

いよいよ本日『反差別と暴力の正体~暴力カルト化するカウンター-しばき隊の実態』が発売される。これに先立ち7月に発刊された『ヘイトと暴力の連鎖』の編集後記を松岡は以下のように結んでいる。
「私たちは今後、M君裁判闘争を支援していくと共に本誌を第一弾として、この報告やしばき隊の動きなどを報じていく所存です。ご注目、ご支援をよろしくお願い申し上げます」
『反差別と暴力の正体』の中でも「M君リンチ事件」の検証は新たに行われている。少しだけ内緒でお伝えすれば、「M君リンチ事件」は発生直後から多数の著名人が隠蔽に動き回っていたことが明らかになった。仲裁を買って出た団体も、ほぼ最初から「加害者をいかに守るか」の立場からM君を“騙して”いたことが明らかになった。在特会相手に裁判を起こしている李信恵だけは守り、他の2人に罪を被らせようとしていた疑念を消すことができない。われわれの疑念は取材を進める中で、確信に変わる。
その団体が自ら行動でM君に敵対する行為を起こしてきたからだ。
M君は何度も裏切られる。そして尋常ではない攻撃を受け続ける。M君は現在ツイッター上で姓名と所属大学を明かした上に、誹謗中傷を続けた野間易通を相手取って名誉毀損損害賠償請求の裁判を戦っている。先週11日にも大阪地裁で3回目の弁論があった。28日には「リンチ事件」の当事者である李信恵ら5人を相手取った裁判の審尋も行われる。
2つの裁判が並行して行われているわけだが、両方の裁判とも「警備法廷」だ。「警備法廷」とは、法廷内に裁判所の職員や警察官が配置され、万が一の出来事に備える、いわば“非常事態”を予期して、裁判所が予め対応を準備する法廷だ。M君にとっては、決して気分の良いものではないだろう。被害回復を求める民事裁判なのだから、通常の法廷で裁判を行いたいのだろうとM君の心中を想像する。
しかし裁判所は最初から「警備法」廷と決めてかかっていた。つまり裁判所は被告たち、あるは被告の支援者が法廷内で、〝想定外“の行動に出る可能性を排除できない、と判断しているのだ。
「そこまでやらなくても」と思われる読者も多数いらっしゃることだろう。しかし『反差別と暴力の正体』をお読み頂ければ、あながちその懸念も的外れではないことが理解されよう。行動を起こす勇気のある人間は多分いない。しかし連中が束になると、常識では到底考えが及ばない、恐ろしい発想を想起し、共有し、行動に移すことの証拠を本書では紹介している。
ある種の覚悟を持って『反差別と暴力の正体』を手に取られたい。
A5判 総188ページ(本文184ページ+カラーグラビア4ページ)
定価950円(本体880円) 11月17日発売 (紙の爆弾12月増刊号)
「反差別」運動内で起き隠蔽されてきた集団リンチ事件――
それに加担する国会議員、著名作家、ジャーナリスト、学者らの
犯罪性を総力取材し、事件の真相を徹底究明する!
その検証を通して、真に差別に反対するとは何かを考える!
社会運動内の汚点を照射し、その獅子身中の虫を弾劾する!
1 辛淑玉さんへの決別状
2 「カウンター」「しばき隊」とは何者か?――
背景と呼称について
3 リンチ犯罪を闇に葬ろうとする市民運動つぶしの
“テロリスト”たちを許してはならない!
4 リンチ事件をめぐる関連人物の反応――
著名人、知識人、ジャーナリストらの沈黙、弁明、醜態
5 M君リンチ事件の経過――
驚嘆すべき大規模な〈隠蔽工作〉と〈裏切り〉の数々
6 二つの民事訴訟(対李信恵らリンチ事件加害者、対野間易通)
提起の経緯と概要
7 合田夏樹脅迫事件
有田芳生参議院議員が沈黙する理由
8 “見ざる、言わざる、聞かざる”状態に警鐘!――
M君リンチ事件と、「カウンター」-「しばき隊」の暴虐に対する私たちのスタンス
[補項]
ろくでなし子さんアムネスティ講演会中止未遂事件としばき隊ファシズム
「カウンター」-「しばき隊」相関図

