怒りをパワーに! と私が言っているのはそういう意味があり、裏付けがあったのです。その怒りを言語化するためには、平たい言葉で言うか、客観的に言うか、普遍的に言うか、俯瞰して言うか。場合によって使い分ける必要もありましょうが。

だから怒りをパワーにするには芸も必要ですよ。直接的な怒りで、たとえばこん畜生! と言ってこのテーブルをひっくり返し椅子を投げるような、暴力性のある怒りじゃダメなんですね。

ある意味洗練されて怒りにしていかないと怒りを社会化することができない。理性的に怒らなければならないということなんです。怒りを正当化するためには、先ほど言ったようなあらゆる根拠を用意しなければなりません。

そのひとつの例が、裁判に訴えることです。しかし裁判には、お金も年月も非常にかかり、自分の生活を犠牲にしなければならない部分もあります。労働者も裁判を起こせばいいと、いろいろな人が簡単に言いますけれど、裁判すら起こせなくて泣き寝入りしている人がたくさんいます。

日本の裁判はあまりにもお金と時間がかかりすぎることが、労働者としてのあるいは人間としての基本的人権を奪っています。そうはいってもなぜ裁判が尊いかというと、怒りを社会的に訴えることになるからです。

◆これからも活動は決して止めない

一昨日、ドキュメンタリーの巨匠の原一男監督とのライブトークがありました。最新作の『水俣曼荼羅』が一昨日から上映が始まっています。その原一男監督との出会いは、『れいわ一揆』とうドキュメンタリー撮影のときです。

これは2019年夏の参議院選挙にれいわ新選組から立候補した女装の活動家・東大教授の安冨歩さんを主人公にした映画での出会いでした。そこで安冨さんはロゴス・理性の人、渡辺てる子はパトス・情念の人という分かりやすい対立概念で描いてくださっています。

そうは言っても、感じたままに言ってはいるのですが、自分で自分のことを言っているようで誰かに突き動かされて言葉を発しているような感覚がありました。

当時のれいわ新選組を応援する方々の熱気がすごかったし、その人たちは、自分には政治も選挙も関係ないと思っていた。でも、当事者のてるちゃんが出るんなら話をききたい、応援したいという人が集まってくれました。

そのパワーに突き動かされて言葉が出てきたわけです。そうやって響き合うものがあったからですね。

選挙というのは、そういう究極の人間のパワーを引き出す力、なにかマジックがあると思うんですね。すごく意義があると思いますが、いかんせん日本の選挙はお金がかかりすぎます。

比例区に出るには供託金ひとり600万円。これはワーキングプアーの年収の3年分。こんな供託金がかかる国はほかにはないそうです。

基本的人権である被選挙権を、そうやってあらかじめ制限しハードルを課す。これ自体もおかしいので変えなければならない。そのためにはまず選挙に勝って変革する主体にならなければならないわけです。

しかし、どういう形であれ活動を止めることはないでしょう。そして私のポリシー、キーワードは、「当事者性」そして「共感」「怒りをパワーに変える」です。

そのためには「自己尊重感」を持つことです。自分を大事にできない人間は、他者を尊重できるわけがないのですから。私は、自己尊重感を持つために日々研鑽し、自己責任の内面化を否定し克服するように努めようと思います。

それがあって初めて政治を変え社会を変えることになるのではないかと。ただし、それができないと政治活動や社会活動ができないわけではありません。手探りで試行錯誤しながら、いま言ったようなことがどういう人にも獲得できるのだと思います。

私もその一人です。ですから私はこの歩みを止めることはありません。これからもどんどん進んでいきたいと思います。(了)

『渡辺てる子の放浪記』(林克明著、同時代社)

▼林 克明(はやし まさあき)
ジャーナリスト。チェチェン戦争のルポ『カフカスの小さな国』で第3回小学館ノンフィクション賞優秀賞、『ジャーナリストの誕生』で第9回週刊金曜日ルポルタージュ大賞受賞。最近は労働問題、国賠訴訟、新党結成の動きなどを取材している。『秘密保護法 社会はどう変わるのか』(共著、集英社新書)、『ブラック大学早稲田』(同時代社)、『トヨタの闇』(共著、ちくま文庫)、写真集『チェチェン 屈せざる人々』(岩波書店)、『不当逮捕─築地警察交通取締りの罠」(同時代社)ほか。林克明twitter

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年5月号!

