待たせたな!田村聖 vs 西村清吾ミドル級決着戦!!

西村清吾(左)vs田村聖。戦う度激しさが増した両雄、田村の反撃も凄まじかった
プロレス技ではありません、無我夢中でスリーパーホールドへ?

◎神風シリーズvol.4
9月23日(祝・土)後楽園ホール17:30~21:10
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

田村聖vs西村清吾戦は、今年2月5日のNKBミドル級王座決定戦で、田村聖が最終ラウンドにヒザ蹴りで2度ダウンを奪い、形勢逆転の判定勝ちした王座獲得でした。

初黒星を喫した西村は、6月25日のチャンデー戦でムエタイ技術を学ぶ経験をした自信と、この日、元・ラジャダムナン系ライト級チャンピオン.梅野源治がセコンドに着いてくれた後押しで、西村は第1ラウンドの左ストレートをヒットさせ田村をグラつかせる好調な出だしでしたが、ヒットすると思っていなかったか、間を置いてしまい慌てて詰めに入るがタイミングが一歩遅れてしまう。しかしこれで田村は距離感が狂い、西村が主導権を握った展開でパンチのヒットが目立ち、田村も蹴りで応戦の前回よりアグレッシブな展開。前々回の昨年10月は凡戦だったことからみれば、かなりの成長の両者。

以前から交流のあった梅野源治氏からのジムでの指導とセコンドに着いての相当尻を叩かれた後押しは、苦しい修行を耐え抜いた西村の、この1年を、待たせた成長は大きいと言える第7代NKBミドル級チャンピオン誕生。

西村清吾vs田村聖。西村のクリーンヒットが目立った重いパンチ
苦しみから立ち上がって西村清吾が勝利、いろいろな想いが脳裏を過ぎる涙。セコンドは梅野源治

安田一平はこの日がラストファイト。重いパンチを振るい、洋介は蹴りで対抗するも、安田は距離を詰め、強打で仕留め有終の美を飾る。洋介は担架で運ばれる失神KO負け。公式戦後、簡素な引退式ながら、小野瀬邦英会長からのお言葉は「安田一平は一度引退しています。まあいろいろあって、一平は何年か後に、僕のところへ帰ってきました。“やり残したことがある”と、それを燃やし尽くす為に帰ってきました。燃やし残したものを真っ白に燃やし尽くす為に、今日の今日まで練習して戦ってきました。そして今日、その燃やし尽くせなかったものを真っ白に燃やしたと思います。またこれからの安田一平の人生も、いろいろなもの(人生の節目の)をかき集めて、それを燃焼させながら人生歩んで行くと思いますので、今まで同様、温かい愛情の応援を、これからも宜しくお願い致します。」とファンへ激励と感謝の御挨拶。

安田一平の強打が洋介にヒット、ラストファイトを飾る
完全燃焼して引退式に臨む安田一平と、労いの言葉をかけるSQUARE-UPジムの小野瀬邦英会長

安田一平は「僕なんかがこのリング(引退式)の上で喋るなんて数年前まで思ってもなかったことでした。小野瀬会長、高橋コーチと出会って、ここまでやれるようになったこと凄く感謝しています。また、ここまで来れたのはここに居る皆さんのお陰です。本当に有難うございました」と感謝を述べ、テンカウントゴングに送られました。

12月16日にNKBライト級新チャンピオンの高橋一眞(真門)に挑戦予定の、前チャンピオン.大和知也は新鋭の棚橋賢二郎にKO負けの意外な結果となりました。昨年の試合での怪我で王座を返上し、休養していた大和は試合勘がやや鈍ったか、余裕の序盤からペースを乱したか、第4ラウンドに一気に棚橋の右ストレートを受けあっさりダウン。立ち上がるもパンチ連打の追い討ちを受け、2度目のダウンを喫し立ち上がろうとするもフラついて、レフェリーに止められてしまいました。

棚橋賢二郎の右ストレートが大和知也にヒット
棚橋賢二郎の連打で崩れ落ちる大和知也
昨年6月デビューの5戦目の棚橋賢二郎が31戦目の元ライト級チャンピオンに勝利してのインタビューに応える

デビュー戦から7連敗し、初勝利を得て話題が広まった岩田行央は、KO勝利で3勝目。デビュー戦から岩田と3連戦を戦った藤田直道(藤田の2敗1分)もパンチ、首相撲からのヒザ蹴りなど技を酷使し、判定勝利で成長を見せ初勝利を飾る。普通、話題にならない30歳過ぎの新人が繰り広げた戦いにも人生有り。期待は薄いものの、二人がどこまで上位に進めるか、注目を浴びる存在であります。

《メインイベント、アンダーカード8試合》

◆NKBミドル級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.田村聖(拳心館/72.2kg)vs挑戦者1位.西村清吾(TEAM-KOK/72.35kg)
勝者:青コーナー・西村清吾 / 判定0-2 / 主審 鈴木義和
副審 佐藤友章49-49. 馳48-50. 亀川48-49

◆64.0kg契約 5回戦

NKBウェルター級1位.安田一平(SQUARE-UP/63.9kg)
VS
NKBライト級6位.洋介(渡辺/63.65kg)
勝者:安田一平 / TKO 2R 0:41 / ノーカウントのレフェリーストップ
主審 川上伸

◆ライト級 5回戦

NKBライト級1位.大和知也(SQUARE-UP/61.2kg)
VS
同級8位.棚橋賢二郎(拳心館/61.1kg)
勝者:棚橋賢二郎 / TKO 4R 1:13 / カウント中のレフェリーストップ
主審 馳大輔

◆女子50.0kg契約3回戦

喜多村美紀(テツ/50.0kg)vs佐藤“魔王”応紀(PCK連闘会/49.25kg)
勝者:喜多村美紀 / 判定2-0 / 主審 鈴木義和
副審 亀川30-29. 佐藤彰彦30-29. 馳30-30

◆68.0kg契約3回戦

NKBウェルター級8位.チャン・シー(SQUARE-UP/67.7kg)vsゼットン(NK/67.85kg)
勝者:チャン・シー / 判定2-0 / 主審 佐藤友章
副審 川上29-28. 馳30-29. 鈴木30-30)

◆ライト級3回戦

NKBライト級7位.パントリー杉並(杉並/60.75kg)
vs
同級9位.野村怜央(TEAM-KOK/61.1kg)
勝者:パントリー杉並 / 判定3-0 / 主審 亀川明史
副審 馳29-28. 佐藤彰彦30-29. 佐藤友章29-28

小笠原裕史vs岩田行央。岩田行央がKOできる武器を持って勝ち星を増やせるか

◆60.0kg契約3回戦

岩田行央(大塚/59.6kg)vs小笠原裕史(TEAM-KOK/59.5kg)
勝者:岩田行央 / KO 2R 1:12 / テンカウント
主審 川上伸

◆フェザー級3回戦

藤田直道(ケーアクティブ/56.9kg)vs鈴木孝則(TRIAL/59.9kg)
勝者:藤田直道 / 判定3-0 / 主審 佐藤彰彦
副審 亀川30-28. 鈴木30-28. 馳30-28

他、2試合は割愛します。

《取材戦記》

西村清吾は試合直後の応援してくれたファンに囲まれての記念撮影にリング下から会場ロビーまで移動してファンの応援に応えて長引き、控室に帰れない中で合間を縫っての私の質問に、今後の目標を聞くと「まず防衛」で、「他団体などのビッグマッチ出場を目指す気はありますか?」と尋ねると「これから考えたいです!」とその場では考えがまとまらないのは当然ながら咄嗟に応えてくれました。

新チャンピオン・西村清吾の誕生。ここまで来れたのも梅野さんのお陰、防衛して恩を返さねば

「控室に梅野源治さんも待っているのだから早く戻った方がいいよ」とは頭を過ぎりつつ、言いませんでしたが、退場はサッと一旦引き上げた方がカッコいいと思うところ、支援してくれた後援者も居るので仕方ないところでしょうか。最終試合の後はこんな光景が目立つことがあります。

次回興行は12月16日(日)後楽園ホールに於いて、NKBライト級とフェザー級のタイトルマッチが行なわれます。フェザー級は村田裕俊(八王子FSG)が2度目の防衛戦、再び優介(真門)を迎えての2度目の防衛戦となります。

村田裕俊は6月25日のライト級王座決定戦出場に際し、フェザー級王座は返上していなかったのかと疑問に思いましたが、その村田裕俊(八王子FSG)に2-1判定勝利で王座獲得した高橋一眞(真門)が王座初防衛戦。挑戦者の大和知也(SQUARE-UP)が今回KO負けを喫した為、現在保留の状態です。誰が挑戦して来ても、高橋一眞の今後を占う大事な一戦となるでしょう。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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ムエタイM-ONE興行 WPMFも活発に!

