2021年NKB最終戦はSasori引退セレモニーとバンタム級王座決定戦は海老原竜二が制す! 堀田春樹

海老原竜二は4人トーナメントの決勝となる王座決定戦で、若い龍太郎を撃破。

前・女子(ミネルヴァ)ライトフライ級チャンピオン.sasori(テツ/PRIMA GOLD)は紅絹(NEXT LEVEL渋谷)と、ぱんちゃん璃奈(STRUGGLE)と1ラウンドずつのエキシビションマッチ。更に師匠と1ラウンドのエキシビションマッチを行ない、引退セレモニーでテンカウントゴングに送られてリングを去った。

最後の打ち合いを楽しむsasori
エキシビションマッチで交わった、ぱんちゃん璃奈と紅絹と並んだsasori

鎌田政興は6月19日に半澤信也の飛びヒザ蹴りで敗れて以来の再戦を、雪辱のKO勝利。

過去、新日本キックで日本ライト級4位だった渡邉涼介はウルフ・タツロウに判定負け。

◎NKB必勝シリーズ 7th / 12月11日(土) 後楽園ホール 17:30~20:21
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

◆第9試合 第9代NKBバンタム級王座決定戦 5回戦

1位.海老原竜二(神武館/1991.3.6埼玉県出身/53.5kg)
     vs
3位.龍太郎(真門/2000.12.25大阪府出身/53.2kg)
勝者:海老原竜二 / TKO 3R 0:34 /
主審:前田仁

龍太郎が蹴りとパンチで積極的に前進し、接近気味に距離を詰める。海老原竜二は待ち構える体勢も、少しやり難いか手数が少ない。やや距離を保てば海老原のミドルキックが攻勢に流れそうだが、パンチとローキックの圧力で下がらない龍太郎。

しかし第3ラウンド開始間もなく、ガードがやや低い龍太郎の顔面に海老原の左ハイキックがヒット。龍太郎は崩れ落ちるも立ち上がろうとするが、足にきてバランスが保てずカウント中にレフェリーに止められてしまった。海老原の先を読むキャリアの差が出た試合。海老原竜二は22戦13勝(6KO)9敗。龍太郎は8戦3勝(1KO)4敗1分

海老原竜二の左ハイキックが龍太郎のアゴにヒット
立ち上がろうとするも崩れ落ちる龍太郎。更に立ち上がろうとする
意識はハッキリ、悔しがる龍太郎

◆第8試合 70.0kg契約3回戦

JKAミドル級1位.光成(ROCK ON/1989.12.3神奈川県出身/69.9kg)
     vs
カズ・ジャンジラ(ジャンジラ/1987.9.2東京都出身/69.45kg)
勝者:カズ・ジャンジラ / 判定0-3
主審:仲俊光
副審:加賀美28-30. 佐藤28-30. 前田29-30

光成の前進を止め、パンチで攻勢を保ったカズ・ジャンジラ
NIIZMAXは変則的に見映えいい技も繰り出すも、攻勢に持ち込めず

序盤は長身の光成の蹴りが効果的に目立つ。カズも次第にパンチで返していき、距離を詰めることで光成のリズムを狂わせ、パンチの連打で攻勢強める。

最終ラウンド残り少ない終了間際で打ち合いに出てきた光成と打ち合ったカズ。互角の打ち合いながら、光成がやや圧力有った終了間際。会場が盛り上がる見せ場となった。

◆第7試合 60.5kg契約3回戦

KEIGO(BIG MOOSE/59.9kg)vs NIIZMAX(クロスポイント吉祥寺/60.15kg)
引分け 0-0 / 主審:川上伸
副審:加賀美30-30. 前田30-30. 鈴木30-30

蹴りから縺れ合って崩れ落ちること多い展開。有効打は無く、差が出ない引分け。

◆第6試合 62.0kg契約3回戦

渡邉涼介(ホライズン/62.0kg)vs ウルフ・タツロウ(アント/61.9kg)
勝者:ウルフ・タツロウ / 判定0-3
主審:佐藤友章
副審:加賀美28-29. 仲28-30. 川上28-30

ウルフ・タツロウに掴まれてのヒザ蹴りに突破口開けなかった渡邉涼介。

組みつかれての揉み合いでスタミナ消耗がキツイ展開。パンチしかない渡辺は勝機を見出せなかった。

ウルフ・タツロウと打ち合いう渡邉涼介も巻き返しに至らず

◆第5試合 フェザー級3回戦

半澤信也(トイカツ/57.15kg)vs 鎌田政興(ケーアクティブ/56.85kg)
勝者:鎌田政興 / KO 2R 2:46
主審:鈴木義和

前回6月19日は一瞬の隙を突かれて半澤の軽く飛んだヒザ蹴りに敗れた鎌田政興が、今度はしっかり相手を見て油断なくパンチで攻勢を続けた。

半澤は何度かけん制気味に飛び技を繰り出すも効果無く、最後は鎌田がパンチからヒザ蹴りを加えた猛攻でレフェリーが止める3ノックダウンとなって雪辱を果たした。

冷静に進めた鎌田政興がパンチで半澤信也を圧倒、雪辱を果たした

◆第4試合 バンタム級3回戦

ナカムランチャイ・ケンタ(team AKATSUKI/53.05kg)vs 幸太(八王子FSG/53.5kg)
勝者:幸太 / 判定1-2 (30-29. 28-30. 28-30)

昨年10月デビュー戦の幸太はナカムランチャイにTKO負け。そのデビューから3連敗も、スプリットデジションながらナカムランチャイに雪辱を果たした。

◆第3試合 63.0kg契約3回戦

YASU(NK/62.4kg)vs カミシロ(PHOENIX/62.45kg)
勝者:カミシロ / TKO 2R 0:40

カミシロのムエタイスタイルが活きたヒジ打ちでYASUの左眉尻をカットさせ、更にヒザ・ヒジの攻勢を続けた後、YASUは傷の悪化で、ドクターの勧告を受入れたレフェリーストップで終了。

◆第2試合 ライト級3回戦

辻健太郎(TOKYO KICK WORKS/61.2kg)vs 高平雅申(上州松井/58.85kg)
勝者:辻健太郎 / KO 1R 2:27

辻健太郎の右ロングフックで高平雅申をテンカウントで仕留めた。

◆第1試合 ウェルター級3回戦

ゆうき(BIG MOOSE/66.2kg)vs 田村大海(拳心館/65.4kg)
勝者:ゆうき / 判定3-0 (28-27. 29-27. 29-27)

チャンピオンとなって抱負を語る海老原竜二「NKBと格闘技界を盛り上げたい」

《取材戦記》

NKBバンタム級王座は、高橋亮(真門)が2015年12月12日に、王座決定戦で松永亮(拳心館)を制して獲得して以来のタイトルマッチとなった。高橋亮はフェザー級に上げ、2019年に二階級制覇を果たしています。防衛戦が無かったのは挑戦者が居なかった。と言うのはランキングが埋まっていないことが実情。団体が多くて活動の差があれば、そんな王座も多いものです。

「格闘技界を盛り上げたい」と応えた海老原竜二。チャンピオンとなった以上は他団体交流も増えると考えられます。これからのチャンピオンロードで、ローカルタイトルで終わるか、日本トップクラスに立つか、真価を問われる戦いが続くでしょう。

レフェリーに止められた後の龍太郎は、フラつくことも椅子に座ることもなく、挨拶を済ませ悔しい表情でリングを下りたが、一瞬の隙を突かれた形で、交通事故に遭った瞬間に似ているかもしれないあのハイキックは、もう少しガードが高ければ、ちゃんと見えていればまだ戦っていただろうと後悔が脳裏を過ぎる悔しさだろう。

引退セレモニーで興行を締め括ったsasari。メインイベントのタイトルマッチの後、会場を去る観客も居たものの、多くの支援者は残っていた様子。試合と試合の合間より最終イベントとして行なう方が、後に控える試合が無いので落ち着いた進行でやれる感じはありました。延べ30分かかったものの、エキシビションマッチで1ラウンド2分制ながら、3人相手に計3ラウンド行なったことはsasoriにとって充実感が残るリング上だったでしょう。

第6試合出場の渡邉涼介は、元々は伊原新潟ジムで、新日本キック脱退後、フリーとしてホライズンジムに名を変え、会長も代わらず乙川敏彦氏が務めています。渡邉涼介は8月28日に日本キックボクシング連盟新潟興行で橋本浩介(PCK大崎)にヒジ打ちに敗れ、今回はウルフ・タツロウに判定負け。他団体進出で険しい道程も今後も戦いは続きます。

日本キックボクシング連盟2022年興行は2月19日、後楽園ホールに於いて開催。10月から延期となっていたNKBライト級タイトルマッチ、高橋一眞(真門)の3度目の防衛戦として棚橋賢二郎(拳心館)の再挑戦を受けます。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

キックボクシングなどの興行に不可欠、ドクターの役割 堀田春樹

◆なくてはならないドクターの存在

モトヤスックvs喜入衆戦。喜入が失神KO負け、頻度は少ないが担架で運ばれるシーンは衝撃を覚える(2021年5月29日)

5月29日にモトヤスックと対戦した喜入衆が失神ノックアウト負けを喫した際、喜入は痙攣し鼾をかく危険状態だった。レフェリーはすぐドクターを要請し、当興行を担当したドクターは迅速に処置に当たったことは見事な対応であった。

喜入は数分後に意識は回復したが、立ち上がることは出来ない状態で、担架に乗せられ青コーナー側、鉄扉のバックステージまで運ばれた。その頃には、すでに救急隊は到着している様子が伺えた。JBC管轄下ではないが、救急搬送出来る素早さは、後楽園ホールならではのスピードだった。

以上のことは、当時の試合レポートで書いたところだが、失神KO負けで意識が回復しない場合は急性硬膜下血腫等の疑いで、すぐに開頭手術準備の必要性があります。後楽園ホールで行われるプロボクシングの場合は、試合直後から1時間以内に手術にかかる準備が整っていると言われています。

◆公式試合に関わる意識

ドクターの迅速な処置で救急隊の到着は速かった喜入衆の場合(2021年5月29日)

キックボクシングに於いて、現在の管理体制とは程遠い、昭和末期か平成初めの時代のこと。試合のラウンド中にタイムストップしているドクターチェックの際に、ヒジ打ちで斬られた選手の傷を見て、「薬塗ってもいいんですか?」とレフェリーに聞いたドクターが居たという。

また、失神ノックアウト負けし、リング上で仰向けに倒れたままの選手をリング外から「大丈夫かなあ!?」と言って覗いているドクターを見たことがあるが、立場が分かっていないドクターも居るものだと思った次第である。

要請がないから診なくていいのではない。KOによる試合終了のゴングが鳴ったら、レフェリーの指示無くてもすぐKOされた選手の様子を診なければならない。それがリングドクターである。

キックボクシング創生期には、ドクターの手配が間に合わず、形式上のドクターとして獣医が呼ばれたことがあるという。そしてブッ倒れている選手の瞳孔に土木工事用のでっかい懐中電灯を照らしたという笑えない話もあった。その後の日本系、全日本系に於いては優秀なコミッションドクターが居たことも事実だが、形式上のドクターとして呼ばれている、競技性と動くべき事態を理解していないドクターが多かったのも長い歴史の中の話である。

郷野聡寛vs臼井壮輔戦。脚の負傷によるKO負けの郷野聡寛。ドクターが様子を診るリング上(2021年4月24日)

◆最高権限者とは?