『紙の爆弾』と『季節』──今こそ鹿砦社の雑誌を定期購読で!

今年の2月16日に、独立系メディア「MyNewsJapan」は、コロナワクチンの闇接種についての記事を掲載した。タイトルは、「国費のコロナワクチンを闇打ちで接待に流用、『接種会場』は桜十字グループ西川朋希代表が理事を務めるビューティクリニックVIP室」(https://www.mynewsjapan.com/reports/2634)である。執筆者は、わたしである。

桜十字グループは、再春館製薬が2006年に買収して運営に乗り出した医療・福祉関係のグループである。総社員数は6551人(2021年4月1日現在)。本部は熊本市にあるが、東京でも医療法人社団・東京桜十字を設置し、複数の診療所を運営している。

MyNewsJapanの記事は、2021年の春から夏にかけて桜十字の関係者が、東京渋谷区にある美容外科で、要人に対してワクチン「接待」を繰り返していたとする内容である。しかも、当時、桜十字グループの西川代表が、菅義偉首相(当時)とワクチン接種の普及について、2度も会談を行っていた事実も明らかになっている。

菅義偉首相(当時)と西川代表の会談を伝える桜十字グループの社内報

わたしがデジタル鹿砦社通信で、この事件を再報告するのは、MyNewsJapanに記事を掲載した後も、大メディアが後追い報道をしないからだ。わたしは、これだけの大問題を黙認してはばからない鈍感さを問題視したい。

◆闇接種を裏付ける3つの客観的事実 

この事件の取材のきっかけは、ある人物が昨年の11月にMyNewsJapanに情報を提供したことである。東京・渋谷区のメットビューディークリニック(堀江義明院長、以下、MBC)で、要人を対象としたワクチン接待が行われていたという内容だった。この人は、新聞や週刊紙にも情報を持ち込んだが、新聞は最初から取材しなかったという。週刊紙は、記事にしたものの、ワクチンの闇接種には言及していなかった。最も肝心で核心的な部分を外したのである。そこでAさんは、従来の主要メディアは信用できないとして、MyNewsJapanに情報を提供したのである。

MyNewsJapanの渡邉正裕編集長の依頼で、わたしがこの事件を担当することになった。わたしは、Aさんから事件の概要を聴取した後、闇接種が行われた当時、MBCの事務長をしていたBさん(男性)と、2人のスタッフCさん、Dさん(いずれも女性)を取材した。

これら4人の内部告発者の話を統合すると次のような概要になる。2021年の春から7月ごろにかけて、桜十字グループの関係者が、MBCのVIP室を使って複数の要人に対し、ワクチンの闇接種を行っていた。その中には、海外の「超VIP」も含まれていたという。元事務長は、東京・虎ノ門にある東京桜十字の本部から、MBCへワクチンを運搬させられたことがあると話している。

わたしはこれらの「証言」の裏付け調査に入った。結論を先に言えば、次の3点が事件の客観的な裏付けになる。

① 桜十字のスタッフがワクチン接待を受ける要人と交わしたラインの交信記録

② 闇接種に使ったコロナワクチン専用のシリンジ(注射器)の写真である。

③ MBCが所在する港区が、MBCをワクチン接種の医療機関に指定していないことを裏付ける(情報公開請求で得た)書面である。

①から③の客観的な裏付と、元事務長、2人の元スタッフの証言が完全に整合しており、ワクチン接待が行われたとする内部告発の信ぴょう性は動かしがたい。しかも、既に述べたように、この時期に西川朋希代表と菅首相が、ワクチン接種の推進について、首相公邸で2日に渡って会談していた。最初の会談は5月15日で、2度目が5月16日である。この事実は、新聞の「首相動静」や桜十字グループの社内報(冒頭の写真)でも確認できる。

◆裏付け①-闇接種の日時・場所をラインの交信で調整

 

ワクチンの闇接種のスケジュールを設定したことを示すLINEの記録

右に示した写真は、ワクチン接種の前段のプロセスを裏付けるLINEの通信記録である。このLINEには、次の4人の人物が登場する。

読者は、LINEの冒頭の導入部に注目してほしい。「TomokiがMET増田修一、YS(仮名、女性、ピンク色部分)を招待しました」と記されている。

「Tomoki」は、元事務長と2人の元スタッフによると、桜十字グループの西川朋希代表のことである。しかし、トモキという名前は一般的で、客観的な本人確認の裏付けになるとは言えない。とはいえ、そのことはさほど重要ではない。重要なのは、この事件で主導的な役割を演じた「MET増田修一」の所属先の確認である。「MET増田修一」が桜十字グループの関係者であることの立証なのである。

