海老原竜二は4人トーナメントの決勝となる王座決定戦で、若い龍太郎を撃破。

前・女子(ミネルヴァ)ライトフライ級チャンピオン.sasori(テツ/PRIMA GOLD)は紅絹(NEXT LEVEL渋谷)と、ぱんちゃん璃奈(STRUGGLE)と1ラウンドずつのエキシビションマッチ。更に師匠と1ラウンドのエキシビションマッチを行ない、引退セレモニーでテンカウントゴングに送られてリングを去った。

最後の打ち合いを楽しむsasori

エキシビションマッチで交わった、ぱんちゃん璃奈と紅絹と並んだsasori

鎌田政興は6月19日に半澤信也の飛びヒザ蹴りで敗れて以来の再戦を、雪辱のKO勝利。

過去、新日本キックで日本ライト級4位だった渡邉涼介はウルフ・タツロウに判定負け。

◎NKB必勝シリーズ 7th / 12月11日(土) 後楽園ホール 17:30~20:21
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

◆第9試合 第9代NKBバンタム級王座決定戦 5回戦

1位.海老原竜二(神武館/1991.3.6埼玉県出身/53.5kg)
     vs
3位.龍太郎(真門/2000.12.25大阪府出身/53.2kg)
勝者:海老原竜二 / TKO 3R 0:34 /
主審:前田仁

龍太郎が蹴りとパンチで積極的に前進し、接近気味に距離を詰める。海老原竜二は待ち構える体勢も、少しやり難いか手数が少ない。やや距離を保てば海老原のミドルキックが攻勢に流れそうだが、パンチとローキックの圧力で下がらない龍太郎。

しかし第3ラウンド開始間もなく、ガードがやや低い龍太郎の顔面に海老原の左ハイキックがヒット。龍太郎は崩れ落ちるも立ち上がろうとするが、足にきてバランスが保てずカウント中にレフェリーに止められてしまった。海老原の先を読むキャリアの差が出た試合。海老原竜二は22戦13勝(6KO)9敗。龍太郎は8戦3勝(1KO)4敗1分

海老原竜二の左ハイキックが龍太郎のアゴにヒット

立ち上がろうとするも崩れ落ちる龍太郎。更に立ち上がろうとする

意識はハッキリ、悔しがる龍太郎

◆第8試合 70.0kg契約3回戦

JKAミドル級1位.光成(ROCK ON/1989.12.3神奈川県出身/69.9kg)
     vs
カズ・ジャンジラ(ジャンジラ/1987.9.2東京都出身/69.45kg)
勝者:カズ・ジャンジラ / 判定0-3
主審:仲俊光
副審:加賀美28-30. 佐藤28-30. 前田29-30

光成の前進を止め、パンチで攻勢を保ったカズ・ジャンジラ

NIIZMAXは変則的に見映えいい技も繰り出すも、攻勢に持ち込めず

序盤は長身の光成の蹴りが効果的に目立つ。カズも次第にパンチで返していき、距離を詰めることで光成のリズムを狂わせ、パンチの連打で攻勢強める。

最終ラウンド残り少ない終了間際で打ち合いに出てきた光成と打ち合ったカズ。互角の打ち合いながら、光成がやや圧力有った終了間際。会場が盛り上がる見せ場となった。

◆第7試合 60.5kg契約3回戦

KEIGO(BIG MOOSE/59.9kg)vs NIIZMAX(クロスポイント吉祥寺/60.15kg)
引分け 0-0 / 主審:川上伸
副審:加賀美30-30. 前田30-30. 鈴木30-30

蹴りから縺れ合って崩れ落ちること多い展開。有効打は無く、差が出ない引分け。

◆第6試合 62.0kg契約3回戦

渡邉涼介(ホライズン/62.0kg)vs ウルフ・タツロウ(アント/61.9kg)
勝者:ウルフ・タツロウ / 判定0-3
主審:佐藤友章
副審:加賀美28-29. 仲28-30. 川上28-30

