待望の著が出た。仲がいい古巣の編集者がかかわっているので紹介する。「Mr.都市伝説・関暁夫の都市伝説6」(竹書房)は、AI知能が暴走したら、いったいどうなるかをつぶさに教えてくれる。

この著は、というか都市伝説はじつは会話のネタに詰まったときによく使える。 僕自身は、「怖い噂」というミリオン出版の季刊雑誌でさんざんぱら書かせていただいた。 なので、この手の原稿はネタが豊富だから、ぜひ版元のみなさん、発注してください(と宣伝)。

いちばん最近、耳にする都市伝説は、「自民党系代議士が反原発ライターの住所や電話番号を集めている」というものだ。なんのために? といえば、「テレビやラジオなどのメディアに出さないでおくために」だという。

すでに、反原発のジャーナリストや記者は、確かにテレビの舞台から下ろされつつある。心ある名前のあるライターは言う。「だから反原発の原稿を書くときは匿名にしたほうがいい」と。そして実名に書くとする。すると徐々に干されるというわけだ。

実際、小泉純一郎は反原発を言い始めてからメディアに黙殺された。反原発がライフワークとなった感のある元首相、菅直人はテレビの討論番組ではまっさきに 「外される」リストにあるという。さらに青木理氏も「広告代理店サイドでは、報道番組だとしても難色を示している」とも言われている。いったい、これらの「情報操作」ならびに「権力操作」をしているのは誰か、というのが疑問だ。僕の中でこの答えはとっくに出ている。ここではあえて書かないでおこう。

話をもとに戻せば、この「Mr.都市伝説・関暁夫の都市伝説」が企画として立ち上がったときに、竹書房に僕はいて、最初のプレゼンを編集者が行っている場面を見た。

このとき、数千部が刷られたと思うが、後に何十万部も売る大ヒット作となる。しかししょせん、初刷りは数千部だ。 今度、アマゾンがキンドルを使って書籍、コミック、雑誌を含む和書12万冊、洋書120万冊以上が月980円で読み放題のサービスを始めるという。

こうした「システム」に、ヒット作が埋もれるかと思うと心配だ。 今後、電子書籍がマーケットをリードする時代に入ると、このようなオバケコンテンツは埋もれていくだろう。

無人の車がAIで走行している実験を繰り返している。実際、雪道などでの無人タクシーは便利だろう。だが、無人車が暴走したらどうするのか。もちろん シャブ中かもしれないドライバーがわんさかといる日本で横断歩道を渡るのもごめんだが、いったいぜんたい、AIの運転を信じていいのか。その答え を関氏が明かす。うむ。

さて、私自身の都市伝説のネタは、東南アジアにおけるヤクザのしのぎで、「売れないAV女優が整形して稼いでいる」というものや「裏輸入ルート、金正恩 専用のカンボジア大麻」などが取材してある。くれぐれもオファーを待つ。だがその前に、「実話雑誌」という文化がもうなくなりそうで悲しいが。

▼小林俊之(こばやし・としゆき)
裏社会、事件、政治に精通。自称「ペンのテロリスト」の末筆にして松岡イズム最後の後継者。師匠は「自分以外すべて」で座右の銘は「肉を斬らせて骨を断つ」。