軽量級らしいスピードとテクニックが魅了した試合の佐々木雄汰 vs 薩摩サザ波
薩摩のバックハンドブローがクリーンヒットし、佐々木雄汰がダウン
薩摩サザ波vs佐々木雄汰。右ヒジ打ちでダウンした薩摩
尚武会・今井勝義会長とツーショットの佐々木雄汰初防衛成功

タイでは国家イベントに起用されるWPMF世界戦、日本では乱立した中の一つでしかない存在ながら、選手の実力は高度なテクニックで試合を盛り上げた、この日の軽量級、中量級、重量級の技の競演は、どのカードも持ち味が活かされた展開で魅了。強い選手が揃っています。

メインイベント、佐々木雄汰(尚武会/17歳) vs 薩摩サザ波(TARGET/35歳)戦は、両者の展開速いテクニックを見せつつ、序盤の様子見から第3ラウンドに薩摩のバックハンドブローで佐々木雄汰がダウン、ここは年齢差からくる人生の経験値か。しかし第4ラウンドにはカウンターのヒジ打ちで逆転のダウンを奪った佐々木雄汰は、さすがに幼少期からのジュニアムエタイ時代から実戦で鍛えた勝負勘を感じます。薩摩にダメージが残る中、佐々木雄汰の攻勢がやや上回って、際どい2-1ながら判定勝利で初防衛成功。

武来安 vs 小嶋広樹戦は、パンチの重さは武来安やや有利。小嶋はパンチも打つが、やや見劣りする中、ローキック主体に攻める。接近戦では相手をパンチでグラつかせるラウンドが互いにあり。武来安が後ろ蹴りも多発した蹴りの多彩さとパンチの強さで上回ったかに見える判定勝利で王座獲得。

八神剣太 vs 鷹大戦は、3月20日に挑戦者決定戦で、アトム山田(武勇会)に判定勝利し、挑戦権を獲得した鷹大。互いに譲らない積極的な攻めも、鷹大のヒジ打ちで八神の顔面を切り、より激しい攻防が続く中、最終ラウンドは互いが怯まない相手を称え合うかのような、グローブタッチを繰り返しながらパンチと蹴りの思いっきりの攻防が続き終了。鷹大のヒジの攻勢が目立ったか、際どい2-0判定で王座奪取、WPMF日本王座2階級を制覇。

ゴンナパー vs 潘隆成戦は、ムエタイらしいゴンナパーの左ミドルキックと強烈なパンチが、徐々に調子を上げていき播隆成を苦しめる。3ラウンドまでの公開採点で、ダウンを奪わなければ勝てない潘隆成が攻勢に出るが、ゴンナパーが強い蹴りで凌ぎきる上手さが目立った。最終ラウンドも離れず攻勢を続けたゴンナパーが判定勝利で2度目の防衛。

T-98 vs ガムライペットは、再びムエタイ殿堂王座を目指すT-98が序盤、重いローキックと接近して圧力をかけてのパンチで出るが、ガムライペットのハイキックを受けたT-98はグラつき、2ラウンドにはヒジで切られる負傷負け。調子を上げる前に終わった感じの試合。王座陥落以降、復帰戦は勝ったが、この日敗北。試合ペースが短い現状から少々休養をとって更なる再起に期待したいところです。

◎M-ONE 2017.2nd
9月18日(月・祝)ディファ有明16:00~20:55
主催:ウィラサクレック・フェアテックス / 認定:WPMF

◆WPMF日本スーパーフライ級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.佐々木雄汰(尚武会/51.95kg)
vs
挑戦者.薩摩3373(=サザ波/MA日本フライ級C/TARGET/51.95kg)
勝者:佐々木雄汰 / 判定2-1 / 主審 チャンデー・ソー・パランタレー
副審 テーチャカリン48-47. ソンマイ48-47. 北尻47-48

ダウンを奪い返した佐々木雄汰の右ヒジ打ちクリーンヒット

◆第2代WPMF日本ライトヘビー級王座決定戦 5回戦

武来安(=ブライアン/J-NETWORKライトヘビー級C/上州松井/78.85kg)
vs
小嶋広樹(WSR・F幕張/79.3kg)
勝者:武来安 / 判定3-0 / 主審 北尻俊介
副審 テーチャカリン49-48. チャンデー49-48. ナルンチョン49-48

小嶋広樹vs武来安。重量級らしい重いパンチと蹴りが交錯した戦い、後ろ蹴りヒットさせた武来安

◆WPMF日本フェザー級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.八神剣太(レジェンド横浜/57.1kg)
vs
挑戦者.鷹大(前スーパーバンタム級C/WSR・F西川口/57.1kg)
勝者:鷹大 / 判定0-2 / 主審 ソンマイ・ケーウセン
副審 テーチャカリン48-49. 北尻48-49. ナルンチョン49-49

八神剣太を攻める鷹大の右ミドルキック、凄まじい試合となった両者
2度目の防衛を果たしたゴンナパー

 
◆WPMF世界スーパーライト級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.ゴンナパー・ウィラサクレック(タイ/63.5kg)
vs
潘隆成(前WPMF日本同級C/クロスポイント吉祥寺/63.5kg)
勝者:ゴンナパー / 判定3-0 / 主審 チャンデー・ソー・パランタレー
副審 ソンマイ49-48. 北尻50-47. ナルンチョン49-47

ゴンナパーの重いミドルキックが潘隆成を苦しめる

◆スーパーウェルター級3回戦

T-98(=今村卓也/元ラジャダムナン系SW級C/クロスポイント吉祥寺/69.85kg)
vs
ガムライペット・パーン26(タイ/69.85kg)
勝者:ガムライペット / TKO 2R 2:43 /
ヒジ打ちによる顔面裂傷、ドクターの勧告を受入れレフェリーストップ
主審 テーチャカリン・チューワタナ

T-98vsガムライペット。調子を上げる前に終わったT-98(=タクヤ)
T-98負傷負け。1度目のドクターチェックでかなり危なかったが再開を許されるも数秒の攻防ですぐレフェリーに止められた、おびただしい出血のT-98

◆WPMF日本ピン級(-45.359kg)3回戦(2分制)

WPMF世界ピン級チャンピオン.Little Tiger(WSR・F三ノ輪/44.9kg)
vs
ヨーディン・シットヨーディン(タイ/45.6→45.3kg)
勝者;Little Tiger / TKO 2R 1:09 / 一方的展開に陥り、レフェリーストップ
主審 北尻俊介

◆55.0kg契約3回戦

小笠原 裕典(JKIスーパーバンタム級C/クロスポイント吉祥寺/55.0kg)
vs
ナッタチャイ・パーン26(元・ルンピニー系ライトフライ級C/タイ/54.6kg)
引分け / 1-0 / 主審 ナルンチョン・ギャットニワット
副審 北尻29-29. チャンデー29-28. テーチャカリン28-28

◆59.0kg契約3回戦

WPMF日本スーパーバンタム級チャンピオン.中向永昌(STRUGGLE/58.9kg)
vs
コブスー・フェアテックス(タイ/58.75kg)
勝者:コブスー・フェアテックス / TKO 1R 1:21 / カウント中のレフェリーストップ
主審 ソンマイ・ケーウセン

◆60.0kg契約3回戦

NJKFスーパーフェザー級チャンピオン.琢磨(東京町田金子/59.8kg)
vs
デンサヤーム・ルークプラバート(タイ/59.75kg)
勝者:デンサヤーム・ルークプラバート / 判定0-3 / 主審 チャンデー・ソー・パランタレー
副審 北尻28-29. ナルンチョン28-29. ソンマイ28-30

◆53.0kg契約5回戦

WPMF日本バンタム級チャンピオン.隼也ウィラサクレック(WSR・F三ノ輪/53.0kg)
vs
奥脇一哉(はまっこムエタイ/53.0kg)
勝者:隼也ウィラサクレック / 判定2-0 / 主審 テーチャカリン・チューワタナ
副審 北尻48-48. チャンデー50-48. ソンマイ49-48

他、3試合は割愛します。

《取材戦記》

WPMF日本ライトヘビー級王座は3年半ぶりのチャンピオン在位。日本の重量級では層が薄い現状も、全団体から集まれば昔以上のランカーが揃う人材があります。ミドル級を越える重量級でも交流戦を増やして、少しでも対戦相手不足を解消して欲しいところです。

キックボクシング系競技でアメリカ人日本チャンピオンも過去、何人か居たと思いますが、武来安の活躍は、かつての日本ヘビー級チャンピオン.ジミー・ジョンソン(横須賀中央)の存在を思い出しました。こんな外国人横綱のような、日本王座に君臨する外国人チャンピオンの存在も憎たらしくていいかもしれません。ボクシングのリック吉村のような日本人をことごとく潰していく存在も面白い存在となるものです。

やがて来年6月末にはこのメイン会場となったディファ有明も閉鎖されますが、その後はどこで開催されるのでしょう。M-ONEに限らず、ディファ有明を主要会場としていた各団体・興行プロモーションも新たな会場を探っているようです。M-ONE次回興行は11月26日(日)にこのディファ有明で開催となります。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

愚直に直球 タブーなし!『紙の爆弾』10月号!【特集】安倍政権とは何だったのか
一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

TITANS NEOS 22 メジャーが王道の先にあるならば、この道を突き進む!

江幡睦vsマフアンレック。蹴り合いにも下がらず先手打ち、圧力掛けて出る江幡睦

アルゼンチン大使より、WKBA伊原信一代表へチャンピオンベルトの贈呈。これはWKBA加盟国の、アルゼンチンで活発に行なわれているアマチュア大会が、今後、周辺国と交流し、南米選手権、更にヨーロッパ、ロシア、アジアとの大陸間国際大会開催を目指したチャンピオンベルトとなります。アマチュア大会の裾野が広がって、プロへの基盤となればWKBA世界王座も真のメジャー化に繋がるでしょう。そんな険しい道程をどう切り抜けていくのかも応援したいところです。

江幡塁が12月10日、両国国技館で開催の「KNOCK OUTイベント」に出場決定! 10日程前に発表されていたことではありますが、この日、江幡睦が勝利したリング上でもマイクアピールされました。対戦相手は未定ですが、ここで話題の選手と対戦し、好ファイトを繰り広げれば、その後のムエタイ最高峰に挑んだ際にも、今まで以上の期待と声援が増すことでしょう。

江幡睦vsマフアンレック。右ストレートで1回目のダウンとなるクリーンヒット
斗吾vsファープラタン。パンチの強い斗吾が圧力を掛けていく、劣勢に陥るファープラタン

◎TITANS NEOS.22
2017年9月17日(日)後楽園ホール17:00~20:50
主催:TITANS事務局 / 認定:新日本キックボクシング協会

メインイベントは江幡睦のWKBA世界バンタム級王座初防衛戦。一度失敗している初防衛戦は、2015年3月に行なわれた、ラジャダムナン系バンタム級王座とのダブルタイトルマッチで、フォンペット・チューワタナに判定負けして奪取成らず、WKBA王座も陥落。その後フォンペットのWKBA王座返上で、江幡睦は再び王座決定戦を制し王座奪回。今回の挑戦者は元・ルンピニー系ライトフライ級1位.マフアンレック。

