Cat Panic Entertainmentが運営するキャットファイトを5月23日に新木場まで見に行った。キャットファイトの中でも、お色気が見たい場合は、この団体の試合を見てスカッとするのもいい。キャットファイトは、女どうしの戦いを意味するのだが、ここでは、かわいい女の子が「そんなに激しく戦うのか」と驚きをもって観戦する種類のものと定義する。したがって、脱がしたり、股間をさらすシーンは男性にとってうれしいものがあるが、まちがっても凶器や流血などは存在しない。

観客は、20代から50代の男性がメインで、9割ほど。「全日本プロレス」や「新日本プロレス」のTシャツを着ていたりする。いわゆるおたくの臭いはほぼしない。第一試合からして、「負けたほうが官能小説を読む」という罰ゲームが用意されていた。そうなのだ、こうした演出こそがこのイベントのナイスな肝なのだ。地下アイドルがリングの合間に歌うのも、見どころで、観客の迷惑を顧みずに、ひたすらに踊る最前列のおっさんもいた(あとで後ろの席の人に謝っていたが)。


◎[参考動画]5/23(土)CPEキャットファイト全対戦カード発表!

寝技回春ガールズ

とりわけ、初代ミニスカポリスの福山理子 、アイドルレスラー鳳華、はたまた舞台女優、若林美保などのきれいどころとも出会えるのが魅力だ。開始から最後まで見たが、キャットファイトはよりエンターテインメント性が高まっており,解説もアナも笑いをとらせたら一級品という感じがした。追いはぎマッチや、バナナを尺八する技をあらそう3対3のバトルも、ローションの中のバトルロイヤルも魅力だが、メンバーがいれかわってもなお迫力があるパフォーマンスを見せてくれた。

個人的には、小司あんももえりがまだがんばっているのを発見して、「いまだがんばっているのか」と感慨が深かった。初めて見たときは少女のような初初しさがあったが、もはやベテランの領域だ。ちなみに「あやまんJAPAN」は、初期メンバーはすでに脱退したが、メンバーがいれかってもなおレベルの高いパフォーマンスを見せてくれた。

◆格闘技にエロスと笑いを共存させる『バトルビーナス』たちの饗宴

実は、格闘技とエロスとお笑いを共存させるのは、とても難しい。名前を伏せるが僕の友人もキャットファイトの運営に関わったが、どうしても女の選手たちは「あの子よりも前に出たい」と顕示欲が強くて分裂に分裂を繰り返して、やがて団体は消滅していった。今、残っているキャットファイトの団体の人気の秘密は「美しい戦士たちが汗まみれで戦う」、その姿が崇高だという点だろう。アキバ系のキャットファイトのイベントでも、そうした『バトルビーナス』をリスペクトするカメラ小僧であふれているのだ。

同時に、いつの世の中にも「強い女」に憧れる男はいるもので、彼女たちをリスペクトして、全国に女子プロレスラーを追いかけている中年も一部ではいるのも事実だ。もしかしたら、自分もそうした「女子プロレスラー」の追っかけになっていた可能性は高いのだが、幸いにも自分はプロレスラーの「アイドル性」や「カリスマ性」を追跡するよりも、「試合そのもののおもしろさ」を伝えるライターとなった。したがって、人気があるから選手をとりあげるような真似はしない。試合が秀逸だから、活字たりえるのである。

紫龍みほ(右から2人目)

もしも女子プロレスラーや格闘技家で、魅力ある人がいたなら、ひたすらに追跡していたような気もする。

しかし女子の格闘技家が「旬でいられる時間」が短いのも、僕がどうしても女子の格闘技イベントから遠ざかる原因ともなってきた。お誘いはたくさんあったので、ここでお詫びするなら、どうしても土日は、ボクシングの重要な試合があったのだ。

もしも往年のプロレスファンがこのブログを見ていたら、であるが、リッキー・フジ木原文人も、男女混合のローションプロレスに参戦していたので、この点からも興味を持つかもしれない。

◆キャットファイトの魅力──相反する要素がミスマッチ的に同居

はてさて、話をイベントに戻せば、ラストのローションファイトでは、水鉄砲が配られて、レスラーの股間や乳房水をぶっかけられる。もはや脱力するほどのユルさだ。しかしこうした「脱・日常」こそが、キャットファイトの魅力なのだろう。

桃杏めるのライブ

山田ゴメスは、かつてこう観戦記に書いた。

ポイントは、エロからもっともかけ離れた位置にあるはずの“笑い”(“失笑”もおおいに含む)と、本来ならもっともエロの身近になければならないはずの“下世話”(もっと断言するなら“下品さ”)であるようだ。これらの相反する要素がミスマッチ的に同居する、乱暴なフレイバー感こそがキャットファイトの魅力なのかもしれない。(日刊SPA!

なかなか的確に捉えている言葉だ。いずれにせよ、次回は9月に行われる。
もし日程があればまた出かけてみたい。

▼ハイセーヤスダ(編集者&ライター)
テレビ製作会社、編集プロダクション、出版社勤務を経て、現在に至る。週刊誌のデータマン、コンテンツ制作、著述業、落語の原作、官能小説、AV寸評、広告製作とマルチに活躍。座右の銘は「思いたったが吉日」。格闘技通信ブログ「拳論!」(http://genron1.blog.fc2.com)の管理人。

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