コロナワクチンの生後6カ月~4歳を対象にした無料接種が10月から始まっています。子どもの重症化例はきわめて少ないことが報告されているなか、接種の理由はない、というよりも、感染症防護とは別の目的があることは自明と言っていいでしょう。厚労省は保護者に接種を検討する「努力義務」を課しています。副作用が出ても、自ら被害を訴えられない子どもへの強制接種(自分で接種するかを選べない)の残酷さはもちろん、そもそもワクチンの「主作用」とは何なのかについても、あらためて考えなければなりません。

厚労省はワクチンについて、「感染予防」「発症予防」「重症化予防」という「効果」の説明をあいまいにしてきました。そして、ワクチン接種が人々の間で進んだ時期と、陽性者の増減のタイミングに関連性はみられない一方、接種が進んだ時期に死亡数が増加するという現象が起きています。今年でいえば2~3月、接種の増加にあわせて死亡者数も増加、4月に接種数が低下すると死亡者数も減少。7~8月にも、接種拡大に合わせて死亡者数が増加しています。そんななか、世界に目を向ければ、ワクチン、そしてコロナ禍そのものへの人々の見方に、少しずつ変化が生じているようにも見えます。10月22日にはカナダ・アルバータ州のダニエル・スミス州首相が、ワクチン未接種の労働者に対する差別を「不適切」と認め謝罪しました。

今月号でも、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の問題を特集、自民党政治家との関係に注目するとともに、なぜメディアにおいて「空白の30年」が生まれたのか、9月号で執筆の鈴木エイト氏の講演内容を収録しました。連日のマスコミ報道のなかで、ジャーナリストや弁護士らが活躍を続けていますが、鈴木氏が一貫しているのは徹底して被害者に寄り添うこと。その視点に立つからこそ、メディアがこの問題を放置し、政治家がそれを見越して旧統一教会と協力関係を結んできたことが、信者らへの被害を拡大させ、被害者による安倍晋三元首相の銃撃事件につながったという一連の経緯が理解できます。それを具体的に説明した今月号記事は、日々報じられるニュースを受け取るうえでの基礎として、ぜひ多くの方にお読みいただきたい内容です。

さて、旧統一教会問題では精力ぶりが評価されるマスコミでも、ことワクチン問題、そして今月号で重点的に採り上げたマイナンバーカード“義務化”に関する報道を見れば、(報道しないことを含めて)完全に政府広報に徹していることが見て取れます。「デジタル社会」の名のもとで、国民監視・管理体制が着々と構築されています。また11月号で、日本ですでに進んでいる「戦争準備」について特集しましたが、「国民監視」がそのキーワードであることを、あらためて指摘しておきたいと思います。

その他、多様な視点を盛り込み、『紙の爆弾』は全国書店にて発売中です。今月号も、ご一読をよろしくお願いいたします。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2022年12月号

9月27日の「安倍国葬」には、当日まで多くの反対の声が響きました。やってしまったら終わりではなく、「反対の中、強行された」という事実を残さなければなりません。そのためには、今回集まった声を、より具体的な安倍・菅・岸田政治の検証につなげていく必要があります。

そのひとつとして、11月号では現在日本の「戦時体制」について特集を組みました。安倍政権の解釈改憲によって、憲法を改定せずとも日本が危険な状況に置かれてしまっていることを、あらためて確認するのが目的です。護憲と同時に、憲法解釈もとり戻すことが必要となっています。そもそも憲法で縛られる側である政府が勝手に解釈を変更すること自体、立憲主義の否定であり、許されないことです。そこにおいて着目すべきは、自衛隊の海外派遣による「戦争のできる国」化だけではありません。「国民監視」の強化こそ、私たちがいま、もっとも危険視すべきことではないかと考えます。

さらに「GDP2%」目標は、実現すれば米国・中国につづく世界第3位の軍事予算。金額ありきなのは、すなわち増加分が、米国の軍産複合体への貢献だからです。その米国は、ウクライナ戦争で儲けつつ、11月の議会中間選挙に向けて「台湾政策法案」など、中国煽動も強めています。中国に対しても「力による現状変更」という言葉を使い始めていますが、仮に台湾有事において米国が出兵することがあれば、米国の立ち位置はロシアのそれであり、米国に協力する日本はベラルーシの役割を演じることになる、という指摘があります。あらためて反戦と日本の安全保障について考えなければなりません。本誌特集は、その一助となるものです。

連日報道が続く旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の問題については、霊感商法被害、二世信者の問題、政界との癒着など内容は多岐にわたりますが、それらが今に始まった問題ではない以上、現在においてもっとも考えるべきテーマは「なぜ問題が放置されてきたのか」です。今月号では1993年にテレビでの発言で教会から刑事告訴を受け、98年には参院議員として国会で追及した中村敦夫氏に話を聞きました。一方、週刊文春(9月29日号)が小川榮太郎氏について報じた「岸田首相に国葬を決断させた統一教会“弁護人”」をはじめ、“保守派”の正体にも注目が集まっています。これも、注目すべきひとつのテーマといえるのではと思っています。もちろん、旧統一教会は日本進出において、右翼勢力と深い関わりを持ってきました。それと、現在の“保守派”の関係も気になるところです。

さらに今月号では、新型コロナワクチンについて記事を掲載しました。とくに、「国産ワクチン」開発が政府により阻害され、巨大製薬企業に日本の富を流出させてきた事実に焦点を当てています。そこからワクチン広域接種の“目的”が見えてきます。厚生労働省がワクチン効果に関するデータを改ざんしていたことをレポートした8月号記事とあわせてお読みいただければ幸いです。新ワクチンなど接種推進がここにきて加速するなか、ワクチンそのものについての分析も、さらに必要性が増しています。その他にも多様なレポートを盛り込み、「紙の爆弾」は全国書店にて発売中です。ご一読をよろしくお願いいたします。

『紙の爆弾』編集長 中川志大

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン 月刊『紙の爆弾』2022年11月号

『紙の爆弾』2022年 11月号
目次
中村敦夫が語る50年 旧統一教会「口封じ」の手法
旧統一教会問題が選挙に与えた衝撃 沖縄県知事選で白旗を上げた自公政権
メディアに“逆ギレ”する議員たち 旧統一教会信者たちが語った自民党議員への怒り
特集●すでに進んだ日本の「戦時体制」
「防衛費」を積み上げてつくる「基地の島」
法律からみた安倍・菅・岸田の戦争準備
米国覇権を超克する「真の安全保障」
東京五輪汚職捜査はどこまで進展 自壊する岸田文雄政権
政党交付金の要件を満たしているのか 統一協会より「自民党の解散」こそ急務
巨大製薬企業に国家予算流出 政府に阻害された「日本製ワクチン」
「政治と宗教」問題の防波堤 公明党・山口那津男代表続投の裏側
「政治と宗教」そして民主主義 いまこそ考える「政教分離」の本質
スウェーデンの新聞が報じた米国の「ドイツ・EU弱体化のためのウクライナ戦争」謀略
「女性蔑視」でトヨタにも古傷が 香川照之“性加害”騒動の波紋
シリーズ 日本の冤罪31 飯塚事件
連載
あの人の家
NEWS レスQ
コイツらのゼニ儲け 西田健
「格差」を読む 中川淳一郎
ニュースノワール 岡本萬尋
シアワセのイイ気持ち道講座 東陽片岡
キラメキ★東京漂流記 村田らむ
裏から世界を見てみよう マッド・アマノ
権力者たちのバトルロイヤル 西本頑司
元公安・現イスラム教徒 西道弘はこう考える
まけへんで!! 今月の西宮冷蔵
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《9月のことば》秋桜がきげんよく咲いている 幸せそうにゆれている(鹿砦社カレンダー2022より。龍一郎揮毫)

