吉松さんの反対尋問が続く。

◆まだ実際にはそういった脅迫等のようなことは行われていないんですね(角地山弁護士)

角地山宗行弁護士 甲17号証の5ページ上から2段落目ですね。テイラー(の発言として)「谷口が言っているのは、吉松を出したら、こういうの(スキャンダル)をマスコミに出すっていうわけ?」、松永(の発言で)「いや、そこまでは言ってないと思いますよ」という風に松永さんから先ほどあなたが発言したところによると、松永さんは谷口さんが国際文化協会に対して脅迫のようなことをしているとおっしゃっていますが、ここで松永さんは明確に否定しているんじゃないですか?

吉松育美 このあと、今、弁護士さんが拾った行の一番最後には「まだね」という表現をしていますし、また、他にも「今後、どのようなことが起こるか分からない」と(いう発言があります)、要は「この先、何が起きるか分からない」という恐怖、そして心配というのを、谷口さんが電話していることによって感じているわけです。ここではもちろん否定しています。というのは、私を目の前にしてそういうことを言えるわけがない。でも、国際文化協会としては「そこまでは言っていませんよ、まだね」という、今後、危険な行為が行われる可能性が高い、もしくは私が危険な行為になる、もしくは国際文化協会が運営するミス・インターナショナル大会に影響が出る恐れがあるというのを想定してこういう発言をしているんです。

角地山宗行弁護士 ですが、まだ実際にはそういった脅迫等のようなことは行われていないんですね。

日本外国特派員協会での吉松育美さん記者会見(FCCJ公式チャンネル2013年12月16日公開)

吉松育美 さっきも言いましたように……。

角地山宗行弁護士 いや、行われているか行われていないかを聞きたいんです。

吉松育美 「まだ」というのは……。

角地山宗行弁護士 もう、いいです。

角地山宗行弁護士 乙2号証3ページを示します。3ページの4段落目。「吉松さんの日本代表時点での発言に一部不誠実な対応があったことや(中略)自粛をしていただくことを決めました」という風に記載されています。ここで、あなたが国際文化協会に対して不誠実な対応をしたのではないですか?

吉松育美 ありません。

角地山宗行弁護士 あなたがとっていないと思ったとしても国際文化協会の方が不誠実な対応だと感じるようなことがあったんじゃないですか?

吉松育美 ありません。また、国際文化協会がそういうこ(不誠実な対応があった)と言うのであれば、その時点で私に注意が来るはずです。でも、今まで国際文化協会からは具体的に注意を受けたことはありません。

◆スキャンダルを探す目的というのはあなたの推測ではないですか?(角地山弁護士)

角地山宗行弁護士 次に行きます。あなたはあなたのスキャンダルを探す目的で谷口さんが探偵に調査を行なったと主張されていますね。甲33と34。これはあなたが提出した証拠ですね。あなたはこの証拠を西川先生が裁判所に提出したということをご存じですか? この証拠がテイラー氏に対する動産執行の資料として裁判所に提出されたことはご存じですか?

吉松育美 はい。

角地山宗行弁護士 甲33号証の調査対象には何と記載されていますか?

吉松育美 調査対象、氏名、マット・テイラー氏。

角地山宗行弁護士 次に調査事項のところには何と記載されていますか?

吉松育美 マット・テイラー氏の活動拠点確認。

角地山宗行弁護士 この行動調査報告書によると、調査対象はマット・テイラーとなっていまして、この資料が提出されたのは、動産執行の資料として提出されているんですけども、ということであれば、スキャンダルを探す目的というのはあなたの推測ではないですか?

吉松育美 先程も、おっしゃったように調査対象はあくまでマット・テイラーと書かれています。ですが、谷口さんは本当に純粋な気持ちでマット・テイラー氏だけの活動拠点を知りたいと思うのなら、この報告書の添付されている写真に私だけを写した写真を4枚も撮っています。それは写真の証拠を見ていただければ分かると思うのですが、写真のナンバー12、ナンバー11、そして、36、44番は、マット・テイラー氏だけではなく私だけをターゲットに写真の記録を残しています。また、この報告書の……。

角地山宗行弁護士 あ、もう結構です。

吉松育美 ……3ページ目を見ていただければ分かると思いますが、この探偵はマット・テイラー氏の隣にいる一女性(吉松育美と思われる人物がいる)と書かれています。つまり、その探偵は事前に谷口さんから吉松育美がいるという情報を……。

角地山宗行弁護士 もういいです。結構です。あなたはあなたのスキャンダルを探す目的で動産執行が行われたと主張していますね。

吉松育美 私のスキャンダルを探す目的で動産執行が行われたということではなく、探偵の方が私のスキャンダルを探す目的で……。

角地山宗行弁護士 ブログではそう書いてないですか?

吉松育美 ……。

角地山宗行弁護士 乙10号証(吉松育美オフィシャルブログ記事)を示します。あなたは動産執行について、下から3段落目、「しかし、テイラー氏との問題を理由にあげても不動産執行は法的にも不可能であることを知った彼は、次に動産執行という手を使って執行官に嘘を付き私の自宅を調べたのです」という風に記載されています。

吉松育美 これは事実だけを述べたものであって、決してこの一文が谷口さんが動産執行に動いたのは私のスキャンダル目的でという主張にはならないですね。これは事実をただ私が淡々と述べているだけです。

角地山宗行弁護士 ですが、この内容からすると、谷口さんはマット・テイラーだけでなく、あなたの自宅を調べるために動産執行を行なったように読めるんですけど。

吉松育美 それは読者によっては弁護士さんのようにそういう風な受け取り方をされる方もいるでしょうし、私のようにこれは淡々とまあ事実通り言っただけだと受け取る方もいるでしょうし。

◆被告の社会的評価を低下させようとしてストーカーと呼んだのですか?(角地山弁護士)

角地山宗行弁護士 次に、あなたは「ストーカーゼロ 被害者が守られる社会を」というキャンペーンを立ち上げています。では、ストーカー規制法についても結構、勉強されたのでしょうか?

吉松育美 はい、当時はしました。

角地山宗行弁護士 ストーカー規制法の対象が恋愛感情を充足する目的の行為に限定されることはご存じですか?

吉松育美 はい。警察には同じようなことを言われました。

角地山宗行弁護士 外国人記者クラブで記者会見をする前にあなたは被告がストーカーであるという被害届を警察に出しましたか?

吉松育美 はい、出しました。

角地山宗行弁護士 あなたは谷口氏があなたに対し恋愛感情を抱いていると思いましたか?

日本外国特派員協会での吉松育美さん記者会見(FCCJ公式チャンネル2013年12月16日公開)

吉松育美 それは谷口さん本人に聞いていただかないと。私が抱くことではないので、谷口さんに聞いてください。

角地山宗行弁護士 谷口さんはストーカー規制法のストーカーにあたりますか?

吉松育美 法律では分かりませんが……。

角地山宗行弁護士 そこまで。警察がこの件に関して捜査を開始しましたか?

吉松育美 受理してもらえませんでした。

角地山宗行弁護士 なぜ受理してもらえなかったのですか?

吉松育美 その当時は管轄が違うという別の理由をつけて受理できないと言われました。

角地山宗行弁護士 あなたと被告が恋愛関係にないのでストーカーにはならないというふうに説明されたのでは?

吉松育美 ストーカー規制法にはあたりません。法律にあたらないと言われました。

角地山宗行弁護士 あなたは記者会見で何回ぐらい被告のことをストーカーと呼びましたか?

吉松育美 覚えていません。

角地山宗行弁護士 覚えてないぐらい多数回言っているということですか? あなたは警察から被告がストーカーにあたらないと認識しながら、被告のことをストーカーと呼んだのですか?

吉松育美 ストーカー規制法には彼の行為は今の日本の法律ではあてはまりませんが、辞書でストーカー行為、ストーカーと見ると、それは他人が恐怖を感じるつきまといと出てきます。まさに彼のやった行為というのはストーカーにあてはまります。ただ、やった行為は今の日本の社会では法律にあてはまらないという弁護士さんと私の認識の違いがあるのかなと思います。

角地山宗行弁護士 警察から被告はストーカーにはあたらないと説明されながら、被告の社会的評価を低下させようとしてストーカーと呼んだのですか?