『反差別と暴力の正体』が明らかにする大和証券某部長の衝撃事実


勤務時間中に1日80回以上もツイッターに書き込みを行っていた、大和証券の部長についてネットでは話題になっている。それを報じた新聞もある。昨年、新潟日報や「ぱよちん騒動」で職を失ったのも、世間的に言えばしっかりとした身分のある人だったが、大和証券にも同様な人物が居たわけである。社会運動に関わるのは自由だが給与所得者が勤務時間中にこのような行為を行うのは、どの会社でも認められた行為ではなく、多くの場合就業規則違反であり、業務上背任に該当する場合もあろう。
大和証券は、周期的に大スキャンダルを起こすことで有名な会社ではあるが、今回当該人物の行為は、われわれにとって予期せぬ展開であった。なぜならば、この人物は『反差別と暴力の正体』に登場するのだ。
彼がどのような役回りを演じ、何を発信していたかは『反差別と暴力の正体』を手に取ってご確認頂きたい。大和証券が今後彼をどう遇するかが注目されるが、同様の経験を他でもない、鹿砦社も経験しているので他人事とは思えない。鹿砦社は自らの身から出たホコリを隠蔽しはしない。恥を忍んで事実をお伝えする。しかしそこから繰り広げられた展開は、意地悪な小説などが足元にも及ばない衝撃的な事実だった。
ここではこれ以上詳しく述べないが、そのいきさつについても『反差別と暴力の正体』では詳述されている。つまり鹿砦社は“自身の身を切りながら”本書を編纂したわけだ。
また、SNSの持つ力と恐ろしさを取材班は今回も痛感することとなった。誰もが知るような有名人が取材班からの電話取材に怯え、電話を切り焦り切ったためか、とっさに不用意な文言(虚偽)をツイッターに書き込む。その虚偽を取材班は間髪入れずにツイッターで指摘する。通常の取材では用いない手法も、今回は相手が虚偽を拡散するので、一部仕方なく用いた。
SNSに書き込めば瞬時に多数の人に伝えることができるが、その内容が虚偽や不適切であった場合、取り返しのつかないことになる。取材班はその実例を複数、余すところなく証拠を添えて読者諸氏にお伝えする。さて、肝心な卑怯な当該人物は誰か? まだきょうのコラムで公表するのは控えておこう。
しかしながら、読者諸氏もSNSの利用については、度を越えることがないように充分注意されるようにお伝えしておきたい。『反差別と暴力の正体』ではSNSの誤用が招く、取り返しのつかない例もご紹介する。このかん鹿砦社や関係人物をSNSで攻撃してきた諸君、君たちは残念ながら気がつくのが遅すぎた。われわれは膨大な数に上る、要となる情報と、その発信者を把握している。もちろん証拠も保管してある。この情報だけで、われわれがその気になれば名誉棄損の訴訟を何本も起こすことだって可能な内容だ。
しかし、本書は個人への「意趣返し」を目指すものではない。集団となって自分たちの意に沿わない人物を徹底攻撃する、そのような〈ファシスト的な行為〉をわれわれは指弾する。〈個〉もなく、確固たる〈覚悟〉もない。われわれはイナゴの大群のように、ある場所を食い荒らし(ある人物を攻撃しつくし)、また次の場所へ移動する(次の攻撃目標を作り出す)ような集団行為は不健全だと断じているにすぎない。
1 辛淑玉さんへの決別状
2 「カウンター」「しばき隊」とは何者か?――背景と呼称について
3 リンチ犯罪を闇に葬ろうとする市民運動つぶしの“テロリスト”たちを許してはならない!
4 リンチ事件をめぐる関連人物の反応――著名人、知識人、ジャーナリストらの沈黙、弁明、醜態
5 M君リンチ事件の経過――驚嘆すべき大規模な<隠蔽工作>と<裏切り>の数々
6 二つの民事訴訟(対李信恵らリンチ事件加害者、対野間易通)提起の経緯と概要
7 合田夏樹脅迫事件 有田芳生参議院議員が沈黙する理由
8 “見ざる、言わざる、聞かざる”状態に警鐘! ――M君リンチ事件と、「カウンター」「しばき隊」の暴虐に対する私たちのスタンス
[補項]
ろくでなし子さんアムネスティ講演会中止未遂事件としばき隊ファシズム
「しばき隊」-「カウンター」相関図

《本間龍09》 安倍首相も懸念する電通「東京五輪業務停止」の可能性とその衝撃度
11月7日、遂に電通に労働局による強制捜査が入った。相手の同意が必要な「調査」と違い、強制力を持った「捜査」であり、10月14日の強制調査によって電通の不当労働行為が明らかになったための処置だ。同日午後には大規模な社員集会で社長による会見が予定されていたにも関わらず、それを真っ向から無視しての強制捜査実施であったから、当局が摘発への強い意志を示したものと言える。
◆労働局の強制捜査実施で電通ブランドは失墜
ここまで来ると、労働局による書類送検はもはや確定的だから、検察がこれを受理して捜査に踏み込み、刑事事件として立件するかどうかが次の焦点となる。現在、電通経営陣はそれを回避するために必死の工作を展開しているだろう。
9月末のネット業務不正取引会見から僅か1ヶ月の間に、一流企業としての電通ブランドは完全に失墜した。圧倒的な業界トップ企業でガリバーと恐れられ、就職先としても高い人気を誇った企業のイメージが、これ程の短期間で崩壊した例は非常に珍しい。
だが、実際の電通の収益が悪化したわけではないし、市場はまだそれほど先行きを懸念しているわけではない。その証拠に、電通の株価はさほど下がっていないのだ。しかし、電通の屋台骨を揺るがしかねない最悪の事態が、早ければ来年早々に火を吹こうとしている。今回はそれを解説しよう。
◆電通社長が官邸に呼ばれ、安倍首相から直々に注意を受けていた!
10月中旬、新入社員自殺の労災認定報道で電通パッシングの嵐が吹き始めた頃、電通の石井直(ただし)社長が密かに官邸に呼ばれ、安倍首相から直々に注意を受けていた。これは電通社内から得た情報である。そして首相の注意とは、
「一連の事件によるイメージ悪化は、電通が担当している東京オリンピック業務に支障を来すおそれがある。これ以上の事態の悪化を絶対に防ぎ、一刻も早く事態を終息するように」
というものだった。
国の最高権力者からの厳命に石井社長以下幹部は震え上がり、10月18日に時間外労働時間の上限を65時間に引き下げると発表、24日には22時以降の業務原則禁止・全館消灯を決定。さらに11月1日には「労働環境改革本部」を立ち上げるなど、なりふり構わぬ対策を講じ始めた。電通社内でさえ「あまりにも場あたり的だ」と批判が出るほどの拙速ぶりには、こうした背景があったのだ。
◆安倍首相が懸念する電通のオリンピック業務とは何か?



では、安倍首相が懸念する電通のオリンピック業務とは何か。それは今後4年間、オリンピック実施に至るまでの広報宣伝の全業務を指している。なぜなら、東京オリンピックにおける広報宣伝、PR関連業務は、全て電通一社による独占契約となっており、博報堂など他代理店は一切受注できないようになっているからだ。
最も分かりやすい例を示すと、オリンピックを支えるスポンサー企業との契約も全て、電通が独占している。表向きはJOCが窓口だが、交渉は全て電通が行なっており、省庁からの寄せ集めであるJOCは、電通からの出向者や関係者がいなければ何もできない。 そして本番までまだあと3年以上もあるのに、すでに42社もの企業がスポンサーになっているのだ。そしてその窓口は全て、電通が一社で担っている。
オリンピックスポンサーは現在、3つのカテゴリーに分かれている。全世界でオリンピックマークを使用できる権利を有する「ワールドワイド」カテゴリーには現在トヨタやパナソニックなど12社が入っており、これらは5年間で各社500億円を支払う。これとは別に、東京五輪開催決定後に新たに設けられたのが「ゴールドパートナー」(現在15社)と「オフィシャルパートナー」(同27社)で、ゴールドは約150億、オフィシャルは約60億円をそれぞれ支払うとされている。そのカネで、各社はオリンピックという呼称の使用権、マーク類の使用権、商品やサービスのサプライ、グッズ等の利用権、選手団の写真使用や様々なプロモーション展開に関する権利を手中にするのだ。
◆1業種1社限定の五輪スポンサー規約を廃止させ、42社から3870億円
まとめてみると、ゴールドスポンサーで2250億円、オフィシャルで1620億円、合計で3870億円のスポンサー料を既に集めた計算になる。このうちの電通の取り分は公表されていないが、同社の通常の商慣習からいえば全体の20%あまり、774億円相当だと考えられる。支払いは複数年にまたがるとはいえ、これだけでも莫大な収益だ。さらに、この42社のCM・新聞雑誌等の広告制作・媒体展開・各種プロモーション・イベント関連も全て電通が独占するのだから、まだまだ巨額の収益が上がる仕組みである。
ちなみに東京が五輪誘致に立候補した当初計画では、総費用を約3400億円(実施費のみ、施設建設費含まず)、国内スポンサーシップを約920億円と計算していた。しかし、五輪開催までまだ3年以上もあるというのに、電通はすでにスポンサーシップを当初予定の4倍、約4000億円も集めている。これはリオやロンドン五輪の際のスポンサーがいずれも10数社程度であったことを考えれば、ありえないほどの巨額だ。これは今までの「オリンピックスポンサーは1業種1社に限る」という規約を変更し、同業他社でも参入できるようにしたことで可能となった。IOCと交渉してその規約を廃止したのも、もちろん電通である。
◆不祥事を起こしたゼネコンのように電通が業務停止を受けたとしたら