9月になりました。

ここ甲子園では高校野球が終わると、暑さの中にも涼風が吹き、一気に秋に向かいます。時の経つのは速いもので、今年も3分の2が過ぎたことになります。

一昨年からずっと新型コロナと、これによって惹き起こされた経営上の打撃に苦しみながら過ごしてきました。私たちだけではありません。皆様方のうち多くの方々もそうでしょう。知人の中には店を閉じた人もいます。

もう秋桜(コスモス)が咲く季節かあ、今年も残り3分の1、木枯しの吹く季節が来るまでに、しっかり身支度したい。──

(松岡利康)

『紙の爆弾』と『季節』──今こそ鹿砦社の雑誌を定期購読で!

筆者の勤務先のひとつの広島市内の老人ホーム(以下、弊社と記します)においては、8月7日に入居者様3名,職員1名の新型コロナウイルス(オミクロン株)感染者が確認されたことを契機にクラスターが発生。入居者様2名が入院、うち救急搬送された方1名など苦境が続いています。

以下に、経過を記します。

8月02日 筆者が弊社でクラスター前最後の勤務。
8月03日~06日 筆者は休暇。広島市内で平和運動。
8月07日 入居者様3名、職員1名の感染者確認。
     筆者は広島市内でれいわ新選組チーム広島の皆様と街宣。
8月08日 入居者様2名、職員4名の感染確認 5名を超え、クラスターに。
     筆者は安芸郡のグループホームに勤務。
8月09日 職員1名の感染確認。入居者様1名が入院。筆者が弊社に7日ぶりの勤務。
8月10日 入居者様2名、職員1名の感染確認。入居者様1名が救急搬送。 
8月11日 入居者様2名、職員1名の感染確認。2階と3階の入居者全員が個室での食事に。
8月12日 入居者様1名の感染確認。

これにより、合計で入居者様10名、職員8人の感染が確認されました。

 

さらに筆者が16日に4日ぶりに弊社に出勤すると以下のことが判明しました。
8月13日 入居者様1名感染確認。
8月15日 入居者様1名感染確認 救急搬送される。
8月16日 入居者様1名感染確認。

弊社の入居者様の4人に1人以上が感染するという状態になりました。職員もこれだけ感染したために、入浴や居室清掃を含むサービスの提供に支障が出ています。

新型コロナウイルスのワクチン接種は全入居者が3回目の接種は終了し、一部は4回目も完了しています。α株やδ株の際に他社様で起きたような状況にはなっていないのが不幸中の幸いです。

ただ、全員が個室で食事ということで、介助が必要な方にはマンツーマンで職員がつかないといけない。さりとて職員も大幅に足りない状況になっている。

◆広島県内医療緊急事態警報

今回の弊社のクラスターは、広島県内での感染爆発が背景にあります。以下は、広島県内の一日当たりの新規感染者数(左)と一週間移動平均(右)です。

8/13(土) 3,252  4635.3
8/12(金) 5,030  4807.3
8/11(木) 6,284  4656.3
8/10(水) 5,372  4380.7
8/09(火) 3,138  4120.3
8/08(月) 3,343  4064.9
8/07(日) 6,028  4045.0 ※弊社クラスター発生
8/06(土) 4,456  3549.6
8/05(金) 3,973  3379.7
8/04(木) 4,355  3218.0
8/03(水) 3,549  3006.4
8/02(火) 2,750  2920.3
8/01(月) 3,204  2843.3
7/31(日) 2,560  2677.6
7/30(土) 3,267  2626.7
7/29(金) 2,841  2496.1
7/28(木) 2,874  2454.1
7/27(水) 2,946  2378.4
7/26(火) 2,211  2158.3
7/25(月) 2,044  1959.0
7/24(日) 2,204  1811.6
7/23(土) 2,353  1685.0
7/22(金) 2,547  1540.4
7/21(木) 2,344  1361.7
7/20(水) 1,405  1208.4
7/19(火)  816  1186.6
7/18(月) 1,012  1185.4
7/17(日) 1,318  1105.9
7/16(土) 1,341  1012.4
7/15(金) 1,296  915.3
7/14(木) 1,271  813.9
7/13(水) 1,252  723.7
7/12(火)  808  639.6
7/11(月)  455  575.4
7/10(日)  664  557.4
7/09(土)  661  523.3
7/08(金)  586  489.9
7/07(木)  640  461.0
7/06(水)  663  434.7
7/05(火)  359  408.6
7/04(月)  329  401.4
7/03(日)  425  385.3
7/02(土)  427  370.4
7/01(金)  384  356.9
6/30(木)  456  345.4
6/29(水)  480  328.7
6/28(火)  309  317.9
6/27(月)  216  313.1
6/26(日)  321  313.4
6/25(土)  332  315.7
6/24(金)  304  316.4
6/23(木)  339  329.6
6/22(水)  404  335.6
6/21(火)  276  338.0
6/20(月)  218  343.1
6/19(日)  337  350.9
6/18(土)  337  358.3
6/17(金)  396  372.7
6/16(木)  381  384.0
6/15(水)  421  408.6
6/14(火)  312  431.0
6/13(月)  272  436.6
6/12(日)  389  446.4
6/11(土)  438  453.7
6/10(金)  475  460.1
6/09(木)  553  474.3
6/08(水)  578  482.9
6/07(火)  351  488.1
6/06(月)  341  503.0
6/05(日)  440  513.7
6/04(土)  483  539.3
6/03(金)  574  581.7
6/02(木)  613  622.9
6/01(水)  615  701.4

新規感染者数は6月までは第6波の余波が残っていました。それが6月の下旬へ向けて下がっていったのですが、6月27日の移動平均313.1を底に上昇へ転じたのです。15日後の7月12日に底のときの倍を超える639.6に。その9日後の7月21日に底のときの4倍を超える1361.7に。9日後の30日に8倍を超える2626.7と加速度的に増えてしまいました。ただし、8月13日、久しぶりに移動平均が下降に転じています。

お盆による移動の効果などが出てくるのはこれからです。さらに、医療体制の逼迫のピークは感染者の増大に遅れること2週間から一か月程度でやってきます。油断は禁物です。検査のために病院へ行くとこれはまた医療体制逼迫に拍車をかけてしまいますので無症状の方で心配な人は、広島駅新幹線口や県庁前などに検査所がありますのでそちらを利用するように、と県では呼びかけています。