ウルフ・タツロウに掴まれてのヒザ蹴りに突破口開けなかった渡邉涼介。

組みつかれての揉み合いでスタミナ消耗がキツイ展開。パンチしかない渡辺は勝機を見出せなかった。

ウルフ・タツロウと打ち合いう渡邉涼介も巻き返しに至らず

◆第5試合 フェザー級3回戦

半澤信也(トイカツ/57.15kg)vs 鎌田政興(ケーアクティブ/56.85kg)
勝者:鎌田政興 / KO 2R 2:46
主審:鈴木義和

前回6月19日は一瞬の隙を突かれて半澤の軽く飛んだヒザ蹴りに敗れた鎌田政興が、今度はしっかり相手を見て油断なくパンチで攻勢を続けた。

半澤は何度かけん制気味に飛び技を繰り出すも効果無く、最後は鎌田がパンチからヒザ蹴りを加えた猛攻でレフェリーが止める3ノックダウンとなって雪辱を果たした。

冷静に進めた鎌田政興がパンチで半澤信也を圧倒、雪辱を果たした

◆第4試合 バンタム級3回戦

ナカムランチャイ・ケンタ(team AKATSUKI/53.05kg)vs 幸太(八王子FSG/53.5kg)
勝者:幸太 / 判定1-2 (30-29. 28-30. 28-30)

昨年10月デビュー戦の幸太はナカムランチャイにTKO負け。そのデビューから3連敗も、スプリットデジションながらナカムランチャイに雪辱を果たした。

◆第3試合 63.0kg契約3回戦

YASU(NK/62.4kg)vs カミシロ(PHOENIX/62.45kg)
勝者:カミシロ / TKO 2R 0:40

カミシロのムエタイスタイルが活きたヒジ打ちでYASUの左眉尻をカットさせ、更にヒザ・ヒジの攻勢を続けた後、YASUは傷の悪化で、ドクターの勧告を受入れたレフェリーストップで終了。

◆第2試合 ライト級3回戦

辻健太郎(TOKYO KICK WORKS/61.2kg)vs 高平雅申(上州松井/58.85kg)
勝者:辻健太郎 / KO 1R 2:27

辻健太郎の右ロングフックで高平雅申をテンカウントで仕留めた。

◆第1試合 ウェルター級3回戦

ゆうき(BIG MOOSE/66.2kg)vs 田村大海(拳心館/65.4kg)
勝者:ゆうき / 判定3-0 (28-27. 29-27. 29-27)

チャンピオンとなって抱負を語る海老原竜二「NKBと格闘技界を盛り上げたい」

《取材戦記》

NKBバンタム級王座は、高橋亮(真門)が2015年12月12日に、王座決定戦で松永亮(拳心館)を制して獲得して以来のタイトルマッチとなった。高橋亮はフェザー級に上げ、2019年に二階級制覇を果たしています。防衛戦が無かったのは挑戦者が居なかった。と言うのはランキングが埋まっていないことが実情。団体が多くて活動の差があれば、そんな王座も多いものです。

「格闘技界を盛り上げたい」と応えた海老原竜二。チャンピオンとなった以上は他団体交流も増えると考えられます。これからのチャンピオンロードで、ローカルタイトルで終わるか、日本トップクラスに立つか、真価を問われる戦いが続くでしょう。

レフェリーに止められた後の龍太郎は、フラつくことも椅子に座ることもなく、挨拶を済ませ悔しい表情でリングを下りたが、一瞬の隙を突かれた形で、交通事故に遭った瞬間に似ているかもしれないあのハイキックは、もう少しガードが高ければ、ちゃんと見えていればまだ戦っていただろうと後悔が脳裏を過ぎる悔しさだろう。

引退セレモニーで興行を締め括ったsasari。メインイベントのタイトルマッチの後、会場を去る観客も居たものの、多くの支援者は残っていた様子。試合と試合の合間より最終イベントとして行なう方が、後に控える試合が無いので落ち着いた進行でやれる感じはありました。延べ30分かかったものの、エキシビションマッチで1ラウンド2分制ながら、3人相手に計3ラウンド行なったことはsasoriにとって充実感が残るリング上だったでしょう。

第6試合出場の渡邉涼介は、元々は伊原新潟ジムで、新日本キック脱退後、フリーとしてホライズンジムに名を変え、会長も代わらず乙川敏彦氏が務めています。渡邉涼介は8月28日に日本キックボクシング連盟新潟興行で橋本浩介(PCK大崎)にヒジ打ちに敗れ、今回はウルフ・タツロウに判定負け。他団体進出で険しい道程も今後も戦いは続きます。

日本キックボクシング連盟2022年興行は2月19日、後楽園ホールに於いて開催。10月から延期となっていたNKBライト級タイトルマッチ、高橋一眞(真門)の3度目の防衛戦として棚橋賢二郎(拳心館)の再挑戦を受けます。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」