公式試合には試合進行に必要な役員や審判、ドクターがいます。

1998年頃、キックボクシングのあるジムの会長代行者と食事する機会があり、プロボクシング試合ルールのレフェリーやドクターについて話していた時の話、「ドクターが最高権限者!」と言われました。

「一般人より医学的知識を持ったプロが危険と判断したら、それはレフェリーより確実な判断でしょ!そのドクターが“ストップ”と言ったら誰が逆らう権利があるの?」と自信満々に言われる。

しかし、プロボクシングルールに於いて試合を裁く最高権限者はレフェリーで、ドクターの意見を鑑みて試合を止める判断をするのである。キックボクシングに於いては明確に定められていないが、同じシチュエーションでは判断すべき対応は同じであろうという議論の中での話だった。

その会長代行者は口が達者な人で、口下手な私(堀田)は納得できないまま負けそうだったが、その数日後にあったプロボクシングの取材で早速、JBC役員の安河内剛氏(当時国際担当)に聞いてみました。

「レフェリーが最高権限者です。ドクターがストップを促してもレフェリーが試合続行したこともありますよ。その時は負傷していた選手がすぐ劣勢になったので、間もなくレフェリーが試合ストップしましたけど、それまではレフェリーの判断で続行したのです。」という回答。

後日、またそのキックジム会長代行者に会いに行って、「オイ、やっぱりレフェリーが最高権限者じゃねえか!」と語気強くは言えないが、やんわり言ってやろうとしたところで、その会長代行者は「レフェリーが最高権限者よ!」と悪びれず180度覆してきた。

「先週、ドクターが最高権限者って言ったじゃないですか!」と言い返したところで、「そんな訳ないでしょ!」と言い出す始末。おそらく自分でも調べたのだろう。

後々、JBCに新しく入ったリングアナウンサーの冨樫光明さんが、負傷TKOによる試合終了の際、「ドクターの勧告を受入れ、レフェリーストップとなります!」というコールがされるようになった。この冨樫リングアナウンサー、細かいことまでキッチリアナウンスする几帳面な人だった。

キックボクシングでは「ドクターストップ」と公式記録に残る場合は多い。実際、ドクターの判断が絶対と思って、そのまんま従うレフェリーがほとんどだろう。

プロボクシングでは現在もリングアナウンスを進化させながら「この試合をストップする唯一の権限を持つレフェリーは・・・○○」とコールする冨樫リングアナウンサーである。

テーマずれして、「ドクターよりレフェリーが偉い!」みたいな形になってしまったが、ここは触れておきたい試合の最高権限についてだった。ただ、ドクターは興行に於いてもっと重い権限を持った立場なのである。

高橋亨汰vsリュウイチ戦。レフェリーが止めるタイミングと敗者へのフォローは重要(2021年6月6日)
リカルド・ブラボvs杉原新也戦。ヒジ打ちによる負傷が悪化、ドクターの勧告を受入れる形で試合は止められた光景(2021年6月6日)

◆医師しか出来ない重要な義務

現在はキックボクシング各団体、各興行で見かける範囲に於いてのリングドクターは、冒頭の喜入衆の場合のような、観察力ある視野で選手の動きを追って迅速に動くドクターが増えたかと思います。

プロ・アマとも、格闘技(またはスポーツ全般)に於いてリングドクター(プロボクシングではコミッションドクター)を配置しなければならない理由は、「国民の命と健康を守る為!」といったキャッチフレーズではないが、「選手の命と健康を守る為!」であると共に医学的立場で、リング禍(死亡事故)に至った場合の経過を綴り、救急病院に引き渡す処置が出来る責任者であり、最後まで看取る場合によっては死亡診断書を発行できる重要な義務であろうと考えられます。

人は入院している病院以外で死亡した場合、必ず警察等による検死(検視)が行われます。ドクターが配置されない状態で試合を行ない、死亡事故が発生した場合、どんな面倒なことが起こるか想像は難しくないでしょう。

また、プロボクシングでは試合後の検診が義務付けられていますが、主に瞳孔、血圧、脚気をチェックされると考えられます。

2000年頃にMA日本キックボクシング連盟で、プロボクシングに倣い、試合後の選手の検診を実施していた時期がありましたが(当時は越川貴史ドクターの采配)、現在の各団体興行、試合後は負傷者の治療のみの場合が多いでしょう。試合は無難な勝利でも、ある程度は被弾することは多いもの。過去には帰宅直後に倒れた選手もいたと言われます。経費に関わる問題もあるでしょうが、選手には計量前の検診だけでなく、医学的見地から試合後の検診も義務付けた方がいいでしょう。

ドクターがストップを勧告する場合や、レフェリーが試合ストップする判断は難しい場合があります。「止めるのが早い!」とか「遅い!」といった抗議は起こらないようレフェリーの裁定やドクターの勧告を尊重したいものです。

鎌田政興vs半澤信也戦。KO負け直後は動かさず意識確認。ドクターの迅速さが重要(2021年6月19日)

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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コロナ禍を挟んで2年ぶりの開催、第90回全日本学生キックボクシング選手権! 國學院大が18年ぶりの団体優勝! 個人戦も三階級とも制覇! 堀田春樹

全日本学生キックボクシング連盟は1972年(昭和47年)10月設立。来年には満50周年を迎えるアマチュアキックボクシング界の元祖として、現存する中では世界最古のキックボクシング組織となります。

昨年はコロナ禍の影響で、春からの大学交流戦が全て中止され、今年も夏まで大会数の減少や無観客大会など制限の中で開催。現在も部活動が制限され、練習再開の目途が立たない大学もあると言い、今年は5つの大学による大会となりました。

國學院大學が18年ぶりの団体優勝。個人戦も三階級とも國學院が制覇。

優勝=國學院大學
準優勝=中央大学
第3位=創価大学
技能賞=境田建志郎(國學院3年)
喜多川賞=青木幹太(國學院2年)
ベストバウト賞=菅原佑斗(國學院4年)、高岡大(國學院2年)
最優秀選手賞=安河内大樹(中央3年)

2021年度、団体優勝は18年ぶりの國學院大學

2021年度University Kickboxing Federationトーナメント決勝戦

ライト級チャンピオン 菅原佑斗(國學院4年)
フェザー級チャンピオン 青木幹太(國學院2年)
バンタム級チャンピオン 松長雄飛(國學院3年)

2021年度、三階級のチャンピオン
2021年度、個人戦の受賞者

◎第90回全日本学生キックボクシング選手権大会 / 11月27日(土)後楽園ホール10:00~13:47
主催:全日本学生キックボクシング連盟

U-1=3R、防具無し、一定の階級毎グローブ分け有(8・10・12オンス)
U-2=2R、ヘッドギアー、レガース、膝パット着用。全階級14オンスグローブ。

2021年度UKFチャンピオントーナメント決勝戦

◆第8試合 UKFライト級トーナメント決勝 3回戦 U-1

菅原佑斗(國學院4年)vs 高岡大(國學院2年)
引分け 0-0 / 主審:長谷川隆二
副審:古居30-30. 河野30-30. 千代田30-30(三者とも菅原佑斗を優勢支持)

蹴りからパンチの攻防。差が出ない展開も、菅原のハイキックが優勢を導く流れ。菅原佑斗が勝者扱いで優勝。公式記録は引分け。

◆第7試合 UKFフェザー級トーナメント決勝 3回戦 U-1

青木幹太(國學院2年)vs 堀雄太(中央2年)
勝者:青木幹太 / KO(RSC)3R 2:51 / 主審:小林利典

堀のパンチを受けて鼻血を流す青木は打ち返していくと、堀は次第にスタミナ切れか、組み合うと体勢悪く、ヒザ蹴りを受けてノックダウンを喫する。パンチと蹴りの攻防は続くが、青木が勢いに乗り、更に組み合った際、青木のヒザ蹴りを受け続けた堀はレフェリーに止められた。

[左]ライト級決勝 菅原佑斗vs 高岡大は互角の攻防 [右]フェザー級決勝 青木幹太がヒザ蹴りで圧勝

◆第6試合 UKFバンタム級トーナメント決勝

松長雄飛(國學院3年)が計量・検診をパスし、不戦勝優勝。
10月24日準決勝、寺西勇弥(東海1年)vs 大塚豊(創価2年)は寺西が棄権、大塚が計量失格で両者脱落

◆エキシビションマッチ2回戦

松長雄飛ex大塚豊
RSC 1R 2:35 /

決勝戦で対戦していたかもしれない両者は倒しに行く本気モードで、松長雄飛のパンチで大塚豊が2度のノックダウンで終了。

バンタム級制した松長雄飛がエキシビションマッチで大塚豊を倒す

◆OBエキシビションマッチ 2回戦(2分制)

RISEライト級1位.秀樹(創価大学出身)
2012年UKFフェザー級王者、2013年UKFライト級王者、
K-1 REVOLUTION FINAL -65㎏級世界王者
EX
RISEスーパーフェザー級6位.常陸飛雄馬(東海大学出身)
2016年UKFフェザー級王者、2017年UKFフェザー級王者、
2018年 第1回世界大学ムエタイ選手権大会日本代表

プロらしさが見られたテクニックと重みある蹴りとパンチの交錯。

恒例のOBによるエキシビションマッチはRISEで活躍する佐々木秀樹と常陸飛雄馬
最優秀選手賞の安河内大樹は右ストレートで圧勝

以下、大学交流戦

◆第5試合 ウェルター級 2回戦 U-2

安河内大樹(中央3年)vs 田中良弥(拓殖2年)
勝者:安河内大樹 / TKO(RSC) 1R 0:17 /

開始早々、蹴りから接近し打ち合う中、連打から左フックヒット

◆第4試合 ライト級 2回戦 U-2

田中冴樹(創価3年)vs 川島京太郎(拓殖3年)
引分け 0-1 (18-20. 20-20. 20-20)

◆第3試合 ライト級 2回戦 U-2

三須脩平(國學院2年)vs 相原寛人(拓殖2年)
勝者:三須脩平 / 判定2-1 (20-19. 20-19. 19-20)