また、8月4日以降は、広島県保健所(広島市、呉市、福山市以外の方を管轄)からの電話連絡は、65歳以上の方、65歳未満で重症化リスクのある方、妊娠している方のみに連絡となっています。それ以外の方には順次SMS(ショートメッセージ)で連絡。SMSの案内どおりに対応してもらうことになります。

筆者が住んでいる広島市でも同様です。広島市の場合は65歳以上、40歳以上65歳未満で重症化リスクが複数ある方、妊娠している方、保健所が必要と判断した方のみ電話連絡で他はSMSで連絡です。https://www.city.hiroshima.lg.jp/site/korona/291440.html

症状のある方は症状が出て10日以上かつ症状がなくなって72時間以上たった方から、無症状の方は検体採取から7日以上たってから療養解除です。弊社の入居者、職員についても広島市と同様の対応です。

こうした中、広島県知事の湯崎英彦さんは8月12日、医療緊急事態警報を出しました。病床使用率が6割を超え、県内の医療従事者400人以上が感染や濃厚接触者となり出勤できなくなっています。このことを背景に県は病床数を140増やして922とします。実際に、7日に感染が確認され、頻繁な通院の必要がある基礎疾患がある弊社の入居者様の一人も、すぐに入院とはならず、9日に入院先がようやく決まるありさまでした。6割というのは県全体の平均であり、地域や基礎疾患の種類によってはこのように、入院がすぐに決まらない方も出るということです。

◆行動制限なきお盆 観光客増加と従業員感染でホテルは「てんやわんや」

今年は、ご承知の通り、8月13日現在では行動制限のないお盆です。広島市内のホテルも宿泊者で満杯、ということです。広島市内の有名なチェーンに属するホテルの従業員によると、「『田舎なら東京と違って外でマスクをしないで済むだろう。』と考えて、地方に来られる方が多い。別に帰省でなくてもそういうことで来られる方は、今年は中国地方のホテルでは非常に多い。」とのことです。

他方で、「従業員に感染者が増えている。宿泊客が多いのに感染者が多く、てんやわんやだ。」とのことです。

たしかに、行動制限の解除は、ホテル業界にとっては追い風です。広島市内でも、コロナ災害発生後、多くのホテルが閉鎖されています。そうした中ではたしかに、解除はありがたいことではある。だが、行動制限の解除は感染者も増やす。そこにジレンマがあります。

地元選出の代議士である岸田総理。広島が地元だからといって優遇しろとは申し上げないし、それはそれで問題です。だが、地元でも起きている混乱をよそに、あまりにも動きが鈍いのではないでしょうか?行動制限をしないなら、それで生じる「被害」についてきちんと対応をいただきたい。医療・介護保育現場はじめエッセンシャルワーカーへの危険手当も含めて早急な対応をお願いしたい。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
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旧統一教会問題と安倍晋三暗殺 タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年9月号

『紙の爆弾』と『季節』──今こそ鹿砦社の雑誌を定期購読で!

筆者は介護福祉士として広島都市圏の二か所の介護施設で働いています。一つは安芸郡内のグループホーム。もう一つは総理の地元・広島市内の老人ホームです。

8月7日から、後者の広島市内の老人ホームで二度目となる新型コロナウイルス(オミクロン株)のクラスターが発生してしまいました。8月10日現在、職員7人、入居者様7人の感染が確認され、2人の入居者様が入院という事態になっています。前回2月のクラスターでは入院者はいませんでしたので、今回の方がより事態は深刻です。

 

◆職員が倒れた上に人手は普段より必要

筆者ら職員は、医療用マスクとフェースシールドで防備し、感染者が出たフロアでは、感染者以外も全員が自室で食事、ということになりました。これは、前回のクラスターで、無症状で元気な方がフロア内を移動していわゆるスーパースプレッダーになってしまったことを教訓としての措置です。一律に移動を禁止することで、拡大を封じ込めることに現時点では一定程度成功したかに見えます。

ただ、感染者・非感染者関係なく、食事については介助が必要な方もおられ、そういう方は居室へ伺わないといけません。食堂で皆様が食事を摂られるのであれば、介助が必要な方にまとまって座っていただき、片方の方が咀嚼している間に、もう片方の方に口に食物を入れていただくということもできるのですが、そういう「技」が使えません。職員の感染とダブルパンチで現場は大混乱です。

◆新型コロナ治療薬実用化も一筋縄ではいかず

現在、新型コロナウイルスの治療薬も暫定的ですが出てはいます。しかし、特例で急いで使用できるようにした薬ですので、ご家族の同意が必要です。同意を取る間にも症状が悪化しかねず、ひやひやします。また、薬がそれなりに大きなカプセル入りなので、お年寄りには呑み込むのが厳しいというネックもあります。

8月3日の平和行進(写真左)/7日は中区で街頭演説(写真右)

◆筆者が不在の間にクラスター発生

8月2日に当該老人ホームでクラスター前最後の勤務を終えました。その後、8月3日~6日は平和運動に邁進しておりました。3日は平和行進や市民団体の街宣に参加したり、自らも各地で街頭演説を実施したりしました。8月4日も街頭演説や原水爆禁止世界大会。5日は原水爆禁止世界大会の分科会に参加後、夕方から地元安佐南区でれいわ新選組参院候補と筆者の支持者による集会を実施。6日も、原爆ドーム前での黙とう、中国電力前座り込みや平和学習会参加。7日も中区でのれいわ新選組チーム広島のみなさまとともに、主に県政についての街頭演説(写真右)を実施しました。

そして、8日は安芸郡のグループホームで勤務しました。だが、筆者が街頭演説をしていた7日にはすでに、広島市の老人ホームで入居者3人、職員1人の感染が確認され、翌9日には入居者2人、職員5人の感染が確認されていたのです。

◆「まさか、また弊社で!?」

筆者が9日に出勤すると様子がおかしい。なぜか、冒頭の写真のような恰好を職員がしている。「まさか?!」という予感は的中。クラスターが発生していたことを同僚から告げられました。

もちろん、広島県内では7日には、新規感染者が6000人を超えていました。だが、まさか、自分の勤務先が大変なことになっているとは、夢にも思いませんでした。確かに、2月に弊社では一度クラスターが発生しています。

だが、まさか、また起きるとは?! とにかく、完全防備で現場に入るしかありません。

◆息が苦しいがやむを得ない

医療用マスクにフェースシールド。こういう形で完全防備をすると、とにかく、息が苦しい。フェースシールドのゴム紐が頭を圧迫し、頭痛がします。しかし、感染拡大を防止するためには、仕方がありません。そして非感染者でときどき、自室から出てこられる方については、すぐに戻っていただく。しかしすぐに出てこられます。認知症でいらっしゃるから仕方がないのですが、こちらも疲弊します。

◆五月雨式の保健所からの問い合わせ

保健所からの感染者のバイタルサイン(血圧、体温、血中酸素飽和濃度)などの容体についての問い合わせには弊社の看護師がお答えしていました。同じ施設の入居者なのだから、一度に問い合わせをいただければこちらとしては楽なのです。ただ、現実には感染者一人一人について五月雨式に問い合わせをいただいていました。結局、三日目くらいには、ファックスでやりとりするようになったようですが、混乱は否めませんでした。

