このところ、1968年に府中で起きた三億円事件を扱うドラマ作品が続いている。昨年末にはテレビドラマ『クロコーチ』。今年に入ってテレビ朝日開局55周年記念 松本清張ドラマスペシャル『三億円事件』として、田村正和が、真相にチャレンジする米国保険会社調査員を演じた。

この事件は、120点もの犯人の遺留品がありながらも、警察内部の権力闘争も足を引っ張り、ついに7年後、時効を迎えた。時効となる深夜0時に、事件を振り返るテレビ特番が組まれたのを覚えている。
この捜査には、3億円の4倍、12億円もの捜査費用がかかった。
最後のほうで投入された「落としの八兵衛」こと平塚八兵衛刑事が登場したころは、もはや手垢がついた証拠しか残っていなくて大苦戦した。
「まあ、あれは挙げられる事件だったと言いたいね」と平塚は晩年に語っている。

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