睦のパンチと蹴りのスピードがマフアンレックを上回り、タイミングをずらしたフェイントと、右ストレートと左アッパーで、2度のダウンを奪って快勝し、初防衛成功。

日本ウェルター級チャンピオン.渡辺健司は、憂也の若さでパンチで出る圧力に押される展開を見せるも、いつものしぶとさと粘りで凌ぎきる。どちらもあと一歩足りない手数に差が付かないまま終了。

日本ミドル級チャンピオン.斗吾は序盤にファープラタンの蹴りのテクニックに詰め難さがあったが、斗吾のパンチの威力に後退し始め、表情に現れるような劣勢とスタミナ不足。斗吾の威力が増していき、右ボディーブローでKOする。

アルゼンチンから伊原ジムに移籍したマウロ・エレーラとミドル級から階級を上げたショーケン、重いパンチを振るうエレーラに、負けず劣らず前に出たのはショーケン。右ストレートでダウンを奪い、エレーラを後退させるシーンが目立ち、判定勝利を得る。ミドル級時代より力強さを感じたショーケンでした。

日本フライ級王座奪還目指す泰史は、第1ラウンド終了近くにパワフルな攻めを見せる平野翼から右ハイキックでダウンを奪い、2ラウンド開始早々には右ローキックから瞬時に飛びヒザ蹴り一発で倒してKO勝利。

◆メインイベント WKBA世界バンタム級タイトルマッチ 5回戦

チャンピオン.江幡睦(伊原/53.45kg)
VS
マフアンレック・チョー・ノーパルタン(タイ/53.1kg)
勝者:江幡睦 / KO 2R 2:25 / カウント中のタオル投入による棄権
主審 椎名利一

◆74.0kg契約3回戦

日本ミドル級チャンピオン.斗吾(伊原/73.85kg)
VS
ファープラタン・ペットプームムエタイ(タイ/73.7kg)
勝者:斗吾 / KO 3R 0:59 / カウント中のタオル投入による棄権
主審 少白竜

ファープラタンvs斗吾。最後は斗吾ボディーブローが強烈に決まった
渡辺健司vs憂也。若い憂也も攻め倦む、両者あと一歩出れば勝機に繋がった惜しい試合

◆67.2kg契約3回戦

日本ウェルター級チャンピオン.渡辺健司(伊原稲城/67.15kg)vs
VS
憂也(魁塾/67.2kg)
引分け / 0-1 / 主審:宮沢誠
副審 椎名29-29. 仲29-29. 少白竜29-30

◆ヘビー級3回戦

日本ヘビー級1位.マウロ・エレーラ(伊原/95.3kg)
VS
日本ヘビー級4位.ショーケン(山田/94.5kg)
勝者:ショーケン / 判定0-3 / 主審 宮沢誠
副審 椎名27-30. 仲28-29. 少白竜28-29

マウロ・エレーラを後退させたショーケン、今後に期待

◆52.0kg契約3回戦

泰史(前・日本フライ級C/伊原/52.0kg)vs平野翼(烈拳會/51.5kg)
勝者:泰史 / TKO 2R 0:10 / ノーカウントのレフェリーストップ
主審 仲俊光

平野翼vs泰史。飛びヒザ蹴り一発で平野翼を沈めた泰史
江幡睦と塁。WKBA、KNOCK OUT、ムエタイ王座と新しい伝説へ突き進む江幡ツインズ

◆74.0kg契約3回戦

日本ミドル級2位.本田聖典(伊原新潟/73.6kg)vs同級3位.中川達彦(花鳥風月/73.9kg)
勝者:本田聖典 / TKO 2R 0:46 / 一方的展開の為、レフェリーストップ
主審 少白竜

◆62.5kg契約3回戦

日本ライト級3位.春樹(横須賀太賀/62.5kg)vs清水隆誠(烈拳會/62.5kg)
勝者:清水隆誠 / 判定0-3 / 主審 椎名利一
副審 少白竜28-30. 宮沢誠27-30. 仲28-30

◆ライト級3回戦

日本ライト級4位.ジョニー・オリベイラ(トーエル/61.1kg)
VS
同級5位.渡邊涼介(伊原新潟/61.15kg)
引分け / 0-0 / 主審 少白竜
副審 椎名29-29. 宮沢29-29. 仲29-29

他、5試合は割愛します。

《取材戦記》

江幡ツインズ弟・塁は10月22日にMAGNUM.45に於いてWKBA世界スーパーバンタム級王座2度目の防衛戦で、その後12月10日にKNOCK OUT出場となります。同日、兄・睦は後楽園ホールでの藤本ジム興行に於いてのビッグマッチが予定されており、同日に別々の会場でツインズ出場は初めてのことです。来年は睦も後々にKNOCK OUT出場予定されている模様です。

伊原代表に贈られたWKBAアマチュアチャンピオンベルト中央には「King of The King」と刻印されており、鷹と王冠もデザインされています。この鷹と王冠は旧・日本キックシング協会系のチャンピオンベルト(沢村忠さん達の時代のベルト)にも王冠に掴まる鷹が描かれており、同一デザインではありませんが、何かキックの老舗のこだわりがあるような気がします(鷹か鷲か不明ですが)。

今回の興行テーマとなった「メジャーは王道の先にあるならば、この道を突き進む!」にはTITANS NEOSの強化と、海外から発信のWKBAアマチュア大会や、KNOCK OUTイベントに江幡ツインズ出場といった王道の先にメジャーがあり、それが2018年に大きく開花していくのかもしれません。

アルゼンチン大使と伊原代表を囲む。南米担当・川久保悠さん、リングアナウンサー・生島翔さんも加わって

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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『NO NUKES voice』13号【創刊3周年記念総力特集】望月衣塑子さん、寺脇研さん、中島岳志さん他、多くの人たちと共に〈原発なき社会〉を求めて

国崇も勢い上げるDUEL.11、女子キックも充実!

国崇vsチャーオサム。開始早々から攻勢を掛ける国崇、倒す気満々
国崇vsチャーオサム。国崇のローキックで棒立ちとなるチャーオサム
勝利者ならではのツーショット

◎DUEL.11 / 2017年9月3日(日)ゴールドジム・サウス東京ANNEX.17:00~19:20
主催:NJKF若武者会 / 認定:NJKF

国崇(くにたか)のローキックで早々にチャーオサムの動きが止まり、パンチでのボディブローと左頬にヒジ打ちを加えると、ダメージ深いチャーオサムはやや遅れて倒れ、レフェリーが止めて国崇の勝利となる。今年に入って4連続KO勝利、まだまだ現役を続ける意思表示を見せた国崇でした。

C-CHANは序盤、長身を利した右ミドルキックで自分の距離間を掴むが、接近戦に持ち込む百花のパンチが次第に増えて圧力を掛ける。C-CHANの蹴りが優ったように見えたが、百花のパンチで攻め返される見映えの悪さと、百花の積極性でポイントが流れた様子でC-CHANは王座陥落。百花がNJKFミネルヴァ・アトム級王座奪取となる。ピン級(-45.359kg)での王座争奪トーナメント戦出場を願い出た百花は、この軽量級エリアで更なる上位階級への挑戦も目指して欲しいところです。

《全10試合結果》

◆第10試合 メインイベント 57.0kg契約 5回戦

ISKA(ムエタイ)世界フェザー級チャンピオン.国崇(拳之会/56.7kg)
vs
チャーオサム・エスジム(タイ/56.8kg)
勝者:国崇 / TKO 1R 3:03 / カウント中のレフェリーストップ
主審:宮本和俊

◆第9試合 NJKF女子(ミネルヴァ)アトム級(-46.266kg)タイトルマッチ3回戦

チャンピオン.C-CHAN(TEAM GONJI/46.3→46.26kg) vs 挑戦者同級1位.百花(魁塾/45.3kg)
勝者:百花 / 判定1-2
主審:多賀谷敏朗
副審:宮本29-28. 竹村28-30. 白神28-30

C-CHANvs百花。後半の追い込みを掛ける百花
C-CHANvs百花。蹴られ続けても我が身を信じ、パンチで攻めた百花
百花が王座奪取。更なる階級制覇へ意欲を見せる

◆第8試合 58.5kg契約3回戦

hayato (FOKAIJAPAN/58.3kg)vs 雅也(T-KIX/58.5kg)
勝者:hayato / 判定2-0
主審:竹村光一
副審:宮本30-29. 多賀谷30-28. 白神29-29

◆第7試合 フライ級3回戦

一航(新興ムエタイ/50.8kg)vs 池上侑李(岩崎/50.7kg)
勝者:一航 / 判定3-0
主審:中山宏美
副審:宮本30-28. 多賀谷30-28. 竹村30-28

◆第6試合 女子アトム級3回戦(2分制)

美保(KFG URAWA/46.1kg)vs めぐみ(日進会館・宮原/46.0kg)
勝者:美保 / 判定3-0
主審:白神昌志
副審:中山30-27. 多賀谷30-26. 竹村30-27

◆第5試合 女子53.0kg契約3回戦(2分制)

田丸茜(エイワS/52.5kg)vs 坂本優(CROSSLINE/51.6kg)
勝者:坂本優 / 判定0-3
主審:宮本和俊
副審:中山28-30. 白神28-30. 竹村29-30
狩野友里(KICK BOX)の欠場により田丸茜が代打出場

◆第4試合 女子50.0kg契約3回戦(2分制)

ライトフライ級3位.後藤まき(RIKIX/49.6kg)vs にゃあしゃー綿田(チームNYAA/49.0kg)
勝者:にゃあしゃー綿田 / 判定0-2
主審:多賀谷敏朗
副審:中山29-30. 白神29-29. 宮本29-30