◆第2試合 ミドル級 2回戦 U-2 

境田建志郎(國學院3年)vs 清太陽(東海1年)
勝者:境田健志郎 / 判定3-0 (20-17. 20-17. 20-17)

◆第1試合 バンタム級 2回戦 U-2

大畑寛太(創価1年)vs 福島智洋(拓殖1年)
勝者:大畑寛太 / 判定2-0 (20-19. 19-19. 20-19)

「K-1 FIT FIGHT」拓殖大学フィットネスチームによるデモンストレーション

《取材戦記》

OBによるエキシビションマッチ出場した佐々木秀樹のセコンドは、赤ちゃんを背負った奥様が付き、ドラマになりそうな珍しい光景だった模様。それに気付かなかった私は撮っていなかった。観察力不足であった。

学生キックでは大方は4年間で終わってしまう大学生活で、4年生は卒業と就職に向けた活動に入る為、3年生でキックボクシングを辞める選手が多いようですが、早々に就職などの進路が決まると、4年生になっても続ける選手も居るようです。

試合出場した選手の一人に、卒業したらプロに行く気はあるか聞いたところ、「勿論就職です。プロには行きません。」という回答。当たり前ながら就職後は「キックは大学生活の想い出」で終わるのが普通なのでしょう。

たまに卒業後、数年経ってからプロデビューする者もいるらしく、やっぱり忘れられないキックボクシングの魅力に導かれる選手もいるようです。

昭和50年代はプロ興行のリングサイドに黒制服を着たパンチパーマの学生キックボクサーが集団で座っていたのを見たことありますが、見た目は怖かった思い出。今やこちらが歳取った上、皆優しい大学生なので、親しみ易さがあります。

大会役員にはオヤジファイトのキック版「ナイスミドル」代表の大森敏範氏や、62歳でナイスミドルに出場している元・日本ライト級チャンピオン飛鳥信也が運営を担っています。皆、キックボクシングに関りが深い人生。その飛鳥氏のお誘いを受け、些細ながら取材している次第でした。

来年は従来通り、大学交流戦を経て第91回選手権大会が開かれるようコロナの収束を願いたいものです。

ラウンドガールを務めた学生2名もリングを飾った

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

12月7日発売! タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年1月号!

コロナ禍からの脱却へ、11年目のKICK Insist! 堀田春樹

観衆はまだ50パーセントの入場制限中ながら、観衆の声援に活気が増した会場。

瀧澤博人は見せ場を作ったヒジ打ちと左フックでノックダウンを奪うインパクトを残した判定勝利。

永澤サムエル聖光は自信を持ったパンチで出て、一発で仕留めるインパクトを残して本日のMVP賞。

今野顕彰はベテランムエタイ戦士を攻略出来ず。

前座で若い選手を起用したマッチメイクは、他団体選手に勝利を持って行かれる結果も好ファイトが展開されました。

◎KICK Insist.11 / 11月21日(日)後楽園ホール17:30~20:46
主催:ビクトリージム / 認定:ジャパンキックボクシング協会(JKA)

◆第10試合 メインイベント 56.5kg契約3回戦

接近戦で右ヒジ打ちをヒット、ウィサンレックの唇下をカットさせた

瀧澤博人(ビクトリー/1991年2月20日埼玉県越谷市出身/30歳/56.5kg)
     vs
ウィサンレック・MEIBUKAI(1982.2.24タイ出身/56.2kg)
勝者:瀧澤博人 / 判定3-0
主審:椎名利一
副審:桜井30-27. 仲30-28. 松田30-28

瀧澤博人はWMOインターナショナル・フェザー級チャンピオン。ウィサンレックは元・タイ国ルンピニー系フライ級、バンタム級チャンピオン。ウィサンレックはトレーナーとして来日後、日本人戦を8戦ほど経験。国内トップクラスには負け越しているが、日本人の壁となる存在。

長身の瀧澤博人が自分の距離を保った蹴りとパンチ、前進するウィサンレックに離れた距離からの左ジャブが伸びる。組み合えばウィサンレックの技量発揮だが、その展開は短く、終盤にウィサンレックが接近するタイミング合わせて瀧澤の右ヒジ打ちで唇下辺りをカットする。傷幅は小さいが深さはありそうな鮮血が流れた。

残り時間少ない中、出て来るウィラサクレックと相打ち気味の左フックでノックダウンを奪うが、再開の時間は無く試合終了。「出て来るのが分かっていた」というチャンスを逃さなかった瀧澤博人の存在感アピールとなった試合。

瀧澤博人は33戦21勝(12KO)8敗4分。

瀧澤博人の左ジャブが主導権を奪う
相打ち気味の左フックでウィサンレックを倒した瀧澤博人

◆第9試合 62.0kg契約3回戦

永澤サムエル聖光(ビクトリー/1989年11月10日埼玉県吉見町出身/61.8kg)
     vs
トーンミーチャイ・FELLOW GYM(タイ/26歳/61.85kg)
勝者:永澤サムエル聖光 / KO 2R 1:50 / 主審:少白竜 

永澤サムエル聖光はWBCムエタイ日本ライト級チャンピオン。トーンミーチャイは元・タイ国東北部バンタム級チャンピオンで、FELLOWジムでトレーナーを務める在日タイ選手。

永澤サムエル聖光は蹴りからパンチへ相手との距離を計って打ち込むチャンスを狙う。第2ラウンド、永澤はトーンミーチャイの圧力に下がらず、左フック一発でノックダウンを奪うと、辛うじて立ち上がるトーンミーチャイは足元がフラついたところでレフェリーがテンカウントを数え終えた。

MVP賞を獲得した永澤サムエル聖光は33戦21勝(9KO)9敗3分。

永澤サムエル聖光が優るパンチでトーンミーチャイを追い詰めていく
左フックでボディーブローをヒットさせる永澤

◆第8試合 73.0kg契約3回戦

今野顕彰(市原/千葉県出身/38歳/72.8kg)vs ボーイOZ GYM(タイ/29歳/72.8kg)
勝者:ボーイOZ GYM / 判定0-3
主審:桜井一秀
副審:椎名29-30. 少白竜28-30. 松田28-30

今野顕彰はジャパンキックボクシング協会ミドル級チャンピオン。ベテランのオーラが漂うボーイだが、ふっくらした体格は第一線級から退いて年月が経った印象を受けるが技量は侮れない。そのボーイの蹴りで今野の脇腹を赤く染める。

組み合えばムエタイ技発揮で上手さが光るボーイだが、今野を圧倒するには至らない。今野のパンチも急所を外すディフェンスが上手いボーイは蹴り返し、ポイントを失わない巧みさには今野も攻め倦み、判定に縺れ込んだ。

今野顕彰は42戦22勝(14KKO)16敗4分。

ボーイの巧みな駆け引きに掴まえきれなかった今野顕彰

◆第7試合 51.0kg契約3回戦

細田昇吾(ビクトリー/1997年 6月 4日埼玉県出身/51.0kg)
     vs
阿部晴翔(チーム・タイガーホーク/宮城県仙台市出身/22歳/50.9kg)
勝者:阿部晴翔 / TKO 2R 0:53 / 主審:仲俊光

蹴りとパンチの攻防は、阿部がペースを掴んだ打ち合いの中、右ヒジ打ちで細田をグラつかせ、赤コーナー近くで右ストレートでノックダウンを奪う阿部。第2ラウンドに入ってもダメージ残る細田に右ストレートで倒すとカウント中にレフェリーが試合を止めると同時にタオルが投入。

細田昇吾は15戦9勝(2KO)5敗1分。阿部晴翔は18戦6勝(5KO)12敗。

阿部晴翔の右ストレートで仰け反る細田昇吾

◆第6試合 62.0kg契約3回戦

興之介(治政館/東京都出身/32歳/62.0kg)
     vs
吉田凛汰朗(VERTEX/栃木県出身/21歳/61.8kg)
勝者:吉田凛汰朗 / TKO 3R 1:13 / 主審:松田利彦

興之介はこの団体、ジャパンキックボクシング協会ライト級4位。吉田凛太朗はニュージャパンキックボクシング連盟から出場したNJKFライト級1位。

序盤の様子見から徐々に積極的に打って出た吉田凛太朗が第2ラウンド、右ストレートでノックダウンを奪うと、飛びヒザ蹴りからパンチ連打し、ニュートラルコーナーに下がった興之介に右ストレートで2度目のノックダウンを奪う。第3ラウンドには蹴りで出て来る興之介に右ストレートでノックダウンを奪うとレフェリーがほぼノーカウントで試合を止めた。

興之介は20戦11勝(3KO)8敗1分。吉田凛太朗は17戦8勝(2KO)7敗2分。

吉田凛太朗の右ストレートで劣勢に陥る興之介

◆第5試合 スーパーバンタム級3回戦

西原茉生(治政館/埼玉県出身/18歳/55.34kg)vs 拳大(OGUNI/東京都出身/20歳/53.25kg)
勝者:拳大 / 判定0-3 (28-29. 27-30. 27-29)

序盤、拳大がパンチラッシュで西原を追い詰めると鼻血流す西原。拳大が更に左フックで西原はノックダウン。西原は鼻血が止まらない様子も蹴りで出て態勢を整える。蹴り中心になりがちな流れもパンチの交錯でノックアウト狙うアグレッシブさが伺えるが、ヒットは無く判定まで縺れ込んだ。

西原茉生は5戦2勝(1KO)3敗。拳大は3戦2勝1分。

◆第4試合 ウェルター級3回戦

正哉(誠真/18歳/65.9kg)vs 鈴木凱斗(KICK BOX/24歳/66.5kg)
勝者:鈴木凱斗 / 判定0-3 (29-30. 28-29. 28-29)

蹴り中心の様子見から鈴木凱斗が右ストレートで青コーナーに詰めて連打。凌いだ正哉は蹴りからパンチで巻き返した第1ラウンド。第2ラウンドも互いに倒しに行く姿勢も見られたが、ノックダウンには繋がらず鈴木が僅差判定勝利。

正哉は3戦2勝1敗。鈴木凱斗2戦1勝1敗。

◆第3試合 女子(ミネルヴァ)アトム級3回戦(2分制)

ピン級6位.藤原乃愛(ROCK ON/17歳/46.0kg)
     vs
アトム級5位.ほのか(KANALOA/22歳/46.26kg)
勝者:藤原乃愛 / 判定3-0 (30-27. 30-27. 30-28)

藤原乃愛はスピーディーで的確に蹴るテクニックを持ち、左ハイキックで何度か軽々ほのかの頭部をヒットする巧みさが目立った大差判定勝利。

藤原乃愛は今年5月29日にデビューし3戦3勝。ほのか12戦4勝7敗1分。

高校2年生の藤原乃愛の鋭いハイキックが、ほのかを追い詰める

◆第2試合 53.0kg契約3回戦

花澤一成(市原/17歳/52.0kg)vs 笠原秋澄(ワンサイド/29歳/53.0kg)
勝者:笠原秋澄 / TD (テクニカルデジション) 2R 0:49
負傷判定0-3 (19-20. 19-20. 19-20)