吉松育美 違います。私がこのようにやっているのは、谷口さん個人に対する怒り、もしくは憎しみからやっているのではありません。もしそのようにやっているのであれば仮処分の時点で私は谷口さんと和解をしています。でも、ここまで裁判所に来て闘っているのは、先程も言いましたように私のように、ストーカー規制法にあてはまらない、そして理不尽な理由で泣き寝入りをせざるを得ない多くの女性、被害者がたくさんいると知ったので私は発言をしたら声を聞いてくれる人たちがいる、その女性、被害者の思いを背負ってここまでやっているのです。(続く)

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◎《脱法芸能41》「美の女王」吉松育美VSケイダッシュ谷口元一裁判(1)
◎《脱法芸能42》「美の女王」吉松育美VSケイダッシュ谷口元一裁判(2)
◎《脱法芸能43》「美の女王」吉松育美VSケイダッシュ谷口元一裁判(3)
◎《脱法芸能44》吉松育美VS谷口元一裁判(4)マット・テイラー氏とは何者か?
◎《脱法芸能45》吉松育美VS谷口元一裁判(5)『週刊新潮』記事と谷口氏の影響力
◎《脱法芸能46》吉松育美VS谷口元一裁判(6)角地山弁護士による反対尋問
◎《脱法芸能47》吉松育美VS谷口元一裁判(7)角地山弁護士による反対尋問

▼星野陽平(ほしの ようへい)
フリーライター。1976年生まれ、東京都出身。早稻田大学商学部卒業。著書に『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)、編著に『実録!株式市場のカラクリ』(イースト・プレス)などがある。

芸能界の歪んだ「仕組み」を解き明かす!『芸能人はなぜ干されるのか?』

吉松さんの反対尋問(谷口氏側弁護士からの質問)が始まった。
質問に立つのは、ひと頃、過払い金の返還請求訴訟で有名だったITJ法律事務所の角地山宗行弁護士、池田尚弘弁護士、戸田泉弁護士の3名だ。

◆あなたが思っている根拠はお父様のお話だけですか?(角地山弁護士)

日本外国特派員協会での吉松育美さん記者会見(FCCJ公式チャンネル2013年12月16日公開)

角地山宗行弁護士 角地山から質問します。あなたは先程、西川先生からの質問で久光製薬との破談になった件について、谷口氏が久光製薬の関係者に対して悪い噂を流したとおっしゃいましたね。実際に谷口氏が久光製薬の誰に対して言ったのですか?

吉松育美 谷口氏と私の父親の電話の録音記録を聞いてもらえれば分かると思いますが、テイラー氏の悪い噂が会長のもとに入っていますよと言っていますので、私の認識では、久光製薬の中冨会長、また、代理店からも連絡があったと谷口さんは私の父親に対して話していたので、もちろん電通にも流していると思います。

角地山宗行弁護士 久光製薬、電通、もしくは広告代理店の方からそのような話を聞いたことがありますか?

吉松育美 聞いたことはありません。

角地山宗行弁護士 では、その谷口氏が中冨会長とかに悪い噂を流したと、あなたが思っている根拠はお父様のお話だけですか?

吉松育美 父親の話だけではなく、それは本人(谷口氏)が私の父親に対して説明していることです。

角地山宗行弁護士 しかし、谷口さんが久光製薬の関係者に対して悪い噂を流しているといったようなことを自ら認めたといった事実はないんです。

吉松育美 私はそのように確認したことはございませんが、ミーティングの中で「谷口元一さんの妨害が怖い」、破談になった一番の原因は、谷口元一さんである、ということを久光製薬、あるいは電通の方から聞きました。

◆実際に妨害があったとは言ってなくて、妨害が怖いと言っているだけということですね(角地山弁護士)

日本外国特派員協会での吉松育美さん記者会見(FCCJ公式チャンネル2013年12月16日公開)

角地山宗行弁護士 電通の方は、妨害が怖いと言っているだけで、実際に妨害があったといったようなことは言ってないんですね。

吉松育美 時系列を簡単に言いますと、2012年10月……。

角地山宗行弁護士 質問に答えてください。久光製薬の方は、実際に妨害があったとは言ってなくて、妨害が怖いと言っているだけということですね。

吉松育美 私が久光製薬さんから言われてことは、谷口さんの妨害が今後あるかもわからないので、吉松さんとの契約はできないと言われました。ですが、久光製薬の会長がじきじきにお願いされて、また、あそこの形まで契約書が完成してハンコ待ちの状態になって、90%はゴーサインが出ている。
しかし、谷口さんが父親に電話をして、そのようなことがあるといったように聞いています。ちょうど同じようなタイミングで谷口さんが動いたのか分かりませんが、偶然の一致で話が伸びに伸びて、会長とお会いして10ヶ月も後になって、契約が破談になったのはそれは容易に想像できると思います。

角地山宗行弁護士 谷口さんがトラブルを起こすかもしれないということ以外にこの契約が破談になる理由の説明はありましたか?
(甲13号証に)「……新商品の遅れがあるとか、インターネット上での風評とか、吉松さんとの活動方針が違う……」とありますが、こういったことが総合的に理由があって、久光製薬の契約が破談になったということではありませんか?

吉松育美 違います。

角地山宗行弁護士 なぜそう思いますか?

吉松育美 先ほどの資料を見せていただいていいでしょうか? 当時、私が電通の方に情報をいろいろ流せないというのは、谷口さんからの妨害行為が家族にも以前から積み重なってきた時期でもあるので、そういった私がどこにいる、どういう風に何をしているのかという情報を流してしまうと、私の身に危険が生じるのではないかと思い、私は自らエージェントでありますテイラーにお願いして私の行動というのをあまり流さないでほしいと。そして電通さんはそれも理解した上で話は進んでいました。また、ネットにはもちろん噂、嘘、本当、あると思います。ですが、久光製薬さんはいろいろな有名なタレントさんを扱っています。なので、そういったことを崩していくと、最終的に電通さんの口から言ったことは、やっぱり一番気になるのは、谷口さんからの妨害行為になります、というところで、話し合いは終わった。

角地山宗行弁護士 いくつかの理由があるというのも事実ですね?

吉松育美 それは広告代理店が必死に他の理由で私に降りてもらおうとしたことが原因だと思います。

◆(平山さんは)明確に谷口さんからあなたの世界大会の出場自粛を求められたことはないとおっしゃってますけども(角地山弁護士)

日本外国特派員協会での吉松育美さん記者会見(FCCJ公式チャンネル2013年12月16日公開)

角地山宗行弁護士 ミス・インターナショナルの世界大会の実情についてお聞きします。国際文化協会の平山さんという方は、谷口さんと会ったことがあるけれども、松永さんという方は谷口さんとは会ったことがない、ということはご存じですか?

吉松育美 はい。

角地山宗行弁護士 ミス・インターナショナルの主催者である国際文化協会も平山さん、直接谷口さんとやり取りをした方ですけど、その方は陳述書の中で明確に谷口さんからあなたの世界大会の出場自粛を求められたことはないとおっしゃってますけども、あなたは国際文化協会の平山さんに対して谷口さんからこういった情勢があるということを確認したことはありますか?

吉松育美 ありません。ですが、松永さんのミーティングの中で松永さんは谷口さん本人から電話がかかっている、その電話は平山さんにかかってきて、本人曰く、私のスキャンダルがある、場合によっては、それを出してくるみたいな話が起こっているのでこちらとしては国際文化協会としては非常に心配しているよ、ということを伝えられました。芸能界では谷口元一さんもしくは谷口さんの会社であるケイダッシュというのは、反社会組織と深い関わりがあると言われています。なので、もちろん、松永さんが言った、心配している、スキャンダルが出てしまう、妨害される、何されるか分からないという風に一般の方に恐怖を与えてしまうというのは、簡単に想像ができるんですが、谷口さんというのは一般の男性が普通に電話をかけるのとはわけが違う。なので、平山さんが直接そのようなことを言っていなくても、ミス・インターナショナル、国際文化協会側としては谷口さんからの電話、そしてケイダッシュが動いているということになると、どうなるか怖いので自粛してくださいと、私は言われました。(続く)


◎[参考動画]日本外国特派員協会での吉松育美さん記者会見(日本外国特派員協会=FCCJ公式チャンネル2013年12月16日公開)

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▼星野陽平(ほしの ようへい)
フリーライター。1976年生まれ、東京都出身。早稻田大学商学部卒業。著書に『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)、編著に『実録!株式市場のカラクリ』(イースト・プレス)などがある。

◎《脱法芸能41》「美の女王」吉松育美VSケイダッシュ谷口元一裁判(1)
◎《脱法芸能42》「美の女王」吉松育美VSケイダッシュ谷口元一裁判(2)
◎《脱法芸能43》「美の女王」吉松育美VSケイダッシュ谷口元一裁判(3)
◎《脱法芸能44》吉松育美VS谷口元一裁判(4)マット・テイラー氏とは何者か?
◎《脱法芸能45》吉松育美VS谷口元一裁判(5)『週刊新潮』記事と谷口氏の影響力
◎《脱法芸能46》吉松育美VS谷口元一裁判(6)角地山弁護士による反対尋問

◎《脱法芸能36》宮根誠司──バーニングはなぜミヤネ独立を支援したのか?
◎《脱法芸能37》『あまちゃん』能年玲奈さえ干される「悪しき因習」の不条理
◎《脱法芸能38》音事協の違法性──芸能界が「独占禁止法違反」である根拠
◎《脱法芸能39》叶姉妹──芸能界に蔓延する「枕営業」という人身売買
◎《脱法芸能40》安室奈美恵「移籍劇」は芸能界決壊への「パンドラの箱」を開いたか?