◆職員にも入居者にも感染拡大、救急搬送も

9日は、入居者様一人が結局、入院。この方は基礎疾患が結構あるから仕方がありません。また、職員1人の感染も確認されました。なお、ここまでの感染確認の方法は職員も入居者様も抗原検査です。その上で、PCR検査を受けるという流れになります。

翌日10日には、職員1人、そして入居者様2人の感染が確認されました。この日は、血中酸素飽和濃度が低く、酸素投与を受けていた入居者様一人が救急搬送されるなど、あわただしい状況が続きました。

◆感染確認から最短で10日で職場復帰も課題山積

現在、感染確認から最短で10日で職場復帰、というのが弊社のルールとなっています。

逆に言えば10日間は穴があいてしまいます。なお、現時点で入居者様の入浴や居室の清掃は中止されていますので、この点は助かっていますが、長引けば衛生面も余計に不安が出てきます。

たしかにオミクロン株は、α株やδ株に比べたら毒性は弱い。しかし、感染力が強く、今回の弊社のような大規模クラスターになりやすい。岸田総理におかれては、こうした事態にも早急に対応いただきたいものです。国葬は閣議決定で決めるけど、緊急のコロナ対策は後手。これでは、地元でも失望がひろがるのではないでしょうか?

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
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◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

旧統一教会問題と安倍晋三暗殺 タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年9月号

《6月のことば》雨の日も笑顔 (鹿砦社カレンダー2022より。龍一郎揮毫)

日々報じられるウクライナ危機とコロナ禍── とても笑顔でいられません。ひょっとしたら今年は時代の転換点かもしれません。かのべトナム戦争終結以後、これほどまでにワールドワイドな戦争とパンデミックがあったでしょうか? 

それにしても、これを揮毫した書家・龍一郎はいつも笑顔でいます。3年前の秋、母校・同志社大学での講演会、早朝お母様が亡くなりながら、福岡から京都に駆けつけ、あたかも何もなかったかのようににこにこ笑いながら平然と講演と即興での揮毫をやり通しました。さすがにプロです。また、自身は一昨年大病に倒れ長く入院、さらに昨年には連れ合いを亡くしながらも、このカレンダーを製作してくれました。その間には、師ともいうべき中村哲氏の不慮の死に遭っています。こうした中でも、彼が笑顔を絶やさないのはなぜなのか? 

龍一郎は人間が出来ています。私など齢七十を過ぎても未熟で、現在の情況を見て、到底にこにこ笑ってはおれません。核の使用を含む世界戦争の危機にたじろぎ、コロナには直撃されのたうちまわっています。どっちが先輩でどっちが後輩かわかりません。

龍一郎の笑顔の源は赴任したばかりの小学校で起きた「ゲルニカ事件」ではなかったか──「ゲルニカ事件」については、ここで説明するには長くなりますので、皆様方にはお調べいただくとして、この事件で彼は、全国津々浦々からの教師や父兄らの支援を受け、全国を講演行脚しみずからの想いと主張を訴えてまわりました。そして夜遅くまでの弁護団会議、敗訴、定年を遙かに前にした教職退職……波乱の人生でした。彼は別のところで「人生に無駄なものなどなにひとつない」と揮毫しています。魂の書家・龍一郎の笑顔の源はここにあるのではないか、と思っています。

(松岡利康)

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《5月のことば》やわらかい五月の風を胸いっぱいすいこんで……(鹿砦社カレンダー2022より。龍一郎揮毫)

5月になりました──。
今年も早3分の1が過ぎたことになります。

本来5月は1年で一番過ごしやすい月ですが、今年は、新型コロナは相変わらず留まっていて、これだけでも大変なのに、ロシアがウクライナ侵略戦争を始め、泥沼化の様相を呈しています。

この煽りで、早速円安になり、物価も上がり続け、そのうちさらに不景気となることでしょう。ただでさえコロナ不景気で苦労しているのに、本当に絶望的になります。

しかし、それでも私たちは創意工夫し支え合い生き続けなければなりません。

閉じ篭ってばかりいても暗くなるばかり、「やわらかい五月の風を胸いっぱいすいこんで背のびをして」気分転換し心機一転、前を見て歩み続けましょう!

5月3日 朝日新聞阪神支局銃撃事件35年(1997年) 
*同支局は鹿砦社と同じ西宮に在ります。甲山事件、グリコ・森永事件と共に私にとってこれからも探究すべく三大事件です。

5月15日 沖縄「返還」(併合)50年(1972年)
あっというまでしたが、記憶の糸を辿りながら、その意味を考えましょう!

(松岡利康)

『紙の爆弾』と『季節』──今こそ鹿砦社の雑誌を定期購読で!

今年の2月16日に、独立系メディア「MyNewsJapan」は、コロナワクチンの闇接種についての記事を掲載した。タイトルは、「国費のコロナワクチンを闇打ちで接待に流用、『接種会場』は桜十字グループ西川朋希代表が理事を務めるビューティクリニックVIP室」(https://www.mynewsjapan.com/reports/2634)である。執筆者は、わたしである。

桜十字グループは、再春館製薬が2006年に買収して運営に乗り出した医療・福祉関係のグループである。総社員数は6551人(2021年4月1日現在)。本部は熊本市にあるが、東京でも医療法人社団・東京桜十字を設置し、複数の診療所を運営している。

MyNewsJapanの記事は、2021年の春から夏にかけて桜十字の関係者が、東京渋谷区にある美容外科で、要人に対してワクチン「接待」を繰り返していたとする内容である。しかも、当時、桜十字グループの西川代表が、菅義偉首相(当時)とワクチン接種の普及について、2度も会談を行っていた事実も明らかになっている。

菅義偉首相(当時)と西川代表の会談を伝える桜十字グループの社内報

わたしがデジタル鹿砦社通信で、この事件を再報告するのは、MyNewsJapanに記事を掲載した後も、大メディアが後追い報道をしないからだ。わたしは、これだけの大問題を黙認してはばからない鈍感さを問題視したい。

◆闇接種を裏付ける3つの客観的事実 

この事件の取材のきっかけは、ある人物が昨年の11月にMyNewsJapanに情報を提供したことである。東京・渋谷区のメットビューディークリニック(堀江義明院長、以下、MBC)で、要人を対象としたワクチン接待が行われていたという内容だった。この人は、新聞や週刊紙にも情報を持ち込んだが、新聞は最初から取材しなかったという。週刊紙は、記事にしたものの、ワクチンの闇接種には言及していなかった。最も肝心で核心的な部分を外したのである。そこでAさんは、従来の主要メディアは信用できないとして、MyNewsJapanに情報を提供したのである。

MyNewsJapanの渡邉正裕編集長の依頼で、わたしがこの事件を担当することになった。わたしは、Aさんから事件の概要を聴取した後、闇接種が行われた当時、MBCの事務長をしていたBさん(男性)と、2人のスタッフCさん、Dさん(いずれも女性)を取材した。