では、なぜ電通のイメージ悪化が「オリンピック業務に支障を来す」のか。それは、今回の一連の事件でもし刑事訴追されれば、電通は官庁関係業務の指名・受注停止となる可能性があるからだ。ゼネコンなどで談合が露見すると、該当した企業は数ヶ月~数年の間受注停止処分を受けるのと同じである。そうなれば、多額の税金が投入されるオリンピック業務も「官の業務」だから、こちらも一定期間の業務停止となる恐れがあるのだ。
そして最大の問題は、ゼネコンならば、どこかが指名停止を受けても替えはいくらでもあるが、オリンピック業務は電通一社のみの独占受注だから替えが効かない。もしそのような事態になれば、関連業務が全て停止してしまうということになるのだ。その危険性を見越したからこそ安倍首相は強い懸念を示し、石井社長を呼びつけたのだろう。自身が先頭に立って誘致した五輪の失敗はとんでもない悪夢であり、それを回避するためには一刻も早く電通の不祥事を終息させなければならないからだ。
しかし、小池都知事が発表した実施費用の高騰などにより、もはや東京オリンピックのイメージは悪化し、誘致時の熱狂が嘘のように消失している。それをあと数年で挽回し、国民をもう一度オリンピック応援の熱狂に巻き込まなければならない。その役割を果たすことこそが今後の電通の最大責任であったのに、万が一業務停止にでもなれば、その計画も破綻しかねない。これはブランドイメージだけでなく、電通の収益をも大きく毀損する可能性がある、同社にとってこれまでにない危機なのだ。では具体的に、どのようなことが起こる可能性があるのか。それを次回で検証したい。

1962年生まれ。著述家。博報堂で約18年間営業を担当し2006年に退職。著書に『原発プロパガンダ』(岩波新書2016年)『原発広告』(亜紀書房2013年)『電通と原発報道』(亜紀書房2012年)など。2015年2月より鹿砦社の脱原発雑誌『NO NUKES voice』にて「原発プロパガンダとは何か?」を連載中。



鹿砦社は再び〈爆弾〉を投下する!11月17日『反差別と暴力の正体』刊行!


7月14日に世に出した『ヘイトと暴力の連鎖』は、お陰様で大変な評価を頂き、初版が品切れとなり、増版を急がなければならなかった。『ヘイトと暴力の連鎖』は雑誌扱いのため、書店ではもうお求めになれない。まだお読みになっていない方は鹿砦社へ直接メールでお申し込み(sales@rokusaisha.com)頂くか、アマゾンでご購入頂ける(増刷分も残り僅かなので鹿砦社への直接ご注文が確実です)。
『ヘイトと暴力の連鎖』出版以降の約4カ月――。鹿砦社特別取材班はある種の〈社会病理学的行動〉ともいうべき「しばき隊」現象の分析と内実に迫るべく、特に著名人を中心とする関係当事者の言動をつぶさに検証し、多数の人物・団体に対して取材を行った。
きょう、このコラムではまだ、登場人物の具体名は明かさない。しかし取材を進めると、そこには、取材班でさえ予想だにしなかった、直視を憚られるほどの〈闇〉が実在していたことが明らかになった。正直気の滅入る取材であった。海千山千の取材班の中ですら、〈闇〉を目の当たりにして体調を崩すメンバーが出たほどだ。
しかし、われわれは知りえた事実の前で怯んでいるわけにはいかない。その結実を改めて世に問う。新たな「爆弾」の書名は、
『反差別と暴力の正体――暴力カルト化したカウンター-しばき隊の実態』(紙の爆弾12月号増刊。11月17日発売。定価950円)
である。きょうの本コラムを伝え聞けば、震え上がるであろう関係者の姿がわれわれには透視できる。取材班は〈事実〉がどこにあるのか、を当事者への取材を積み重ねることにより浮き彫りにしようと試みた。生半可な取材ではない。
そして、同時に取材班は、本来あるべき〈運動〉の姿とはいったいどのようなものであるか、を各自が模索しながら取材・執筆にあたった。
本書がその明確な回答を提示できているか否かの確信は、正直に告白すればまだわれわれにはない。しかし、『ヘイトと暴力の連鎖』を初級編とすれば、その延長線上に位置づけられる中級編としては十分な内容をお届けできる自信はある。ページ数も188ページと『ヘイトと暴力の連鎖』よりも遙かに増えた。カラーグラビアもある。
われわれは私怨や利潤、いわんやヘゲモニーなどを求めて『反差別と暴力の正体』を編纂したわけではない。まったく逆である。リンチ事件の被害者を蔑ろにし、美辞麗句をまといながら、哲学や思想、人権意識を持ち合わせず、いたずらに暴れまわり、詭弁によって自己保身を図るような「運動」への批判を通じ、あるべき社会運動や、人間の姿を、読者と共に考えたいと願う。
ひたすらその想いで生み出された『反差別と暴力の正体』を是非、お手に取って頂きたい。本書が必ずや読者を驚嘆せしめる、まさに〈紙の爆弾〉であることを予告しておく。

MAGNUM.42 一心に王道を突き進むのみ、三つのリベンジ戦!