「MET増田修一」は、会社登記簿によると、METを運営している(株)メディカルハックの社長である。「MET増田修一」がLINEで使っていたアイコンを調査したところ、同氏がFACEBOOKで使っているアイコンと完全に一致した。しかも、そのFACEBOOKには、勤務先として桜十字の社名を記していた。

さらに(株)メディカルハックを調査したところ、東京桜十字が経営するクリニックのひとつと登記上の住所が一致した。つまり桜十字グループと(株)メディカルハックは実質的に一体ということになる。元事務長も(株)メディカルハックの所属で、定期的に東京桜十字でミーティングを開いていたと話している。

「YS(仮名、女性)」は、ワクチン接種を受けたとされる女性である。

「Tomoki」、「MET増田修一」、それに「YS」の3人は、LINEでワクチン接種の日程と場所を取り決めたのである。交信記録を引用してみよう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・【引用】・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Tomoki:水曜日
接種の時間を決めてください。場所は表参道です。

YS:ありがとう!それでは午前10:00でいいですか?

増田:10時にご希望承りました。ドクターに時間の確認をしておりますので、確定までしばらくお待ちください。よろしくお願いいたします。

YS:ありがとうございます。

増田:大変お待たせいたしました。10時が難しく、13時にクリニックにお越し頂く事は可能でしょうか?どうぞご検討よろしくお願いいたします。

YS:はい、了解しました。住所をお知らせください。

増田:https://www.met-beautyclinic.jp/

・・・・・・・・・・・・・・・・【引用おわり】・・・・・・・・・・・・・・・・・

(株)メディカルハックの「増田」がYSに示したURLは、METの公式ウェブサイトと一致する。つまり3人は、闇接種の場所を、渋谷区のMETに決めたのである。

接種の日程と場所が確定すると、増田社長は3人の交信記録のスクリーンショットを、METの事務長(当時)のLINEへ転送した。接種予定の前日、2021年7月20日(火)のことである。これに応えて事務長が、次のように返信する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・【引用】・・・・・・・・・・・・・・・・・・

事務長:13時にVIP室ご案内でいいでしょうか?

増田:はい、お願い致します。堀江先生も1時にお見えになります。合計3名の接種予定で、13時1名、13時半に2名の予定です。

増田:ワクチン接種後、15分の観察時間を要します。

・・・・・・・・・・・・・・・・【引用おわり】・・・・・・・・・・・・・・・・・

「15分の観察時間を要します」という記述から、予防接種がコロナウイルスに対するものであることが分かる。

◆裏付け2-コロナワクチンの専用シリンジ

 

ワクチンの闇接種に使われたシリンジ

右に示す写真は、MBCの元スタッフが撮影したコロナワクチン専用のシリンジである。

この写真には、撮影と同時に自動的に作成される撮影日時と撮影場所もデータとして残っている。それによると撮影日は、2021年6月25日13:52分である。撮影場所は港区である。

シリンジと一緒に映っている鉛筆のような医療廃棄物は、アートメイクで使用するブレード(針)である。これは美容外科に特有のものである。一般の医療機関にはこのような医療器具はない。従ってシリンジの撮影場所が、美容外科であることが分かる。

しかし、後述するように、港区にある美容外科で、港区がワクチンの接種会場に指定した医療機関は一軒も存在しない。

さて、写真撮影されたシリンジについて、説明しておこう。読者に注視していただきたいのは、シリンジの先端部分(デッドスペース)である。黒いピストンのようなものが入っている。

これはシリンジのデッドスペース内のワクチンを残ることなく押し出すための仕組みなのである。このデッドスペースこそが、ワクチンを無駄にしないように開発されたコロナワクチン専用のシリンジの特徴なのだ。

元スタッフらは、次のように話す。

「このようなシリンジは見たこともなければ、使ったこともありません」

「棚卸一覧にも、このようなものは入っていません」

デッドスペースが少ないシリンジそのものは従来から存在していても、ほとんど流通していなかった。それゆえに国が厳密に管理・配給すると同時に、当時、医療器具メーカーが急遽開発に乗り出していたのである。