◆第3試合 女子ピン級(-45.359kg)3回戦(2分制)

真奈長(真樹・オキナワ/44.8kg)vs 奥脇奈々(はまっこムエタイ/45.35kg)
勝者:真奈長 / 判定3-0
主審:竹村光一
副審:多賀谷30-27. 白神30-28. 宮本30-27

◆第2試合 フェザー級3回戦

小田武司(拳之会/57.0kg)vs 獠太朗(DTS/57.0kg)
勝者:獠太朗/ 判定0-2
主審:中山宏美
副審:多賀谷28-29. 竹村29-29. 宮本28-30

◆第1試合 女子フライ級3回戦(2分制)

七美(真樹・オキナワ/50.1kg)vs 佐藤瑠南(VERTEX/50.7kg)
引分け 0-1
主審:白神昌志
副審:多賀谷29-29. 竹村29-29. 中山29-30

hayatoの勝利を祝して、3日後の試合を控える梅野源治も登場
NJKF斉藤京二理事長(左)より認定証を受け、DUEL竹越義晃代表(右)よりチャンピオンベルトを受けた百花
DUELでは恒例のラウンドガール実来さん登場

《取材戦記》

女子の軽量級域の細か過ぎるウェイト間隔。選手にとっては「1ポンドでも大きな差」と言っても一般人では、1日以内で変化ある1キログラム以下の間隔ってどうなのでしょう。百花はピン級ウェイト(-45.359kg)でアトム級(-46.266kg)王座を奪った形です。

その女子を中心とした興行もかなり増えました。少子化や競技の多様化で、各格闘競技人口の減少の上、こんな痛い思いして、お金にならないことしなくてももっと儲かる競技を目指す若者も多い中、女子キック・ムエタイ競技の興行が増えたことは、喜ばしいことなのかもしれません。

ウェイトの問題ではもうひとつ。クルーザー級は1980年にWBCのプロボクシング世界戦で新設され、後にキックボクシングでも真似するように新設されました。当初は190ポンド(86.182kg)以下でしたが、10年ぐらい前に200ポンド(90.718kg)以下に変更されました。

ところがキックボクシング各団体は知ってか知らずかそのまんま。キックやムエタイの各団体で「190ポンドで行なう」と宣言してくれれば、それで確定で分かり易いのですが、ボクシングの試合は観るがルール変更に気が付かないキック関係者が多いようです。

国崇は、今年2月のスペンサー・テー(シンガポール)戦からこれで4連続KO勝ちとなりました。今回も5回戦ヒジ打ち有りルールの試合でしたが、「ムエタイがそのルールですから」と本来のルールに拘りました。多くの世界王座を奪取し、ムエタイ殿堂王座挑戦も経験している国崇は37歳にしてまだ上を目指す挑戦を続けます。

NJKF興行は9月24日(日)に後楽園ホールで、NJKF 2017 3rdが行なわれます。

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

愚直に直球 タブーなし!『紙の爆弾』10月号!【特集】安倍政権とは何だったのか
一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

打倒ムエタイに心はひとつ! WINNERS、誰がインパクトある勝利を掴むか!

酒井柚樹vs石川直樹。ヒザ蹴りは得意技、勢いづくと飛びヒザ蹴りもこなす石川直樹
酒井柚樹を首相撲で崩した石川直樹
圧勝でメインイベンターを務め終えた石川直樹

初のメインイベンター石川直樹は上背を活かした首相撲からの崩しで背の低い酒井柚樹を圧倒、初回は酒井の首相撲からの崩しに倒されていた石川が次第に自分のペースに持ち込みヒザ蹴を多用し逆転。第5ラウンドのヒザ蹴りからの崩しはノックダウン扱いとなる大差で一方的優勢の勝利となりました。

昔の選手なら崩され続けると次第に立ち上がるのも苦痛なほどスタミナを無くしたものでしたが、酒井は崩され倒されながらもすぐ立ち上がる戦意とスタミナは充分でした。石川直樹は昨年10月に泰史から日本フライ級王座奪取して以来の勝利。

瀧澤は3連敗から脱出。5月にはHIROYUKI(藤本)に日本バンタム級王座を奪われるどん底から這い上がりました。開始からのローキックは有効的ながら、スネブロックされると、観る側からすれば痛そうな印象。ローキックよりは長身を活かしたパンチでの攻めは蹴りに繋がる効果的油優勢。ラストラウンドに不覚にも、ヒジ打ちで眉間辺りを切られるも劣勢に反省は残るも優位を保ったまま判定勝利。再び王座を奪うまで負けられないでしょう。

今野顕彰が強引さはあるがパンチ連打でロープに詰めての攻勢も、オトヤスックが再三狙っているヒジ打ちを受けて負傷負け。攻勢が一転、惜しい敗戦となる。

政斗はパンチとローキックで圧力掛けるが、ペットピサンヌの距離の取り方が上手く蹴りの強さで政斗の勢いを止め、三者三様の引分け。

櫓木淳平は好戦的にパンチのヒットはあるが、アミーが蹴りの距離感と首相撲のテクニックで主導権を譲らず、櫓木は巻き返し成らず終了。

瀧澤博人vsルアンタイ。接近戦でヒザ蹴りで優位に立つ瀧澤博人

◎WINNERS 2017 3rd
2017年8月27日(日)ディファ有明16:30~20:35
主催:治政館ジム / 認定:新日本キックボクシング協会

《試合結果9試合》

◆第13試合 メインイベント 52.0kg契約 5回戦

日本フライ級チャンピオン.石川直樹(治政館/31歳/52.0kg)
VS
酒井柚樹(はまっこムエタイ/21歳/51.85kg)
勝者:石川直樹 / 判定3-0 / 主審:仲俊光
副審:和田50-45. 宮沢50-46. 桜井50-46

◆55.0kg契約 5回戦

日本バンタム級1位.瀧澤博人(前・C/ビクトリー/55.0kg)
VS
ルアンタイ・ダッポンヌンガーウヌン(タイ/54.9kg)
勝者:瀧澤博人 / 判定3-0 / 主審:椎名利一
副審:仲50-48. 宮沢49-47. 桜井49-48

ルアンタイvs瀧澤博人。長身を利して右ストレートをヒット、瀧澤の積極性はより進歩した
KO賞三人目、日本vsタイ国際戦、オトヤスックはヒジ打ちで今野を下す

◆ミドル級3回戦

日本ミドル級1位.今野顕彰(市原/72.2kg)
VS
オトヤスック・シンセンデート(タイ/72.2kg)
勝者:オトヤスック / TKO 3R 1:55 / 和田良覚
ヒジ打ちによる負傷、ドクター勧告を受入れレフェリーストップ

◆69.0kg契約3回戦

日本ウェルター級1位.政斗(治政館/68.8kg)
VS
ペットピサンヌ・ダッポンヌンガーウヌン(タイ/67.35kg)
引分け / 三者三様 / 主審:桜井一秀
副審:椎名29-29. 和田29-30. 仲29-28

ペットピサンヌvs政斗。政斗は一歩及ばず、もう少し圧力掛ければ勝利を掴んだか

◆59.0㎏契約3回戦

日本フェザー級7位.櫓木淳平(ビクトリー/58.7kg)
VS
アーミ―・サシプラパー(タイ/58.6 kg)
勝者:アーミ―・サシプラパー / 判定0-3 / 主審:宮沢誠
副審:椎名28-30. 和田28-30. 桜井28-30

アミー・サシプラパーに蹴られても勇敢に向かった櫓木淳平選手

◆62.0kg契約3回戦

日本ライト級1位.永澤サムエル聖光(ビクトリー/62.0kg)
VS
長谷川健(RIKIX/62.0kg)
勝者:永澤サムエル聖光 / 判定3-0 (29-27. 30-27. 29-27)

◆61.5kg契約3回戦

日本ライト級4位.ジョニー・オリベイラ(トーエル/61.5kg)
VS
日本フェザー級5位,拳士狼(治政館/61.05kg)
引分け / 0-1 (28-30. 29-29. 29-29)

KO賞二人目、アンダーカードで勝利、馬渡亮太選手

◆54.5kg契約3回戦

日本バンタム級4位.逸可(トーエル/54.4kg)vs馬渡亮太(治政館/54.5kg)
勝者:馬渡亮太 / TKO 3R 1:41 / ヒジ打ちによる負傷、ドクターの勧告を受入れレフェリーストップ

◆54.5kg契約3回戦

日本バンタム級5位.田中亮平(市原/54.3kg)
VS
ラジャサクレック・ムエタイジム(タイ/54.3kg)
引分け / 0-0 (29-29. 29-29. 29-29)

他、2回戦4試合は割愛します。

ラジャサクレックが引退、先生として人気者らしく子供たちに囲まれて

《取材戦記》

今回の興行タイトルとなった「打倒ムエタイに心はひとつ」、対抗戦と銘打たれた興行でしたが、一つ一つは個人の戦いで、厚い壁に阻まれること多いムエタイ戦であります。

アンダーカードでは在日選手のラジャサクレック選手の引退とされる国際戦も行なわれていました。41歳となってもテクニックは一級品。ラストファイトはスタミナ切れの引分けでしたが、日本で経営するジム練習生の子供たちとファンも多く、声援に送られました。

志朗と麗也が抜けた形のWINNERSは、昔の治政館ジム興行に戻ったような印象。これから次なるスターの石川直樹と瀧澤博人には期待が掛かります。

11月19日のビクトリージム興行「Kick Insist 7」には瀧澤博人が出場濃厚と考えられるところ、今後、ムエタイ強豪対決路線と王座奪回に向けて更なるアピールを続けたいところでしょう。頂点を目指す選択肢の多い時代で、進む方向も気になる“歌うキックボクサー”瀧澤博人です。

連敗脱出成功の瀧澤博人

▼堀田春樹(ほった・はるき)[撮影・文]
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

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一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

ムエローク2017.3rd 伊藤紗弥、天才少女から伝説の女王への飛躍!