江幡塁と重森陽太の二人は、5月29日、タイのラジャダムナンスタジアムで現地常連選手に判定負けを喫しています。そのリベンジ戦、江幡塁はバットを圧し折るような左ローキックでセーンピチットを担架で運ばれる事態に追い込む圧勝。
重森陽太は様子見の手数少ない序盤から次第にしなりある蹴りで攻勢に立ち、後半にパンチでラッシュし、試合をコントロールした勢いで判定勝利。
3月13日、石川直樹と王座決定戦で引分け(公式記録)、延長戦での“勝者扱い”で王座奪取となった泰史の初防衛戦は再び石川直樹と対戦。ヒジ打ちで眉間をカット成功した石川直樹は反撃に出る泰史を首相撲からのヒザ蹴り中心に優勢を守り、泰史はドクターチェックを2度受けた後、続行中にレフェリー判断で試合をストップ。石川直樹は王座を?ぎ取るリベンジで第9代日本フライ級チャンピオンとなりました(新日本キック制定)
緑川創は右足の指を骨折する中で苦戦の引分け。ラジャダムナン・ランカー相手に打ち負けない展開は実力を証明した内容。
勝次は元・タイ南部ライト級チャンピオンのトックタックに様子見に時間が掛かるもパンチで前に出て勢いに乗り、KO出来なかったが安定した試合運びで判定勝利。
喜多村誠はジャントーンのパンチに攻め難さがあったが、右ハイキックでダウンを奪い、右ストレートで仕留めるTKO勝利。
◎MAGNUM.42
10月23日 後楽園ホール 17:00~20:50
主催:伊原プロモーション
認定:新日本キックボクシング協会
《主要6試合》
◆56.0kg契約 5回戦
WKBA世界スーパーバンタム級チャンピオン.江幡塁(伊原/56.0kg)
VS
セーンピチット・STDトランスポート(タイ55.6kg)
勝者:江幡塁 / TKO 4R 0:51 / カウント中のレフェリーストップ
◆日本フライ級タイトルマッチ 5回戦
チャンピオン.泰史(伊原/50.8kg)vs1位.石川直樹(治政館/50.8kg)
勝者:石川直樹 / TKO 4R 1:18 / レフェリーストップ




◆70.0kg契約 5回戦
緑川創(前・日本W級C/藤本/70.0kg)
VS
タイ国ラジャダムナン系ウェルター級2位
シップムーン・シットシェフブーンタム(タイ/69.4kg)
引分け / 三者三様(49-48. 48-49. 49-49)

◆57.5kg契約 5回戦
日本フェザー級チャンピオン.重森陽太(伊原稲城/57.5kg)
VS
ターレーグン・ポー・アーウタレーバーンサレー(タイ/57.3kg)
勝者:重森陽太 / 判定2-0 (50-48. 49-47. 49-49)
◆63.0kg契約 3回戦
日本ライト級チャンピオン.勝次(藤本/63.0kg)
VS
トックタック・トップキング(タイ/62.7kg)
勝者:勝次 / 判定3-0 (30-28. 30-28. 30-28)
◆70.0kg契約3回戦
日本ミドル級チャンピオン.喜多村誠(伊原新潟/69.5kg)
VS
ジャントーン・エスジム(カンボジア/70.0kg)
勝者:喜多村誠 / TKO 3R 2:18 / カウント中のレフェリーストップ
アンダーカード5試合は割愛します。
《取材戦記》
江幡塁は試合後、25歳となった今年、「今だったら3年前と違います」と、ラジャダムナン王座に挑戦してKOで敗れ去った頃を意識しての発言。来年には再度ラジャダムナン王座に挑戦し、奪取する意気込みを感じられました。
新日本キックボクシング協会所属以外でタイ・ラジャダムナン王座奪取が続く今年、その中の一人、T-98(タクヤ)に3年前、判定勝利したことがある緑川創は、もう一度、この高校野球部時代の先輩と対戦する舞台に立ちたいところでしょう。パンチで倒してTKO勝利した喜多村誠も同じく、T-98に挑戦の意思を示し、チャンスを待つ者の一人です。

日本人選手ではないですが、ラジャダムナン・ミドル級チャンピオンに就いたユセフ・ボーネン(フランス/ベルギー)は5月27日にコムペットレック・ルークプラバート(タイ)との王座決定戦で2ラウンドにユセフが股間へのヒザ蹴りでコムペットレックが悶絶。ユセフの失格負けとなり、コムペットレックが新チャンピオンになり、その初防衛戦が8月31日のユセフとのダイレクト再戦でした。
そしてユセフが第4ラウンドに左ボディブローで倒して王座奪取。意外にもタイの専門誌記者の間では、”外国人ムエタイ選手の中で一番強い”と評価されているようです。
ラジャダムナンスタジアム王座は、スーパーウェルター級チャンピオンがT-98、ミドル級チャンピオンがユセフ・ボーネン、ライト級チャンピオンが梅野源治。タイ側から見れば軽量級境界線のライト級を除き、あまり評価が高くない領域となりますが、昔は重量級でも強いチャンピオンがいたムエタイ王座です。日本人でも挑戦資格を獲れる実力を持った選手が多いので、タイ側を慌てさせるよう掻き回して欲しいものです。

[撮影・文]堀田春樹
▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」


トランプ・ショックがヤクザ界を直撃──2020年東京五輪とカジノ利権の闇

共和党の実業家、ドナルド・トランプが大統領となった。アメリカ国民は、米国の再生を〝政治家経験のない不動産王〟に託す博打に出る。
この米大統領選の結果で世界的に「得する人」「損する人」それぞれ明暗が分かれる。少なくとも日本のヤクザ界では「アメリカからは緊急撤退」として、リトル・トーキョーや金のロンダリングなどで「すぐに手を引こう」とシグナル、つまり号令が出ている。

オバマ米政権は2011年7月に日本の暴力団「Yakuza(ヤクザ)」を国際的に活動する犯罪組織と認定、翌年2月に経済制裁を敢行した。さらに翌12年に米政府、なかんづく米財務省は、山口組に続いて住吉会など日本の暴力団が、武器や薬物の密輸、売春、マネーロンダリング(資金洗浄)などに関与していると指摘し、これも経済制裁へと動いた。
アメリカ国内の保守派のロビイストたちは「日本からヤクザを排除できないなら2020年の東京五輪への安全な参加を保証できない」と懸念を抱いているのは事実。