わたしは実際にワクチン接種を担当している医療関係者にも、このシリンジの写真を示して、それがコロナワクチン専用のものであることを確認した。


◎[参考動画]ワクチン“1瓶6回”接種へ 特殊注射器増産(FNN ,2021年2月18日)

◆裏付け3-港区の情報公開資料
  
「裏付け1」と「裏付け2」により、MBCでワクチン接種が行われたことを裏付けることができる。元事務長らの「証言」の信ぴょう性を担保できる。

しかし、そのワクチン接種が、国が決めたワクチン接種の方針に沿わないルール違反であることを示す証拠はあるのだろうか。この点を調べるために、わたしは港区が、METをワクチン接種の医療機関に認定していたかどうかを検証した。

ちなみにコロナワクチンとシリンジは、「国→都道府県→各自治体→医療機関」の配給ルートになっている。さらに医療機関に到着した後、ワクチン接種を迅速に進めるために、他の医療機関へ搬送することが認められている。ただし搬送先の医療機関は、事前に地方自治体の認可を受けなければならない。「集合契約」と呼ばれる書面に調印することで、ワクチン接種を推進する諸機関のグループに加わらなければならない。さもなければ、ワクチンやシリンジの末端配布先が分からなくなる可能性があるからだ。また、ディープフリーザー(低温冷凍庫)の手配調整にも困難が生じる。

筆者は、METがある港区に対しコロナワクチンの接種に関する情報公開請求を行い、その後、取材を行った。その結果、当時、METは集合契約に調印していなかったことが分かった。(取材した当時も、契約していなかった)

METがある港区南青山5丁目で、2021年の春から夏にかけた時期にワクチン接種の医療機関に指定されていた所は次の医療機関だけである。

 ・八木クリニック
 ・やべ耳鼻咽喉科表参道
 ・南青山往診クリニック

今年2月の時点では5つの医療機関が認定されているが、やはりMETは含まれていない。

つまり港区はMETに対して、コロナワクチンも専用シリンジも、提供したことがない。とすれば、どのようなルートでワクチンと専用シリンジがMETへ運び込まれたのか。これについては、既に述べたように元事務長が、虎ノ門にある東京桜十字からMETへワクチンを運んだことが一度ある、と話している。

「週に1回、本社(注:港区虎ノ門にある「東京桜十字」本社を指す)でミーティングがあったのですが、ミーティングが終わった後、上司から箱を渡され、METへ持ち帰ったことが一度だけあります。箱を開いて初めて、中身がワクチンであることに気づいたのです。保冷剤も一緒に入っていました」

元スタッフCさんも、次のように話す。

「事務長が冷蔵庫にワクチンを保存したいというので、許可したのを覚えています」

元スタッフDさんは、VIP室でワクチンの入った箱を見たと話している。

「段ボールに貼ってある伝票に、確か、『熊本』の県名がありました」

コロナワクチンの場合、運搬方法や保管方法にも品質を保つためのガイドラインがある。真夏の炎天下にMETの事務長が、カバンに入れてワクチンを運んだというのは、異常の極みであり、医療の安全に関わる問題だ。

国が配給したワクチンがどのようなルートでMETに届いたのか、運搬の経緯には不明な部分もあるが、桜十字グループの西川代表が菅首相らと会談した後、桜十字グループが本格的にワクチン接種のイニシアティブをとってきたわけだから、桜十字グループ内には大量のワクチンとシリンジがあったと推測できる。従って、METへの流用はそれほど困難ではない。

◆誰がワクチン接待を受けたのか?

ワクチン接待を受けた人物については、具体的な名前が上がっている。たとえば「裏付け1」でとり上げたYSである。YSについて、インターネットで検索したところ、興味深い英文の記述が明らかになった。それよると、YSは桜十字グループの地元・熊本県の出身でインドネシアに住んでいる。夫は、不動産会社を経営する大富豪である。

わたしはYS夫妻の写真や動画をインターネット検索した。その中で、YSの夫である可能性がある男性の写真が浮上した。その写真を元事務長と、2人の元スタッフに確認してもらったところ、元事務長と、元スタッフのCさんが、「見おぼえがある」と答えた。 
 元事務長がYS夫妻について次のように話す。