これら4人の内部告発者の話を統合すると次のような概要になる。2021年の春から7月ごろにかけて、桜十字グループの関係者が、MBCのVIP室を使って複数の要人に対し、ワクチンの闇接種を行っていた。その中には、海外の「超VIP」も含まれていたという。元事務長は、東京・虎ノ門にある東京桜十字の本部から、MBCへワクチンを運搬させられたことがあると話している。

わたしはこれらの「証言」の裏付け調査に入った。結論を先に言えば、次の3点が事件の客観的な裏付けになる。

① 桜十字のスタッフがワクチン接待を受ける要人と交わしたラインの交信記録

② 闇接種に使ったコロナワクチン専用のシリンジ(注射器)の写真である。

③ MBCが所在する港区が、MBCをワクチン接種の医療機関に指定していないことを裏付ける(情報公開請求で得た)書面である。

①から③の客観的な裏付と、元事務長、2人の元スタッフの証言が完全に整合しており、ワクチン接待が行われたとする内部告発の信ぴょう性は動かしがたい。しかも、既に述べたように、この時期に西川朋希代表と菅首相が、ワクチン接種の推進について、首相公邸で2日に渡って会談していた。最初の会談は5月15日で、2度目が5月16日である。この事実は、新聞の「首相動静」や桜十字グループの社内報(冒頭の写真)でも確認できる。

◆裏付け①-闇接種の日時・場所をラインの交信で調整

 

ワクチンの闇接種のスケジュールを設定したことを示すLINEの記録

右に示した写真は、ワクチン接種の前段のプロセスを裏付けるLINEの通信記録である。このLINEには、次の4人の人物が登場する。

読者は、LINEの冒頭の導入部に注目してほしい。「TomokiがMET増田修一、YS(仮名、女性、ピンク色部分)を招待しました」と記されている。

「Tomoki」は、元事務長と2人の元スタッフによると、桜十字グループの西川朋希代表のことである。しかし、トモキという名前は一般的で、客観的な本人確認の裏付けになるとは言えない。とはいえ、そのことはさほど重要ではない。重要なのは、この事件で主導的な役割を演じた「MET増田修一」の所属先の確認である。「MET増田修一」が桜十字グループの関係者であることの立証なのである。

「MET増田修一」は、会社登記簿によると、METを運営している(株)メディカルハックの社長である。「MET増田修一」がLINEで使っていたアイコンを調査したところ、同氏がFACEBOOKで使っているアイコンと完全に一致した。しかも、そのFACEBOOKには、勤務先として桜十字の社名を記していた。

さらに(株)メディカルハックを調査したところ、東京桜十字が経営するクリニックのひとつと登記上の住所が一致した。つまり桜十字グループと(株)メディカルハックは実質的に一体ということになる。元事務長も(株)メディカルハックの所属で、定期的に東京桜十字でミーティングを開いていたと話している。

「YS(仮名、女性)」は、ワクチン接種を受けたとされる女性である。

「Tomoki」、「MET増田修一」、それに「YS」の3人は、LINEでワクチン接種の日程と場所を取り決めたのである。交信記録を引用してみよう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・【引用】・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Tomoki:水曜日
接種の時間を決めてください。場所は表参道です。

YS:ありがとう!それでは午前10:00でいいですか?

増田:10時にご希望承りました。ドクターに時間の確認をしておりますので、確定までしばらくお待ちください。よろしくお願いいたします。

YS:ありがとうございます。

増田:大変お待たせいたしました。10時が難しく、13時にクリニックにお越し頂く事は可能でしょうか?どうぞご検討よろしくお願いいたします。

YS:はい、了解しました。住所をお知らせください。

増田:https://www.met-beautyclinic.jp/

・・・・・・・・・・・・・・・・【引用おわり】・・・・・・・・・・・・・・・・・

(株)メディカルハックの「増田」がYSに示したURLは、METの公式ウェブサイトと一致する。つまり3人は、闇接種の場所を、渋谷区のMETに決めたのである。

接種の日程と場所が確定すると、増田社長は3人の交信記録のスクリーンショットを、METの事務長(当時)のLINEへ転送した。接種予定の前日、2021年7月20日(火)のことである。これに応えて事務長が、次のように返信する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・【引用】・・・・・・・・・・・・・・・・・・

事務長:13時にVIP室ご案内でいいでしょうか?

増田:はい、お願い致します。堀江先生も1時にお見えになります。合計3名の接種予定で、13時1名、13時半に2名の予定です。

増田:ワクチン接種後、15分の観察時間を要します。

・・・・・・・・・・・・・・・・【引用おわり】・・・・・・・・・・・・・・・・・

「15分の観察時間を要します」という記述から、予防接種がコロナウイルスに対するものであることが分かる。

◆裏付け2-コロナワクチンの専用シリンジ

 

ワクチンの闇接種に使われたシリンジ

右に示す写真は、MBCの元スタッフが撮影したコロナワクチン専用のシリンジである。

この写真には、撮影と同時に自動的に作成される撮影日時と撮影場所もデータとして残っている。それによると撮影日は、2021年6月25日13:52分である。撮影場所は港区である。

シリンジと一緒に映っている鉛筆のような医療廃棄物は、アートメイクで使用するブレード(針)である。これは美容外科に特有のものである。一般の医療機関にはこのような医療器具はない。従ってシリンジの撮影場所が、美容外科であることが分かる。

しかし、後述するように、港区にある美容外科で、港区がワクチンの接種会場に指定した医療機関は一軒も存在しない。

さて、写真撮影されたシリンジについて、説明しておこう。読者に注視していただきたいのは、シリンジの先端部分(デッドスペース)である。黒いピストンのようなものが入っている。

これはシリンジのデッドスペース内のワクチンを残ることなく押し出すための仕組みなのである。このデッドスペースこそが、ワクチンを無駄にしないように開発されたコロナワクチン専用のシリンジの特徴なのだ。

元スタッフらは、次のように話す。

「このようなシリンジは見たこともなければ、使ったこともありません」

「棚卸一覧にも、このようなものは入っていません」

デッドスペースが少ないシリンジそのものは従来から存在していても、ほとんど流通していなかった。それゆえに国が厳密に管理・配給すると同時に、当時、医療器具メーカーが急遽開発に乗り出していたのである。

わたしは実際にワクチン接種を担当している医療関係者にも、このシリンジの写真を示して、それがコロナワクチン専用のものであることを確認した。


◎[参考動画]ワクチン“1瓶6回”接種へ 特殊注射器増産(FNN ,2021年2月18日)

◆裏付け3-港区の情報公開資料
  
「裏付け1」と「裏付け2」により、MBCでワクチン接種が行われたことを裏付けることができる。元事務長らの「証言」の信ぴょう性を担保できる。

しかし、そのワクチン接種が、国が決めたワクチン接種の方針に沿わないルール違反であることを示す証拠はあるのだろうか。この点を調べるために、わたしは港区が、METをワクチン接種の医療機関に認定していたかどうかを検証した。