「かつて司忍6代目山口組組長とJOC副会長だった田中英寿・日大理事長の2人を撮った写真が、出版社に送り付けられて海外メディアはいっせいに驚愕した。トランプは日本に『東京五輪前にヤクザをなんとかせよ』と注文を安倍晋三首相につけるでしょう」(ヤクザ雑誌編集者)
山口組系組幹部は語る。
「フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領ではないが、トランプ新大潮流は移民、とりわけ海外から来たマフィアを一掃にかかるにちがいない。イタリア・マフィア、チャイナ・マフィア、そして〝ヤクザ〟だ。オバマ大統領は、本格的にアメリカ金融から『YAKUZA』を閉め出しにかかったが、トランプ新大統領の場合は、海外からのマフィアには不動産契約をさせない、また車も持たせない政策をひそかに揉んでいるとも政策チーム内から漏れ伝わってくる。それで米国に進出している広域暴力団はいっせいに『米国で逮捕されては目も当てられない』と撤退を決め込んだのです」

裏社会に詳しい作家の影野臣直氏は「トランプの対外政策は異常だと思いますが」と前置きした上でヤクザの海外進出事情をつぎのように指摘する。
「もうドイツ、イタリア、中国、日本などのアウトローはことごとくリスト化して、入国すらさせないようになるのではないでしょうか。フィリピンもドゥテルテ政権になってから、つぎつぎに性風俗や密輸分野で海外に勢力を伸ばした連中が日本に帰ってきています」
また、いっぽうで「表面上は堅気に見える半グレをいかにアメリカに送り込んで金をロンダリングしたり、ドラッグや食糧品を密輸できるか、ヤクザは知恵のしぼりどころでしょう」とした。

一説には、日本のヤクザが海外にもっている資産は、総額で4兆円とも言われる。
前出の影野氏は言う。
「頭のいいヤクザしか生き残れない時代だということです。フィリピンでは現地政府に気に入られて島をもらったヤクザもいますし、下手を打って強制送還になるヤクザもいる。いちがいにオバマからトランプに変わったからといって黒が白に変わるような〝劇的変化〟はないにせよ、どの時代、どの国の政府にも利権に食い込むやりかたはある。裏社会でも国際的な知恵比べですよ」
韓国マフィアが今回の朴 槿恵スキャンダルで一族をゆさぶり、一儲けしたという情報もある。ヤクザたちはマレーシアやシンガポールのタックスヘイブンに再びシフトし始めた。
「トランプ政権だけに、ババよりもジョーカーを持つヤクザ」は出現するだろうか。
(伊東北斗)
◎[参考動画]How Powerful is Donald Trump – Full Documentary 2016 [HD]
ADVEXON TV 2016/06/09 に公開


木製ジャングルジム・アート火災──学生、主催者へのバッシングこそ無神経の極み
東京・明治神宮外苑のアートイベント会場で木製のジャングルジム風展示物が燃え、中で遊んでいた5歳の男児が焼死した火災をめぐり、展示物を出展していた日本工業大学の学生たちやイベント主催者らに対するバッシングがインターネット上で巻き起こっている。
「白熱電球が熱くなり、おがくずが燃えるのは素人でもわかることだ。工業大学の学生が何をやっている」
「あんなのはキャンプファイヤーをやっているようなものだ」
「学生も悪いが、周りの大人たちも気づかなかったのか」
目に余る無神経さだな――と私は思う。学生や主催者のことではない。得意げに「後知恵」で、このようなバッシングをしている者たちが、だ。

◆無自覚のうちに「父親」を愚弄している者たち
報道によると、燃えた木製のジャングルジム風展示物には、大量のおがくずがからめつけられていたという。火災の少し前から、学生らは白熱電球を使った投光器で展示物を照らしており、おがくずが熱せられて出火。たちまち展示物全体が炎上し、中に入って遊んでいた男児が逃げ出せずに焼死したと伝えられている。
火災時、一緒にいた父親も男児を助けようとして火傷を負ったそうだが、目の前で幼い息子が炎に包まれて焼死したのだから、これほど惨い悲劇はない。筆者が事件の2日後に現場を訪ねたところ、献花台には花とお菓子が大量に手向けられていたが、この悲劇を他人事とは思えずに胸を痛めている人がやはり世の中に大勢いるのである。

そんな中、インターネット上で巻き起こっているのが、冒頭のような学生や主催者へのバッシングだ。筆者は未見だが、テレビでは、「大学生にもなり、白熱電球が熱くなるのも想像できなかったのか」と批判したキャスターもいたと聞く。重大な事故が起こると、後知恵で「その程度のこともわからなかったのか」と批判する醜悪な人々が大量に現れるのは毎度のことだ。しかし今回に限っては、その醜悪さは看過しがたいものがある。
なぜなら、「その程度のこともわからなかったのか」という趣旨の批判は、目の前で息子が焼け死ぬ悲劇に見舞われた父親を愚弄するものでもあるからだ。父親も学生や主催者と同様、このような惨事になることが予想できなかったからこそ、展示物の中で自分の息子を遊ばせていたのである。後知恵で学生や主催者をバッシングしている者たちは、その程度のことも想像できていないからこそ、目に余る無神経さだと私は言うのだ。

◆今後は法的責任が問題になるが……
この火災では、今後、学生や主催者に刑事責任や損害賠償責任を問えるか否かということが問題になるが、学生や主催者に法的責任を問うには、注意義務違反が認められる必要がある。つまり、注意をしていれば、今回のような結果になることを予見できたのか否かや、今回のような結果になることを回避できたのか否かが問題になってくる。
今回の悲劇は実際問題、後知恵で学生や主催者を批判している者たちが思うほどには簡単に予見できるものでも回避できるものでもなかったろう。10月26日から開催されていたイベントには何万人もの人が来場しているとみられるが、この悲劇を予見し、警察や消防に通報したような人の存在は現時点でまったく確認できていないからである。
父親をはじめとする遺族たちは、まだ悲劇を現実として受け止められていないかもしれないが、最終的には学生や主催者が処罰されることなどを願うと予想される。しかし、そのためには今回の悲劇が予見できたことや、回避できたことが立証される必要があるわけだ。その過程で父親は再び、自分自身もこの悲劇を予見できず、息子を救えなかったという辛い現実と向き合うことになるだろう。
この火災には、かくも複雑で、デリケートな問題が存在するのだ。後知恵で学生や主催者をバッシングしている人たちは、悪気はないのだろうが、もう少し冷静になろう。