「夫妻がMNCにお見えになったとき、VIP室へ案内しました。それから2人の到着を堀江先生に報告しました」

元スタッフのCさんは、次のように話す。

「2人は堀江先生と一緒にVIP室から出てきました。堀江先生からは、超VIPとして紹介されました。奥さんが化粧品を買いたいというので、わたしがフロントに案内したので、よく覚えています」

桜十字グループは、インドネシアでも事業を展開している。「アクセラ」と称する団体を設立して、日本での就職を目指しているインドネシア人に日本語を教えるなどの活動を展開している。実際、桜十字は、現地で人材募集も実施している。たとえば、次のブログである。

https://www.sakurajyuji.or.jp/recruit/kaigo/news/?p=1520

MBCの堀江院長は、インドネシアへの渡航歴もある。元スタッフとのLINEの交信記録でそれが確認できる。

YS夫妻がMBCでワクチン接種を受けた時期、インドネシアはコロナ感染が急拡大していた。

この事件の無視でも明らかなように、日本のマスコミは、肝心な問題は報道しない。コロナワクチンは国費で調達されているわけだから、それを特定の企業がワクチン接待に使ったとなれば、道義的な問題だけでは済まない。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

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黒薮哲哉『禁煙ファシズム-横浜副流煙事件の記録』

れいわ新選組から2019年参院選、2021年衆院選に出馬して落選した渡辺てる子氏は、2022年4月17日投開票の練馬区議補欠選挙に立憲民主党公認で出馬予定だ。

所属政党は変わっても従来からの主張には変わりなく、派遣労働者・格差社会改善・シングルマザー問題の改善などを目指し、模索しながら活動を続けている。

その渡辺てる子氏の講演会記録(21年11月29日)の第3回は、ホームレス状態で2人の子を出産し、ホームレス脱出後もつづいた苦難を経験したことから、「とことん話を聞いてくれる人、他人の話をとことん聞くこと」の重要性について訴える。(構成=林克明)

 

『渡辺てる子の放浪記』(林克明著、同時代社)

◆ホームレス脱出後の地獄

失踪という形で5年近くを過ごしたわけですが、家に帰ったらさらに地獄が待っていました。親は、私を騙して方々連れまわして、子供二人まで産ませた男を罰しなければならないと。

それから、しょうもない男の子供だからろくなもんじゃないということで、親からは家から出ていけとか死ねとか言われました。

親子心中から逃れてやっと自分が生まれ育った実家に戻れたのだから安息の場があると思いました。そこでシングルマザーとして再起を図ろうと思ったら、今度は、一番守ってほしい家族から刃のような言葉を突き付けられて、家の中にいることが針のムシロでした。

食べ物の味もわからなくなったし、夜も眠れませんでした。そういう中で家事をやり、仕事に行くようになりましたが、そこでやっぱりシングルマザーがいかに生きづらいかということを一番ひどい形で体験せざるを得ませんでした。そこで私は活動を始めたわけです。

その原点は、大学のときに活動したこと。当時はフェミニズムという言葉はまだ広まっていませんでしたが、女性が人間として尊重され生きやすくなるというポリシーが私を支えました。

誰も私を慰めることも励ますことも、どうしてあなたはそういう目に遭ったんだと聞いてくれる人も誰一人としていなかったです。

家族ですらそうだったのですから、そんなことを聞いてくれる人がいようはずもありません。でも私は子どもを育てなければいけない、生き延びなければならない。なぜなら、出産に至るまでの経緯は不本意であっても、生んだのは自分だから、私の責任において。

それから、私とは別の人格が二人いるのだったら、その人格を私がどうこうするのは傲慢なんだと思い、自殺をあきらめました。だから、高らかに誇らしく生きてきたわけじゃないですよ。死なないで生きてきているってことです。

でも人生一度だから、少しでも生きやすくしたいということで、いろいろな活動に係わってきました。その延長線で派遣労働やシングルマザーの問題があったわけです。

そこで、当事者が尊重されないという欺瞞に気づいてしまった。だからといって私は活動から離れはしませんでした。むしろ活動を通して、社会を変えると同時に、活動自体を変えようと思ったのです。そして当事者が大切なんだといろいろな形で述べてきたつもりです。

それを大事にしたいと考えているのが、れいわ新選組だったわけです。誘われたから私がれいわ新選組の考え方に合わせているわけではありません。こう言ってはおこがましいですが、私が考えたりやってきたことが、結果的にれいわ新選組とフィットしたということに他なりません。

◆とことん話を聞いてくれる人はいるか?