ちなみにコロナワクチンとシリンジは、「国→都道府県→各自治体→医療機関」の配給ルートになっている。さらに医療機関に到着した後、ワクチン接種を迅速に進めるために、他の医療機関へ搬送することが認められている。ただし搬送先の医療機関は、事前に地方自治体の認可を受けなければならない。「集合契約」と呼ばれる書面に調印することで、ワクチン接種を推進する諸機関のグループに加わらなければならない。さもなければ、ワクチンやシリンジの末端配布先が分からなくなる可能性があるからだ。また、ディープフリーザー(低温冷凍庫)の手配調整にも困難が生じる。

筆者は、METがある港区に対しコロナワクチンの接種に関する情報公開請求を行い、その後、取材を行った。その結果、当時、METは集合契約に調印していなかったことが分かった。(取材した当時も、契約していなかった)

METがある港区南青山5丁目で、2021年の春から夏にかけた時期にワクチン接種の医療機関に指定されていた所は次の医療機関だけである。

 ・八木クリニック
 ・やべ耳鼻咽喉科表参道
 ・南青山往診クリニック

今年2月の時点では5つの医療機関が認定されているが、やはりMETは含まれていない。

つまり港区はMETに対して、コロナワクチンも専用シリンジも、提供したことがない。とすれば、どのようなルートでワクチンと専用シリンジがMETへ運び込まれたのか。これについては、既に述べたように元事務長が、虎ノ門にある東京桜十字からMETへワクチンを運んだことが一度ある、と話している。

「週に1回、本社(注:港区虎ノ門にある「東京桜十字」本社を指す)でミーティングがあったのですが、ミーティングが終わった後、上司から箱を渡され、METへ持ち帰ったことが一度だけあります。箱を開いて初めて、中身がワクチンであることに気づいたのです。保冷剤も一緒に入っていました」

元スタッフCさんも、次のように話す。

「事務長が冷蔵庫にワクチンを保存したいというので、許可したのを覚えています」

元スタッフDさんは、VIP室でワクチンの入った箱を見たと話している。

「段ボールに貼ってある伝票に、確か、『熊本』の県名がありました」

コロナワクチンの場合、運搬方法や保管方法にも品質を保つためのガイドラインがある。真夏の炎天下にMETの事務長が、カバンに入れてワクチンを運んだというのは、異常の極みであり、医療の安全に関わる問題だ。

国が配給したワクチンがどのようなルートでMETに届いたのか、運搬の経緯には不明な部分もあるが、桜十字グループの西川代表が菅首相らと会談した後、桜十字グループが本格的にワクチン接種のイニシアティブをとってきたわけだから、桜十字グループ内には大量のワクチンとシリンジがあったと推測できる。従って、METへの流用はそれほど困難ではない。

◆誰がワクチン接待を受けたのか?

ワクチン接待を受けた人物については、具体的な名前が上がっている。たとえば「裏付け1」でとり上げたYSである。YSについて、インターネットで検索したところ、興味深い英文の記述が明らかになった。それよると、YSは桜十字グループの地元・熊本県の出身でインドネシアに住んでいる。夫は、不動産会社を経営する大富豪である。

わたしはYS夫妻の写真や動画をインターネット検索した。その中で、YSの夫である可能性がある男性の写真が浮上した。その写真を元事務長と、2人の元スタッフに確認してもらったところ、元事務長と、元スタッフのCさんが、「見おぼえがある」と答えた。 
 元事務長がYS夫妻について次のように話す。

「夫妻がMNCにお見えになったとき、VIP室へ案内しました。それから2人の到着を堀江先生に報告しました」

元スタッフのCさんは、次のように話す。

「2人は堀江先生と一緒にVIP室から出てきました。堀江先生からは、超VIPとして紹介されました。奥さんが化粧品を買いたいというので、わたしがフロントに案内したので、よく覚えています」

桜十字グループは、インドネシアでも事業を展開している。「アクセラ」と称する団体を設立して、日本での就職を目指しているインドネシア人に日本語を教えるなどの活動を展開している。実際、桜十字は、現地で人材募集も実施している。たとえば、次のブログである。

https://www.sakurajyuji.or.jp/recruit/kaigo/news/?p=1520

MBCの堀江院長は、インドネシアへの渡航歴もある。元スタッフとのLINEの交信記録でそれが確認できる。

YS夫妻がMBCでワクチン接種を受けた時期、インドネシアはコロナ感染が急拡大していた。

この事件の無視でも明らかなように、日本のマスコミは、肝心な問題は報道しない。コロナワクチンは国費で調達されているわけだから、それを特定の企業がワクチン接待に使ったとなれば、道義的な問題だけでは済まない。

▼黒薮哲哉(くろやぶ・てつや)
ジャーナリスト。著書に、『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島新書)、『ルポ 最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線』(花伝社)、『名医の追放-滋賀医科大病院事件の記録』(緑風出版)、他。
◎メディア黒書:http://www.kokusyo.jp/
◎twitter https://twitter.com/kuroyabu

タブーなきラディカルスキャンダルマガジン『紙の爆弾』2022年5月号!

黒薮哲哉『禁煙ファシズム-横浜副流煙事件の記録』

国家公務員給与引き下げ法案が今国会に提出されています。一般職、特別職(大臣や議員など)ともにボーナスが0.15ヶ月引き下げられる内容です。このままだと与党や維新の賛成で成立するとみられます。

◆制約されている日本の公務労働者の労働三権

そもそも、公務員の給料の決まりかたはどうなのでしょうか? 日本の公務労働者は労働三権(団結権、団体交渉権、争議権)が制約されています。多くの分野の公務労働者はそうはいってもかつて筆者が所属した「自治労」や筆者の祖母が生前所属していた「日教組」などの労働組合(職員団体)に加入はできます(団結権)。皇室労働者にも「宮内庁職員組合」という労働組合はあり、天皇が(組合主催の文化祭に和歌を寄せるという形で)「参加」する唯一の労働組合です。しかし、いずれにせよ、団体交渉権や争議権は制約されています。

さらに、防衛労働者、警察労働者、海保労働者、法務教官労働者、消防労働者には組合さえありません。これは、諸外国からみると異常なことです。わたしはノルウェーのメーデーに参加した経験があります。このとき、インターナショナルを女性警察官が演奏して、それにあわせて参加者が歌っていました。そのとき、わたしがただ一人日本語でインターナショナルを歌って注目を浴びたので鮮明に記憶しています。実は戦後すぐは、警察労働者にも労働組合はみとめられていたのですが、いわゆる逆コースで禁止されてしまったのです。

◆代償としての人事院制度・人事委員会制度

こうした公務労働者の労働三権の制約の代償として、人事院制度・人事委員会制度(都道府県、政令指定都市、特別区)があります。

まず、人事院や人事委員会が民間企業の給料を調査します。それをもとに、人事院勧告・人事委員会勧告を出します。2021年の場合、人事院勧告は8月10日に内閣に提出されています。(https://www.jinji.go.jp/kankoku/r3/r3_top.html