▼片岡健(かたおか けん)
1971年生まれ、広島市在住。全国各地で新旧様々な事件を取材している。


トランプ勝利で始まる安倍政治のヘルタースケルター
米国大統領選挙で共和党のドナルド・トランプが勝利した。世界は大騒ぎになっている。無理もないだろう。選挙中にトランプが発言していた内容がそのまま政策に移されれば、米国の姿は大きく変わる。まずメキシコとの国境に「壁」が作られるという。「万里の長城」よりも長い壁を21世紀に米国は本気で建てることになるのだろうか。また、銃規制が緩和されるとこれまで以上に乱射事件は続発するだろう。女性蔑視も、チラホラとなら発言が許されるようになるのであろうか。

◆世界は現状を嫌い出している
世界は現状を嫌い出している。それは確かだろう。しかし、否定される現状との比較で「期待される将来像」はどのようなものなのだろうか。確固とした方向性やおぼろげながらも何らかの形のようなものをイメージしてトランプは大統領に選出されたのだろうか。どうも違うような気がする。
要するに「やけっぱち」なのではないか。トランプが選挙戦で語った言葉は「政策」としてではなく、「気晴らし」として多くの米国人に受け入れられたのだろう。かといって特段ヒラリー・クリントンが何等かの希望を抱ける候補者ではなかったことは、選挙結果が示す通りである。


◆理性、体面、政治能力に納まらないトランプという個性
しかしながら、やはり驚きはある。一応の理性、一応の体面、一応の政治能力といったものを選挙戦で候補者は演じるものだが、トランプの選挙戦にはそういったものは意識されてはいなかった。いや、意識していたのかもしれないが、トランプという個性は、そんな窮屈なものの中には納まらない。
ただし、大統領に就任すれば今までの独裁経営者のようなわけには行かない。就任当初こそ選挙中同様、酔った政治好きの戯言を放言しているもしれないが、周りが許しはない。米国の政治力学は議会の勢力地図だけでなく、数々の怪しげな「シンクタンク」や「研究所」を名乗る連中の思惑に大きく左右される。足元の共和党にもトランプを毛嫌いする議員は山ほどいる。それら細かい調整にトランプが長けている(耐えられる)とは思えない。
米国大統領は、民主党の大統領が就任しようと、共和党の大統領が就任しようと、その構造に変わりはない。オバマの周辺にも、「まだ生きていたのか」と思わせるヘンリー・キッシンジャーの姿が未だに垣間見られたし、当人でなくとも、その意を受けた人間が必ずホワイトハウスに役付きで侵入するのは米国の歴史の定石となっている。だからトランプにだって、多数の「シンクタンク」出身のエージェントが付く纏うことになるだろう。

◆安倍政権が強行採決した「TPP」に米国が参加しなかったら
トランプが大統領に就任することによって「日米関係」はどうなるのか、の議論が賑やかだ。当面興味深い混乱が起きる可能性はある。トランプは「TPPに反対する」と明言している点には注意を向けてもよかろう。
汚職で辞任した甘利元経産大臣が、あれほど時間を掛け、その実内容のほとんどを非公開に行っていた日米間の「TPP交渉」は一体なんだったのだろうか。国会では先日委員会でまたもや「強行採決」が行われたが、このままトランプが選挙公約を翻さず、「TPP」に米国が参加しなかったら、日本はどうするつもりなのだろう。
「米国にTPP参加を促すために大統領選挙前の議会通過が理想だった」と自民党関係者は語るけれども、衆議院の委員会でああまでして無茶な「強行採決」を行う必要はどこにあったのか、いずれ近い将来「その理由」もしくは「その無茶・無駄さ」が判明するだろう。彼らは心中クリントンの当選を願っていたのだから。

いずれにしろ、誰がどこの国の大統領に就任しようとも、国政は粛々と行われるべきだ。米国大統領が、トランプであろうがヒラリー・クリントンであろうが、不幸なことにこの国の首相が安倍晋三であることに変わりはない。他国の騒動を気にしている暇があるのであれば、自国の最低最悪の政治を少しは凝視してみないか。
◆星条旗よりも寒風吹き始めた永田町の暗澹たる姿を凝視せよ
隣国韓国では朴槿恵がいよいよ追い詰められた。本コラムで以前紹介したが、朴槿恵に関しては何もここ数週間で急に世論が批判的になったわけではなく、国民の厳しい批判の目があった。支持率は20代では1%というから、実質ゼロだ。以前に比べればおとなしくなった韓国ではあるが、それでも「不正」を目の当たりにした時の国民の動きは日本の比にならない。
米国大統領選挙の結果はそれで結構(私はそもそも米国大統領選挙システム自体が全く民主的ではないと考えるので、米国大統領には全く期待を持っていない。現状をドラスティックに変える人物など、この選挙システムの上では、必ずはじき出され、選挙戦で何を主張しようが、しまいが基本似た政策の継続しか選択肢がないのが米国大統領選挙だと考える)。よその国の内政を評論することは出来ても介入することなどできないのだから。
それよりも、足元を見なければいけないだろう。「土人」発言は「差別ではない」と大臣が名言していても首を取れないのか。ずるずるではあるが憲法審査会の開会が迫る状況は穏当か。星条旗よりも寒風が吹き始めた東京永田町の暗澹たる姿を凝視せよ。
◎[参考動画]Donald Trump Wins US Presidential Election(ABC News2006年11月9日公開)
▼田所敏夫(たどころ としお)
兵庫県生まれ、会社員、大学職員を経て現在は著述業。大手メディアの追求しないテーマを追い、アジアをはじめとする国際問題、教育問題などに関心を持つ。※本コラムへのご意見ご感想はメールアドレスtadokoro_toshio@yahoo.co.jpまでお寄せください。


「Paix2」(ぺぺ)に続く刑務所慰問アイドルが生まれない理由


刑務所慰問アイドルは、「もはや絶滅か」という危機に陥っている。
府中刑務所において11月3日午前10時から開催された「第41回府中刑務所文化祭」では、衣類や靴、そばがらの枕などの日用品や各種家具製品など、全国の刑務所での刑務作業製品の特売が大々的に行われた。
そしてイベントも盛りだくさんで、刑務所内の工場や各施設の見学ツアーなどで、約1万5000人もの客を堪能させた。また巷で話題となっている、府中刑務所で焼かれていると名物『ブドウパン』や、刑務所内での食事を模倣したという『麦飯弁当』なども振る舞われている。

