東日本大震災の被災地3県のガレキは約2300トンと言われている。「いっこうに進んでいませんよ。ガレキの受け入れをかってでたのは福島県に限れば1都6県にすぎない。処理問題で、政府ががれきの広域処理を呼び掛けるメディアキャンペーンを展開していますが、放射能の拡散への不安だけでなく、政府そのものへの不信が大きく響いています」(陸前高田の市民)

原発事故で政府は情報隠ぺいや事故の規模への過小評価を連発してきた。おおおそ環境省は新年度、除染関連と合わせて30億円以上の予算で広報業務を進めているが効果をあげたのか。

そもそも瓦礫を全国に拡散すれば、それでOKなのか。
この問題では「放射性レベルが低いのなら、がれき処理専用の仮設焼却炉を現地につくって処理するのが最も効率的で、現地に雇用も生まれる」(池田こみち・環境総合研究所副所長)、「バグフィルターの性能の検証や、灰の処分方法の変更、排水処理の高度化などが先」(高野雅夫・名古屋大大学院准教授)などの異論がある。現地に行くとよくわかるが、東北は、とりわけ被災地は平地が少ないリアス式の地形であり、平地をとんと見ない。焼却炉の用地確保は簡単ではない。

ちなみに、国の安全基準では、①焼却前がれきは、放射性セシウムが1キログラムあたり240ないし480ベクレル以下(焼却炉により異なる)とする②焼却灰は8000ベクレル以下とする基準がある。しかし東京都など、受け入れ先での数字は、基準値を下回っているからひと安心というところか。

しかし政府は「早急な広域処理の一点張りを」とバカのひとつ覚えだ。新聞社説も、「広域処理の流れが加速することを期待したい」「『お互いさま』の精神で……広く受け入れよう」とあたかも官僚からの情報を垂れ流すかのような報道が展開されている。あるいは「助け合い」「手を差し伸べて」などの感情論を織り交ぜながら広域処理を進めるべしとの論調で一致している。いかにも机上の空論である。現地の声を聞けよ、大手メディアの高給とり記者たちよ。
ゴールデンウィークに海外旅行に興じている場合ではないぞ。

「はあ? ガレキの処理なんて掛け声ばっかで13%くらいしかすんでねえよ。政府は何をしているんだ」と石巻市民。陸前高田では、報道を見る限りがれきの横で暮らす心労が重なり、3週間も入院した人がいるという。
永田町にいる、きれいごとばかり言う御仁たちは、放射能にまみれたガレキの横で暮らすという心労を想像したことがあるのか。

消費税のテクニカルな話よりも、政府は瓦礫の広域処理計画を即座に出すべきだが、まあ小沢一郎の処遇で揺れに揺れている民主党では無理なんだろうなあ

(渋谷三七十)