股間ローブローによる試合続行不可能となった花澤一成。そのラウンドも含めた負傷判定となった。

花澤一成は2戦1勝1敗。笠原秋澄は1戦1勝

◆第1試合 58.0kg契約3回戦(デビュー戦同士)

大武ジュン(治政館/29歳/57.6kg)vs 布施有弥(KIX/25歳/58.0kg)
引分け 1-0 (29-29. 29-29. 29-28)

《取材戦記》

コロナ禍で、現役バリバリのタイ選手は呼べない中、在日タイ選手が頑張ってくれました。

第7試合、阿部晴翔が勝利した途端、「やっと勝った!」と声を漏らした船木鷹虎会長。詳しくは聞けませんでしたが、仙台から出陣しての阿部の勝利は苦労があったかもしれません。チーム・タイガーホークは鷹虎ジムが母体で、船木氏が会長。古くはヤンガー舟木として名を馳せたチャンピオンです。

第2試合は偶然のアクシデント、故意ではない股間への蹴りで、花澤一成が立ち上がれないほどのダメージとは珍しい負傷判定でした。プロボクシングでは最大5分間のインターバルを与えられ、続行不能であればTKO負けとなります。

またよく「ノーファールカップの装着が下手なのではないか。しっかり縛ってないからズレるんだ」という意見も聞かれます。

ムエタイのノーファールカップは一人で装着できるものではなく、熟練したタイのトレーナーなどからしっかり縛り方を学ばないと、たかがノーファールカップでも大怪我に繋がる大事な部分でしょう。これはまたしっかり学んで記事で公開したい事案でもあります。
ジャパンキックボクシング協会2022年新春興行は1月9日(日)、後楽園ホールに於いて治政館ジム主催「Challenger.4」が開催されます。

JKAバンタム級1位.麗也JSK(治政館)vs NJKFスーパーバンタム級チャンピオン日下滉大(OGUNI)戦の他、馬渡亮太(治政館)、モトヤスック(治政館)、渡辺航己(JMN)の出場が予定されています。

MVP賞を獲得した永澤サムエル聖光。左は授与したアジアグループ会長の新沼光氏

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』12月号!

なかなか闇の深いムエタイの八百長問題 堀田春樹

◆問題発覚

タイ国に於いては、もうどれくらい長い間、八百長問題でムエタイ業界を騒がせているだろう。他国の問題ながら、日本が目指してきたムエタイ越えとしては軽視できない問題である。

コロナ禍の規制の中で、やっと無観客試合の形で再開することができたタイ国内のムエタイ興行。地域によっては規制も緩み、再開から1ヶ月も経たない10月8日に、ブリラム県で開催された興行で八百長問題発覚。

過去にも発覚する事案は幾らかあるが、闇は深いと言われる八百長問題。業界の自浄能力はどれぐらいあるだろうか︎。

今回の問題を起こした選手の業界内での噂は、過去には麻薬に手を出すなど、今までの行動にも問題が多かっただけに、今後の復帰への機会は難しいと言われています。

悪名高き存在となってしまったファーワンマイ・チョー・タイセー

◆当事者の供述

10月8日のライブ中継されていたミニフライ級の、ラーンヤーモー・ウォー・ワッタナvsファーワンマイ・チョー・タイセー戦で、ファーワンマイ優勢で第4ラウンドに入ると、ラーンヤーモーの右縦ヒジ打ちでファーワンマイが倒れTKO負け。ノックダウン後のアクションがオーバーだったことでギャンブラーが騒ぎ、八百長と疑われました。

ファーワンマイは試合直後は認めずも、後日の興行役員、関係者の追及に八百長だったことを認めました。ファーワンマイは63戦44勝17敗2分。ナコンサワン出身の19歳の選手。

「今までのキャリアの中で、今回の試合を含めて4回の八百長試合をしてきた」と言う。

ファーワンマイは後日、八百長を依頼してきたという元ムエタイジム会長を管轄の警察署に告発。スポーツ庁ムエスポーツ委員会からも呼び出しを受けて事情聴取を受けました。

10月13日にはタイ民放局3chの番組生放送に出演を促され、一連の流れを説明。

ファーワンマイの供述によると、個人で販売していたナムプリック(chilidip唐辛子)5kgを販売額より高い金額で買い取ってくれた客が居て、2回目の購入時、「近くに来たので発送費が勿体ないだろうから直接取りに行く」との連絡があり、直接手渡すことになったが、その際に次の試合の八百長案を持ちかけられてしまい、「自宅場所も分かったから口外したり八百長を受けなかったら危険な目に遭うぞ!」と脅され、50万バーツ(約170万円)を提示された内、前金として3万バーツを受け取った。

KO負けするラウンドまで指定されたとおりの、第4ラウンドでKO負けしたが、試合後に問題が表沙汰になると、その依頼者という元ムエタイジム会長とは連絡が取れなくなった模様(ファーワンマイ本人の供述の為、どこまで真実かは不透明)。

プロモーターのスィアボート氏

同席した興行の主催者であるペットインディープロモーション、プロモーターのスィアボート氏(先代スィアナオ・ペットインディー氏の子息)は、「いろいろ経歴に傷のある選手だが、将来有望だったのでチャンスを与えて助けてきたが、こんな形で裏切られてしまい、怒りと悲しみで残念だ。」と心情を話しました。

スィアボート氏の説明では、ファーワンマイは以前、ランシットスタジアムで観戦中、お金を持っていないのにギャンブラーらとの賭けに参加していたが、負けて賭け金が支払えず、スタジアム内でギャンブラーらに取り囲まれ騒動となって問題化されてしまった。

それに救いの手を出して、復活の手助けをしたのがスィアボート氏で、復帰からわずか4戦目での恩を仇で返す裏切り行為だった。

ムエタイに於いての八百長に対する罰則は、1999年に制定されたムエスポーツ法に明確に定められており、八百長依頼者、実行した選手共に5年以下の禁固刑または10万バーツ以下の罰金、もしくはその両方と定められています。

但し、今までに厳格に執行された例が少なく、”紙上だけの法律”と揶揄されてしまっていることから、スィアボート氏は番組の中で、「法律がありながら、厳格な刑の執行を実施していかないと同じことの繰り返しとなり、ムエタイ界が発展していかない。」と警鐘を鳴らし、ムエタイ界の更なるクリーン化を主張しました。

古い話だが、ランシットスタジアムでドーンライされた赤いトランクスの選手(真相は不明)(1989年1月23日)

◆闇の深さ

ムエタイではほぼ実力拮抗した者同士がマッチメイクされ、多彩な技と駆け引きの中、勝負の読めない展開から賭けが成立。しかし、真剣に激しく戦えばノックアウトも負傷も起こり、スタミナ切れしたり、薬を仕込まれていて失速する場合もあるといいます。

毎月定期的に試合が続く選手は、体調不良で戦えば劣勢を招くことは明確で、それを八百長の疑いを掛けられ、試合途中でドーンライ(追放)となって仮に6ヶ月間出場停止となったら大変な減収となる為、体調不良が理由の試合キャンセルはよくある回避手段でしょう。

しかしこれではプロモーターに迷惑をかけるのは確かなので、会長やトレーナーは選手の体調管理にはかなり気を遣うと言います。メインスタジアムに出る一流選手は常に、“強さ、上手さ、頑丈さ”を求められるので、弱気な素振りやスタミナ切れのアクションは見せられません。

過去には、八百長だったのに発覚していない場合もあれば、八百長ではないのに試合前に噂が広まって、動きがおかしいとギャンブラーたちが騒ぎ始めてドーンライを促されるケースがあり、これらはプロモーター、ジム会長、トレーナー等側近が複雑に関わってるケースもある中、ややこしい闇の深さがあります。

◆ムエタイのリーダーとして

これまで述べた八百長とは、一方の選手のみが実行する“片八百長”という意味になります。

ドーンライされるそのリング上では、厳密に言えば八百長と決めつけた裁定ではなく、“ム
エタイ戦士としての威信にそぐわない試合”という意味で、“マイソムサクシー”と呼ばれます。

両者がそれぞれ全く違う人物から片八百長を持ち掛けられ、自分だけと思って片八百長をやりながら、実際は両者がやっていたことは稀にでも有るようです。

互いが手を抜き始めてダラダラした試合は、傍から見ればドッキリ企画のような笑うに笑えない展開も、明らかに威信にそぐわない試合で、両選手ともドーンライとなるようです。

元々から賭博禁止であればこんな問題も起きなかったと考えられますが、ムエタイ公式スタジアムでは法的に賭博の認可を受けており、2階席から後方まで有料観客による賭けは許されています。

このギャンブラーが居なければ大半の集客が見込めないのも事実で、賭博禁止とは言い切れない業界の存続が掛かってきます(一部改革案も有り)。

しかしここでは個人間の賭けなので全て自己責任。「賭けただろ、賭けてない!」のトラブルから客席後方で喧嘩が起こることも珍しくはありません。

10月19日にはタイ国ムエスポーツ(プロムエタイ)協会主導で役員など50名程集められ、解決策などの会議も行われた模様で、世間からは「“改善策を議論してますよ”といったアピールだけだろ!」と揶揄されながらも、社会的問題になり、改善策が議論されるだけムエタイ業界の歴史、伝統が偉大であることの証でもあり、八百長がやり難い環境に努めて世間にアピールしていくことは重要でしょう。

世界に広まったタイ国技ムエタイとしてのリーダーシップを持って進んで欲しいところです。

殿堂旧・ルンピニースタジアム(通常)。ここでもドーンライとなった試合は少なくない(1990年7月)

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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濱田美栄コーチを「モラハラ提訴」した織田信成氏、新潮社と朝毎読産経の4紙に「訴訟告知」 片岡 健

フィギュアスケート元五輪代表の織田信成氏(34)が一昨年(2019年)11月、「モラルハラスメントを受けた」などと主張し、関西大学アイススケート部の濱田美栄コーチ(61)を相手に1000万円の損害賠償などを求めて大阪地裁に起こしていた訴訟で、気になる動きがあった。

織田氏がこの紛争に関する自身の主張を伝えるなどした出版社1社と新聞社4社に対し、「訴訟告知」を行ったのだ。あまり報道されていない話のようなので、ここで紹介したい。

織田の主張を伝えた週刊新潮2019年10月31日号 ※修正は筆者による

◆濱田コーチも反訴して反撃

まず、この訴訟の経緯を簡単にまとめておく。

織田氏は日本を代表するフィギュアスケーターの1人だが、かたや濱田コーチも宮原知子選手や紀平梨花選手ら多くのトップフィギュアスケーターを育てた有名な指導者だ。織田氏がこの濱田氏からモラルハラスメントを受けたと主張しているのは、2017年4月から2019年9月まで母校の関大でアイススケート部監督を務めた時期のことだ。