芸能界の歪んだ「仕組み」を解き明かす!『芸能人はなぜ干されるのか?』

吉松育美写真集「Hollywood Debut」より(2013年IY GLOBAL, LLC)

吉松育美対谷口元一裁判の証人尋問の様子を続ける。吉松さんの訴訟代理人である西川紀男弁護士による吉松さんへの質問が続く。

西川紀男弁護士 『週刊新潮』についてお聞きしたい。『週刊新潮』があなたの佐賀のテレビとか、妨害したということはありましたか?

吉松育美 ありました。

西川紀男弁護士 『週刊新潮』による妨害は、谷口さんの影響があったといえるのでしょうか?

吉松育美 まず、『週刊新潮』の記事を見てみると、谷口さんが依頼した探偵の報告書がそのまま出ています。

西川紀男弁護士 先ほどの甲34号証の写真を見ますと、11枚の写真に世界核兵器解体基金という募金箱があるという内容を『週刊新潮』が全部、使っているんですね。それから、谷口さんが1ヶ月ぐらい前に週刊誌の記事の内容を知っていたということもあったとおっしゃいましたね。

(ここで、谷口氏の代理人より、「異議、本人はそのようなことを言っていません」という申し立てがあった)

――(国際文化協会の)平山さんの陳述書の中で2013年10月2日に会ったと言ってますね。その時に「(吉松さんのスキャンダルが)マスコミに出るよ」という話がありますが、その記事というのはいつごろ出たんですか。

吉松育美 11月14日発売の『週刊新潮』で出ました。

西川紀男弁護士 今、育美さんがおっしゃった『週刊新潮』の記事というのは、甲第14号証ということですね? これが133ページの11月14日発売の『週刊新潮』の記事。

吉松育美 これをもってどうして谷口さんが裏で動いた『週刊新潮』が出たのかといいますと、先ほどのミス・インターナショナル、国際文化協会の平山さんの陳述書の中で、谷口氏は11月14日発売の『週刊新潮』が出る1ヶ月も前、10月2日に面会をしています。面会の内容は谷口さんが、マスコミに私と谷口さんとマット・テイラーの事件を取り扱う上で、もしかしたら国際文化協会や吉松育美さんの名前が出るかもしれません、ご迷惑をおかけしますという内容で平山さんに接触しています。
つまり、谷口さんが(『週刊新潮』の記事の内容を)把握していたということ、谷口さんが話していた内容の記事、そのものが『週刊新潮』に1ヶ月後に出たので、その時点で『週刊新潮』の記事を把握していたということになります。しかし、谷口さんは週刊誌の人間でもなければ、まったく関係のない外部の人間であり、そこまでの情報を把握できるということは、つまり週刊誌の記者、または週刊誌ととても身近な存在である、影響を与えることができる存在であるということが容易に想像できます。

西川紀男弁護士 IYグローバル、つまり、あなたの会社に対する谷口さんのももろもろの行為、あるいは近所における探偵と称する者の行為については陳述書であなたがおっしゃっているとおりということですね。

吉松育美 異議ありません。

(これより、弁護士が西川洋司弁護士に交代して、いくつか補足質問を始めたが、その中から1つだけ抜粋する)

西川洋司弁護士 ミスジャパン時代に中国からの帰国が遅れたということですが、この点は文化協会は納得されていましたか?

吉松育美 はい。もともとこのアクシデントというのは、私が世界一になった後のことではなく、ミスジャパン時代のことです。また、ミスではないんですが、台風の影響で日本に帰国できなかった大変申し訳ありませんでしたということを当時の私が所属していた事務所の社長、仕事に関わったスポンサーの会長、じきじきに国際文化協会の会長にお会いして報告書も出して、話は丸く収まっているんです。なので、陳述書で(国際文化協会の)松永さんが主張しているような私の意思で仕事をやりたくないからといって、キャンセルしたという事実は一切ありません。

西川洋司弁護士 もし、文化協会が納得していなければ、世界大会に出場というのはどうなっていましたか?

吉松育美 本当に問題であれば、世界大会への出場すらできなかったと思います。

2015年11月20日付吉松育美さんFacebookより

以上で吉松さんへの主尋問(吉松さん側弁護士からの質問)は終了となった。次回より、反対尋問(谷口氏側弁護士からの質問)の様子を伝える。(続く)

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◎《脱法芸能43》「美の女王」吉松育美VSケイダッシュ谷口元一裁判(3)
◎《脱法芸能44》吉松育美VS谷口元一裁判(4)マット・テイラー氏とは何者か?
◎《脱法芸能45》吉松育美VS谷口元一裁判(5)『週刊新潮』記事と谷口氏の影響力

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◎《脱法芸能36》宮根誠司──バーニングはなぜミヤネ独立を支援したのか?
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◎《脱法芸能40》安室奈美恵「移籍劇」は芸能界決壊への「パンドラの箱」を開いたか?

芸能界の歪んだ「仕組み」を解き明かす!『芸能人はなぜ干されるのか?』

 

前回までにお伝えした吉松育美対谷口元一裁判の証人尋問でたびたび登場するマット・テイラーという人物について説明をしたい。

◆「川田亜子さんの死の謎を知るアメリカ人」として紹介されたテイラー氏

吉松育美写真集「Hollywood Debut」(2013年IY GLOBAL, LLC)

そもそも、テイラー氏が日本のマスコミで注目されたのは、2008年5月に元TBSアナウンサー、川田亜子さんが練炭自殺した事件だった。テイラー氏は、川田さんの「最後の恋人」とされ、川田さんの死の謎を知るアメリカ人として紹介された。

報道志望だった川田さんは2007年11月ごろ、世界核兵器解体基金という財団の代表を務め、核兵器廃絶を訴える平和活動家だったテイラー氏と知り合い、意気投合したという。当時、テイラー氏は核廃絶を祈る日本人僧侶らを追ったドキュメンタリー映画『GATE』の監督として製作を進めていたが、川田さんもこれにボランティアスタッフとして関わり、試写会の司会を務めたいと希望していたが、それが叶うことはなかった。

◆谷口氏に約1億円の損害賠償を請求する裁判を起こしたテイラー氏

川田さんは、2007年3月にTBSを退職し、大手芸能事務所ケイダッシュ所属のフリーアナウンサーとなったが、筆者がテイラー氏に取材したところ、そのきっかけとなったのが谷口氏との関係だったという。

川田さんを見初めた谷口氏はケイダッシュへの移籍を求め、川田さんもこれを受け入れた。交際を始めた2人はやがて婚約し、パリに旅行に行った。この時の旅行で谷口氏は自分の秘密を打ち明けた。これを聞いた川田さんは、谷口氏に強い不信感を持ち、婚約を破棄し、別れようとしていたという。

その後、川田さんはテイラー氏と知り合い、深い関係になっていった。だが、谷口氏は2人を許さなかった。

雑誌に川田さんのスキャンダル記事が掲載され、テイラー氏が製作を進めていた映画にも妨害があったという。

そして、2008年5月25日、川田さんは港区海岸の路上に駐車してあった車の中で倒れているところを発見され、死亡が確認された。

川田さんの死後、テイラー氏は、「川田さんの自殺事件の真相を明らかにする」として谷口氏に約1億円の損害賠償を請求する裁判を起こした。

テイラー氏は、谷口氏が「テイラーは詐欺師だ」と触れ回った結果、公開が中止に至ったと主張していたが、谷口氏は逆に「テイラー氏は、ロシアの核兵器解体現場を撮影させると約束し、1000万円を受け取ったのに、撮影は実現しなかった」として反訴した。テイラー氏は、谷口氏か返還を求めた1000万円について「NGOの趣旨に賛同した谷口からの贈与である」と主張したが、結局、この裁判でテイラー氏は敗訴し、1000万円の支払いが命じられた。

◆吉松さんのトラブルの背景に見え隠れする谷口氏とテイラー氏の対立

その後、吉松さんと谷口氏の間にトラブルが発生すると、谷口氏は吉松さんと近いテイラー氏に対してプレッシャーをかけようとしたのだろうか、先述した裁判で生じた債権が回収できていないとしてテイラー氏に対して破産を申し立てたのだった。

この時、テイラー氏は谷口氏に分割での支払いを申し出て、話はまとまりかけたが、2013年3月、谷口氏は土壇場になって1000万円の返還に加え「吉松育美の個人保証と権利」を条件とすることを提案した。テイラー氏は「吉松さんはこの件と関係がない」として、谷口氏からの提案を拒否して破産を受け入れると主張。すると、谷口氏は一転して破産申立自体を取り下げたのだった。

以上述べたように、吉松さんと谷口氏のトラブルの背景には、自殺した川田亜子さんをめぐる谷口氏とテイラー氏の対立があったのである。

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◎《脱法芸能41》「美の女王」吉松育美VSケイダッシュ谷口元一裁判(1)
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▼星野陽平(ほしの ようへい)
フリーライター。1976年生まれ、東京都出身。早稻田大学商学部卒業。著書に『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)、編著に『実録!株式市場のカラクリ』(イースト・プレス)などがある。

◎《脱法芸能36》宮根誠司──バーニングはなぜミヤネ独立を支援したのか?
◎《脱法芸能37》『あまちゃん』能年玲奈さえ干される「悪しき因習」の不条理
◎《脱法芸能38》音事協の違法性──芸能界が「独占禁止法違反」である根拠
◎《脱法芸能39》叶姉妹──芸能界に蔓延する「枕営業」という人身売買

芸能界の歪んだ「仕組み」を解き明かす!『芸能人はなぜ干されるのか?』

前回に引き続き、吉松育美対谷口元一裁判の証人尋問の模様をレポートする。

吉松育美さん記者会見動画より(日本外国特派員協会公式チャンネル2013年12月16日公開)

◆久光製薬との広告契約が合意直前で流れた原因

西川紀男弁護士 育美さんと久光製薬との広告契約についてのお話をお聞きしたいです。久光製薬とのCM出演の話は、育美さんと久光製薬の本社が同郷だということで出てきたんでしょうが、いつごろから?