ワイクルーも綺麗だった両者の舞い
崩れないファチャンライに蹴り負けない展開を見せた伊藤紗弥
後半はロープに詰める攻めが目立った伊藤紗弥

伊藤紗弥(尚武会)がミニフライ級で世界統一を目指す第一歩、WMC世界ミニフライ級王座奪取。今後同級でWPMF世界王座、WBCムエタイ世界王座を狙い、ムエタイとして世界主要3団体となる王座統一を目指しています。

試合はやや体格差が影響したか、蹴り返してくるファランチャイに突破口が見い出せない印象も、次第に追う展開に導きスタミナ豊富にポイントで優った勝利で世界王座奪取。

久世秀樹(レンジャー)はムエタイの壁に阻まれる展開。2ラウンド後半からコチャサーンが始動開始、主導権を奪われジワジワと攻められていく。久世がパンチで攻めるところは優位に見えてもゴチャサーンは体幹がブレず冷静。久世はヒジ打ちを貰って口の中を切ったと思われる中、攻めてもバランスの悪い体勢。内容的にも大差が付いた世界挑戦でした。

山田航暉(キングムエ)は、スピーディーな展開で挑戦者.鳩(=あつむ/TSKJapan)に判定勝利。鳩は蹴り負けず追い上げるも一歩及ばず、テクニックを酷使した見応えある攻防の末、山田航暉が王座初防衛。

翔センチャイジムは首相撲に持ち込めば独壇場、DAIJUに何もさせない展開で左ヒジ打ちで倒す。離れた展開ならDAIJUも蹴り技があるが、そうさせない翔センチャイのムエタイ技が優り王座復帰に成功。

◎ムエローク2017.3rd / 8月11日(祝)
八王子市富士森体育館14:30~18:25
主催:尚武会 / 認定:WMC

◆WMC女子世界ミニフライ級(105LBS/47.627kg)王座決定戦 5回戦(2分制/両者計量はパス)

伊藤紗弥(元・WPMF世界ピン級(45.359kg)C /尚武会)
VS
ファチャンライ・ソー・サンチャイ(タイ)
勝者:伊藤紗弥 / 判定3-0
主審:テーチャカリン・チューワタナ
副審:ナルンチョン49-48. ノッパデーソン49-48. ソンマイ49-48

世界統一への第一歩を果たした伊藤紗弥、WMC立会人(左)と尚武会・今井勝義会長に囲まれて撮影
日本で王座奪取のコチャサーンの今後はどう展開するか

◆WMC世界フェザー級王座決定戦 5回戦(両者計量はパス)

ルンピニー系フェザー級2位.コチャサーン・ウォー・ウィワッタナーン(タイ)
VS
久世秀樹(前・WPMF日本同級C/レンジャー)
勝者:コチャサーン・ウォー・ウィワッタナーン / 判定3-0
主審:ナルンチョン・ギャットニワット
副審:テーチャカリン、ノッパデーソン、ソンマイ / 49-48. 50-47. 50-47. 担当三者の該当採点は不明

パンチ、前蹴りのヒットもあったテクニシャンの久世、しかし体幹いいコチャサーンは怯まず上手かった

◆WMC日本スーパーフライ級タイトルマッチ 5回戦(両者計量はパス)

チャンピオン.山田航暉(キングムエ)vs挑戦者.鳩(=あつむ/TSKJapan)
勝者:山田航暉 / 判定3-0
主審:ノッパデーソン・チューワタナ
副審:テーチャカリン49-48. ナルンチョン50-47. ヌンポントーン49-48

山田航暉の蹴りが優っていき、好ファイトとなる激闘を制す
左から2人目はキングムエジム佐藤孝也会長
組み合ったらムエタイ技活きる翔センチャイの独壇場、ヒジ打ちが勝負の決め手となる
最後はヒジ打ちを放ったところで崩れ落ちたDAIJU
初代から3代目へ王座復帰した翔センチャイジム(=佐藤翔太)

◆WMC日本ライト級王座決定戦 5回戦(両者計量はパス)

翔センチャイジム(=佐藤翔太/初代C/センチャイ)vsDAIJU(尚武会)
勝者:翔センチャイジム / TKO 3R 0:37 / 左ヒジ打ちでノックダウン、カウント中のレフェリーストップ
主審:ソンマーイ・ケーウセーン

◆ピン級(100LBS)3回戦(2分制)

小宮山怜虎(尚武会)vs石渡悠真(エイワスポーツ)
引分け / 0-1
主審:ヌンポントーン・バンコクストアー
副審:ノッパデーソン29-29. ソンマイ28-29. ナルンチョン29-29

◆ウェルター級3回戦

柿沼慶(ボゴナクラブ)vs J(TSK Japan)
勝者:J=ジェイ / TKO 3R 0:20 / 右ハイキックでノックダウン、カウント中のレフェリーストップ
主審:テーチャナリン・チューワタナ

◆ウェルター級3回戦

千里KissMe(安曇野の会)vs 誠(レンジャー)
勝者:誠 / TKO 2R 2:26 / 左ストレートでノックダウン、カウント中のレフェリーストップ
主審:ナルンチョン・ギャットニワット

◆68.0kg契約3回戦

駒形けんた(レンジャー)vs 引間羅普(尚武会)
勝者:駒形けんた / TKO 2R 1:17 / パンチのラッシュでスタンディングダウン、カウント中のレフェリーストップ
主審:ソンマイ・ケーウセーン

他、アマチュアカード5試合は割愛します。

《取材戦記》

計量結果は入手出来ず、ウェイト競技として不完全な記録掲載となってしまいました。前日計量では全員正式にリミット内パスしています。

当初、アトム級(102LBS/-46.266kg)で世界統一を目指すとされた伊藤紗弥の世界戦が、前日になってミニフライ級(105LBS/-47.627kg)に変更されました。前日計量で、WMC側との契約の解釈違いがあった模様。プロボクシング世界戦ではこんな解釈違いが起こったことはありません。

試合後に今井会長が「伊藤紗弥は今後もこの階級(ミニフライ級=-105LBS)で世界統一狙います」と言ってくれましたので、そう捉えましたが、今後の成り行きによって狙う階級は流動的と感じました。

公表されている限りにおいて、元々ムエタイ世界主要3団体にアトム級は無いものの、今後新設される可能性があり、その場合はアトム級で世界統一を目指し、無ければミニフライ級で世界統一を目指すことになるでしょう。

体格差というのは軽量級に於いては、1ポンドの差でも大きな差になるといいます。
今回の試合もファチャンライはミニフライ級リミットを大きく下回るも、アトム級を少し超えた状態で来たので、若干の体格差が出たようでした。しかし伊藤紗弥の実力から言って、ライトフライ級(108LBS=-48.987kg)でもいける可能性があり、実力発揮して今後はミニフライ級統一成れば、上位階級も狙って欲しいものです。

日本のキックボクシング・ムエタイで、多くの興行プロモーションが存在すること自体は、プロボクシングと同じで何も間違ったことではありません。ただ協会(団体)がひとつではないこと、団体加盟しないフリーの興行でも充分成り立つことで、多くのタイトル組織認定化が進んでしまいました。

そんな中、本場タイ国で発祥したタイトル組織の傘下で位置付けされる権威の下、活動されているのが、WPMF、WMC及びWBCムエタイの傘下となる日本3団体で、この中でも生き残りが展開されている現在、尚武会の今井勝義会長が期待を掛ける伊藤紗弥は、女子軽量級に於いて主要3団体制覇を狙うのは最も価値ある頂点でしょう。

次は11月にNJKF興行に於いて、WBCムエタイ・インターナショナル・ミニフライ級王座を狙うことになります。WBCムエタイは、いきなり世界挑戦は出来ないので段階的に中間のインター王座を狙うことになります。

更に来年4月にはタイ国でのWPMF認定のビッグマッチ興行出場と、戦う路線は決定済。那須川天心と対戦したこともある “天才少女”と言われたジュニアムエタイ時代からプロデビュー後、順調に成長しテレビで扱われることも増え、シュートボクシングのRENA以上の注目を集めたり、3団体世界王座統一に成功すれば、“伝説の女王”の称号に相応しい存在となることでしょう。

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

愚直に直球 タブーなし!『紙の爆弾』9月号!さよなら安倍政権【保存版】不祥事まとめ25
一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

ムエタイ1976年名勝負の両雄、シリモンコンさんと藤原敏男さんが感動再会!