織田氏の主張によると、当時、濱田コーチは自分の指導に意見した織田氏に対し、「あなたの考えは間違っている!と激怒し、それ以来、織田氏を無視するようになった。さらに「監督に就任して偉そうになった」「勝手に物事を決める」などと真実と異なる噂を流布するように。織田氏はそのせいで40度を超える熱が出て、動悸、目眩、吐き気などの体調不良に陥ったため、選手を指導できなくなり、監督を辞任せざるをえなかったという。

一方、訴訟が始まると、濱田コーチが「織田氏へのモラハラは事実無根だ」と主張。そのうえで、織田氏がブログや週刊誌のインタビュー、提訴時の会見でモラハラを受けたと主張したせいで名誉を棄損されたとして、織田氏に対して330万円の損害賠償を求め、反訴したのだ。

そんな訴訟は今年3月、デイリースポーツで「双方が和解に向かっている」と報じられた。しかし、濱田コーチが「自分が織田氏にモラハラや嫌がらせをしたことは証拠上明らかになっていない」と謝罪を拒否。そのうえで、「自分は織田氏のせいでマスコミに追われ、街中でも後ろ指を指されるなどした」と主張し、和解の条件として織田氏が自分に謝罪することを求めた。そのため、和解は成立しなかったのだ。

◆「訴訟告知」は敗訴した場合に備えた措置

こうして訴訟が続く中、織田氏の代理人弁護士が講じた措置が出版社1社と新聞社4社への「訴訟告知」だった。モラハラ被害に関する織田氏の主張を伝えた週刊新潮、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、産経新聞の発行元各社に対し、書面で次のような告知を行ったのだ。

「週刊誌や新聞の記事については、編集、発行を担った出版社、新聞社が不法行為責任を負うべきだ。織田氏の主張を伝えた週刊誌や新聞の記事により、織田氏が濱田コーチへの損害賠償を強いられた場合、織田氏は発行元の出版社と新聞社に対し、訴訟を提起せざるをえない」(告知内容の要旨)

つまり、織田氏が敗訴した場合、今度は織田氏が出版社や新聞社相手に訴訟を起こすことになる可能性を伝えたというわけだ。

もっとも、新聞各紙は織田氏が提訴時に会見で主張したことを伝えただけで、織田氏から責任を追及される筋合いがあるかは疑問だ。一方、織田氏の代理人弁護士によると、週刊新潮は織田氏が濱田コーチのことを「関大の女帝」と呼んでいるかのように書くなど、記事中に編集部が創作した表現を数多く使用していたという。それが事実なら、織田氏が「あの記事の内容について、自分に責任はない」と主張したくなる気持ちもわからないでもない。

訴訟告知を受けた各社はどのように対応しているのか。織田氏の代理人弁護士はこう説明した。

「訴訟告知に対し、何か対応してきた社はありません。それぞれ検討されたうえでのことと思うので、各社のことを無責任だと思うことはありません。我々は、粛々と裁判を進めるだけです」

フィギュアスケート界の有名人同士の訴訟は、はた目には不毛な争いが続いているように見える。早く解決して欲しいと他人事ながら思う。

▼片岡 健(かたおか けん)
ノンフィクションライター。編著に『もう一つの重罪 桶川ストーカー殺人事件「実行犯」告白手記』(著者・久保田祥史、発行元・リミアンドテッド)など。

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』12月号!

NJKF設立25周年! 来年へ繋ぐ注目の好カード! 堀田春樹

山浦俊一は昨年12月27日に葵拳士郎(マイウェイ)に判定勝利し王座奪取。今回、初防衛を果たし、次のステップに進みたいことを宣言。

波賀宙也は防衛戦に向けての前哨戦は引分けるも、タイ選手のテクニシャン対策にはなった試合。

ルイはS-1レディースジャパン王座獲得。段階的に言えば次はS-1ワールドトーナメント出場。

真吾YAMATOは4度目のNJKF王座挑戦で、暫定ながら王座獲得。

◎NJKF 2021.4th / 11月7日(日)後楽園ホール17:30~21:10
主催:ニュージャパンキックボクシング連盟 / 認定:WBCムエタイ日本協会、NJKF

◆第10試合 WBCムエタイ日本スーパーフェザー級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.山浦俊一(新興ムエタイ/1995.10.5神奈川県出身/58.85kg)
      VS
1位.久井淳平(多田/1987.12.3大阪府出身/58.8kg) 
勝者:山浦俊一 / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:多賀谷50-46. 少白竜50-47. 椎名50-47

山浦俊一の首相撲からの崩しで10回ほど久井淳平がひっくり返された。その試合は山浦が蹴りやパンチの的確さで主導権を奪っての展開。

手足長い久井の前蹴りや右ストレートは山浦のディフェンスに阻まれヒットし難い。地味な戦いだが、山浦の多彩な技で圧力掛け続け、大差判定勝利に繋がった。

山浦俊一は27戦15勝(3KO)10敗2分。久井淳平は34戦20勝(6KO)13敗1分。

山浦俊一の崩し技で久井淳平は何度も転ばされた
ジワジワ攻めて追い込んだ山浦俊一のハイキック

◆第9試合 57.0kg契約3回戦

波賀宙也(立川KBA/1989.11.20東京都出身/56.9kg)
     VS
クン・ナムイサン・ショウブカイ(1990.11.21タイ出身/56.8kg)
引分け 三者三様
主審:少白竜
副審:中山30-29. 多賀谷29-29. 宮本28-29

波賀宙也は2019年9月23日、IBFムエタイ世界ジュニアフェザー級王座獲得。コロナ禍に於いて防衛戦が延期された1年半のブランクを経ての9月19日は大田拓真(新興ムエタイ)に判定負け。今回がやがて予定される防衛戦への前哨戦となる。

両者はパンチとローキックで様子見。柔軟な体幹を持つタイボクサーのクン・ナムイサンは慌てることなく、首相撲で勝負するなどベテランの余裕があるが、互いに攻勢を決定付ける強いヒットも無く終了。波賀はタイトル防衛戦に向けたムエタイ対策には役立った試合かもしれない。波賀宙也は42戦26勝(4KO)12敗4分。

攻略は出来なかったが、防衛戦に向けたムエタイ対策になった波賀宙也

◆第8試合 60.0kg契約3回戦

NJKFスーパーフェザー級チャンピオン.梅沢武彦(東京町田金子/1993.8.12東京都出身/59.9kg)
     VS
JKIスーパーフェザー級チャンピオン.櫻井健(Hard worker/1981.2.20千葉県出身/59.45kg)
勝者:梅沢武彦 / 判定3-0
主審:椎名利一
副審:少白竜30-26. 多賀谷30-26. 宮本30-26

梅沢は蹴りとパンチの様子見から自分のリズム掴み、多彩に蹴って勢い増していく。ハイキックは何度か顔面をかすめる圧倒。

桜井も打って出て来た最終ラウンド終盤には、倒しに掛かる勢いで右ストレートでノックダウン奪い、最後の残り時間で飛びヒザ蹴り見せた梅沢。ノックアウトは出来なかったがインパクト与える余裕の判定勝利。

梅沢武彦は27戦17勝(8KO)7敗3分。櫻井健は32戦13勝(3KO)15敗4分。
 

技と駆引きで優った梅沢武彦のハイキック

◆第7試合 S-1レディースジャパン2021スーパーフライ級王座決定戦 5回戦(2分制)

ミネルヴァ・スーパーフライ級1位.ルイ(クラミツ/1991.2.19香港出身/52.15kg)
     VS
KOKOZ (=ココゼット/TRY HARD/2001.10.24神奈川県出身/51.9kg)
勝者:ルイ / 判定3-0
主審:宮本和俊
副審:中山48-47. 椎名48-47. 少白竜49-48

序盤はKOKOZのパンチと蹴りのリズムで距離感保ち、的確さで上回った。3ラウンドからルイが首相撲に持ち込みヒザ蹴りに入ると、KOKOZは持ち味を殺されたように動きが減ってしまう展開が続き、後半ポイントを失った形のKOKOZは惜しい敗戦。ルイは9戦8勝(3KO)1敗。KOKOZは10戦6勝4敗。

首相撲となればルイがヒザ蹴りで優って逆転に導いた
陣営に祝福されたルイ

◆第6試合 女子ミネルヴァ・ライトフライ級王座決定戦3回戦

1位.真美(team lmmortaL/1990.2.19神奈川県出身/48.85kg)
     VS
2位.ERIKO(ファイティングラボ高田馬場/1987.4.22千葉県出身/48.65kg)
勝者: 真美 / 判定3-0
主審:多賀谷敏朗
副審:中山30-27. 椎名30-27. 宮本30-28

初回から蹴りから組み合えばヒザ蹴り、更にパンチの手数が増える展開で、ERIKOの勢いはあるが、組み合えばヒザ蹴りで優っていく真美が攻勢を保ち判定勝利。

真美は12戦8勝(2KO)4敗。ERIKOは10戦6勝(2KO)4敗。

真美も首相撲からヒザ蹴りで勝利を導いた
陣営に祝福された真美

◆第5試合 NJKFスーパーライト級暫定王座決定戦 5回戦

真吾YAMATOの徹底したヒジ打ちでマリモーを倒した

1位真吾YAMATO(大和/1996.1.3東京都出身/63.15kg)
     VS
3位.マリモー(キング/1985.3.8東京都出身/63.2kg)
勝者:真吾YAMATO / KO 1R 1:27 / テンカウント
主審:少白竜 

開始から長身の真吾がタイミング狙ってヒザ蹴りを入れ、マリモーをロープ際へ圧し、コーナーに追い込むと左ヒジ打ちでマリモーの右目瞼を斬り、更に左ヒジ打ちでアゴを捉えダメージを与えてのノックアウト。

マリモーのスタミナと根性でのしぶとさを発揮させずに仕留めた真吾。

真吾YAMATOは31戦22勝(11KO)7敗2分。マリモーは33戦13勝(6KO)19敗1分。

◆第4試合  NJKFバンタム級挑戦者決定戦3回戦

1位.志賀将大(エス/1993.2.20福島県出身/53.0kg)
     VS
2位.池上侑李(岩崎/2000.7.17東京都出身53.4kg)
勝者:志賀将大 / 判定3-0
主審:椎名利一        
副審:中山30-29. 少白竜30-28. 多賀谷30-29

