筆者は5月11日、広島県府中市で「男女共同参画について思うこと」と題して講演させていただきました。

筆者も一員であるひろしま女性大学福山校同窓会の総会記念講演としてさせていただいたものです。

講演する筆者。ちょっと、硬くなってしまった

ひろしま女性大学は、1988年に設立された財団法人広島県女性会議が女性の地位の向上を目指して、開設したものです。2008年からは男性も含めて受講生が男女共同参画について学び,受講後に社会貢献や地域活動で活躍できるよう学んでいける「エソールひろしま大学」という名称に変わりました。また、財団法人の名称も2013年に広島県男女共同参画財団に変更されました。

筆者はひろしま女性大学の後身の「エソールひろしま大学」応用講座で2008年から2014年、そして、2018年と応用講座を受講させていただきました。かつては、広島校と福山校両方あったのですが、福山校は募集が停止されて久しくなっています。そして、同窓会活動も福山校については2024年度限りで解散ということを伺っております。

今回の参加者は、筆者以外は全員女性で、しかも、大先輩ばかりです。地域で与野党問わず地方議員をされていたり、労働組合の役員や会社を経営されていたり、とご活躍の皆様で、筆者のような若輩者がお話しするのも恐れ多いものがあります。また筆者自身、YouTubeの動画や、街頭演説には慣れていますが、この手の講演は意外と機会が少ないので緊張しました。

「皆様先輩方のご奮闘のおかげで、男女不平等については、随分改善した点は多くある。しかし、一方で、改善が進んでいない問題も多い。あるいは、ここ20年余りの新自由主義グローバリズムの流れなどにより、新たな問題が発生、あるいはいままであった問題が悪化している。わたしたち世代以下の中堅や若手の女性の方が困難に直面していることもあるので、そのことを中心にお話ししたい」と、今回お話ししたいことの趣旨をご紹介しました。

また、自己紹介では「県庁採用試験の面接のため、東京での筆記試験合格後に広島に行き、広島市民球場脇のそごうに行ったらジャイアンツの応援グッズばかりだったのでブチ切れて面接で『広島なのだから地元をもっと応援といけないとおもいます』と生意気を申し上げた」ことをご紹介しました。

その上で、非正規公務員の問題、わたしが勤めている介護現場の問題、そして、広島と東京の行政の問題点を挙げさせていただきました。

◆専門性高い女性を非正規で使い捨て、行政が崩壊の危機

非正規公務員の問題については、以下のことをお話ししました。

従来から法の谷間におかれていたこと。しかし、改善のための制度と期待された会計年度任用職員制度(2000年度開始)により、問題がむしろ悪化した面がある。例えば3~4年で雇止めされるという問題が起きてしまった。

例えば東京都では16年連続勤務してきたスクールカウンセラーが斬られている。わたしたちがピンチになったときにお世話になる行政を担う基幹的な労働者が、専門性が高いにも関わらず女性で非正規が多いという構造的な問題を指摘しました。

また、正規職員が雇止めをちらつかせてハラスメント、と言うことも横行している実態などを、労働組合の役員の経験からお話しさせていただきました。

これらの問題の背景として1990年代後半からの新自由主義グローバリズムで正規職員が減らされる一方で、実際には地方分権や人々のニーズの多様化、複雑化で仕事は増えるため、それを非正規で埋めた、ということをご紹介しました。一方で、正規職員もストレスが実は大きくなり、庄原市では正規職員も採用する脇から辞めていきニュースにもなったことなどをご紹介しました。

◆やりがい搾取も限界 介護の社会化は何処へ?

介護現場については、2002年にわたしが県庁の介護保険担当として雪深い県北部の介護事業所を指導させていただいた時、現場の方の熱意にうたれる一方で監査資料として給料を見せていただき「うわ! 低い! こんなことで日本は大丈夫なのか?!」と衝撃を受け、それが今、現実化している、と振り返りました。

具体例として介護福祉士としていまは現場で働いているが、3人体制でなければいけないのに2人体制が恒常化し、しかも、二人ともピンチヒッターの派遣とアルバイトいう場合もあるということ、春闘2024で他業種の賃上げに介護は後れを取り、さらに新年度から人が辞めていることなどをご紹介しました。

「1990年代に女性運動の先輩方が介護の社会化を叫んで介護保険ができた。しかし、そこで働く労働者は多くが女性で低賃金におかれた。介護の社会化は何処へ行ってしまったのだ?」と問題提起しました。

また、埼玉県ふじみ野市で、渡辺宏被告人が要介護者の母親が亡くなった直後に逆キレしてドクターや介護関係者らを猟銃で殺傷した事件に言及。「渡辺氏の予備軍のようなご家族もおられ、ひやひやすることも多い。こういうハラスメントは介護や医療関係者はやられ損、という声を同僚からもよく聞く。事件が起きたふじみ野市では「地域の医療と介護を守る条例」をつくった。ぜひ、ケア労働者を守ることにも皆様のご協力をいただきたい」とお願いしました。