藤原敏男さん(左)とシリモンコン・ルークシリパットさん(右)。両者のチャンピオンベルトはすべて御本人の名前入り、本物です。アマチュアボクシングのメダルはシリモンコンさんの物

名勝負を展開した名チャンピオン同士の戦い。シリモンコン・ルークシリパット(タイ)vs 藤原敏男(黒崎)戦はムエタイの後世に語り継がれる激闘でした。ムエタイ殿堂チャンピオンの名勝負の中に日本人が絡む試合はごくわずかな中でも、ベストファイトはこの試合しかないでしょう。

◆7月17日「ムエタイの日」、41年ぶりの両雄再会

昨年から始まり、今回で8回目となる、月刊ゴング誌・元編集長の舟木昭太郎(現・株式会社アッパー代表取締役)氏が主催する「キックボクシングを語るトークショー」のひとつ、「ムエタイの日」が7月17日(月・祝)に銀座セントポールズサロンにて開催されました。

参加者には、藤原敏男氏と対戦経験ある二人である佐藤正信氏と増沢潔氏、重量級では猪狩元秀氏、軽量級ではアトム鈴木氏、ミッキー鈴木氏のツインズ、若い世代では土屋ジョー氏、ソムチャーイ高津氏も列席されました。

ムエタイを重視する意味で催されたワイクルーを舞う土屋ジョーさん

◆伝説のムエタイボクサー、シリモンコン・ルークシリパットさん

特別ゲストで来日された伝説のムエタイボクサー、シリモンコン・ルークシリパット氏は、藤原敏男氏との再会を祝し、乾杯の音頭をとり「ムエタイの日」は開幕。
両者は1976年(昭和51年)3月8日にラジャダムナンスタジアムで、ノンタイトルで対戦。当時、シリモンコン氏はルンピニースタジアム・ライト級チャンピオン(ラジャダムナン系同級2位)、藤原敏男氏は全日本ライト級チャンピオンで、激しい攻防の末、僅差でシリモンコン氏が勝利しました。その映像もこの“ムエタイの日イベント”で上映されました。

この試合の採点は後々タイでも話題になり、「どちらが勝っていたか」の意見が盛り上がった大接戦の展開で、「引分けが妥当だったのではないか」という意見も多かった激闘でした。

引分けの少ないムエタイにおいて、珍しく引分けとなった試合は、月間ベストバウトや年間ベストバウトに選ばれる可能性が高いと言われます。それは公式記録の同点とは違う意味で“両者とも勝者”という評価の表れということです。

シリモンコン氏は「もしこの試合結果が、引分けだったとしたら、ムエタイ界において藤原もシリモンコンも、もっと高く評価されていたのではないかな。引分けだったら、この試合が私のベストバウトだったかも知れない」と話されたようです。

シリモンコン氏は現役当時に、プミポン国王からムエタイ国民栄誉賞を直々に授かっており、タイ国のスポーツ殿堂入りをも果たし、藤原敏男氏も1997年頃、ムエタイを世界に広めた功績により、タイ国のスポーツ殿堂入りしています。

シリモンコン氏はこの以前に、ルンピニー系フェザー級王座も奪取している2階級制覇チャンピオンで、藤原敏男氏はこの試合の2年後の1978年3月18日に、ラジャダムナンスタジアム・ライト級王座を奪取し、外国人初のムエタイ殿堂チャンピオンに上り詰めています。

左から藤原敏男さん、ソムチャーイ高津さん、シリモンコンさん。通訳のソムチャーイ高津さんは藤原さんの愛おしい弟分であり、シリモンコンさんともお友達、羨ましい!

◆1977年元旦の佐藤正信 vs シリモンコン戦

このイベントに参加された中の一人に第8代全日本ウェルター級チャンピオン.佐藤正信氏がいらっしゃいましたが、この二人の再会も興味深い因縁がありました。

藤原敏男戦の翌年の1977年元旦、後楽園ホールでシリモンコン・ルークシリパット(タイ)は、佐藤正信(山田)にノンタイトル戦でKO負けしており、その意外な敗北にファンも関係者も驚いた様子だったと言われます。寒い日本で体調を崩されたことが敗因と言われますが、タイでの制裁は厳しいもので、シリモンコンは王座剥奪の運命を辿ってしまいました。

続く土佐源(山田)戦にも判定負けしたシリモンコンは、これで後に控えていた藤原敏男との再戦は無くなりましたが、後々の引退後来日し、東金ジムでトレーナーを務め、越川豊選手や山崎通明選手を日本チャンピオンまで育てた功績は有名です。

佐藤正信さん、シリモンコンさん、佐藤夫人。佐藤さんへの敬意を表して最初に握手を求めたのはシリモンコンさん
藤原さん(右)は佐藤正信(左)さん、増沢潔(中央)とも対戦した戦友

またトレーナーや通訳、日本選手のタイ遠征やムエタイツアーなどの世話役で、タイと日本の関係者のパイプ役も果たし、両国の多くの関係者から尊敬されているという名誉挽回した話題もあり、シリモンコン氏の人懐っこい性格から、世代を越えて若いファンからの声援も多いようです。

ウェルター級では猪狩元秀さん(右)も現地で現役チャンピオンを倒したことがあります。毎度「荒くれ者多いキック界には珍しい人格・品格・性格No.1の猪狩元秀さん」と主催者の舟木昭太郎さんに紹介され、毎度“ひがむ”藤原さんがいます(笑)

◆藤原敏男氏のような日本人ムエタイ選手はいつ現れるのか?

こんな名勝負が行なわれていたことに当時、地方に住んでいては観れないファンも多かったでしょう。後々語り継がれる“激闘の名勝負”は、名選手同士がぶつかってこそ出来上がる名勝負となります。何十年後かに、このようなイベントが開催されて再会が出来るような感動の試合を、タイの殿堂スタジアムで展開できるか、今後そんな選手が日本で何人現れるかが、日本のキックボクシング系競技の重要な鍵となるでしょう。

ムエタイ選手に於いて、戦うのは対戦相手だけではない、レフェリーとプロモーターと、ギャンブラー(賭け屋)に好印象を与えていかわねばならないプレッシャーとの戦いが多くの名選手を生む土壌が出来上がっているタイ国です。

日本に於いて、国民栄誉賞を受けられるのはメジャー競技のスーパースター級選手でなければ有り得ないことで、日本人選手としては、タイ国のムエタイ殿堂入りを、藤原敏男氏に次ぐ選手が現れることを期待したいものです。

舟木昭太郎さん(中央)のインタビューに応じ、最後は握手する盟友

[撮影・文]堀田春樹
※以上での一部はソムチャーイ高津氏の通訳によるシリモンコン氏のコメントを引用しています。

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

ルンピニースタジアムを頂点に戦い続ける MuayThaiOpen!

センチャイ会長の若い頃(1979年)。全日本キックでトップクラスの酒寄晃と戦う
現在のMuayThaiOpenロゴ

  
Lumpinee Boxing Stadium of Japan設立会見からほぼ2年。初タイトルマッチ開催から1年が経過しました。毎度申すところ、このルンピニージャパン王座を獲得すれば「本場タイ国ルンピニースタジアムランキングに反映される」といった設立時の発表どおりなら、そんな上位王座へ突き進む進展が欲しいところです。

ルンピニージャパン(LBSJ)スーパーライト級王座決定戦は、前田将貴(RIKIX)は初回から橋本悟(橋本)と重いパンチを交錯させ、KO決着を予感させる出だしでした。偶然のバッティングによる両者の負傷はあったものの、前田の勢いは増していきパンチ連打、接近戦でのヒジ落としと攻勢が続き、橋本の負傷箇所の悪化でTKO勝利。勝利後の前田の号泣は、周囲の協力、応援は凄まじいものだったと感じられます。

周囲の練習仲間への感謝を述べた後、そんな仲間によって王座奪取に漕ぎ着けたことで「僕は本当に恵まれています。ありがとうござました」と号泣を堪え感謝を述べました。所属のRIKIX会長の小野寺力氏もそんな協力者の一人で嬉しかったことでしょう。

ムエタイオープン・バンタム級王座は、3ラウンドまでやや宮坂が蹴り勝っているかに見える展開からヒジでカットに成功したユウ・リバイバル(リバイバル)がTKO勝利。「まだまだ弱いですけど、これからも頑張っていくので応援宜しくお願いします」と締め括りました。

ムエタイオープン・ウェルター級王座を3度防衛している喜入衆(フォルティス渋谷)は在日ベテランのノーナクシンの老獪なテクニックの壁に阻まれ惜敗。

貴センチャイはガードが空くところをポンの左ヒジ打ち(と見える)カウンターを貰ってダウン。奪取した王座は多いが惜しい負け方も多いところです。

喜入衆vsK・ノーナクシン。ベテラン、ノーナクシンを倒す期待が掛かった喜入衆だが、牙城を崩せず

◎MuayThaiOpen.39 / 2017年7月9日(日)新宿フェイス16:30~20:50
主催:センチャイムエタイジム / 認定:ルンピニーボクシングスタジアムオブジャパン(LBSJ)
後援:タイ国大使館

◆メインイベント 67.0kg契約 3回戦

MuayThaiOpenウェルター級チャンピオン.喜入衆(フォルティス渋谷/38歳/66.7kg)
VS
K・ノーナクシン(タイ・サラブリ出身/35歳/66.05kg)
勝者:K・ノーナクシン / 0-2 / 主審:秋谷益朗
副審:大沢29-29. 田中29-30. 桜井29-30

◆セミファイナル バンタム級3回戦

LBSJスーパーフライ級チャンピオン.貴・センチャイジム(センチャイ/32歳/53.4kg)
VS
ポンチャンOZジム(タイ/26歳/53.35kg)
勝者:ポンチャンOZジム / 0-3 / 主審:北尻俊介
副審:秋谷28-30. 田中28-30. 桜井28-30

貴センチャイジムvsポンチャンOZジム。いつも積極性は変わらない貴センチャイだが接近戦でのガードがあまい
前田将貴vs橋本悟。ペースを握った前田将貴の攻勢
橋本悟vs前田将貴。打ち合い激しかった両者、前田の伸びるパンチが橋本悟にヒット
劣勢になった橋本悟へヒジを落とす前田将貴も必死に攻める

◆ルンピニージャパン(LBSJ)スーパーライト級王座決定戦 5回戦

MuayThaiOpenスーパーライト級チャンピオン.橋本悟(橋本/31歳/63.4kg)
VS
前田将貴(RIKIX/27歳/63.35kg)
勝者:前田将貴 / TKO 4R 1:05 / 主審:大沢武史
ドクターの勧告を受入れレフェリーストップ / 3Rまでの公開28-29. 28-30. 28-30

◆MuayThaiOpenバンタム級王座決定戦 5回戦

1位.44・ユウ・リバイバル(リバイバル/23歳/53.15kg)
VS
4位.宮坂桂介(ワイルドシーサー群馬/21歳/53.4kg)
勝者:44・ユウ・リバイバル / TKO 5R 1:25 / 主審:桜井一秀
ドクターの勧告を受入れレフェリーストップ / 3Rまでの公開29-29. 29-29. 29-30