蹴りの攻防は互角ながら、第2ラウンド半ばから池上のパンチで鼻血を流す志賀は息苦しさが感じられたが、首相撲でのヒザ蹴りで攻勢を保ち判定勝利。

志賀将大は15戦11勝(4KO)3敗1分。池上侑李は14戦8勝(2KO)6敗。

◆第3試合 65.0kg契約3回戦

NJKFウェルター級2位.野津良太(E.S.G/64.6kg)
     VS
NJKFスーパーライト級8位.ナカノ・ルークサラシット(エス/64.6kg)
勝者:野津良太 / 判定2-0
主審:宮本和俊
副審:椎名30-29. 少白竜30-29. 多賀谷29-29

しぶとさ発揮の野津良太が、差は付き難いが多彩な攻めで主導権奪って判定勝利。
野津良太は19戦11勝(3KO)7敗1分。ナカノ・ルークサラシットは62戦40勝(20KO)22敗。

◆第2試合 女子(ミネルヴァ) 56.0kg契約3回戦(2分制)

スーパーバンタム級2位.KAEDE(LEGEND/56.0kg)vs水野志保(名古屋JKF/55.9kg)
勝者:KAEDE / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:椎名30-27. 少白竜30-28. 宮本29-28

KAEDEは8戦6勝1敗1分。水野志保は37戦23勝12敗2分。

◆第1試合 フライ級3回戦

吏亜夢(ZERO/50.6kg)vs玉城海優(RKA糸満/49.9kg)
勝者:吏亜夢 / TKO 2R 0:33 / カウント中のレフェリーストップ
主審:多賀谷敏朗

吏亜夢は7戦4勝(3KO)2敗1分。玉城海優は12戦3勝(1KO)9敗。

暫定ながら王座獲得、真吾YAMATO

《取材戦記》

山浦俊一の次のステップに進む希望はインターナショナル王座か他のタイトルになるか。選択肢は多くあるが、希望通りのイベントや対戦相手に臨める訳ではないから、このままWBCムエタイ路線で行くのは一番可能性が高いでしょう。

NJKFスーパーライト級挑戦者決定戦は暫定王座決定戦に変更。安易にチャンピオン誕生は好ましくないが、早めの統一戦とタイトルマッチ活性化を期待したい。

「活性化を期待したい」といったような文言は、何度も記事の無難な纏め言葉に使ってきたが、なかなかそうは進んでくれないのが多くのタイトルの存在なのである。

ニュージャパンキックボクシング連盟は何気に25周年。正確なデータは分かりませんが、名古屋JKファクトリージムから、おそらく20年ぶりの選手出場。懐かしい小森二郎会長の姿がありました。

1996年設立から暫くは大和北ジム(後に名古屋JKFへ名称変更)から鈴木秀明や佐藤孝也が出場し、ニュージャパンキックボクシング連盟を支えたエース格の一角でした。

そんなNJKFの黎明期には仙台青葉の瀬戸幸一会長とSVGシンサック会長がリング上での口論も懐かしい対峙でした。脱退していった当時の古きジムも多かったものです。

2022年のNJKF本興行は後楽園ホールに於いての夜興行で、2月12日(土)、6月5日(日)、9月25日(日)、11月13日(日)の4回。他、大阪など地方興行も予定される様子です。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』12月号!

チャンピオンベルトへのステップアップ! Dynamic Ultimate Exciting Live(DUEL)! 堀田春樹

2015年4月29日、新宿FACEから始まったNJKFから発祥のDUELシリーズ。当時、30代~40代の若手会長により結成されたNJKF若武者会が、新人戦からWBCムエタイ世界王座まで段階的にステップアップする機会を与える為の始動でした。そのDUELが第22回を迎えた10月31日、コロナ禍を引きずった時期で、二部制に於いて行われました(第一部と第二部は入れ替え制)。

◎DUEL.22 / 10月31日(日)ゴールドジムサウス東京ANNEX
主催:NJKF若武者会 / 認定:NJKF / 前日計量30日12:00

第一部(18:08~19:06)

◆第4試合 女子(ミネルヴァ)アトム級3回戦(2分制)

左ミドルキックが冴えていた祥子。終始リズムを保った

アトム級3位.祥子JSK(治政館/1983.12.3埼玉県出身/46.4→46.25kg)
vs
久遠(=ひさえ/ZERO/1980.10.21栃木県出身/46.25kg)
勝者:祥子JSK / 判定3-0
主審:宮本和俊
副審:和田29-28. 中山30-28. 少白竜30-29

祥子はアマチュアで試合を重ね、2012年6月にプロデビュー。出産から約6年間のブランクを経て、2019年1月に再起。これまで国内王座挑戦経験も多い。

久遠(=ひさえ)は2002年4月にMMAでデビューし、シュートボクシングでRENAとの対戦や2016年迄にはキックボクシング戦を経て、以後出産育児のためリングを離れ、今回約5年ぶりの再起となった。

祥子は少しずつ前進しローキック、ミドルキックで様子見のけん制。久遠は下がり気味でロープ、コーナーに詰まり気味。レフェリーが一旦、攻めが少ない両者に積極的ファイトを促す。祥子は次第に前蹴り、左ミドルキックが冴えていく。下がり気味で手数が少ないままの久遠は徐々にパンチ連打で出るが流れを変えられない。組み合う場面も出てきたが祥子が優勢。第3ラウンドにはようやく前に出てきてパンチが増えた久遠。ラスト30秒からパンチで手数増やしてきたが祥子のリズムを崩すに至らず終わる。

祥子は「相手が前に出てこないのでどういう展開になるのかな、と思ってた。」と言い、戦歴豊富な久遠に気を抜けなかったが、落ち着いて徹底して左ミドルキック、前蹴りで主導権支配した祥子JSK。練習してきたと言うミドルキックの成果が表れていた。「応援してくれる人もたくさん居て、凄くお待たせしているので必ずチャンピオンになります」と応えた。

祥子JSKは19戦6勝12敗1分。久遠はキック系14戦9勝(2KO)4敗1NC。

手数少ない久遠に祥子のパンチも攻勢に導く

◆第3試合 女子(ミネルヴァ)スーパーフライ級3回戦(2分制)

スーパーフライ級2位.IMARI(LEGEND/51.75kg)vs 同級5位.NANA(エス/52.1kg)
引分け 三者三様
主審:竹村光一
副審:和田29-29. 中山29-30. 宮本30-29

パンチとローキック主体の互角の攻防が続くがヒットが軽く、パンチが顔面に入っても怯まず、互いに下がらない攻防は差が付き難い流れで終わる。

被弾しても下がらず打ち合ったIMARIとNANA

◆第2試合 58.0kg契約3回戦

パヤヤーム浜田(キング/57.7kg)vs 渡部瞬弥(エス/57.7kg)
勝者:パヤヤーム浜田 / KO 3R 1:25 / テンカウント
主審:少白竜

渡部瞬弥が蹴り中心に主導権を奪う試合運びも、浜田はパンチしか突破口が無い中、最終ラウンドに浜田がボディーブロー狙い、パンチが顔面にヒットしたか、連打からロープ際で首相撲となったところで渡部が崩れ落ちた。

勝率は低い浜田が逆転ノックアウトするインパクトある勝利を飾った。浜田はプログラム上は前戦まで1勝12敗。この日に2勝目を挙げたここからどこまで上昇気流に乗れるか注目である。

パヤヤーム浜田「渡部選手は蹴りが上手くて、自分の蹴りは逆に当たらなくて2ラウンドまでの採点で全部取られていて、やばいなと思ったけど、パンチが意外と当たる感じになったので、最後まで諦めずにやった結果だと思います。一戦一戦大事にして勝って行って、僕みたいな負けっぱなしの戦績の人間が偉そうに言えないですけど、チャンピオンベルト狙っていきたいと思います。」

逆転KOで感情溢れた“パヤヤーム”浜田。名の通り“努力”が実った

◆第1試合 スーパーフライ級3回戦

佐々木良樹(GRABS/52.1kg)vs 愛輝(ZERO/51.5kg)
勝者:愛輝 / 判定0-3
主審:中山宏美
副審:少白竜28-30. 竹村28-30. 宮本28-30

愛輝は「緊張しちゃって思うように動けなかった。」という流れも、飛びバック蹴りを見せる積極的な攻勢が目立った。

愛輝「プロになって初めて勝てて嬉しいです。もっともっと練習して強くなりたいです。」

徐々にリズムを掴み、飛びバック蹴りをみせた愛輝

第二部(19:20~20:13)

ヒジ打ちで獠太郎を追い込む財辺恭輔

◆第4試合 フェザー級3回戦

獠太郎(DTS/1990.6.17生/57.1kg)
     vs
財辺恭輔(REON/2002.11.8生/56.95kg)
勝者:財辺恭輔 / 判定0-3
主審:竹村光一
副審:和田28-30. 中山28-30. 宮本28-29

獠太郎は過去、日下滉大(現NJKFスーパーバンタム級チャンピオン)には判定負けも、NJKFライト級王座挑戦経験のある吉田凛汰朗には判定勝利しているなど、上位陣との対戦経験で上回る。

獠太郎はパンチ蹴りの正攻法な攻め。経験値ある獠太郎の当て勘にやや圧される流れに対し、財辺恭輔はパンチで追う圧力と首相撲でのヒザ蹴り、ヒジ打ちでも圧していく多彩さで好印象を残して判定勝利。財辺にとってはまだ2勝目だが、獠太郎越えは上位陣との対戦に繋がるステップアップとなった。

財辺「相手がベテランだから第1ラウンドは様子見ようと思ってたけど、上手くいかなくて、久しぶりの試合、初めてのメイン、プレッシャーがあったけど、何とか勝ってよかった。もっと戦ってタイトル目指せるよう頑張りたいと思います」

獠太郎は14戦6勝8敗2分。財辺恭輔は4戦2勝1敗1分。

財辺恭輔が若い勢いで優っていった

◆第3試合 57.5kg契約3回戦

渋谷昂治(東京町田金子/57.0kg)vs 大稚YAMATO(大和/57.45kg)
勝者:大稚YAMATO / 判定0-3
主審:宮本和俊
副審:竹村28-30. 少白竜28-30. 中山27-30

大稚YAMATOが渋谷昂治をロープに詰めてボディーブロー、ヒザ蹴りで主導権を握り、徹底して手数で圧力かけて出る。終盤は勢いは弱まるも、打ち負けない根性で耐えきった。

大稚YAMATO「相手が気持ち強くて打たれ強くて疲れて体力消耗したけど、強い相手とやれてよかった。負けずに一戦一戦全力で勝っていきたい。」

前進と圧力で上回った大稚YAMATO

◆第2試合 スーパーフェザー級3回戦

史門(東京町田金子/58.9kg)vs 細川裕人(VALLELY/58.7kg)
勝者:史門 / KO 2R 1:42 / 3ノックダウン
主審:和田良覚

パンチによる3ノックダウンで史門が勝利。最初のストレートパンチでノックダウン奪ってから一気に仕留めに掛かった史門。右ストレートで2度目、コーナーに詰め連打で3度目のダウンとなった。