◆教育水準高く、県内で地道に頑張ってきた地元女性にもっと機会を

続いて、広島県の行政について問題を指摘しました。広島県の男女平等度は全国では20位前後です。最近では女性の幹部も増えてきました。

これについては、「よく見ると、副知事は知事の同一高校同一大学、同じ経産省の後輩。前教育長も県外のお友達ばかり優遇している」と指摘しました。

「広島は全国一、教育の男女平等度は高い。優秀な地元の女性がたくさんおられるのだから地元から選べばよかったのではないか?結局、広島の行政は東京からばかり人を連れてきて、地元の中堅、若手を大事にしない。島根県知事は、42年間、県庁一筋の高卒の女性を副知事にした。こっちのほうが夢はあって良いと思う。地味に地元で頑張ってきた中堅、若手の女性を大事にしたら広島はよくなるのでは?」と知事をバッサリ切りました。

これは、冒頭の自己紹介で「広島市民球場脇のそごうではジャイアンツの応援グッズばかりだったのでブチ切れて面接で『広島なのだから地元をもっと応援といけないとおもいます』と生意気を申し上げた」ことを伏線としています。

◆庶民の女性に冷たい筆者の事実上の故郷・東京

その上で、筆者は、自分自身が小学校から大学まで過ごした東京について「女性が知事を務め、市区町長にも女性が少なくない。様々な指標は進んでいるように見える。しかし、本当に東京は、特に庶民の女性にとって幸せと言えるのか?」という点も問題提起をさせていただきました。

その実例として、湯崎知事ともご懇意の長谷部健・渋谷区政を挙げました。同性パートナーシップは進むなど進歩的に見えるが、長谷部区長の会社員時代の元上司でもある副区長が女性議員について、庁内で聞くに堪えない暴言を吐くという事件を起こし、副区長は辞任したものの、区長は任命責任も取っていないこと。野宿者に冷たい行政を渋谷区が取る中で、コロナ失職していた大林さんと言う女性が、バス停で野宿中に近所の資産家の息子に惨殺され、被疑者も自死するという悲惨な事件も起きるなど、庶民の女性を筆頭に弱者には冷たいのではないか?これは、この20年余りの新自由主義グローバリズムとも大きく関係している、確かに地方のような古臭さはないが、他方で庶民の女性に生きづらい社会になっている、と指摘しました。

◎[参考記事]暴走する「意識高い系」ネオリベ政治の身内贔屓 長谷部健渋谷「博報堂」区政と湯崎英彦広島「リクルート」県政の共通点と意外な接点 

◆教育水準が高い広島の女性、一つ転べば「メーク ヒロシマ グレート アゲイン」

さて、広島県の教育の男女平等度は日本一高いのですが、経済は40位。そして広島県の人口流出は全国でもワーストワンが三年連続続いています。

そのことについて、「広島の教育水準の男女平等度が全国一高いのは良いことで、上手くいかせない(現状は政治や行政、経済が追い付いていない)と活躍機会を求めて県外への人口流出になる」が、「上手くいかせればそれこそ、『メーク ヒロシマ グレート アゲイン』だ」と指摘させていただきました。

また、私の国政レベルでの持論の「ケアが大事になってくるこれから、東大入試や地元で言えば広島大学の入試に家庭科を導入すれば良い。むろん、工学部の一部など例外的に極端に少ない学科で、女性が潰されないために一定の枠を確保するのも良いと思うが、女性枠を無理に作るよりは家庭科が入試科目になる方が女性の合格者は増えるのでは? 将来の日本の政治家の考え方も変わってくるのでは? あと、今は東大にいわゆるケア系は看護学科があるが、もっと保育とか介護系の学部を造るなどしたらいいのでは?」という問題提起もさせていただきました。

わたしのお話しを聞いていただいた諸先輩方からは、
「自分の若い時の熱意を思い出す。頑張らないといけないと思った」
「若い人の問題もよくわかった。どうやってつながっていけばいいのか?」
などのご意見やご感想をいただきました。

今回は、こんな機会を与えていただき、ひろしま女性大学の先輩の皆様には感謝申し上げます。

筆者にとり、連合広島時代の先輩にもあたるK先輩には開催へ向けて大変調整に奔走していただきました。

また、国政与党に属する地方議員でもいらっしゃるO先輩には発表資料の編集などで、お世話になりました。お礼申し上げます。今後も先輩方にご指導をいただきながら頑張っていきたいと思います。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

最新刊! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2024年6月号

◎鹿砦社 https://www.kaminobakudan.com/
◎amazon https://www.amazon.co.jp/dp/B0D33BMRD4/