吉松育美 私が世界一になったわりとすぐ後、2012年年末に、地元でパーティーがあったんですが、その時、久光製薬の中冨(博隆)会長から直々に「CMの話を考えているからね、よろしくね。こういう商品だから使ってみてね」と商品まで一緒に渡されて、CM出演を直接、依頼されました。

西川紀男弁護士 その話は結局だめになったんですよね? 原因は?

吉松育美 原因は谷口元一さんが妨害したからです。

西川紀男弁護士 どういう妨害ですか?

吉松育美 久光製薬や電通などに私の悪い噂を流しました。

西川紀男弁護士 甲第31号証を示します。ここに広告出演契約書とあります。それはいつごろ、渡されましたか?

吉松育美 これを渡されたのは、2013年の6月になります。

西川紀男弁護士 そういうドラフトが出てくるということは、交渉の進展というのはどの程度のものでしょうか?

吉松育美 このようなドラフトができあがっているというのは、つまり、ハンコ待ち、90%は交渉が成立していたということだと思います。

西川紀男弁護士 金額はいくらでしたか?

吉松育美 3000万から5000万円。

西川紀男弁護士 そういうことで、合意といってもいいですか?

吉松育美 はい。

西川紀男弁護士 久光製薬と電通、あなたたちとの話し合いがあって、2013年8月28日ごろ、だいたいダメなんだという結論が出ているんですよね。

吉松育美 私が知ったのは9月10日のミーティングです。久光製薬の方から、社内と電通で吉松育美さんのCMをやめようという意見が出てきたとのことでした。

西川紀男弁護士 久光としては何を一番恐れたのか?

吉松育美 それは谷口さんからの妨害を一番気にしていました。

西川紀男弁護士 妨害というのは?

吉松育美 私が久光さんと契約をした後、久光さんのイメージ、またはブランドイメージに影響するようなスキャンダルだったり、悪いことが起きるのではないかということを心配していました。

西川紀男弁護士 それはマットさんとあなたの関係を公にするということですね。別に何もないんでしょうが、そういう話が谷口さんからあった?

吉松育美 久光製薬の方からは直接そのような話は聞いていませんが、谷口さんはこれまで私の父親に対しても「(育美さんは)テイラーさんと同棲しています。探偵を雇ったので、写真もあります。ミス・インターナショナルを運営している国際文化協会の事務局にも育美さんとテイラーさんが同棲していることを示すスキャンダル記事があります。場合によっては、それを出すみたいな話が起きているんですよ」と国際文化協会の松永さんからも言われました。また、『週刊新潮』の記事の中にも私とテイラーさんが一緒に住んでいるかのような表現があったので、谷口さんの言う私のスキャンダルというのは、テイラー氏と同棲していることだと思います。

西川紀男弁護士 そういう同棲とかそういう事実はまったくないんですね?

吉松育美 まったくないです。

◆体調不良で辞退してくださいと国際文化協会の方から……

西川紀男弁護士 あなたは2012年のミス・インターナショナルだから、2013年の新しいミス・インターナショナルのクラウンプリンセスができれば、新しいミスに王冠やガウンを着せるという役目があなたにはあったわけですよね。それはあなたにとっては大変名誉なことなのに、それができなくなったということでよろしいですか?

吉松育美 (言葉に詰まって)ごめんなさい。悲しいことなので……。谷口さん本人からミス・インターナショナルのスポンサーであるミスパリの方にガンガン連絡が来ている。ケイダッシュの谷口さんが動いているとなると、今後、スキャンダルが2番手、3番手出るか分からない。だから、吉松さんは体調不良で辞退してくださいと国際文化協会の方から……。

西川紀男弁護士 体調不良を理由に休んでくれということを言われたということですね? あのヒラヤマさんとか、マツナガさんたちの陳述書の中には、育美さんの不誠実な対応があるとか、仕事をしなかったとかいうような文言が入っていますが、その点については?

吉松育美 そういう事実はまったくありません。

西川紀男弁護士 中国から帰ってくるのが遅れて仕事ができなかったというようなことがあったようですけど、それはどういう原因なんですか?

吉松育美 ミス・ジャパン時代なんですけど、中国から日本に帰ってくる前に台風の影響で乗り継ぎが遅れてしまって、日本に帰国することが遅れたために、仕事をまっとうすることができませんでした。

西川紀男弁護士 私が先ほど、「同棲とかそういうことはないですね」とお伺いしたら、「ありません」と、あなたはきっぱりと否定した。ところが、谷口さんの方で調査されている行動調査報告書、甲第33号証、甲34号証、これらを示します。これを見ると、「一緒に家に帰ってくる」「9時以降は全然外に出なかった」という報告書なんです。ということは、ずっと2人がそこにいたということにはなりませんか。

吉松育美 なりません。まず、8月25日、探偵の方が調査を行ったことですが、9時以降もテイラー氏と私が同じ部屋で出てこなかったという報告がありますが、それは事実と異なります。

西川紀男弁護士 テイラーさんは出て行ったのですか?

吉松育美 はい。その日は、テイラーはレンタカーを借りていました。なので、私も一緒に帰宅し、レンタカーで私を降ろしてそのままその足でレンタカーを返しに行っています。なので、レシートを見ていただければ分かると思いますが、

西川紀男弁護士 今、おっしゃったレシートというのは、甲第35号証ということですね。そのレンタカーの実着日というのが8月25日日曜日8時44分ですね。8時44分にはレンタカーを返しに行っている。逆算すると、家には確実に8時44分前に出なければいけないので、その報告書というのは、デタラメな報告書です。(続く)

○吉松育美さん公式サイト=http://ikumiyoshimatsu.com
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○吉松育美さんYouTube=http://www.youtube.com/user/yoshimatsuikumi


◎[参考動画]吉松育美さん記者会見(日本外国特派員協会=FCCJ公式チャンネル2013年12月16日公開)

◎《脱法芸能41》「美の女王」吉松育美VSケイダッシュ谷口元一裁判(1)
◎《脱法芸能42》「美の女王」吉松育美VSケイダッシュ谷口元一裁判(2)
◎《脱法芸能43》「美の女王」吉松育美VSケイダッシュ谷口元一裁判(3)

▼星野陽平(ほしの ようへい)
フリーライター。1976年生まれ、東京都出身。早稻田大学商学部卒業。著書に『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)、編著に『実録!株式市場のカラクリ』(イースト・プレス)などがある。

◎《脱法芸能36》宮根誠司──バーニングはなぜミヤネ独立を支援したのか?
◎《脱法芸能37》『あまちゃん』能年玲奈さえ干される「悪しき因習」の不条理
◎《脱法芸能38》音事協の違法性──芸能界が「独占禁止法違反」である根拠
◎《脱法芸能39》叶姉妹──芸能界に蔓延する「枕営業」という人身売買
◎《脱法芸能40》安室奈美恵「移籍劇」は芸能界決壊への「パンドラの箱」を開いたか?

芸能界の歪んだ「仕組み」を綿密に解き明かしたタブーなき傑作ノンフィクション『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社2014年5月13日刊)

 

前回に引き続き、吉松育美対谷口元一裁判の証人尋問の模様をレポートする。
吉松さんの訴訟代理人である西川紀男弁護士が日本テレビ内での谷口氏と吉松さんのやりとりについて質問が続く。

理不尽に負けない生き方。(2015年10月13日付吉松育美FBより)

◆私は会いたくないと言いました

西川紀男弁護士 (谷口氏から)あなたに対する暴行はありませんでしたか?