史門「これで2戦2勝(2KO)、将来的にはチャンピオンベルト巻けるように頑張ります。」

圧力掛けた史門が細川裕人を追い詰めていく

◆第1試合 女子(ミネルヴァ)ピン級3回戦(2分制)

ピン級7位.斎藤千種(白山/45.3kg)vs 撫子(GRABS/44.7kg)
勝者:撫子 / 判定0-3
主審:中山宏美
副審:和田27-30. 少白竜27-30. 宮本27-30

パンチとローキックの様子見から徐々に動きがスピーディーになり、撫子は鼻血を流しながらも、蹴って来た斎藤にタイミング合わせてストレートパンチでダウン奪う。終盤も撫子はアゴが上がるパンチを貰いながら怯まず攻防を制した。

撫子「相手がサウスポーでパンチの上手い選手で、試合決まった時から会長(佐藤友則)と対策してきて自分の良さも活かせたと思います。会長のもとで更に強くなってランカーと対戦してピン級のチャンピオン目指します。」

互いが被弾する中でのパンチによるノックダウンに繋げた撫子

《取材戦記》

世間からは注目され難い小規模興行。新人が経験を積むには必要な機会であるが、その中にもドラマってあるもの。そんな一つを拾ってみたDUEL興行でした。

第一部の最終試合、祥子JSKvs 久遠戦と第二部の最終試合、獠太郎vs 財辺恭輔戦は、過去の経歴の話題性で、祥子JSK vs 久遠戦の方が注目度は高いようでした。

スタッフによる試合後の全勝利者へのインタビューに於いて、将来的に「チャンピオンを目指す!」と言う発言が多かった中、世界王座とかムエタイ王座とか最高峰の名称が出てこなかった。「まずは目先の段階で、国内の複数ある中の王座から」というのが本音だろうか。或いは言いたいけど、おこがましくて言えなかっただろうか。言うだけなら遠慮なく、RIZINでもKNOCK OUTでもラジャダムナンスタジアムでも、その先の多くのメディアに登場できる上位を目指して頑張って貰いたい。

NJKF興行は11月7日が後楽園ホールで本興行年内最終興行。

他、11月21日(日)には岡山県倉敷市、マービーふれあいセンターに於いて「拳之会主催興行17th ~NJKF 2021 west 4th~」

12月5日(日)には京都KBSホールでの「NJKF 2021 west 京都〜ワイルドウエスト〜」が開催予定されています。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』12月号!

大トリは重森陽太、老舗のリングを彩るチャンピオン集結! 堀田春樹

今回のメインイベンター(大トリ)は重森陽太。蹴り技で優ってREITOの技を封じ、判定勝利で大役を果たす。

勝次は頑丈なNOBUに圧される展開に苦戦の引分け。次なるステージへのアピールは出来ず。

リカルド・ブラボは鮮やかに大技からヒザ蹴りを見せてTKO勝利。

泰史はWKBA JAPANの2度目の挑戦も倒しに掛かるパワー不足でタイトルを逃がす。

終了間際の数秒で圧力掛けた重森陽太のフルスイングのヒジ打ち

伊原信一代表は一箇月程前から体調不良の為入院。御自身で病院に向かった模様で、「重篤な状態ではありませんので、御心配には及びません。」という栗芝貴協会代表代行のリング上での発表。

◎TITANS NEOS.29 / 10月17日(日)後楽園ホール17:30~20:40
主催:TITANS事務局 / 認定:新日本キックボクシング協会

◆11 メインイベント 62.0kg契約3回戦

WKBA世界ライト級チャンピオン.重森陽太(伊原稲城/1995.6.11東京都出身/61.75kg)
      VS
KOSスーパーフェザー級チャンピオン.REITO BRAVELY(BRAVELY/2000.6.29大分県出身/61.75kg)

勝者:重森陽太 / 判定3-0
主審:椎名利一
副審:仲30-29. 宮沢30-27. 桜井30-28

序盤は距離を測るような蹴りの軽い応酬。REITOの右脚を何度かストッピングする重森陽太。ローキックでREITOの動きを鈍らせ、ミドルキックも蹴りの強さは重森が上回り、

盛り上がりには欠けるが、テクニックで優って危なげなく判定勝利を掴んだ重森陽太。倒す見せ場を作るには時間が足りなかった。

(KOS=KING OF STRIKERSは福岡発祥の格闘技イベントです。)

REITOの右脚をストッピングする重森陽太。細かい技も効果的に使う
互いに笑顔で健闘称え合う清々しい両者
今回も軽くだが、飛びヒザ蹴りを見せた勝次。倒したかった技だろう

◆10 64.0kg契約3回戦

WKBA世界スーパーライト級チャンピオン.勝次(藤本/1987.3.1兵庫県出身/63.95kg)
      VS
KOSスーパーライト級チャンピオン.NOBU BRAVELY
(BRAVELY/1982.10.16大分県出身/63.75kg)

引分け 0-1
主審:少白竜
副審:椎名29-29. 仲29-30. 桜井29-29

開始早々は勢いよく飛び気味の左回し蹴りの勝次。

パンチもローキックも勝次の勢いがあるが、NOBUは圧されずに蹴り返し、

効いていないかのような前進を続ける。

無理に打ち合わない勝次は下がりっぱなしで印象は悪い展開でも、軽く飛びヒザ蹴りを見せるなど劣勢を許さず辛うじて引分けた。

打ち合うのは危険だが、テクニックで圧し切るのも難しいNOBUの頑丈さだった。

NOBUの前進に圧された勝次

◆9 74.0kg契約3回戦

日本ミドル級チャンピオン.斗吾(伊原/73.75kg)
     VS
NJKFスーパーウェルター級2位.佐野克海(拳之会/73.5kg)
引分け 0-1
主審:宮沢誠
副審:椎名29-29. 仲29-29. 少白竜29-30

序盤は佐野克海にパンチで打たれて下がるシーンをみせてしまう斗吾。打ち返しは勢い有る斗吾で、佐野も貰うと勢い弱まる見映え。どちらに形勢が傾くかは互いの有効打次第も、ヒットは無く倒すに至らないもどかしさが残る引分け。

重量級の打ち合いでの攻防、佐野克海と斗吾
蹴りで主導権奪ってから大技繰り出すリカルド・ブラボ。バックヒジ打ちを見せる

◆8 70.0kg契約3回戦

日本ウェルター級チャンピオン.リカルド・ブラボ(伊原/アルゼンチン出身/69.85kg)
      VS
チャンスック・バーテックス(1997.10.5タイ出身/69.35kg)
勝者:リカルド・ブラボ / TKO 3R 2:11 / カウント中のレフェリーストップ
主審:桜井一秀

チャンスックのヒジ打ちを警戒か、序盤は接近にはいかないリカルド・ブラボは蹴り中心の様子見。

徐々にハイキックを繰り出し、更にパンチの打ち合う距離へ縮まって次第にブラボが優位に立っていく。警戒したヒジ打ちも貰うことなく、ボディーブローからロープ際でヒザ蹴りでチャンスックを倒した。

◆7 63.5kg契約3回戦

日本ライト級チャンピオン.高橋亨汰(伊原/63.4kg)
     VS
TENKAICHIスーパーライト級1位.剣夜(前・Champ/SHINE沖縄/63.0kg)
勝者:高橋亨汰 / TKO 2R 1:20 /
主審:仲俊光

連打で圧力かけてコーナーに追い詰め、蹴り、パンチ、ヒジで攻める高橋亨汰。しつこく接近して攻めていく中、ヒジで顔面カットし、流血がひどくなったところでドクターの勧告を受け、レフェリーストップとなった。

剣夜を翻弄していく高橋亨汰のハイキック

◆6 WKBA JAPAN(日本)バンタム級王座決定戦 5回戦

日本バンタム級1位.泰史(伊原/53.5kg)
     VS
WMC日本バンタム級6位.佐野佑馬(創心會/53.15kg)
勝者:佐野佑馬 / 判定0-3
主審:椎名利一
副審:宮沢48-49. 桜井48-49. 仲47-48

蹴りの様子見から勢い増してきた佐野佑馬。スロースターターの泰史は圧され気味。徐々に積極的に攻める泰史は佐野をコーナーに詰めてパンチでラッシュするが倒すに至らない。第3ラウンド中盤から佐野が盛り返し、泰史を追う流れに変わる。泰史も結構打たれ、頬が腫れだす。コーナーには詰める泰史も失速し圧し続けられない。互いの強い決定打が無いまま僅差で負けた泰史はスーパーフライ級に続く二度目のWKBA JAPANタイトルも逃す結果となった。

攻勢にも劣勢にも立ちながら顔を腫らせて戦う泰史の踏ん張り(右)
チャンピオンベルトを巻いてリングを下りる佐野佑馬。陣営の前では感情溢れる姿

◆5 56.0kg契約2回戦

中村哲生(伊原/56歳/55.85kg) vs ケント(ツルザップ/23歳/55.2kg)
勝者:ケント / TKO 1R 2:16 / カウント中のレフェリーストップ
主審:少白竜

昨年55歳デビューした中村哲生は毎度連打で倒されるも、打たれてから強い蹴りを返す展開に会場の拍手が響いた。打ち抜かれての3戦3敗ながら、踏ん張る力が付いた中村哲生。毎度元気に会場入りする度胸と根性持ったビジネスマンである。

◆4 フェザー級3回戦

瀬川琉(伊原/57.05kg) vs NJKFフェザー級5位.松永尚恭(東京町田金子/56.6kg)
勝者:瀬川琉 / 反則 2R 0:38 / 主審:宮沢誠

クリンチでレフェリーによるブレイク後に松永のヒジ打ちが瀬川のアゴにヒット。すでにヒジ打ちで目尻付近を斬っていた負傷と共にドクターがダメージを診ようとしたところで、足元おぼつかず崩れ落ちた瀬川琉は試合続行不可能。松永尚恭の失格負け。

◆3 59.0kg契約3回戦

ジョニー・オリベイラ(トーエル/58.9kg) vs 祐輝(OU-BU/58.7kg)
引分け 1-0
主審:桜井一秀
副審:椎名29-29. 少白竜29-29. 宮沢30-29

◆2 女子49.5kg契約3回戦(2分制)

オン・ドラム(伊原/49.4kg) vs YUKA(SHINE沖縄/49.1kg)
勝者:YUKA / 判定0-2
主審:椎名利一
副審:宮沢29-29. 仲29-30. 桜井29-30

◆1 ウェルター級2回戦

大場一翔(伊原/66.5kg) vs 悠YAMATO(大和/66.6kg)
勝者:悠YAMATO / TKO 2R 0:37 / カウント中のレフェリーストップ
主審:少白竜

第1ラウンド、大場による股間ローブローにより、悠YAMATOが数分立ち上がれないダメージを負い、負傷裁定に移るかと思われたところがギリギリ続行可能へ移った。ダメージで劣勢に移るも第2ラウンドには一瞬の隙を突いたパンチ連打で逆転ノックアウトに成功した悠YAMATO。

《取材戦記》

前日計量では入院中の伊原信一代表から選手やジムスタッフに何度も電話が掛かって来て、計量を終えた選手全員にもスマホスピーカーから激励を送っていた。医師が許せば今回の興行にも現れるのではとさえ思えたほどだが来場までは許されなかった。来年3月に予定される興行まで時間は充分あるので静養されて元気に戻って来られるでしょう。

もっと蹴っていれば勝利も導いていたかもしれない勝次は、快勝していたらいつものマイクアピールで言いたいことはあったようだが、引分けではその立場を無くしてしまった。毎度のことながら、存在感を示すには今後も日本人相手に引分けを含め、取りこぼしは許されない。

2022年の新日本キックボクシング協会興行は、今年より1回増えて、3月13日(日)、5月15日(日)、7月24日(日)、10月23日(日)の4回が後楽園ホールに於いて開催が予定されています。

昨年は政府による新型コロナウィルス蔓延の防止策で、春から夏にかけて4度の興行中止に陥り、開催は3度のみ。今年はコロナの影響や、一昨年から続く脱退ジムによる影響もあって4月、6月、10月の3度のみ。

来年は新日本キックボクシング協会が、どういう存在感を示すか。他のビッグイベント出場を目指すのではなく、他団体やフリー関係が新日本キックボクシング協会出場を目指してくるよう威信を取り戻さねばならないだろう。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』11月号!