さて、今回の文化祭には落語家の桂才賀師匠や、刑務所のアイドルと呼ばれるシンガーソングライティングデュオの「Paix2」(ぺぺ)ら矯正支援官ら3人が一日所長を務めて、刑務所の受刑者の社会復帰や更生に尽力された民間人の方、また刑務作業をオーダーするなどして功績がある企業などを表彰した。
とりわけ、2000年のデビュー以来およそ16年間で397回(今年の11月3日時点)もの慰問(プリズンコンサート)をこなし、全国の刑務所から引っ張りだこの“刑務所アイドル”。もはや施設内では、AKB48よりも知名度があると言われている。

「しかし、この美人デュオのManamiとMegumiは両方ともタフで、最近までボランティアで彼女たちは全国を車で移動。その走行距離は16年間で110万キロを超えている。今年になってようやく日当が数千円~1万円、遠い刑務所の場合はプラス交通費が出るようになりましたが、刑務所慰問は基本的に雀の涙ほどの交通費しか出なかった。これが彼女たちに続くアイドルがなかなか出ない理由だったが、それでもスケジュールを刑務所の都合に合わせなくてはならない。慰問は基本的に刑務作業のない土日か祝祭日に行われるので、九州から一日で北海道に移動しなくてはならないことも。出所した連中が私生活でつきまという危機もある。出所したヤクザがコンサートで訪れてもにこやかに対応しないとならない。リスクがありすぎるのです」(法務省関係者)

だから「お金目当て」に地下アイドルが手をあげても、簡単にはこの領域に食い込めない分野なのだ。
「昨年の4月、浜崎あゆみや「EXILE」のATSUSHIらが2008年、法務大臣から「特別矯正官」に任命された杉良太郎の呼びかけで、矯正支援官に任命された。これはコロッケ、夏川りみ、MAX、桂才賀などと同じタイミングで、杉良太郎が法務省に働きかけて実現したもの。このときに「Paix2」のふたりも嬌正支援官に任命されたが、『これで無名なアイドルが刑務所慰問利権に食い込んでくる突破口を作ってしまったか』といらぬ心配が、芸能プロダクション関係者にも生まれました」(同)

ところが、刑務所を慰問するとなれば「悪いやつら」が出所して、後につきまわれ、ストーカーになるリスクがあるので、「刑務所を慰問したい」と法務省矯正局に名乗り出ても「出所した連中の面倒を見るリスクを背負えるか」と問われると多くのアイドルたちは尻込みするという。
「実際、殺人を犯した凶悪犯も出所して「Paix2」の通常のコンサート時、楽屋に『おかげで更正できました』と御礼を言いに尋ねてくることも珍しくない。
ライブをやっても〝もと犯罪者〟で客が埋まるわけで、ヤクザの集会かと見間違えるほどです。そうした現状を話すとたいていのアイドルたちが『やっぱり刑務所慰問は考えます』となってくるのです」(同)

刑務所事情に詳しい影野臣直氏が「なかなか刑務所慰問をやる若いアイドルが出現しない理由をつぎのように語る。
「やはりボランティアで囚人の更正を助けるような〝覚悟〟を法務省側も見るのではないでしょうか。とくに矯正支援官なんて、刑務所長より強い立場。刑務所慰問を売名で使って『売れなかったらAVに転身でもしようか』なんていう、どこぞの軽いタレントみたいな覚悟じゃ困るわけですよ。Paix2なんてずいぶん長い間、手弁当で刑務所を訪問していましたしね」
浜崎あゆみなどは「訪問する」と言っておきながら、一度も刑務所を慰問していないので「行く行く詐欺」「売名行為」などと揶揄されているが、確かにそれなりに「泥にまみれる覚悟」が慰問タレントには必要だ。かくして、刑務所慰問アイドルは高齢化、そして人材不足のまま、同じ慰問メンバーで刑務所収容者たちは「そろそろ別なやつを呼べ」と暴動が起きる……かもしれない。

(伊東北斗)


《我が暴走08》マツダ社員寮強殺事件でマツダ工場暴走犯が本ブログに特別寄稿
社会の耳目を集めた広島のマツダ社員寮男性社員殺害事件は、被害者の同僚の男性社員が強盗殺人の容疑で逮捕、起訴され、事件が解決したようなムードが漂った。そんな折、1人の無期懲役囚がこの事件について物申すべく、デジタル鹿砦社通信に手記を寄稿した。男の名前は、引寺利明(49)。2010年に起きたマツダ工場暴走殺傷事件の犯人である。

◆暴走犯から届いた手記
自動車メーカー・マツダの広島市南区向洋大原町にある社員寮で暮らしていた男性社員・菅野恭平さん(19)の他殺体が寮内の非常階段の2階踊り場で見つかったのは9月14日のこと。同24日に強盗殺人の容疑で検挙された上川傑被告(20)は菅野さんと寮の同じ階で暮らす同期入社の社員で、菅野さんを消火器で殴るなどして殺害し、現金約120万円を奪った疑いをかけられている。
一方、マツダの元期間工である引寺は2010年6月、広島市南区仁保沖町にあるマツダ本社工場に自動車で突入して暴走し、12人を殺傷。ほどなく自首して逮捕されたが、「マツダで働いていた頃、他の社員たちにロッカーを荒らされ、自宅アパートに侵入される集スト(集団ストーカー行為)に遭い、マツダを恨んでいた」という特異な犯行動機を語り、世間を驚かせた。その後、精神鑑定を経て起訴され、2013年9月、最高裁に上告を棄却されて無期懲役判決が確定。裁判では、責任能力を認められた一方で、妄想性障害に陥っていると認定されている。
この引寺が裁判の終結後も服役先の刑務所で無反省な日々を送っていることは、当欄で繰り返しお伝えしてきた。引寺が反省できない最大の原因は、マツダで働いていた頃に「集スト被害」に遭っていたと今も頑なに信じていることだ。そんな引寺だけに今回のマツダ社員寮事件についても黙っておられず、当欄に手記の掲載を希望し、私のもとに郵送してきたわけである。
引寺が書いた手記は読む人によっては、気分の悪くなる内容だと思う。しかし、引寺のような社会の耳目を集めた重大殺人事件の犯人がどのような考え、どのような精神状態で服役生活を送っているのかということは社会の大きな関心事であるはずだ。そこで、引寺から寄せられた手記を余すことなく紹介しよう。ただ、引寺は現在も自分が犯した罪について、まったく反省していないので、読んで気分が悪くなるのが耐えられない人はここから先を読むのは控えたほうがいいかもしれない(※以下、手記は行替えを除き、とくに断りがない限りは原文ママで引用)。