吉松育美 ありました。生放送の番組が終わった後、スタッフの誘導により、私は控室に行きました。でも、そのすぐ後ろに本来ならば、付き添いであったテーラー氏が私のすぐ後ろにいなければならないのに、彼を無理やり押しのけて(谷口氏が)私の方に近づいてきて、控室まで追いかけてきました。そして私は控室に怖くなって入った瞬間に後ろから谷口さんが右腕をつかみ、私を控室から連れだそうとしました。

西川紀男弁護士 その前に確認したい。甲38号証を示します。これは星野陽平さんの『芸能人はなぜ干されるのか?』という本なんですが、最後の「あとがきにかえて――」というところで、石井さん、ご存じですか? (K-1の)石井館長。その石井さんが「われわれが日本の芸能界の掟を決めている。芸能の仕事をしたければ、バーニングプロダクションの周防郁雄社長の許しを得なければならないと諭した」とありますが、これは事実ですか?

吉松育美 はい。

西川紀男弁護士 で、その次に308ページ下の段落に自分と周防の親しい友人であるケイダッシュの幹部、谷口元一と面会することを求めたとありますが、これも事実ですか?

吉松育美 事実です。

西川紀男弁護士 で、面会するように求めたことに対してあなたは拒否されたということで、いいんですね。

吉松育美 私は会いたくないと言いました。(中略)

◆とても怖いし、どんな手を使ってでも、人を追い詰めてくるようなという印象がありました

西川紀男弁護士 最初に初めて谷口さんと会われた時に、谷口さんがどういう方か、あなたは知っていた?

吉松育美 面識はありませんでしたが、噂は聞いていました。とても怖いし、どんな手を使ってでも、人を追い詰めてくるようなという印象がありました。

西川紀男弁護士 腕を掴まれたとおっしゃいましたが、その後、どうされましたか?

吉松育美 何するのよと悲鳴を上げて振り払いました。

西川紀男弁護士 谷口さんは結局、どこまであなたのところに来たのですか?

吉松育美 細かく言うと、控室の中まで入ってきました。そして、谷口さんの後ろにいたテーラーさんがその状況を見て、危険と判断し、谷口を無理やり、押しのけて、すぐ控室のドアを閉めました。そのやり取りはほんの一瞬ですが、提出した録音記録の中にも残っています。

西川紀男弁護士 その時、谷口さんはあなたに対して、新しいマネージャーをつけるからねとか、そういった趣旨のことは言っていたんですか?

吉松育美 その後、テーラー氏が谷口さんを控室から追い出した後、関係者に事情を説明しているやりとりがありました。私はそのやり取りをドア越しに聞いていたのですが、その中で「本当のマネージャーじゃない、本当のマネージャーを用意した」とか、また日テレのとても力のあるような人の名前を出したり、自分の会社であるケイダッシュの名前を出したり、とても、自分には力があるということ言って周りに圧力をかけようとしていました。

西川紀男弁護士 「私の事務所を知ってるね」と谷口さんが言った言葉は聞きましたか? どういう趣旨でしょうか?

吉松育美 先程も言いましたように、インターネットには谷口さん、また関連する事務所は、反社会組織と深いつながりがあると言われていました。ですから、その名前を出すと、業界関係者であれば、誰でもが怖がってしまう状況が簡単に想像ができます。なので、彼はあえて自分の名前や名刺を差し出して、そういった名前を関係者に言ったのだと思います。

◆(日本のマスコミは記者会見に対して)ほとんどゼロに近い反応でした

西川紀男弁護士 そういった趣旨のことはあなたの陳述書や司法記者クラブでの記者会見とか全部入っているんですが、司法記者クラブでこういう会見をした、あなたの目的は何ですか?

吉松育美 私の目的はそのような自分自身の経験により、社会の中には泣き寝入りをしている多くの女性、また、ストーカーの被害者がたくさんいることを知りました。なので、私は日本人初の世界一のミス・インターナショナルとして、この自分に陥った状況を自分の使命だと感じて、私が立ち上がらなければならないと思い、記者会見を開きました。

西川紀男弁護士 記者会見、司法記者クラブでの記者会見、日本のマスコミでの反応は?

吉松育美 ほとんどゼロに近い反応でした。でも、私の記者会見には多くの、ほとんどといっていいほどのメディア関係者が取材に来ていました。質問も多くいただき、感覚としてはみなさん、興味を持たれている、これは報道されることなんだなという印象でした。

西川紀男弁護士 海外は?

吉松育美 海外の反応は日本の反応とは真逆で、私が記者会見をした数分後からアメリカを中心に世界中に私の言ったことが報道されました。

◆電話口で谷口氏は(母親に)「育美さんが川田亜子さんのようになることを心配しています」と言いました

西川紀男弁護士 あなたのご両親、ご両親に対して、谷口さんのいろんな行為があったと?

吉松育美 ありました。まず、父親の携帯番号を知るはずのない谷口さんから職場にいた父親へ連絡がありました。また、谷口さんは私の実家にまで私のスキャンダル記事やテーラー氏(と谷口氏)の裁判資料、そして、私が嘘をついているという主張をして、とても両親は怖い思いをしました。

西川紀男弁護士 実家の住所とか、電話番号をどうして知ったのでしょうか?

吉松育美 分かりません。父親の携帯番号も私の実家も、公に公表しているものではないので、どうしてどうやって調べたのかと、父親は怖い、気持ち悪いという思いでいっぱいでした。

西川紀男弁護士 谷口さんは、郁実さん、さらにその先の郁実さんのお父さんやお母さんと関係ないじゃないですか? つながりとか、心当たりは?

吉松育美 谷口さんの行為を正当化する理由というのは特に思い当たりません。

西川紀男弁護士 お母さんはこの裁判で陳述書をお書きになっている。もちろん、あなたも読んでいますね? 非常に心配されている。苦しんでいる。

吉松育美 そうですね。母親も情報ソースがインターネットしかないので、谷口さんのことを調べると、さっきも言いましたように川田亜子さんの自殺の件が出てくる。そして、電話口で谷口氏は「育美さんが川田亜子さんのようになることを心配しています」と言いました。なので、いくら言葉が丁寧でも、インターネットに書かれているようなに自殺に追い込まれてしまうとか、もしくは自殺と見せかけて誰かに殺されてしまうのではないか、娘の命までなくなってしまうんじゃないかという恐怖で眠れぬ夜を過ごしたと言いました。その気持は私も同じです。(続く)


◎[参考動画]日本外国特派員協会での吉松育美さん記者会見(日本外国特派員協会=FCCJ公式チャンネル2013年12月16日公開)

▼星野陽平(ほしの ようへい)
フリーライター。1976年生まれ、東京都出身。早稻田大学商学部卒業。著書に『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)、編著に『実録!株式市場のカラクリ』(イースト・プレス)などがある。

◎《脱法芸能41》「美の女王」吉松育美VSケイダッシュ谷口元一裁判(1)
◎《脱法芸能36》宮根誠司──バーニングはなぜミヤネ独立を支援したのか?
◎《脱法芸能37》『あまちゃん』能年玲奈さえ干される「悪しき因習」の不条理
◎《脱法芸能38》音事協の違法性──芸能界が「独占禁止法違反」である根拠
◎《脱法芸能39》叶姉妹──芸能界に蔓延する「枕営業」という人身売買

芸能界の歪んだ「仕組み」を綿密に解き明かしたタブーなき傑作ノンフィクション『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)

2015年8月6日、東京地方裁判所806号法廷において、ミス・インターナショナル2012年グランプリの吉松育美さんが大手芸能事務所、ケイダッシュ幹部の谷口元一氏を訴えた裁判の証人尋問が行われた。

2014年2月4日付吉松育美FBより

裁判に至るまでの経緯をざっと説明する。

吉松さんと谷口氏とのトラブルの発端は、2012年春、吉松さんがミス・インターナショナルのグランプリを獲得すると、元所属事務所顧問で総合格闘技団体、K-1の元プロデューサー、石井和義氏が現れ、吉松さんを「芸能界のドン」と呼ばれる周防郁雄社長が経営する芸能事務所、バーニングプロダクションに連れてゆき、「われわれが日本の芸能界の掟を決めている。芸能の仕事をしたければ、バーニングプロダクションの周防社長の許しを得なければならない」と諭し、バーニンググループに入るよう要請した。

吉松さんがミス・インターナショナルを獲得し、それまで所属していた芸能事務所から独立すると、石井が再び現れ、「独立は支援するが、われわれのグループに入ることが条件だ」と主張し、自分と周防社長の親しい友人であるケイダッシュの谷口氏と面会するよう求めた。

それからしばらくして、吉松さんが出演していた日本テレビの番組「真相報道 バンキシャ!」の撮影現場に谷口が現れ、控室まで吉松さんを追いかけ、腕をつかんで拉致しようとし、番組スタッフに吉松さんに新しいマネージャーをつけると主張した。以降、谷口氏は業界中に圧力を強め、様々な嫌がらせが続き、吉松さんは仕事を失ってしまった。

2013年12月16日、吉松さんは日本外国特派員協会で記者会見を行い、谷口氏から受けたストーカー被害の実態を明らかにし、その後、提訴に踏み切った。


◎[参考動画]日本外国特派員協会での吉松育美さん記者会見(日本外国特派員協会=FCCJ公式チャンネル2013年12月16日公開)

一部報道では、2014年8月15日に吉松さんの訴えが却下されたと報じられているが、これは仮処分の申請についてのものであり、その後、吉松さんは東京地裁に提訴し、今回の証人尋問はそれに関わるものである。なお、谷口氏からも吉松さんに対し、名誉毀損があったとして反訴している模様だ。

以下、吉松育美さんの主尋問(吉松さんの訴訟代理人側からの質問)の模様をレポートする。

◆私は谷口元一氏という名前を聞いただけでも怖い、恐怖を感じていました

西川紀男弁護士 本件で被告になっている谷口さん、ご存じですか? お会いしたのは、2012年の12月30日が最初でしたね。日本テレビが最初。それ以前に噂とか、あるいは雑誌、新聞で話を聞いたことは?