代打カードで他団体から出場、存在感示した内田雅之! 堀田春樹

NKBライト級タイトルマッチはチャンピオン、高橋一眞が新型コロナウィルスの影響で延期となり、代打カードとなったメインイベントの交流戦62.0kg契約5回戦はジャパンキックボクシング協会(JKA)から出場の内田雅之が、ベテランのテクニックで野村怜央を上回り判定勝利を飾った。

長らく空位だったNKBバンタム級王座は、2015年12月12日に高橋亮(真門)が王座決定戦で松永亮(拳心館)を下して以来の争奪戦となり、この日、準決勝を勝ち上がった海老原竜二(神武館)vs 龍太郎(真門)戦で12月11日興行にて行われます。

NKBバンタム級チャンピオンベルトを掲げる渡邉信久代表と王座争う4名の選手

◎NKB 2021 必勝シリーズ vol.6th / 10月16日(土)後楽園ホール 17:30~20:00
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

◆第10試合 62.0kg契約 5回戦

JKAライト級2位.内田雅之(KickBox/1977.12.26神奈川県出身/61.85kg)
     vs
NKBライト級3位.野村怜央(TEAM KOK/1990.3.27東京都出身/62.0kg)
勝者:内田雅之 / 判定3-0
主審:前田仁
副審:川上50-47. 仲50-45. 加賀美50-46

不意を突く内田雅之の前蹴りが野村怜央の顎にヒット

序盤の野村怜央の蹴りとパンチの前進に、内田雅之はやや下がり気味でも野村の出方を読んで慌てる様子は無い。様子見の後は、内田のローキック、右ロングフック、右バックヒジ打ち、顔面前蹴りなどインパクトあるヒットを繰り出し、主導権を奪った展開が続いていく。

内田が奥脚狙ったローキックで倒しに掛かれそうだが、野村はダメージを感じさせない蹴り返しを見せる。内田にややスタミナ切れも野村の巻き返しを許さず、第5ラウンドには

内田がヒザ蹴り連打で野村をロープ際に圧したところでレフェリーがスタンディングダウンを宣した。内田の余裕の展開ながら倒し切れないもどかしさが残る。

上下蹴り分けるフェイントから内田雅之のハイキックがヒット
二人のお子さんも大きくなった、勝利のスリーショットの内田雅之

◆第9試合 ウェルター級3回戦

NKBウェルター級3位.笹谷淳(team COMRADE/1975.3.17東京都出身/66.68kg)
     vs
ACCELライト級チャンピオン.どん冷え貴哉(Maynish/1988.10.15滋賀県出身/66.4kg)
勝者:どん冷え貴哉 / 判定0-3
主審:仲俊光
副審:川上29-30. 鈴木29-30. 前田29-30

序盤から笹谷が積極的に先手を打って出るが、どん冷え貴哉の柔軟なパンチから蹴り返しで互角の展開。第2ラウンド後半には、どん冷えがややラッシュ気味にパンチ連打して、笹谷はロープ際からコーナーに詰められ、打たれるもサッと抜け出しピンチを切り抜けダメージは無さそうだが連打を受けた印象は悪い。

第3ラウンドも貴哉のペースは変わらずも笹谷も打って出る。ジャッジ三者の採点は第2ラウンドだけ、どん冷え貴哉に流れる僅差だが、内容的にはどん冷え貴哉が主導権奪った流れを印象付けて終了。笹谷淳はJ-NETWORKで二階級制覇した実績有り。

どん冷え貴哉が保持するACCELタイトルは、2004年に神戸で発祥の打撃系中心の格闘技イベントより制定された王座の様子。

笹谷淳にどん冷え貴哉のミドルキックがヒット、両者アグレッシブな攻防
柔軟さが優ったどん冷え貴哉のミドルキック炸裂

◆第8試合 NKBバンタム級王座決定4人トーナメント(準決勝)3回戦

1位.高嶺幸良(真門1973.12.4兵庫県出身/53.2kg)
     vs
2位.海老原竜二(神武館/1991.3.6埼玉県出身/53.2kg)
勝者:海老原竜二 / 判定0-3
主審:加賀美淳
副審:川上29-30. 前田28-30. 仲29-30

蹴りの攻防は海老原がやや上回り、リズム掴んだ海老原。高嶺は次第に手数が減る流れ。

海老原はパンチ、ローキックで連打を強め、高嶺はパンチしか逆転のチャンスが無い流れも逆転に導けず、海老原が僅差ながら順当な判定勝利。

海老原竜二のローキックが高嶺幸良にヒット
互いに「チャンピオンベルトを巻く!」と宣言した海老原竜二と龍太郎

◆第7試合 NKBバンタム級王座決定4人トーナメント(準決勝)3回戦

3位.則武知宏(テツ/1995.12.5岡山県出身/53.52kg)
     vs
5位.龍太郎(真門/2000.12.25大阪府出身/53.3kg)
勝者:龍太郎 / 判定0-3
主審:鈴木義和
副審:前田28-30. 加賀美28-30. 仲28-30

様子見の攻防から主導権争いへ強いパンチで打って出て、倒せなくてもノックダウンを奪って決定的な差を付けたい両者。龍太郎の前進増し、則武知宏は打ち遅れてリズムが狂っていく。龍太郎がボディーブローで好印象を残し、則武の疲れた様子も見受けられる中、龍太郎が大差を付けた流れで終わる。

龍太郎の右ボディーブローが則武知宏にヒット

◆第6試合 フライ級3回戦

NJKFフライ級3位.谷津晴之(新興ムエタイ/50.5kg)vs 杉山空(HEAT/50.5kg)
引分け 0-1
主審:川上伸
副審:前田29-29. 加賀美29-30. 鈴木30-30

◆第5試合  63.0kg契約3回戦

NJKFライト級6位.梅津直輝(エス/62.8kg)vs YASU(NK/62.7kg)
勝者:梅津直輝 / TKO 1R 1:16 /
主審:仲俊光

梅津直輝のヒジ゙打ちによるYASUの額の裂傷、ドクターの勧告を受入れレフェリーストップ

◆第4試合  フェザー級3回戦

半澤信也(トイカツ/57.15kg)vs 山本太一(ケーアクティブ/57.1kg)
勝者:半澤信也 / 判定3-0
主審:鈴木義和
副審:加賀美30-29. 前田30-29. 仲30-28

採点は僅差だが、第1ラウンドは両者とも一度ずつのノックダウン有り。パンチを受けてバランスを崩したようなダメージは少なそうなその後の攻防は決め手無い展開が続く。

◆第3試合  フェザー級3回戦

矢吹翔太(team BRAVE FIST/57.0kg)vs 杉山茅尋(HEAT/57.0kg)
勝者:矢吹翔太 / 判定2-0
主審:川上伸
副審:仲30-28. 前田30-28. 鈴木29-29

◆第2試合 58.0kg契約3回戦 デビュー戦

田中佑樹(TEAM TMT/57.5kg)vs 合田努(TOKYO KICK WORKS/57.8kg)
勝者:田中佑樹 / 判定2-1 (30-29. 29-30. 30-29)

◆第1試合  バンタム級3回戦 デビュー戦

明夢(新興ムエタイ/52.7kg)vs 蒔田亮(TOKYO KICK WORKS/53.2kg)
勝者:蒔田亮 / 判定0-3 (29-30. 28-30. 28-30)

《取材戦記》

内田雅之が日本キックボクシング連盟興行に出場とは、本来予定されたメインカードに劣らぬ存在感を示した。そのネームバリューは元・日本フェザー級チャンピオンという肩書だけではない多くの名のある対戦者との戦歴が物語っていた。

交流戦は珍しくはなくなった時代だが、今後の時代に於いては、徐々に各団体の垣根も無くなっていくのかもしれない。そんな分裂などの昭和から引きずった柵(しがらみ)など知らない世代に移りつつある現在である。

内田雅之は野村怜央のカーフキックを受け、効くほどではないが「ちょっと貰うのイヤだなあ」といった心理的にイヤな感じだったと言う。内田のローキックで野村の左太腿も腫れていたが、強い蹴りに耐えた両者である。

本来のメインイベンターだった高橋一眞とのツーショットには対戦の期待高まる両雄となった(たまたま控室での対面。今のところ対戦予定はありません!)。

緊急事態宣言は解除されたものの、全てが元に戻ったと勘違いする人も居て、酒類持ち込み客が注意を受け、ビールの空き缶が幾つか集められていました。イベントの規制はまだ完全には緩まず、酒類の販売は無く酒類持ち込みも禁止。客席使用は50パーセントのままでした。

キックボクシング関係者の過去の新型コロナ感染者も、ある程度は名の知れた人らがそこそこ居て、軽症でも罹ってみて初めて解る苦しさを味わった人も居たようです。また無症状の人でも自宅待機の必要が生じて不便な思いもあったようで、予防接種は受けておいた方が良いという意見は多いのは当然でしょう。「俺は接種しない」と拒否派も存在しますが、格闘家でも一般人でも罹る時は罹るので予防接種は受けた方がいいでしょう。

日本キックボクシング連盟興行「必勝シリーズvol.7」は12月11日(土)に後楽園ホールに於いて17:30より開催予定です。

本来のメインイベンター高橋一眞と内田雅之のツーショット、二人が戦う日は来るか!?

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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