片岡さんも御存知と思いますが、マツダの社員寮で起こった事件に関してですが、発生当初から世間の見方では、同じ寮に住んでいる従業員による内部犯行の可能性が高い事は明らかだったのですが、犯人が逮捕されるまでは、新聞の記事やテレビのニュースでは、内部犯行説に関してはほとんど言及せず、何度も「警察は慎重に捜査している模様です。」と報道するばかりで、ワシはイライラしていた。
おそらくどこのマスコミも、内部犯行の可能性が高い事に関して、マツダに突っ込んだ取材はしていないでしょう。テレビ局のスタッフが、犯行現場である社員寮に出向き、寮に出入りしている社員達に逆取材した時も、インタビューを受けた社員が内部犯行の可能性が高い事について語った場合、その映像はニュースでは使われなかったでしょう。マスコミのボケどもがスポンサーであるマツダに配慮して、気をつかった報道ばかりをしている様子に、大人の事情が垣間見えて、カチーンときた。(怒)
マツダ事件(筆者注・引寺が起こしたマツダ工場暴走事件のこと。以下同じ)当時、一審を担当した主任弁護士の事務所に、マツダの従業員と名のる人達から「引寺容疑者が取り調べで語っているような嫌がらせをする連中がマツダにはおります。そういった連中による、嫌がらせ、パワハラ、セクハラ、暴行などの行為が、社内では日常的に起こっております。私も被害にあいました。」と訴えかけてくる電話が次々とかかってきた。主任弁護士は、電話をかけてきた人達の一人と実際に会い、直接、その人から被害の状況を聞いている。
ワシは広拘(筆者注・広島拘置所)で面会していた記者連中にこの件を話し、「こういった事態が実際に起こっとるんじゃけぇー、主任弁護士から裏をとってキッチリ報道しんさいや。それが現場の記者がやらにゃーいけん仕事じゃないんね」と持ち掛けた所、記者連中は「わかりました。主任弁護士から話を聞いてきます。」と動いたのだが、結局、この件はテレビや新聞では、一切、報道されなかった。
記者連中に報道されなかった理由を聞くと「デスクに止められてダメでした。」と回答する記者ばかりだった。この時は本当に頭に来た。スポンサーであるマツダのイメージが悪くなるような報道は出来んとゆう事か。(怒)
マツダ事件には、この件のように現場の記者連中は知っていたのに、マスコミの都合により報道されなかった裏事情がたくさんある。ワシは裏事情に関して、一審の法廷で何度も主張したのに、一切、報道されなかった。報道されなければ世間には伝わらない。自分達にとって都合の悪い情報を握りつぶすんなら、マスコミも腐った警察や検察と変わらんよのー。所詮マスコミにとって大事なのは、真実である現場の声を報道する事よりも、スポンサーの御機嫌を損なわないようにする事が最優先!!という事なのでしょう。ホンマ、腐っとりやがるでえー。(怒)
もし、犯行現場がマツダの社員寮ではなく、マスコミにとってスポンサーのからみなど全くないような、従業員が20~30人程度のチンケな工場の社員寮だったとしたら、マスコミは「内部の者による犯行の可能性が非常に高い」という言葉を、事件報道の中で普通に使っていたと思いますよ。
事件から1週間が過ぎた頃に犯人が逮捕され、被害者と同じ寮に住んでいた従業員である事が明らかになった時には、ざまあみさらせマツダのバチクソがあー!!といった感じで溜飲が下がりました。まさしく自演乙(筆者注・おつ。以下同じ)じゃのー。(爆笑)
マツダ事件発生当時には、事件発生から数時間後にマツダのトップ連中が記者会見を行い、マツダは被害を受けた事をアピールしまくり、「警察の捜査には全面的に協力します」などとホザいて、世間からの同情を買っておりましたが、今回の事件については、内部犯行の可能性が高い為、ヘタな記者会見は出来なかった訳です。
もし、逮捕された犯人が従業員ではなく、外部の者である事実が明らかになっていたら、おそらくマツダのトップ連中はシレッと記者会見を行い、その中で「今回、我が社の社員寮において、社員が殺害されるという大変痛ましい事件が発生し、真に遺憾であります。亡くなられた〇〇さんの冥福を全社員で祈っております。これからは社員寮などの施設のセキュリティを強化し、警備員を常駐させ、金銭トラブルに巻き込まれる事のないよう、コンプライアンスを重視した社員教育を徹底して行い、二度とこのような事態が発生する事の無いように全社を上げて努力していく所存であります。」などと語るんじゃろーのー。(笑)
大企業がマスコミのスポンサーになるというのは、今回みたいな自演乙の事件が発生した時に、マスコミに気をつかった報道をさせる口止め的なメリットがあるんじゃろーのー。ホンマ、大企業とマスコミによるこういった関係というのは、ヘドが出るで。(怒)長いものにはグルグル巻きじゃのー。(笑)
今回逮捕された従業員のアンチャンが、かつてワシが取り調べを受けていた南署(筆者注・広島南署)におるというのも、なんか笑えるのー。テレビのニュースで南署の建物が写っておりましたが、な~んかなつかしく感じてしまい、留置場生活の事をあれこれと思い出しちゃいました。(笑)どーでもえーが、南署の建物は早いとこ建て替えた方がええでー。震度3程度の地震でも倒壊しちゃうぜえーーー!!(笑)
念のために断っておくが、重大事件の犯人は引寺のような無反省な人物ばかりではない。また、自分の犯した罪については徹底的に無反省な引寺もそれ以外のことでは、意外に真面目な顔を見せることもある。しかし、こういう悪ふざけをしたような手記を書くのも間違いなく引寺の特徴の1つだ。この手記は殺人犯の生態を知るために有効な資料だと思う。
▼片岡健(かたおか けん)
1971年生まれ、広島市在住。全国各地で新旧様々な事件を取材している。