吉松育美 あります。私が最初に谷口元一氏の名前を知ったのは、2008年の元アナウンサーであります川田亜子さんの自殺の件で知りました。

西川紀男弁護士 その時から怖い人とか、優しい人とか、どういう印象を持ちましたか?

吉松育美 その事件をきっかけに、川田亜子さんの自殺は、不明な点も多く、大きな波紋を呼んでいました。謎の死、謎の自殺に深く関わっていたのが谷口元一氏であり、また、谷口さんの所属している事務所、反社会的組織と深く繋がっていると噂されております。それはネットや週刊誌、新聞などからでも一般的に誰もが知っている知識です。そういうことから、私は谷口元一氏という名前を聞いただけでも怖い、恐怖を感じていました。

西川紀男弁護士 司法記者クラブでお話になったのがありますね。甲24号証に出ているんですけど、司法記者クラブで言ったのと間違いない? マットさん(※)からは谷口さんのことについて、何か聞いていますか?(※マットさん=吉松さんの海外エージェントであるマット・テイラー氏のこと。)

吉松育美 谷口さんとマット・テイラーさん、間に1000万円の債務関係があることを知っています。

西川紀男弁護士 それはいつごろの話ですか? 聞いたのは?

吉松育美 私が(マット氏から)コーチングを始めてわりと最初の方です。

西川紀男弁護士 日本テレビにおける、谷口さんとあなたが最初に会ったその時の出来事を、2012年の12月30日、『バンキシャ!』という番組でしたよね。その時に谷口さんが来た。谷口さんは、その番組の関係者だった?

吉松育美 当時、谷口さんは『バンキシャ!』の関係者としてまったく関係がない。でも、なぜ彼がその場にいたかというと、別の入館許可証を首からぶら下げていて、その番組にいました。

西川紀男弁護士 そうすると、谷口さんは番組と関係ない。いわば無断侵入のようなものですか?

吉松育美 はい。その後、谷口さんが現れたあと、スタッフさんからも、大変申し訳ありませんでしたと何度も言われました。

西川紀男弁護士 その時、谷口さんは、簡単に言うと、あなたに対して、どういうことを言ったんでしょうか?

吉松育美 まず、「吉松さんはこっちに来てください」と。それからマット・テイラー氏に対しては、「詐欺師だ」そして、「本物のマネージャーではない」と。私に向かっても「金返せ、金返せ」と心当たりのないことを、彼は私に向かって発言しました。(続く)

○吉松育美さん公式サイト=http://ikumiyoshimatsu.com
○吉松育美さんFacebook=https://www.facebook.com/yoshimatsuikumi?ref=hl
○吉松育美さんYouTube=http://www.youtube.com/user/yoshimatsuikumi

▼星野陽平(ほしの ようへい)
フリーライター。1976年生まれ、東京都出身。早稻田大学商学部卒業。著書に『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)、編著に『実録!株式市場のカラクリ』(イースト・プレス)などがある。

◎《脱法芸能36》宮根誠司──バーニングはなぜミヤネ独立を支援したのか?
◎《脱法芸能37》『あまちゃん』能年玲奈さえ干される「悪しき因習」の不条理
◎《脱法芸能38》音事協の違法性──芸能界が「独占禁止法違反」である根拠
◎《脱法芸能39》叶姉妹──芸能界に蔓延する「枕営業」という人身売買
◎《脱法芸能40》安室奈美恵──「移籍劇」は芸能界決壊への「パンドラの箱」を開いたか?

芸能界の歪んだ「仕組み」を綿密に解き明かしたタブーなき傑作ノンフィクション『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社2014年5月13日刊)

これまで本連載で何度も指摘してきたが、芸能界の問題の核心部分は主要芸能プロダクションのほとんどが加盟する業界団体である日本音楽事業者協会でタレントの引き抜きが禁じるカルテルを結び、独立阻止で一致団結していることだ。

タレントが他の事務所に移籍できず、独立もままならないとすると、所属事務所の言うがまま隷属状態に置かれることになる。実はこのことはタレントにもあまり知られていない。

安室奈美恵オフィシャルサイトより

◆「芸能界の掟」に阻まれ頓挫したサンミュージック小島よしおの人力舎移籍

もう何年も前のことになるが、サンミュージックに所属するお笑いタレントの小島よしおが他の事務所への移籍を画策した時期があったという。

サンミュージックといえば、1980年代は松田聖子がブレイクし一世を風靡したが、86年には所属タレントの岡田有希子が事務所が入居していた四谷のビルから投身自殺をし、大きなイメージダウンとなった。さらに稼ぎ頭だった聖子が89年に独立してしまった。この時は業界をあげて聖子を干したが、聖子の離反でサンミュージックが受けた打撃が回復することはなかった。

90年代になると、トレンディドラマのブームになり、特に野島伸司脚本のドラマではサンミュージック所属タレントが多く起用されたものの、2000年代に入るとそれも失速し、大きく方針を転換し、お笑いに力を入れるようになった。そこで出てきたスターがダンディ坂野やカンニング竹山、小島よしおなどだったが、事務所全体の勢いは伸び悩んだ。特に稼ぎ頭の小島には、事務所に対する不満が募っていったという。

そこで小島は、おぎやはぎが所属する人力舎への移籍を打診したという。だが、人力舎側からは「サンミュージックさんとはお付き合いがありますので」と体よく断られてしまった。

◆「事務所のメンツ」を潰したタレントの復帰は難しい

また、「事務所に迷惑をかけた」と烙印を押されたタレントの芸能界復帰は難しいという。

最近でいいえば、たとえば、オセロの中島知子のケースだ。中島は2011年ごろから家に引きこもって仕事ができない状態が続き、同居していた占い師との関係が取りざたされ、洗脳騒動が持ち上がった。

2013年3月、中島は『ワイド!スクランブル』で洗脳騒動以来初のテレビ出演を果たし、洗脳騒動の真相を明かしたが、これは所属事務所、松竹芸能の意向を無視した中島の独断だった。松竹芸能は中島に対しただちに契約解除を申し渡した。

それ以降、洗脳騒動以来中島のメンタル面をサポートしてきたという脳科学者の苫米地英人が中島の連絡窓口となることが明らかとなった。この時の説明では、「次の事務所が決まるまでの間」とのことだったが、未だに移籍先が決まっていない。
現在、中島が出演しているのは、苫米地が出演しているMXTVの番組に限られ、本格的な芸能界復帰には至っていない。

この間、中島自身も事務所移籍の希望はあったようだが、他の芸能事務所からは「松竹さんとはお付き合いがありますので」という理由で受け入れを拒絶されたという。結局、松竹の許しを得たということが確約されなければ事務所の移籍はできないようなのである。芸能界にとっても最も重要なのは事務所のメンツであり、そこに経済合理性はない。たとえタレントに需要があったとしても事務所の論理によって潰される。


◎安室奈美恵 / 「Stranger」 (from New Album「_genic」)

◆なぜ安室奈美恵はライジングからエイベックスに移籍できたのか?

