14日に行われた中国国家主席選挙で、習近平氏が国家主席の座に着いた。党・軍・国家の最高権力を習近平氏が握ることになる。習氏は、日本の尖閣諸島国有化を非難して反日行動を主導し、日本の領海・領空侵犯を常態化させた張本人だ。
14日の全国人民代表大会では、国家海洋局の権限強化を目的とする法案も可決された。尖閣の問題で日本と対峙するために習国家主席周辺が主導した案件といわれる。
すでに3月8日、中国国家測量地理情報局の李朋徳副局長は、「釣魚島(尖閣諸島の中国名)は正確に測量されていない。今後、適当な時期に測量局員を派遣して実際に測量する」と語っている。中国が公務員を尖閣に上陸させることを示唆する発言だ。

中国は尖閣諸島近郊に、連日のごとくヘリコプター搭載船や、軍艦を転用した最大級の監視船を送り込んできている、。
「とくにすぐに攻撃が開始できるヘリを搭載した『海監50』という海洋巡視船は要注意です。2月は10日間も尖閣諸島沖に出現し、4日間は確実に領海に侵入しています」(軍事ジャーナリスト)

中国はこれまでも、インドや、かつてのソ連との間に国境紛争を生じさせ、領土をかすめ取ってきた歴史がある。地下に天然資源がある尖閣に、触手を伸ばしてくるのも当然だろう。
「市場経済を発展させている中国ですが、決して、共産主義を捨てたわけではありません。マルクスなどの共産主義の教科書的な文献には、共産主義は資本主義が爛熟した後にやってくる、と書かれている。共産主義を実現するために、今は資本主義を爛熟させている、というわけです。共産主義というのは国をなくし、世界を一つにするという思想。古くからある中華思想は、中国が宇宙の中心だという考え方。共産主義と中華思想が結びつくと、中国が世界に広がるのが正しい、という考え方になる」(中国専門家)

中国にとって好ましくないのは、アメリカにとっても尖閣諸島を渡すのはまずい、ということだ。2010年の中国漁船衝突事件直後にヒラリー・クリントン国務長官は「尖閣諸島は日米安保条約の範囲内である」と宣言している。
中国海軍の艦船が海上自衛隊の護衛艦などに火器管制レーダーを照射した問題では、2月6日、パネッタ米国防長官が「中国が太平洋の平和と繁栄に自国の利益を見いだしたいのであれば、他国を威嚇したり、さらなる領土を求めて領有権問題を起こしたりすべきではない」と中国を非難している。

ただし、アメリカと中国との経済的な結びつきは、もはや日米間よりも強い。また、北朝鮮など外交上の難問でも、中国を頼りにせざる得ない部分が大きい。中国との本格対立は避けたい、というのがアメリカの本音だ。
この矛盾を、習近平氏が率いる中国は、巧妙に突いてくるだろう。
これに、日本はどう対応していくのか。
経済的には好調で意気揚々の安倍総理だが、これから、外交、国防での手腕が試されることになるだろう。

(鹿砦丸)