◆70.0kg契約3回戦

エミール・ソーサ(Emile Souza/フランス/31歳/69.8kg)vs 清水武(29歳/69.5kg)
勝者:清水武 / 0-3 / 主審:田中浩明
副審:桜井29-30. 大沢28-29. 北尻29-30

これまでの道程を回想したか 歓喜の前田将貴
小野寺力会長と前田将貴。最高のツーショット

◆ライト級3回戦

笠原淳矢(フォルティス渋谷/39歳/60.9kg)vs コンゲンチャイ・エスジム(タイ/28歳/60.75kg)
勝者:コンゲンチャイ / 0-3 / 主審:秋谷益朗
副審:桜井29-30. 大沢28-30. 田中28-30

◆フェザー級3回戦

NOWAY(NEXTLEVEL渋谷/36歳/57.05kg)vs 出口優佑(AXSPEAR池袋/34歳/56.6kg)
勝者:NOWAY / 3-0 / 主審:北尻俊介 /
副審:桜井30-28. 秋谷30-27. 田中30-27

◆ルンピニージャパン(LBSJ)U-15. -45kg級3回戦(2分制)

花岡竜(橋本/13歳/43.0kg)vs 石渡悠真(チューティンムエタイ/14歳/44.8kg)
勝者:花岡竜 / 2-0 / 主審:大沢武史
副審:北尻29-28. 秋谷29-28. 田中29-29

◆ルンピニージャパン(LBSJ)U-15. -45kg級3回戦(2分制)

小宮山怜虎(尚武会/13歳/42.8kg)vs 馬場由輝(AXSPEAR池袋/14歳/43.5kg)
勝者:小宮山怜虎 / 3-0 / 主審:桜井一秀
副審:北尻30-28. 秋谷30-28. 大沢30-28

◆スーパーフェザー級3回戦

角谷祐介(NEXTLEVEL渋谷/27歳/58.7kg)vs 飯島直己(OZ/21歳/58.6kg)
勝者:角谷祐介 / 2-0 / 主審:田中浩明
副審:北尻30-28. 桜井29-29. 大沢30-28

宮坂桂介 vs 44・ユウ・リバイバル。ユウ・リバイバルが攻めるが衰えぬ宮坂桂介の前進
宮坂桂介 vs 44・ユウ・リバイバル。一進一退の展開
44・ユウ・リバイバル vs 宮坂桂介。この一撃かは微妙なところ、あと一発交差があってレフェリーが割って入る

◆ルンピニージャパン(LBSJ)U-15. -45kg級3回戦(2分制)

野口優心(京都野口/15歳/44kg)vs 永井天馬(AXPEAR池袋/14歳/44kg)
勝者:永井天馬 / 0-3 / 29-30. 29-30. 28-29

◆ルンピニージャパン(LBSJ)U-15. -40kg級3回戦(2分制)

近藤流玖(橋本/13歳/36kg)vs 吉成士門(エイワスポーツ/12歳/39kg)
勝者:近藤流玖 / 2-0 / 30-29. 29-28. 29-29

《取材戦記》

進展の無いルンピニージャパンですが、Under15に出場している45kg以下の少年たちが将来、このルンピニージャパンを経て本場に挑むなら、その選手とこのシステムに期待したいところです。

王座は獲っても返上の多いチャンピオンの中、3度防衛の喜入衆には褒めたい存在。

この興行プロモーターとなるセンチャイ・トーンクライセーン氏はかつてムエタイランカーとして1980年頃来日、全日本フェザー級チャンピオン.酒寄晃(渡辺)との対戦経験があります。ルンピニージャパンのロゴマークにある写真がその試合です。そんな若い頃は結構二枚目で日本の女性ファンも居たようです。大々的にタイボクサーがモテだしたのはナパ・キャットワンチャイが全国的に有名になりました。遡れば昭和のキックブームの頃にもそんな存在が他にも大勢居ただろうと考えられます。国際結婚に至ったケースも多いですし、そんなエピソードも聞いてみたいところです。

MuayThaiOpenの40回目を迎える興行は11月26日(日)に新宿フェイスにて開催予定です。

MuayThaiOpenの興行用横断幕

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』

MAGNUM.44 キックの原点は、「打倒ムエタイ」にあり!

ヨードヤーンガームvs江幡塁。どんな技でも倒せるひとつの試運転パンチで圧倒
ヨードヤーンガームvs江幡塁。ローキックをブロックされても問題無し

今興行テーマは「より強く」──。江幡塁、緑川創、重森陽太、喜多村誠、ラジャダムナン王座挑戦を目論む臨戦態勢の選手たち。緑川以外は挑戦経験ありますが、再度挑戦を狙う立場でもあります。「打倒ムエタイ」は選手個人の目標であり、キックボクシング発祥の老舗団体を受け継ぐ新日本キックボクシング協会の野望でもあります。

江幡塁は第1ラウンドに左ハイキックでダウンを奪い、ローキックも鋭くヒット。2ラウンドには、ヨードヤーンガームにそれまでにダメージあったか、左ローキック一発で倒し、レフェリーが即座に試合を止めました。「どんな技でもどんな相手でも倒すことができます」──。圧倒的勝利後のアピールに、いよいよ近いかと予感させる、塁にとって4年ぶりのラジャダムナン王座挑戦が見えつつあるところです。

江幡塁vsヨードヤンガーム。この左ローキックで悶絶ノックアウト
緑川創vsゲン。手応えあったと言う左右ボディブローを打つとゲンは苦痛の表情で倒れ込んだ

  

左右フックのボディブローで悶絶ノックアウトした緑川創は、8月20日の「KNOCK OUT vol.4」出場予定で、対戦相手がWBCムエタイ・スーパーウェルター級チャンピオンの宮越宗一郎(拳粋会)に決定。「70kg級ではいちばん強いこと証明します」と宣言していた緑川。宮越との対戦も過去、実現し難かった団体間の壁がありましたが、ここに来てKNOCK OUTに於いて道開けました。いずれ、一度勝利しているT-98(=今村卓也/前・ラジャダムナンSW級C)との再戦も実現すればラジャダムナンへ向けても興味ある対戦が続くでしょう。

緑川創vsゲン。KOに結び付ける上下を揺さぶるローキックの緑川
緑川創vsゲン。ボディブローは息苦しさで心折られる苦痛、とりあえずコーナーに戻ること促されます

重森陽太も鋭い右ローキック一発で仕留める圧勝。苦痛の表情で倒れ込んだタヌーペットでした。重森も「KNOCK OUTvol.4」出場予定で、話題豊富な村田裕俊との対戦が予定されており、フェザー級路線の戦いに注目が集まる存在となるでしょう。

喜多村誠は、昨年12月に緑川がKO勝利しているイッキュウサンを、終始威圧的に攻め、パンチやミドルキックのヒットでイッキュウサンをたじろがせるも返してくるイッキュウサンのしなりある蹴りに喜多村の脇腹が腫れ上がり、攻められながら凌ぎきったイッキュウサンのしぶとさもあって僅差となりましたが、キック的には喜多村誠の圧勝の流れでした。

◎MAGNUM.44 / 7月2日(日)後楽園ホール17:00~20:15
主催:伊原プロモーション / 認定:新日本キックボクシング協会

◆56.0kg契約 5回戦

WKBA世界スーパーバンタム級チャンピオン.江幡塁(伊原/55.8kg)
VS
ヨードヤーンガーム・デットラット(元・ラジャダムナン系バンタム級2位/タイ/55.6kg)
勝者:江幡塁 / TKO 2R 0:56 / ノーカウントのレフェリーストップ
主審:椎名利一

◆70.0kg契約 5回戦

緑川創(前・日本W級C/藤本/70.0kg)
VS
ゲン・ペットプームムエタイ(元・アーウナーンスタジアムSL級C/タイ/69.2kg)
勝者:緑川創 / TKO 1R 2:13 / カウント中のレフェリーストップ
主審:桜井一秀

タヌーペットvs重森陽太。重森のこのローキックで悶絶KO
タヌーペットvs重森陽太。2歩ほど後退して痛々しく倒れ込んだタヌーペット

◆59.0kg契約 3回戦

日本フェザー級チャンピオン.重森陽太(伊原稲城/58.9kg)
VS
タヌーペット・ペットプームムエタイ(タイ/58.65kg)
勝者:重森陽太 / KO 1R 1:02 / カウント中のタオル投入
主審:仲俊光

◆70.0kg契約 3回戦

喜多村誠(前・日本ミドル級チャンピオン/伊原新潟/69.7kg)
VS
イッキュウサン・ペットプームムエタイ(タイ/69.5kg)
勝者:喜多村誠 / 判定3-0 / 主審:少白竜
副審:椎名30-29. 仲30-29. 桜井29-28

イッキュウサンvs喜多村誠。喜多村の攻勢も脇腹には痛々しい腫れが残る
イッキュウサンvs喜多村誠。パンチでは負ける要素無し、喜多村の攻勢

◆68.0kg契約3回戦

日本ウェルター級チャンピオン.渡辺健司(伊原稲城/67.6kg)
VS
MA日本ウェルター級チャンピオン.為房厚志(二刀会/68.0kg)
勝者:渡辺健司 / 判定2-1 / 30-29. 29-30. 30-29.

◆53.0kg契約3回戦

泰史(前・日本フライ級C/伊原/53.0kg)
VS
森下翔平(M-BLOW/52.65kg)
勝者:泰史 / 判定:3-0 / 30-26. 30-25. 30-25.