芸能界ではタブーとされる「引き抜き(移籍)」だが、今年1月には大きな動きがあった。ライジングプロダクションからエイベックスへの安室奈美恵の移籍した一件だ。

安室奈美恵といえば、昨年8月に独立騒動が表面化し、安室に独立を炊きつけ、“洗脳”した人物として音楽プロモーターの西茂弘氏の名前が取りざたされ、所属事務所、ライジングプロダクションとの関係悪化が深刻化していた。

12月には怒り心頭のライジング側は「独立するなら安室奈美恵の名前は使わせない」として7月、特許庁に「安室奈美恵」の名前を商標登録として出願していたことが報じられた。だが、「安室奈美恵」は芸名ではなく本名であり、本人の承諾を得ずに商標として登録されることはない。

そんな報道があった矢先、電撃的にエイベックスへの移籍話が持ち上がり、2015年1月14日付で安室とライジングの専属契約は終了し、その翌日から安室のマネジメント業務窓口がエイベックス内のレーベル「ディメンション・ポイント」で行うことになったという。

芸能記者は「これは大揉めするなと思っていましたが、関係者に取材すると『全然揉めていない』とのことで拍子抜けしました」と語る。

その後の報道によれば、安室の移籍に関連して、エイベックスがライジングの要望を聞き入れる形で、違約金や一定期間の活動停止処分、CDなどの印税収入の分配などを受け入れたともいうが、安室の芸能活動には支障はないようで、この6月には未発表曲のアルバムが発売され、9月から2016年2月まで全国ツアーが予定されている。

また、安室に独立をそそのかしたとしてやり玉に挙がった西氏は安室の移籍後も引き続き、安室のコンサート制作に携わるという。


◎安室奈美恵 / 「Birthday」 (from New Album「_genic」)

◆音事協は安室の「独立」を防ぐために「引き抜き」を認めざるをえなかった?

あまり大事とはならなかったこの移籍劇は、芸能界にとって大きな意味があるように思える。というのも、安室を引き抜いた格好のエイベックスも引きぬかれたライジングもともに音事協に加盟する芸能事務所だからだ。

そもそも音事協はタレントの引き抜きを防止するために設立された組織だ。私が知る限り、音事協内でタレントが移籍したケースは、過去に一度もない。タレントが独立するのは仕方がない。だが、徹底的に干すというのが芸能界の流儀だったはずだ。安室の移籍は、音事協の存在意義を否定するものであり、「引き抜き解禁」というパンドラの箱を開いたことになりかねず、芸能界にとって極めて重大な禍根を残すことになる。

筆者の考えでは、音事協は安室の独立を防ぐために引き抜きを認めざるをえない状況に追い込まれたのではないかと推測する。コンサート運営のプロである西氏が安室の独立の黒幕だとするならば、西氏には「安室が独立したとしてもコンサートはできる」という読みがあったはずだ。

近年、安室はテレビ出演を抑え、芸能活動の軸足をコンサートに移していた。コンサートさえできれば、安室は芸能界で生き残れる。さらに、近年はYoutubeなどを始めとするインターネットの新興メディアが勃興しており、仮にテレビに出演できなくとも新曲のプロモーションは可能だ。

安室ほどの大物であれば、テレビなどの既存のメディアに頼らず、独自の芸能活動ができた可能性が高い。だが、実際に安室の独立が成功してしまうと、音事協の存在意義が問われることになる。芸能事務所はタレントになめられたら、おしまいだ。音事協に力がないと思われれば、タレントの独立が相次ぐようになるはずだ。それは「芸能界液状化現象」を意味する。安室の移籍は、そのような事態を恐れ、言わば次善の策として認められたのではないだろうか。だが、それは芸能界の決壊を先送りしただけに過ぎない。


◎安室奈美恵 / 「Fashionista」 (from New Album「_genic」)

◎安室奈美恵オフィシャルサイト http://namieamuro.jp/

◎安室奈美恵New Album「_genic」サイト http://dimension-point.jp/amuro/_genic/

▼星野陽平(ほしの ようへい)
フリーライター。1976年生まれ、東京都出身。早稻田大学商学部卒業。著書に『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)、編著に『実録!株式市場のカラクリ』(イースト・プレス)などがある。

星野陽平の《脱法芸能》
◎『あまちゃん』能年玲奈さえ干される「悪しき因習」の不条理
◎ヒットチャートはカネで買う──「ペイオラ」とレコード大賞
◎宮根誠司──バーニングはなぜミヤネ独立を支援したのか?
◎松田聖子──音事協が業界ぐるみで流布させた「性悪女」説

芸能界の歪んだ「仕組み」を綿密に解き明かしたタブーなき傑作ノンフィクション『芸能人はなぜ干されるのか?』

『芸能人はなぜ干されるのか? 芸能界独占禁止法違反』

芸能界では昔から「枕営業」と呼ばれる人身売買が行われているとされているが、時に報道などによってそれらが明らかとなるケースがある。

2010年には契約解除をめぐる紛争でタレントの眞鍋かをりが芸能事務所、アヴィラと裁判沙汰になったが、この裁判の準備書面で眞鍋側は「仕事場の楽屋でマネージャーから(中略)『タレント某は社長と性的関係を持ったから、番組に出演出来た』などの低俗な話を聞かされた。実際に話題に上ったタレントの仕事量が増えた」「性的関係を持った女性タレントに小遣いを渡していた」などと主張し、物議を醸した。

◆頻発する犯罪報道で明らかになる「枕営業」強要の実態

2014年12月には「ちょいワルおやじ」という流行語を流行らせ一世を風靡した中年男性向けファッション誌『LEON』を創刊した有名編集者、岸田一郎氏から、『東京ガールズコレクション(TGC)』への出演を引き換え条件に肉体関係を強要されたとして23歳のモデルが『FRIDAY』で告発した。

2015年1月にはオリコンランキングで1位を獲得し人気が急上昇していたアイドルグループ、仮面女子のメンバーらが運営会社社長に日常的に性接待を強要されていたという告発が『週刊文春』で報じられた

こうした報道は最近、特に増えている。

先月は、アイドルグループ、PASSPO☆のメンバーがツイッターで枕営業の実態をほのめかす内容の投稿をし、大騒動となり、また、元芸能プロダクション社長田代オリバーことベレン・オリバー・オリベッティ容疑者がタレント志望の女子中学生に「俺がデビューさせてやる」と持ち掛け、みだらな行為をしたとして、児童福祉法違反の疑い逮捕された。

さらにその数日後にも、東京、原宿でスカウトした女性の着替えの様子を盗撮していた芸能プロ社長ら5人が逮捕される事件も起きた。

叶恭子『トリオリズム』 (2006年小学館)

◆叶姉妹とミス・コンをめぐる1999年『週刊ポスト』スキャンダル報道の衝撃

筆者が調べた範囲では、「枕営業」に関する過去の報道でもっとも衝撃的だったのは、『週刊ポスト』が1999年11月から12月にかけ、5回にわたって報じた叶姉妹とミス・コンテストをめぐるスキャンダルだ。

叶姉妹といえば、97年ごろから高級ファッション誌『25ans』に「スーパー読者」として紹介され、瞬く間に人気を獲得した、叶恭子、叶美香による姉妹ユニットだが、その実態は謎のベールに包まれていた。

『ポスト』の報道には、叶姉妹と密接に公開した資産家令嬢のA子さんが登場し、「絶対にあの姉妹を許せません」として2年間にわたった「レズ奴隷生活」を告発した。

記事によれば、A子さんは数年前に知人宅を訪問したところ、その知人が叶恭子、叶美香を呼び出し、以降、交流が始まったという。

初対面の恭子は、「私のこと、知らない? ミスコンの審査員をしてるの」と切り出し、しきりにミスコンへの出場を誘った。

恭子は毎日のようにA子さんに連絡をし、買い物などに同行させ、仕舞いにはレズ関係を迫られるようになった。恭子は「3人目の妹になりたいなら頑張らないと」といつも言っていたという。

さらには、ある日、美香から「会えば絶対、勉強になる」などとと言われ、コンドームを手渡され、ホテルチェーンを経営している2代目という青年実業家を紹介され、関係を迫られた。

それが終わってから、美香はA子さんにこう言ったという。

「あの人はバカだから(利用するには)ちょうどいいの。あなたは初めてだから、ああいう人がいいのよ。電話番号は教えてないでしょうね」

それから1週間ほどして美香から「この間の人から電話が来たわよ。よかったわね。A子ちゃん。これでしっかりつかんだわ」と連絡があり、再び青年実業家との面会がセッティングされた。再び、面会した青年実業家は「君を紹介してもらうのはとても大変だったんだよ」と話していたという。

A子さんが、この間の経緯を恭子に説明し、抗議すると恭子は、「美香がやったのね。私は関知してないの」と釈明したという。

同様のことはその後も続く。そして、叶姉妹は、A子さんに自分たちが運営側として関係し、世界4大ミスコンテストの1つとされ、フィリピンが主催国の「ミス・アジアパシフィック」の日本代表選考会への出場を強く薦め、「A子ちゃんの頑張り次第で日本代表になれるから」と言った。

◆「ホントにやる気だったら、オレと寝ろ。2年でビッグにしてやるから」

そして、大会が1か月後ぐらいに迫ったある日、美香が「ミスをとったあと、A子ちゃんのために個人事務所をやってくれるという人がいるの。絶対あなたのプラスになる人だから会ってみない」と紹介され、音楽関係のプロデューサーを紹介してもらった。

だが、このプロデューサーは、初めて会ったその日にバーに誘い、「ホントにやる気だったら、オレと寝ろ。(ミスコンの)代表になるには2000万~3000万円かかる。そのカネはオレが出すから最低2年はつきあおう。2年でビッグにしてやるから」と迫ったという。