そして、国が勧告についての取り扱いを閣議決定します。そして、地方自治体には、事務次官通知が送られます。

こうした手続きを経て、内閣は給与法の改正案を国会に、知事や市町村長は給与条例案を議会に提出します。

これらの案が可決されれば、民間企業に準じた給料アップが実施されます。ただし、自治体によっては、勧告どおりにならないケースもあります。筆者が勤務する広島県もそうでした。広島県では1990年代、あの河井案里さんの師匠にあたる男性大物県議がゼネコンの実質的なオーナーでもあり、「天皇」と恐れられるほど君臨していました。その「天皇」が1990年代に必要性の薄い大型事業を大学の後輩でもある当時の知事に強行させた結果、広島県は1990年代末には貯金が底を尽きました。その穴を埋めるために、職員の給料がターゲットにされました。人事委員会勧告が完全実施された場合に比べて3%~7%カットされたこともありました。

このように、自民党の身勝手なつけを労働者が払わされるケースは全国でありました。

また、東日本大震災のときには、民主党政権は復興財源捻出のため、公務員給料をカットしました。しかし、災害対策で激務を強いられた上に給料をカットされた公務労働者の怨嗟の声は高まりました。公務労働者のかなりの部分は民主党やのちの立憲民主党の支持基盤である労働組合の組合員です。そうした公務労働者も離反したことが、民主党政権崩壊、その後も組合員の票を自民党にとられて立憲民主党が苦戦する背景になっています。

◆コロナ災害という非常事態を考慮せよ

たしかに、コロナ災害で民間企業のボーナスは減っています。貰えればありがたい。そんな会社もあります。筆者の勤務先に至っては、ボーナスなんて存在しません。それはそれとして、平均すれば0.15ヶ月分下げるべき。それは、一見、正しいように見えます。

しかし、今回のとくに民間のボーナス減少はコロナという大災害によるイレギュラーなものと見なすべきでしょう。人事院勧告は、そもそも、民間の平均を算出するものだから、仕方がないとして、政府が人事院勧告をそのまま鵜呑みにしてよいのでしょうか?

もちろん、民間労働者のコロナ災害にともなう大幅な収入減は、国が補償するべきです。その上で、公務員の給料も一般職については、引き下げを回避すべきではないでしょうか? 現場公務員、とくに、公立病院関係者や保健所関係者はこの2年間はまるで野戦のような労働環境でした。その上にボーナス減少では士気の低下につながりかねません。

また、もし、今回の給与法改悪のように、公務員の給料を減らせば、災害によるイレギュラーな給料の低下がレギュラーなものとして定着してしまいかねません。

岸田政権の給料アップ方針自体はショボい。しかし、給料を引き上げるという方向性は正しいと思います。日本はいまや、非正規ばかりふやし、いわゆる失敗国家(内戦などで崩壊状態の国)以外では唯一といっていいほど給料が上がらない異常な国です。もちろん、給料引き上げは労働組合の仕事ですが、現状の組合、とくに連合にはそれは望むべくもありません。総理に給料アップで先行されて悔しい思いをして組合が奮起、というのが現実的なシナリオに思えます。

こうした中で、今回の国家公務員一般職員の給料引き下げは労働者の大幅な給料アップという、総理の方針実現にもマイナスです。地方公務員にも波及し、民間企業にも波及するでしょう。労働条件を「公務員準拠」にしている企業も多いからです。ただでさえ、ロシアとウクライナの戦争の影響で輸入物価が上昇して人々の暮らしが直撃されている中でさらに悲惨なことになりかねません。そして、岸田政権が掲げる「賃上げによる経済の底上げ」そのものも難しくなかってしまいます。

かつて、人事委員会勧告を無視して広島県は職員の給料カットを強行したことがありました。逆に今回は「コロナ災害」や「労働者の賃金アップを政府総がかりで実現することをきめている」という状況を踏まえて、「ボーナスカット」勧告を無視するという「政策判断」も「あり」ではないでしょうか?

◆財政出動でガツンと非正規も介護・保育も給料アップを

いま、やるべきは、財政出動ですべての人の暮らしを下支えすることです。正規公務員の給料引き下げで溜飲を下げてもらう場合ではありません。

もちろん、公務員でも教員ふくめて正規と非正規の格差は深刻です。とくに女性が多い部署にみられることですが、専門性が高い仕事ほど、非正規で使い捨てという場合がおおくあります。

2020年度からは、地方公務員にも、会計年度任用職員ができています。ボーナスも支給されるようになりました。しかし、これでも「基本給を下げてボーナスを支給」など、運用が不十分な実態があり、大幅な改善が必要です。さらに、労働時間を少し短縮することで会計年度任用職員ではなく、「パート」扱いで、同じ仕事をさせながら、労働条件を会計年度任用職員より低く押さえるセコい自治体も少なくありません。「維新」の「本拠地」の大阪では部署によってはほとんどが派遣社員というケースもあります。これでは、労働者の給料は低い上に、派遣会社が儲かるだけで市民の負担はむしろアップしかねません。

とにかく、そもそも非正規の労働条件が低すぎるのが問題であり、この20-30年正規公務員をへらしすぎたのが問題なのです。

介護など家庭の事情がある人は短時間正規公務員でよいのです。

また、たしかに、介護や保育と比べると、お役人の給料は仕事の割には高いのも事実です。筆者自身がかつては県庁マンとして働き、いまは民間で介護福祉士として働いているのだから、それはよくわかります。維新の議員などより、そのことは百万倍わかっているつもりです。

しかし、そもそも、介護や保育の労働条件が低すぎるのが大問題なのです。一般職公務員の給料は据え置いて、財政出動により、ガツンと我々、介護や保育などケア労働者の給料をアップしてください。総理、維新のような「低いほうに合わせる」格差是正ではなく、筆者やれいわ新選組が提言してきた「高いほうに合わせる」格差是正をお願いします。

◎【参考】大石あきこ議員のTwitter https://twitter.com/oishiakiko/status/1501423247987863557

私は一般職給与法に方に断固反対の立場から、また特別職給与法並びに育休法には賛成の立場から討論を行います。

一般職給与法について、先ほども申し上げましたけれども反対です。

今政府が行うべきは、自らが「骨太の方針2021」において謳った「賃上げを通じた経済の底上げ」を文字通り行うべきです。

▼さとうしゅういち(佐藤周一)
元県庁マン/介護福祉士/参院選再選挙立候補者。1975年、広島県福山市生まれ、東京育ち。東京大学経済学部卒業後、2000年広島県入庁。介護や福祉、男女共同参画などの行政を担当。2011年、あの河井案里さんと県議選で対決するために退職。現在は広島市内で介護福祉士として勤務。2021年、案里さんの当選無効に伴う再選挙に立候補、6人中3位(20848票)。広島市男女共同参画審議会委員(2011-13)、広島介護福祉労働組合役員(現職)、片目失明者友の会参与。
◎Twitter @hiroseto https://twitter.com/hiroseto?s=20
◎facebook https://www.facebook.com/satoh.shuichi
◎広島瀬戸内新聞ニュース(社主:さとうしゅういち)https://hiroseto.exblog.jp/

『紙の爆弾』と『季節』──今こそ鹿砦社の雑誌を定期購読で!