衆院選で3名当選し、参議院とあわせて合計5名の議員を抱える政党になりました。党勢拡大がこれ以降の大きな目的になりました。

初めての国政選挙だった2019年の参院選は、当事者性がメインになりました。今回は必ずしもそうではないという方向転換を余儀なくされた側面があります。別に山本太郎代表が政治的に変節をしたというようなことではなく、政党として成長するには逃れられない必然的な理由だと思います。

政党の方向性などは別として、私個人としては、当事者であることを貫いていこうと思っています。今日もこの会場に向かう前に支持者の方からお電話いただきました。

「てる子さん、あなたをどうしても国会におくりたい」と。「あなたは、私の、私たちの代表だから」と。「当事者が国会に行ける可能性を持つのは、あなたなんだ」と。「だから絶対に国会に行ってほしい」というお電話を直接いただきました。

これまでも多くの方から、そういうご支援をいただいてきました。昨日(2021年11月28日)は鎌倉に行きました。「てるちゃんを応援したいと言う方が集まっています」ということで講演させていただき、楽しく充実した時を過ごさせていただきました。

こんな凡庸な私でも、そこかしこに共感の輪、ご支援の輪が広がっています。身に余る光栄だと思っています。

そうした人々の期待で政治の場に立つ理由があるとすれば、ホームレスで食うや食わずどころか寝泊まりする場所すら定まらぬ究極状況の中で生き延びてきたからこそ、皆さんの不安とか苦しさ、つらさというものを少しは共感できるから、想像できるからではないかな、というふうに思います。

よく政治に無関心だ、投票率が低いと言われますけど、悲惨な状況を私に訴えてくる方々と接すると、政治以前なんですよ。まず自分がどうやって生き延びることができるか、人間として認められることができるのか、と皆さんは訴えているわけです。ぎりぎりで生きている人たち声に誰も耳を傾けてくれないんですよ。

今日この講演を聞きに来てくださる方いろいろいらっしゃいます。ご苦労を重ね、いろいろな経験を重ねている方もいますけれど、とことん自分の経験について他人に聞いてもらったことがある人は、いないのではないでしょうか。そういうことに気づくようになりました。

自分のことをしっかり聞いてくれる人に出会わなかったら、何が問題なのかわからないし、自分の感情を受け止めてくれる人もいないことに気づいたんですよね。

よく人とのつながりを持ちましょうと言われますが、「繋がり」ってあまりにもほあんとした言葉なので、なんとなくいい言葉だと思ってしまいます。でも、もう少し具体的に言うと、私としてはこういうところに行きつきました。

自分の感情を評価されることなく、ありのままに「あなたはつらいのね、不安なのね、頑張ってきたね、そうなんだ、そうなんだね」と言ってくれる人がいるかどうか。自分も相手に対して「そうか、あなたこんなに大変なめにあってきたんだね、つらかったんだね、そうか、ほんと大変だったですね。よかったですね、今こうしてお目にかかれて」と言える人がいるかどうか。

その両者があいまって「繋がり」ということが成立するのだな、とこの歳になってようやっと気づきました。それがないと、次の段階の政治をどうするかとか社会問題にどう向き合うかという段階に進めないんだと思います。そこを蔑ろにしているから、政治に向き合うことができないのだと思います。

そのために取っ払わなければならない最大の障害物は、「自己責任」という言葉ですね。(つづく)

『渡辺てる子の放浪記』(林克明著、同時代社)

▼林 克明(はやし まさあき)
ジャーナリスト。チェチェン戦争のルポ『カフカスの小さな国』で第3回小学館ノンフィクション賞優秀賞、『ジャーナリストの誕生』で第9回週刊金曜日ルポルタージュ大賞受賞。最近は労働問題、国賠訴訟、新党結成の動きなどを取材している。『秘密保護法 社会はどう変わるのか』(共著、集英社新書)、『ブラック大学早稲田』(同時代社)、『トヨタの闇』(共著、ちくま文庫)、写真集『チェチェン 屈せざる人々』(岩波書店)、『不当逮捕─築地警察交通取締りの罠」(同時代社)ほか。林克明twitter

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