これを聞いて気が動転したA子さんはその場から席を外し、叶姉妹に電話をかけたが、電話に出た美香は「A子ちゃん次第よ。でも、絶対あなたのためになる人だから……」と説得したという。

叶姉妹に憧れ信用しきっていたA子さんは、代表になるためには仕方がないと重い、いやいやながら部屋に行った。

その後もこのプロデューサーはA子さんにたびたび面会を求め、美香からも「会ってほしい」としつこく要請されたが、A子さんは拒絶した。

結局、A子さんは「ミス・アジアパシフィック」で小さな賞をもらったものの、代表にはなれなかった。

◆メディアが叶姉妹を攻め切れない理由──訴訟代理人・弘中惇一郎という脅威

叶姉妹というと、ネガティブな報道に対してはすぐに訴訟を起こすことで知られる。おまけに訴訟代理人は、「無罪請負人」という異名も持つ剛腕の弘中惇一郎弁護士であり、メディアにとっては脅威だ。

『週刊ポスト』側も叶姉妹からの訴訟に備え、連載開始直後から告発者のA子さんを何ヶ月も各地の温泉に連れ出し、匿っていたという。だが、『ポスト』の記事については叶姉妹サイドの反論として「A子さんは叶姉妹のストーカーだった」という記事が女性週刊誌に出たものの、結局、裁判には至らなかった模様だ。

最近、芸能界のセクハラ事件が相次ぐ事態を受け、ある芸能プロダクションがツイッター上で次のように呼びかけ、話題となった。

「現在、事務所の社長やマネージャーにセクハラされたり、体を要求されてる方がいたらご連絡ください!未成年の方は、保護者の方と一緒にご連絡ください!そういう糞事務所を叩き潰しましょう!」

その意気は買いたいが、芸能界の中枢から末端まであちこちではびこる人身売買は、構造的なものであり、直ちに改まるものではない。権力者が恣意的にキャスティングを歪め、オーディションがまともに機能していないという問題にメスを入れない限り、今後も似たような事件が起こり続けるだろう。

※追記=6月6日の本通信の記事で『裁判にはならなかった』と記述したが、この記事を見た関係者のインサイダー情報として『ポスト』と発行元・小学館関係者が刑事告訴されたことが判明、『ポスト』側が家宅捜索や逮捕を恐れ屈服し極秘に和解したという。具体的な和解内容は不明、現在取材中だが、和解後小学館から叶姉妹の写真集が刊行されている。

▼星野陽平(ほしの ようへい)
フリーライター。1976年生まれ、東京都出身。早稻田大学商学部卒業。著書に『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)、編著に『実録!株式市場のカラクリ』(イースト・プレス)などがある。

星野陽平の《脱法芸能》
◎『あまちゃん』能年玲奈さえ干される「悪しき因習」の不条理
◎音事協の違法性──芸能界が「独占禁止法違反」である根拠
◎宮根誠司──バーニングはなぜミヤネ独立を支援したのか?
◎松田聖子──音事協が業界ぐるみで流布させた「性悪女」説
◎爆笑問題──「たけしを育てた」学会員に騙され独立の紆余曲折

芸能界の歪んだ「仕組み」を綿密に解き明かしたタブーなきノンフィクション『芸能人はなぜ干されるのか?』

 

『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社2014年5月13日刊)

拙著『芸能人はなぜ干されるのか? 芸能界独占禁止法違反』(鹿砦社)を出版してから、1年が経つが、今ひとつ私の主張が伝わっていないところもあると思うので、ここで補足説明をしたいと思う。

まず、副題にある「芸能界独占禁止法違反」が理解されていないのではないだろうか。

そもそも独占禁止法は、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」という正式名称となっていて、独占禁止法を運用する公正取引委員会のホームページによれば、その目的は「公正かつ自由な競争を促進し,事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにすることです」という。

具体的に簡単に述べると、独占禁止法は、事業者に対し、「私的独占」「不当な取引制限」「不公正な取引方法」を禁じている。

◆プロダクション間でのタレント引き抜きを音事協が禁じているのは独禁法違反

独占禁止法の観点から私が芸能界で問題だと考えているのは、大手芸能プロダクションのほとんどが加盟する業界団体である「日本音楽事業者協会(音事協)」が芸能プロダクション間のタレントの引き抜き(移籍)を禁じていることだ。タレントの引き抜き禁止は、音事協内において現状の固定化を強めることに役だっている。また、対外的には音事協加盟社をより強くすることに繋がる。

というのも、音事協の外では引き抜きは禁じられていないからだ。そのために、音事協加盟の大手プロダクションが音事協非加盟の弱小プロダクションからタレントを引き抜くということがたびたび起きている。音事協費加盟の弱小プロダクションはたとえ有望なタレントを獲得したとしても音事協加盟の大手プロダクションがそのタレントの獲得に動くとなすすべもない。

週刊誌の芸能記者は「音事協に加盟できない弱小プロダクションは、いいタレントを発掘できても音事協に引き抜かれておしまい。日本の芸能界は、音事協の有力事務所が動かしている」と言う。音事協には常に優秀な人材が流入し、利益を上げられる仕組みができているのだ。これはタレントの「私的独占」ではないのだろうか?

◆パチンコ機業界の違法「特許」と酷似する音事協加盟社の「タレント」縛り

今の芸能界に似ていると考えられるのが、かつてパチンコ機製造メーカーが作っていた「パテントプール」と呼ばれる仕組みだ。

有力なパチンコ機製造メーカー10社は、パチンコ機に関わる特許権などを「日本遊技機特許運営連盟(日特連)」という会社に集積していたが、新規参入業者に対してはライセンスの許諾を拒否していた。パチンコ機は多数の技術は多数の特許により成り立っているから、特許の許諾を得られなければ製造、販売はできない。事実上、新規参入は排除されていた。既存の業者は、このパテントプールの仕組みにより、市場競争を制限し、共存共栄を図っていたのである。だが、1997年、これを問題視した公正取引委員会は、パチンコ機メーカー10社と日特連に対して、独占禁止法3条前段(私的独占の禁止)を適用して審決が行われ、制限的なライセンス許諾契約の排除措置が行われた。

公正取引委員会によるこの審決は、「パチンコ機特許プール事件」として知られ、独占禁止法に関わるテキストなどでもたびたび引用される重要な事件となっている。

パチンコ機業界における特許を、音事協加盟社が抱えるタレントと見立てると、両者は実に似ている。パチンコ機の特許と違うのは、タレントが「モノを言う商品」であるということだろう。

◆芸能界とメディアの結託が不合理なビジネスモデルを存続させてきた

タレントは労働者であり、所属事務所に不満があれば文句を言う。不満が解消されなければ、事務所を辞めて独立しようとするかもしれない。だが、それを認めれば、芸能界、音事協のビジネスモデルは崩壊してしまう。だから、独立を画策したタレントは「恩を忘れた」などと理屈をつくって業界を挙げて潰しにかかる。このシステムは、1953年に調印された映画界の五社協定以来、長らく続いてきた。

なぜこのような違法で不合理なシステムが続いてきたのだろうか?

まず、メディアが芸能界と歩調を合わせてきたことがある。芸能界は音事協を中心として一致団結し、敵対するメディアに対し、タレントの出演拒否などの手段で対応してきた。メディアは次第に芸能界に飼い慣らされ、批判精神を失い、「芸能界の悪しき因習」の担い手として、独立を画策したタレントに猛バッシングを浴びせるようになっていったのである。

もう1つは、タレントに告発させないという仕組みがある。独立を画策したタレントは、メディアから猛バッシングを浴び、芸能界から干されるが、それは一時的なものだ。そのタレントが反省の意思を示し、1年から数年が経てば復帰を許されるのである。タレントとしては、嵐が過ぎるのを大人しく待っていれば再び芸能活動ができるということを知っていれば、芸能界批判をして問題をこじらせるという選択はしないのである。

これまで芸能界で干されたタレントは星の数ほどいるが、私が知る限り芸能界の不合理さを決定的に告発したケースはただの1つもない。

だが、このシステムも最近になってほころびを見せ始めているのではないかと私は考えている。

▼星野陽平(ほしの ようへい)
フリーライター。1976年生まれ、東京都出身。早稻田大学商学部卒業。著書に『芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)、編著に『実録!株式市場のカラクリ』(イースト・プレス)などがある。

星野陽平の《脱法芸能》
◎森進一──「音事協の天敵」と呼ばれた男
◎松田聖子──音事協が業界ぐるみで流布させた「性悪女」説
◎宮根誠司──バーニングはなぜミヤネ独立を支援したのか?
◎爆笑問題──「たけしを育てた」学会員に騙され独立の紆余曲折

芸能界の歪んだ「仕組み」を綿密に解き明かしたタブーなきノンフィクション『芸能人はなぜ干されるのか?』

 

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