3月14日、2020年に政府が行ったコロナ支援策「特別定額給付金」を、住民票がないことを理由に、給付されなかった、大阪市西成区内に居住していた10名が、大阪市・松井一郎市長を提訴した。

原告の1人Sさんに「裁判が始まるよ」と報告した

◆2007年、釜ヶ崎に暮らす2088名の住民票を強制削除した大阪市

「特別定額給付金」は、新型コロナウイルスの感染が猛威を振るい始めた2020年、すべての人を対象にした唯一出された支援対策であった。政府は、4月20日、一律10万円の特別定額給付金の給付を閣議決定、その際、2020年4月27日付けで、住民基本台帳に名前の記載がある者、つまり住民票がある者と条件づけた。

しかし、ご存知のように、釜ヶ崎には、様々な理由で住民票を持てない者がいる。野宿生活を余儀なくされた人たち、ドヤ、アパートに住んでいるが、そこでは住民票が取れない人たち、元の住所あるいは本籍地から、様々な理由で住民票を移せない人たちだ。

かつて、大阪市は、釜ヶ崎では住民票が取れない労働者に対して、白手帳(日雇い労働者の失業保険)をとったり、各種資格を取る必要がある場合には、釜ヶ崎地域合同労組が入る「解放会館」などで住民票を置くことを進めておきながら、2007年2088名の住民票を強制削除した。今回、住民票がない人の中には、その被害者もいた。

アルミ缶、銅線などを集めて暮らす彼は「解放会館」に置いていた住民票を強制削除された被害者だった

◆市長室にはほとんどいない松井市長

私は、釜ヶ崎地域合同労組、日本人民委員会、釜ヶ崎炊き出しの会、釜ヶ崎公民権運動のメンバーとともに、大阪市・松井市長に対して、住民票を持たない、持てない人たちにも必ず給付金を渡すようにと要請活動を行ってきた。4月28日、西成区役所に要請行動を行った際、「給付については大阪市役所市民局が行う」と返答されたため、5月8日、松井一郎・大阪市長と大阪市役所市民局に対して「特別定額給付金が、住民票をもっていない人にも必ず渡るように」との要望書を提出した。

市長室にも要望書を届けようとしたが、松井市長は市長室にいないことがほとんどで、いつも秘書課職員に渡すだけで終わった。松井市長は、登庁する日も、ほかの自治体首長と違って極端に低いようだ。しかも、この時、市民局の職員はわずか12名しかいない一方で、IR事業、大阪万博を推進する副首都推進局のスタッフは80名もいた。大阪市は、根本的に、住民の命を守る気などないのだ。

◆行政の責任者は、すべての人に行き渡る施策を執る努力をすべきなのに……

その後も大阪市は、「給付対象者は令和2年4月27日において、住民基本台帳に記載されている者であること」と繰り返し主張するばかりであった。しかし、この給付金は、コロナウイルス感染拡大防止に伴う自粛要請などで経済活動が停滞するなか、「簡素な仕組みで迅速かつ的確に家計へ支援を行う」(実施要項)として、国から唯一出された支援策であり、各自治体、行政の責任者は、すべての人に行き渡る施策を必死で執る努力をすべきだった。

実施要項には、「記載がなくてもそれに準ずるものとして、市町村が認める者を含む」とあり、実際、DVで、住民票のある家からシェルターなどに避難している人や、出生届けが出されず、戸籍の記載がない約800名の「無戸籍者」なども受け取れるような緊急措置が、各自治体で執られ、じっさいに給付されていた。

「住民票のあるなし」にこだわり続けていた大阪市は、その後、NPO釜ヶ崎支援機構が運営するシャルターに、1日でも泊まれば、そこで住民登録を行うとした。しかし、シエルターに泊まることが嫌だから、野宿している人がいることも事実だし、前述したように、様々な理由で住民票をとることが困難な人、あるいは嫌な人がいることも事実だ。

人権問題に詳しい弁護士の南和幸さんは「給付金について、ホームレスの人だから、受け取る権利がないというのは間違い。住民票のあるなしは、権利のあるなしの問題ではなく、とのように受け取れるかの手続きの問題でしかない。それについて、この住民登録があるないだけで、権利があるなしかのように取り扱うのは間違いである」と述べている。

つまり、野宿している人が、その場で、本人確認が行われればいいのだ。大阪市は回答書には、住民登録されれば給付対象となることなどを「周知を図ってまいります」とあるが、野宿者に「周知」して回る際、その場で野宿者の名前、本籍などを確認すればいいではなかったか。じっさい、2008年リーマンショック後の2009年、一律12000円が支払われた給付金の際には、住民票を持たない野宿者らが、西成市役所1階のロビーで、職員らにより本人確認の手続きが行われ、給付金をうけている。今回も同じようにするよう要請したが、「コロナなので」を理由に断られた。何百人も殺到する訳でもないのに。

閉められたままのセンター(右)と、南海電鉄高架下に入ったセンター仮庁舎(左)

◆住民票がないことを理由に特別定額給付金を給付をしないのは違法である

私たちは、2020年8月18日、原告10名とともに、原告の住所、氏名、生年月日を記載した特別定額給付金申請書を持参し、被告である大阪市西成区保険福祉センター分館に赴き、申請を行った。しかし、松井市長により、住所地に住民登録がないとの理由で、給付がなされなかった。そのため、10名の原告から委任状を受け、今回提訴することになった。

訴状によれば、「ホームレス状態にある原告らに被告が、住民登録がなされていないことなどを理由に、特別定額給付金の給付をしないことは、憲法14条及び31条が規定する平等原則及び比例原則に反する。よって、被告の原告らに対する本件給付金の不給付は、いずれも、被告大阪市長に与えられた実施主体としての裁量を逸脱あるいは濫用するものであって、違法であることは明らかである」としている。

さらに「被告の公権力の行使にあたる公務員は、原告らのように、ホームレス状態にある人々に対し、その状態に相応しい住民登録の方法を工夫するなどして、特別定額給付金の給付を実施すべき義務があるにもかかわらず、これを漫然放置し、不給付とした点において、重大な過失がある。従って被告は国家賠償法第1条により損害を賠償する責任に任ずる」とし、「原告らは、本件申請拒否によって、各自、少なくとも、給付額と同額の被害を蒙った」として、1人10万円の損害賠償請求を行った。

今回弁護団を構成する武村二三夫弁護士、遠藤比呂通弁護士、牧野幸子弁護士は、いずれも釜ヶ崎のセンターをめぐる訴訟、監視カメラ訴訟の弁護団を兼任し多忙を極めていたため、提訴が遅れてしまった。しかし、いよいよ裁判は始まった。全国でもおなじように、住民票がないことを理由に受け取れなかった人がいるのではないか。ぜひ、この裁判にご注目していただきたい。

▼尾崎美代子(おざき みよこ)
新潟県出身。大学時代に日雇い労働者の町・山谷に支援で関わる。80年代末より大阪に移り住み、釜ケ崎に関わる。フリースペースを兼ねた居酒屋「集い処はな」を経営。3・11後仲間と福島県飯舘村の支援や被ばく労働問題を考える講演会などを「西成青い空カンパ」として主催。自身は福島に通い、福島の実態を訴え続けている。
◎著者ツイッター(はなままさん)https://twitter.com/hanamama58

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