他、6試合は割愛します。

《取材戦記》

揺るぎない新日本キックの永きテーマ、「打倒ムエタイ」に重点を置くことで、
これを目指して来ました。近年は外国人選手のラジャダムナン王座獲得が目立ちましたが、現役の中では、T-98は防衛1度、梅野源治は初防衛成らず、厳しい洗礼が待ち受けている殿堂スタジアムです。

この日勝利した4名と江幡ツインズ兄、睦を含む5名で一気に挑戦ができれば ビッグマッチとなる、そんな興味も沸く新日本キックボクシング協会へのファンの声も聞かれます。

“イッキュウサン”は日本での試合用リングネームかと思いましたが、タイでの通常のリングネームであるようです。在日タイ選手に使われることも多い、日本語混じるリングネームですが、タイ選手にはタイ現地で使っている、そこで支持を受けたリングネームの方が実績が解りやすく、本物である証明のような気がします。

しかし考えてみれば、タイは頻繁にリングネームが変えられる場合があり、日本人もタイに渡ると現地の名前に替えられたりしますので、仕方ないかと思うこともあります。

プロボクシングでさえ、勇利アルバチャコフや、グッシー・ナザロフ、マル・マトベイなど、あまり違和感無く、分かる人には分かる”日本用”リングネームがありました。

考え方が古くなると、頑固な拘りになりつつあることに気付く日々であります。という反省も心に想い、キックテーマもイッキュウサンとなって(一休みして)、タイの旅レポートに気分転換している日々となっています。

「タイは若いうちに行け」、若い選手にそんな忠告もあった昔、今や幼いうちからタイに行かせている現状も見に行きたいものです。

勝利者賞を受けて記念撮影に収まる江幡塁

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

愚直に直球 タブーなし!最新刊『紙の爆弾』8月号! 安倍晋三 問われる「首相の資質」【特集】共謀罪を成立させた者たち

神風シリーズ vol.3 NKBを背負いし者たちの戦い!

高橋一眞vs村田裕俊。村田のパンチもヒット、後に引けない両者の交錯
村田裕俊vs高橋一眞。打ち負けない我慢比べが一眞に傾く
村田裕俊vs高橋一眞。ムエタイ技でも蹴り負けなかった一眞のヒザ蹴り
村田裕俊vs高橋一眞。一眞の返し技、村田より強く蹴り返したヒザ

またも感動を呼ぶ試合を行なった高橋一家。4度目の対決となる、因縁膨らむ村田裕俊vs高橋一眞のNKBライト級王座決定戦。新人3回戦時代に2度KOで勝利している高橋一眞は、昨年4月、NKBフェザー級王座決定戦で村田に判定で敗れる失態。続けて対森井洋介戦、対鷹大戦と3連敗を喫する。その後ライト級に上げ、今年2月に洋介(渡辺)に5Rにハイキック一発KO勝利し復活を遂げるも、心理的にもライト級としての体格に於いてもまだ不安の残る状況でした。

昨年の村田裕俊は、ムエタイ修行の成果を出してチャンピオンになって以降、10月にノンタイトル戦でWMC日本同級チャンピオン.久世秀樹(レンジャー)に判定勝利、12月に優介(真門)に5R・KOでNKBフェザー級王座初防衛。更に調子を上げ、今年2月に「KNOCK OUTイベント」において実績ある森井洋介と引分ける善戦で存在感アップさせるも、4月に高橋三兄弟三男・聖人に判定で敗れる意外な敗北で評価は大きく後退。互いに階級アップしたライト級での実績不足と、それぞれの敗戦から精神的に立ち直れているか不安定な中での再戦は王座を争う戦いでもあり、それまでの展開はファンの関心を高める中、一眞が接戦の攻防を制する展開を見せました。

一旦劣勢になれば挽回は苦しくなる為、互いに打ち負けない踏ん張りが見られました。一眞はこれまでよりガードを固め、首相撲では組み負けない圧力、微妙な差でしたが、攻められても返し技が早く、一発当てた後の繋ぎ技が効果的でした。
苦戦強いられる試練が続き、一戦一戦が感動を呼ぶ三兄弟というのも注目集まる要因でしょう。

次、目指すものは「“KNOCK OUT”に出たい」と語る一眞でした。また三兄弟での同時チャンピオン君臨も近い将来の目標。「KNOCK OUTイベント」も三兄弟で同時出場できれば、それも叶わぬ夢ではない大きな目標となるでしょう。

◎神風シリーズ vol.3 / 6月25日(日)後楽園ホール17:30~21:10
主催:日本キックボクシング連盟 / 認定:NKB実行委員会

◆第15代NKBライト級王座決定戦 5回戦

NKBフェザー級チャンピオン.村田裕俊(八王子FSG/61.1kg/27歳)
VS
NKBライト級1位.髙橋一眞(真門/61.2kg/22歳)
勝者:髙橋一眞 / 判定1-2
主審 前田仁 / 副審 川上50-49. 鈴木48-49. 佐藤友章48-49

高橋一眞vs村田裕俊。一眞の前蹴りも好印象を与える
村田裕俊vs高橋一眞。多彩に攻めヒジ打ちもヒットさせた一眞
西村清吾vsチャンデー。技は健在、チャンデーの底力

◆ミドル級3回戦

NKBミドル級1位.西村清吾(TEAM-KOK/72.4kg/38歳)
VS
チャンデー・ソー・パランタレー
(元・ルンピニー系ライト級チャンピオン/タイ/70.0kg/44歳)
勝者:チャンデー / 判定0-3
主審 川上伸 / 副審 佐藤彰彦29-30. 鈴木29-30. 前田29-30

おそらく20年以上前のルンピニーチャンピオンだったチャンデーは速くて重い蹴り、ヒジ打ちと接近戦でのヒザ蹴りの上手さが目立つ。ミドル級での試合、ブランクを経た勘の鈍りはあるにしても西村を突き放すテクニックは充分でした。5回戦だったら展開は変わっていたかもしれない西村のパンチと蹴りの踏ん張りもあり、互角に近い攻防で会場を沸かせました。

チャンデーvs西村清吾。パンチしか勝機がなかった西村の反撃

◆フェザー級3回戦

NKBフェザー級2位.優介(真門/57.0kg/32歳)
VS
同級9位.坂本秀樹(大塚/56.7kg/30歳)
勝者:優介 / KO 1R 2:26 / カウント中のタオル投入による棄権
主審 佐藤友章

◆ウェルター級3回戦

NKBウェルター級4位.稲葉裕哉(大塚/66.5kg/29歳)
VS
チャン・シー(SQUARE-UP/66.6kg/33歳)
勝者:稲葉裕哉 / 判定2-0
主審 鈴木義和 / 副審 前田30-29. 川上30-30. 佐藤友章30-29

◆バンタム級3回戦

NKBバンタム級3位.海老原竜二(神武館/53.2kg/26歳)
VS
同級6位.佐藤勇士(拳心館/53.2kg/25歳)
勝者:佐藤勇士 / 判定0-2
主審 川上30-30. 前田29-30. 佐藤友章29-30

◆57.0kg契約3回戦

NKBフェザー級4位.安田浩昭(SQUARE-UP/57.0kg/30歳)
VS
NKBバンタム級1位.松永亮(拳心館/56.1kg/27歳)
勝者:安田浩昭 / TKO 2R 2:38 / カウント中のレフェリーストップ
主審 鈴木義和

他、5試合は割愛します。

元・NKBミドル級チャンピオン.若生浩次が高橋三兄弟を育てました

《取材戦記》

6月4日(日)に、興行本部長の小野瀬邦英氏が東京ドームホテルで結婚式・披露宴が行なわれました。新婦は真季さん。列席者総勢200名。梅野源治氏、小野寺力氏、かつてのライバルで、今もライバルのガルーダ・テツ氏も列席され盛大に行なわれた披露宴でした。

「やっぱりこの男強いなあ」と思ったのは、人生に於いて、私生活においていろいろ苦難が圧し掛かる中、興行を継続していくことの難しさに音を上げそうになるも、渡辺信久連盟代表から「男なら言い出したことは最後までやれ」と檄を飛ばされたことや、「苦しい時に支えてくれたのが妻・真季でした」と13分に渡る締めの挨拶の中のカッコいい言葉でした。

心が強ければ嫌でも音を上げることなく、星一徹のような頑固者の渡辺代表を越え、他団体興行に負けない、小野瀬体制興行は延々続いていくということになるでしょう。

私が、キックボクサー現役時代の試合や実績を見て、この男は引退しても次の世界で大きなことをやると予感できる選手が何人かいました。その内の一人が小野瀬邦英氏でした。SQUAER-UPジムを経営し、連盟興行本部長を務める今後もキックボクシング界を改革できる中の一人になるでしょう。

高橋三兄弟をやたら引き上げるのは、注目を浴びる三兄弟としての話題とチャンピオンを狙える強さ、彼らの素直さ、直向きさにあります。NKBに於いては彼らが必要な時代でしょう。ただこの先が順風満帆には行かない大きな壁が立ちはだかります。国内でのその壁を乗り越えた上、活性化している世界タイトルやムエタイ殿堂王座まで行けたら凄いものです。真門ジムや小野瀬氏の力も必要になりますが、この連盟の鎖国状態で過去に全く無かった飛躍をして欲しいものです。

日本キックボクシング連盟次回興行「神風シリーズvol.4」は9月23日(土)後楽園ホールにて17:30より開催されます。メインイベントはNKBミドル級タイトルマッチ、チャンピオン.田村聖(拳心館)の初防衛戦は王座決定戦で争った西村清吾(TEAM-KOK)です。過去、田村聖の1勝1分です。

NKBを背負いし小野瀬邦英の結婚式。祝福の拍手の中を歩く新郎新婦

[撮影・文]堀田春樹

▼堀田春樹(ほった・はるき)
フリーランスとしてキックボクシングの取材歴32年。「ナイタイ」「夕刊フジ」「実話ナックルズ」などにキックのレポートを展開。ムエタイにのめり込むあまりタイ仏門に出家。座右の銘は「頑張るけど無理しない」

愚直に直球 タブーなし!7月7日発売『紙の爆弾』8月号! 安倍晋三 問われる「首相の資質」【特集】共謀罪を成立させた者たち
一水会代表 木村三浩=編著『スゴイぞ!プーチン 一日も早く日露平和条約の締結を!』